説明

オルガノポリシロキサンの水性分散液の製造方法

【課題】従来の欠点が回避されたオルガノポリシロキサンの水性分散液並びにオルガノポリシロキサンの水性分散液の簡単な製造方法を提供する。
【解決手段】オルガノポリシロキサンの水性分散液を、(a)オルガノポリシロキサン(1)とシラン(2)とを水(3)及び乳化剤(4)の存在下で反応させ、水性シリカ分散液(5)を、場合により式(II)のシラン(2)との混合物で、反応(a)に際して又は反応(a)後に添加し、(c)場合により付着媒介剤(6)を反応(a)に際して又は反応(a)後に添加し、(d)場合により反応(a)に関与しない更なる物質(7)を反応(a)に際して又は反応(a)後に添加することによるが、金属含有触媒を共用せず、オルガノポリシロキサン(1)とシラン(2)を、オルガノポリシロキサンが水(3)の除去後にトルエンに不溶性の弾性被膜を形成する量で使用して製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属含有触媒を共用しない、オルガノポリシロキサンの水性分散液の製造方法に関する。更に、本発明は、水の除去後にエラストマーを生ずるオルガノポリシロキサンの水性分散液並びに該分散液の封止用材料及び被覆材料としての使用に関する。更に、本発明は、オルガノポリシロキサンの水性分散液から製造された弾性な成形体、特に被膜、シーリング、被覆及び塗膜に関する。
【背景技術】
【0002】
架橋されたシリコーンのエマルジョンは公知である。シリコーンの架橋のためには、(重)金属含有の又は金属不含の触媒並びに架橋剤が必要である。部分的に、反応性及びポットライフを制御するために、早すぎる不所望なゲル化を回避するために抑制剤も使用される。建築用途での封止用材料としての使用可能性のためには、硬化された生成物が更に低い弾性率を有さねばならない。
【0003】
弾性被膜を提供する触媒的に製造された分散液は、例えばUS5,001,187号、US2001/0027233号A1又はUS4,894,412号に記載されている。
【0004】
WO2004/069899号は、シラノール官能性のポリシロキサンを、エマルジョン中で、γ−アミノシラン、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシランと、触媒としてのNaOHの存在下で反応させることを記載している。室温で6〜8時間の反応時間後に、シリコーンポリマーの粘度は4000から6500mPa・sへと高まる。三官能性シランを使用しているにもかかわらず、架橋されたエラストマーは得られない。
【0005】
水系のRTV−1混合物は、同様に、高い反応性や迅速な被膜形成性などを得るために金属含有触媒と混合される。このことは、例えばUS5,861,459号に記載されている。
【0006】
金属不含の水性RTV−1分散液は、EP828794号A及びEP655475号A1に記載されている。該分散液は、以下の出発物質:
(A)縮合性基を有するオルガノポリシロキサン、
(B)架橋剤として作用する、少なくとも3個の架橋反応性基を有する(アミン不含の)有機ケイ素化合物、
(C)触媒作用を有する、塩基性窒素を有する有機ケイ素化合物、特に有利にはそのアルカリ金属シリコネート
を使用して製造することができる。
【0007】
成分(C)は、生成物の非常に高いpH値をもたらし、これは加工に際して困難を引き起こす。
【0008】
EP739947号A2においては、更なる金属触媒不含の水性のRTV−1分散液が記載されている。その際、触媒は、Si−N結合もしくはSi−O−N結合を介してシランに結合されており、かつ加水分解によって遊離される化合物である。更に、前記RTV−1分散液は、揮発性のアミンで安定化されたシリカ分散液を、硬化された生成物の機械的特性の改善のために含有している。その触媒作用を有する化合物及びシリカの安定化のために使用される化合物は臭いが強力であり、その化合物が、分散液の乾燥に際して、すなわち従ってその使用に際して遊離することが欠点である。
【0009】
DE10349082号A1において、主に粒子によって水相中で安定化され、かつ有機乳化剤を含有しない水性ポリマー分散液が記載されている。しかしながら係る乳化剤は、それが封止用材料としての使用可能性のために必要な高い固体含有率の場合に、硬化に際して閉じたポリマー被膜が形成しないという問題があるという欠点を有する。
【0010】
DE102004038148号A1(及び相応するWO2006015740号A1)は、高粘性シリコーン(10000〜50000000mPa・s)を、エマルジョン中で、シラノール末端オルガノポリシロキサンとα−アミノメチルアルコキシシランとを反応させることによって製造することを記載している。しかしながら、トルエンに不溶性の弾性シリコーン被膜は得られない。
【0011】
水性分散液の多くの用途において、触媒、特に金属含有触媒並びに溶剤は、それらの毒性学的な、環境的な又はその他の好ましくない特性に基づき、例えばエマルジョンの貯蔵安定性の妨害に基づき望ましくない。
【特許文献1】US5,001,187号
【特許文献2】US2001/0027233号A1
【特許文献3】US4,894,412号
【特許文献4】WO2004/069899号
【特許文献5】US5,861,459号
【特許文献6】EP828794号A
【特許文献7】EP655475号A1
【特許文献8】EP739947号A2
【特許文献9】DE10349082号A1
【特許文献10】DE102004038148号A1
【特許文献11】WO2006015740号A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、上述の欠点が回避されたオルガノポリシロキサンの水性分散液並びにオルガノポリシロキサンの水性分散液の簡単な製造方法を提供することであった。
【0013】
更に本発明の課題は、架橋されたオルガノポリシロキサンが得られ、かつ水の除去後に弾性被膜、特に透明な被膜が形成するオルガノポリシロキサンの水性分散液を提供することであった。
【0014】
更に、本発明の課題は、封止用材料及び被覆材料として使用することができるオルガノポリシロキサンの水性分散液を提供することであった。
【0015】
更に、本発明の課題は、微分散され、安定であり、かつ有利にはpH中性(約5〜9の範囲のpH)である、架橋されたオルガノポリシロキサンの分散液を提供することであった。
【0016】
更に、本発明の課題は、揮発性有機化合物(VOC)を含まないもしくはほぼ含まない、架橋されたオルガノポリシロキサンの分散液を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題は本発明によって解決される。
【0018】
前記課題は、オルガノポリシロキサンの水性分散液を、
(a)一般式
1O(R2SiO)x1 (I)
[式中、
Rは、1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を意味し、
1は、水素原子又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、有利には水素原子であり、
xは、10〜1100、有利には20〜700、特に有利には30〜500の整数である]で示される、縮合性基を有するオルガノポリシロキサン(1)を、一般式
(R3O)3SiCR22−Y (II)
[式中、
2は、水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する一価のアルキル基を意味し、有利には水素原子を意味し、
3は、基当たりに1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、
Yは、式
【化1】

で示される基であり、その際、
4は、N原子及び/又はO原子を有していてよい、1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を意味し、かつ
5は、N原子及び/又はO原子を有していてよい、3〜12個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を意味する]で示されるシラン(2)もしくはそれらの加水分解物と、
水(3)及び乳化剤(4)の存在下で反応させ、
(b)水性シリカ分散液(5)を、場合により式(II)のシラン(2)との混合物において、反応(a)に際してか又は反応(a)の後に、有利には反応(a)の後に添加し、
(c)場合により付着媒介剤(Haftvermittler)(6)を、反応(a)に際してか又は反応(a)の後に、有利には反応(a)の後に添加し、そして
(d)場合により、反応(a)に関与しない更なる物質(7)を、反応(a)に際してか又は反応(a)の後に、有利には反応(a)の後に添加する
ことによって製造する方法であるが、但し、
金属含有触媒を共用せず、かつオルガノポリシロキサン(1)及びシラン(2)を、オルガノポリシロキサンが水(3)の除去後に、トルエンに不溶性の弾性被膜を形成する量で使用する方法によって解決される。
【0019】
更に、前記課題は、
(a)一般式
1O(R2SiO)x1 (I)
[式中、
Rは、1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を意味し、
1は、水素原子又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、有利には水素原子であり、
xは、10〜1100、有利には20〜700、特に有利には30〜500の整数である]で示される、縮合性基を有するオルガノポリシロキサン(1)を、一般式
(R3O)3SiCR22−Y (II)
[式中、
2は、水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する一価のアルキル基を意味し、有利には水素原子を意味し、
3は、基当たりに1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、
Yは、式
【化2】

で示される基であり、その際、
4は、N原子及び/又はO原子を有していてよい、1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を意味し、かつ
5は、N原子及び/又はO原子を有していてよい、3〜12個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を意味する]で示されるシランもしくはそれらの加水分解物と、
水(3)及び乳化剤(4)の存在下で反応させ、
(b)水性シリカ分散液(5)を、場合により式(II)のシラン(2)との混合物において、反応(a)に際してか又は反応(a)の後に添加し、
(c)場合により付着媒介剤(6)を、反応(a)に際してか又は反応(a)の後に、有利には反応(a)の後に添加し、そして
(d)場合により、反応(a)に関与しない更なる物質(7)を、反応(a)に際してか又は反応(a)の後に、有利には反応(a)の後に添加する
ことによるが、但し、
金属含有触媒を共用せず、かつオルガノポリシロキサン(1)及びシラン(2)を、オルガノポリシロキサンが水(3)の除去後に、トルエンに不溶性の弾性被膜を形成する量で使用することによって得られるオルガノポリシロキサンの水性分散液によって解決される。
【0020】
本発明による方法では、反応(a)を、エマルジョンの製造前に実施してもよく、また、まずオルガノポリシロキサン(1)を乳化させて、それを次いでエマルジョン小滴においてシラン(2)と反応させることによっても実施することができる。
【0021】
本発明による分散液は、既に前架橋されたオルガノポリシロキサンを含有し、その際、水の除去後に、弾性被膜が形成され、該被膜は、高分子の分枝鎖状もしくはデンドリマー様の高分枝鎖状の構造を有する架橋されたオルガノポリシロキサンを含んでいる。この弾性被膜では、粘度測定は不可能である。該弾性被膜の高分子シロキサン網目構造は、一般に、有機溶剤、例えばトルエンに不溶性であるが、状況によってはそこで膨潤性である。しかしながらこのことは、同様に本発明の範囲においては不溶性として表されている。前記のことは、高粘性であってもよいが、粘度測定が可能であり、かつ有機溶剤、例えばトルエンに可溶性である未架橋のオルガノポリシロキサンとは対立関係にある。
【0022】
前記方法により架橋されたオルガノポリシロキサンの分散液を得ることができるのは驚くべきことであった。それというのも、A.Adima他著のEur.J.Org.Chem.2004,2582−2588には、α−アミノメチルトリアルコキシシランは、水の存在下でSiO2と相応のメチル化されたアミンにまで分解されることが記載されているからである。
【0023】
有利には、本発明による分散液は、架橋されたオルガノポリシロキサンの水性懸濁液又は水性エマルジョンである。
【0024】
本発明による分散液は、乾燥に際して、触媒を添加することなく又はpH値を変更することなく、弾性のシリコーン網目構造を形成する。本発明による架橋されたオルガノポリシロキサンの製造に際して、有利には2つの(互いに反応性の)成分:OR1末端基を有するオルガノポリシロキサン(1)と架橋剤(2)だけしか必要とされない。これらの成分は、有利には室温で互いに反応する。この反応を支援するために、金属を含有する付加的な触媒は必要とならない。更に、その反応は、有利には中性範囲で、すなわち約5〜9のpH範囲において進行し、その範囲は当該成分自体によってもたらされる。更に、高い反応性によって、狙い通りに進める化学反応は必要なく、好ましくは加熱も必要ない。
【0025】
本発明による分散液は、高められた温度でも高い貯蔵安定性を有する点と、高い剪断安定性の点で優れている。本発明による方法は、高い固体含有率と充填剤含有率とを有する分散液を得ることができるという利点を有する。不揮発性物質の分散液中での含有率は、分散液の全質量に対して、約30〜99.9質量%、有利には50質量%より大である。
【0026】
本発明による方法では、金属含有触媒は使用されない、すなわち好ましくは周期律表の第VIII副族の遷移金属及びそれらの化合物は使用されず、かつ周期律表の第III、IV及びV主族の金属及びそれらの化合物は使用されず、その際、この定義においては元素のC、Si、N及びPは金属とは見なさない。
【0027】
炭化水素基Rの例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基、及びオクタデシル基、例えばn−オクタデシル基、シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基、アルケニル基、例えばビニル基、5−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、1−プロペニル基、アリル基、3−ブテニル基及び4−ペンテニル基、アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基、アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基、及びアラルキル基、例えばベンジル基、α−及びβ−フェニルエチル基である。
【0028】
基Rとしては、メチル基、エチル基、オクチル基及びフェニル基が好ましく、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
【0029】
アルキル基R1の例は、Rで上述した1〜8個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0030】
1〜4個の炭素原子を有するアルキル基Rの例は、全ての範囲において、アルキル基R2についても適用する。
【0031】
基R3の好ましい例は、メチル基及びエチル基である。
【0032】
アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルカリール基及びアラルキル基のような炭化水素基Rの例は、全ての範囲において、炭化水素基R4について適用する。アルキル基R4の好ましい例は、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基及びオクチル基であり、シクロアルキル基R4の好ましい例は、シクロヘキシル基である。
【0033】
5の好ましい一例は、式−CH2−CH2−O−CH2−CH2−の基である。
【0034】
基Yの好ましい例は、モルホリノ基、ピペラジノ基、ピペリジノ基及びシクロヘキシルアミノ基である。
【0035】
本発明による方法では、オルガノポリシロキサン(1)として、有利には式(I)で示され、その式中、全ての基R1のうち25〜100%、有利には50〜100%が水素原子であるオルガノポリシロキサンが使用される。
【0036】
オルガノポリシロキサン(1)の例は、末端シラノール基を有する商慣習上のポリジメチルシロキサン及び末端アルコキシ基を有するポリジメチルシロキサンである。
【0037】
前記分散液の製造のために、1種のオルガノポリシロキサン(1)を使用することもでき、又は異なる種類のオルガノポリシロキサン(1)を使用することもできる。
【0038】
使用されるオルガノポリシロキサン(1)は、有利には10mPa・s〜1000000mPa・s(25℃)の粘度、好ましくは50mPa・s〜30000mPa・s(25℃)の粘度、特に好ましくは100mPa・s〜10000mPa・s(25℃)の粘度を有する。
【0039】
本発明による分散液の製造方法においては、1種のシラン(2)又は異なる種類のシラン(2)を使用することができる。
【0040】
式(II)のシラン(2)における基−CR22−Yは、式−CH2−Yの基であることが好ましい。
【0041】
式(II)のシラン(2)における基−CR22−Yの例は、アミノメチル−基、メチルアミノメチル−基、ジメチルアミノメチル−基、ジエチルアミノメチル−基、ジブチルアミノメチル−基、シクロヘキシルアミノメチル−基、モルホリノメチル−基、ピペリジノメチル−基、ピペラジノメチル−基、((ジエトキシメチルシリル)メチル)シクロヘキシルアミノメチル−基、((トリエトキシシリル)メチル)シクロヘキシルアミノメチル−基、アニリノメチル−基、3−ジメチルアミノプロピル−アミノメチル−基及びビス(3−ジメチルアミノプロピル)アミノメチル−基である。
【0042】
シラン(II)の例は、ジブチルアミノメチルトリエトキシシラン、ジブチルアミノメチルトリブトキシシラン、シクロヘキシルアミノメチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、アニリノメチルトリエトキシシラン、モルホリノメチルトリエトキシシラン、モルホリノメチルトリメトキシシラン、モルホリノメチルトリイソプロポキシシラン、3−ジメチルアミノプロピル−アミノメチルトリメトキシシラン、エチルカルバモイルメチルトリメトキシシラン、モルホリノメチルトリブトキシシラン、モルホリノメチルトリアルコキシシランであって、アルコキシ基が、C1〜C4−アルコキシ基であり、特にメトキシ基とエトキシ基の混在であるもの、ビス−(ジメチルアミノプロピル)アミノメチル−トリエトキシシラン、ジイソプロピルアミノメチルトリエトキシシラン、ピペラジノメチルトリエトキシシラン、ピペリジノメチルトリエトキシシラン、ビス−(ジエトキシメチルシリルメチル)シクロヘキシルアミン、ビス−(トリエトキシシリルメチル)シクロヘキシルアミン、モルホリノメチルトリ(2−ヒドロキシエトキシ)シランである。
【0043】
その際、式(II)で示され、その式中、基(R3O)−がエトキシ基であるシラン(2)が好ましい。
【0044】
式(II)のシラン(2)は、式
(R3O)2RSiCR22−Y (III)
で示される二官能性シラン又はそれらの加水分解物30質量%までを含有してよい。
【0045】
式(III)のシランは、オルガノポリシロキサン(1)について鎖延長作用を有するが、式(II)のシランと、鎖中で延長されたオルガノポリシロキサン(1)との架橋反応を妨げない。本発明による架橋されたオルガノポリシロキサンが得られる。
【0046】
その際、架橋度は、式(II)のシラン(2)中の−OR3と、式(I)のオルガノポリシロキサン(1)中の−OR1との使用される当量比に依存する。
【0047】
本発明による、オルガノポリシロキサン(1)とシラン(2)とからなる分散液の製造のために、シラン(2)又はそれらの加水分解物は、その際有利には、少なくとも0.6当量の−OR3の量で、好ましくは少なくとも0.7当量の−OR3の量で、特に好ましくは0.6〜2当量の−OR3の量で、特に0.65〜1当量の−OR3の量で、特に好ましくは0.7〜0.99当量の−OR3の量で、それぞれオルガノポリシロキサン(1)中の1当量の−OR1当たりに使用され、その際、(1)中のR1は、好ましくは水素原子である。
【0048】
架橋頻度は、オルガノポリシロキサン(1)の鎖長にも、また互いに反応する、オルガノポリシロキサン(1)のSiOR1基とシラン(2)のSiOR3基との化学量論比にも依存する。高い架橋度は、オルガノポリシロキサン(1)のSiOR1基とシラン(2)のSiOR3基の多くが互いに反応した場合であっても達成される。揮発性又は二次反応による損失は、このために1.0:1.0から逸脱した化学量論比を要求することがある。所望の場合に、化学量論的に過剰なシラン(2)からのSiOR3基を、オルガノポリシロキサン(1)からのSiOR1基に対して使用することができる。驚くべきことに、シラン(2)からのSiOR3基とオルガノポリシロキサン(1)からのSiOR1基との化学量論的過剰の場合にも、例えば0.7:1.0の場合にも弾性被膜が達成できることが確認された。
【0049】
本発明による分散液の製造は、オルガノポリシロキサン(1)を、シラン(2)と、水(3)と、乳化剤(4)と、水性シリカ分散液(5)と、場合により付着媒介剤(6)と、場合により更なる物質(7)と互いに激しく混合することによって行われる。その製造は、断続的にも又は連続的にも行うことができ、それは例えばDE102004023911号AもしくはWO2005100453号に記載されている。
【0050】
オルガノポリシロキサンの分散液もしくはエマルジョンの製造技術は公知である。このように、ロータ・ステータ型撹拌装置、コロイドミル、高圧ホモジナイザ、マイクロ流路、メンブレン、ジェットノズルなどにおける又は超音波による激しい混合及び分散を行うことができる。均質化装置及び均質化方法は、例えばウールマンの工業化学事典(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry),CD−ROM版 2003,Wiley−VCH出版において、見出語"Emulsions"で記載されている。
【0051】
シラン(2)は、特にR3が水素原子又はメチル基もしくはエチル基である場合に、公知の加水分解感受性基を有するにもかかわらず、水の存在下でさえも、驚くべきことに複数のオルガノポリシロキサン(1)との反応によって架橋されたオルガノポリシロキサンが得られる。
【0052】
本発明による分散液の製造のための成分の混合の様式は、様々な順序で実施することができる。しかしながら、成分(1)と、(2)と、(3)と、(4)と、(5)と、場合により(6)と(7)とに依存して、個々の事例ごとに試験することが望ましい有利な順序となりうる。
【0053】
例えば、成分(1)と(2)を互いに予備混合して、それから1種(もしくは複数種)の乳化剤(4)を添加し、そして次いで水(3)と、水性シリカ分散液(5)と、場合により更なる物質(6)及び(7)を混加してよい。また、成分(1)と(2)並びに(3)ないし(7)を、その順序どおりに乳化装置中に配量することも可能である。特定の場合において、例えばシロキサン粘度もしくはシロキサン反応性に基づいて、シラン(2)をオルガノポリシロキサン(1)と混合し、次いで他のオルガノポリシロキサン(1)を混加するか、あるいはその逆を、それらの成分の加工に好ましいレオロジー特性がもたらされるように行うことが好ましいことがある。
【0054】
非常に反応性のシラン(2)の場合に、まず成分(1)を乳化剤(4)及び水(3)を用いて硬相(Steife Phase)に変換し、次いでシラン(2)を、ストレートでもしくは希釈した状態で、不活性物質(7)中に供給し、それから場合により更に水で希釈することが好ましいことがある。
【0055】
更にまた、シラン(2)をオルガノポリシロキサン(1)の完成したエマルジョン中に入れて、こうしてオルガノポリシロキサン(1)の所望の反応及び架橋をエマルジョン中で達成することもできる。更に、シラン(2)を事前に水の添加によって部分的にもしくは完全に加水分解することができる。シラン(2)のVOC不含の加水分解物を得るために、副生成物のアルコールR3OHを、蒸留、メンブレン法又は他の分離法のような好適な公知の措置によって部分的にもしくは完全に除去することができる。
【0056】
本発明による方法の場合に、水(3)は、それぞれ分散液の全ての内容物の全質量に対して、有利には0.1〜70質量%、特に有利には0.1〜25質量%の量で使用される。
【0057】
有利には、分散液の製造方法は、連続的に実施することができる。その際、有利には、分散液の製造に必要なオルガノポリシロキサン(1)を連続的に製造し、そして連続的に乳化装置に転送し、そして乳化前に連続的に、シラン(2)と、乳化剤(4)と、少なくとも一部の水を分散剤(3)として混合し、この混合物を直接的にかつ連続的に第一の高剪断ミキサに供給し、そしてこのミキサ中で粘性の相を形成させるが、その際、圧力と温度はこのミキサに応じて測定され、かつ定性的に高価であり、かつできる限り微細な分散液が生成するように調節される。水性シリカ分散液(5)と、付着媒介剤(6)と、更なる物質(7)は、第一の高剪断ミキサの前もしくはその後に添加することができる。場合により、エマルジョンは、前記の第一の高剪断ミキサの後に水の混加によって更に希釈することができる。
【0058】
本発明による方法の場合に、乳化剤(4)として、オルガノポリシロキサンの従来の水性分散液をも、特にオルガノポリシロキサンの水性エマルジョンをも製造できるあらゆる従来公知の、イオン性及び非イオン性の乳化剤を、また単独でも種々の乳化剤の混合物としても使用することができる。
【0059】
アニオン性乳化剤の例は、以下の1〜4である:
1. アルキル硫酸塩、特に8〜18個の炭素原子の鎖長を有するアルキル硫酸塩、疎水性基中に8〜18個の炭素原子を有し、かつ1〜40個のエチレンオキシド(EO)単位もしくはプロピレンオキシド(PO)単位を有するアルキルエーテル硫酸塩及びアルカリールエーテル硫酸塩。
【0060】
2. スルホン酸塩、特に8〜18個の炭素原子を有するアルキルスルホン酸塩、8〜18個の炭素原子を有するアルキルアリールスルホン酸塩、スルホコハク酸と4〜15個の炭素原子を有する一価アルコール又はアルキルフェノールとのタウリド、エステル及び半エステル;場合により前記アルコール又はアルキルフェノールは、1〜40個のEO単位でエトキシ化されていてもよい。
【0061】
3. アルキル基、アリール基、アルカリール基又はアラルキル基中に8〜20個の炭素原子を有するカルボン酸のアルカリ塩及びアンモニウム塩。
【0062】
4. リン酸部分エステル及びそれらのアルカリ塩及びアンモニウム塩、特に有機基中に8〜20個の炭素原子を有するアルキルリン酸塩及びアルカリールリン酸塩、アルキル基もしくはアルカリール基中に8〜20個の炭素原子を有し、かつ1〜40個のEO単位を有するアルキルエーテルリン酸塩もしくはアルカリールエーテルリン酸塩。
【0063】
非イオン性乳化剤の例は、以下の5〜13である:
5. 5〜50%、有利には8〜20%のビニルアセテート単位をなおも有し、重合度500〜3000を有するポリビニルアルコール。
【0064】
6. アルキルポリグリコールエーテル、有利には3〜40個のEO単位を有し、かつ8〜20個の炭素原子を有するアルキル基を有するアルキルポリグリコールエーテル。
【0065】
7. アルキルアリールポリグリコールエーテル、有利には5〜40個のEO単位を有し、かつ8〜20個の炭素原子をアルキル基及びアリール基中に有するアルキルアリールポリグリコールエーテル。
【0066】
8. エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)−ブロックコポリマー、有利には8〜40個のEO単位もしくはPO単位を有するブロックコポリマー。
【0067】
9. 8〜22個の炭素原子のアルキル基を有するアルキルアミンとエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの付加生成物。
【0068】
10. 6〜24個の炭素原子を有する脂肪酸。
【0069】
11. 一般式R*−O−Zo[式中、R*は、平均して8〜24個の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝鎖状の、飽和又は不飽和のアルキル基を意味し、かつZoは、平均してo=1〜10個のヘキソース単位又はペントース単位又はその混合物を有するオリゴグリコシド基を意味する]で示されるアルキルポリグリコシド。
【0070】
12. 天然物質及びそれらの誘導体、レシチン、ラノリン、サポニン、セルロース、セルロースアルキルエーテル及びカルボキシアルキルセルロースであって、そのアルキル基がそれぞれ4個までの炭素原子を有するもの。
【0071】
13. 特に元素O、N、C、S、P、Siを含む極性基を有する直鎖状のオルガノ(ポリ)シロキサン、特に24個までの炭素原子を有するアルコキシ基及び/又は40個までのEO基及び/又はPO基を有するオルガノ(ポリ)シロキサン。
【0072】
カチオン性乳化剤の例は、以下の14〜16である:
14. 8〜24個の炭素原子を有する第一級、第二級及び第三級の脂肪アミンと酢酸、硫酸、塩酸及びリン酸との塩。
【0073】
15. 第四級のアルキルアンモニウム塩及びアルキルベンゼンアンモニウム塩、特にアルキル基が6〜24個の炭素原子を有するもの、特にハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩及び酢酸塩。
【0074】
16. アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリニウム塩及びアルキルオキサゾリニウム塩、特にアルキル鎖が18個までの炭素原子を有するもの、殊にハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩及び酢酸塩。
【0075】
両性の乳化剤としては、以下の17及び18が特に適している:
17. 長鎖置換されたアミノ酸、例えばN−アルキル−ジ(アミノエチル)グリシン又はN−アルキル−2−アミノプロピオン酸塩。
【0076】
18. ベタイン、例えばC8〜C18−アシル基を有するN−(3−アシルアミドプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウム塩及びアルキル−イミダゾリウム−ベタイン。
【0077】
乳化剤としては、非イオン性乳化剤、特に前記に6において挙げたアルキルポリグリコールエーテルが好ましい。
【0078】
成分(4)は、上述の乳化剤の1種もしくは2種以上の上述の乳化剤の混合物から成ってよく、その成分は、純粋形でも又は1種以上の乳化剤を水もしくは有機溶剤中に溶かした溶液としても使用することができる。
【0079】
本発明による方法の場合に、乳化剤(4)は、オルガノポリシロキサン(1)及びシラン(2)の全質量に対してそれぞれ、有利には0.01〜60質量%、特に有利には0.02〜30質量%の量で使用される。
【0080】
オルガノポリシロキサン(1)又はシラン(2)もしくは生ずる架橋されたオルガノポリシロキサン自体が乳化剤として作用する場合に、別個の乳化剤(4)の添加を省くことができる。
【0081】
本発明による方法で使用される水性シリカ分散液(5)は、有利には、親水性もしくは部分的に疎水化された、火炎加水分解によって製造された二酸化ケイ素(熱分解法で製造されたシリカ)又は水溶液からの沈降によって製造された二酸化ケイ素(沈降シリカ)の分散液であって、好ましくは二酸化ケイ素の炭素含有率0%〜10%とBET表面積50〜500m2/gを特徴とする分散液である。二酸化ケイ素の疎水化のためには、そのために知られる方法を使用することができる。水性シリカ分散液の固体含有率は、有利には15質量%〜80質量%、有利には25質量%〜60質量%である。シリカは、シリカ分散液の添加(b)の直前もしくはその間に、有機アミン、シランもしくはシロキサン、例えばアミノシランもしくはアミノシリコーンを添加して、コンディショニングもしくは疎水化することができる。
【0082】
この場合に本発明によるシラン(2)を添加することが好ましい。
【0083】
本発明によるシラン(2)は、その際、使用されるシリカ分散液(5)の全質量に対して、約0.3〜5.0質量%の量で添加される。
【0084】
特に25〜60質量%のより高い固体含有率を有するシリカ分散液の場合には、本発明によるシラン(2)を添加することが好ましい。この場合に、また高い固体含有率を有するシリカ分散液を使用する場合にも透明なエラストマーが得られる。
【0085】
本発明による方法では、水性シリカ分散液(5)は、それぞれオルガノポリシロキサン(1)及びシラン(2)の全量に対して有利には2〜30質量%、好ましくは5〜20質量%のシリカが分散液中に存在する量で添加される。
【0086】
本発明による方法では、本発明による分散液から得られるエラストマーが、それが施与される基体上に付着するのを強化させるために付着媒介剤(6)を添加することができる。その際、今までの従来技術により既に知られているあらゆる付着媒介剤、例えば官能性シラン、例えば3−アミノ−プロピル官能性の、3−メタクリルオキシ−プロピル官能性の、又は3−グリシドキシ−プロピル官能性のアルコキシシラン並びにメタクリレート及び/又はエポキシを有するコポリマーを使用することができる。
【0087】
付着媒介剤の更なる例は、商慣習上の官能化されたシロキサン、例えばアミンオイル類(Aminoele)、例えば3−(2−アミノエチル)アミノプロピル官能基もしくはアミノプロピル官能基を有するアミンオイル類、エポキシ官能化されたシロキサン、例えばグリシドキシ置換されたポリジメチルシロキサン、又は樹脂、例えばシリコーン樹脂もしくはエポキシ樹脂であり、その際、該シロキサンは、部分的にシラノール基と、またアルコキシ基を有してよく、又は例えばSBRラテックス分散液のようなラテックス分散液である。付着媒介性の添加剤は、そのままで、水溶液として、又は水中のエマルジョンとして添加することができる。
【0088】
本発明による方法では、付着媒介剤(6)は、オルガノポリシロキサン(1)及びシラン(2)の全量に対してそれぞれ、有利には0.1%〜3%の量で、好ましくは0.3%〜1%の量で分散液中で使用することができる。
【0089】
該分散液は、未希釈の架橋されたオルガノポリシロキサンの分散液として製造することができるが、時には、取り扱いの理由から、有機溶剤もしくは低粘性のオリゴマー/ポリマーで希釈することが推奨される。
【0090】
反応(a)に関与せずかつ本発明による方法において添加することができる更なる物質(7)の例は、水に混和可能でない液体、例えばトルエン、工業ベンジン留分並びに250℃〜400℃の沸点範囲を有する芳香族不含の炭化水素混合物又は芳香族含有の炭化水素、例えばドデシルベンゼンもしくはジドデシルベンゼン及び低粘度のオリゴマー/ポリマー、有利にはシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン及びオイルもしくは樹脂の形態の更なるシランもしくはシリコーンである。更に、更なる物質(7)として、水に混和可能な液体、例えばアルコール、グリコール又はシリコーン含有もしくはシリコーン不含のエマルジョンもしくは分散液を添加することができる。
【0091】
反応(a)に関与せずかつ本発明による方法において添加することができる更なる物質(7)の例は、水不溶性の固体、例えば非補強性の充填剤、従って50m2/g未満のBET表面積を有する充填剤、例えば石英、白亜、クリストバライト、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、モンモリロナイト、例えばベントナイト、ゼオライト、例えばモレキュラーシーブ、例えばケイ酸ナトリウムアルミニウム、金属酸化物、例えば酸化アルミニウムもしくは酸化亜鉛もしくはそれらの混合酸化物又は二酸化チタン、金属水酸化物、例えば水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素からの粉末、ガラス粉末、炭素粉末及びプラスチック粉末並びにガラス中空球及びプラスチック中空球である。
【0092】
反応(a)に関与しない更なる物質(7)の例は、繊維、例えばガラス繊維、炭素繊維及びセラミック繊維である。
【0093】
更に、更なる物質(7)として、分散液のために商慣習上の保存剤、例えばイソチアゾリノン、パラベンもしくはホルムアルデヒド又はそれらの水性配合物を添加することができる。
【0094】
分散液の製造のための乳化過程は、有利には120℃未満の温度で、好ましくは5℃〜100℃で、特に好ましくは10℃〜80℃で実施される。温度上昇は、有利には乳化プロセスに必要な機械的剪断エネルギーの投入によって実現される。温度上昇は、化学的プロセスの加速のためには必要ない。更に、本発明による方法は、有利には、周囲雰囲気の圧力で実施できるが、より高いもしくはより低い圧力でも実施することができる。
【0095】
本発明による方法は、触媒を添加することなく、特に金属触媒を添加することなく進行するという利点を有する。オルガノポリシロキサン(1)とシラン(2)との反応は、有利には数分ないし複数時間で完全に進行し、その際、またここではメトキシシランはエトキシシランよりも迅速に反応する。縮合は、酸及び塩基によって加速させることができるが、これは好ましくない。
【0096】
本発明による方法において縮合副生成物として生ずるアルコールは、生成物中に残留してもよく、又は例えば真空下での蒸留、メンブレン法もしくは抽出によって除去してもよい。
【0097】
分散液中での光散乱によって測定される平均粒度は、0.001〜100μm、有利には0.002〜10μmである。
【0098】
pH値は、1から14までで変動でき、有利には3から9までで、特に有利には5から9までで変動できる。
【0099】
本発明による分散液は、更に、貯蔵安定性である。
【0100】
本発明の対象は、本発明による分散液を、封止用材料もしくは被覆材料として用いる使用である。
【0101】
封止用材料としての使用可能性のために、更に、硬化された生成物が、低い弾性率(Modul)を有することが必要であり、100%伸長における応力が0.4MPa未満であることが好ましい。
【0102】
驚くべきことに、本発明による方法により容易な様式で、比較的低分子のポリマーを使用するにもかかわらず、通常は不可能であるが、低い弾性率のエラストマーとなることが判明した。
【0103】
本発明の対象は、更に、本発明による分散液、有利にはエマルジョンから水(3)を除去することによって製造できる成形体である。有利にはその際、水は、本発明による分散液を、1〜200℃の温度で、有利には5〜150℃で、有利には5〜40℃の温度範囲で乾燥させることによって除去される。
【0104】
被膜形成時間は、有利には5分〜40分である。表面が不粘着性になるまでの時間は、有利には30分〜24時間である。
【0105】
該成形体は、弾性な成形体、例えば弾性被膜もしくはシーリングである。本発明による分散液は、水の除去後に、透明なエラストマー、例えば弾性被膜が得られるという利点を有する。
【0106】
本発明による分散液は、通常の様式で、2つの同じもしくは異なる基体間で封止用材料として使用することができる。係る基体の例は、ガラス、アルミニウム、特殊鋼、コンクリート、PVC、PMMA、ポリカーボネートである。
【0107】
被覆材料として使用する場合に、該材料は、主に基体の表面上に残留する。
【0108】
本発明の対象は、弾性被膜の製造方法において、本発明による水性分散液を基体上に施与し、そして水を除去することを特徴とする方法である。
【0109】
分散液を被覆すべき基体上に施与することは、液状物質から被覆を製造するために適しかつ多くの公知の任意な様式で、例えば浸し塗り、刷毛塗り、流し塗り、吹き付け塗布、ローラ塗布、印刷、例えばオフセットグラビア塗工装置を用いた印刷、ナイフ被覆又はブレード被覆又はエアブラシによって行うことができる。
【0110】
被覆すべき基体/繊維上での層厚は、有利には0.01〜10000μm、特に有利には0.1〜100μmである。
【0111】
該分散液を本発明による方法に従って被覆できる基体の例は、合成もしくは天然の石材、例えばコンクリート、割石、大理石、砂岩である。
【実施例】
【0112】
被膜形成性の試験:
被膜形成性の試験のために、乾燥後に約5gの残留物が生ずるエマルジョン量を、7cmの直径を有するアルミニウム製皿に秤量する。50%のエマルジョンでは、その量は、約10gの初期秤量である。該エマルジョンをアルミニウム製皿において均一に、場合により希釈水の添加によって広げる。このサンプルを、室温で約24時間にわたりドラフト中でむき出しで静置する。約1mm厚の被膜が形成され、該被膜を、そのトルエンへの可溶性について試験する。
【0113】
ショアA硬度:
ショアA硬度は、DIN(ドイツ工業規格)53505(2000年8月版)に従って測定した。
【0114】
引張強さ、破断点伸び及び弾性率:
引張強さ、破断点伸び及び弾性率(100%伸長時の応力)をDIN53504(1994年5月発行)により、試験体S2型に対して測定した。これらの値を測定しうるために、生成物を、2mm厚の被膜としてPTFE製下地上に延ばした。23℃及び50%の相対空気湿度での24時間の貯蔵後に、被膜を下地から剥離し、そして空気が全ての側から到達できるように吊し、そうして該被膜は23℃及び50%の相対空気湿度において更に6日間で硬化させることができた。この被膜から、引き続き上述の規格による試験体を打ち抜いた。
【0115】
被膜形成時間:
被膜形成時間の測定のために、ペーストのサンプルを平らに延ばし、23℃及び50%の相対空気湿度において貯蔵した。全体で5分間にわたり、右手の人差し指でその表面に触れることによって、表面のゴム弾性被膜が形成されたかどうかを調べた。
【0116】
不粘着性:
不粘着性になるまでの時間は、被膜形成時間の測定のために用いられた試験体の表面が、乾燥した不粘着性の手触りになるまでの時間である。
【0117】
実施例1:
Ultra−Turrax T 50型乳化装置(Janke&Kunkel/IKA社)において、イソトリデシルデカエトキシレート(水中85%、商品名Lutensol TO 109(BASF社)として購入できる)5gと脱塩水8gから乳化剤混合物を製造し、そこに新たに製造された均質なシロキサンポリマー/シラン混合物100gであって、シロキサン(1)としての末端OH基含有率1100質量ppmを有するポリジメチルシロキサンジオール99.65gと、シラン(2)としてのN−モルホリノメチルトリエトキシシラン(モル質量263.4)0.39gとからなる混合物を供給する。次いで、全体で90.1gの完全脱塩水で少しずつ希釈し、こうして平均粒度309nmを有する乳白色ないし白色のエマルジョンが得られる。該エマルジョンの固体含有率は、50.7%であり、pH値は6.0である。該エマルジョンは、室温で6ヶ月の貯蔵後にも均質かつ安定である。
【0118】
前記エマルジョン0.5gをテトラヒドロフラン8gに注ぎ込むと、直ちに、THFに不溶性の架橋されたオルガノポリシロキサン・エラストマーの沈殿物が生成する。その沈殿物は、24時間以内にも溶解されない。
【0119】
このエマルジョン100g中に、熱分解法で製造されたシリカ(BET表面積150m2/g)の15%水性分散液27gを均質に混和する。そのシリカ分散液は、Wacker Chemie AG社で名称HDK(登録商標)KD150として得られる。その混合物の蒸発によって、24時間(25℃)の乾燥時間後に、ゲル状で弾性の、ガラスもしくはアルミニウムに良好に付着する透明な被膜が得られる。
【0120】
実施例2〜4:
更なるエマルジョンを、実施例1と同様に製造したが、その際、第1表中に示される量を使用する。
【0121】
第1表:
【表1】

【0122】
示される固体含有率、pH値及び粒度は、シリカ分散液の添加前に測定する。
【0123】
固体含有率は、150℃で質量が一定になるまで、Mettler社製のToledo HR 73型の装置を用いて測定する。
【0124】
粒度は、Coulter社製のN4 plusを用いて測定する。
【0125】
該エマルジョン(シリカ分散液を添加していない)から製造された被膜の弾性は、B1からB4へとシラン(2)の量が増大するのに伴って低下する。
【0126】
分散液B3から製造されたエラストマー被膜を切り離して、トルエン中で24時間にわたり漬け置く。切断縁部は、その後にもなおも角張っている。その被膜は膨潤するが、トルエンに不溶性である、すなわち該シロキサンは架橋されている。
【0127】
実施例2〜4からの各エマルジョン100g中に、熱分解法で製造されたシリカ(BET表面積150m2/g)の15%水性分散液27gを均質に混和する。そのシリカ分散液は、Wacker Chemie AG社で名称HDK(登録商標)KD150として得られる。該分散液を室温で乾燥させることによって、シリカ不含のエマルジョンから得られた被膜よりも高い透明性及び強度を有する弾性被膜が得られる。該シリコーン被膜はトルエンに不溶性である。
【0128】
比較試験1a〜1f − EP828794号A及びEP655475号A1
実施例B3の作業を繰り返すが、相違点として、0.60gのモルホリノメチルトリエトキシシラン、つまり本発明によるシラン(2)を、第2表に示される成分に置き換える:
比較試験1a:
EP828794号Aの実施例1によるビニルトリメトキシシラン(VTMO)0.60g。
【0129】
比較試験1b:
ビニルトリメトキシシラン(モル質量148.2)0.34g(0.34gとは、実施例B3と同様にシロキサン(1)の1当量のSiOHに対して、1.1当量のビニルトリメトキシシランのSi−OCH3)。
【0130】
比較試験1c:
EP828794号Aの実施例1によるα,ω−ジメトキシポリ(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルシロキサン)0.60g。
【0131】
比較試験1d:
EP655475号A1の実施例1による樹脂混合物0.60gであって、式[(CH33SiO1/2][SiO2]のオルガノポリシロキサン樹脂16部(平均分子量2000と、樹脂分子に対して2.1質量%の平均エトキシ含有率を有する)と式[(CH32SiO]0.2[(CH3)SiO3/20.8のオルガノポリシロキサン樹脂17部(平均分子量3000と、樹脂分子に対して2.6質量%の平均エトキシ含有率を有する)とからなる樹脂混合物。
【0132】
比較試験1e:
比較試験Vの1dと同様であるが、相違点として、樹脂混合物にKOHを添加して、pH値は11である。
【0133】
比較試験1f:
EP828794号Aの実施例1による、ビニルトリメトキシシラン(VTMO)とα,ω−ジメトキシポリ(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルシロキサン)との1:1混合物0.60g。
【0134】
それらの結果を、第2表にまとめる:
第2表:
【表2】

【0135】
1) ビニルトリメトキシシラン
2) GF95−H=α,ω−ジメトキシポリ(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルシロキサン)
3) EP655475号A1の実施例1からの樹脂混合物(上述の比較試験1dの記載を参照のこと)
全てのエマルジョンは、乾燥によって被膜を形成しない。残留する油状のシリコーンは、トルエンに可溶性である(トルエン中20%の溶液として試験した)、すなわち該シリコーンは架橋されていない。
【0136】
比較試験2:
実施例B3によるシロキサン(1)とシラン(2)の成分、すなわちα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサンとモルホリノメチルトリエトキシシランとを混合した後に粘度増大を測定した。
【0137】
それに対して、モルホリノメチルトリエトキシシランを、第3表に示されるV2a〜V2fにおける成分(比較試験V1a〜V1fと同様)に置き換え、同様に粘度増大を測定した。
【0138】
それらの結果を、第3表にまとめる。
【0139】
粘度は、本発明による成分(1)及び(2)を使用した場合に迅速に増大し、2時間後に二倍となり、5時間後には、エラストマーが形成されたためもはや測定できなかったが、一方で、粘度は、比較試験V2a〜V2fの場合には、非常にゆっくりとしか上昇せず、7日後でさえも架橋されたエラストマー粒子は形成されなかった。
【0140】
第3表:粘度増大の測定
【表3】

【0141】
シロキサン(1)=末端OH基含有率1100質量ppmを有するポリジメチルシロキサンジオール
実施例5:
Ultra−Turrax T 50型乳化装置(Janke&Kunkel/IKA社)において、イソトリデシルデカエトキシレート(Lutensol TO 109、BASF社)2.5gと水8gから乳化剤混合物を製造し、そこに新たに製造された均質なシロキサン/シラン混合物99gであって、シロキサン(1)としての末端OH基含有率1100質量ppmを有するポリジメチルシロキサンジオール98.56gと、シラン(2)としてのN−モルホリノメチルトリエトキシシラン0.44gとからなる混合物を供給する。次いで、全体で8.9gの水で少しずつ希釈し、そうしてペースト様の安定した乳白色ないし白色のエマルジョンが得られる。該エマルジョンの固体含有率は86.3%である。
【0142】
このエマルジョンに、成分(5)として、熱分解法で製造されたシリカ(BET表面積300m2/g)の25%水性分散液32gを均質に混和する。そのシリカ分散液は、Wacker Chemie AG社で名称HDK(登録商標)D3025として得られる。該エマルジョンペーストは、室温で8ヶ月の貯蔵後にも均質かつ安定である。
【0143】
エマルジョンを25℃で蒸発させることによって、25分後にすでに被膜形成が生じ、5時間後にほぼ密な被膜が生じている。24時間(25℃)後に、弾性で、透明な、ガラス、紙もしくはアルミニウム上に付着性の不粘着性の被膜が得られる。該被膜はトルエンに不溶性である。測定値は以下の通りである:(破断点伸び680%、100%伸長時の応力値0.11MPa)。該エマルジョンペーストは、継ぎ目封止用材料として適している。
【0144】
実施例6:
Ultra−Turrax T 50型乳化装置(Janke&Kunkel/IKA社)において、イソトリデシルデカエトキシレート(Lutensol TO 109、BASF社)9.1gと水29.2gから乳化剤混合物を製造し、そこに新たに製造された均質なシロキサン/シラン混合物361.6gであって、シロキサン(1)としてのポリジメチルシロキサンジオール360gと、シラン(2)としてのN−モルホリノメチルトリエトキシシラン1.6gとからなる混合物を供給し、混和する。ペースト様の安定な乳白色ないし白色のエマルジョンが得られる。該エマルジョンの固体含有率は92.1%である。該エマルジョンペーストは、室温で8ヶ月の貯蔵後にも均質かつ安定である。
【0145】
こうして製造された分散液434.0gにおいて、成分(5)として、EP1433749号A1により製造される部分疎水化された、30.6%の固体含有率を有する水性シリカ分散液111.0gと、N−モルホリノメチル−トリエトキシシラン2.85gを均質に混和する。該エマルジョンの固体含有率は、80.2%であり、かつpH値は8.5である。混合物全体から脱気して、カートリッジに充填すると、6ヶ月より長期にわたり貯蔵安定である。
【0146】
2mm厚の被膜をPTFEシート上に塗被する。水を25℃で除去することによって、15分後には被膜形成が生ずる。その被膜は、1時間後に不粘着性である。測定値は以下の通りである:(破断点伸び549%、100%伸長時の弾性率0.22MPa、ショアA硬度13、引張強さ0.89MPa)。該エマルジョンペーストは、継ぎ目封止用材料として適している。
【0147】
シリカ含有のシリコーン被膜は、シリカ不含のエマルジョンから得られる被膜よりも高い透明性及び強度を有する。そのシリコーン被膜は、ガラス、紙もしくはアルミニウム上に付着し、そしてトルエンに不溶性である。
【0148】
実施例7:
実施例1と同様に、以下の成分を使用して分散液を製造する:
イソトリデシルデカエトキシレート(Lutensol TO 109、BASF社)2.5g;
完全脱塩水8g;
シロキサン/シラン混合物100.55gであって、シロキサン(1)(末端OH基含有率740質量ppmを有するポリジメチルシロキサンジオール)97.5gと、シラン(2)としてのN−モルホリノメチルトリエトキシシラン0.55gと、付加的に成分(6)としてのN−(2−アミノエチル)(3−アミノプロピル)メチルジメトキシシラン2.5gと、完全脱塩水90.1gとから新たに製造された混合物。
【0149】
乳白色ないし白色のエマルジョンが得られる。該エマルジョンの固体含有率は、52.7%であり、pH値は8.5である。該エマルジョンは、室温で3ヶ月の貯蔵後にも均質かつ安定である。
【0150】
こうして製造された分散液100gにおいて、成分(5)として、EP1433749号A1により製造される、30.6%の固体含有率を有する部分疎水化された水性シリカ分散液26gと、N−モルホリノメチル−トリエトキシシラン0.73gを均質に混和する。該エマルジョンの固体含有率は、48%であり、pH値は8.5である。混合物全体は、8ヶ月より長期にわたり貯蔵安定性である。
【0151】
室温で乾燥させることによって、弾性で透明なシリカ含有シリコーン被膜が得られ、それはトルエンに不溶性である。
【0152】
該材料は、封止用材料として適しており、以下の特性を示している:(被膜形成時間15分間、不粘着性1時間、ショアA硬度13、引張強さ0.84MPa、破断点伸び550%、100%伸長時での応力(弾性率)0.22MPa)。
【0153】
実施例8:
ラウリル硫酸ナトリウムを水に溶かした10%の溶液0.25gと脱塩水3.3gを、Vortex Genius 3(IKA社)を用いた振動によって発泡させる。振動させつつ、そこに少しずつ、シロキサン(1)としての末端OH基含有率1100質量ppmを有するポリジメチルシロキサンジオール46.5gと、シラン(2)としてのN−モルホリノメチルトリエトキシシラン0.25gとからなる混合物を入れて乳化させる。この混合物を約20g添加した後に、生ずるエマルジョンは濃厚であり、そしてそれを低剪断力の羽根撹拌機で更に、全体のシロキサン/シラン混合物が混加されるまで乳化させる。次いで、更に水を添加することによって、含水率を12質量%にまで調整する。得られたエマルジョン小滴の大きさは、約1〜30μm(光学顕微鏡で測定)の範囲である。次いで、成分(5)として、EP1433749号A1により製造される固体含有率25質量%を有する水性シリカ分散液15gと、N−モルホリノメチルトリエトキシシラン0.14gとを混加する。水を乾燥させた後に、透明で弾性な、トルエンに不溶性の被膜が生ずる。該分散液は、封止剤として適している。
【0154】
比較試験3:
実施例1を適切に繰り返すが、相違点として、実施例1で使用されるシロキサン・ポリマー/シラン混合物の代わりに、ここでは新たに製造された均質なシロキサン・ポリマー/シラン混合物100gであって、末端OH基含有率1100質量ppmを有するポリジメチルシロキサンジオール99.65gとN−(2−アミノエチル)(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン0.59gからなる混合物を供給する。引き続き水で同様に希釈し、そうして平均粒度362nm及びpH7を有する乳白色ないし白色の均質なエマルジョンが得られる。次いで、実施例1におけるようにシリカ分散液を混加する。
【0155】
24時間(25℃)の乾燥時間後に、不透明な油膜は生ずるものの、弾性被膜は得られず、7日の乾燥時間後にもそれは得られない。その油膜は、トルエンに可溶性である。
【0156】
DE102004038148号A1による比較試験4:
Ultra−Turrax型の乳化装置T50(Janke&Kunkel/IKA社)において、イソトリデシルデカエトキシレート(Lutensol TO 109、BASF AG社)9.38gと、ひまし油エトキシレートG1300(Atlas社)3.90gと、水4.55gから硬い乳化剤混合物を製造し、そこに新たに製造された均質なポリマー/シラン混合物125.28gであって、末端OH基含有率765質量ppmを有するポリジメチルシロキサンジオール124.63gと、N−モルホリルメチルメチルジエトキシシラン0.86gとからなる混合物を配量する。次いで、全体で106.65gの水で少しずつ希釈し、こうして平均粒度275nmを有する安定なエマルジョンが得られる。該エマルジョンのシリコーン含有率は50%である。
【0157】
静置時間24時間(25℃)後のエマルジョンの蒸発と、シロキサンポリマーのn−ヘプタンによる再抽出とによって、溶剤の蒸発後に、粘度3400Pa・s(25℃)を有する高粘性のポリシロキサンが得られ、それはトルエンに可溶性であり、従って架橋されていない。前記の高粘性のポリシロキサンを含有する分散液は、本発明によるものではない。
【0158】
比較試験5:
実施例5からのエマルジョンであってシリカ分散液をまだ含まないもの85質量部に、熱分解法で製造された高分散性の粉末形の親水性シリカ(BET表面積:150m2/g)15質量部を混加する。当初はペーストの形態であったエマルジョンから脆い粉末が生じ、その粉末からは4時間(25℃)の乾燥時間後にも、封止用材料として適した、つながった弾性被膜は作製できない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オルガノポリシロキサンの水性分散液の製造方法において、
(a)一般式
1O(R2SiO)x1 (I)
[式中、
Rは、1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を意味し、
1は、水素原子又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、有利には水素原子であり、
xは、10〜1100、有利には20〜700、特に有利には30〜500の整数である]で示される、縮合性基を有するオルガノポリシロキサン(1)を、一般式
(R3O)3SiCR22−Y (II)
[式中、
2は、水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する一価のアルキル基を意味し、有利には水素原子を意味し、
3は、基当たりに1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、
Yは、式
【化1】

で示される基であり、その際、
4は、N原子及び/又はO原子を有していてよい、1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を意味し、かつ
5は、N原子及び/又はO原子を有していてよい、3〜12個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を意味する]で示されるシラン(2)もしくはそれらの加水分解物と、
水(3)及び乳化剤(4)の存在下で反応させ、
(b)水性シリカ分散液(5)を、場合により式(II)のシラン(2)との混合物において、反応(a)に際してか又は反応(a)の後に、有利には反応(a)の後に添加し、
(c)場合により付着媒介剤(6)を、反応(a)に際してか又は反応(a)の後に、有利には反応(a)の後に添加し、そして
(d)場合により、反応(a)に関与しない更なる物質(7)を、反応(a)に際してか又は反応(a)の後に、有利には反応(a)の後に添加する
ことによって行うが、但し、
金属含有触媒を共用せず、かつオルガノポリシロキサン(1)及びシラン(2)を、オルガノポリシロキサンが水(3)の除去後に、トルエンに不溶性の弾性被膜を形成する量で使用する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、シラン(2)を、オルガノポリシロキサン(1)中の1当量の−OR1(式中、R1が水素原子であることが好ましい)に対して0.6〜2当量の−OR3が存在する量で使用することを特徴とする方法。
【請求項3】
オルガノポリシロキサンの水性分散液であって、
(a)一般式
1O(R2SiO)x1 (I)
[式中、
Rは、1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を意味し、
1は、水素原子又は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、有利には水素原子であり、
xは、10〜1100、有利には20〜700、特に有利には30〜500の整数である]で示される、縮合性基を有するオルガノポリシロキサン(1)を、一般式
(R3O)3Si−CR22−Y (II)
[式中、
2は、水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する一価のアルキル基を意味し、有利には水素原子を意味し、
3は、基当たりに1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、
Yは、式
【化2】

で示される基であり、その際、
4は、N原子及び/又はO原子を有していてよい、1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を意味し、かつ
5は、N原子及び/又はO原子を有していてよい、3〜12個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を意味する]で示されるシラン(2)もしくはそれらの加水分解物と、
水(3)及び乳化剤(4)の存在下で反応させ、
(b)水性シリカ分散液(5)を、場合により式(II)のシラン(2)との混合物において、反応(a)に際してか又は反応(a)の後に、有利には反応(a)の後に添加し、
(c)場合により付着媒介剤(6)を、反応(a)に際してか又は反応(a)の後に、有利には反応(a)の後に添加し、そして
(d)場合により、反応(a)に関与しない更なる物質(7)を、反応(a)に際してか又は反応(a)の後に、有利には反応(a)の後に添加する
ことによるが、但し、
金属含有触媒を共用せず、かつオルガノポリシロキサン(1)及びシラン(2)を、オルガノポリシロキサンが水(3)の除去後に、トルエンに不溶性の弾性被膜を形成する量で使用して得られる水性分散液。
【請求項4】
請求項3記載の水性分散液であって、シラン(2)を、オルガノポリシロキサン(1)中の1当量の−OR1(式中、R1が水素原子であることが好ましい)に対して0.6〜2当量の−OR3が存在する量で使用することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3又は4記載の水性分散液を、封止用材料又は被覆材料として用いる使用。
【請求項6】
請求項3もしくは4に記載の水性分散液又は請求項1もしくは2に記載の方法によって製造される水性分散液から水(3)を除去することによって製造される成形体。
【請求項7】
請求項6記載の成形体であって、水性分散液を、5〜150℃の温度で乾燥させることを特徴とする成形体。
【請求項8】
請求項6又は7記載の成形体であって、それが弾性な成形体であることを特徴とする成形体。
【請求項9】
請求項4から6までのいずれか1項記載の成形体であって、それが透明な弾性被膜であることを特徴とする成形体。
【請求項10】
請求項6から8までのいずれか1項記載の成形体であって、それがシーリングであることを特徴とする成形体。
【請求項11】
弾性被膜の製造方法において、請求項3もしくは4に記載の水性分散液又は請求項1もしくは2に記載の方法により製造される水性分散液を基体上に施与し、そして水を除去することを特徴とする方法。

【公開番号】特開2008−121012(P2008−121012A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286271(P2007−286271)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】