説明

オレフィン重合のための触媒組成物及びそれを含む触媒

オレフィン重合のための触媒組成物は、以下の組成の反応生成物を含み((1)球状の担体、(2)チタン化合物、及び、任意で、(3)電子供与体)、上記の球状の担体は、少なくとも以下の組成物の反応生成物を含む((a)MgX2−nの一般化学式で表されるハロゲン化マグネシウム(Xは独立してCl又はBr、Rは独立してC−C14アルキル基、C−C14アリル基、C−C14アルコキシ基、又は、C−C14アリルオキシ基、且つ、nは0又は1である)、(b)アルコール化合物、及び、(c)以下の一般化学式(I)で表されるエポキシ化合物(R及びRは独立して水素、C−C直鎖アルキル基若しくは分枝鎖アルキル基、又は、C−C直鎖ハロアルキル基若しくは分枝鎖ハロアルキル基である))。本発明に係る触媒は、オレフィン重合(特に、プロピレンの重合)に用いられ、以下の望まれる効果のうち少なくとも一つが達成される(触媒の高い重合活性、触媒の高い立体特異性、触媒の良好な水素反応性、高いメルト・インデックスを有する重合体の立体規則性、及び、ポリマーファインの低含有量)。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互援用〕
本願は、2009年10月16日に出願された中国特許出願第200910235562.3号、中国特許出願第200910235563.8号、中国特許出願第200910235564.2号、及び、中国特許第200910235565.7号に基づく優先権を主張し、その全ての内容及び全ての目的を本願に援用する。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、オレフィン重合のための球状の触媒組成物、それを含む触媒、及び、オレフィン(CH=CHR:Rは水素又はC1−12アルキル)重合における触媒の使用方法に関する。特に、本発明は、球状のマグネシウム含有化合物担体と、チタン化合物及び任意の電子供与体化合物との反応により得られる触媒組成物、並びに、その触媒組成物の使用方法に関する。
【0003】
〔背景技術〕
活性ハロゲン化マグネシウム担体に支持された、チタン化合物及び電子供与体化合物を含む触媒組成物が、本技術分野において知られている。一般的な活性ハロゲン化マグネシウム担体は、ハロゲン化マグネシウム及びアルコールの付加体であり、一般的に、球状粒子の形態である。球状の触媒は、ハロゲン化マグネシウム−アルコール付加体担体と、ハロゲン化チタンのようなチタン化合物及び電子供与体化合物との反応により得られるものである。この触媒をオレフィン重合(特に、プロピレンの重合)において使用する場合、この触媒は高い重合活性、及び、高い立体特異性を示し、結果として得られるポリマーは良好な粒子形態を備える。
【0004】
これまでに公開されているハロゲン化マグネシウム−アルコール付加体担体は、一般的に、ハロゲン化マグネシウム及びアルコールのみから構成される。一部の公開されているハロゲン化マグネシウム−アルコール付加体担体は、さらに、微量の水を含んでいる。上記のハロゲン化マグネシウム−アルコール付加体担体は、スプレー乾燥プロセス、スプレー冷却プロセス、高圧押出プロセス、又は、高速撹拌プロセスのような既知のプロセスにより製造され得る。例えば、米国特許第4,421,674号、米国特許第4,469,648号、国際特許第8707620号、国際特許第9311166号、米国特許第5,100,849号、米国特許第6,020,279号、米国特許第4,399,054号、欧州特許第0395383号、米国特許第6,127,304号及び米国特許6,323,152号を参照のこと。
【0005】
上述のハロゲン化マグネシウム−アルコール2成分付加体担体に加えて、先行技術文献には、他の活性ハロゲン化マグネシウム担体についても開示されている。例えば、中国特許出願第1922212号公報には、ハロゲン化チタンを伴う、環状エーテル及びアルコールのハロゲン化マグネシウム溶液の反応により得られる担体が開示されている。中国特許出願第101190953号公報には、金属ハロゲン化物の存在下における、C−Cアルコールの、粉末状マグネシウムとの反応により形成されるマグネシウムを含有する付加体担体が開示されている。中国特許出願第1590415号公報には、金属ハロゲン化物の存在下において、均質なマグネシウム化合物溶液を形成するために、C−C低級アルコールと、粉末状マグネシウムとを反応させ、且つ、球状のシリカ担体上にマグネシウム化合物を支持することにより、得られる複合担体が開示されている。中国特許第1016422号、米国特許第5034361号、米国特許第5849655号、米国特許第5817591号及び米国特許第4469648号には、出発原料としてアルコキシマグネシウムを用いることにより得られる活性二塩化マグネシウムが開示されている。
【0006】
〔発明の概要〕
入念な研究の末、本発明者は、新規の粒子状マグネシウム化合物を、ハロゲン化マグネシウム−アルコール付加体溶液と、エポキシ化合物との反応により得ることができることを見出した。上記の粒子状マグネシウム化合物は、チタン化合物及び任意の内部電子供与体と反応させ、オレフィン重合のための触媒組成物を得るための担体として用いられ得る。本発明は上記の原理に基づき成り立つ。
【0007】
本発明の目的は、本発明に係るチタンを主成分とする球状の触媒組成物を得るためのプロセスを提供することである。
【0008】
本発明のそれ以上の目的は、本発明に係る触媒組成物を得るためのプロセスを提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、触媒組成物(共触媒としてのアルキルアルミニウム化合物及び任意の外部電子供与体)の反応生成物を含むオレフィン重合のための触媒を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、化学式CH=CHR(Rは水素又はC1−12アルキル)で表されるオレフィン、及び、任意のコモノマーを、重合条件下で本発明に係る触媒と接触させ、オレフィン重合体を形成すること、を含むオレフィン重合のためのプロセス、並びに、得られた重合体を回収するためのプロセスを提供することである。
【0011】
本発明に係る触媒組成物を得るためのプロセスは、単純且つ実行可能であり、結果として得られる触媒組成物は、粒子形態及び粒子サイズを制御することができるものである。オレフィン重合(特に、プロピレンの重合)に用いる場合、本発明に係る触媒は、以下の望まれる効果の少なくとも一つを達成する:触媒の高い重合活性、触媒の高い立体特異性、触媒の良好な水素反応性、高いメルト・インデックスを有する重合体の立体規則性、及び、ポリマーファインの低含有量。
【0012】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、実施例1にて得られる担体のDSC曲線を示している。
【0013】
図2は、化学式MgCl・2.7COHで表される既知の二塩化マグネシウム−エタノール付加体のDSC曲線を示している。
【0014】
図3は、実施例1にて得られる担体のX線回析像を示している。
【0015】
図4は、化学式MgCl・2.7COHで表される既知の二塩化マグネシウム−エタノール付加体のX線回析像を示している。
【0016】
図5は、様々な担体のX線回析像を示しており、aはMgClのX線回析像、bはMgCl・2.7COHのX線回析像、cはジエトキシマグネシウムのX線回析像、dは本発明に係る担体のX線回析像を示している。
【0017】
図6は、実施例1にて得られる担体の顕微鏡写真を示している。
【0018】
〔発明を実施するための形態〕
本明細書で用いられている「重合」という用語は、単独重合及び共重合を含むことを示している。本明細書で用いられている「重合体」という用語は、単独重合体、共重合体及び三元重合体を含むことを示している。
【0019】
本明細書で用いられている「触媒組成物」という用語は、オレフィン重合の触媒の性質を有する、アルキルアルミニウム組成物及び任意の外部電子供与体のような従来の共触媒に加えて、主に、触媒組成物又はプロ(pro)触媒の意味を示している。
【0020】
本明細書で用いられている「球状の担体」という用語は、担体が、球状様粒子の形態を有することを意味しているが、担体粒子が、完全球形であることを必要とはしていない。同様に、本明細書で用いられている「球状の触媒組成物」という用語又は「球状の触媒」という用語は、触媒組成物又は触媒が、球状様粒子の形態を有することを意味しているが、触媒組成物又は触媒の粒子が、完全球形であることを必要とはしていない。
【0021】
第1の形態において、本発明は、以下の反応生成物を含む、オレフィン重合のための触媒組成物を提供する:
(1)球状の担体、
(2)チタン化合物、及び、
(3)任意の電子供与体、
そして、上記の球状の担体は、少なくとも以下の組成の反応生成物を含む:
(a)MgX2−nの一般化学式で表されるハロゲン化マグネシウム(Xは独立してCl又はBr、Rは独立してC−C14アルキル基、C−C14アリル基、C−C14アルコキシ基、又は、C−C14アリルオキシ基、そして、nは0又は1である)、
(b)アルコール化合物、好ましくは、一般化学式ROHで表されるアルコール化合物(Rは独立してC−C12アルキル基、C−C10シクロアルキル基、C−C12アラルキル基、又は、C−C10アリル基であり、好ましくはC−Cアルキル基である)、及び、
(c)以下の一般化学式(I)で表されるエポキシ化合物:
【0022】
【化1】

【0023】
(R及びRは独立して水素、C−C直鎖アルキル基若しくは分枝鎖アルキル基、又は、C−C直鎖ハロアルキル基若しくは分枝鎖ハロアルキル基であり、好ましくは、水素、C−Cアルキル基若しくはC−Cハロアルキル基である)。
【0024】
本発明に係る触媒組成物を得るために用いられる球状の担体は、以下の工程を含むプロセスにより得てもよい:
a)容器内にて(好ましくは密閉容器内にて)、一般化学式MgX2−nで表されるハロゲン化マグネシウム、アルコール化合物、任意の不活性液体媒体を混合し、得られた混合物を30℃〜160℃の温度に加熱し、反応させ、ハロゲン化マグネシウム−アルコール付加体溶液を形成する工程、
b)上記のハロゲン化マグネシウム−アルコール付加体溶液と、以下の一般化学式(I)で表されるエポキシ化合物とを30℃〜160℃の温度で反応し、球状の担体を形成する工程:
【0025】
【化2】

【0026】
(R、X、R及びRは上記の定義通り)。
【0027】
上記のプロセスにおいて、ハロゲン化マグネシウム1モルあたりに用いられるアルコールの量は、4モル〜40モルの範囲内であってもよく、4モル〜30モルの範囲内であることが好ましく、6モル〜25モルの範囲内であることがより好ましく、6モル〜20モルの範囲内であることがなお好ましい。上記のプロセスにおいて、ハロゲン化マグネシウム1モルあたりに用いられるエポキシ化合物の量は、1モル〜10モルの範囲内であってもよく、2モル〜6モルの範囲内であることが好ましい。
【0028】
ハロゲン化マグネシウムの化合物の例としては、限定するわけではないが、二塩化マグネシウム、二臭化マグネシウム、塩化フェノキシマグネシウム、塩化イソプロポキシマグネシウム、および、塩化ブトキシマグネシウムが挙げられ、二塩化マグネシウムが好ましい。上記のハロゲン化マグネシウムは、単独の化合物が用いられてもよいし、化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
上記のアルコール化合物は、一般化学式ROHで表される化合物であることが好ましい(RはC−C12アルキル基、C−C10シクロアルキル基、C−C12アラルキル基、又は、C−C10アリル基であり、好ましくはC−Cアルキル基である)。また、上記のアルコール化合物はグリコールであってもよい。本発明において有用なアルコール化合物の例としては、限定するわけではないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、エチレングリコール、及び、プロピレングリコールが挙げられる。上記のアルコール化合物は、単独の化合物が用いられてもよいし、化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
上記の一般化学式(I)で表されるエポキシ化合物の例としては、限定するわけではないが、エポキシエタン、エポキシプロパン、エポキシブタン、エポキシクロロプロパン、エポキシクロロブタン、エポキシブロモプロパン、及び、エポキシブロモブタンが挙げられる。上記のエポキシ化合物は、単独の化合物が用いられてもよいし、化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
上記の不活性液体媒体は、液体の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、シリコーンオイル及びそれらの混合物の中から選ばれる媒体であってもよい。上記の不活性液体媒体の例としては、限定するわけではないが、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ケロシン、パラフィン油、ワセリン油、ホワイト油、メチルシリコーン油、及び、それらの混合物が挙げられる。不活性液体媒体を用いる場合、その量について特別な制限はない。しかしながら、上記の不活性液体媒体は、ハロゲン化マグネシウム1モルに対して、1/3〜20Lの量で用いられることが好ましく、2/3〜10Lの量で用いられることが好ましい。
【0032】
上記のプロセスにおいて、ハロゲン化マグネシウム及び/又はアルコールに存在する微量の水が、ハロゲン化マグネシウム−アルコール付加体溶液を形成する反応において含まれ得る。
【0033】
上述のプロセスの工程a)において、個々の材料は任意の大きさの容器に加えてもよい。
【0034】
ある実施形態において、マグネシウムを含有する球状の担体は、以下の工程を含むプロセスにより得てもよい:
1)密閉容器内にて、ハロゲン化マグネシウム、アルコール及び不活性液体媒体の混合物を30℃〜160℃の温度で、好ましくは60℃〜120℃の温度で、撹拌しながら加熱することにより、ハロゲン化マグネシウム−アルコール付加体溶液を生成する工程、及び、
2)撹拌しながら、エポキシ化合物をハロゲン化マグネシウム−アルコール付加体溶液に加え、こうして得られる混合物を30℃〜160℃の温度で、好ましくは60℃〜120℃の温度で反応させることにより、粒子状のマグネシウムを含有する球状の担体を形成する工程。
【0035】
他の実施形態において、マグネシウムを含有する球状の担体は、以下の工程を含むプロセスにより得てもよい:
1)密閉容器内にて、ハロゲン化マグネシウム、アルコール及び不活性液体媒体の混合物を30℃〜160℃の温度で、好ましくは60℃〜120℃の温度で、撹拌しながら加熱することにより、ハロゲン化マグネシウム−アルコール付加体溶液を生成する工程、及び、
2)撹拌しながら、ハロゲン化マグネシウム−アルコール付加体溶液を、エポキシ化合物及び不活性液体媒体の混合物に加え、こうして得られる混合物を30℃〜160℃の温度で、好ましくは60℃〜120℃の温度で反応させることにより、粒子状のマグネシウムを含有する球状の担体を形成する工程。
【0036】
工程1)及び工程2)で用いられる不活性液体媒体の総量は、ハロゲン化マグネシウム1モルに対して、1/3〜20Lの範囲内であり、2/3〜10Lの範囲内であることが好ましい。上記の不活性液体媒体は、工程1)と工程2)との間で任意の適切な比に分配してもよい。例えば、工程1)で用いられる不活性液体媒体と、工程2)で用いられる不活性液体媒体との比は1:10〜5:1の範囲内であってもよい。
【0037】
他の実施形態において、マグネシウムを含む球状の担体は、以下の工程を含むプロセスにより得てもよい:撹拌しながら60℃以下の温度で密閉容器内にて不活性液体媒体中におけるハロゲン化マグネシウムと、アルコールとを反応し、ハロゲン化マグネシウム−アルコール付加体溶液を形成する工程;そこにエポキシ化合物を加える工程;こうして得られる混合物を撹拌しながら60℃〜160℃の温度に、好ましくは60℃〜120℃の温度に加熱し、混合物を十分に反応し、マグネシウムを含む球状の担体粒子を形成する工程。この実施形態において、用いるアルコールの量は、ハロゲン化マグネシウム1モルに対して、10モル〜30モルの範囲内であることが好ましく、15モル〜25モルの範囲内であることがより好ましい。
【0038】
本発明に係るマグネシウムを含む球状の担体のDSC曲線は、70℃〜250℃の温度の範囲内に明確な発熱ピークを有し、上記の発熱ピークは100℃〜220℃の温度でピーク最大値を有し、これは、40J/g以上の大きさの発熱エンタルピーに相当する。ある実施形態では、ピーク最大値が100℃〜200℃の温度に現れる。他の実施形態では、ピーク最大値が130℃〜210℃の温度に現れる。他の実施形態では、ピーク最大値が130℃〜200℃の温度に現れる。ある実施形態では、発熱ピークが、100J/g以上の大きさの発熱エンタルピーに相当する。
【0039】
本発明に係るマグネシウムを含む球状の担体のX線回析像は、5°〜15°の2θ角度の範囲内に少なくとも二つの回析線を有し、最も強い回析線が10.0°±0.4°の2θ回析角度の範囲内に現れ、且つ、最も強い二次回析線が10.5°〜12.5°の2θ回析角度の範囲内に現れる。例えば、最も強い二次回析線は11.5°±0.4°の2θ回析角度の範囲内に現れる。最も強い二次回析線は、最も強い回析線の強度に対して少なくとも0.2倍の強度を有する。X線回析像は、15°〜32°の2θ角度の範囲内で幅広い回析ピークを有し、20°〜21°の2θ角度の範囲内にピーク最大値を有し、16.5°±0.4°及び/又は25.6°±0.4°の2θ角度の範囲内にショルダーピークを有する。
【0040】
どんな特定の理論にも限定されないとすると、MgX、ROH、及び、化学式(I)で表されるエポキシ化合物から得られる本発明に係るマグネシウムを含有する球状の担体は、以下の化学式(II)の構造を有する:
【0041】
【化3】

【0042】
(ただし、p+m+n=2)。
【0043】
例として、二塩化マグネシウム、エポキシクロロプロパン及びエタノールから得られる担体を必要とするとき、マグネシウム化合物を以下の反応機構により形成することができる。
【0044】
【化4】

【0045】
本発明に係る触媒成分である成分(2)としてのチタン化合物は、化学式Ti(OR4−mで表される少なくとも一つの化合物であることが特に好ましい(RはC−C14脂肪族ヒドロカルビル(hydrocarbyl)、XはF、Cl、Br、I又はそれらの組み合わせ、mは1〜4の範囲の整数である)。上記のチタン化合物の例としては、限定するわけではないが、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、テトラブトキシチタン、テトラエトキシチタン、塩化トリブトキシチタン、二塩化ジブトキシチタン、三塩化ブトキシチタン、塩化トリエトキシチタン、二塩化ジエトキシチタン、三塩化エトキシチタン、及び、それらの混合物が挙げられ、四塩化チタンであることが好ましい。また、成分(2)としてのチタン化合物は、三塩化チタンであってもよい。
【0046】
本発明に係る触媒成分である任意の成分(3)としての内部電子供与体は、エステル、エーテル、ケトン、アミン及びシランのような内部電子供与体として有用な当技術分野にて既知である様々な化合物の中から選ばれるものであってよい。内部電子供与体は、モノカルボン酸のエステル及びポリカルボン酸のエステル、ジオールのエステル及びエーテルの中から選ばれるものであることが好ましい。
【0047】
好ましいモノカルボン酸及びポリカルボン酸のエステルとしては、安息香酸エステル、フタル酸エステル、マロン酸エステル、コハク酸エステル、グルタル酸エステル、ピバリン酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、マレイン酸エステル、ナフタレンジカルボン酸エステル、トリメリット酸、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸エステル、ピロメリット酸、及び、炭酸エステルが挙げられる。上記のエステルの例としては、安息香酸エチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジブチル、コハク酸ジエチル−2,3−ジイソプロピル、コハク酸ジイソブチル−2,3−ジイソプロピル、コハク酸ジ−n−ブチル−2,3−ジイソプロピル、コハク酸ジメチル−2,3−ジイソプロピル、コハク酸ジイソブチル−2,2−ジメチル、コハク酸ジイソブチル−2−エチル−2−メチル、コハク酸ジエチル−2−エチル−2−メチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、ナフタレンジカルボン酸ジエチル、ナフタレンジカルボン酸ジブチル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸トリブチル、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸トリエチル、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸トリブチル、ピロメリット酸テトラエチル、ピロメリット酸テトラブチル等が挙げられる。
【0048】
さらに、好ましいエステル化合物には、以下の一般化学式(III)で表されるポリオールのエステルが含まれる:
【0049】
【化5】

【0050】
(R〜R及びR〜R2nは、単独で又は個別で、水素、ハロゲン、又は、飽和若しくは不飽和である、直鎖の若しくは分枝鎖のC−C20アルキル基、C−C20シクロアルキル基、C−C20単環アリル基若しくは多環アリル基、C−C20アルキルアリル基、C−C20アリルアルキル基、C−C10アルケニル基、若しくは、C−C10アルケニルエステル基である。ただし、R及びRは水素ではない。R〜R及びR〜R2nは、任意で、炭素原子若しくは水素原子又はその両方を置換することで一つ又はそれ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。ヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄、ケイ素、リン及びハロゲンから選ばれる原子である。一つ又はそれ以上のR〜R及びR〜R2nは、結合して環構造を形成していてもよい。そして、nは0〜10の範囲の整数である)。
【0051】
好ましいジオールのエステルは、以下の一般化学式(IV)で表されるエステルである:
【0052】
【化6】

【0053】
(R−RVIは、単独で又は個別で、水素、C−C10直鎖アルキル基又は分枝鎖アルキル基、C−C10シクロアルキル基、C−C10アリル基、C−C10アルカリール(alkaryl)基、C−C10アラルキル基である。R−RVIのうち二つ又はそれ以上の官能基は、結合して一つ又はそれ以上の環構造を形成していてもよい。RVII及びRVIIIは、単独で又は個別で、C−C10直鎖アルキル基又は分枝鎖アルキル基、C−C20シクロアルキル基、C−C20アリル基、C−C20アルカリール基又はC−C20アラルキル基であり、アリル基、アルカリール基又はアラルキル基におけるフェニル環の水素原子は、任意で、ハロゲン原子に置換してもよい)
一般化学式(IV)で表されるジオールのエステルにおいて、R、RII、R及びRVIは、同時に、水素を示さないことが好ましく、R、RII、R及びRVIのうち少なくとも一つが水素であることがより好ましく、R及びRIIのうち一方が水素であることがなお好ましく、R及びRIIのうち他方は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、又は、ハロフェニル基であることが好ましい。R及びRVIのうち一方が水素であることが好ましく、R及びRVIのうち他方は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、又は、ハロフェニル基であることが好ましい。
【0054】
適切なジオールのエステルの例としては、限定するわけではないが、二安息香酸1,3−プロピレングリコール、二安息香酸2−メチル−1,3−プロピレングリコール、二安息香酸2−エチル−1,3−プロピレングリコール、二安息香酸2,2−ジメチル−1,3−プロピレングリコール、二安息香酸(R)−1−フェニル−1,3−プロピレングリコール、二安息香酸1,3−ジフェニル−1,3−プロピレングリコール、ジプロピオン酸1,3−ジフェニル−1,3−プロピレングリコール、ジプロピオン酸2−メチル−1,3−ジフェニル−1,3−プロピレングリコール、二酢酸2−メチル−1,3−ジフェニル−1,3−プロピレングリコール、二安息香酸2,2−ジメチル−1,3−ジフェニル−1,3−プロピレングリコール、ジプロピオン酸2,2−ジメチル−1,3−ジフェニル−1,3−プロピレングリコール、二安息香酸1,3−ジ−tert−ブチル−2−エチル−1,3−プロピレングリコール、二酢酸1,3−ジフェニル−1,3−プロピレングリコール、ジ−4−ブチル安息香酸1,3−ジイソプロピル−1,3−プロピレングリコール、二安息香酸2−アミノ−1−フェニル−1,3−プロピレングリコール、二安息香酸2−メチル−1−フェニル−1,3−ブチレングリコール、ジピバリン酸フェニル−2−メチル−1,3−ブチレングリコール、二安息香酸3−ブチル−2,4−ペンチレングリコール、二安息香酸3,3−ジメチル−2,4−ペンチレングリコール、二安息香酸(2S,4S)−(+)−2,4−ペンチレングリコール、二安息香酸(2R,4R)−(+)−2,4−ペンチレングリコール、ジ−p−クロロ安息香酸2,4−ペンチレングリコール、ジ−m−クロロ安息香酸2,4−ペンチレングリコール、ジ−p−ブロモ安息香酸2,4−ペンチレングリコール、ジ−o−ブロモ安息香酸2,4−ペンチレングリコール、ジ−p−メチル安息香酸2,4−ペンチレングリコール、ジ−p−tert−ブチル安息香酸2,4−ペンチレングリコール、ジ−p−ブチル安息香酸2,4−ペンチレングリコール、ジ−p−クロロ安息香酸2−メチル−1,3−ペンチレングリコール、ジ−p−メチル安息香酸2−メチル−1,3−ペンチレングリコール、ジ−p−メチル安息香酸2−ブチル−1,3−ペンチレングリコール、ジ−p−tert−ブチル安息香酸2−メチル−1,3−ペンチレングリコール、ピバリン酸2−メチル−1,3−ペンチレングリコール、安息香酸桂皮酸2−メチル−1,3−ペンチレングリコール、二安息香酸2,2−ジメチル−1,3−ペンチレングリコール、安息香酸桂皮酸2,2−ジメチル−1,3−ペンチレングリコール、二安息香酸2−エチル−1,3−ペンチレングリコール、二安息香酸2−ブチル−1,3−ペンチレングリコール、二安息香酸2−アリル−1,3−ペンチレングリコール、二安息香酸2−メチル−1,3−ペンチレングリコール、二安息香酸2−エチル−1,3−ペンチレングリコール、二安息香酸2−プロピル−1,3−ペンチレングリコール、二安息香酸2−ブチル−1,3−ペンチレングリコール、二安息香酸2,2−ジメチル−1,3−ペンチレングリコール、ジ−p−クロロ安息香酸1,3−ペンチレングリコール、ジ−m−クロロ安息香酸1,3−ペンチレングリコール、ジ−p−ブロモ安息香酸1,3−ペンチレングリコール、ジ−o−ブロモ安息香酸1,3−ペンチレングリコール、ジ−p−メチル安息香酸1,3−ペンチレングリコール、ジ−p−tert−ブチル安息香酸1,3−ペンチレングリコール、ジ−p−ブチル安息香酸1,3−ペンチレングリコール、安息香酸桂皮酸1,3−ペンチレングリコール、二桂皮酸1,3−ペンチレングリコール、ジプロピオン酸1,3−ペンチレングリコール、安息香酸桂皮酸2−メチル−1,3−ペンチレングリコール、二安息香酸2,2−ジメチル−1,3−ペンチレングリコール、安息香酸桂皮酸2,2−ジメチル−1,3−ペンチレングリコール、二安息香酸2−エチル−1,3−ペンチレングリコール、二安息香酸2−ブチル−1,3−ペンチレングリコール、二安息香酸2−アリル−1,3−ペンチレングリコール、安息香酸桂皮酸2−メチル−1,3−ペンチレングリコール、ジイソプロピルギ酸2,2,4−トリメチル−1,3−ペンチレングリコール(2,2,4-trimethyl-1,3-pentylene glycol diisopropylformate)、二安息香酸1−トリフルオロメチル−3−メチル−2,4−ペンチレングリコール、ジ−p−フルオロメチル安息香酸2,4−ペンチレングリコール、ジ−2−フランカルボン酸2,4−ペンチレングリコール、二安息香酸2−メチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸3−メチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸4−メチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸5−メチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸6−メチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸3−エチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸4−エチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸5−エチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸6−エチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸3−プロピル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸4−プロピル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸5−プロピル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸6−プロピル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸3−ブチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸4−ブチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸5−ブチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸6−ブチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸3,5−ジメチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸3,5−ジエチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸3,5−ジプロピル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸3,5−ジブチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸3,3−ジメチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸3,3−ジエチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸3,3−ジプロピル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸3,3−ジブチル−6−エン−2,4−ヘプチレングリコール、二安息香酸3−エチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸4−エチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸5−エチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸3−プロピル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸4−プロピル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸3−ブチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸2,3−ジメチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸2,4−ジメチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸2,5−ジメチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸2,6−ジメチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸3,3−ジメチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸4,4−ジメチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸4,5−ジメチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸4,6−ジメチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸4,4−ジメチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸6,6−ジメチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸3−エチル−2−メチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸4−エチル−2−メチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸5−エチル−2−メチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸3−エチル−3−メチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸4−エチル−3−メチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸5−エチル−3−メチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸3−エチル−4−メチル−3,5−ヘプチレングリコール、二安息香酸4−エチル−4−メチル−3,5−ヘプチレングリコール、9,9−ビス(ベンゾイルオキシメチル)フルオレン、9,9−ビス((m−メトキシベンゾイルオキシ)メチル)フルオレン、9,9−ビス((m−クロロベンゾイルオキシ)メチル)フルオレン、9,9−ビス((p−クロロベンゾイルオキシ)メチル)フルオレン、9,9−ビス(シノイルオキシメチル)フルオレン(9,9-bis(cinnoyloxymethyl)fluorene)、9−(ベンゾイルオキシメチル)−9−(プロピオニルオキシメチル)フルオレン、9,9−ビス(プロピオニルオキシメチル)フルオレン、9,9−ビス(アクリロイルオキシメチル)フルオレン、及び、9,9−ビス(ピバリルオキシメチル)フルオレンが挙げられる。
【0055】
上記のジオールのエステルは、中国特許出願第1453298号公報及び中国特許出願第1436796号公報、国際特許出願03/068828及び国際特許出願03/068723に開示されており、それらの内容のうち関連する内容を本願に援用する。
【0056】
内部電子受容体として本発明において有用なエーテル化合物には、一般化学式(V)で示される1,3−ジエーテル化合物が含まれる:
【0057】
【化7】

【0058】
(R、RII、RIII、RIV、R及びRVIは、単独で又は個別で、水素、ハロゲン、直鎖及び分枝鎖のC−C20アルキル基、C−C20シクロアルキル基、C−C20アリル基、C−C20アルカリール基、及び、C−C20アラルキル基である。そして、R〜RVIのうち二つは、任意で、結合し環構造を形成していてもよい。RVII及びRVIII、単独で又は個別で、直鎖及び分枝鎖のC−C20アルキル基、C−C20シクロアルキル基、C−C20アリル基、C−C20アルカリール基、及び、C−C20アラルキル基から選ばれるものである)。
【0059】
1,3−ジエーテル化合物の例としては、限定するわけではないが、2−(2−エチルヘキシル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−sec−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−フェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2−(2−フェニルエチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(2−シクロヘキシルエチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−p−クロロフェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2−ジフェニルメチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジエチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−プロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−ベンジル−1,3−ジメトキシプロパン、2−エチル−2−メチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−フェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロヘキシル−2−メチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(2−シクロヘキシルエチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソブチル−2−メチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−(2−エチルヘキシル)−2−メチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジフェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジベンジル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(2−シクロヘキシルメチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−(1−メチルブチル)−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソペンチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−フェニル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−sec−ブチル−2−フェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2−ベンジル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロペンチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−sec−ブチル−2−シクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロヘキシル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−sec−ブチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−sec−ブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロヘキシル−2−シクロヘキシルメチル−1,3−ジメトキシプロパン、及びそれに類するものが挙げられる。
【0060】
上記の1,3−ジエーテル化合物は、中国特許第1020448号公報、中国特許第100348624号公報、中国特許出願第1141285号公報に開示されており、それらの内容のうち関連する内容を本願に援用する。
【0061】
第2の形態において、以下の工程を含む、本発明は触媒組成物を得るためのプロセスを提供する:
(1)本発明に係るマグネシウムを含有する球状の担体を生成する工程、
(2)上記のマグネシウムを含有する球状の担体を、チタン化合物及び任意の内部電子供与体の化合物に接触させ、触媒組成物を形成する工程、
(3)上記の触媒組成物を回収する工程。
【0062】
ある実施形態では、本発明に係る触媒組成物は、以下の工程を含むプロセスによって得られる:通常−30℃〜0℃の範囲内であり、好ましくは−20℃〜−10℃の範囲内である液体温度に冷却された四塩化チタン又は四塩化チタンと不活性溶媒の混合物中に、マグネシウムを含有する球状の担体を懸濁させる工程;こうして得られる混合物を40℃〜130℃に温度に、好ましくは80℃〜130℃の温度に加熱し、その温度を0.5時間〜2.0時間維持する工程;次に、ろ過することにより固体を回収する工程;任意で、四塩化チタンを用いて上記の処理を1回又はそれ以上(好ましくは1〜4回)繰り返す工程;及び、最終的に、こうして得られた固体の触媒組成物を、不活性溶媒を用いて数回(例えば2〜5回)洗浄する工程。上記の不活性溶媒は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素であることが好ましく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、トルエン及びそれらに類するものが挙げられる。
【0063】
粒子状のマグネシウムを含む球状の担体と、チタン化合物の反応前、反応中、又は、反応後において、少なくとも一つの内部電子供与体の化合物が、上記のマグネシウムを含む球状の担体を処理するために用いられてもよい。特に、上記の触媒組成物が、プロピレンの重合に用いられることを目的とした触媒である場合、上記の内部電子供与体の化合物を添加することが、高いイソタクチック性(isotacticity)を備えるプロピレン重合体を得るために不可欠であり得る。
【0064】
上記のプロセスにおいて、マグネシウムを含む球状の担体中のマグネシウム1モルあたりの内部電子供与体の化合物の使用量は、0モル〜0.5モルの範囲内であってもよく、0.05モル〜0.3モルの範囲内であることが好ましい。そして、チタン化合物の使用量は、5モル〜50モルの範囲内であってもよく、8モル〜30モルの範囲内であることが好ましい。
【0065】
第3の形態では、本発明は、以下の組成の反応生成物を含む、オレフィン重合のための触媒を提供する:
a)本発明に係るチタン含有触媒組成物、
b)共触媒としてのアルキルアルミニウム化合物、及び、
c)任意の、外部電子供与体の化合物。
【0066】
共触媒として有用なアルキルアルミニウム化合物は、当業者により十分に知られたものである。上記のアルキルアルミニウム化合物は、一般化学式AlR3−nで表される化合物であることが好ましい(Rは、独立して水素又はC−C20ヒドロカルビル基であり、特に、C−Cアルキル基である。Xは、独立してハロゲンであり、特にClである。そして、nは0〜2の数値範囲である)。アルキルアルミニウム化合物は、単独で又は組み合わせて用いてもよい。好ましいアルキルアルミニウム化合物としては、AlEt、Al(i−C、Al(n−C、Al(n−C13、Al(n−C17、AlEtCl及びそれらに類するものが挙げられる。上記のアルキルアルミニウム化合物は、一般的に、成分(1)中のチタンに対する化合物中のアルミニウムのモル比が、5〜5000の範囲内であり、好ましくは20〜1000の範囲内であり、そして、より好ましくは50〜500の範囲内である量を用いる。
【0067】
上記の外部電子供与体は、外部電子供与体として有用な当技術分野において知られている化合物であってもよい。例えば、外部電子供与体は、モノカルボン酸、ポリカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル、ケトン、エーテル、ラクトン、有機リン化合物、又は、有機シリコン化合物であってもよく、有機シリコン化合物であることが好ましい。上記の外部電子供与体は、アルキルアルミニウム化合物1モルあたり0.005モル〜0.5モルの範囲内の量で用いてもよく、アルキルアルミニウム化合物1モルあたり0.01モル〜0.25モルの範囲内の量で用いることが好ましい。
【0068】
好ましい外部電子供与体としては、化学式RSi(ORで表されるシリコン化合物が挙げられる(x及びyは0〜2の範囲の整数であり、zは1〜3の範囲の整数であり、(x+y+z)の合計は4である。R、R及びRは、C−C18ヒドロカルビル基であり、C−C直鎖アルキル基、若しくは、分枝鎖アルキル基、又は、C−Cシクロアルキル基であることが好ましく、任意でヘテロ原子を含んでいてもよい)。特に好ましいシリコン化合物としては、xが1、yが1、zが2であり、R及びRのうち少なくとも一つは、分岐鎖アルキル基、アルケニル基、直鎖アルキル基、シクロアルキル基及びアリル基であり、任意でヘテロ原子を含んでいるものであり、RはC−C10アルキル基(特に好ましくはメチル基)である化合物が挙げられる。好ましいシリコン化合物の例としては、限定するわけではないが、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルtert−ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、2−エチルピペリジノtert−ブチルジメトキシシラン、1,1,1−トリフルオロ−2−プロピル(2−エチルピペリジノ)ジメトキシシラン、及び、1,1,1−トリフルオロ−2−プロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。
【0069】
さらに、好ましいシリコン化合物には、xが0、zが3であり、Rは分枝鎖アルキル基又はシクロアルキル基であり、任意でヘテロ原子が含まれており、Rがメチル基である化合物が挙げられる。この化合物の例としては、シクロヘキシルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、及びtert−ヘキシル(tert-hexyl)トリメトキシシランが挙げられる。
【0070】
アルキルアルミニウム化合物b)及び任意の外部電子化合物c)は、触媒組成物a)と、分離して、又は、混合して接触し反応し得る。
【0071】
上記の触媒は、オレフィンCH=CHR(RはH又はC1−12アルキル基)の単独重合及び共重合に有用である。
【0072】
従って、第4の形態において、本発明は、化学式CH=CHR(RはH又はC1−12アルキル基)で表されるオレフィン及び任意のコモノマーを、重合条件下で本発明に係る触媒に接触させ、オレフィン重合体を形成する工程、並びに、こうして得られる重合体を回収する工程を含むオレフィン重合プロセスを提供する。
【0073】
好ましい形態において、オレフィン重合は、プロピレンの単独重合又はプロピレンとコモノマーの共重合である。エチレンを含むプロピレンと共重合できるコモノマーの例には、エチレン、C4−12のα−オレフィン及びC5−20ジオレフィンが含まれる。
【0074】
オレフィン重合は、既知のプロセスによる、液体モノマーの液相中、不活性溶媒に溶解したモノマーの溶液中、若しくは、気相中、又は、気相と液相の組み合わせ中で実行される。重合温度は一般的に0℃〜150℃であり、好ましくは60℃〜90℃である。重合の圧力条件は常圧条件又は高圧条件である。重合において、ポリマーの分子量の調整剤としての水素を、ポリマー分子量を調整するために重合反応装置に加えてもよい。
【0075】
〔実施例〕
以下の実施例は、本発明をさらに説明するために提供するものであり、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0076】
試験方法:
1.重合体のメルト・インデックス:ASTM D1238−99(230℃、且つ、2.16kgの荷重)により測定した。
2.重合体のイソタクチック性:以下に基づき実行されるヘプタン抽出法により測定した(乾燥重合体サンプル2gを、6時間、抽出装置内で沸騰ヘプタンを用いて抽出した。そして、残留物質を一定の重量になるまで乾燥し、2gに対する残留重合体の質量の比をイソタクチック性と見なした)。
3.粒子サイズ分布:粒子状のハロゲン化マグネシウムの付加体の平均粒子サイズ及び粒子サイズ分布をMasters Sizer Model 2000(Malvern Instruments Co., Ltd.製)により測定した。
4.DSC曲線:パーキンエルマー社より販売されているDSC7装置により得られるものである(窒素雰囲気下、10℃/分の速度で25℃〜300℃に昇温)。
5.X線回析像:フィリップス社(オランダ)より販売されている黒鉛単色光分光器及びシンチレーション計数管を備えたX'Pert MPD Model多機能X線回析計を用いて以下の条件下により得られるものである(CuKα(λ=1.5406Å)、管電圧が40kV、管電流が40mA、DS=SS=1°スロットシステム、受像スロットが0.3mm、スキャン速度が3°(2θ)/分、且つ、スキャン範囲が5°〜80°(2θ))。
【0077】
(実施例1)
(A.球状のマグネシウムを含む化合物の生成)
500mLの反応装置に、二塩化マグネシウム7.2g、ホワイト油180mL、及び、エタノール82mLを連続的に投入し、この内容物を90℃まで撹拌しながら加熱した。この内容物を90℃で1時間反応させ、その後、エポキシクロロプロパン24mLを反応装置に加え、そして、90℃で0.5時間、反応させ続けた。ろ過することにより液体を除去した後、残留固体をヘキサンで五回洗浄し、その後、減圧下で乾燥し、球状のマグネシウムを含む化合物を得た。
【0078】
(B.球状の触媒組成物の生成)
四塩化チタン100mLを300mLのガラス製反応装置に加え、−20℃に冷却した。次に、上記の球状のマグネシウムを含む化合物を反応装置に加え、そして、その内容物を加熱しながら、フタル酸ジイソブチル(DIBP)1.5mLを反応装置に加え、110℃まで加熱した。ろ過することにより液体を除去し、その後、残留固体を四塩化チタンで二回洗浄し、ヘキサンで三回洗浄し、その後、真空条件下で乾燥し、球状の触媒組成物を得た。
【0079】
(C.ポリエチレンの重合)
プロピレンの液相バルク重合は、以下の方法により、5Lのステンレス鋼のオートクレーブ内で行った。窒素雰囲気下でオートクレーブに、プロピレン2.5L、1mmolのトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液10mL、0.05mmolのメチルシクロヘキシルジメトキシシラン(CHMMS)のヘキサン溶液1mL、上記で得られた触媒組成物10mg、水素ガス1.5L(標準体積)を連続的に投入した。この内容物を70℃まで加熱し、70℃で1時間、重合反応を続けた。オートクレーブを冷却し、その後、圧力をベントした。オートクレーブを開け、そして、得られたプロピレン重合体を回収した。
【0080】
図1は本実施例で得られる担体のDSC曲線を示している。そして、図3はこの担体のX線回析像を示している。図2は化学式MgCl・2.7COHで表される既知の二塩化マグネシウム付加体のDSC曲線を示している。そして、図4は、この二塩化マグネシウム付加体のX線回析像を示している。さらに、図5は、様々な担体のX線回析像を示している(aはMgClのX線回析像、bはMgCl・2.7COHのX線回析像、cはジエトキシマグネシウムのX線回析像、dは本発明に係る担体のX線回析像を示している)。上記のDSC曲線及びX線回析像を比べることにより、本発明に係るマグネシウム含有担体が、当技術分野において周知である二塩化マグネシウム−エタノール付加体担体、及び、二塩化マグネシウム担体とは異なっていることが分かる。
【0081】
(実施例2)
四塩化チタン100mLを300mLのガラス製反応装置に加え、−20℃に冷却した。次に、実施例1の工程Aに基づく方法で得られた球状の担体8gを、反応装置に加え、そして、内容物を110℃に加熱し、当該温度を0.5時間維持した。液体をろ過して除き、四塩化チタン80mL及びフタル酸ジイソブチル(DIBP)1.5mLを反応装置に加え、内容物を120℃に加熱した。0.5時間の反応後、濾過することで液体を除去し、残留固体を四塩化チタンで二回洗浄し、ヘキサンで三回洗浄し、その後、真空条件下で乾燥し、球状の触媒組成物を得た。
【0082】
プロピレンの重合を、実施例1に記載の手順に基づいて行った。
【0083】
(実施例3)
触媒組成物を、実施例2に記載の手順により得た。プロピレンの重合を、水素ガスの量を3.0L(標準体積)に変更した以外は、実施例1に記載の手順に基づいて行った。
【0084】
(実施例4)
触媒組成物を、実施例2に記載の手順により得た。プロピレンの重合を、水素ガスの量を5.0L(標準体積)に変更した以外は、実施例1に記載の手順に基づいて行った。
【0085】
(実施例5)
触媒組成物を、実施例2に記載の手順により得た。プロピレンの重合を、水素ガスの量を8.0L(標準体積)に変更した以外は、実施例1に記載の手順に基づいて行った。
【0086】
(実施例6)
触媒組成物を、内部電子供与体としてのフタル酸ジイソプロピルを、二安息香酸2,4−ペンチレングリコール(PDB)2.0mLに変更した点以外は、実施例2に記載の手順により得た。プロピレンの重合を、実施例1に記載の手順に基づいて行った。
【0087】
(実施例7)
触媒組成物を、内部電子供与体としてのフタル酸ジイソプロピルを、2−イソペンチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン(PPDE)2.0mLに変更した点以外は、実施例2に記載の手順により得た。プロピレンの重合を、実施例1に記載の手順に基づいて行った。
【0088】
【表1】

【0089】
表1は実施例1〜7において得られる触媒をプロピレンの重合に用いた場合の、重合の結果を示している。表1で示されるデータから、本発明に係る触媒は、高い重合活性と高い立体特異性を示し、そして、得られる重合体はポリマーファインの含有量が低いことが分かる。さらに、この触媒は、高い水素反応性を有していることが分かる。特に、重合体がメルト・インデックスを有している場合でさえ、高いイソタクチック性を有していることが分かる。
【0090】
(実施例8)
四塩化チタン100mLを300mLのガラス製反応装置に加え、−20℃に冷却した。次に、実施例1の工程Aに基づく方法で得られた球状の担体8gを、反応装置に加え、そして、内容物を加熱しながら、二安息香酸2,4−ペンチレングリコール(PDB)1.0mL及びフタル酸ジイソブチル(DIBP)0.5mLを加え、110℃に加熱した。ろ過することで、液体を除去し、その後、残留固体を四塩化チタンで二回洗浄し、ヘキサンで三回洗浄し、その後、真空条件下で乾燥し、球状の触媒組成物を得た。
【0091】
プロピレンの重合を、実施例1に記載の手順に基づいて行った。
【0092】
(実施例9)
触媒組成物を、実施例8に記載の手順により得た。プロピレンの重合を、水素ガスの量を5.0L(標準体積)に変更した以外は、実施例1に記載の手順に基づいて行った。
【0093】
(実施例10)
触媒組成物を、実施例8に記載の手順により得た。プロピレンの重合を、水素ガスの量を8.0L(標準体積)に変更した以外は、実施例1に記載の手順に基づいて行った。
【0094】
【表2】

【0095】
本明細書に引用された特許、特許出願、及び、試験方法を本願に援用する。
【0096】
本願発明は、典型的な実施例に基づき示されており、一方で、本発明の精神と範囲から逸脱しない限り様々な変更及び改変を行うことができるということが、当業者により理解され得る。従って、本発明を実行するために考えられる最良の形態として開示された特定の実施例に制限されるものではないが、本発明は、添付された特許請求の範囲における技術範囲内の全ての形態が含まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】実施例1にて得られる担体のDSC曲線を示す図である。
【図2】化学式MgCl・2.7COHで表される既知の二塩化マグネシウム−エタノール付加体のDSC曲線を示す図である。
【図3】実施例1にて得られる担体のX線回析像を示す図である。
【図4】化学式MgCl・2.7COHで表される既知の二塩化マグネシウム−エタノール付加体のX線回析像を示す図である。
【図5】様々な担体のX線回析像を示す図であり、aはMgClのX線回析像、bはMgCl・2.7COHのX線回析像、cはジエトキシマグネシウムのX線回析像、dは本発明に係る担体のX線回析像を示す図である。
【図6】実施例1にて得られる担体の顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の反応生成物を含み:
(1)球状の担体、
(2)チタン化合物、及び、
任意で、(3)電子供与体、
上記の球状の担体は、少なくとも以下の組成物の反応生成物を含むことを特徴とするオレフィン重合のための触媒組成物:
(a)MgX2−nの一般化学式で表されるハロゲン化マグネシウム(Xは独立してCl又はBr、Rは独立してC−C14アルキル基、C−C14アリル基、C−C14アルコキシ基、又は、C−C14アリルオキシ基、且つ、nは0又は1である)、
(b)アルコール化合物、及び、
(c)以下の一般化学式(I)で表されるエポキシ化合物:
【化1】

(R及びRは独立して水素、C−C直鎖アルキル基若しくは分枝鎖アルキル基、又は、C−C直鎖ハロアルキル基若しくは分枝鎖ハロアルキル基である)。
【請求項2】
上記のアルコール化合物は、一般化学式ROH(Rは独立してC−C12アルキル基、C−C10シクロアルキル基、C−C12アラルキル基、又は、C−C10アリル基である)で表されるアルコール化合物であることを特徴とする請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項3】
上記のハロゲン化マグネシウムは、二塩化マグネシウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の触媒組成物。
【請求項4】
がC−Cアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項5】
及びRは、単独で又は個別で、水素、C−Cアルキル基又はC−Cハロアルキル基を示していることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の触媒組成物。
【請求項6】
上記の球状の担体のX線回析像は、5°〜15°の2θ角度の範囲内に少なくとも二つの回析線を有し、
最も強い回析線が10.0°±0.4°の2θ回析角度の範囲内に現れ、
最も強い二次回析線が10.5°〜12.5°の2θ回析角度の範囲内に現れ、且つ、
最も強い二次回析線は最も強い回析線の強度に対して少なくとも0.2倍の強度を有し、
X線回析像は、15°〜32°の2θ角度の範囲内で幅広い回析ピークを有し、
20°〜21°の2θ角度の範囲内にピーク最大値を有し、
16.5°±0.4°及び/又は25.6°±0.4°の2θ角度にショルダーピークを有することを特徴とする請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項7】
上記の球状の担体のDSC曲線は、70℃〜250℃の温度の範囲内に明確な発熱ピークを有し、
上記の発熱ピークは100℃〜220℃の温度でピーク最大値を有し、且つ、40J/g以上の大きさの発熱エンタルピーに相当することを特徴とする請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項8】
上記のチタン化合物は、化学式Ti(OR4−m(RはC−C14脂肪族ヒドロカルビル基、XはF、Cl、Br、又はI、mは1〜4の範囲の整数である)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の触媒組成物。
【請求項9】
電子供与体は、モノカルボン酸のエステル及びポリカルボン酸のエステル、ジオールのエステル及び1,3−ジエーテルのエステルの中から選ばれることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の触媒組成物。
【請求項10】
上記のモノカルボン酸のエステル及び上記のポリカルボン酸のエステルは、安息香酸エステル、フタル酸エステル、マロン酸エステル、コハク酸エステル、グルタル酸エステル、ピバリン酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、マレイン酸エステル、ナフタレンジカルボン酸エステル、トリメリット酸エステル、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸エステル、及び、ピロメリット酸エステルであることを特徴とする請求項9に記載の触媒組成物。
【請求項11】
上記のジオールのエステルは、以下の一般化学式(IV)で表されるエステルであることを特徴とする請求項9に記載の触媒組成物:
【化2】

(R−RVIは、単独で又は個別で、水素、C−C10直鎖アルキル基又は分枝鎖アルキル基、C−C10シクロアルキル基、C−C10アリル基、C−C10アルカリール基、又は、C−C10アラルキル基を示す。R−RVIのうち二つ又はそれ以上の官能基は、結合して一つ又はそれ以上の環構造を形成していてもよい。RVII及びRVIIIは、単独で又は個別で、C−C10直鎖アルキル基又は分枝鎖アルキル基、C−C20シクロアルキル基、C−C20アリル基、C−C20アルカリール基又はC−C20アラルキル基であり、アリル基、アルカリール基又はアラルキル基におけるフェニル環の水素原子は、任意で、ハロゲン原子に置換してもよい)。
【請求項12】
上記の一般化学式(IV)におけるR、RII、R及びRVIは、同時に水素を示さないことを特徴とする請求項11に記載の触媒組成物。
【請求項13】
上記の一般化学式(IV)における、
及びRIIのうち一方が水素であり、
及びRIIのうち他方は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、又は、ハロフェニル基であり、且つ、
及びRVIのうち一方が水素であり、
及びRVIのうち他方は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、又は、ハロフェニル基であることを特徴とする請求項11に記載の触媒組成物。
【請求項14】
以下の工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の触媒組成物を得るためのプロセス:
a)容器内にて、MgX2−n(X及びRは請求項1にて定義されたもの)の一般化学式で表されるハロゲン化マグネシウム、アルコール化合物、及び、任意で不活性液体媒体を混合し、こうして得られる混合物を30℃〜160℃の温度に加熱し、且つ、反応させることにより、ハロゲン化マグネシウム−アルコール付加体溶液を形成する工程、
b)上記のハロゲン化マグネシウム−アルコール付加体溶液と、以下の一般化学式(I)で示されるエポキシ化合物とを30℃〜160℃の温度条件下で反応させ、球状の担体を形成する工程、
【化3】

(R及びRは請求項1にて定義されたもの)、
c)球状の担体をチタン化合物及び任意で電子供与体と接触させることにより触媒組成物を形成する工程、
d)上記の触媒組成物を回収する工程。
【請求項15】
以下の反応組成物を含むことを特徴とする化学式CH=CHR(Rは水素又はC1−12アルキル基)で表されるオレフィン重合のための触媒:
(1)請求項1〜13の何れか1項に記載の触媒組成物、
(2)アルキルアルミニウム化合物、及び、
(3)任意の外部電子供与体化合物。
【請求項16】
以下の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項15に記載の触媒:
−上記のアルキルアルミニウム化合物が、一般化学式AlR3−nで表される化合物のうち少なくとも一つである(Rは、独立して水素又はC−C20ヒドロカルビル基であり、特に、C−Cアルキル基である。Xは、独立してハロゲンであり、特にClである。且つ、nは0〜2の数値範囲である)。
−上記のアルキルアルミニウム化合物を、触媒組成物(1)中のチタンに対する化合物中のアルミニウムのモル比が、5〜5000の範囲内であり、好ましくは20〜1000の範囲内であり、そして、より好ましくは50〜500の範囲内である量を用いる。
−上記の外部電子供与体は、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル、ケトン、エーテル、ラクトン、有機リン化合物、及び、化学式RSi(ORで表される有機シリコン化合物(x及びyは独立して0〜2の範囲の整数であり、zは1〜3の範囲の整数であり、(x+y+z)の合計は4である。R、R及びRは、独立して、C−C18ヒドロカルビル基であり、好ましくは、C−C直鎖アルキル基、若しくは、分枝鎖アルキル基、又は、C−Cシクロアルキル基であり、任意でヘテロ原子を含んでいる)。
−外部電子供与体を、アルキルアルミニウム化合物1モルあたり0.005モル〜0.5モルの範囲内の量で用い、好ましくはアルキルアルミニウム化合物1モルあたり0.01モル〜0.25モルの範囲内の量で用いる。
−上記のアルキルアルミニウム化合物(2)、及び、任意の外部電子供与体化合物(3)を、触媒組成物(1)に分離して又は混合して接触し且つ反応させる。
【請求項17】
CH=CHR(Rは水素又はC1−12アルキル基)で表されるオレフィン及び任意のコモノマーを、重合条件下で、請求項15に記載の触媒に接触させオレフィン重合体を形成する工程、及び、
こうして得られる重合体を回収する工程、を含むことを特徴とするオレフィンを重合するプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−507491(P2013−507491A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533458(P2012−533458)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/CN2010/001631
【国際公開番号】WO2011/044760
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(503191287)中国石油化工股▲ふん▼有限公司 (35)
【出願人】(510016575)中国石油化工股▲ふん▼有限公司北京化工研究院 (8)
【氏名又は名称原語表記】BEIJING RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL INDUSTRY,CHINA PETROLEUM & CHEMICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.14,BEISANHUAN EAST ROAD,CHAOYANG DISTRICT,BEIJING 100013,CHINA
【Fターム(参考)】