説明

オフセット量確認器具

【課題】回転軸方向に沿った基準平面間の距離を予め定めたオフセット量に合わせることで環状伝達部材の架け渡し位置を調整する一組の回転体について、簡便且つ迅速にオフセット量を確認することが可能なオフセット量確認器具を提供することである。
【解決手段】オフセット量確認器具10は、回転軸方向に沿った変動基準平面33及び固定基準平面34間の距離を予め定めたオフセット量に合わせることでVベルト32の架け渡し位置を調整する一組のプーリ30、31について、当該オフセット量を確認する器具であって、変動基準平面33に接触可能な平面を一端側に有する基軸11と、基軸11の軸方向に対して直交する方向に予め定めたオフセット量だけ延出し、固定基準平面34に接触可能な先端平面14を有するプローブ12と、基軸11に対して、プローブ12をスライド可能に取り付ける支持部13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフセット量確認器具に関し、特に、環状伝達部材が架け渡される一対の回転体であって、環状伝達部材の架け渡し位置を調整する際の規準となる基準平面をそれぞれ含み、回転軸方向に沿った基準平面間の距離を予め定めたオフセット量に合わせることで架け渡し位置を調整する一組の回転体について、当該オフセット量を確認するオフセット量確認器具に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に、J形エスカレータのモータプーリ及び減速機プーリを示す。ここで、モータプーリ30が結合される図示しないモータは、図示しないステップチェーンを駆動させるモータである。当該モータの回転力は、Vベルト32を介して減速機プーリ31(減速機)に伝達され、減速機から駆動チェーンを介してステップチェーンが掛架された上部スプロケットに伝達される仕組みである。
【0003】
モータプーリ30及び減速機プーリ31に架け渡されるVベルト32は、使用に伴いテンションが変化し、また、摩耗等により劣化するので、定期的なテンションの調整や交換が不可欠である。Vベルト32のテンション調整等が行なわれたときには、Vベルト32の架け渡し位置を調整するために、基準平面の回転軸方向に沿った距離を予め定めたオフセット量(A)に合わせることが必要になる。ここで、基準平面とは、Vベルト32の架け渡し位置を調整する際の規準となるモータプーリ30及び減速機プーリ31のそれぞれに設けられた平面である。
【0004】
なお、減速機プーリ31(減速機)が固定されていて動かず、モータプーリ30(モータ)を動かしてテンション調整やオフセット量調調整が行なわれる。以下では、モータプーリ30の基準平面を変動基準平面33、減速機プーリ31の基準平面を固定基準平面34と称する。Vベルト32の架け渡し位置の調整が完了したときには、変動基準平面33及び固定基準平面34は、Vベルト32の架け渡し方向に沿って互いに平行な面となる。
【0005】
上記架け渡し位置の調整は、変動基準平面33及び固定基準平面34が互いに平行となり、且つ各プーリの回転軸方向に沿った変動基準平面33及び固定基準平面34間の距離がオフセット量(A)に合うように、モータプーリ30(モータ)の位置を調整することで行なわれる。このとき、オフセット量(A)の測定(確認)は、変動基準平面33及び固定基準平面34にわたる長さを有する鋼尺50と、図示しない短尺を用いて行なわれる。具体的には、鋼尺50の一端側の側面を変動基準平面33にあてがい、他端側を固定基準平面34の方向に伸ばし、当該他端側において、短尺を鋼尺50に対して直交するように支持し固定基準平面34の両端における距離a、bを測定することにより行なわれる。
【0006】
即ち、短尺を用いて測定される距離a、bがいずれもオフセット量(A)と等しくなるとき、変動基準平面33及び固定基準平面34が互いに平行で、架け渡し位置の調整が完了したことを意味する。なお、モータプーリ30及び減速機プーリ31は、狭い機械室35に設置され、各基準平面33、34の前には機械室35の壁があるから、オフセット量の測定は、図示しないモータ及び減速機の側(紙面の下側)から行なわれる。即ち、オフセット量の測定は、作業が困難な体勢で、一方の手で長い鋼尺50を支持しながらもう一方の手で短尺を持って距離a、bを測定することを余儀なくされており、作業精度の向上や作業負荷の軽減等の観点から改善が望まれている。
【0007】
本発明に関連する技術として、定置台と、該定置台に対して上下に移動可能であり、所定の基準面に合致可能な指標部材と、上端を上下方向へ移動させて被測定点に合わせ、該上端の指標部材に対する高さを読み取るスケールとから構成された測定器具が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11‐132703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に開示された技術によれば、例えば、車両のシャーシの歪み等を簡便に測定することができる。しかしながら、上記特許文献1の技術を含む従来の技術では、回転軸方向に沿った基準平面間の距離を予め定めたオフセット量に合わせることで環状伝達部材の架け渡し位置を調整する一組の回転体について、当該オフセット量を確認することは容易ではなく、当該確認作業の精度の向上や負荷の軽減を実現することは困難である。
【0010】
本発明の目的は、回転軸方向に沿った基準平面間の距離を予め定めたオフセット量に合わせることで環状伝達部材の架け渡し位置を調整する一組の回転体について、簡便且つ迅速にオフセット量を確認することが可能なオフセット量確認器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るオフセット量確認器具は、環状伝達部材が架け渡される一対の回転体であって、環状伝達部材の架け渡し位置を調整する際の規準となる基準平面をそれぞれ含み、回転軸方向に沿った基準平面間の距離を予め定めたオフセット量に合わせることで架け渡し位置を調整する一組の回転体について、当該オフセット量を確認するオフセット量確認器具であって、基準平面間にわたる長さを有し、オフセット量確認時に第1回転体の基準平面に接触する平面を一端側に有する基軸と、基軸の他端側から基軸の軸方向に対して直交する方向に予め定めたオフセット量だけ延出し、オフセット量確認時に第2回転体の基準平面に接触する先端平面を有するプローブと、を備えることを特徴とする。
【0012】
即ち、本発明に係るオフセット量確認器具は、基軸とプローブとが一体成形されてブローブの延出長さが予め定めたオフセット量に固定される器具とすることができる。回転体の回転軸方向に沿った基準平面間の距離が予め定めたオフセット量に調整されたときには、第1回転体の基準平面に基軸の一端側の平面(例えば、側面)が隙間なく接触すると共に、第2回転体の基準平面にプローブの先端平面が隙間なく接触する。なお、オフセット量とは、回転軸方向に沿った第1回転体の基準平面及び第2回転体の基準平面間の距離であって、環状伝達部材の架け渡し位置を調整するために予め定めされた距離である。
【0013】
上記構成によれば、基軸の一端側の平面を第1回転体の基準平面に接触させ、基軸と一体化したプローブの先端平面を第2回転体の基準平面に接触させるだけで、オフセット量を確認することができる。故に、オフセット量の確認作業において、両手で基軸を支持して器具を安定化させることができるので、オフセット量の確認精度が向上すると共に、簡便且つ迅速な確認作業が可能になる。
【0014】
また、基軸は、その軸方向及び軸方向に対して直交する方向にプローブをスライド可能に支持する支持部を有することが好ましい。さらに、プローブには、その延出長さ、即ち、回転軸方向に沿った基準平面間の距離を測定(定量)するための目盛りが形成されていることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、オフセット量が異なる回転体の複数の組についても適用することができる。また、プローブに目盛りが形成された構成によれば、調整途中のオフセット量(回転軸方向に沿った基準平面間の距離)を測定(定量)することが可能になる。
【0016】
また、基軸の軸方向に沿って配置され、オフセット量確認時にそれぞれの先端平面が第2回転体の基準平面に接触する2つのプローブと、2つのプローブをそれぞれ支持する2つの支持部と、を備えることが好ましい。なお、各プローブには、その延出長さを測定するための目盛りが形成されていることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、第2回転体の基準平面の両端におけるオフセット量(回転軸方向に沿った基準平面間の距離)をそれぞれ測定することができる。即ち、各基準平面が平行ではない場合には、第2回転体の基準平面の両端における基準平面間の距離が異なるので、第2回転体の基準平面に対する第1回転体の基準平面の傾きを測定することができる。
【0018】
また、プローブの先端平面には、第2回転体の基準平面に吸着する磁石を設けることができる。この構成によれば、オフセット量の確認作業において、器具をより安定に支持すること可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るオフセット量確認器具によれば、回転軸方向に沿った基準平面間の距離を予め定めたオフセット量に合わせることで環状伝達部材の架け渡し位置を調整する一組の回転体について、簡便且つ迅速にオフセット量を確認することが可能になり、当該確認作業の精度の向上や負荷の軽減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】J形エスカレータのモータプーリ及び減速機プーリを示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態におけるオフセット量確認器具を示す正面図である。
【図3】図2に示すオフセット量確認器具の側面図である。
【図4】本発明に係る実施の形態におけるオフセット量確認器具の支持部を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る実施の形態におけるオフセット量確認器具を用いて、J形エスカレータのモータプーリ及び減速機プーリ間のオフセット量を確認する様子を示す図である。
【図6】本発明に係る実施の形態におけるオフセット量確認器具の変形例を示す図である(一部省略)。
【図7】本発明に係る実施の形態におけるオフセット量確認器具の別の変形例を示す図である(一部省略)。
【図8】図7のA‐A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を用いて、本発明に係るオフセット量確認器具10の実施形態につき、以下詳細に説明する。なお、以下では、オフセット量確認器具10は、図1に示すJ形エスカレータのモータプーリ30及び減速機プーリ31間のオフセット量を確認(測定)するものとして説明するが、用途はこれに限定されない。例えば、本発明に係るオフセット量確認器具は、一組の歯車間のオフセット量を確認(測定)する器具とすることもできる。
【0022】
また、以下では、モータプーリ30の変動基準平面33が、減速機プーリ31の固定基準平面34よりも回転軸方向に沿って前方(機械室35の壁側)にずれたものとして説明するが、オフセット量確認器具10は、固定基準平面34の方が前方にずれた場合であっても使用することができる。その場合、プローブ12は、変動基準平面33にあてがわれて使用される。
【0023】
まず初めに、図2〜図4を用いて、オフセット量確認器具10の構成について説明する。なお、図2に、オフセット量確認器具10の正面図を、図3に、オフセット量確認器具10の側面図を、図4に、支持部13の斜視図を、それぞれ示す。
【0024】
図2及び図3に示すように、オフセット量確認器具10は、基軸11と、プローブ12と、支持部13とを備える。具体的に、オフセット量確認器具10は、基軸11に、2つの支持部13がスライド可能に取り付けられ、その2つの支持部13がそれぞれ1つのプローブ12をスライド可能に支持する構成である。なお、オフセット量確認器具10は、調整途中のオフセット量を測定可能な測定器具である。
【0025】
基軸11は、オフセット量を測定する際の基準となる部材である。基軸11は、オフセット量の測定時において、一端側の側面(図3において、紙面に平行である面)が変動基準平面33に隙間なく接触した状態(あてがった状態)で、他端を固定基準平面34の方向に伸ばして使用される。このとき、基軸11は、固定基準平面34から回転軸方向に所定距離だけ離れた位置に変動基準平面33を延長した面(以下、延長面とする)を作り出す。ここで、延長面は、変動基準平面33に接触している側面である。
【0026】
故に、基軸11は、変動基準平面33から固定基準平面34にわたる長さを有する。具体的に、基軸11は、オフセット量をなくして変動基準平面33及び固定基準平面34を同一の仮想平面上に配置した場合に、両基準平面33、34の端から端まで基軸11の平面をあてがうことが可能な長さであることが好ましい。
【0027】
また、基軸11は、細長い板状体であって、板状体の各面は、矩形形状を有する平坦平面である。上記のように、基軸11は、オフセット量の測定時において、側面が変動基準平面33にあてがわれるものとすることができ、当該側面は、平坦平面であるから変動基準平面33に隙間なく接触させる(あてがう)ことが可能である。
【0028】
プローブ12は、基軸11を基準としてオフセット量を測定するための部材である。プローブ12は、基軸11の軸方向に対して直交する方向に延出した形状を有しており、延出した先端に平坦な先端平面14を有する。ここで、基軸11の軸方向とは、基軸11の長手方向を意味する。オフセット量測定時には、この先端平面14を固定基準平面34に接触させた状態でプローブ12の延出長さを測定する。なお、変動基準平面33には、基軸11の側面があてがわれるので、先端平面14は、当該側面と平行で同一方向を向くように、プローブ12の延出方向が設計される。
【0029】
プローブ12には、延出長さを測定するための図示しない目盛りが形成されている。目盛りは、例えば、プローブ12の表面(図2において、紙面に平行な面)に形成することができる。ここで、延出長さとは、基軸11の上記延長面から固定基準平面34までの長さ、即ち、回転軸方向に沿った変動基準平面33及び固定基準平面34間の距離である。
【0030】
なお、プローブ12は、基軸11の軸方向に沿って2つ取り付けられている。2つのプローブ12は、別の支持部13により基軸11に取り付けられており、延出方向及び基軸11の軸方向に沿って独立してスライド可能である。故に、先端平面14の接触位置をそれぞれ固定基準平面34の端に設定して、固定基準平面34の両端における調整途中のオフセット量を測定することができる。
【0031】
支持部13は、基軸11に対して、基軸11の軸方向、及び軸方向に対して直交する方向、即ち、プローブ12の延出方向に沿ってプローブ12をスライド可能に取り付ける部材である。支持部13は、基軸11の軸方向に対してもスライド可能であるから、Vベルト32の架け渡し方向に沿った変動基準平面33及び固定基準平面34間の距離が大きく変化した場合にも対応可能である。
【0032】
図4に示すように、支持部13には、基軸11が挿入される基軸挿入孔15と、プローブ12が挿入されるプローブ挿入孔16とが形成されている。基軸挿入孔15及びプローブ挿入孔16は、基軸11に対してプローブ12を直交するように連結させるため、直交する側面に開口が形成されて層状に形成されている。
【0033】
また、支持部13は、オフセット量の測定時において、容易にプローブ12がスライドして位置が変化することを抑制する構成を備えることが好ましい。例えば、基軸挿入孔15及びプローブ挿入孔16は、孔の内壁に基軸11及びプローブ12が強く接触するようなサイズに設計することができる。また、基軸挿入孔15の内壁及び基軸11の表面等に、摩擦抵抗の高い滑り止め部材や互いに係合する突起を設けて、自然にスライドし難い構成とすることができる。
【0034】
上記構成を備えるオフセット量確認器具10の作用、即ち、モータプーリ30及び減速機プーリ31間のオフセット量を測定する方法について、図5を用いて以下詳説する。なお、図5は、オフセット量の調整が完了したときの様子を示している。
【0035】
図5に示すように、オフセット量の調整が完了したときにおいて、オフセット量確認器具10は、基軸11の一端側の側面が変動基準平面33と隙間なく接触し、基軸11の他端側では、2つのプローブ12の先端平面14が固定基準平面34の端にそれぞれ隙間なく接触した状態である。そして、2つのプローブ12の延出長さは同じであって、当該延出長さがオフセット量と等しくなっている。
【0036】
なお、当該オフセット量の調整は、上記のように、モータの位置を動かしてVベルト32のテンション調整や交換が行なわれたときに実施される。即ち、モータの位置を動かすと、各プーリ30、31間におけるVベルト32の架け渡し位置を調整することが必要になるから、オフセット量の調整が必要になる。
【0037】
オフセット量確認器具10によれば、2つのプローブ12が基軸11の軸方向に沿ってスライド可能であるから、各プローブ12の先端平面14が、基軸11の一端側の側面を変動基準平面33にあてがった状態で、Vベルト32の架け渡し方向に沿った固定基準平面34の両端にそれぞれ接触するように配置することができる。また、各プローブ12は、延出方向に沿ってもスライド可能であり、プローブ12の表面には目盛りが形成されていることから、当該固定基準平面34の両端における調整途中のオフセット量を測定することができる。このとき、各基準平面33、34が平行ではない場合には、2つのプローブ12において測定値が異なるので、固定基準平面34に対する変動基準平面33の傾きを把握することができる。
【0038】
作業者は、上記のように、2つのプローブ12を用いて固定基準平面34の両端における調整途中のオフセット量を測定し、測定値が予め定めたオフセット量と一致するように(又は所定の範囲内となるように)、モータを動かしてVベルト32の架け渡し位置を調整することができる。なお、オフセット量確認器具10によれば、基軸11とプローブ12とが支持部13により連結されているので、両手で基軸11を支持して器具を安定化させることができ、オフセット量の測定精度が向上すると共に、簡便且つ迅速な測定作業が可能になる。
【0039】
図6及び図7を用いて、オフセット量確認器具10の変形例について以下説明する。なお、図6及び図7は、基軸11の他端側のみを示し、プローブ12が減速機プーリ31の固定基準平面34にあてがわれた様子を示している。
【0040】
図6に示すように、オフセット量確認器具10は、プローブ12が基軸11と一体成形され、支持部13を有さない構成とすることができる。基軸11には、軸方向に沿って所定長さ離間した2つのプローブが形成されている。ここで、所定長さは、先端平面14が固定基準平面34の両端にそれぞれ接触可能な長さに設定することが好ましい。このプローブ12は、基軸11の軸方向に対して直交する方向に予め定めたオフセット量だけ延出しており、その延出長さは固定である。故に、図6に示すオフセット量確認器具10によれば、調整途中のオフセット量を測定することはできないが、オフセット量の調整が完了したときに最終的な確認を行なうことができる。
【0041】
また、オフセット量確認器具10は、例えば、プローブ12の先端平面14に、磁石17を取り付けることができる。磁石17は、金属製の固定基準平面34に吸着する機能を有し、オフセット量確認器具10は、磁石17の吸着力によって、器具の安定性を向上させることができる。図7に示すオフセット量確認器具10によれば、例えば、先端平面14をVベルト32の架け渡し方向に沿った固定基準平面34の両端にそれぞれ取り付けて、基軸11の一端をモータプーリ30の方向に向けた状態で、基軸11を支持することなく、基軸11の側面に変動基準平面33が接触するようにモータを動かすといった作業も可能になる。なお、器具の安定性を向上させるために、先端平面14の面積を広げた形状とすることもできる。
【0042】
また、図7に示すように、オフセット量確認器具10は、1つのプローブ12を有する構成とすることができる。プローブ12は、基軸11の他端に支持部13を介して取り付けられている。支持部13は、プローブ12をその延出方向に対してスライド可能に支持し、基軸11の軸方向には、動かない構造とすることができる。プローブ12は、固定基準平面34の両端に接触可能なように、幅広の形状を有している。また、オフセット量確認器具10は、支持部13にストッパー18を設けて、オフセット量の測定時におけるプローブ12のスライドを防止することができる。
【0043】
ストッパー18の構造について、図8を用いて説明する。なお、図8は、図7のA‐A線断面図である。図8に示すように、支持部13の表面の中央部には、開口が形成されており、裏面の一端側にプローブ12の表面に接触するストッパーゴム19が、裏面の他端側に押しバネ20が、それぞれ設けられたストッパー18が取り付けられている。ストッパー18は、押しバネ20により他端側を表面方向に付勢することで、支持軸を挟んだ一端側が裏面方向に付勢される構造であり、一端側のストッパーゴム19と支持部13の内壁に設置された支持ゴム21とにプローブ12が挟持されて、そのスライドを防止している。なお、矢印で示すストッパー18の他端を押すことにより、ストッパーゴム19がプローブ12から離れて、プローブ12をスライドさせることができる。
【符号の説明】
【0044】
10 オフセット量確認器具、11 基軸、12 プローブ、13 支持部、14 先端平面、15 基軸挿入孔、16 プローブ挿入孔、17 磁石、18 ストッパー、19 ストッパーゴム、20 押しバネ、21 支持ゴム、30 モータプーリ、31 減速機プーリ、32 Vベルト、33 変動基準平面、34 固定基準平面、35 機械室、50 鋼尺。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状伝達部材が架け渡される一対の回転体であって、環状伝達部材の架け渡し位置を調整する際の規準となる基準平面をそれぞれ含み、回転軸方向に沿った基準平面間の距離を予め定めたオフセット量に合わせることで架け渡し位置を調整する一組の回転体について、当該オフセット量を確認するオフセット量確認器具であって、
基準平面間にわたる長さを有し、オフセット量確認時に第1回転体の基準平面に接触する平面を一端側に有する基軸と、
基軸の他端側から基軸の軸方向に対して直交する方向に予め定めたオフセット量だけ延出し、オフセット量確認時に第2回転体の基準平面に接触する先端平面を有するプローブと、
を備えることを特徴とするオフセット量確認器具。
【請求項2】
請求項1に記載のオフセット量確認器具において、
基軸は、その軸方向及び軸方向に対して直交する方向にプローブをスライド可能に支持する支持部を有することを特徴とするオフセット量確認器具。
【請求項3】
請求項2に記載のオフセット量確認器具において、
プローブには、その延出長さを測定するための目盛りが形成されていることを特徴とするオフセット量確認器具。
【請求項4】
請求項3に記載のオフセット量確認器具において、
基軸の軸方向に沿って配置され、オフセット量確認時にそれぞれの先端平面が第2回転体の基準平面に接触する2つのプローブと、
2つのプローブをそれぞれ支持する2つの支持部と、
を備えることを特徴とするオフセット量確認器具。
【請求項5】
請求項1に記載のオフセット量確認器具において、
プローブの先端平面には、第2回転体の基準平面に吸着する磁石が設けられることを特徴とするオフセット量確認器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−117810(P2011−117810A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274813(P2009−274813)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】