説明

オルガノ官能性シロキサンのブロック縮合物、その製造方法およびその使用ならびにその性質

本発明は、(i)一般式I[F][Q (I)のオルガノ官能性シロキサンの少なくとも1種のブロック縮合物および/または(ii)e[F]およびd(c[Q]+b[P])から成る少なくとも1種の混合物であり、かつ適切である場合にはd[QcPb]を含有する組成物に関する。前記組成物またはブロック縮合物は、ブロック単位Fとブロック単位Q、Pおよび/またはQPとの反応によって得ることが可能であり、この場合、これらは以下の方法の一つによる:−c1)ブロック単位Fを、場合によってはアルコールで希釈し、有機または無機酸および使用されたシロキサンSiの1モルに対して0.5〜150molの水を添加し、これにより、使用されたブロック単位の少なくとも部分的な加水分解が生じ、その後にブロック単位Qおよびブロック単位Pを添加し、かつ混合物を反応させるか、あるいは、−c2)ブロック単位Fを、場合によってはアルコールで希釈し、Q、Pおよび/またはブロック単位QPと混合し、その後に、有機または無機酸を添加し、使用されたシロキサンのSi1モルに対して0.5〜150モルの水を使用して、部分加水分解およびブロック縮合をおこなうか、あるいは、−c3)ブロック単位Fを、場合によってはアルコールで希釈し、有機または無機酸および使用されたシロキサンSi1モルに対して0.5〜150モルの水を添加し、その際、少なくとも部分的に加水分解が生じ、ブロック単位QPを添加し、かつ混合物を反応させるか、あるいは、−c4)ブロック単位Q、Pおよび/またはQPを、場合によってはアルコールで希釈し、有機または無機酸および使用されたシロキサンのSi1モルに対して0.5〜1.5モルの水を添加し、かつ少なくとも部分的に加水分解し、その後にブロック単位Fおよびさらには使用されたシロキサンのSi1モルに対して0〜148.5モルの水を添加し、かつ混合物を反応させるか、あるいは、−c5)ブロック単位Fを場合によってはアルコールで希釈し、使用されたシロキサンのSi1モルに対して0.5〜150モルの水および有機または無機酸と混合し、その後にテトラアルコキシシランを添加し、混合物を反応させる。さらに本発明は、前記組成物またはブロック縮合物を製造するための方法およびその使用ならびにこれによって得ることが可能な製品、耐摩耗性easy−clean被覆およびこの型の被覆を備えた製品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロ−オルガノ官能性シロキサン、これらのフルオロ−オルガノシロキサンを含有する組成物、これらの有機珪素化合物の製造方法ならびにその使用に関する。
【0002】
"Easy-clean"は、油、水および汚れをほぼはじく表面特性のために使用される常用の用語である。
【0003】
加水分解可能かつ縮合可能なフルオロオルガノシランをベースとし、かつ油、水および汚れをはじく特性を有するEasy-clean塗料は、以前から知られている(特にDE 834 002, DE 15 18 551, DE 195 44 763)。
【0004】
存在する塗料系において、フルオロ−オルガノ官能性シランをベースとするもの、および個々のシロキサンは、easy-clean特性の点において、最も適している。easy-clean塗料の製造のために記載された材料は、適切な希釈されていない系、溶剤含有系、エマルション、さらには水系(特にWO 92/21729, WO 95/23830)である。
【0005】
水−またはアルコール含有塗料系を製造するための一般的な方法は、出発材料、たとえば加水分解可能なフルオロアルキル−、アミノ−および場合によってアルキルシラン、および溶剤、水および触媒を組合せて、かつ加水分解および縮合をおこなう。ここで可能な方法は、フルオロ−オルガノ官能性ではないシラン、たとえばアミノアルコキシシランを予め加水分解することにより開始し、その際、フルオロシラン成分はその後に添加され、かつ材料上に縮合される(WO 92/21729)。
【0006】
しかしながら、他の可能な方法は、水不溶性シラン成分、すなわちフルオロシランおよび場合によってはアルキルアルコキシシランを予め加水分解し、その後に、材料上に水溶性アミノシランを縮合する(EP 0 738 771 A)。
【0007】
さらに他の可能な方法は、触媒の存在下で、前記オルガノアルコキシシラン成分を加水分解し、かつ共縮合する(EP 0846 717 A, EP 0846 716 A, EP1 101 787 A)。
【0008】
EP 0 960 921 A は、オリゴマーオルガノポリシラン共縮合物の製造方法を開示しており、その際、共縮合物は、少なくとも2種の加水分解可能なオルガノアルコキシシランから製造され、その後に粒子を、オリゴマー化により延伸する。
【0009】
極めて一般的に提案されているもう一つの可能な方法は、ブロック重合または部分ブロック重合であり、その際、得られる系は、エマルション製造のために使用されている(WO 95/23830)。
【0010】
しかしながら、これに関して知られているeasy-clean塗料は、低い耐摩耗性を有する。
【0011】
したがって、本発明の課題は、塗布後に塗膜の良好な結合および耐摩耗性を有するeasy-clean系を提供することに関する。
【0012】
本発明の課題は、請求項に係る発明の特徴により達成される。
【0013】
驚くべきことに、支持体表面への結合における改善、あるいは、フルオロオルガノシロキサンをベースとするeasy-clean塗料の耐摩耗性における改善は、フルオロオルガノ官能性シロキサンを含有するブロック縮合物またはフルオロオルガノシロキサンおよびオルガノシロキサンから成る混合物をベースとするブロック縮合物に基づく活性成分を使用する場合に達成することができ、この場合、これは、少なくとも1種のブロック単位または少なくとも1種のブロック縮合物が、テトラアルコキシシランの部分をベースとする製造方法である。本明細書中において、ブロック単位は、オルガノシロキサンまたは相当するオルガノシロキサンのオリゴマー混合物を意味する。本明細書中において、ブロック縮合物は、異なる官能基を有する少なくとも2種のブロック単位から誘導される縮合生成物である。
【0014】
驚くべきことに、テトラアルコキシシランの部分は、互いのシロキサン単位の結合におけるより大きい制御ばかりでなく、存在する他の任意の添加剤との結合におけるより大きい制御を達成することができ、かつさらには、塗布上での支持体表面に対する良好な結合を達成することができる。したがって、本発明の系をベースとする存在する塗料は、(略記を使用して)easy-clean特性および良好な耐摩耗性のみならず、特に溶剤、アルカリ溶液、酸および種々の清浄化組成物、たとえば家庭用洗剤に対する、良好な化学的耐性を示す。
【0015】
さらに、沸騰水に対する前記塗料の耐性が、本発明の教示により改善することができ、この場合、これらは、特にセラミック塗料に対して有利であることが見いだされた。落書き防止(anti-graffiti)目的のための塗布におけるさらなる長期持続型改善、特にコンクリートにおける改善が、新規塗料系のこれらの特性によって得ることができる。
【0016】
さらに新規塗料系は、良好な適用特性、ならびに、特に塗料内部および支持体表面への良好な架橋性を室温であっても示すものである。
【0017】
さらに、本発明の塗料系は、腐食保護特性のために有利に使用することができる。
【0018】
したがって、本発明は、
(i)一般式I
[F][Q (I)
のオルガノ官能性シロキサンの少なくとも1種のブロッック縮合物、
および/または
(ii)場合によってはe[F]およびd(c[Q]+b[P])から成る混合物であり、かつ適切である場合にはd[Q]、
を含有する組成物を提供し、その際、それぞれの場合において、前記特徴(i)および(ii)は互いに独立して、ブロック単位F、Q、Pおよび/またはQPは、互いに少なくとも1種のSi−O−Si結合による結合を有していてもよく、
e、cおよびdは、同一かまたは異なって、かつそれぞれ1〜10の数であってもよく、好ましくは1〜5であり、かつbは0〜10の数であってもよく、好ましくは0〜5の数であってもよく、かつ特にc≧bであり、
Fは線状、環式、分枝または架橋された共縮合単位であり、すなわち、ブロック単位Fは、式(II)
R[−O−Si(OR)[−O−Si(R)(R1−h(OR)[−O−Si{R(HX)}(CH1−i(OR)[−O−Si(R2−j(OR)(OR) (II)
[式中、Rは、一般式(IIa)
−Y−(CH
のモノ−、オリゴ−またはポリフッ化オルガノアルキルまたはオルガノアリール基であり、その際、Rは1〜13個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のモノ−、オリゴ−またはポリフッ化アルキル基またはモノ−、オリゴ−またはポリフッ化アリール基であり、YはCH、OまたはS基であり、その際、#=0または1であり、
aは、一般式(IIb)
N(CH§[(NH)(CHβ
のアミノアルキル基であり、その際、0≦§≦6、0≦&≦6、$=0であり、§=0である場合にはβ=1、$=1、§>0である場合にはβ=1または2であり、かつ、
Xがクロリド、ホルメートおよびアセテートの群からの酸基であり、その際、g=0または1または2または3であり、
h、lおよびjは、それぞれ互いに独立して0または1であり、
基Rは同一かまたは異なって、かつRは1〜18個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であり、
は1〜8個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であり、
基Rは同一かまたは異なって、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であるか、あるいは、ROは、F、QまたはPまたはQPの群からの少なくとも1種の単位との−O−Si−結合であり、
x、y、zおよびwは同一かまたは異なって、その際、X>0、y>0、z≧0、w≧0および(x+y+z+w)≧2であり、かつ好ましくは、xは1〜10の数であり、yは1〜40、特に2〜10の数であり、zは0〜10の数であり、かつwが0〜10の数である]のフルオロオルガノ−/アミノアルキル−/アルキル−/アルコキシ−またはヒドロキシシロキサンの群からのものであり、
Qは、アルキルシリケート単位、すなわち、一般式III
(RO)SiO(4−n)/2 (III)、
[その際、基Rは同一かまたは異なって、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であるか、あるいは、ROは、F、Q、PまたはQPの群からの少なくとも1種の単位との−O−Si−結合であり、かつn=1または2または3であり、その際、単位Q中のオリゴマー化の平均度合いは、好ましくは3〜20であり、その際、混合物中のオリゴマーの度合いは、一般には1〜50の範囲である]のブロック単位Qであり、
かつ、
Pは線状、環式、分枝または架橋された縮合物単位であるか、あるいは、個々の縮合物単位、すなわち、一般式IV
R−[−O−Si(R2−v(OR)[−O−Si{R(HX)}(CH1−u(OR)(OR) (IV)
[式中、Rは、一般式(IVa)
N(CH§[(NH)(CHβ
のアミノアルキル基であり、その際、0≦§≦6、0≦&≦6、$=0であり、§=0である場合にはβ=1、$=1、§>0である場合にはβ=1または2であり、かつ、
Xがクロリド、ホルメートおよびアセテートの群からの酸基であり、その際、g=0または1または2または3であり、
基Rは同一かまたは異なって、かつRは1〜18個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であり、v=0または1または2であり、かつuは0または1であり、
基Rは同一かまたは異なって、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であるか、あるいは、ROは、F、QまたはPからの少なくとも1種の単位との−O−Si−結合であり、
rおよびsは同一または異なって、かつr≧1、s≧0および(r+s)≧1であり、かつsは、好ましくは0〜30およびrは、好ましくは2〜20である]のブロック単位Pである。
【0019】
本発明の組成物は、一般には、全オルガノシロキサン含量0.001〜99.9質量%を示し、その際、ブロック単位Fの割合は、組成物中のオルガノシロキサンの量に対して、好ましくは0.005〜99質量%、特に好ましくは0.05〜80質量%、さらに好ましくは0.1〜40質量%、特に0.5〜15質量%である。
【0020】
本発明による水および/またはアルコール含有組成物中の前記オルガノシロキサンの量は、有利には0.005〜40質量%、好ましくは0.05〜20質量%、特に好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%、特に1.5〜6質量%である。
【0021】
本発明による組成物は、一般には0.001〜99.9質量%、好ましくは0.01〜40質量%、さらに好ましくは0.05〜20質量%、極めて好ましくは0.1〜15質量%の、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよび前記アルコールの2種からの混合物の群からのアルコール含量を示す。
【0022】
本発明の組成物は、さらに0.001〜99.5質量%、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜70質量%、特に好ましくは20〜60質量%、特に30〜55質量%の水の含量を有していてもよい。
【0023】
さらに本発明による組成物は、組成物に対して0.001〜5質量%、好ましくは0.01〜2質量%、さらに好ましくは0.05〜1質量%、特に好ましくは0.1〜0.6質量%の酸を含有する。式IIおよびVのHX酸は、特に好ましい。
【0024】
したがって、本発明の組成物は、適切には2〜6、好ましくは2.5〜4.5、特に好ましくは3〜4のpHを有する。ここでpHはさらに、緩衝液の添加によって安定化することができる。
【0025】
さらに、本発明による組成物は、0〜10質量%、好ましくは2〜6質量%、特に好ましくは4〜5質量%の湿潤助剤含量を有していてもよい。好ましい湿潤助剤は、ブチルグリコールおよびポリエーテルシロキサン、たとえばポリエーテルトリシロキサン、たとえばTEGOPREN(R)5840またはTego Wet 270(Goldschmidt (Degussa AG))である。
【0026】
本発明による組成物中の他の好ましい成分は0〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは5〜12質量%の無機または有機粒子である。これらのメジアン粒径d50は、有利には5nm〜1μm、特に好ましくは20nm〜0.8μm、極めて好ましくは200nm〜300nmであり、かつここでの組成物のそれぞれの成分は全部で100質量%である。
【0027】
ここで選択された粒子は、好ましくはTeflon(R)、Levasil(R)、Christol(R)、Aerosii(R)の群からのもの、すなわちヒュームドシリカ、沈降シリカ、アルミニウムまたは酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムまたは酸化物水酸化物、チタンまたは酸化チタン、ジルコニウムまたは酸化ジルコニウムから成る群からのものであり、この場合、これらはいくつかの例を挙げるに過ぎない。
【0028】
したがって、たとえば、60質量%のPTEE粒子含量および平均粒径0.2μmを有するDuPont社からの3417N−Nポリテトラフルオロエチレン(PTEE)分散液を使用してもよい。Levasil(R)生成物は他の例を供給し、かつ水中でのコロイダルシリカゾルであり、この場合、これらの固体含量は、たとえば、21質量%、平均粒径15nmを有し、その際、粒子は約200m/gの比表面積を有している。
【0029】
有利には、本発明の組成物は20〜90℃、好ましくは25〜60℃の引火点を有する。たとえば引火点は、DIN51755によって定められてもよい。
【0030】
本発明は、さらに請求項1に記載の一般式(I)
[F][Q (I)
のブロック縮合物を提供する。
【0031】
前記ブロック縮合物は、一般には、良好な水安定性を示す。したがって本発明の組成物は、一般的に有利には水で希釈可能である。しかしながら、使用されてもよい他の希釈剤は、たとえばアルコール、たとえばメタノール、エタノールまたはプロパノール、前記に示す数種の希釈剤である。
【0032】
さらに本発明は、ブロック単位Fと、ブロック単位Q,Pおよび/またはQP、あるいは、オルガノシラン/オルガノシロキサン混合物、この場合、これは、前記加水分解可能なブロック単位の少なくとも1種を含有するものである、との反応により得ることが可能な本発明による組成物またはブロック縮合物を提供し、この場合、これは、
−c1)ブロック単位Fを、場合によってはアルコールで希釈し、有機酸または無機酸および使用されたオルガノシランまたはシロキサンのSi1モルに対して0.5〜150モルの水を添加し、その際、使用されたブロック単位の少なくとも部分的な加水分解が生じ、その後にブロック単位Qおよびブロック単位Pを添加し、かつ混合物を反応させ、ここでSiのモル比は通常、相当するブロック単位のオルガノシランまたはオルガノシロキサン混合物のSiとして算定されるか、あるいは、
−c2)ブロック単位Fを、場合によってはアルコールで希釈し、Q、P、および/またはブロック単位QPと混合し、その後に有機または無機酸を添加し、かつ、使用されたシロキサンのSi1モルに対して0.5〜150モルの水を使用し、部分加水分解およびブロック縮合をおこなうか、あるいは、
−c3)ブロック単位Fを、場合によってはアルコールで希釈し、有機または無機酸および使用されたシロキサンのSi1モルに対して0.5〜150モルの水を添加し、その際、少なくとも部分的に加水分解が生じ、ブロック単位QPを添加し、混合物を反応させるか、あるいは、
−c4)ブロック単位Q、Pおよび/またはQPを、場合によってはアルコールで希釈し、有機または無機酸および使用されたシロキサンのSi1モルに対して0.5〜1.5モルの水を添加し、かつ少なくとも部分的に加水分解し、その後にブロック単位Fおよび使用されたシロキサンのSi1モルに対して0〜148.5モルの水を添加し、かつ混合物を反応させるか、あるいは、
−c5)ブロック単位Fを、場合によってはアルコールで希釈し、使用されたシロキサンのSi1モルに対して0.5〜150モルの水および有機または無機酸と混合させ、その後にテトラアルコキシシロキサンを添加し、かつ混合物を反応させる、ことによる。
【0033】
ここで算定したモルSi比F/Qの商は0.1〜8、好ましくは0.3〜5、特に好ましくは0.5〜3であり、かつ、Q/Pから算定された商は好ましくは0.5〜10、特に好ましくは0.8〜4、特に1〜3であり、かつここでは、ブロック単位F、Q、およびPまたはQPの割合またはSi比は、式Iのe、c、bおよびdによって示される。
【0034】
記載された方法は、さらに、ブロック単位F、Q、PおよびPQを、予め加水分解された形で使用し、これによってその後に酸およびそれぞれ水の添加を省略することができる。
【0035】
ここで本発明による方法は0〜100℃、好ましくは20〜70℃、特に好ましくは25〜65℃の温度で実施する。
【0036】
特に、本発明の製造方法におけるブロック単位の部分加水分解は0〜60℃の温度、好ましくは20〜55℃、特に好ましくは40〜50℃で実施する。
【0037】
本発明によれば、ブロック縮合物は25〜100℃、好ましくは40〜70℃、特に好ましくは50〜65℃で実施する。
【0038】
本発明による方法において、さらに組成物に基づいて0〜10質量%、好ましくは2〜6質量%、特に好ましくは4〜5質量%の少なくとも1種の湿潤助剤を、ブロック単位から成る混合物に、あるいは、ブロック単位の部分加水分解後またはブロック縮合後に添加することが可能である。これは、有利には、特に適用において、活性成分中のフルオロオルガノ官能基の配向(orientation)に影響してもよい。湿潤助剤は、特に好ましくはポリエーテルシロキサンまたはブチルグリコールである。
【0039】
本発明の組成物またはブロック縮合物を得るための他の方法において、無機または有機粒子を、好ましくはブロック単位の混合物に、あるいは、ブロック単位の部分加水分解後に、あるいは、製造工程においてブロック縮合後に添加する。ここで適した方法は、組成物に対して0〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、特に5〜10質量%の前記ナノスケールからミクロスケールの粒子を、一般には、混入工程のための良好かつ激しい混合用いて使用する。
【0040】
本発明による組成物またはブロック縮合物を得るための他の方法は、有利には、ブロック縮合物のSiとして算定された1モルに対して0.001〜10モル、好ましくは0.005〜5モル、さらに好ましくは0.01〜1モル、特に好ましくは0.05〜0.5モルのテトラアルコキシシラン、特にテトラエトキシシランを、ブロック単位Fであるか、あるいは、ブロック単位FおよびP、Qおよび/またはPQから成る混合物に、あるいは、前記ブロック単位の部分加水分解後に、またはブロック縮合後に添加し、引き続いて反応を続ける。
【0041】
本発明による方法において、ブロック縮合反応の生成物は、さらに5分〜5時間、好ましくは15分〜2時間に亘って、撹拌しながら、25〜65℃、好ましくは40〜55℃の温度で反応を継続することが可能であってもよく、かつこれは、一般的に、室温で、2ヶ月またはそれ以上の期間に亘ってさえも、ブロック単位の安定な状態を生じさせることができる。
【0042】
本発明による方法において、ブロック縮合工程または連続的反応後に、たとえば減圧下で、適した20〜40℃の温度での蒸留により、系からいくらかのアルコールを除去することが可能である。しかしながら、アルコールおよび/または水は、さらにブロック縮合反応の反応生成物に添加してもよい。
【0043】
本発明による組成物または本発明によるブロック縮合物を製造するための出発成分は、有利には以下のようにして得ることができる:
ブロック単位Fは、好ましくは、
−a1)一般式(V)
N(CH§[(NH)(CHβ−Si(CH(OR)3−t (V)
[式中、0≦§≦6、0≦&≦6、$=0であり、§=0である場合にはβ=1、$=1、§>0である場合にはβ=1または2であり、t=0または1であり、かつRは1〜4個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基である]の少なくとも1種のアミノアルキルシラン、および一般式(VI)
−Y−(CH−Si(R(OR)3−m (VI)
[式中、Rは、1〜13個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のモノ−、オリゴ−、ポリフッ化アルキル基またはモノ−、オリゴ−またはポリフッ化アリール基であり、YはCH、OまたはS基であり、その際、#=0または1であり、Rは1〜8個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であり、m=0または1であり、かつRは1〜4個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基である]の少なくとも1種のフルオロオルガノシランを、モル比≧0.29:1、特に好ましくは0.3:1〜2:1、さらに好ましくは0.33:1〜0.5:1で混合し、場合によっては有機または無機酸を添加し、好ましくは塩酸、蟻酸または酢酸を添加し、その際、ここで存在するアミノ基の中和の望ましい度合いは、特に100%であり、場合によっては少なくとも1種のアルコール、好ましくはメタノール、エタノールまたはn−プロパノールまたはイソプロパノールで希釈し、かつ使用されたシラン成分のSi1モルに対して0.5〜150モルの水を添加し、少なくとも部分的に加水分解および共縮合をおこなうことによって得られる。場合によっては、過剰量のアルコールをその後に系から除去し、かつpHを<11に調整してもよい。これは、一般にはランダム分布を有する共縮合物の混合物、すなわち、好ましくはFとするブロック単位の一つの型を生じる。
【0044】
他の好ましい方法において、ブロック単位Fは、
−a2)一般式(VI)
R3−Y−(CH−Si(R(OR)3−m (VI)
[式中、Rは、1〜13個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のモノ−、オリゴ−またはポリフッ化アルキル基であるか、あるいは、モノ−、オリゴ−またはポリフッ化アリール基であり、YはCH、OまたはS基であり、その際、#=0または1であり、Rは1〜8個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であり、m=0または1であり、かつRは1〜4個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基である]の少なくとも1種のフルオロオルガノシランを、場合によっては少なくとも1種のアルコール、好ましくはメタノール、エタノールまたはn−プロパノールまたはイソプロパノールを用いて希釈し、使用されたシラン成分のSi1モルに対して0.5〜100モルの水を添加し、かつ有機または無機酸、好ましくは塩酸、蟻酸または酢酸を、特に使用されたシランのSi1モルに対して0.1〜3モルで添加し、少なくとも部分的に加水分解および縮合をおこなうことによって得られる。
【0045】
他の好ましい方法において、ブロック単位Fは、
−a3)一般式(V)
N(CH§[(NH)(CHβ−Si(CH(OR)3−t (V)
[式中、0≦§≦6、0≦&≦6、$=0であり、§=0である場合にはβ=1、$=1、§>0である場合にはβ=1または2であり、t=0または1であり、かつRは1〜4個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基である]の少なくとも1種のアミノアルキルシランおよび一般式(VI)
−Y−(CH−Si(R(OR)3−m (VI)
[式中、Rは1〜13個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のモノ−、オリゴ−またはポリフッ化アルキル基であるか、あるいは、モノ−、オリゴ−またはポリフッ化アリール基であり、YはCH、S、OまたはS基であり、その際、#=0または1であり、Rは1〜8個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であり、m=0または1であり、かつRは炭素原子1〜4個を有する線状、環式または分枝のアルキル基である]の少なくとも1種のフルオロオルガノシランおよび一般式(VII)
(RSi(OR)4−k (VII)
[式中、基Rは同一かまたは異なって、かつRは1〜18個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であり、kは0または1または2であり、かつRは1〜4個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基である]少なくとも1種のアルコキシシランを混合し、その際、≧0.29:1、好ましくは0.3:1〜4:1のモル比で混合し、その際、フルオロオルガノシランとアルコキシシランとのモル比は、好ましくは1:0〜1:5、特に1:0.001〜1:1であり、シラン成分1モルに対して0.12〜1モルの有機または無機酸、好ましくは塩酸、蟻酸または酢酸を、存在するシラン混合物に添加し、場合によっては少なくとも1種のアルコール、好ましくはメタノール、エタノールまたはn−プロパノールまたはイソプロパノールで希釈し、その際、使用されたシラン成分のSiの1モルに対して0.5〜150モルの水を添加し、少なくとも部分的に加水分解および共縮合することによって得られる。
【0046】
他の好ましい実施態様において、ブロック単位Q、Pおよび/またはQPは、
b1)少なくとも1種のテトラアルコキシシランをアルコールで希釈し、かつアルコキシシラン1モルに対して0.5〜30モルの水を添加し、加水分解および共縮合をおこない、それによって、Qとするブロック単位が得られるか、あるいは、
b2)前記式VIIの少なくとも1種のアルキルアルコキシシラン(式中、kは1または2である)を、アルコールを用いて希釈し、かつ、アルコキシシラン1モル当たり0.5〜30モルの水を添加し、加水分解および縮合を実施し、これによってPとするブロック単位を生じるか、あるいは、
b3)ブロック単位QPを製造するために、少なくとも1種のテトラアルコキシシランと一緒に一般式VII(式中、kは1または2である)の少なくとも1種のアルキルアルコキシシランを、0.5:1〜10:1のモル比で使用し、この混合物を、場合によってはアルコールで希釈し、その際、酸および使用されたシラン1モルに対して0.5〜150モルの水を添加し、加水分解および共縮合をおこなうか、あるいは、
−ブロック単位Pの1モルを最初の装填物として使用して、ブロック単位P上にテトラアルコキシシランを縮合し、その際、ブロック単位PのシロキサンのSiとして算定し、アルコールで希釈し、ブロック単位PのSi1モルに対して0.5〜10モルのテトラアルコキシシランを添加し、その際、酸および0.5〜150モルの水を添加し、部分加水分解および縮合を実施するか、あるいは、
−ブロック単位Qの0.5〜10モルを最初の装填物として使用して、ブロック単位Q上に少なくとも1種のアルキルアルコキシシランを縮合させ、その際、ブロック単位QのシロキサンのSiとして算定して、アルコールで希釈し、一般式VIIの少なくとも1種のアルキルアルコキシシラン1モルを添加し、かつ、酸および0.5〜150モルの水を添加し、部分加水分解および縮合をおこなうか、あるいは、
−b2)から成るブロック単位Pおよびb1)から成るQを、それぞれの場合において、そのSi成分に対して混合物中で1:10〜2:1のモル比で、最初の装填物として使用することによって、ブロック単位PおよびQを縮合し、場合によってはアルコールで希釈し、かつ、存在するシロキサン混合物Si1モルに対して0.5〜30モルを添加し、加水分解およびブロック縮合をおこなうことによって得られる。
【0047】
b1)およびb3)による反応は、室温と約60℃との間の温度で適切に実施し、かつb2)による反応は、適切には0〜約60℃で実施し、その際、b2)中の加水分解時間は、一般にはb1)中のものよりも約75%短い。ここで、pHは通常1〜5、好ましくは1.5〜2.5である。
【0048】
式VIの以下のフルオロオルガノシランは、好ましくは、前記ブロック単位の製造のために使用される:FC(CF(CH−Si(OCH、FC(CF(CH−Si(OC、FC(CF(CH−Si−−(OCH、FC(CF(CH−Si(OC、FC(CF(CH−Si(OCH、FC(CF(CH−Si(OCH、FC(CF11(CH−Si(OCH、FC(CF11(CH−Si(OC、HCF(CF)O(CHSi(OCH、HCF(CF)O(CHSi(OCH
【0049】
式Vの使用したアミノアルキルシランは、さらに好ましくは3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、遊離トリアミノアルキル官能基を有するアルコキシシランを含み、この場合、これらは制限のない例として、HN(CHNH(CHNH(CH−Si(OCH、HN(CHNH(CHNH(CH−Si(OC、[HN(CHN(CH−Si(OCH、[HN(CH]N(CH−Si(OC、特にDYNASYLAN(R)TRIAMO、および少なくとも2種のアミノアルキルシランから成る混合物である。
【0050】
好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロピルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソブチル−トリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシラン、前記いくつかのアルコキシシランの群から成る式VIIのアルコキシシランである。
【0051】
本発明による方法において、ブロック単位Fのための他の好ましい出発成分は、EP 1101 787 A, EP 0846 716 A,およびEP 0846 717 A中で教示されており、かつ、これら文献の内容の全範囲は、本発明の開示に含まれるものとする。
【0052】
本発明の方法において使用することができる他のブロック単位Qは、アルキルポリシリケート、すなわち、オリゴマーケイ酸エステル、特にエチルポリシリケート、たとえばDYNASIL(R)40、DYNAS1L(R)MKSまたはDYNASIL(R)GH2である。
【0053】
本発明の開示に含まれるブロック単位PまたはQPは、さらに好ましくは共縮合物を含有し、かつそれぞれ縮合物は、EP 0716 127 A, EP 1205 505 A, EP 0518 056 A, EP 0 814 110 A, EP 1 205 481 A, EP 0 675 128 Aに示されている。
【0054】
したがって本発明は、本発明による組成物または本発明によるブロック縮合物を製造するための方法を提供し、この場合、この方法は、ブロック単位Fをブロック単位Q、Pおよび/またはQPと反応させるか、あるいは、前記加水分解可能なブロック単位の少なくとも1種を含有するオルガノシラン/オルガノシロキサンを反応させることを含み、この場合、これらは、
−c1)ブロック単位Fを、場合によってはアルコールで希釈し、有機または無機酸および使用されたシロキサンSiの1モルに対して0.5〜150モルの水を添加し、これにより、使用されたブロック単位の少なくとも部分的な加水分解が生じ、その後にブロック単位Qおよびブロック単位Pを添加し、かつ混合物を反応させるか、あるいは、
−c2)ブロック単位Fを、場合によってはアルコールを用いて希釈し、Q、Pおよび/またはブロック単位QPと混合し、その後に、有機または無機酸を添加し、使用されたシロキサンのSi1モルに対して0.5〜150モルの水を使用して、部分的加水分解およびブロック縮合をおこなうか、あるいは、
−c3)ブロック単位Fを、場合によってはアルコールで希釈し、有機または無機酸および使用されたシロキサンSi1モルに対して0.5〜150モルの水を添加し、その際、少なくとも部分的加水分解が生じ、ブロック単位QPを添加し、かつ混合物を反応させるか、あるいは、
−c4)ブロック単位Q、Pおよび/またはQPを、場合によってはアルコールで希釈し、有機または無機酸および使用されたシロキサンのSi1モルに対して0.5〜1.5モルの水を添加し、かつ少なくとも部分的に加水分解し、その後にブロック単位Fおよびさらには使用されたシロキサンのSi1モルに対して0〜148.5モルの水を添加するか、あるいは、
−c5)ブロック単位Fを場合によってはアルコールで希釈し、使用されたシロキサンのSi1モルに対して0.5〜150モルの水および有機または無機酸と混合し、その後にテトラアルコキシシランを添加し、混合物を反応させる、ことによる。
【0055】
以下の方法は、一般には、本発明のブロック縮合物および少なくとも1種の本発明によるブロック縮合物を含有する本発明の組成物を製造するための、本発明による方法を実施するために使用される:
QまたはQP、PおよびそれぞれQおよびPの群からのブロック単位の少なくとも1種の型は、一般には最終装填物として使用する。混合物は、さらに溶剤、場合によっては相当するアルコールで希釈してもよい。ここで使用されたブロック単位は、この段階では少なくとも部分的に加水分解された状態ではなく、アルコキシ基を含有する使用されたブロック単位は、酸および水の制御された添加によって、適した良好かつ激しい混合および温度制御によって、少なくとも部分的に加水分解すべきである。フルオロオルガノ基を含有し、かつ、アルコキシ基またはヒドロキシ基を含有するブロック単位Fであるか、あるいは、ブロック単位Fを含有する適切な混合物を、その後に添加し、かつブロック縮合を実施する。ブロック縮合もまた、一般には、温度制御下で、かつ場合によっては湿潤助剤の添加下で、制御された方法で実施する。モノマーテトラアルコキシシランは、ブロック縮合中で添加することができる。少なくともいくつかの溶剤またはアルコールを、生成物混合物から除去してもよい。
【0056】
しかしながら、本発明を実施するための他の可能な方法は、最初の装填物として、それぞれ使用すべき出発ブロック単位から成る混合物を使用し、場合によっては希釈し、かつ必要である場合には、酸および水を添加して、制御された加水分解およびブロック縮合をおこなう。
【0057】
しかしながら、本発明の反応を実施するための他の方法は、ブロック単位Fの制御された予備加水分解を最初に実施し、かつその後に、型QまたはQPおよびそれぞれQおよびPのブロック単位を用いて、ブロック縮合を実施する。
【0058】
特に、方法の態様c5)に示すように、種Qの製造のための任意の別個の合成工程を省略することが可能であり、それというのも、テトラアルコキシシランは、水または水および酸の存在下で高い反応性を有する化合物であるためであり、かつこれらの条件下で、極めて迅速に加水分解し、かつ縮合し、すなわち、ブロック単位Qを形成する。したがって、テトラアルコキシシランは、ブロック単位F、それぞれ、F、Pおよび/またはPQ、水および場合によっては酸を、最初の装填物として使用した後にブロック縮合を実施するために、直接的に使用することができる。
【0059】
それぞれの反応混合物のpH値に関しては、一般に制御され、加水分解、縮合、または本発明による方法の変法においてブロック縮合を実施する場合には、一般には1〜6、好ましくは1〜4である。
【0060】
したがって、本発明の前記に示された変法は、一般には、本発明によるブロック縮合物の混合物または組成物を生じるものであり、この場合、これらは、数ヶ月に亘っての貯蔵安定性を有し、かつ有利にはそのまま、あるいは水および/またはアルコールでの希釈後に、支持体、たとえばガラス、セラミックまたはコンクリートに塗布することができる。塗布方法の例は、ポリッシング、吹き付け、ジェット塗布、ナイフ塗布、ブラシ塗り、スプレダー塗布または含浸による塗布である。その後に塗膜を乾燥させ、かつ場合によっては引き続いて60〜300℃で、すなわち焼き付けで、熱処理をおこなうことができる。
【0061】
さらに本発明は、本発明によるブロック縮合物または少なくとも1種の本発明によるブロック縮合物を含有する本発明による組成物、あるいは、本発明による方法によって得られた、あるいは、製造されたブロック縮合物または組成物のeasy-clean適用および/または腐食防止適用のための薬剤としてか、あるいは、easy-clean適用および/または腐食防止適用のための薬剤中で、あるいは、塗料、インクまたはラッカー中での有利な使用を提供する。
【0062】
さらに本発明は、本発明によるブロック縮合物または少なくとも1種のブロック縮合物を含有する本発明による組成物、あるいは、本発明による方法によって得られるか、あるいは製造される前記物質を、薬剤製造のための出発材料として、請求項30に記載のようにして使用することを提供し、かつ、ここでは、本発明による組成物またはブロック縮合物を、他の配合物、たとえばラッカーと混合することが可能である。
【0063】
さらに本発明は、本発明のブロック縮合物、本発明による組成物、または本発明による薬剤の使用を介して得ることが可能な塗料を提供し、その際、本発明による成分はそのまま、組成物の形または薬剤中で支持体表面に塗布され、かつ硬化可能である。本発明は、有利には約1〜400μmの層厚を有する。本発明による塗料は、化学的耐性、特に希釈された酸、アルカリ溶液および溶剤に対するもの、摩耗性および天候に対して、さらには沸騰水に対しての耐性を示す。これらの塗料は、腐食保護における顕著な改善を生じうる。さらにこれらは、easy-clean適用中で表面に対して良好な付着性を示し、すなわち、油、水および汚れをはじき、特に、すなわち、落書き防止剤としての適用または落書き防止塗料として、落書きから保護するための特性を有する。Q−ベースの塗料は、特に、支持体に対して良好な付着性を示し、かつ顕著な耐摩耗性を示す。
【0064】
したがって本発明は、請求項32に記載の塗料で塗布された表面を提供し、たとえば、平滑または多孔性の支持体表面上、特に金属、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、鉄合金、特に鋼板、非晶質鋼、ガラス、特に板ガラス、ガラスファサード、ウインドシールドおよびさらにはコンクリート、たとえば補強コンクリート、コンクリート成分、ファサード、石工、砂岩、ケイ酸カルシウム、れんが、セラミック、たとえば耐熱れんが、屋根用タイル、壁用タイル、上薬、石、たとえば大理石、スレート、花崗岩、さらには合成石、合成材料、たとえばポリマー、たとえばポリウレタン、ポリカーボネート、さらには天然材料、たとえば木材およびセルロースである。従来適切に清浄化されている支持体への塗料の適用の好ましい方法は、ポリッシング、吹き付け、ジェット塗布、ナイフ塗布、ブラシ塗り、スプレッダー塗布または含浸による塗布であり、一般には簡単な乾燥に引き続いておこなう。
【0065】
以下の例は、さらに本発明を例証するものであるが、何らこれに制限されるものではない。
【0066】
実施例
本発明による例1
エタノール50g、DYNASIL(R)A(テトラエチルオルトシリケート)21.6gおよび蟻酸(85%濃度)2.0gを、最初の装填物として、マグネットステーラーを備えた1lミキサー中で使用した。水178.8gを50〜56℃で、約10分間に亘って撹拌しながら計量供給した。1.5時間後に、MTES(メチルトリメトキシシラン)14.4gを添加し、かつ混合物を約65℃で45分に亘って撹拌した。DYNASYLAN(R)F8815 (フルオロアルキル/アミノアルキル/アルコキシおよびヒドロキシル基を、基R:R3:1のモル比で含有する水ベースのオルガノシロキサン)133.2gをその後に添加し、かつ混合物を、58〜64℃で15分に亘って撹拌した。これにより、透明からわずかに不透明な溶液が得られ、この場合、これらは2ヶ月以上に亘って安定であった。
【0067】
本発明による例2
例1としての配合物に、DUPONT 3417B-N テフロン分散液1.7g、60%濃度の水性分散液、0.2μmのPTFE粒子、塩基性の、表面活性剤を含有するもの、をゆっくりと撹拌しながら滴加し、かつその後に撹拌を5〜10分に亘って継続した。これにより、わずかに混濁した溶液が得られた。
【0068】
本発明による例3
エタノール105.6g、DYNASIL(R)A (テトラエチルオルトシリケート)14.4gおよび蟻酸(85%濃度)4.0gを、最初の装填物として、マグネットステーラーを備えた1lミキサー中で使用した。水400.0gを42〜50℃で、約10分に亘って撹拌しながら計量供給した。1.5時間後に、MTES(メチルトリメトキシシラン)9.6gを添加し、かつ混合物を約65℃で45分に亘って撹拌した。DYNASYLAN(R)F 8815 266.4gをその後に添加し、かつ混合物を58℃〜64℃で、15分に亘って撹拌した。これにより透明からわずかに不透明な溶液が得られ、この場合、この溶液は、2ヶ月以上に亘って安定であった。
【0069】
本発明による例4
10質量%のDYNASYLAN(R)F 8800(フルオロアルキル/アミノアルキル/アルコキシ基およびヒドロキシ基を含有するアルコールベースのオルガノシロキサン、基R:R1:2のモル比を有する)を、水86.5質量%および37%濃度の塩酸0.5%と混合し、テトラエチルオルトシリケート(DYNASIL(R)A)1.8質量%をその後に撹拌しながら添加し、かつ混合物の撹拌を15分に亘って継続した。引き続いてMTES1.2質量%のゆっくりとした計量供給をおこない、かつ室温で約2時間に亘って撹拌した。得られた溶液は、最初な透明であって、その後にコロイド状になり乳白色になった。溶液は、この形で、約1年に亘って沈澱することなく安定であった。
【0070】
比較例A
DYNASYLAN(R)F 8800 10質量%を、37%濃度の塩酸0.5質量%を有する水中で混合した。その後に、混合物を室温で2時間に亘って撹拌し、すなわち、EP 0 960 921 Aと同様におこなった。溶液は透明からわずかにコロイド状であった。ガラス上で、この配合物によって得られた塗膜は、比較的低い耐摩耗性を有していた(第1表参照)。
【0071】
本発明による例5
DYNASYLAN(R)F 8800 10gが、最初の装填物として水85.5g中で使用し、かつ37%濃度の塩酸1gを混合し、その後にテトラエチルオルトシリケート(DYNASIL(R)A)1.8gを撹拌しながら添加し、かつ混合物の撹拌を15分に亘って継続した。
【0072】
本発明による例6
水204gおよび蟻酸2g(85%濃度)を、最初の装填物としてマグネットステーラーを備えた1lミキサー中で使用した。DYNASIL(R)A 21.6gを、約20分に亘って32〜56℃で、撹拌しながら計量供給した。1時間後に、MTES14.5gを迅速に計量供給し、かつ混合物を約60℃で30分に亘って撹拌した。DYNASYLAN(R)F 8815 133gをその後に添加し、かつ混合物の撹拌を1.5時間に亘っておこなった。Levasil(R)(200 nm 粒子)24gをその後に添加し、かつ混合物を20分に亘って撹拌した。配合物は、工程中において冷却することが可能であった。得られた溶液を、この配合物を適用する前に、波形フィルター(corrugated filter)を介して、得られた溶液は濾過すべきである。得られた溶液はわずかに白濁していた。
【0073】
本発明による例7
溶液を例6と同様に製造するが、しかしながら、ブチルグリコール5質量%をさらにここで配合物に添加した。これは、後続の支持体上のフルオロアルキル基のさらに良好な配向を、遅延した架橋によって達成した。
【0074】
本発明による例8
本発明の例1〜6および比較例Aからの薬剤の適用例
前記配合物は、ガラスからなる試験体に対して適用する。ガラスプレートの大きさは、0.15m×0.15mであった。試験体は、公知の方法で塵およびグリースから保護した。
【0075】
配合物を、液体フィルムの形で適用し、35μmのドクターナイフを用いて、かつ三回に亘って滑らかにした。製造された平均層厚は約1<400μmであった。適用方法中の塗料溶液の平均消費量は、22.3g/mであった。
【0076】
塗布工程後に、ガラス板を室温で3日間に亘って硬化させた。
【0077】
塗膜上の性能試験
以下の性能試験は、第1表の塗膜を評価する目的のために実施した。
【0078】
1.摩耗試験を、平滑な無機表面とeasy-clean塗料との化学的結合を評価するために使用した。使用された試験装置は、GARDNERからの摩耗試験装置、ステーラーバーを備えた250mlガラスビーカー、マグネットステーラーおよびはかりである。
【0079】
摩耗試験[Erichsen test (DIN 53 778, Part 2)を改良したもの、この場合、ブラシを研磨スポンジに置き換えている]を、Glitzi研磨スポンジを用いておこない、かつ1kgの重りを7.5cm×1.04cmの範囲に適用させた。ここで機械系の滑りは、支持体に対して平行であった。特定の逆の動きはサイクルと呼称される。脱イオン水を滑剤として使用した。
【0080】
摩耗試験を開始する前に、新規に被覆したガラス板と水との接触角を最初に測定した(未処理)。5000サイクル毎に、その後、塗膜の疎水特性を、接触角を測定することによって定めた。硬化が生じ、十分な水が通常、摩耗試験中の表面上に存在することを証明した。
【0081】
水との接触角は、Kruess G10 接触角測定装置を用いて測定され(DIN828)、表面上の種々の位置での、6個の独立した測定によりおこなった。平均(測定値)は、個々の値から算定した。用語easy-clean特性は、接触角が<80゜である場合には適用できなくなる。
【0082】
2.クロスカット硬度:
DIN EN ISO2409の方法を使用して、塗膜の硬度を測定し、かつ評価した。
【0083】
第1表
本発明による例1〜6、比較例Aおよび盲試験体からの塗料材料上での性能試験の結果
【表1】

【0084】
第1表は、未処理の板ガラスの接触角が、約15゜であることを示す。対照的に、支持体上の未処理の塗膜は、90〜136゜の接触角を有する。粉砕工程を実施した後に(研磨)、接触角は未処理の状態よりも小さくなる。しかしながら、本発明による例1〜5では、約10%の減少が観察されるにすぎず、これは、比較例Aが約40%であることとは対象的である。したがって、本発明による easy-clean塗料は、従来技術によるものと比較した場合に顕著に改善された耐摩耗性を示す。
【0085】
本発明による例9
a)アミノアルキルトリアルコキシシラン、フルオロアルキルトリアルコキシ、テトラアルコキシシランおよびアルキルトリアルコキシシランからの水溶性ブロック縮合物の製造ブロック単位1の製造(アミノシランとフルオロシランとから成る共縮合物):
アミノプロピルトリエトキシシラン77.8gおよびDYNASYLAN(R)F8261 412.5gを混合し、かつ約60℃までに温度を調節した。水20.9gをその後に、5分に亘って計量供給した。加水分解および共縮合を、5時間に亘ってのフラックスで、約80℃で継続した。蟻酸20.9g(水中85質量%)をその後に約10分に亘って約50℃で計量供給した。約80℃での混合物の温度制御は、約4時間に亘って継続した。
【0086】
ブロック単位2の製造(テトラアルコキシシランおよびアルキルトリアルコキシシランから成る共縮合物)
蟻酸7.4gおよび水1351.5gを最初の装填物として使用した。テトラエトキシシラン82.5gおよびメチルトリエトキシシラン27.5gから成る混合物を、約40℃で、1時間に亘って添加した。混合物を約75℃に加熱し、かつわずかなフラックスを生じさせた。シラン単位の加水分解および共縮合は、さらに6時間に亘って約75℃で継続させた。
【0087】
ブロック単位を2〜35℃に冷却した後に、ブロック単位1を2分に亘って添加した。これは乳状の混合物を生じた。この混合物をその後に約50℃に加熱し、かつ加水分解アルコールを、150〜120mバールの圧力で、蒸留ブリッジにより除去した。蒸留中に除去された留出物の量は、4部の水によって置換し、その際、量は136.3gであり、その結果、反応容器の内容量はほぼ一定であった。蒸留は、7時間に亘って完了させた。反応容器中に、なおも存在する液体は不透明であり、かつ数ヶ月に亘って貯蔵安定性であった。水、油、汚れをはじく特性を有する含浸材料として、塗料およびインクとして、たとえば多孔性の無機構造材料のために使用することができる。
【0088】
b)a)の材料の使用
a)からの生成物を、コンクリート試験体の滑らかな成形側に、HVLP装置を用いて、約100g/mの消費速度で吹き付け、室温で約1/2時間の乾燥をおこなった(約20℃、約50%の相対湿度)。a)からの生成物をその後に、予め処理したコンクリート表面上に、HVLPスプレーガンを用いて、約20g/mの消費速度で、再度吹き付けた。コンクリートパネルは、この工程により改善された疎水特性を有し、したがって、形成された微細な液滴を、ブラシを用いて拡げ、液体の均一なフィルムを生じた。乾燥後(1/2時間、20゜、50%の相対湿分)に、a)からの生成物さらに20g/mをコンクリートパネル上に、HVLP方法を用いて塗布した。再度、形成された微細な液滴を、柔らかいブラシを用いて拡げ、液体の均一なフィルムを生じた。コンクリート表面は、乾燥および硬化後に(16時間、60℃)評価し、かつ落書き防止特性について評価した。色は段々と暗くなり、わずかにはあるが、視認できた。表面は滑らかかつ非粘着性であった。適用されたフェルトチップペンマーク(Edding 3000)を、表面からエタノールで除去したが、なにも残らなかった。処理された支持体の外観および手触りは、完全に満足のいくものであって、かつ落書き防止特性を有していた。
【0089】
c)比較例:従来の共縮合物の使用
EP1101787A1の例1からの生成物を、コンクリート試験体の滑らかな成形側に、HVLP装置を用いて、約100g/mの消費速度で吹き付け、室温で約1/2時間の乾燥をおこなった(約20℃、約50%の相対湿分)。生成物はその後に、再度、この予め処理したコンクリート表面上に、HVLPスプレーガンを用いて、約20g/mの消費速度で適用した。コンクリートパネルは、この段階で改善された疎水特性を有しており、したがって形成された微細な液滴を、ブラシを用いて拡げ、液体の均一なフィルムを生じた。乾燥後(1/2時間、20℃、50%の相対湿分)に、約20g/mのさらなる生成物をコンクリートパネル上に、HVLP方法を用いて適用した。再度、形成された微細な液滴を柔らかいブラシを用いて拡げ、液体の均一なフィルムを生じた。コンクリート表面を乾燥後に評価し、かつ、硬化(16時間、60℃)させた。暗色化するにしたがって、明瞭に視認可能となった。表面は滑らかであったが、粘着性であった。したがって、汚れ粒子が粘着表面上に堆積するリスクが存在する。適用されたフェルトチップペンマーク(Edding 3000)は表面からエタノールで除去され、なにも残らなかった。処理された支持体の外観および手触りは、理想的なものではなかったが、落書き防止特性については全く満足のいくものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物において、
(i)一般式I
[F][Q (I)
のオルガノ官能性シロキサンの少なくとも1種のブロック縮合物および/または
(ii)e[F]およびd(c[Q]+b[P])から成る少なくとも1種の混合物であり、かつ適切である場合にはd[Q]を含有する組成物において
前記特徴(i)および(ii)は互いに独立して、
ブロック単位F、Q、Pおよび/またはQPは、少なくとも1種のSi−O−Si結合によって互いに結合を有していてもよく、
e,cおよびdは同一かまたは異なって、かつそれぞれ1〜10の数であってもよく、かつbは0〜10の数であってもよく、
Fは、一般式(II)
R[−O−Si(OR)[−O−Si(R)(R1−h(OR)[−O−Si{R(HX)}(CH1−i(OR)[−O−Si(R2−j(OR)(OR) (II)
[式中、Rは、一般式(IIa)
−Y−(CH
のモノ−、オリゴ−またはポリフッ化オルガノアルキルまたはオルガノアリール基であり、その際、Rは1〜13個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のモノ−、オリゴ−またはポリフッ化アルキル基またはモノ−、オリゴ−またはポリフッ化アリール基であり、YはCH、OまたはS基であり、その際、#は0または1であり、
aは、一般式(IIb)
N(CH§[(NH)(CHβ
のアミノアルキル基、その際、0≦§≦6、0≦&≦6、$=0であり、§=0である場合にはβ=1、$=1、§>0である場合にはβ=1または2であり、かつ、
Xがクロリド、ホルメートおよびアセテートの群からの酸基であり、その際、g=0または1または2または3であり、
h、lおよびjは、それぞれ互いに独立して0または1であり、
基Rは同一かまたは異なって、かつRは1〜18個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であり、
は1〜8個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であり、
基Rは同一かまたは異なって、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であるか、あるいは、ROは、F、QまたはPの群からの少なくとも1種の単位との−O−Si−結合であり、
x、y、zおよびwは同一かまたは異なって、かつ、Xおよびさらにyは>0の数であり、かつ、zおよびさらにwは≧0の数であり、その際、(x+y+z+w)≧2である]のフルオロオルガノ−/アミノアルキル−/アルキル−/アルコキシ−またはヒドロキシシロキサンの群からの線状、環式、分枝または架橋された共縮合物単位であり、
Qは、一般式III
(RO)SiO(4−n)/2 (III)、
[その際、基Rは同一かまたは異なって、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であるか、あるいは、ROは、F、QまたはPの群からの少なくとも1種の単位との−O−Si−結合であり、かつn=1または2または3である]のアルキルシリケート単位であり、かつ、
Pは線状、環式、分枝または架橋された縮合物単位であるか、あるいは、それぞれ一般式IV
R−[−O−Si(R2−v(OR)[−O−Si{R(HX)}(CH1−u(OR)(OR) (IV)
[式中、Rは、一般式(IVa)
N(CH§[(NH)(CHβ
のアミノアルキル基であり、その際、0≦§≦6、0≦&≦6、$=0であり、§=0である場合にはβ=1、$=1、§>0である場合にはβ=1または2であり、かつ、
Xがクロリド、ホルメートおよびアセテートの群からの酸基であり、その際、g=0または1または2または3であり、
基Rは同一かまたは異なって、かつRは1〜18個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であり、v=0または1または2であり、かつuは0または1であり、
基Rは同一かまたは異なって、かつ、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であるか、あるいは、ROは、F、QまたはPの群からの少なくとも1種の単位に対する−O−Si−結合であり、
rおよびsは同一または異なって、かつr≧1、s≧0であり、その際、(r+s)≧1である]の共縮合物単位である、組成物。
【請求項2】
0.001〜99.9質量%のオルガノシロキサン含量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールおよび前記アルコールの少なくとも2種から成る混合物の群からのアルコールのいくらかの含量を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
0.001〜99.9質量%のアルコール含量を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
0.001〜99.5質量%の水の含量を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
組成物に対して0.001〜5質量%の酸の含量を有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
pH1〜6を有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
0.001〜99.5質量%の水および/またはほぼ水溶性の溶剤の含量を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
0〜10質量%の湿潤助剤の含量を有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
0〜20質量%の無機粒子または有機粒子の含量を有する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
20〜105℃の引火点を有する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
水希釈可能である、請求項1から11までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項13】
液体の、シロップ状またはクリーム状のコンシステンシーを有する、請求項1から12までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の一般式I
[F][Q (I)
のブロック縮合物。
【請求項15】
水溶性である、請求項14に記載のブロック縮合物。
【請求項16】
−c1)ブロック単位Fを、場合によってはアルコールで希釈し、有機または無機酸および使用されたシロキサンSi1モルに対して0.5〜150モルの水を添加し、これによって、使用されたブロック単位の少なくとも部分的な加水分解が生じ、その後にブロック単位Qおよびブロック単位Pを添加し、かつ混合物を反応させるか、あるいは、
−c2)ブロック単位Fを、場合によってはアルコールで希釈し、Q、Pおよび/またはブロック単位QPと混合し、その後に有機または無機酸を添加し、かつ、使用されたシロキサンのSi1モル当たり0.5〜150モルの水を使用して、部分的加水分解およびブロック縮合を実施するか、あるいは、
−c3)ブロック単位Fを、場合によってはアルコールで希釈し、有機または無機酸および使用されたシロキサンSi1モルに対して0.5〜150モルの水を添加し、その際、少なくとも部分的な加水分解が生じ、ブロック単位QPを添加し、かつ混合物を反応させるか、あるいは、
−c4)ブロック単位Q、Pおよび/またはQPを、場合によってはアルコールで希釈し、有機または無機酸および使用されたシロキサンのSi1モルに対して0.5〜1.5モルの水を添加し、かつ少なくとも部分的に加水分解し、その後にブロック単位Fおよびさらには使用されたシロキサンのSi1モルに対して0〜148.5モルの水を添加し、かつ混合物を反応させるか、あるいは、
−c5)ブロック単位Fを、場合によってはアルコールで希釈し、使用されたシロキサンのSi1モルに対して0.5〜150モルの水および有機または無機酸と混合し、その後にテトラアルコキシシロキサンを添加し、かつ混合物を反応させる、
ことによって、ブロック単位Fと、ブロック単位Q、Pおよび/またはQPとの反応によって得ることが可能な、請求項1から15までのいずれか1項に記載の組成物またはブロック縮合物。
【請求項17】
反応を0〜100℃の温度で実施する、請求項16に記載のようにして得ることが可能な組成物またはブロック縮合物。
【請求項18】
ブロック単位の部分加水分解を0〜60℃の温度で実施する、請求項16または17に記載のようにして得ることが可能な組成物またはブロック縮合物。
【請求項19】
ブロック縮合物を25〜100℃の温度で実施する、請求項16または17に記載のようにして得ることが可能な組成物またはブロック縮合物。
【請求項20】
少なくとも1種の湿潤助剤を、ブロック単位から成る混合物に添加するか、あるいは、ブロック単位の部分加水分解後またはブロック縮合後に添加する、請求項16または17に記載のようにして得ることが可能な組成物またはブロック縮合物。
【請求項21】
ポリエーテルシロキサンまたはブチルグリコールを湿潤助剤として添加する、請求項20に記載のようにして得ることが可能な組成物またはブロック縮合物。
【請求項22】
有機または無機粒子を、ブロック単位から成る混合物に添加するか、あるいは、ブロック単位の部分加水分解後またはブロック縮合後に添加する、請求項16から21までのいずれか1項に記載のようにして得ることが可能な、組成物またはブロック縮合物。
【請求項23】
ブロック縮合物のSiとして算定された1モルに対して、0.001〜10モルのテトラアルキルシランをブロック単位Fに添加するか、あるいは、ブロック単位FおよびP、Qおよび/またはPQから成る混合物に添加するか、あるいは、前記ブロック単位の部分加水分解後またはブロック縮合後に添加し、かつ反応を継続させる、請求項16から22までのいずれか1項に記載のようにして得ることが可能な組成物またはブロック縮合物。
【請求項24】
ブロック縮合反応の生成物を、5分から5時間に亘って、25〜65℃で、撹拌しながら反応を継続させる、請求項16から23までのいずれか1項に記載のようにして得ることが可能な組成物またはブロック縮合物。
【請求項25】
ブロック縮合工程または連続反応工程後に、少なくともいくらかのアルコールを系から除去する、請求項16から23までのいずれか1項に記載のようにして得ることが可能な組成物またはブロック縮合物。
【請求項26】
−a1)一般式(V)
N(CH2)§[(NH)(CHβ−Si(CH(OR)3−t (V)
[式中、0≦§≦6、0≦&≦6、$=0であり、§=0である場合にはβ=1、$=1、§>0である場合にはβ=1または2であり、t=0または1であり、かつRは1〜4個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基である]の少なくとも1種のアミノアルキルシランと、
一般式(VI)
−Y−(CH−Si(R(OR)3−m (VI)
[式中、Rは、1〜13個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のモノ−、オリゴ−、ポリフッ化アルキル基またはモノ−、オリゴ−またはポリフッ化アリール基であり、YはCH、OまたはS基であり、その際、#は0または1であり、Rは1〜8個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であり、m=0または1であり、かつRは1〜4個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基である]の少なくとも1種のフルオロオルガノシランを、モル比≧0.29:1で混合し、場合によっては有機または無機酸を添加し、場合によっては少なくとも1種のアルコールで希釈し、かつ使用されたシラン成分のSi1モルに対して0.5〜150モルを添加し、少なくとも部分的に加水分解および共縮合をおこなうことによって得られるか、あるいは、
−a2)一般式(VI)
−Y−(CH−Si(R(OR)3−m (VI)
[式中、Rは、1〜13個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のモノ−、オリゴ−またはポリフッ化アルキル基であるか、あるいは、モノ−、オリゴ−またはポリフッ化アリール基であり、YはCH、OまたはS基であり、その際、#=0または1であり、Rは1〜8個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であり、m=0または1であり、かつRは1〜4個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基である]の少なくとも1種のフルオロオルガノシランを、場合によっては少なくとも1種のアルコール用いて希釈し、使用されたシラン成分のSi1モルに対して0.5〜150モルの水を添加し、かつ有機または無機酸を添加し、少なくとも部分加水分解および縮合をおこなうことによって得られるか、あるいは、
−a3)一般式(V)
N(CH§[(NH)(CHβ−Si(CH(OR)3−t (V)
[式中、0≦§≦6、0≦&≦6、$=0であり、§=0である場合にはβ=1、$=1、§>0である場合にはβ=1または2であり、t=0または1であり、かつRは1〜4個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基である]の少なくとも1種のアミノアルキルシランおよび一般式(VI)
−Y−(CH−Si(R(OR)3−m (VI)
[式中、Rは1〜13個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のモノ−、オリゴ−またはポリフッ化アルキル基であるか、あるいは、モノ−、オリゴ−またはポリフッ化アリール基であり、YはCH、OまたはS基であり、その際、#は0または1であり、Rは1〜8個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であり、m=0または1であり、かつRは炭素原子1〜4個を有する線状、環式または分枝のアルキル基である]の少なくとも1種のフルオロオルガノシランおよび一般式(VII)
一般式(VII)
(RSi(OR)4−k (VII)
[式中、基Rは同一かまたは異なって、かつRは1〜18個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基であり、kは0または1または2であり、かつRは1〜4個の炭素原子を有する線状、環式または分枝のアルキル基である]の少なくとも1種のアルコキシシランを混合し、その際、アミノアルキルシラン:フルオロオルガノシランとアルコキシシランとの合計≧0.29:1で混合し、シラン成分1モルに対して0.12〜1モルの有機または無機酸を、存在するシラン混合物に添加し、場合によっては少なくとも1種のアルコールで希釈し、その際、使用されたシラン成分のSiの1モルに対して0.5〜150モルの水を添加し、少なくとも部分的に加水分解および共縮合することによって得られる、ブロック単位Fを使用する、請求項16から25のいずれか1項に記載のようにして得られた組成物またはブロック縮合物。
【請求項27】
−b1)少なくとも1種のテトラアルコキシシランを、アルコールで希釈し、かつアルコキシシラン1モルに対して0.5〜30モルの水を添加し、加水分解および共縮合をおこなうか、あるいは、
−b2)前記式VIIの少なくとも1種のアルキルアルコキシシラン(式中、k=1または2である)を、アルコールで希釈し、かつ、アルコキシシラン1モルに対して0.5〜30モルの水を添加し、加水分解および縮合をおこなうか、あるいは、
−b3)ブロック単位QPを製造するために、少なくとも1種のテトラアルコキシシランと一緒に一般式VII(式中、k=1または2である)の少なくとも1種のアルキルアルコキシシランを、0.5:1〜10:1のモル比で使用し、この混合物を、場合によってはアルコールで希釈し、その際、酸および使用されたシラン1モルに対して0.5〜150モルの水を添加し、加水分解および共縮合をおこなうか、あるいは、
−ブロック単位PのシロキサンのSiとして算定した、ブロック単位P1モルを最初の装填物として使用して、ブロック単位P上にテトラアルコキシシランを縮合し、アルコールで希釈し、ブロック単位PのSi1モルに対して0.5〜10モルのテトラアルコキシシランを添加し、その際、酸および0.5〜150モルの水を添加し、部分加水分解および縮合をおこなうか、あるいは、
−ブロック単位QのシロキサンのSiとして算定して、ブロック単位Qの0.5〜10モルを最初の装填物として使用して、ブロック単位Q上に少なくとも1種のアルキルアルコキシシランを縮合させ、アルコールで希釈し、一般式(VII)の少なくとも1種のアルキルアルコキシシラン1モルを添加し、かつ、酸および0.5〜150モルの水を添加し、部分加水分解および縮合をおこなうか、あるいは、
−b2)から成るブロック単位Pおよびb1)から成るQを、それぞれの場合において、そのSi成分に基づき、混合物中で1:10〜2:1のモル比で、最初の装填物として使用することによって、ブロック単位PおよびQを縮合し、場合によってはアルコールで希釈し、かつ、存在するシロキサン混合物Si1モルに対して0.5〜30モルを添加し、加水分解およびブロック縮合をおこなうことによって得られる、ブロック単位Q、Pおよび/またはQPを使用する、請求項16から26までのいずれか1項のようにして得ることが可能な組成物またはブロック縮合物。
【請求項28】
−c1)ブロック単位Fを、場合によってはアルコールで希釈し、有機または無機酸および使用されたシロキサンSiの1モルに対して0.5〜150molの水を添加し、これにより、使用されたブロック単位の少なくとも部分加水分解が生じ、その後にブロック単位Qおよびブロック単位Pを添加し、かつ混合物を反応させるか、あるいは、
−c2)ブロック単位Fを、場合によってはアルコールで希釈し、Q、Pおよび/またはブロック単位QPと混合し、その後に有機または無機酸を添加し、使用されたシロキサンのSi1モルに対して0.5〜150モルの水を使用して、部分加水分解およびブロック縮合をおこなうか、あるいは、
−c3)ブロック単位Fを、場合によってはアルコールで希釈し、有機または無機酸および使用されたシロキサンSi1モルに対して0.5〜150モルの水を添加し、その際、少なくとも部分加水分解が生じ、ブロック単位QPを添加し、かつ混合物を反応させるか、あるいは、
−c4)ブロック単位Q、Pおよび/またはQPを、場合によってはアルコールで希釈し、有機または無機酸および使用されたシロキサンのSi1モルに対して0.5〜1.5モルの水を添加し、かつ少なくとも部分的に加水分解し、その後にブロック単位Fおよびさらには使用されたシロキサンのSi1モルに対して0〜148.5モルの水を添加し、かつ混合物を反応させるか、あるいは、
−c5)ブロック単位Fを場合によってはアルコールで希釈し、使用されたシロキサンのSi1モルに対して0.5〜150モルの水および有機または無機酸と混合し、その後にテトラアルコキシシランを添加し、混合物を反応させる、ことによって、ブロック単位Fとブロック単位Q、Pおよび/またはQPを反応させることを含む、請求項1から27のいずれか1項に記載の組成物またはブロック縮合物の製造方法。
【請求項29】
請求項1から15までのいずれか1項に記載のブロック縮合物または請求項1から15までのいずれか1項に記載の少なくとも1種のブロック縮合物を含有する組成物、請求項16から27までのいずれか1項に記載のようにして得ることが可能なブロック縮合物または組成物または請求項28に記載のようにして製造されたブロック縮合物または組成物の、easy-clean 適用および/または腐食防止適用のための薬剤としてまたは薬剤中で、あるいは、easy-clean 適用および/または腐食防止適用のための複数の薬剤中で、あるいは、塗料、インクおよびラッカー中での使用。
【請求項30】
請求項1から15までのいずれか1項に記載のブロック縮合物または請求項1から15までのいずれか1項に記載の少なくとも1種のブロック縮合物を含有する組成物または請求項16から27までのいずれか1項に記載のようにして得ることが可能なブロック縮合物または組成物、請求項28に記載のようにして製造されたブロック縮合物または組成物の、請求項29に記載の薬剤を製造するための出発材料としての使用。
【請求項31】
請求項1から15までのいずれか1項に記載のブロック縮合物または請求項1から15までのいずれか1項に記載の少なくとも1種のブロック縮合物を含有する組成物または請求項16から27までのいずれか1項に記載のようにして得ることが可能なブロック縮合物または組成物、請求項28、29または30に記載のようにして製造されたブロック縮合物または組成物の、高い耐摩耗性を有する塗膜を製造するための使用。
【請求項32】
請求項1から31までのいずれか1項に記載のブロック縮合物、組成物または薬剤の使用によって得ることが可能な塗膜。
【請求項33】
請求項32に記載の塗膜を備えた表面を有する製品。

【公表番号】特表2008−508381(P2008−508381A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523050(P2007−523050)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052559
【国際公開番号】WO2006/010666
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】