説明

オートステレオスコピック表示装置

切り替え可能なオートステレオスコピック表示装置は、表示を生成する表示画素のアレイを持つ表示パネルであって、前記表示画素が行及び列に配置される、当該表示パネルと、ステレオスコピック画像が観察されることを可能にするように異なる画素からの出力を異なる空間的位置に向けるレンズ構成であって、前記表示パネルに平行な面内にある当該レンズ構成とを有する。前記レンズ構成は、レンズパターン又はレンズレプリカパターンを規定する電気的に切り替え可能なLC層を有し、前記LC層のLC配向は、前記レンズ構成が2Dモードと3Dモードとの間で切り替え可能であるように電気的に切り替え可能である。前記2Dモードにおいて、前記LC配向は、実質的に前記レンズ構成の面内の第1の方向であり、前記3Dモードにおいて、前記LC配向は、実質的に前記レンズ構成の面内の第2の垂直方向である。前記表示パネルの光出力は、前記第2の方向において偏光される。この構成は、前記表示パネル出力と前記LC配向方向との間の垂直関係が2つの垂直な観察面に対して維持されることを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示を生成する表示画素のアレイを持つ表示パネルと、異なるビューを異なる空間的位置に向けるイメージング構成とを有するタイプのオートステレオスコピック表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのディスプレイに使用するイメージング構成の第1の例は、例えば前記ディスプレイの下にある画素に対してサイジング及び配置されたスリットを持つ、バリアである。観察者は、頭部が固定位置にある場合に3D画像を知覚することができる。前記バリアは、前記表示パネルの前に配置され、奇数及び偶数画素列からの光が前記観察者の左及び右目に向けられるように設計される。
【0003】
このタイプの2ビュー表示設計の欠点は、前記観察者が固定位置にいなくてはならず、左又は右に約3cmしか動けないことである。より好適な実施例において、各スリットの下に2つのサブ画素列ではなく、複数存在する。このようにして、前記観察者は、左右に移動し、常に彼の目で立体画像を知覚することを可能にされる。
【0004】
このバリア構成は、製造しやすいが、光効率が低い。好適な代替案は、したがって、前記イメージング構成としてレンズ構成を使用することである。例えば、互いに平行に延在し、前記表示画素アレイの上を覆う細長いレンチキュラ素子のアレイが、設けられることができ、前記表示画素は、これらのレンチキュラ素子を通して観察される。
【0005】
前記レンチキュラ素子は、素子のシートとして設けられ、前記素子の各々は、細長い半円柱レンズ素子を有する。前記レンチキュラ素子は、前記表示パネルの列方向に延在し、各レンチキュラ素子は、表示画素の2以上の隣接した列のそれぞれのグループの上を覆う。
【0006】
各レンチキュル(lenticule)が、表示画素の2列と関連付けられる場合、各列内の表示画素は、それぞれの二次元サブ画像の縦のスライスを提供する。前記レンチキュラシートは、これら2つのスライス及び他のレンチキュルと関連付けられた表示画素列からの対応するスライスを、前記シートの前に位置するユーザの左目及び右目に向け、この結果、前記ユーザは、単一のステレオスコピック画像を観察する。前記レンチキュラ素子のシートは、したがって、光出力配向機能を提供する。
【0007】
他の構成において、各レンチキュルは、行方向における4以上の隣接した表示画素のグループと関連付けられる。各グループ内の表示画素の対応する列は、それぞれの二次元サブ画像から縦のスライスを提供するように適切に構成される。ユーザの頭部が、左から右に移動されると、一連の連続した異なるステレオスコピックビューが知覚され、例えば見て回る印象を作成する。
【0008】
上記の装置は、効果的な三次元表示を提供する。しかしながら、ステレオスコピックビューを提供するために、前記装置の水平解像度の犠牲が必要であることが理解される。この解像度の犠牲は、短距離から観察する小さなテキスト文字の表示のような特定のアプリケーションに対して許容不可能である。この理由から、二次元モードと三次元(ステレオスコピック)モードとの間で切り替え可能である表示装置を提供することが提案されている。
【0009】
これを実施する1つの方法は、電気的に切り替え可能なレンチキュラアレイを提供することである。二次元モードにおいて、前記切り替え可能装置のレンチキュラ素子は、"通過"モードで動作し、すなわち、光学的に透明な材料の平面シートと同じように機能する。結果として生じる表示は、前記表示パネルの本来の解像度に等しい、高い解像度を持ち、これは、短い観察距離からの小さなテキスト文字の表示に適している。前記二次元表示モードは、もちろん、ステレオスコピック画像を提供することができない。
【0010】
三次元モードにおいて、前記切り替え可能装置のレンチキュラ素子は、上記のとおり、光出力配向機能を提供する。結果として生じる表示は、ステレオスコピック画像を提供することができるが、上述の不可避の解像度損失を持つ。
【0011】
切り替え可能表示モードを提供するために、前記切り替え可能装置のレンチキュラ素子は、2つの値の間で切り替え可能である屈折率を持つ、液晶材料のような、電気光学材料で形成される。前記装置は、この場合、前記レンチキュラ素子の上及び下に設けられた平面電極に適切な電位を印加することにより前記モードの間で切り替えられる。前記電位は、隣接した光学的に透明な層のものに対して前記レンチキュラ素子の屈折率を変更する。前記切り替え可能装置の構造及び動作のより詳細な記載は、米国特許番号6069650に見つけられることができる。
【0012】
LCレンチキュラ切り替え可能ディスプレイの不利点は、特に表示画面に対する法線の上又は下のいずれかである位置から前記ディスプレイを見る場合に、依然として2Dモードにおいてレンズアクションが存在することである。これは、不所望な画像アーチファクトを引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、2Dモードにおけるレンズアクションの前述の問題に対して改良されたオートステレオスコピック表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、本発明による装置によって達成される。
【0015】
本発明は、独立請求項により規定される。従属請求項は、有利な実施例を規定する。
【0016】
本発明によると、オートステレオスコピック表示装置が提供され、前記オートステレオスコピック表示装置は、
‐表示を生成する表示画素のアレイを持つ表示パネルであって、前記表示画素が行及び列に配置される、当該表示パネルと、
‐ステレオスコピック画像が観察されることを可能にするように異なる画素からの出力を異なる空間的位置に向けるレンズ構成であって、前記表示パネルに平行な面内にある当該レンズ構成と、
を有し、
前記レンズ構成は、レンズパターン又はレンズレプリカパターンを規定する電気的に切り替え可能なLC層を有し、前記LC層のLC配向は、前記レンズ構成が2Dモードと3Dモードとの間で切り替え可能であるように電気的に切り替え可能であり、
前記2Dモードにおいて、前記LC配向は、実質的に前記レンズ構成の面内の第1の方向であり、前記3Dモードにおいて、前記LC配向は、実質的に前記レンズ構成の面内の第2の垂直方向であり、前記表示パネルの光出力は、前記第2の方向において偏光される。
【0017】
この構成において、前記切り替え可能レンズ装置のLC分子配向は、前記ディスプレイの面内にある。この構成は、前記表示パネルの出力の偏光と前記LC配向方向との間の垂直関係が前記ディスプレイの平面に垂直な2つの面内の表示観察方向に対して維持されることを可能にする。
【0018】
一構成例において、前記表示パネル光出力は、前記ディスプレイの行又は列方向に沿って偏光される。
【0019】
したがって、前記表示出力偏光及び前記LC配向方向は、同じ面内である。これは、前記偏光方向と前記液晶の光軸との間の所望の90度の角が、水平(行)及び垂直(列)面において前記光出力方向と実質的に独立であることができる。
【0020】
他の構成において、前記レンズ構成は、細長いレンズの例を有し、前記表示パネルの光出力は、前記細長いレンズ軸に沿って又は垂直に偏光される。
【0021】
再び、前記表示出力偏光及び前記LC配向方向は、同じ面内である。前記偏光方向と前記液晶の光軸との間の所望の90度の角は、前記レンズ軸に平行及び垂直な面に対する光出力方向と独立である。小さな傾斜角に対して、これは、所望の90度の角が、再び、前記水平及び垂直面において前記光出力方向と実質的に独立であることを意味する。
【0022】
一構成例において、前記第1の(2D)方向は、前記レンズ軸に垂直であり、前記第2の方向は、前記レンズ軸に平行であり、前記表示パネルの光出力は、前記レンズ軸に平行な方向において偏光され、前記レンズ構成は、前記2Dモードに電気的に切り替えられる。前記2Dモードにおいて、前記偏光方向は、前記レンズに沿っており、前記LC配向は、前記レンズを横切る。前記3Dモードは、この場合、前記レンズ構成の定常状態LC配向に基づいて得られる。
【0023】
前記レンズ構成は、前記2Dモードへの切り替えを実施するために、前記レンズを横切る面内電場を発生する前記レンズ軸に平行な切り替え電極を有することができる。
【0024】
他の構成において、前記第1の方向は、前記レンズ軸に垂直であり、前記第2の方向は、前記レンズ軸に平行であり、前記表示パネルの光出力は、前記レンズ軸に平行な方向において偏光され、前記レンズ構成は、前記3Dモードに電気的に切り替えられる。再び、この実施に対する前記2Dモードにおいて、前記偏光方向は、前記レンズに沿っており、前記LC配向は、前記レンズを横切る。しかしながら、2Dモードは、前記レンズ構成の定常状態LC配向に基づいて得られる。
【0025】
前記レンズ構成は、前記3Dモードへの切り替えを実施するために、前記レンズに沿った面内電場を発生する前記レンズ軸に垂直な切り替え電極を有することができる。
【0026】
前記表示パネルは、個別にアドレス可能な放射型、透過型、屈折型又は回折型表示画素のアレイを有することができ、例えば、液晶表示パネルを有することができる。
【0027】
本発明は、表示パネルと、ステレオスコピック画像が観察されることを可能にするように前記表示パネル出力を異なる空間的位置に向ける切り替え可能なレンズ構成とを有するオートステレオスコピック表示装置を制御する方法をも提供し、前記方法は、
‐2Dモードと3Dモードとの間で選択するステップであって、前記2Dモードにおいて、前記LC配向は、実質的に前記レンズ構成の面内の第1の方向であり、前記3Dモードにおいて、前記LC配向は、実質的に前記レンズ構成の面内の第2の垂直な方向である、当該選択するステップと、
‐前記選択されたモードの動作を提供するように前記レンズ構成を電気的に切り替えるステップと、
‐前記選択されたモードに適した表示出力を提供するように前記表示パネルを駆動するステップであって、前記表示出力が前記第2の方向において偏光されるように制御される、当該駆動するステップと、
を有する。
【0028】
本発明の実施例は、添付の図面を参照して、純粋に例として、ここに記載される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】既知のオートステレオスコピック表示装置の概略的な斜視図である。
【図2】図1に示される表示装置のレンズアレイの動作原理を説明するのに使用される。
【図3】図1に示される表示装置のレンズアレイの動作原理を説明するのに使用される。
【図4】どのようにレンチキュラアレイが異なるビューを異なる空間的場所に提供するかを示す。
【図5】既知の設計に関連した問題であり、本発明により対処される問題を説明するのに使用される。
【図6】本発明の表示装置の第1の例を示す。
【図7】本発明の表示装置の第2の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、切り替え可能なオートステレオスコピック表示装置を提供し、ここで、切り替え可能なレンズ構成の切り替え可能なLC材料の光軸は、2つの直交する方向の間で切り替え可能であり、各方向が、前記表示パネルの面に平行な面内にある。これは、前記2Dモードにおいて、2つの観察面が前記ディスプレイに垂直である場合に、レンズ効果が避けられることを可能にする。
【0031】
図1は、既知の直視型オートステレオスコピック表示装置1の概略的な斜視図である。既知の装置1は、表示を生成するように空間的光変調器として機能するアクティブマトリクス型の液晶表示パネル3を有する。
【0032】
表示パネル3は、行及び列に配置された表示画素5の直交アレイを持つ。明確性のため、少数の表示画素5のみが、図1に示されている。実際には、表示パネル3は、約1千行及び数千列の表示画素5を有しうる。
【0033】
液晶表示パネル3の構造は、全体的に従来型である。特に、パネル3は、離間した透明ガラス基板の対を有し、前記基板の間には、配向ツイストネマチック又は他の液晶材料が設けられる。前記基板は、対向する表面上に透明インジウムスズ酸化物(ITO)電極のパターンを持つ。偏光層も、前記基板の外面に設けられる。
【0034】
各表示画素5は、前記基板上の対向電極と、その間の介在する液晶材料とを有する。表示画素5の形状及びレイアウトは、前記電極の形状及びレイアウトにより決定される。表示画素5は、ギャップにより互いに規則的に離間される。
【0035】
各表示画素5は、薄膜トランジスタ(TFT)又は薄膜ダイオード(TFD)のような切り替え素子と関連付けられる。前記表示画素は、前記切り替え素子にアドレシング信号を供給することにより前記表示を生成するように動作され、適切なアドレシングスキームは、当業者に既知である。
【0036】
表示パネル3は、この場合、前記表示画素アレイの領域にわたり延在する平面バックライトを有する光源7により照射される。光源7からの光は、表示パネル3を通って向けられ、個別の表示画素5は、前記光を変調し、前記表示を生成するように駆動される。
【0037】
表示装置1は、表示パネル3の表示側の上に配置され、ビュー形成機能を実行するレンチキュラシート9をも有する。レンチキュラシート9は、互いに平行に延在するレンチキュラ素子11の行を有し、前記レンチキュラ素子の1つのみが、明確性のため、誇張された寸法で示されている。
【0038】
レンチキュラ素子11は、凸型円柱レンズの形式であり、表示パネル3からの異なる画像又はビューを、表示装置1の前に位置するユーザの目に提供する光出力配向手段として機能する。
【0039】
図1に示されるオートステレオスコピック表示装置1は、複数の異なる奥行きビューを異なる方向に提供することができる。特に、各レンチキュラ素子11は、各行における表示画素5の小さなグループを覆う。レンチキュラ素子11は、複数の異なるビューを形成するように、グループの各表示画素5を異なる方向に投影する。前記ユーザの頭部が、左から右に移動すると、前記ユーザの目は、前記複数のビューの異なるビューを受け取る。
【0040】
上述のように、電気的に切り替え可能なレンズ素子を提供することが提案されている。これは、表示が2Dモードと3Dモードとの間で切り替えられることを可能にする。
【0041】
図2及び3は、図1に示される装置において採用されることができる電気的に切り替え可能なレンチキュラ素子35のアレイを概略的に示す。前記アレイは、対向する面上に設けられたインジウムスズ酸化物(ITO)から形成される透明電極43、45を持つ透明ガラス基板39、41の対を有する。レプリケーション技術を使用して形成される逆レンズ構造47が、上側基板39に隣接して、基板39と41との間に設けられる。液晶材料49も、下側基板41に隣接して、基板39と41との間に設けられる。
【0042】
逆レンズ構造47は、図2及び3の断面に示されるように、逆レンズ構造47と下側基板41との間で、液晶材料49に平行な細長いレンチキュラ形状を取らせる。前記液晶材料と接触する逆レンズ構造及び下側基板41の表面は、前記液晶材料を配向させる配向層(図示されない)をも備える。
【0043】
図2は、電位が電極43、45に印加されない場合の前記アレイを示す。この状態において、液晶材料49の屈折率は、逆レンズアレイ47のものより実質的に高く、前記レンチキュラ形状は、したがって、図示されるように、光出力配向機能を提供する。
【0044】
図3は、約50ないし100ボルトの交流電位が電力43、45に印加される場合の前記アレイを示す。この状態において、液晶材料49の屈折率は、逆レンズアレイ47のものと実質的に同じであり、前記レンチキュラ形状の光出力配向機能は、図示されるように取り消される。したがって、この状態において、前記アレイは、"通過"モードで効果的に動作する。
【0045】
図1に示される表示装置において使用されるのに適した切り替え可能なレンチキュラ素子のアレイの構造及び動作の更なる細部は、米国特許番号6069650において見つけられることができる。
【0046】
図4は、上述のレンチキュラタイプのイメージング構成の動作の原理を示し、バックライト50、LCDのような表示装置54及びレンチキュラアレイ58を示す。図4は、どのようにレンチキュラ構成58が異なる画素出力を異なる空間的場所に向けるかを示す。
【0047】
本発明は、特に、前記表示出力が、レンズ構成LC層、特に、LC層の配向及び前記表示出力の偏光と相互作用する様式に関する。
【0048】
図2及び3に示される既知の構成において、前記表示パネルの線形偏光方向は、前記レンズの細長い軸の方向、すなわち図2及び3に対するページに入る方向である。
【0049】
したがって、前記レンズ構成の表示出力偏光及びLC配向は、図2において平行であり、図3において垂直である。更に、この平行及び垂直関係は、横方向の視角、すなわち図2及び3における法線方向の左及び右である光経路方向に対して維持される。
【0050】
この構成の不利点は、法線方向に関して前記ディスプレイの上又は下のいずれかである位置から観察する場合に前記2Dモードにおけるレンズ作用が存在することである。この効果は、前記2Dモードにおけるシステムの側面図を示す図5に示される。前記ディスプレイに対する法線と平行ではない光線60は、前記LC材料の異なる屈折率を受け、したがって、もはや前記レプリカの屈折率と一致しない。これは、偏光(矢印62により示される)が、もはや前記レンズ構成内の前記LC層の配向と完全に垂直ではないという事実による。その結果は、見えるアーチファクトを生じるレンズ作用である。前記2Dモードにおけるこのレンズ作用は、望ましくない。
【0051】
本発明は、前記2Dモードにおける複屈折LC材料の光配向軸が、前記ディスプレイの平面に実質的に平行に配向される構成を提供する。前記ディスプレイの偏光も、実質的に前記ディスプレイの平面内にあり、前記LCの光軸に垂直である。この組み合わせは、前記2Dモードにおける改良された観察体験をもたらす。前記光配向軸は、前記LC分子配向方向であり、これは、前記LC材料の異常屈折軸を示すベクトルと同一線上にある。
【0052】
前記3Dモードに対して、前記ディスプレイの偏光された光により見られる前記LCの屈折率は、前記2Dモードとは異なる必要がある。これは、前記ディスプレイの法線の周りで前記LC配向軸を回転させることにより達成される。したがって、前記レンズ構成の前記LC層の光配向軸は、両方のモードに対して前記ディスプレイの平面に平行である。モード間で切り替えるために、既知の面内切り替え技術が、使用されることができる。
【0053】
図6は、第1の実施例を示し、前記3Dモードの場合のシステムの上面図を示す。この例において、前記3Dモードは、電圧が前記電極に印加されない定常状態モードである。
【0054】
この構成において、前記定常3DモードにおけるLC配向は、(ドット70により示される)前記レンズ軸に平行であり、前記表示パネルの光出力は、(72により示される)前記レンズ軸に平行な方向において偏光される。
【0055】
この配向構成の利点は、配向が前記レンズ全体において実質的に同じであることである。
【0056】
前記レンズ構成は、前記レンズを横切る面内電場を発生する前記レンズ軸に平行な切り替え電極74を有する。
【0057】
電圧が前記電極に印加される場合、前記LC分子は、前記ディスプレイの法線の周りで回転し、前記ディスプレイは、この場合、前記2Dモードである。前記光軸は、この場合、前記レンズを横切る。しかしながら、たとえ光路の方向が前記法線の上又は下であっても、偏光方向72は、前記光軸に垂直なままであり、前記2Dモードにおけるレンズ作用の問題は、2つの垂直な面に対して避けられない。
【0058】
図7は、配向層及び電極の役割が入れ替えられる第2の実施例を示す。図7は、側面図を示す。
【0059】
前記配向層は、前記LCが、定常状態(電圧なし)状況において前記ディスプレイ上で水平に配向する。前記ディスプレイの偏光は、再び、前記レンズ軸に平行に選択され、すなわち、図7の面内にある。図7は、電圧が印加される条件を示し、これは、この場合に、前記3Dモードである。この構成において、定常2Dモードにおける前記LC配向は、前記レンズ軸に垂直である。
【0060】
前記レンズ構成は、前記レンズに沿った面内電場を発生するレンズ軸に垂直である。
【0061】
前記電極は、前記レンズのアレイにより横切られるアレイ内に配置される。
【0062】
前記電極構成は、面内電場を提供し、前記光軸は、前記表示パネルに平行な面内にある。しかしながら、特に前記電極が、前記LC層の1つの表面(前記層の縁ではなく)に配置されるので、完全な電場パターンは、可能ではない。電気力線は、最初に、前記法線に対してある角度で前記LC層に入り込み、次の電極に向けて曲がる。電極間の中点において、前記電気力線は、前記表示パネル面に平行である。この領域は、前記レンズの主な中央部分に対応するように選択される。"実質的に"前記ディスプレイに平行な面内である前記光軸に対する言及は、これに関連して理解されるべきである。特に、前記電気力線は、前記表示パネル面に平行な面内にある点(前記電極)の間に延在するが、この経路は、実際には直通の直線ではない。しかしながら、前記LC層の厚さを通って延在する横の電気力線とのコントラストは、明らかに好適である。前記表示パネル面に実質的に平行である光軸は、前記LC材料の面内切り替えにより達成される。したがって、電気的に切り替えられるモードの平行な光軸の代替的な規定は、モード間の切り替えに使用される電場が、面内切り替え電極構成により発生されるというものである。
【0063】
再び、同じ面内であることを目的とする定常状態条件に対する光配向は、従来の形で、光配向層を用いて実施される。例えば、ポリイミド配向層の材料は、AL−1051であることができる。
【0064】
本発明は、傾斜したレンチキュラレンズを使用する構成に応用されることができる。前記レンチキュラを傾けることにより、解像度損失を水平方向及び垂直方向の間で分散させることが可能であることが知られている。実際に、これは、知覚される画質を大幅に改良する。
【0065】
本発明は、前記レンズ構成の表示偏光方向及びLC光配向が前記2つのモードの一方において垂直であり、前記2つのモードの他方において平行であることを要求する。前記レンズ構成の2つの光配向方向は、前記傾斜されたレンズ方向に沿って及び横切っている、又は行方向及び列方向であることができる。表示出力の偏光方向は、これらの一方に平行であるように選択される。
【0066】
好ましくは、前記2Dモードは、前記観察者が前記ディスプレイに対する中央の通常位置から横方向に又は上下に移動する場合に、可能な限り視覚的アーチファクトなしに保たれる。これは、これらが前記観察者の自然な起こりうる移動であるからである。これは、行方向若しくは列方向における、又は傾斜角が小さい場合には前記レンズ軸に沿った若しくは垂直な前記ディスプレイの偏光を持つことにより達成される。
【0067】
しかしながら、前記表示パネルの面内の直交する方向の如何なる対も、前記表示出力偏光がこれらの一方に平行であるという条件で、前記レンズ構成LC層の前記2つのモードに対して選択されることができると理解される。この構成は、前記2Dモードにおける視覚的アーチファクトが最小に保たれる移動の2つの面を常に与える。他の観察位置に対する前記2Dモードの改良も存在する。(正確に又はおおよそ)横方向及び上下である前記2つの面の好適な構成は、本発明の範囲内の唯一の可能性である。
【0068】
前記電極は、前記レンズと同じピッチを持つことができ、上述のように、前記レンズの中央部分は、この場合、最良の電気力線方向と関連付けられることができる。しかしながら、電極の数は、レンズの数と異なってもよい。前記電極が前記レンズを横切る場合に、上記の第2の実施例において前記レンズ及び電極が対応しなくてはならないという必要条件は明らかに存在しない。
【0069】
前記切り替え可能なLC層は、レンズ部分として上で示されている。しかしながら、前記レンズレプリカが、切り替え可能部分であってもよい。
【0070】
単一軸液晶は、異常屈折率及び通常屈折率により記述される。前記レプリカの屈折率は、前記液晶の通常屈折率に近い。前記通常屈折率が、前記異常屈折率より大きい場合、前記レプリカのレンズ表面は、正レンズ形状を持つべきである。
【0071】
上記の例は、例えば50μmないし1000μmの範囲内の表示画素ピッチを持つ液晶表示パネルを採用する。しかしながら、有機発光ダイオード(OLED)又は陰極線管(CRT)表示装置のような、代替タイプの表示パネルが採用されてもよいことは、当業者に明らかである。前記ディスプレイの出力は、偏光される必要があり、追加の偏光子は、偏光された出力を持たない表示技術に対して提供されることができる。前記表示装置を製造するのに使用される製造及び材料は、これらが従来型であり、当業者に周知であるので、詳細には記載されていない。
【0072】
開示された実施例に対する他の変形例は、図面、開示及び添付の請求項の検討から、請求された発明を実施する当業者により理解及び達成されることができる。請求項において、単語"有する"は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞"ある"は、複数を除外しない。特定の方策が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの方策の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。請求項内の参照符号は、範囲を限定すると解釈されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り替え可能なオートステレオスコピック表示装置1において、
表示を生成する表示画素のアレイを持つ表示パネルであって、前記表示画素が、行及び列に配置される、当該表示パネルと、
ステレオスコピック画像が観察されることを可能にするように異なる画素からの出力を異なる空間的位置に向けるレンズ構成であって、前記表示パネルに平行な面内にある当該レンズ構成と、
を有し、
前記レンズ構成が、レンズパターン又はレンズレプリカパターンを規定する電気的に切り替え可能な液晶層を有し、前記液晶層の液晶配向は、前記レンズ構成が2Dモードと3Dモードとの間で切り替え可能であるように電気的に切り替え可能であり、
前記2Dモードにおいて、前記液晶配向が、実質的に前記レンズ構成の面内の第1の方向であり、前記3Dモードにおいて、前記液晶配向が、実質的に前記レンズ構成の面内の第2の垂直方向であり、
前記表示パネルの光出力が、前記第2の方向において偏光される、
装置。
【請求項2】
前記表示パネルの光出力が、前記表示の行又は列方向に沿って偏光される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記レンズ構成が、細長いレンズのアレイを有し、前記表示パネルの光出力が、前記細長いレンズ軸に沿って又は垂直に偏光される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の方向が、前記レンズ軸に垂直であり、前記第2の方向が、前記レンズ軸に平行であり、前記表示パネルの光出力が、前記レンズ軸に平行な方向において偏光され、前記レンズ構成が、前記2Dモードに電気的に切り替えられる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記レンズ構成が、前記レンズを横切る面内電場を発生する前記レンズ軸に平行な切り替え電極を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の方向が、前記レンズ軸に垂直であり、前記第2の方向が、前記レンズ軸に平行であり、前記表示パネルの光出力が、前記レンズ軸に平行な方向において偏光され、前記レンズ構成が、前記3Dモードに電気的に切り替えられる、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記レンズ構成が、前記レンズに沿った面内電場を発生する前記レンズ軸に垂直な切り替え電極を有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記表示パネルが、個別にアドレス可能な放射型、透過型、屈折型又は回折型表示画素のアレイを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記表示パネルが、液晶表示パネルである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
表示パネルと、ステレオスコピック画像が観察されることを可能にするように前記表示パネルの出力を異なる空間的位置に向ける切り替え可能なレンズ構成とを有するオートステレオスコピック表示装置を制御する方法において、
2Dモードと3Dモードとの間で選択するステップであって、前記2Dモードにおいて、液晶配向が、実質的に前記レンズ構成の面内の第1の方向であり、前記3Dモードにおいて、前記液晶配向が、実質的に前記レンズ構成の面内の第2の垂直方向である、当該選択するステップと、
前記選択されたモードの動作を提供するように前記レンズ構成を電気的に切り替えるステップと、
前記選択されたモードに適した表示出力を提供するように前記表示パネルを駆動するステップであって、前記表示出力が、前記第2の方向において偏光されるように制御される、当該駆動するステップと、
を有する方法。
【請求項11】
前記第1の方向が、前記レンズ軸に垂直であり、前記第2の方向が、前記レンズ軸に平行であり、前記表示パネルの光出力が、前記レンズ軸に平行な方向において偏光され、前記電気的に切り替えるステップが、前記レンズ構成を前記2Dモードに電気的に切り替えるように液晶層の異なる部分に異なる電圧を印加するステップを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の方向が、前記レンズ軸に垂直であり、前記第2の方向が、前記レンズ軸に平行であり、前記表示パネルの光出力が、前記レンズ軸に平行な方向において偏光され、前記電気的に切り替えるステップが、前記レンズ構成を前記3Dモードに電気的に切り替えるように液晶層の異なる部分に異なる電圧を印加するステップを有する、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−531617(P2012−531617A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516923(P2012−516923)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052780
【国際公開番号】WO2010/150166
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】