説明

オキサゾリジン−2−オン化合物をカプセル化するリポソーム

【課題】両親媒性脂質の二重層から形成される少なくとも1つの壁を有するリポソームを含む新規な化粧剤の提供。
【解決手段】リポソームは、式(I)の、4位で置換されたオキサゾリジン−2−オン化合物を含有する。


[式中、置換基Rは、4〜30個の炭素原子を含有する、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和の炭化水素系鎖を表す]このリポソームを含有する化粧剤は、皮膚ケアを提供するための化粧用又は皮膚科用組成物中に取り込むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、オキサゾリジン−2−オン化合物を含むリポソーム、前記リポソームを含む組成物、及び前記組成物を使用する化粧法である。
【背景技術】
【0002】
式(I)の4位で置換されたオキサゾリジン−2−オン化合物は、先行技術から知られている。
【化1】


[式中、置換基Rは、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和の炭化水素系基を表す]
【0003】
この式に対応するいくつかの化合物は、具体的には、Fogliaら;J.Org.Chem.、1967年、32(1)、75〜78頁に開示されている。
4位で置換されたオキサゾリジン−2−オン化合物は、親水性活性成分の皮膚バリアの通過を向上させる作用剤である。
【0004】
米国特許第4,960,771号は、ヒト又は動物の処置、具体的には治療処置用の組成物中に含まれる活性成分の経皮浸透を促進するための作用剤として、具体的には4−デシルオキサゾリジン−2−オンを含めた、式(I)の多数のオキサゾリジン−2−オン誘導体の使用を記載している。
【0005】
J.Colloids Interface Science、2002年、249、398〜404頁において、Tranchantらは、膜細胞中の促進剤の挙動を模倣する、複合リン脂質混合物から形成される薄膜に対する4−デシルオキサゾリジン−2−オンの影響を調査している。小さな単膜リポソーム(Small Unilamellar Liposome;SUV)の水性分散液を、混合したリン脂質/4−デシルオキサゾリジン−2−オン/NaClから調製し、次いで容器に注ぎ、モデル膜を構成することで知られる「黒泡膜」(Black Foam Film;BFF)を形成させる。リン脂質薄膜は、浸透促進剤が直面し得る一種のバリア、即ち角質層を模擬している。実施した試験から、脂質層の層状構造の粘着構造を摂動させる透過促進剤の脂質との相互作用に関するその場情報が得られる。
【0006】
さらに示す本発明において、本発明者らは、驚くべきことに、4−デシルオキサゾリジン−2−オンが脂質層の層状構造の粘着構造に影響を及ぼすことをTranchantらが示していたという事実にもかかわらず、化粧用組成物の調製のために、化粧活性成分をさらに含むリポソーム中に、このような透過促進剤をカプセル化できることを発見した。
【0007】
さらに、本発明者らは、驚くべきことに、前記透過促進剤を含むがリポソームを含まない組成物と比較した場合、このようなカプセル化によって、化粧活性成分の皮膚浸透をより高めることができることを実証した。
【0008】
FR2908653は、保湿化粧剤としてのアルキルオキサゾリジン−2−オン化合物の使用を開示している。
これらの文献はいずれも、本発明の主題を開示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主な目的は、化粧剤及び皮膚科用剤の皮膚浸透を向上させる新規なリポソーム、並びにそれから得られる新規な化粧剤の提供を含めた技術的な問題を解決することである。
【0010】
本発明の別の主な目的はまた、水性相の形態とすることができ、同時に、前記相で不溶性の透過剤を含む、新規な化粧用又は皮膚用配合物の提供を含めた技術的な問題を解決し、したがって、この浸透剤の使用を新規な水性組成物まで広げることである。
【0011】
本発明のさらなる目的はまた、これらの技術的な問題に対して、安価であり工業規模で使用できる簡易な解決法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本出願人は、上で定義した、式(I)の4位で置換されたオキサゾリジン−2−オン化合物を本発明によるリポソーム中にカプセル化することによって、その高い親油性の性質のために通常不溶性である前記化合物を水性媒体に取り込むことが可能であることを発見した。さらに、この化合物を含む水性媒体は、化粧剤及びさらには化粧用又は皮膚科用組成物の調製に使用することができる。
【0013】
式(I)の4位で置換されたオキサゾリジン−2−オン化合物を含むリポソームは、様々な形態の化粧用又は皮膚科用組成物中で安定であることが、予想外にも発見された。
【0014】
さらに、4位で置換されたオキサゾリジン−2−オン化合物を含むリポソームは、前記組成物中に任意選択で存在する化粧用又は皮膚科用活性剤の浸透を、皮膚の表層でより多量に、又はより深くまで、著しく及び予想外に促進するさらなる利点を有し、そのため、上述の技術的な問題を解決することが、予想外にも発見された。
【0015】
定義
本説明及び特許請求の範囲において、用語「リポソーム」は、両親媒性脂質の二重層から形成される少なくとも1つの外壁を有し、少なくとも1つの水性区画を含む微粒子を意味することを意図する。
【0016】
両親媒性脂質は、1つ又は複数の親油性基に結合される親水性頭部からなる構造によって、水性媒体の存在下で二重層に組織化し、これらの二重層の内部は親油性の内部区画を形成することが知られている。脂質に対する特定の親和性を有する化合物は、この親油性区画の内側に位置することができる。
【0017】
通常単膜リポソームと呼ばれる単一の脂質二重層から形成されるリポソームが、単一の水性区画を含むのに対し、通常多重膜リポソームと呼ばれるいくつかの壁を有するリポソームは、前記リポソームの二重層及びコアの間に位置するいくつかの水性区画を含む。
【0018】
リポソーム、及びリポソームを、具体的には水性分散液の形態で調製する方法は、当業者に知られている(例えば、書籍「Liposomes as Tools in Basic Research and Industry」、Philippot J.及びSchubert F.、CRC Press Inc、1995年を参照することができる)。
【0019】
本説明及び特許請求の範囲において、用語「脂質」は、少なくとも5個の炭素原子、具体的には5〜30個の炭素原子を含有する「脂肪性」炭化水素系鎖を含む全ての物質を包含する。
【0020】
同様に、本発明の目的に対して、用語「脂肪アルコール」は、その炭素系鎖が少なくとも5個の炭素原子、具体的には5〜30個の炭素原子を含有するアルコールを意味することを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1の態様は、皮膚透過を促進するための化粧剤であって、両親媒性脂質の二重層から形成される少なくとも1つの壁を有するリポソームの分散液を含有する水性相を含み、そのリポソームの少なくとも一部は、式(I)の、4位で置換されたオキサゾリジン−2−オン化合物を含み、
【化2】


[式中、置換基Rは、4〜30個の炭素原子を含有する、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和の炭化水素系鎖を表す]
前記化粧剤はまた、少なくとも1種の化粧用又は皮膚科用活性剤を含有し、その少なくとも一部がリポソーム中にカプセル化されている。
【0022】
本発明の好ましい一実施形態によれば、置換基Rは、4〜24個の炭素原子、有利には4〜18個の炭素原子を含有するアルキル鎖である。
【0023】
特に好ましい一実施形態によれば、置換基Rは、有利には直鎖デシル基、つまり4−デシルオキサゾリジン−2−オンに相当するデシル基を表す。
【0024】
本発明による両親媒性脂質はイオン性又は非イオン性の親水性基を有する。
【0025】
両親媒性脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール又はホスファチジルイノシトールなどのリン脂質;レシチン;ホスホアミノ脂質;スフィンゴミエリン;セレブロシド及び脂肪アルコールのα−又はβ−グルコシドなどの糖脂質;直鎖又は分岐のポリグリセロールエーテル;オキシエチレン化ステアリン酸ポリグリセリルなどの、ポリグリセロール及び直鎖脂肪酸のエステル;並びにポリオキシエチレン化ステロールとすることができる。
【0026】
本発明の好ましい一実施形態によれば、本発明によるリポソームの壁は、少なくとも1種のレシチン又は少なくとも1種のリゾレシチン、より特定すれば、少なくとも1種の卵又は大豆レシチンによって形成される。
【0027】
有利には、レシチンは、任意選択で異なる組成の第2の大豆レシチンとの混合物として、少なくとも50重量%のホスファチジルコリンを含む、大豆レシチンである。
【0028】
特に好ましい一実施形態では、本発明によるリポソームの壁は、リン脂質の組成が異なる2種の大豆レシチンの混合物によって形成され、その1種は、90重量%を超えるホスファチジルコリン、例えばLucas Meyer社からエムルメティク(Emulmetik)(登録商標)930の名称で販売されている大豆レシチンを含むリン脂質の混合物であり、第2の種は、15重量%〜30重量%のホスファチジルコリン、例えばLucas Meyer社からエムルメティク(登録商標)300IPの名称で販売されている大豆レシチンを含むリン脂質の混合物である。
【0029】
本発明のリポソームは、有利には、リポソームの水性懸濁液中でレーザー粒度測定によって、又はこのような懸濁液から開始して、凍結破断により試料を調製することを伴う透過型電子顕微鏡法によって測定した場合、約150〜200μmの平均直径を有することが好ましい多重膜リポソームである。
【0030】
好ましい一実施形態によれば、本発明によるリポソームは、例えば、その性質によってリポソームの安定性を向上させることを可能にし得る性質のその他の成分も含むことができる。例として、ステロール、例えばコレステロールを、二重層の脂質区画に取り込み、前記二重層を強化することが挙げられる。また、例として、標的に対する親和性を有する糖脂質をリポソームの壁に取り込むことによって、分子標的技術で使用できるリポソームを調製することが可能である。
【0031】
本発明の第2の態様は、化粧剤、及び少なくとも1種の化粧的に又は皮膚科的に許容される賦形剤を含む化粧用又は皮膚科用組成物を対象とする。
【0032】
上で定義した、式(I)の4位で置換されたオキサゾリジン−2−オン化合物は、組成物の0.05重量%〜5重量%、具体的には0.5重量%〜2重量%の濃度で、前記組成物に取り込むことができる。
【0033】
本発明による組成物は、本発明のリポソームが分散される少なくとも1種の水性相を含むことが好ましい。
【0034】
特に好ましい一実施形態によれば、組成物は水性組成物、例えばローション又はセラムである。
本発明の第2の実施形態によれば、組成物は脂質相、好ましくは脂質不連続相を含む。
本実施形態によれば、組成物は、具体的にはエマルション、好ましくは水中油エマルションである。
【0035】
好ましくは、エマルションの分散脂質相は、無極性であることはほとんどない、即ち極性である。この脂質相は、具体的には、トリグリセリドを含む、又はトリグリセリドからなることができる。
本発明の特に有利な変形によると、本発明の組成物は、エマルションの脂肪相がそれ自体で油中水(W/O)エマルションである多重エマルションの形態とすることができる。
【0036】
好ましくは、本発明による組成物はまた、少なくとも1種の化粧用又は皮膚科用活性剤を含み、有利には、その少なくとも一部が、組成物中に存在するリポソーム中にカプセル化される。
【0037】
化粧用又は皮膚科用活性剤は、それ自体の親和性に応じて、リポソームの、親水性区画又は親油性区画中に位置する。
したがって、脂質に対する親和性を有する化粧用又は皮膚科用活性剤は、リポソームの壁を形成する脂質二重層の親油性膜内空間に優先的に位置するのに対し、親水性の活性剤は、前記リポソームの親水性膜内空間又はコアに位置する。
【0038】
化粧用活性剤は、皮膚の脱色活性又は皮膚の美白活性を有する物質;痩身活性を有する物質;保湿活性を有する物質;沈静、鎮静又はリラックス活性を有する物質;肌色の輝き、具体的には顔の輝きを向上させる、皮膚毛細管刺激活性を有する物質;脂性肌のケアのための皮脂調節活性を有する物質;皮膚を洗浄又は浄化するための物質;並びにフリーラジカル除去活性を有する物質又はアンチエイジング活性を有する物質を含む群から有利に選択することができる。
【0039】
本発明による組成物は、有利には、同じ群から選択される、又は、異なる化粧効果を有する物質の群から選択される、いくつかの化粧活性物質を含むことができる。
加えて、組成物は、有利には、特に本発明によるリポソームを安定化するための1種又は複数の水溶性ポリマーを含むことができる。
これらの水溶性ポリマーは、合成又は天然由来、特に植物由来とすることができる。
有利には、水溶性ポリマーを増粘剤又はゲル性付与剤から選択して、本発明によるリポソームを含む組成物の粘度を調整することができる。
水溶性ポリマーは、有利には、力学的な皮膚張力効果(skin tension effect)(「張力付与効果(tensioning effect)」)を得るために、皮膚上に薄膜を形成することができる張力付与剤から選択される。
用語「張力付与剤」は、任意選択で少なくとも1種の可塑剤と組み合わせて、所望の力学的効果(皮膚張力)をもたらし、同時に、使用者がよく耐えられる(快適で突っ張りのない)薄膜を皮膚上に形成する、ポリマー又はポリマーのブレンドを意味することを意図する。
【0040】
本発明の特に好ましい一実施形態によれば、組成物は:
具体的には、デンプン又はその誘導体;セルロース誘導体、具体的にはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、メチルセルロース;ペクチン;ガム、具体的にはキサンタンガム、グアーガム;アルギン酸塩、具体的にはアルギン酸アルカリ金属塩、最も具体的にはナトリウム塩若しくはカリウム塩又はそれらを含む抽出物、例えば藻類抽出物;デキストラン、カラギネート(carrageenate)、ヒアルロン酸から構成される群からの水溶性多糖類、
任意選択で架橋されている、アクリル、ビニル若しくはカルボキシビニルのポリマー若しくはコポリマー、又はポリビニルピロリドン、
タンパク質及びタンパク質加水分解物、具体的にはトウモロコシ、ライ麦、小麦、ソバ、ゴマ、エンドウマメ、ソラマメ、レンズマメ、大豆、及びルピナスの抽出物などの、穀物、豆類、又は油が採れる植物の抽出物、
キチンから誘導されるポリマー、具体的にはキトサン及びその誘導体、
から有利に選択される1種又は複数の水溶性ポリマーを含む。
【0041】
本発明の具体的な一変形によれば、本発明による組成物は、任意選択で少なくとも1種の可塑剤と組み合わせた、上で定義した少なくとも1種の水溶性ポリマーを含む親水性張力付与剤を含む。
【0042】
本発明に使用できるこのような親水性張力付与剤の例は、参照により本特許出願に含まれる本出願人の名前のFR2828810に記載されている。
【0043】
任意選択で存在する可塑剤は、所望の機能を果たすことができる全ての化合物から選択することができる。この可塑剤は、水溶性又は非水溶性でもよく、任意選択で水性分散液の形態であってもよい。
【0044】
具体的には、単独で又は混合物として、グリコール及びその誘導体、例えばジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル又はトリプロピレングリコールメチルエーテル;グリセロールエステル;クエン酸、フタル酸、アジピン酸、炭酸、酒石酸、リン酸、セバシン酸などの酸のエステル;オキシエチレン化油、具体的にはオキシエチレン化ヒマシ油などの植物油、及びオキシエチレン化シリコーン油などのオキシエチレン化誘導体;水溶性ポリマー、又は25℃を下回る、好ましくは15℃を下回る、低いガラス転移温度を有する水性分散液中のポリマーなどの通常の可塑剤を挙げることができる。
【0045】
可塑剤の量は、所望の力学的特性を有し、同時に組成物に対する、化粧的に許容される特性を保つポリマー薄膜を得るように、当業者によってその一般知識に基づいて選択される。
【0046】
好ましくは、張力付与剤は、本発明による化粧用組成物を塗付するとすぐに皮膚表面の皺及び小皺を見えなくしていく特性を有する。したがって、本発明の組成物は、より特定すれば、顔及び首への塗布を意図する。
【0047】
特に好ましい一実施形態では、本発明による組成物は、少なくとも1種のアルギン酸アルカリ金属塩及び少なくとも第2の水溶性多糖類、具体的にはカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、及び任意選択でポリビニルピロリドン並びにポリビニルアルコール、及びそれらの混合物から構成される群から選択される親水性のポリマーを含む。
【0048】
水溶性ポリマーの濃度は、両親媒性脂質又は界面活性剤、より特定すればリポソームの二重層を、界面活性剤の影響下でその分解から効果的に保護するように選択され、皮膚に組成物を塗付した後に力学的張力効果をもたらすように、任意選択で調整される。
【0049】
具体的には、水溶性ポリマー(複数可)の総量は、組成物の0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜2重量%である。
【0050】
加えて、本発明による組成物は、例えば、グルコース、ソルビトール、スクロース、ラクチトール及びグリセロールから有利に選択されるC若しくはC12の糖若しくはポリオール、又はそれらのエーテル若しくはエステル、又はそれらの誘導体などの、1種又は複数のその他の水溶性化合物を含むことができる。
【0051】
これらの水溶性分子は、それ自体を組成物中で使用することが可能な植物抽出物から、有利に得られる。
【0052】
本発明による組成物はまた、色素、着色剤、レオロジー調整剤、香料、封鎖剤、電解質、pH調整剤、抗酸化剤、保存剤、及びそれらの混合物、質感付与剤、日光防止剤又は日焼け止めから構成される群から選択される、1種又は複数のその他の化粧的に許容される賦形剤を含むことができる。
【0053】
化粧用組成物は、スキンケア製品又は皮膚のメーキャップ製品とすることができ、例えば、セラム、ローション、エマルション、ヒドロゲル、具体的にはマスク、スティック又はパッチの形態とすることができる。
【0054】
本発明はまた、本発明による化粧剤を調製する方法に関し、前記方法は、まず、上で定義した両親媒性脂質及び式(I)の化合物を含む両親媒性の脂質が濃縮されている水性相の調製と、次いで、任意選択で強く剪断される(sheared)、両親媒性脂質が濃縮されている前記水性相からの、前記リポソームを含む水性分散液の調製を含む。
【0055】
方法は、まず、式(I)の化合物も含む両親媒性脂質が濃縮されている水性相の調製を含む。
両親媒性脂質が濃縮されている前記水性相の調製は、具体的には、両親媒性脂質及び式(I)の化合物を、グリコール又はグリコールの混合物、具体的にはグリセロール及び1,3−ブチレングリコールの混合物に溶解する第1のステップ、次いで、第1のステップで得られた相を水和するのに十分な量で、第1のステップで調製された混合物に水を加え、こうして、両親媒性脂質が濃縮されている前記水性相を得る第2のステップを含むことができる。
両親媒性脂質が濃縮されている水性相は、有利には、50重量%未満の水、好ましくは30重量%未満の水を含む。
これらの各ステップは、有利には、適したホモジナイザーを用いる均質化の期間を含む。
【0056】
続いて、調製されている両親媒性脂質が濃縮されている水性相を希釈し、次いで任意選択で、例えばホモジナイザーを用いて強く剪断し、リポソームの水性分散液を形成することができる。
【0057】
上で開示したように、本発明はまた、具体的には、本発明の別の主題を構成する、組成物の水性相の調製に使用することができるリポソームの安定した分散液に関する。
リポソームの水性分散液は、少なくとも1種の水溶性ポリマー、具体的には水溶性の多糖類を含む水溶液を、両親媒性脂質が濃縮されている水性相に取り込み、得られた混合物を剪断し、前記水性分散液を形成させることによって、有利に安定化される。
【0058】
本発明は、前記化粧剤を含む、化粧用又は皮膚科用組成物を調製する方法を対象とし、その方法は、上で定義した、化粧用又は皮膚科用活性剤を含むリポソームの水性分散液の調製、次いで、前記水性分散液及び少なくとも1種の化粧的に又は皮膚科的に許容される賦形剤を使用する前記化粧用又は皮膚科用組成物の調製を含む。
【0059】
組成物がエマルション、有利には水中油エマルションである特定の場合、本発明による組成物を調製する方法は、少なくとも1種の界面活性剤、好ましくは非イオン界面活性剤で安定化したストックエマルション(stock emulsion)の調製、次いで前記ストックエマルションの、前述の方法に従って有利に調製されるリポソームを含む水性分散液との混合を含む。
【0060】
この調製方法によれば、親水性又は水溶性ポリマーを、リポソームを含む水性分散液を調製するステップ中に、両親媒性脂質が濃縮されている水性相と、区別なく接触させることができ、又はストックエマルションに直接取り込むことができる。
【0061】
前述の方法の有利な変形において、リポソームの水性分散液は、本発明によるエマルションの水性連続相とすることが可能な、アルギン酸の少なくとも1種のアルカリ塩を含む水溶液中で希釈される。
【0062】
添加される化粧用又は皮膚科用活性剤は、水性分散液の水性相中のリポソームの外側にあってよく、又は部分的に若しくは全体的にリポソーム中にカプセル化してもよい。
【0063】
さらなる態様によれば、本発明はまた、上で定義した又は以下で説明する、少なくとも1種の化粧用又は皮膚科用活性剤を含む有効量の化粧剤又は化粧用組成物を、体の気になる領域に局所適用し、所望の化粧効果を得ることを含む、化粧ケア方法を対象とする。
前記ケア方法は、例えば、皮膚の潤い状態を維持若しくは強化する、及び/又は肌の老化の兆候の出現を予防若しくは遅らせる、又はその影響を減速させてこのような化粧効果を得るための、少なくとも1種の化粧用又は皮膚科用活性剤を含む、有効量の化粧剤又は化粧用組成物の塗付を含むことができる。
より特定すれば、この化粧ケア方法において、皮膚老化の兆候の出現を予防若しくは遅らせる、又はその影響を減速させることを意図する、具体的には皮膚を引き締める、及び/又は皺の減少若しくは吸収を促進することを意図する、通常はアンチエイジ又はアンチエイジング効果と呼ばれる化粧ケア、又は、様々なストレスから皮膚を保護することを意図するケア、が実行される。
【0064】
所与の態様に関する本発明の全ての実施形態又は変形実施形態は、本発明の任意のその他の態様にも適用されることは、当業者には明らかである。
【0065】
当業者はまた、こうして定義された本発明が、[発明の目的]で述べた技術的な問題を、工業及び化粧品規模で使用できる、満足のいく、信頼できる安価な方法で解決することを理解する。
【0066】
本発明のその他の目的、特徴及び利点は、単に例示の目的で示され、本発明の範囲を決して制限できない、以下のいくつかの例示的な実施形態、並びにインビトロ及びインビボで実行される試験に関してなされる、以下の説明的記述に照らせばはっきりと明らかになろう。
記述を通して、具体的には実施例において、特に指示がない限りは、割合は重量で示され、温度は周囲温度、即ち22℃プラス又はマイナス3℃であり、圧力は大気圧である。
【実施例】
【0067】
実施例1−本発明による化粧剤を調製するためのリポソームの分散液
リポソームの水性分散液の組成物は、以下の通りである(%は組成物の重量で示す):
相A
エムルメティク(登録商標)300IP 4.2
エムルメティク(登録商標)930 4.2
4−デシルオキサゾリジン−2−オン 16.8
1,3−ブチレングリコール 8.4
植物グリセロール 8.4
相B
精製水 16.8
相C
フェノキシエタノール 0.2
精製水 100にするのに十分な量
エムルメティク(登録商標)300IP及びエムルメティク(登録商標)930は、Lucas Meyer社から販売されている、具体的にはそれぞれのホスファチジルコリン含有量の点で組成が異なる2種類の大豆レシチンである。
解こう用パドルミキサー(Rayneri)を用いて、1000rpmで1時間、相Aを均質化する。
相Bを加え、次いで混合物を上と同じ条件下で20分間均質化し、相Aを水和する。このように、今回の場合は、約28.5重量%の水を含む、両親媒性脂質が濃縮されている水性相を得る。
最後に、前のステップで得られた両親媒性脂質が濃縮されている水性相に相Cを加え、この混合物を、ウルトラチュラックス(Ultra Turrax)(登録商標)を用いて、15000rpmで30分間激しく撹拌し、リポソームの水性分散液を得る。
こうして調製されるリポソームの水性分散液を、実施例2〜4による化粧用組成物の調製に用いる。
【0068】
実施例2−リポソームを含むセラムの形態の本発明による化粧用組成物
濃縮セラムを、以下の配合に従って調製する(%は組成物の重量で示す)。
実施例1によるリポソームの分散液 12
相A
フェノキシエタノール 0.7
ヒアルロン酸ナトリウム <0.1
カルボマー 0.5
EDTA四ナトリウム粉末 0.2
水酸化ナトリウム 0.2
アスコルビン酸 <0.1
グリセロール 3.3
1,3−ブチレングリコール 2.0
メチルグルセス−20 1.8
酢酸α−トコフェロール 0.1
精製水 100にするのに十分な量
相Aの化合物を含む水性相を調製する。
実施例1に従って、リポソームの分散液を調製する。
4−デシルオキサゾリジン−2−オンを最終組成物中で2重量%とするのに十分な量で、リポソームの水性分散液を撹拌しながら相Aに取り込む。
こうして得られるセラムは、水性相中に多重膜リポソームを含む。
【0069】
実施例3−リポソームを含むエマルションの形態の本発明による化粧用組成物
分散した油相が4−デシルオキサゾリジン−2−オンを可溶化する水中油エマルションを調製する(%は組成物の重量で示す)。
実施例1によるリポソームの分散液 12
相A
フェノキシエタノール 0.7
ヒアルロン酸ナトリウム <0.1
カルボマー 0.25
ペミュレン(Pemulen)(登録商標)TR−1 0.25
EDTA四ナトリウム粉末 0.2
水酸化ナトリウム 0.2
アスコルビン酸 <0.1
グリセロール 3.3
1,3−ブチレングリコール 2.0
メチルグルセス−20 1.8
酢酸α−トコフェロール <0.1
精製水 100にするのに十分な量
相B
トリカプリン酸/カプリル酸グリセリル 5.0
ペミュレン(登録商標)TR−1は、LUBRIZOL社から販売されているアクリル酸/C10〜C30メタクリル酸アルキルコポリマーである。
実施例2に従って、相Aを調製する。油(相B)を、相Aに分散する。
【0070】
実施例4−リポソームを含む濃厚なクリームの形態の本発明による化粧用組成物
組成物は、以下の配合を有する(%は組成物の重量で示す):
実施例1によるリポソームの分散液 6.1
相A
ステアレス2 フレーク(ブリッジ(Brij)(登録商標)72 フレーク)
1.3
ステアレス21 フレーク(ブリッジ(登録商標)721P) 2.2
95%セチルアルコール 1.2
ステアリルアルコール 1.2
ステアリン酸 0.4
パルミチン酸 0.4
パルミチン酸セチル 1.3
水添ポリイソブテン 5.3
炭酸ジカプリリル 4.5
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 5.0
ジメチコン 0.2
シクロペンタシロキサン 2.1
保存剤 0.7
相B
グリセロール 3.5
精製水 41
アクリル酸/C10〜C30アクリル酸アルキルクロスポリマー 0.5
相C
EDTA四ナトリウム 0.2
水酸化ナトリウム 0.1
カプリリルグリコール 0.5
精製水 4.8
ソルビトール 0.4
アルギン酸ナトリウム 0.2
カルボキシメチルセルロースナトリウム <0.
ポリビニルアルコール <0.1%
ビタミンE、リン酸ナトリウム 0.2
抗酸化剤 0.2
精製水 100にするのに十分な量
相A及び相Bを別々に85℃に加熱し、2つの均質溶液を得る。
次いで、相Bを、油状の相A中で乳化する。
こうして得られる水中油(O/W)エマルションを、撹拌しながら徐々に冷却し、次いで、具体的にはポリマーを中和するために、相Cの化合物を70℃で加える。
4−デシルオキサゾリジン−2−オンを最終組成物中で1重量%とするのに十分な量で、実施例1で調製したリポソームの分散液をO/Wエマルションに加える。
得られたエマルションは、水性連続相中に多重膜リポソームを含む。このリポソームは、エマルション安定化界面活性剤の作用によって破壊されない。
【0071】
実施例5−リポソームを含む夜用濃縮セラムの形態の本発明による化粧用組成物
濃縮セラムを、以下の配合に従って調製する(%は組成物の重量で示す)。
実施例1によるリポソームの分散液 10
相A
グリセロール 1.8
フェノキシエタノール 0.6
精製水 50
相B
グリセロール 0.3
キサンタンガム 0.3
クエン酸.H2O <0.1
クエン酸三ナトリウム.2H2O 0.5
EDTA粉末 0.2
アスコルビルリン酸マグネシウム 3.3
セピゲル(Sepigel)(登録商標)305(SEPPIC)*
1.5
抗酸化剤、保存剤、香料 適量
精製水 100にするのに十分な量%
*セピゲル(登録商標)305:ポリアクリルアミド、C1314イソパラフィン及びラウレス−7の混合物。
相Aの化合物を含む水溶液を調製し、相Bの化合物を撹拌しながら相Aに加える。
次いで、リポソームの分散液を、撹拌しながら、最終組成物に空気を入れずに加える。
【0072】
実施例6−皮膚透過性の試験
試験の目的:
親水性活性剤が、最も親油性の皮膚バリアである角質層を通過することは難しいので、したがって、活性剤をベクトル化してその浸透を促進することが有利である。
凍結したブタの耳の全皮膚に対してインビトロで実行したこの試験の目的は、具体的にはその親水性によって不均一に分布する活性剤の皮膚の表層内の浸透及び分散を向上させるために、4−デシルオキサゾリジン−2−オンをカプセル化する利点を評価することである。
【0073】
1.原理:
この試験は、閉鎖条件下で、フランツ型拡散セルに固定した、解凍したブタの耳の皮膚を通して、トレーサーであるカフェインの拡散を評価することを目的とする。
カフェインは、皮膚バリアを通過することを相対的に不可能にするその親水性によって、トレーサーとして選択される。
フランツ型拡散セルは、試験に使用される膜を通してつながっている重なった2つのコンパートメントを含む。
膜として使用する皮膚を、これらの2つのコンパートメントの間に、角質層を上に向けて配置する。カフェインを含む試験対象の水溶液又は生薬組成物を、皮膚と接触している上部のコンパートメントに導入する。溶液又は組成物に溶解した決まった量のカフェインは、皮膚で構成される膜を通過し、次いで、下部のコンパートメントの「レシーバー」溶液で収集される。
サンプリングデバイスは、一定の時間間隔でレシーバー溶液の試料を収集する。
HPLCによって試料をアッセイして、皮膚を通過したカフェインの量を求める。データを処理することによって、カフェインフラックス、40時間にわたる浸透速度及び24時間の吸収率も算出することができる。
皮膚のカフェイン浸透を促進する配合物を特定する目的で、この技術によって様々な配合物を評価する。
【0074】
2.試験パラメーター:
試験される製品:
皮膚浸透試験に関して、分散液の8.4重量%の割合でカフェインを相Cに加えること以外は、実施例1に従ってリポソームの分散液を調製する。
本発明による組成物は、実施例2又は3に従って、カフェインが最終組成物の1重量%で最終組成物中に存在するような量のリポソームを含む。
「Lara Spiral」社 フランツ型セル:
露出表面 3.8cm
レシーバー容積 6.5ml
レシーバー溶液:
リン酸緩衝液 10mmol
NaCl 120mmol
KCl 2.7mmol
アジ化ナトリウム 0.1%
界面活性剤:0.5%のツウィーン(Tween)80(登録商標)
皮膚の状態:
刺青も傷もなく、3cm×3cmの大きさにカットされ、フランツ型セルの下部のコンパートメントの表面にピンと張られた、熱湯消毒していないブタの耳の皮膚。
塗付条件:
配合物1g、即ちカフェイン10mgの各外植片の無作為沈着
複製の数:
カフェインを含む配合物に対してフランツ型セル4つ
カフェインを含まない対照配合物に対してフランツ型セル1つ
温度及び撹拌:
恒温槽の平均温度 34.2℃
平均撹拌 210rpm
ギルソン(Gilson)(登録商標)サンプリングデバイス
232XLサンプルインジェクター+対照ボックス+401Cダイリューター+ギルソン(登録商標)サンプリングニードル。
カフェインをアッセイするための標準範囲
水/エタノール混合物(50/50)中に0.1〜500ppmで溶解したカフェイン
【0075】
3.結果の提示:
収集したカフェインの量を、μg/mlで表す。
試験した各コンパートメントに対して、吸収されたカフェインの割合を、塗付した量及び収集した量に基づいて算出する。
吸収されたカフェインの割合を、下部のコンパートメント及び拡散した皮膚において、時間に応じて求める。
【0076】
4.手順:
試験の40の最後に、上部のコンパートメントの組成物の吸収されない過剰分を回収し、皮膚の表面をレシーバー溶液で洗浄する。回収した配合物の過剰分、洗浄液及びセルの上部を撹拌しながらエタノール/水(50/50)に1時間浸漬し、溶媒中の活性成分を可溶化する。
溶液をエタノール/水(50/50)で1/10に希釈し、次いでアッセイの前に0.45μmを通して濾過する。
メスで分けておいた表皮及び真皮を、エタノール/水(50/50)溶液に24時間別々に浸漬し、次いで半日撹拌し、活性成分を抽出する。
表皮及び真皮の懸濁液を2時間撹拌し、HPLCによるアッセイの前に0.45μmを通して濾過する。
【0077】
5.結果:
1)カフェイン溶解限度
皮膚浸透を過小評価するいかなるリスクも避けるために、レシーバーコンパートメントの液体中のカフェインの濃度が限界溶解濃度(16mg/ml)の10%、即ち1.6mg/mlを超えないように、作業条件を固定する。
2)結果
2.1)試験1
試験される組成物はセラムである。
実施例2に従って調製した、リポソームを含むセラム(C1)を、ここで1重量%のカフェインの水溶液からなる対照(A1)、及びリポソームを含まないが、水性相中に分散した4−デシルオキサゾリジン−2−オンを2%含む同様のセラム(B1)と比較する。
結果を以下の表1に報告する(フランツ型セルの上部のコンパートメントに導入したカフェインの初期量に対する%で示す):
【表1】


表1から、リポソーム中に4−デシルオキサゾリジン−2−オンをカプセル化すると、対照配合物A1及びB1に対して測定された量より有意に多量のカフェインが皮膚を通過できるという結果となる。
2.2)試験2
試験される組成物はエマルションである。
油相(相B)は、4−デシルオキサゾリジン−2−オンを可溶化することを目的とする。実施例3に従って調製した、リポソームを含むエマルション(B2)を、4−デシルオキサゾリジン−2−オンが油相中に単に可溶化している、リポソームを含まない同様のエマルション(A2)と比較する。
結果を以下の表2に報告する(フランツ型セルの上部のコンパートメントに導入したカフェインの初期量に対する%で示す):
【表2】


表2から、リポソーム中に4−デシルオキサゾリジン−2−オンをカプセル化すると、4−デシルオキサゾリジン−2−オンが、分散した油相中で可溶化される対照組成物(A2)に対して測定された量より有意に多量のカフェインが皮膚を通過できるという結果となる。
2.4)試験3
4−デシルオキサゾリジン−2−オンの含有量が0(対照)〜2%に変化する、実施例2によるセラムを調製する。
結果を以下の表3に報告する(フランツ型セルの上部のコンパートメントに導入したカフェインの初期量に対する%で示す):
【表3】


同様の対照に対して、4−デシルオキサゾリジン−2−オンの含有量を実質的に減らして、上記の試験を再現する。
結果を以下の表4に報告する(フランツ型セルの上部のコンパートメントに導入したカフェインの初期量に対する%で示す):
【表4】


表3及び4から、4−デシルオキサゾリジン−2−オンをカプセル化すると、40倍変化し得る4−デシルオキサゾリジン−2−オンの濃度でカフェインの皮膚浸透が有意に向上する結果となり、このことは当業者には全く予想もつかない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚透過を促進するための化粧剤であって、両親媒性脂質の二重層から形成される少なくとも1つの壁を有するリポソームの分散液を含有する水性相を含み、前記リポソームの少なくとも一部は、式(I)の、4位で置換されたオキサゾリジン−2−オン化合物を含有し、
【化1】


[式中、置換基Rは、4〜30個の炭素原子を含有する、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和の炭化水素系鎖を表す]
前記化粧剤は、少なくとも1種の化粧用又は皮膚科用活性剤も含み、その少なくとも一部が前記リポソーム中にカプセル化されている、化粧剤。
【請求項2】
前記置換基Rが、4〜24個の炭素原子、有利には4〜18個の炭素原子を含有するアルキル鎖である、請求項1に記載の化粧剤。
【請求項3】
前記置換基Rがデシル基を表す、請求項1に記載の化粧剤。
【請求項4】
前記両親媒性脂質が、イオン性親水性基又は非イオン性親水性基から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧剤。
【請求項5】
前記両親媒性脂質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール又はホスファチジルイノシトールなどのリン脂質;レシチン;ホスホアミノ脂質;スフィンゴミエリン;セレブロシド及び脂肪アルコールのα−又はβ−グルコシドなどの糖脂質;直鎖又は分岐のポリグリセロールエーテル;オキシエチレン化ステアリン酸ポリグリセリルなどの、ポリグリセロール及び直鎖脂肪酸のエステル;並びにポリオキシエチレン化ステロールから選択される、請求項1に記載の化粧剤。
【請求項6】
前記リポソームの壁が、少なくとも1種のレシチン又は少なくとも1種のリゾレシチンによって形成される、請求項1に記載の化粧剤。
【請求項7】
前記壁が、リン脂質の組成が異なる2種の大豆レシチンの混合物によって形成され、その1種は、90重量%を超えるホスファチジルコリンを含むリン脂質の混合物であり、第2の種は、15重量%〜30重量%のホスファチジルコリンを含むリン脂質の混合物である、請求項6に記載の化粧剤。
【請求項8】
前記リポソームが、約150〜200μmの平均直径を有する多重膜リポソームである、請求項1に記載の化粧剤。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の化粧剤、及び少なくとも1種の化粧的に又は皮膚科的に許容される賦形剤を含む、化粧用又は皮膚科用組成物。
【請求項10】
式(I)の4位で置換されたオキサゾリジン−2−オン化合物が、組成物の0.05重量%〜5重量%の濃度で前記組成物に取り込まれている、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記式(I)の4位で置換されたオキサゾリジン−2−オン化合物が、組成物の0.5重量%〜2重量%の濃度で前記組成物に取り込まれている、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
ローション又はセラムから選択される水性組成物である、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項13】
脂質相を含む、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項14】
脂質の不連続相又は分散相を含む、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項15】
前記不連続又は分散脂質相が、トリグリセリドを含む又はトリグリセリドからなる、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
エマルションの形態である、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
水中油エマルションの形態である、請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
前記化粧用又は皮膚科用活性剤が、皮膚の脱色活性又は皮膚の美白活性を有する物質;痩身活性を有する物質;保湿活性を有する物質;沈静、鎮静又はリラックス活性を有する物質;肌色の輝き、具体的には顔の輝きを向上させる、皮膚毛細管刺激活性を有する物質;脂性肌のケアのための皮脂調節活性を有する物質;皮膚を洗浄又は浄化するための物質;並びにフリーラジカル除去活性を有する物質又はアンチエイジング活性を有する物質からなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項19】
水溶性多糖類、
セルロース誘導体、
ペクチン、
ガム、
アルギン酸塩、
デキストラン、
カラギネート、
ヒアルロン酸、
任意選択で架橋されている、アクリル、ビニル若しくはカルボキシビニルのポリマー若しくはコポリマー、
任意選択で架橋されているポリビニルピロリドン、
穀物、豆類及び油が採れる植物の抽出物から選択されるタンパク質又はタンパク質加水分解物、
キチンから誘導されるポリマー
から選択される1種又は複数の水溶性ポリマーを含む、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項20】
前記水溶性多糖類が、デンプン及びその誘導体からなる群から選択され、
前記セルロース誘導体が、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート及びメチルセルロースを含む群から選択され、
前記ガムが、キサンタンガム、及びグアーガムから選択され、
前記アルギン酸塩が、アルギン酸アルカリ金属塩、アルギン酸ナトリウム塩又はアルギン酸カリウム塩、及び前記アルギン酸アルカリ金属塩を含む藻類抽出物から選択され、
穀物、豆類又は油が採れる植物の前記抽出物が、トウモロコシの抽出物、ライ麦の抽出物、小麦の抽出物、ソバの抽出物、ゴマの抽出物、エンドウマメの抽出物、ソラマメの抽出物、レンズマメの抽出物、大豆の抽出物及びルピナスの抽出物から選択され、
キチンから誘導される前記ポリマーが、キトサン又はそのキトサン誘導体である
請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
親水性の張力付与剤を含み、前記親水性の張力付与剤が、任意選択で少なくとも1種の可塑剤と組み合わせた、請求項19に記載の少なくとも1種の水溶性ポリマーを含む、請求項19又は20に記載の組成物。
【請求項22】
少なくとも1種のアルギン酸アルカリ金属、及び少なくとも第2の水溶性多糖類を含む、請求項19又は20に記載の組成物。
【請求項23】
水溶性ポリマーの総量が、組成物の0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜2重量%の範囲である、請求項19又は21に記載の組成物。
【請求項24】
水溶性ポリマーの総量が、組成物の0.1重量%〜2重量%の範囲である、請求項19又は21に記載の組成物。
【請求項25】
又はC12の糖、
植物抽出物から得られるグルコース、ソルビトール、スクロース、ラクチトール、グリセロールから選択されるポリオール、又はそれらのエーテル、エステル
から選択される1種又は複数のその他の水溶性化合物を含む、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項26】
色素、着色剤、レオロジー調整剤、香料、封鎖剤、電解質、pH調整剤、抗酸化剤、保存剤、質感付与剤、日光防止剤又は日焼け止め、及びそれらの任意の混合物から選択される、1種又は複数のその他の化粧的に許容される賦形剤を含む、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項27】
セラム、ローション、エマルション、ヒドロゲル、マスク、スティック及びパッチから選択される形態の、スキンケア製品又は皮膚のメーキャップ製品から選択される、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項28】
まず、式(I)の化合物を含む両親媒性の脂質が濃縮されている水性相の調製と、次いで、任意選択で強く剪断される、両親媒性脂質が濃縮されている前記水性相からの、前記リポソームを含む水性分散液の調製を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化粧剤を調製する方法。
【請求項29】
両親媒性脂質が濃縮されている前記水性相の調製が、両親媒性脂質及び式(I)の化合物を、グリコール又はグリコールの混合物に溶解する第1のステップ、次いで、第1のステップで得られた相を水和するのに十分な量で、第1のステップで調製された混合物に水を加え、こうして、両親媒性脂質が濃縮されている前記水性相を得る第2のステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記グリコール又はグリコールの混合物が、グリセロール及び1,3−ブチレングリコールから選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
両親媒性脂質が濃縮されている前記水性相が、50重量%未満の水を含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項32】
両親媒性脂質が濃縮されている前記水性相が、30重量%未満の水を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
リポソームの水性分散液が、少なくとも1種の親水性又は水溶性ポリマーを含む水溶液を、両親媒性脂質が濃縮されている水性相に取り込み、得られた混合物を剪断し、前記水性分散液を形成させることによって安定化される、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項34】
化粧用又は皮膚科用活性剤を水性分散液に加え、次いで、前記水性分散液及び少なくとも1種の化粧的に又は皮膚科的に許容される賦形剤を使用して前記化粧用又は皮膚科用組成物を調製することを含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項35】
エマルションを調製するステップを含み、前記方法が、以下のステップ
少なくとも1種の界面活性剤で安定化したストックエマルションを調製するステップ、及び
前記ストックエマルションを、請求項1に記載した、又は請求項28の方法によって調製された化粧剤と混合するステップ
を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の化粧剤、又は請求項9〜27のいずれか一項に記載の化粧用組成物の有効量を、体の気になる領域に局所適用し、それによって、所望の化粧ケアを得るステップを含む、化粧ケア方法。
【請求項37】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の化粧剤、又は請求項9〜27のいずれか一項に記載の化粧用組成物の有効量の塗付を含み、前記化粧剤又は組成物が、皮膚の潤い状態を維持若しくは強化する、及び/又は皮膚老化の兆候の出現を予防若しくは遅らせる、又はその影響を減速させてこのような化粧効果を得るための少なくとも1種の化粧用活性剤を含む、請求項36に記載の化粧ケア方法。
【請求項38】
皮膚老化の兆候の出現を予防若しくは遅らせる又はその影響を減速させるため、皮膚を引き締めるため、皺の減少又は吸収を促進するため、様々なストレスから皮膚を保護するために化粧ケアを実行するステップを含む、請求項36又は37に記載の化粧ケア方法。

【公開番号】特開2011−79820(P2011−79820A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−212210(P2010−212210)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(502189579)エルブイエムエイチ レシェルシェ (68)
【Fターム(参考)】