説明

カウルルーバ

【課題】 ショートショットなどの成形不良を抑えることができるカウルルーバを提供する。
【解決手段】 カウルルーバ1は、フロントガラス5の下縁部51に沿って配設され下縁部51に保持されるガラス側縁部11と、フードパネル8の側に配設されるパネル側縁部12と、ガラス側縁部11とパネル側縁部12との間に設けられた一般部13とからなる。一般部13は、ガラス側縁部11とパネル側縁部12との間に薄板状に広がる板状部14と、複数の小孔を有する通気部15とをもつ。ガラス側縁部11には、板状部14よりも厚い厚肉部17を設け、板状部14における厚肉部17に隣接する部分には、厚肉部17から板状部14に向かって徐々に肉厚を減少させた徐変部10を設けている。厚肉部17には、ガラス側縁部11の延び方向に沿って複数のゲートポイントPを配設させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のカウルルーバに関し、特に、射出成形で形成されるカウルルーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のカウルルーバは、長尺板状の射出成形品であり、フードパネルとフロントガラスとの間に設けられ、ワイパーモーターなどを覆って意匠性を高めるとともに、車室内への外気取り入れ口となる通気部を備えている。カウルルーバを射出成形する際には、金型に形成された長尺状のキャビティ内に均一に樹脂が射出されるように複数箇所にゲートポイントを設けて、これらのゲートポイントに設置されたゲートから同時にキャビティ内に樹脂が射出される。
【0003】
このようなカウルルーバの成形においては、ウェルドラインやショートショットが発生して、外観が損なわれるおそれがある。
【0004】
そこで、たとえば、従来、特許文献1には、通気部のすべてを溶融樹脂が満たす前に溶融樹脂が通気部の周縁を囲むように、通気部の周縁に一般部よりも肉厚の厚肉部を形成することにより、周縁部から通気部に溶融樹脂を流入させ且つ通気部からは溶融樹脂が実質的に流出しないのでガスを通気部に封じ込め、フローマークなどの欠陥発生を通気部に止めることが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、通気部の周縁に設けたゲートポイントの近傍を、薄肉に形成することで、金型側の当該薄肉部分を形成する部位が溶融樹脂量抑制部を構成して、この溶融樹脂量抑制部によって徐々に通気部に流入する溶融樹脂と、溶融樹脂量抑制部以外の通気部の周縁を形成する部分により流入する溶融樹脂とを、通気部を形成する部分で合流させ通気部内にウェルドラインを発生させることで、通気部の周辺でのウェルドラインの発生を抑えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−107465号公報
【特許文献2】特開2007−168538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年では、車両軽量化のために、カウルルーバにおいても、軽量化が求められている。
【0008】
しかしながら、長尺状の製品であるカウルルーバを薄肉成形すると、ショートショットなどの成形不良が発生し、特許文献1のように通気部の周囲を厚肉にするのみでは、カウルルーバ全体の成形不良を抑制することは困難である。
【0009】
また、特許文献2では、通気部の周縁を薄肉にすることが開示されているが、近年、車両軽量化のため、カウルルーバ全体が薄肉になる傾向にある中、通気部の周縁をさらに薄くすることは困難であり、通気部にショートショットが生じるだけでなく、カウルルーバ全体の成形不良が発生する。
【0010】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、ショートショットなどの成形不良を抑えることができるカウルルーバを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明のカウルルーバは、ゲートポイントに設置されたゲートから成形材料を射出することにより成形された長尺板形状であり、車両のフロントガラスとフードパネルとの間に配設され、前記フロントガラスの下縁部に沿って配設され該下縁部に保持されるガラス側縁部と、前記フードパネルの側に配設されるパネル側縁部と、前記ガラス側縁部と前記パネル側縁部との間に設けられた一般部とからなり、前記一般部は、前記ガラス側縁部と前記パネル側縁部との間に薄板状に広がる板状部と、複数の小孔を有する通気部とを有するカウルルーバにおいて、前記ガラス側縁部には、前記板状部よりも厚い厚肉部を設け、前記板状部における前記厚肉部に隣接する部分には、前記厚肉部から前記板状部に向かって徐々に肉厚を減少させた徐変部を設けてなり、前記厚肉部には、前記ガラス側縁部の延び方向に沿って複数の前記ゲートポイントを配設させていることを特徴とする。
【0012】
フロントガラスに保持されるガラス側縁部に、一般部の板状部よりも厚みを厚くした厚肉部を形成して、この厚肉部に複数のゲートポイントを配設している。このため、カウルルーバを射出成形する金型のキャビティ内で、ゲートポイントに設置されたゲートから成形材料が射出されたときに、厚肉部を形成する部位での流動抵抗が、一般部を形成する部位での流動抵抗よりも小さいため、射出された成形材料が、厚肉部を形成する部位で流動しやすくなる。成形材料は、厚肉部の延び方向に行き渡り、隣り合うゲートポイント間の中間部分で合流する。このため、成形材料は、キャビティの厚肉部を成形する部分に広く行き渡りやすい。厚肉部に広く行き渡った状態で、あたかも厚肉部全体がゲートであるかのごとく、厚肉部のほぼ全体からキャビティの一般部を形成する部分に成形材料が流れ込む。更に、厚肉部と一般部との間に徐変部を有していることで、流動抵抗が大きい薄肉カウルルーバの一般部における樹脂の流れを良好にし、カウルルーバ全体のショートショットの発生を抑制できる。
【0013】
更に、徐変部が厚肉部と一般部との厚さの変化によるヒケや反りといった成形不良を抑制することができる。
【0014】
また、ガラス側縁部の厚肉部全体がゲートのように働き、成形材料を比較的同じタイミングで、キャビティの一般部を形成する部分に流し込む。このため、成形材料が、キャビティのガラス側縁部を形成する部分からパネル側縁部を形成する部分に向けて流動し、カウルルーバを形成するキャビティ全体にすばやく充満することができる。ゆえに、ショートショットやウェルドラインの発生を抑えることができる。
【0015】
また、成形材料の流動しやすい厚肉部に、ゲートポイントを設けているため、ゲートポイントの数を増やすことなく、厚肉部に成形材料を広く行き渡らせることができ、厚肉部全体をゲートのように機能させることができる。
【0016】
このように、従来よりも薄肉であるカウルルーバにおいて、一般部での成形材料の流動抵抗が大きくても、成形材料が、キャビティの厚肉部を形成する部分の全体から一般部を形成する部分に流れ込むため、一般部及び厚肉部の双方においてショートショットの発生を抑えることができる。
【0017】
また、カウルルーバにおいては、板状部におけるガラス側縁部が、パネル側縁部に比べて、比較的広い平坦に近い面をもつことが多い。このため、ガラス側縁部に厚肉部を設け、厚肉部にゲートポイントを配設することにより、成形材料を、キャビティにおける板状部を形成する広い範囲にスムーズに流動させることができ、早い時期にキャビティ全体に成形材料を行き渡らせることができる。
【0018】
前記厚肉部は、一般部の厚みよりも大きい厚みをもつ部分である。厚肉部は、ガラス側縁部の長手方向の一部に形成されていてもよいが、ガラス側縁部の長手方向の全体に形成されている方が、長手方向への成形材料の流動性の点から好ましい。
【0019】
この場合には、ガラス側縁部の長手方向の全体にわたって成形材料の流動抵抗が大きくなり、ガラス側縁部全体に射出された成形材料を充満させて、ガラス側縁部全体をゲートのように機能させることができる。
【0020】
板状部は、カウルルーバのガラス側縁部とパネル側縁部との間に広がる薄板形状をもつ部分である。板状部は、平坦状の部分だけでなく、湾曲若しくは屈曲した部分も含む。
【0021】
板状部の厚みは、ほぼ均一であり、板状部の全体を、ガラス側縁部に形成されている厚肉部の厚みよりも小さい薄肉形状とする。この場合、板状部の厚みは、板状部全体の平均厚みと同じになる。
【0022】
板状部の厚みには、若干の変化があってもよい。この場合にも、板状部の厚みは、板状部全体の平均厚みをいい、ガラス側縁部の厚肉部よりも薄肉とする。厚みに若干の変化がある場合にも、板状部の中の最大厚み部分の当該厚みは、厚肉部の厚みよりも小さいことが好ましい。
【0023】
カウルルーバは、板状部だけでなく、通気部、パネル側縁部も薄肉部とすることも可能である。
【0024】
成形材料は、たとえば、ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリエチレンブレンド、変性ポリプロピレンなどの樹脂材料などを用いる。
【0025】
(2)前記ガラス側縁部の前記厚肉部の厚みに対する前記一般部の前記板状部の厚みの比率は、0.3〜0.75であることが好ましく、さらには、0.4〜0.75であることが望ましい。
【0026】
この場合には、薄肉部での成形材料の流動性を確保しつつ、薄肉形状である板状部の厚みを薄くでき、カウルルーバ全体の軽量化を実現できる。
【0027】
(3)前記ガラス側縁部には、前記フロントガラスの前記下縁部を把持する分岐部が接続されており、前記厚肉部は、前記ガラス側縁部における少なくとも前記ゲートポイントから前記分岐部の接続部位まで形成されていることが好ましい。
【0028】
この場合には、分岐部に成形材料が流入しやすくなり、分岐部でウェルドラインやショートショットが生じることを抑えることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明のカウルルーバによれば、ガラス側縁部に、板状部よりも厚みの大きい厚肉部を形成して、この厚肉部に複数のゲートポイントを配設している。このため、厚肉部に成形材料を広く行き渡らせた状態で、薄板状であり樹脂の流動しずらい板状部に成形材料を流動させることができる。それゆえ、カウルルーバ全体にショートショットなどの欠陥が生じることを防止でき、カウルルーバ全体の成形性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態に係るカウルルーバの断面図である。
【図2】第1実施形態に係るカウルルーバの全体斜視図である。
【図3】第1実施形態に係るカウルルーバの要部拡大断面図である。
【図4】第1実施形態に係るカウルルーバの一部平面図である。
【図5】第1実施形態に係るカウルルーバの拡大平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施形態に係るカウルルーバは、図1に示すように、溶融樹脂を金型のキャビティ内に射出して成形された長尺板状体である。カウルルーバ1は、図1に示すように、車両のフロントガラス5とフードパネル8との間に車幅方向に延びるように配設されている。
【0032】
図1に示すように、カウルルーバ1は、フロントガラス5の下縁部51に沿って配設され、この下縁部51に保持されるガラス側縁部11と、フードパネル8の側に配設されるパネル側縁部12と、ガラス側縁部11とパネル側縁部12との間に設けられた一般部13とを有する。
【0033】
カウルルーバ1のガラス側縁部11は、カウルルーバ1の幅方向の一方の端縁部であり、パネル側縁部12は、カウルルーバ1の幅方向の他方の端縁部である。一般部13には、薄板状の板状部14と、車室内に外気を取り入れる通気部15とが形成されている。
【0034】
ガラス側縁部11の一般部13との境界部分には、ガラス側縁部11の長手方向全体にわたって、下方に向けて分岐部16が突出している。分岐部16は、その長手方向に所定間隔を隔てて複数箇所に、挟持部材41が突設されている。挟持部材41は、不織布からなり、一端部が分岐部16の先端面に貼着され、他端部が分岐部16の底部から突出する薄板状のリブ16aにより保持されている。挟持部材41の他端部は、リブ16aによりガラス側縁部11に向けて押圧されて、ガラス側縁部11との間でフロントガラス5を挟持している。ガラス側縁部11の裏面側には、挟持部材41と対向する位置に、リブ11bが突設されていて、ガラス側縁部11を補強している。ガラス側縁部11の先端には、挟持部材41と対向する位置に、ゴムなどの弾性をもつ爪状の係止部材42が取り付けられている。係止部材42の先端は、フロントガラス5に圧接して、フロントガラス5の抜けを防止している。
【0035】
パネル側縁部12には、長手方向に沿って複数箇所に、シール部材43が保持されている。シール部材43は、ゴム製で、中空形状又は断面L字形状をなし、底部がパネル側縁部12に保持され、上部でフードパネル8の裏面に弾接している。フードパネル8が閉じられたときには、フードパネル8はシール部材43に弾接して、エンジンルームからの空気を遮蔽している。
【0036】
ガラス側縁部11は、その全体がほぼ均一の厚みの厚肉部17で構成されている。即ち、ガラス側縁部11には、長手方向に沿って厚肉部17が形成されている。図4に示すように、厚肉部17には、その長手方向に沿って複数のゲートポイントPがピッチ150〜300mm毎に配列している。図3に示すように、厚肉部17の幅Hは1cmであり、厚みT1は2.5mmである。
【0037】
また、パネル側縁部12の幅は、約1cmであり、厚みは1.5mmである。パネル側縁部12の厚みは、板状部14の厚みTと同じである。
【0038】
図2に示すように、ガラス側縁部11とパネル側縁部12との間に設けられた一般部13は、薄板状の板状部14と、通気部15と、ワイパーを挿通する一対の穴部18が形成されている。板状部14は、カウルルーバ1の長手方向の全体にわたって、ガラス側縁部11とパネル側縁部12の双方に隣接している。このうち、板状部14におけるガラス側縁部11に隣接する隣接部分14dは、比較的広い幅をもち、ほぼ平坦な面をもつ。板状部14は、その全体が同じ厚みT2(1.5mm)をもち、しかも、板状部14の全体は、ガラス側縁部11に設けた厚肉部17よりも薄い肉厚で構成されている。
【0039】
図1に示すように、板状部14は、幅方向の断面が略V字状に屈曲した形状をなし、屈曲して最下部に位置する屈曲部14aと、屈曲部14aよりもガラス側縁部11の側に形成され水平方向に対して緩やかに傾斜した第1傾斜部14bと、屈曲部14aよりもパネル側縁部12の側に形成され水平方向に対して比較的大きな角度で傾斜した第2傾斜部14cとからなる。
【0040】
板状部14の屈曲部14aの裏面には、リブ状の突条13aが突出している。突条13aは、その先端で、車体に固定されたカウルインナーパネル6上に配置されたスポンジ状の弾性部材43に圧接している。また、板状部14の第2傾斜部14cの裏面からは、長手方向に沿って複数箇所に、保持部13bが突設されている。保持部13bには、鉛直方向に延び、先端が鈎状に屈曲している係合突起13cが形成されている。係合突起13cは、カウルインナーパネル6に形成された保持穴61に係合されている。
【0041】
板状部14の第1傾斜部14bは、ガラス側縁部に隣接する隣接部分14dをもつ。隣接部分14dは、ガラス側縁部11の厚肉部17から徐々に厚みが減少する徐変部10をもつ。ガラス側縁部11と一般部13との間の厚みの変化によるヒケや反りの発生を抑制するために、徐変部10は、幅8〜20mmに渡って設けられていることが好ましく、たとえば10mmがよい。
【0042】
板状部14の第1傾斜部14bには、ガラス側縁部11から所定間隔を隔てた位置に、通気部15を設けている。図5に示すように、通気部15は、多数の縦フレーム15aと多数の横フレーム15bとが格子状に交差することで区画された多数の小孔15cをもつ。小孔15cからは外気が取り込まれ、車室内に送られる。縦フレーム15aと横フレーム15bの幅は、1.0〜1.5mmであり、厚みは3mmである。
【0043】
本例のカウルルーバを製造するにあたっては、金型を用いた射出成形で成形する。図4に示すように、金型は、カウルルーバに対応する形状を持つキャビティをもち、キャビティのガラス側縁部11に相当する部分に、ガラス側縁部11の長手方向に沿って複数箇所にゲートポイントPが配置されている。
【0044】
ゲートポイントPに設置されたゲートから、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリエチレンブレンドなどの樹脂材料からなる溶融樹脂をキャビティ内に射出する。図5に示すように、ガラス側縁部11は、その全体が厚肉の厚肉部17で構成されているため、成形材料の流動抵抗が小さい。このため、溶融樹脂は、ガラス側縁部11の延び方向に行き渡り、隣り合うゲートポイントP間の中間部分で合流する。このため、溶融樹脂は、ガラス側縁部11の全体に広がりやすい。ガラス側縁部11に広く行き渡った状態で、あたかもガラス側縁部11全体がゲートであるかのごとく、ガラス側縁部11のほぼ全体から一般部13に溶融樹脂が流れ込む。このため、一般部13において通気部15のある部分もない部分も、溶融樹脂の流動性がよくなり、カウルルーバ全体のショートショットの発生を抑制できる。また、厚肉部17と一般部13との間に徐変部を有していることで、流動抵抗が大きい薄肉のカウルルーバの一般部13における樹脂流れが良好となり、カウルルーバ全体のショートショットを防止できる。また、厚肉部17と一般部13との間に徐変部10を設けることにより、厚肉部17と一般部13の厚みの変化によるヒケや反りの発生を防止することができる。
【0045】
また、ガラス側縁部11の厚肉部17全体がゲートのように働き、溶融樹脂を比較的同じタイミングで一般部13に流し込む。このため、溶融樹脂が、ガラス側縁部11からパネル側縁部12に向けて流動し、キャビティ全体にすばやく充満することができる。ゆえに、ショートショットやウェルドラインの発生を抑えることができる。
【0046】
また、板状部14全体が薄肉で構成されていて溶融樹脂の流動抵抗が大きくても、厚肉部17全体から溶融樹脂が板状部14に流れ込むため、板状部14でウェルドラインやショートショットの発生を抑えることができる。また、板状部14の全体の厚みが薄いため、カウルルーバを大幅に軽量化することができる。
【0047】
一般部13の板状部14全体を構成する薄肉部19の厚みT2は1.5mmであり、ガラス側縁部11全体を構成する厚肉部17の厚みT1は2.5mmであって、厚肉部17の厚みT1に対する薄肉部19の厚みT2の比率(T2/T1)は、0.6である。このため、板状部14での樹脂の流動性を確保しつつ、板状部14の厚みを薄くでき、カウルルーバ1全体を大幅に軽量化することができる。
【0048】
また、厚肉部17は、ガラス側縁部11における分岐部16の接続部分まで形成されている。このため、分岐部16に溶融樹脂が流入しやすくなり、分岐部16でウェルドラインやショートショットが生じることを抑えることができる。
【0049】
また、上記実施例では、ガラス側縁部11全体を厚肉部17で構成しているが、ガラス側縁部11の一部分に厚肉部17を設けてもよい。この場合、通気部15は樹脂の流動抵抗が大きいため、ガラス側縁部11における通気部15と対向する位置の部分は、少なくとも厚肉部17で構成するとよい。
【0050】
また、ガラス側縁部11には、その長手方向に沿って、複数の厚肉部17を形成してもよい。この場合には、1つの厚肉部17には、少なくとも2のゲートポイントを配設するとよい。この場合には、厚肉部17の中で、隣り合うゲートポイントから流出された溶融樹脂が合流して、厚肉部全体がゲートのように働き、厚肉部の全体から一般部13に向けて溶融樹脂を流動させることができる。
【符号の説明】
【0051】
1:カウルルーバ、5:フロントガラス、6、カウルインナーパネル、8:フードパネル、10:徐変部、11:ガラス側縁部、12:パネル側縁部、13:一般部、14:板状部、14a:屈曲部、14b:第1傾斜部、14c:第2傾斜部、14d:隣接部分、15:通気部、16:分岐部、17:厚肉部、18:穴部、19:薄肉部、P:ゲートポイント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートポイントに設置されたゲートから成形材料を射出することにより成形された長尺板形状であり、車両のフロントガラスとフードパネルとの間に配設され、
前記フロントガラスの下縁部に沿って配設され該下縁部に保持されるガラス側縁部と、
前記フードパネルの側に配設されるパネル側縁部と、
前記ガラス側縁部と前記パネル側縁部との間に設けられた一般部とからなり、
前記一般部は、前記ガラス側縁部と前記パネル側縁部との間に薄板状に広がる板状部と、複数の小孔を有する通気部とを有するカウルルーバにおいて、
前記ガラス側縁部には、前記板状部よりも厚い厚肉部を設け、前記板状部における前記厚肉部に隣接する部分には、前記厚肉部から前記板状部に向かって徐々に肉厚を減少させた徐変部を設けてなり、
前記厚肉部には、前記ガラス側縁部の延び方向に沿って複数の前記ゲートポイントを配設させていることを特徴とするカウルルーバ。
【請求項2】
前記ガラス側縁部の前記厚肉部の厚みに対する前記一般部の前記板状部の厚みの比率は、0.3〜0.75である請求項1記載のカウルルーバ。
【請求項3】
前記ガラス側縁部には、前記フロントガラスの前記下縁部を把持する分岐部が接続されており、
前記厚肉部は、前記ガラス側縁部における少なくとも前記ゲートポイントから前記分岐部の接続部位まで形成されている請求項1又は請求項2に記載のカウルルーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−71663(P2012−71663A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217357(P2010−217357)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】