説明

オープニングトリムウエザストリップ

【課題】リップ部の湾曲形状を確実に成形し、確実に内装部材の先端をカバーするとともに、材料の歩留まりの良いオープニングトリムウエザストリップを提供する。
【解決手段】オープニングトリムウエザストリップ10は、フランジ7に取付けられる取付基部20と、取付基部20から一体的に設けられ湾曲して形成されたリップ部40を有する。リップ部40は、湾曲した内面に薄層のソリッド材からなるリップ内側ソリッド部45が形成され、リップ内側ソリッド部45以外の部分はリップスポンジ部44を有する。リップ内側ソリッド45部は、少なくとも一か所が、リップ内側ソリッド部が形成されていないリップ内側ソリッド分断部46であるか、又はリップ内側ソリッド部45よりもさらに薄いソリッド材で形成されたリップ内側ソリッド薄層部47である.

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車開口部を開閉する車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールする自動車用のオープニングトリムウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の開口部開閉部材と車体開口部周縁との間のシールは、図7に示すように、車体開口部周縁6のフランジ7に取付けられるオープニングトリムウエザストリップ110とによりなされる。
なお、フランジ7は、車体開口部周縁6を規定しているアウターパネル9の先端と車内側のインナーパネル8の先端等とによって形成されている。
【0003】
自動車の車体の車体開口部周縁に取付けられるオープニングトリムウエザストリップ110は、押出成形により成形され、図7に示すように、トリム部120と、中空シール部130から構成されている。
トリム部120は、車外側側壁121、車内側側壁122及び、底壁123から形成され、車体開口部周縁6に形成されたフランジ7を把持して、オープニングトリムウエザストリップ110を車体開口部の全周に亘り保持する。トリム部120は、ソリッド材又は微発泡材で形成され、内部にインサート部材126が埋設され、内面にはフランジ7を保持する車外側保持リップ124と車内側保持リップ125が形成され、フランジ7を保持している。
【0004】
たとえば、開口部開閉部材であるトランクリッド2に使用される場合には、中空シール部130は、トリム部120の底壁123のトランクリッド2と対向する外面に一体的に形成され、トランクリッド2が閉じられたときに、トランクリッド2の内面に当接して、トランクリッド2と車体開口部周縁6との間をシールしている。中空シール部130は、トランクリッド2の凹凸や曲面等の形状に合わせて柔軟に当接し、確実にシールするようにスポンジ材で形成されている。
【0005】
このオープニングトリムウエザストリップ110は、フランジ7に取付けられたときに、車内の内装部品であるガーニッシュ150等の先端と当接し、ガーニッシュ150等とトリム部120との間をシールするリップ部140が形成されているものがある(例えば、特許文献1参照。)。しかし、このリップ部140が、ガーニッシュ150の先端を覆うようにトリム部120との間に空間を有するように湾曲又は屈曲した形状を形成することが難しかった。このため、リップ部140の根元の内側にリップ部140の湾曲形状形成するために、ソリッド材からなる突出部141を形成していたが、不十分であった。
【0006】
また、図8に示すように、トリム部220と、中空シール部230から構成されているオープニングトリムウエザストリップ210において、トリム部220は、車外側側壁221、車内側側壁222、及び、底壁223から形成され、車体開口部周縁6に形成されたフランジ7を把持して、オープニングトリムウエザストリップ210を車体開口部の全周に亘り保持するものがある。そして、図7と同様に、車内側側壁222に車内の内装部品であるガーニッシュ250等の先端と当接し、ガーニッシュ250等とトリム部220との間をシールするリップ部240が形成されているものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
そのリップ部240は、ガーニッシュ250の先端が入り込む空間を保持するため、ソリッド材からなる突出部241を形成し、突出部241の先端に、スポンジ材からなる小リップ部242を形成している。しかしながらこの場合には、突出部241が大きく張り出し、肉厚も厚いため、小リップ部242の剛性が大きく、オープニングトリムウエザストリップ210の組付け性がよくなかった。また、リップ部240を湾曲させるためには、突出部241を押出成形時に湾曲させる必要があった。
【0008】
また、図9に示すように、トリム部320と、中空シール部330から構成されているオープニングトリムウエザストリップ310において、トリム部320は、車外側側壁321、車内側側壁322、及び、底壁323から形成され、車体開口部周縁6に形成されたフランジ(図示せず。)を把持して、オープニングトリムウエザストリップ310を車体開口部の全周に亘り保持するものがある。そして、図7と同様に、車内側側壁322に車内の内装部品であるガーニッシュ等の先端と当接し、ガーニッシュ等とトリム部320との間をシールするリップ部340が形成されているものがある(例えば、特許文献3参照。)。
【0009】
そのリップ部340は、根元部341が全体にソリッド材であり、根元部341から内側にソリッド材からなる内側層342が全面に形成され、その他の部分がスポンジ部343を形成している。このため、全体の剛性が大きく、内側層342の延びが少なくスポンジ部343の伸びによりリップ部340の湾曲も大きくなってしまうこととなる。また、湾曲形状を所定の形状に調整することも困難であった。
【0010】
そのため、図10に示すように、オープニングトリムウエザストリップ410を押出成形するときに、トリム部420の車外側側壁421、車内側側壁422及び底壁423と中空シール部430を同時に押出成形するが、リップ部440の湾曲形状を所定の形状に形成するため、車内側側壁422の先端とリップ部440の先端を連結する保持材441を設けるものがある。しかし、この保持材441は、オープニングトリムウエザストリップ410を成形後には取り除いているため、材料の歩留まりを低下させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開平6−69013号公報
【特許文献2】特開平10−329623号公報
【特許文献3】特開2008−201361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このため、本発明は、オープニングトリムウエザストリップのリップ部の湾曲形状を確実に成形し、確実に内装部材の先端をカバーするとともに、材料の歩留まりの良いオープニングトリムウエザストリップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車の開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールするオープニングトリムウエザストリップにおいて、
オープニングトリムウエザストリップは、車体開口部周縁に設けられるフランジに取付けられる取付基部と、取付基部から一体的に設けられ湾曲して形成されたリップ部を有し、
リップ部は、湾曲した内面に薄層のソリッド材からなるリップ内側ソリッド部が形成され、リップ内側ソリッド部以外の部分はスポンジ材で形成されたリップスポンジ部を有し、リップ内側ソリッド部は、少なくとも一か所が、リップ内側ソリッド部が形成されていないリップ内側ソリッド分断部であるか、又はリップ内側ソリッド部よりもさらに薄いソリッド材で形成されたリップ内側ソリッド薄層部であることを特徴とする自動車用オープニングトリムウエザストリップである。
【0014】
請求項1の本発明では、オープニングトリムウエザストリップは、車体開口部周縁に設けられるフランジに取付けられる取付基部と、取付基部から一体的に設けられ湾曲して形成されたリップ部を有する。このため、取付基部によりフランジに取付けられると、リップ部が確実に内装部材等の先端を覆うことができる。また、内装部材とオープニングトリムウエザストリップとの間の隙間をカバーして、車内側からの見栄えを向上して、シール性も確保することができる。内装リップは、湾曲しているので、内装部材の形状や寸法に合わせて撓むことができ、内装部材に確実に当接することができる。
【0015】
リップ部は、湾曲した内面に薄層のソリッド材からなるリップ内側ソリッド部が形成され、リップ内側ソリッド部以外の部分はスポンジ材で形成されたリップスポンジ部を有する。このため、オープニングトリムウエザストリップの成形時に、リップスポンジ部が膨張し、リップ内側ソリッド部の延びが少ないため、成形と同時にリップ部を湾曲形状の形成することができる。
【0016】
リップ内側ソリッド部は、少なくとも一か所が、リップ内側ソリッド部が形成されていないリップ内側ソリッド分断部であるか、又はリップ内側ソリッド部よりもさらに薄いソリッド材で形成されたリップ内側ソリッド薄層部である。このため、リップ内側ソリッド分断部の位置と大きさを調整したり、或いはリップ内側ソリッド薄層部の厚さと位置を調整したりして、リップ部の湾曲形状を所定の形状に成形することができるとともに、リップ部の柔軟性を向上させることができる。
【0017】
請求項2の本発明は、リップ内側ソリッド分断部又はリップ内側ソリッド薄層部は複数形成された自動車用オープニングトリムウエザストリップである。
【0018】
請求項2の本発明では、リップ内側ソリッド分断部又はリップ内側ソリッド薄層部は複数形成されたため、リップ部の湾曲の度合いを湾曲の各部分ごとに調整することができるとともに、リップ部の柔軟性を向上させて、オープニングトリムウエザストリップの組付け性を向上させることができる。
【0019】
請求項3の本発明は、リップ内側ソリッド分断部又はリップ内側ソリッド薄層部は、リップスポンジ部の内側の中央付近に形成された自動車用オープニングトリムウエザストリップである。
【0020】
請求項3の本発明では、リップ内側ソリッド分断部又はリップ内側ソリッド薄層部は、リップスポンジ部の内側の中央付近に形成されたため、リップ部の中央付近が柔軟性を向上させ、屈曲可能となることができ、オープニングトリムウエザストリップの組付け性を向上させることができる。
【0021】
請求項4の本発明は、リップ内側ソリッド分断部又はリップ内側ソリッド薄層部の少なくとも一か所は、リップスポンジ部の根元に形成された自動車用オープニングトリムウエザストリップである。
【0022】
請求項4の本発明では、リップ内側ソリッド分断部又はリップ内側ソリッド薄層部の少なくとも一か所は、リップスポンジ部の根元に形成されたため、リップ部は根元部分で撓むことができ、リップ部の先端が大きく開き、オープニングトリムウエザストリップの組付け性を向上させることができる。
【0023】
請求項5の本発明は、取付基部から中空シール部又はシールリップ部が形成された自動車用オープニングトリムウエザストリップである。
【0024】
請求項5の本発明では、取付基部から中空シール部又はシールリップ部が形成されたため、取付基部が車体開口部周縁に取付けられ固定すると、中空シール部又はシールリップ部が確実に開口部開閉部材に当接して車体開口部周縁と開口部開閉部材の間をシールすることができる。
【0025】
請求項6の本発明は、取付基部は、断面略U字形で、車外側側壁、車内側側壁及び底壁を有する自動車用オープニングトリムウエザストリップである。
【0026】
請求項6の本発明では、取付基部は、断面略U字形で、車外側側壁、車内側側壁及び底壁を有するため、断面略U字形の内部にフランジを挿入して、車外側側壁と車内側側壁のそれぞれの内部に形成した保持リップでフランジを挟持して確実にオープニングトリムウエザストリップを保持することができる。
【0027】
請求項7の本発明は、取付基部は、断面略L字形で、車外側側壁及び底壁を有し、フランジには接着部材で取付けられる自動車用オープニングトリムウエザストリップである。
【0028】
請求項7の本発明では、取付基部は、断面略L字形で、車外側側壁及び底壁を有し、フランジには接着部材で取付けられるため、フランジの厚さが変化しても、フランジの側面に車外側側壁を確実に取付けられることができ、フランジの先端を底壁で保持することができる。
【0029】
請求項8の本発明は、リップ部は、車内側側壁に形成された自動車用オープニングトリムウエザストリップである。
【0030】
請求項8の本発明では、リップ部は、車内側側壁に形成されたため、車内側に取付けられたガーニッシュ等の先端を車内側側壁付近で覆うことができ、取付基部付近の見栄えを向上させることができる。
【0031】
請求項9の本発明は、リップ部は、底壁に形成された自動車用オープニングトリムウエザストリップである。
【0032】
請求項9の本発明では、リップ部は、底壁に形成されたため、取付基部の底壁付近に位置するガーニッシュ等の先端を覆うことができるとともに、底壁をリップ部で覆うことができ、取付基部付近の見栄えを向上させることができる。
【0033】
請求項10の本発明は、リップ部と車内側側壁又は底壁との間に形成された空間部に、車内に取付けられた内装部材の先端部が挿入される自動車用オープニングトリムウエザストリップである。
【0034】
請求項10の本発明では、リップ部と車内側側壁又は底壁との間に形成された空間部に、車内に取付けられた内装部材の先端部が挿入されるため、内装部材とリップの隙間をなくすことができ、見栄えがよい。
【発明の効果】
【0035】
リップ部は、湾曲した内面に薄層のソリッド材からなるリップ内側ソリッド部が形成され、リップ内側ソリッド部以外の部分はスポンジ材で形成されたリップスポンジ部を有するため、オープニングトリムウエザストリップの成形と同時にリップ部を湾曲形状の形成することができる。
リップ内側ソリッド部は、少なくとも一か所が、リップ内側ソリッド部が形成されていないリップ内側ソリッド分断部であるか、又はリップ内側ソリッド部よりもさらに薄いソリッド材で形成されたリップ内側ソリッド薄層部であるため、リップ部の湾曲形状を所定の形状に成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップが図6におけるA−A線に沿った部分の断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップが図6におけるA−A線に沿った部分の断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップの断面図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップの断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップの押出成形時の断面図である。
【図6】自動車のトランクリッドを閉じた状態における斜め前方から見た斜視図である。
【図7】従来のドアオープニングトリムウエザストリップの断面図である。
【図8】従来の他のドアオープニングトリムウエザストリップの断面図である。
【図9】従来の他のドアオープニングトリムウエザストリップの断面図である。
【図10】本発明の従来のオープニングトリムウエザストリップの押出成形時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施の形態を、図1〜図6に基づき説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10が車体開口部周縁6に装着された状態の図6におけるA−A線に沿った部分の断面図である。図2〜4は、それぞれ本発明の第2〜4の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10の断面図である。
【0038】
まず、本発明の第1の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10について説明し、本発明の第2〜4の実施の形態については後述する。
図6に示すように、自動車の車体1は、車体開口部を有し、その車体開口部は、車体開口部開閉部材であるトランクリッド2により開閉される。車体開口部の周囲は、車体開口部周縁6を形成し、車体開口部周縁6には、車体1を構成するアウターパネル9とインナーパネル8等の先端が溶接されたフランジ7(図1参照)を備えている。このフランジ7に車体開口部周縁6とトランクリッド2との間をシールするオープニングトリムウエザストリップ10が装着される。
【0039】
車体1の車体開口部周縁6は、トランクリッド2ばかりでなく、バックドア、フロント及びリヤのサイドドアにより開閉され、それらの部分についても本発明は使用されることができる。この場合には、フランジ7は、車体1の車体開口部周縁6の部位により、溶接されるパネルの数が2枚〜8枚程度まで変化する。
【0040】
オープニングトリムウエザストリップ10は、押出成形により直線状に押出成形部として成形される。この直線状に形成された1本のオープニングトリムウエザストリップ10は、車体開口部周縁6の形状に沿って、環状となるようにフランジ7に装着される。装着は、オープニングトリムウエザストリップ10の押出成形部の一方の端末から順次、フランジ7に装着され、装着が完了すると、他方の端末が一方の端末と接合することとなる。押出成形部の端末は、接続部により型接合されて環状に形成されていてもよい。
また、オープニングトリムウエザストリップ10の押出成形部の端末同士を装着前に接着剤で接着して環状にしてもよい。
【0041】
次に、図1に基づき、本発明の実施の形態の車体1の車体開口部周縁6に取付けられたオープニングトリムウエザストリップ10の断面形状について説明する。
オープニングトリムウエザストリップ10は、フランジ7に取付けられる、断面略U字形のトリム部(取付基部)20と、トリム部20から一体的に形成され、トランクリッド2の内面に当接して、トランクリッド2と車体開口部周縁6との間をシールする中空状の中空シール部30と、ガーニッシュ50の先端を覆うリップ部40を有する。
【0042】
トリム部20は、車外側側壁21、車内側側壁22と底壁23からなり、断面略U字形に形成されている。トリム部20の内部には、フランジ7を把持する強度を増加させるためにインサート部材26が埋設されている。インサート部材26は、板金や硬質樹脂で形成され、コーナー部に取付けられるときの柔軟性を確保するため、梯子状や、魚の骨状、ジグザグ状等に形成されている。
トリム部20はゴム又は熱可塑性エラストマー等のソリッド材でインサート部材26を被覆して形成されている。
【0043】
車外側側壁21の内面には、車外側保持リップ24が複数本形成されている。車内側側壁22は、同様に内面に車内側保持リップ25が複数本形成されている。
フランジ7が断面略U字形のトリム部20内に挿入されたときに、車外側保持リップ24と車内側保持リップ25がフランジ7の両側の側面に当接して、フランジ7を挟持することができる。車外側保持リップ24と車内側保持リップ25のそれぞれの先端は、フランジ7を挟持し易いように先端が屈曲して形成してもよい。
車外側側壁21の外面には、装飾模様や凹凸部29を形成してもよい。
【0044】
車内側側壁22の外面の底壁23との連結部分に近接した部分にリップ部40が形成されている。リップ部40は、車内に取付けられた内装部材であるガーニッシュ50の先端部をカバーしている。
リップ部40は、車内側側壁22側の根元から先端まで順に、リップ根元部41、リップ中央部42、リップ先端部43で構成される。
【0045】
リップ部40は、湾曲した内面に薄層のソリッド材からなるリップ内側ソリッド部45が形成され、リップ内側ソリッド部45以外の部分はスポンジ材で形成されたリップスポンジ部44を有する。リップ内側ソリッド部45の厚みは、リップスポンジ部44の厚さに応じて変化するが、0.1〜0.4mm程度である。なお、リップスポンジ部44の厚みは、2〜4mm程度である。
【0046】
オープニングトリムウエザストリップ10の成形時に、成形工程において、押出成形後に加熱され、リップスポンジ部44が発泡して、そのため、リップスポンジ部44が膨張し、リップ内側ソリッド部45は発泡しないため延びが少ない。そのため、成形工程においてリップ部40を内側に曲がった、湾曲形状に形成することができる。従って、リップ部40を湾曲させるために、押出成形時に図10に示すような保持材441を使用することがなく、材料の歩留まりもよい。リップ部40の内側に曲がって湾曲になった部分と車内側側壁22との間は、リップ空間部48を形成する。
【0047】
リップ内側ソリッド部45は、少なくとも一か所が、リップ内側ソリッド部45が形成されていないリップ内側ソリッド分断部46であるか、又はリップ内側ソリッド部45よりもさらに薄いソリッド材で形成されたリップ内側ソリッド薄層部47(図2を参照。)である。第1の実施の形態では、リップ内側ソリッド分断部46が形成されている。リップ内側ソリッド薄層部47については、第2の実施の形態で述べる。
【0048】
図1に示すように、第1の実施の形態では、リップ内側ソリッド分断部46は、リップ部40の内側の中央付近に形成されている。このため、リップ部40のリップ中央部42付近が柔軟性を向上させ、屈曲可能となることができ、オープニングトリムウエザストリップ10を組付けるときに、ガーニッシュ50の先端をリップ空間部80内に挿入しやすく、組付け性を向上させることができる。第1の実施の形態では、リップ内側ソリッド分断部46は、一箇所設けられているが、リップ部40の形状に応じて、複数個設けることができる。
【0049】
オープニングトリムウエザストリップ10のトリム部20をフランジ7に挿入すると、リップ部40は車内側側壁22の表面に形成されているため、上述のように、ガーニッシュ50の先端がリップ部40内に挿入されて、リップ先端部43がガーニッシュ50の先端部の面に当接して、ガーニッシュ50とオープニングトリムウエザストリップ10の間をシールするとともに、車内側の内装部材であるガーニッシュ50の先端部分の見栄えを向上させることができる。
【0050】
なお、リップ部40の内側における、リップ内側ソリッド分断部46の位置を変えたり、その大きさや数を調整したり、或いは、リップ内側ソリッド薄層部47の厚さ、数と位置を調整したりして、リップ部40の湾曲形状を変化させて、所定の形状に成形することができる。
【0051】
車外側側壁21の先端にはその延長方向に車外側シールリップ28が形成されている。車外側シールリップ28は、トリム部20がフランジ7に取付けられたときにアウターパネル9に当接し、トリム部20とアウターパネル9との間をシールして、車外から雨水等が浸入することを防止できる。
【0052】
さらに、車外側側壁21の先端には車外側方向の斜めに車外側カバーリップ27が形成されている。車外側カバーリップ27は、トリム部20がフランジ7に取付けられたときにアウターパネル9に当接し、トリム部20とアウターパネル9との間をシールするとともに、後述する中空シール部30がトランクリッド2等に当接して、トリム部20が車外側に倒れる方向に傾いた場合にトリム部20が倒れることを防止して、中空シール部30の位置を保持し、中空シール部30のシール性を確保することができる。車外側カバーリップ27と車外側シールリップ28はスポンジ材で形成される。
【0053】
本発明に実施の形態では、トリム部20の底壁23の外面に、中空シール部30が一体的に設けられている。
中空シール部30は、スポンジ材から形成され、その中空シール根元部33は、それぞれ底壁23の外面から一体的に延設されている。
【0054】
中空シール部30の中空壁を構成する中空シール側壁部31の表面には、ソリッド材で形成された皮膜を形成しても良い。この場合は、表面が円滑になり見栄えが良い。
中空シール部30は、ドア閉時にはトランクリッド2に当接するように、スポンジ材から形成されているため、柔軟性に富み、トランクリッド2を閉じた時にドアフレーム3の凹凸や曲がり形状に合わせて柔軟に当接し、シール性を確保することができる。
中空シール部30の先端には、中空シール頂部32を形成することができる。中空シール頂部32は、トランクリッド2の内面に当接して、シール性を向上させることができる。
【0055】
次に、図2に基づき、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態と比べて、リップ部40の形態のみ異なり、他の部分は同様であるため、異なる部分のみ説明し、他の部分の説明は省略する。
第2の実施の形態のリップ部40では、リップスポンジ部44の部分は、第1の実施の形態と同様であるが、リップ内側ソリッド部45の部分が異なる。
【0056】
図2に示すように、リップ部40の内側にはリップ内側ソリッド部45が形成されているが、リップ根元部41においては、車内側側壁22のソリッド材とリップ内側ソリッド部45の先端の間には、リップ内側ソリッド部45が形成されていないリップ内側ソリッド分断部46が存在する。このため、リップ部40のリップ根元部41の部分の柔軟性を向上させて、リップ部40が撓みやすくなり、オープニングトリムウエザストリップ10の組付け性を向上させることができる。
【0057】
さらに、本発明の第2の実施の形態においては、リップ中央部42の部分の内側では、リップ内側ソリッド部45の中央付近で、リップ内側ソリッド部45よりもさらに薄いソリッド材で形成されたリップ内側ソリッド薄層部47が形成されている。このため、リップ部40のリップ中央部42の部分の柔軟性を向上させて、リップ部40がさらに撓みやすくなり、オープニングトリムウエザストリップ10の組付け性を向上させることができる。リップ内側ソリッド薄層部47の肉厚は、リップ内側ソリッド部45の肉厚に応じて変化するが、リップ内側ソリッド部45よりも薄い0.05〜0.1mm程度である。
【0058】
次に、図3に基づき、本発明の第3の実施の形態について説明する。第1の実施の形態は、トランクリッド2に使用されるオープニングトリムウエザストリップ10であるが、第3の実施の形態は、自動車用サイドドアと車体開口部周縁6との間にシールに使用されるものである。
【0059】
オープニングトリムウエザストリップ10は、フランジ7に取付けられる、断面略U字形のトリム部20と、トリム部20から一体的に形成され、サイドドアのドアフレーム3の膨出部3aに当接して、ドアと車体開口部周縁6との間をシールする中空状の中空シール部30を有する。中空シール部30は後述するトリム部20の車外側側壁21の外面に形成されている。
【0060】
トリム部20は、車外側側壁21、車内側側壁22と底壁23からなり、断面略U字形に形成されている。トリム部20の内部には、フランジ7を把持する強度を増加させるためにインサート部材26が埋設されている。インサート部材26は、板金や硬質樹脂で形成され、コーナー部に取付けられるときの柔軟性を確保するため、梯子状や、魚の骨状、ジグザグ状等に形成されている。
トリム部20はゴム又は熱可塑性エラストマー等のソリッド材でインサート部材26を被覆して形成されている。
【0061】
車外側側壁21の内面には、車外側保持リップ24が複数本形成されている。車内側側壁22は、同様に内面に車内側保持リップ25が1本形成されている。
フランジ7が断面略U字形のトリム部20内に挿入されたときに、車外側保持リップ24と車内側保持リップ25がフランジ7の両側の側面に当接して、フランジ7を挟持することができる。
【0062】
車内側側壁22の外面の底壁23との連結部分から底壁23の外面の中央付近の部分にリップ部40が形成されている。リップ部40は、車内に取付けられた内装部材であるガーニッシュ50の先端部をカバーしている。
リップ部40は、車内側側壁22側の根元から先端まで順に、リップ根元部41、リップ中央部42、リップ先端部43で構成される。
【0063】
リップ部40は、湾曲した内面に薄層のソリッド材からなるリップ内側ソリッド部45が形成され、リップ内側ソリッド部45以外の部分はスポンジ材で形成されたリップスポンジ部44を有する。リップ内側ソリッド部45の膜厚は、リップスポンジ部44の厚さに応じて変化するが、0.1〜0.4mm程度である。なお、リップスポンジ部44の膜厚は、2〜4mm程度である。
【0064】
図3に示すように、リップ部40の内側にはリップ内側ソリッド部45が形成されているが、リップ根元部41においては、車内側側壁22のソリッド材とリップ内側ソリッド部45の先端の間には、リップ内側ソリッド部45が形成されていないリップ内側ソリッド分断部46が存在する。このため、リップ部40のリップ根元部41の部分の柔軟性を向上させて、リップ部40が撓みやすくなり、オープニングトリムウエザストリップ10の組付け性を向上させることができる。
【0065】
次に、図4に基づき、本発明の第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態は、第3の実施の形態と比べて、トリム部20の形態とリップ部40のリップ内側ソリッド分断部46の形態のみ異なり、他の部分は同様であるため、異なる部分のみ説明し、他の部分の説明は省略する。
【0066】
本発明の第4の実施の形態において、トリム部20は、車外側側壁21と底壁23からなる断面略L字形に形成されている。フランジ7には接着部材である両面接着テープ71により取付けられている。フランジ7の側面と車外側側壁21の内面を両面接着テープ71で接着するため、車体開口部周縁6の場所により、フランジ7の厚さが変化しても、確実にトリム部20を取付けることができる。
【0067】
図4に示すように、リップ部40の内側にはリップ内側ソリッド部45が形成されているが、リップ中央部42においては、リップ内側ソリッド部45が形成されていないリップ内側ソリッド分断部46が存在する。このため、リップ部40のリップ中央部42の部分の柔軟性を向上させて、リップ部40が撓みやすくなり、オープニングトリムウエザストリップ10の組付け性を向上させることができる。
【0068】
オープニングトリムウエザストリップ10において、中空シール部30やリップ部40は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーのスポンジ材で形成され、トリム部20のソリット材の部分は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーのソリッド材または微発泡材で形成されると、耐候性のよい製品を得ることができる。また、この場合は、オープニングトリムウエザストリップ10は全体としてオレフィン系でありそのまま一緒に粉砕等を行い、リサイクルして使用することができる。
【0069】
次に、オープニングトリムウエザストリップ10の製造方法を説明する。
このオープニングトリムウエザストリップ10は、図5に示すように、押出成形により成形され、トリム部20と、インサート部材26と中空シール部30を構成するスポンジ材を押出成形機で一体に押出すことができる。このとき、トリム部20の車外側側壁21、車内側側壁22、底壁23は、平板状に押出成形される。その時、中空シール部30、リップ部40、車外側保持リップ24及び車内側保持リップ25も同時に押出成形される。そして、リップ部40のリップ内側ソリッド部45も同時に押出成形され、その際に、リップ内側ソリッド分断部46又はリップ内側ソリッド薄層部47も同時に成形される。
そのため、図10に示すような保持材441を使用しなくても、押出成形後に、加硫と発泡が行われると、リップスポンジ部44が膨張して、リップ部40は所定の湾曲形状に形成され、その後に、トリム部20は断面略U字形に折り曲げられ、所定の寸法に切断される。
【符号の説明】
【0070】
7 フランジ
10 オープニングトリムウエザストリップ
20 トリム部(取付基部)
30 中空シール部
40 リップ部
41 リップ根元部
42 リップ中央部
43 リップ先端部
44 リップスポンジ部
45 リップ内側ソリッド部
46 リップ内側ソリッド分断部
47 リップ内側ソリッド薄層部
50 ガーニッシュ(内装部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールするオープニングトリムウエザストリップにおいて、
該オープニングトリムウエザストリップは、上記車体開口部周縁に設けられるフランジに取付けられる取付基部と、該取付基部から一体的に設けられ湾曲して形成されたリップ部を有し、
該リップ部は、湾曲した内面に薄層のソリッド材からなるリップ内側ソリッド部が形成され、該リップ内側ソリッド部以外の部分はスポンジ材で形成されたリップスポンジ部を有し、上記リップ内側ソリッド部は、少なくとも一か所が、上記リップ内側ソリッド部が形成されていないリップ内側ソリッド分断部であるか、又は上記リップ内側ソリッド部よりもさらに薄いソリッド材で形成されたリップ内側ソリッド薄層部であることを特徴とする自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項2】
上記リップ内側ソリッド分断部又は上記リップ内側ソリッド薄層部は複数形成された請求項1に記載の自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項3】
上記リップ内側ソリッド分断部又は上記リップ内側ソリッド薄層部は、上記リップスポンジ部の内側の中央付近に形成された請求項1又は請求項2に記載の自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項4】
上記リップ内側ソリッド分断部又は上記リップ内側ソリッド薄層部の少なくとも一か所は、上記リップスポンジ部の根元に形成された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項5】
上記取付基部から中空シール部又はシールリップ部が形成された請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項6】
上記取付基部は、断面略U字形で、車外側側壁、車内側側壁及び底壁を有する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項7】
上記取付基部は、断面略L字形で、車外側側壁及び底壁を有し、上記フランジには接着部材で取付けられる請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項8】
上記リップ部は、上記車内側側壁に形成された請求項6に記載の自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項9】
上記リップ部は、上記底壁に形成された請求項7に記載の自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項10】
上記リップ部と上記車内側側壁又は上記底壁との間に形成された空間部に、車内に取付けられた内装部材の先端部が挿入される請求項8又は請求項9に記載の自動車用オープニングトリムウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−71571(P2013−71571A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211438(P2011−211438)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】