説明

オートマチック自動車のアクセル、ブレーキ誤操作回避装置(カートリッジ型)

【課題】オートマチック車はアクセル、ブレーキを右足のみで操作が可能であるが操作を一歩間違えると大事故になる可能性がある。
本発明はオートマチック車の究極の課題である、ヒューマンエラーに起因する悲惨な自動車事故を現用の技術を大幅に改善する事なく追加技術で防ぐ事が出来る。
【解決手段】アクセルペダルの信号はケーブルにより直接的にキャブレータのスロットルバルブを動かしている。
そこでキャブレーターに取り付いて居るブロック状のパーツを2つのプーリーにして異常状態が発生すると、前出の2つのプーリー間で切り離され、キャブレータのスロットルバルブに取り付けられているアイドルスプリング力によりエンジンがアイドルに戻る様にする。
切り離された2つのプーリー間の再連結は、アクセルペダルから放した時にスロットルケーブルがペダル側に付いているスプリング力で元の位置に戻る様にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のアクセル、ブレーキ誤操作回避装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代における自動車の運転方法には、オートとマニュアルとがあり、その殆んどがオート方式で運転操作上は便利で誰でも容易に運転出来る時代である。
その半面アクセルとブレーキの全く異なった操作を右足のみの操作で、若し間違った操作をしてしまった場合、現代の技術ではこの誤操作を回避する方法がなく大事故を引き起こしているのが現実である。
これは、所謂、オートマチック車が市場に出回った時点で安全性の問題点としてメーカとユーザーとの間で議論していたのであるが、いつの間にかその危険性は利便性の方が良くなって、どの自動車メーカも議論する事も無くなってしまっている。
最近、この種に関する事件、事故等が世界的なニュースとして報道されているが、それでも技術的に解決しようと言う報道を未だ聞き及んでいない。
トヨタがアメリカでアクセルペダルに関する問題でトヨタバッシングもどき報道で窮地に立たされた事、あるいは高齢者が悲惨な事故の当事者になった、と言う様な報道を受けるにつけ、何故なのかと言う疑問が湧き出て来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−048922
【特許文献2】特開平 5−185862
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、自動車運転当事者がパニックに陥っている時、当事者が異変に気付き瞬間的に判断するのでは無く、機械的にそのパニック状態から解き放せしめる事である。
そして当事者がその後異変に気付いた時点で、又械的に戻って通常の操作が続けられる事である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
人の動きは、異常状態に陥った場合、その時の動作を更に強めようとする習性がある。
アクセルペダルをブレーキペダルと間違え、更に強く右足を踏み込んでいる状態を本人は気付かないでいる。
この様な異常事態が発生した場合、それを感知して機械的にアクセルペダルの動きを断ち切れば良い事である。
一例をここに挙げたい。
即ち、アクセルペダルを思い切り踏みつけた時は、キャブレーターのスロットルバルブはフルオープンストップに当たっているはずである。
その異常な力や動きを利用して、アクセルペダルとキャブレーターの連携を瞬時に解き放す様にする。
そして、当事者が落ち着きを取り戻してアクセルペダルを放した時、機械的に元の位置に戻り通常の操作が継続出来る様にする。
【発明の効果】
【0006】
ヒューマンファクタでは、うっかり、あわて、狼狽等が発生した場合、普通では考えられない行動を起こしてしまうものである。
他人から見れば、何故そんな事故を起こしたのか、年寄りだから、当時者も後で何故こんな事になったのかと反省するのであるが、当事者は全く反対の行動を取っていて、結果的にアクセルを思いっきり踏みつけて大事故に発展してしまう。
本発明はその様なヒューマンファクターではどうしても防ぐ事の出来ない時態になった場合、機械的に確実性を持って防いでくれる。
そして、当事者が異常に気付き、アクセルペダル緩めた時点で、又アイドル状態に戻っている。
所謂、フールプルーフ構造である。
新しい機器を製造する場合、その構造は出来るだけ簡単な構造とする事が大前提であり、改造によって他の不具合が発生しては元も子も無くなってしまう。
特に、少しでも不具合があったり、例え一人の誤操作、あるいは改造による事故が発生した場合、危険を伴う大衆迎合の機械である自動車等では許される事では無く、その為小改造と言えどもこれらの件に関する開発は、どのメーカーも躊躇している様である。
本発明はその点も考慮し、出来るだけ現状に沿った一部分の部品の取り替えで済む様な設計であり、中古車のユーザーでも希望すれば簡単に取り付けられる様な新しい概念の、所謂カートリッジ型の部品である。
本部品を取り換えるだけで、オートマチック車の持つ安全に対する究極の課題を克服出来ものと思われる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】アクセルペダル誤操作回避装置の分解図である。
【図2】アクセルペダル誤操作回避装置の作動原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
交通事故をなくすと言う本来の目的を、ヒューマンファクターでは防ぎ切れない要素を機械的に防ぐ事が出来れば最高である。
自動車運転当事者が何らかの原因、あるいは動作の変化に対応出来ず思わずパニック状態に陥った場合、その後の動作は今の置かれている状態を更に進めようと言う心理が働き思わない方向に行ってしまうものである。
当事者がパニック状態を起こした場合、機械的にその状態から解放し異変に気が付いた時点で又元の状態に戻す様にする。

【実施例】
【0009】
図1はアクセルペダル誤操作回避装置の分解図である。
アクセルペダルの動きは、ペダル側プーリー 1 に伝えられ、キャブレーター側プーリー 2と通常一体型になっている。
キャブレータスロットルシャフト 2a への力の伝達は、前出のプーリー 1 と 2 に取り付けららている、ランプ 1a とランプ 2b のかみ合わせで間接的に伝えられる。
アクセルペダルは、通常運転席周辺にあるスプリングの力でアイドル方向へ力がかかる様セットされている。
アクセルペダルの踏み込むと、該スプリングの力に抗して、アクセルケーブル 1b を引張る方向(矢印 1 c )でペダル側プーリー 1に伝わる。
キャブレータ側プーリー 2 の動きは、キャブレータスロットルシャフト 2a にあるスプリング 2c によりキャブレータ側プーリー 2 を矢印 2h の方向に力がかかり、ペダル側プーリー 1 のランプ 1a に掛っている矢印 1c の力でお互いに押しつけられる様に力がかかっている。
通常はこの、結合状態を保ちながら、アクセルペダルの動きをキャブレタースロットルシャフト 2a に伝えている。
そして、アクセルペダルの動きはそのままキャブレータ 2f に取り付いて」いるスロットルバルブを動かしている。
アクセルペダルを強く踏み込む様な異常操作が発生した時、キャブレータ側に付いているストッパー 2g がフルオープン位置スクリュー 2e に当り(矢印 2i の方向)、キャブレータ側のプーリー 2 がそれ以上動かなくなり、前出の両プーリーに付いているランプ 1a とランプ 2b の結合が外れ、キャブレータ側プーリー 2 がスプリング 2c の力で、アイドル側に戻る(矢印 2j )。
ランプ 1a と ランプ 2b の噛みあわせ面はある角度を持たせてあり(図2のズレ角α)異常な力が加わった時にのみ、両者が外れる様になっておりこの時点でペダル側プーリー1とキャブレータ側プーリー2の関連性は無くなる。
この時ランプ 1a とランプ 2b は図 2 の異常状態脱出 D の状態で、ランプ 2b をランプ 1a が乗り越えている。
通常状態に於いてはスプリング 3 の力でプーリー 1, がプーリー 2 に押し付ける方向(矢印 3a )に力が加えられており、プーリー 1, に付いているランプ 1a ,2b 同士が外れない様に設定されている。
スプリング 3 の調節はロックナット 5 で調節する事が出来る。
ロックナット 5 を締め付けるとワッシャー 4 を通じ、スプリング 3 が押さえ付けられ,ペダル側プーリー 1 に力が加えられ(矢印3a)、同方向に固定されているキャブレータ側プーリー 2 に押しつけられる様になる。
この押しつけ量をコントロールしてランプ 1a とランプ 2b の結合状態が通常状態では外れる事なく、かつ異常な力が加わった場合にのみ外れる様に調節する必要がある。
ロックワッシャー 6 は、ロックナット 5 をセット後その位置から動かな様にする為であり、ロックナット 5 は2個を締め付けた後、セーフテイワイアー 7で確実にその位置を固定する様にし、かつユーザーが個人的に再調節をさせない様にシール 8 を貼り付けて置く。
この状態から当事者が異変に気付き、アクセルペダルを戻す動作をするとアクセルケーブル 1 はアクセルペダルに取り付けられているスプリングにより、アイドル位置調節スクリュー 2d に当たる位置までキャブレータスロットルシャフト 2a が戻る。
しかし、ペダル側プーリー 1はアクセルケーブル1がフレキシブルケーブルの為、押す力が伝わらないので、ペダル側プーリー 1 にスプリング 4 を取り付け、矢印1c の反対方向に力が働く様にしてペダル側プーリーのランプ 1a がキャブレーター側プーリーランプ 2b とのかみ合わせを確実にさせる。
【0010】
アクセルペダル誤操作回避装置の作動原理図である。
アイドル時 A 図に於いてペダル側プーリー 1 とキャブレータ側プーリ 2 にはほぼ同一構造のランプ1a、2b が反対方向に向かって取り付けられてある。(軸方向にブレを防止する為、180度反対側に同一ペアーのランプが設けられている)
ペダル側プーリー 1 には、矢印 A の力、キャブレータ側プーリー 2 には矢印 B の力がプリロードとしてかかっており、加えてスプリング 3 の力で両プーリーのランプの結合状態を維持している。
この状態で、通常運航時図 B の様にペダル側プーリー 1 とキャブレータ側プーリー 2 はずれる事なく、矢印 C の様に一体型作動をして、アクセルペダルの動きはそのままキャブレターのスロットルバルブに信号を送っている。
異常操作時 C の図に於いて、運転者がアクセルとブレーキを間違えてアクセルを強く抑え込むと、キャブレータに取り付いているフルオープン調節ネジスクリュー 2d が当たり、キャブレータ側プーリ 2 はそれ以上動く事が出来なくなる。
そこで、ペダル側プーリー 1 はスプリング 3 の力に抗して(矢印 D)、ランプのをかみ合わせを外し(矢印 E)、ランプを乗り越えてしまう。(両ランプには、ズレ角 α がセットされてあるので、滑りに要する力とスプリング 3 の圧力関係で滑りに対する力が決まる)
一度ランプを乗り越えると、異常操作脱出 D の図の様に、キャブレータ側プーリ 2 が自由となり、アイドル側に瞬時戻る(矢印 F)。
この時点では、ペダル側ランプ 1a は乗り越えておりスプリング 3 は圧縮されたままでキャブレータ側プーリー 2b とは繋がっていない。
運転者が異常操作に気付きアクセルペダルが緩められると、ペダル側プーリー 1 はアイドル方向、矢印 G の 方向に戻り、ペダル側プーリー 1 のランプ 1a がアイドル近くになるとキャブレータ側プーリー 2 のランプ 2b を乗り越えて矢印 H の方向に動き、アイドルに戻る。
スプリング 4 はアイドルに確実に戻る為の補助スプリングである。
【産業上の利用可能性】
【0011】
最近に於いてでも、アメリカでトヨタ自動車がアクセルの不具合の問題で会社存亡に関わりそうな風評被害を受け、日本でも特に高齢者がアクセル、ブレーキの踏み違いに起因する悲惨な事故が多数発生している。
この種の事故は人間の能力を超えていて、当事者だけでは処置出来なく、更に悪い方向に走ってしまう。
本発明は、出来るだけ現状に沿った改修であり、最少量部品の製作で調節機能を持ち合わせ、新たなる不具合点の出ない製作に努めた結果、開発製作者に対しても導入し易い様に努めた。
一方、利用者は、所謂、フールプルーフ仕様であるので、日頃から意識せず、悲惨な事故にも遭わなくて済むので安心して運転に専念出来る。
【符号の説明】
【0012】
アクセルペダル誤操作回避装置の分解図に対する符号
1. ペダル側プーリー 1
1a ペダル側プリーランプ 1a
1b アクセルケーブル 1b
1c 矢印 1c
2 キャブレータ側プーリー 2
2a キャブレータスロットルシャフト 2a
2b キャブレータ側プーリーランプ 2b
2c スプリング 2c
2d アイドル位置調節スクリュー 2d
2e フルオープン位置調節スクリュー 2e
2f キャブレータ 2f
2g ストッパー 2g
2h 矢印 2h
2i 矢印 2i
2j 矢印 2j
3 スプリング 3
3a 矢印 3a
4 ワッシャー 4
5 ロックナット 5
6 ロックワッシャー 6
7 セーフテイワイアー 7
8 シール 8
【0013】
作動状態説明図に対する符号説明
1 ペダル側プーリー 1
2 キャブレーター側プーリー2
1a ランプ 1a
2b ランプ 2b
2e フルオープン位置調節スクリュー2e
A 矢印 A
B 矢印 B
C 矢印 C
D 矢印 D
E 矢印 E
F 矢印 F
G 矢印 G


【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が異常なアクセルペダル操作をした場合、アクセルペダルからキャブレータのスロットルバルブへの信号を機械的に外し、キャブレータのスロットルバルブがアイドルの位置まで瞬時に戻らせ、エンジンの暴走を防ぎせしめる事を特徴とする装置。
【請求項2】
自動車運転者が異常に気付き、アクセルペダルを放した時、切り離されたアクセルケーブルとキャブレターのスロットルバルブの結合を元に戻せしめる機能を備えた装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−79582(P2013−79582A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218806(P2011−218806)
【出願日】平成23年10月1日(2011.10.1)
【出願人】(399003592)
【Fターム(参考)】