説明

カスコードバイアスされたチャージポンプ

【課題】チャージポンプの線形動作範囲を広くする。
【解決手段】一実施形態によるチャージポンプは、アップ(UP)信号を受け取り、そのUP信号の受け取りに応答して正の電源から出力ノードに対応する出力電流を送るように動作可能な第1の入力トランジスタを含む。このチャージポンプは、ダウン(DN)信号を受け取り、そのDN信号の受け取りに応答して、第2の対応する出力電流を負の電源から出力ノードに送るように動作可能な第2の入力トランジスタをさらに含む。また、このチャージポンプは、第1の入力トランジスタと出力ノードとの間の第1の電流経路に配置された第1のカスコードトランジスタと第2のカスコードトランジスタを含み、第2の入力トランジスタと出力ノードとの間の第2の電流経路に配置された第3のカスコードトランジスタと第4のカスコードトランジスタを含む。このチャージポンプは、第1、第2、第3及び第4のカスコードトランジスタのゲートに結合した電流ミラーをさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理に関し、特にカスコードバイアス(cascode biasing)されたチャージポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
[関連出願への相互参照]
本出願は、米国仮出願第60/889,034号(発明の名称「広い出力レンジを達成するカスケードバイアスされたチャージポンプ」、2007年2月9日出願の米国特許法第119条(e)項の利益を主張するものである。
【0003】
フェーズロックループ(PLL)回路は、部分的にまたは全体として、他の信号の位相及び周波数にロックされた信号を発生するために使用される。一例として、PLLは、入力データ信号のクロック信号に同期するクロックデータ回復(CDR)回路として使用することができる。PLLの具体的な実施形態は、その構成要素により変化するが、PLLは、例えば、周波数/位相検出器、チャージポンプ、ループフィルタ、可変周波数信号発生器(例えば、電圧制御発信器(VCO))等を含む。ある場合には、PLLは外部信号源から基準信号(例えば、リモートのデータ源からの入力信号)を受け取り、その基準信号の位相をローカルで発生した可変周波数信号の位相と比較する。ローカルで発生した可変周波数信号は、例えば、PLLが制御する可変周波数信号発生器で最初に発生される。比較過程の一部として、位相検出器は基準信号とローカルで発生した可変周波数信号との間の位相差を決定して、その位相差を使用してエラー補正信号を発生する。場合によっては、エラー補正信号を、PLLの一部であるチャージポンプに入力してもよい。チャージポンプはそのエラー補正信号に応じた電流を発生する。次に、チャージポンプが発生した電流は、ループフィルタに取り込まれ、そのループフィルタの出力電圧を決定する。ループフィルタの出力電圧は可変周波数信号発生器にフィードバックされ、その信号発生器が発生する信号の周波数を制御する。PLLは、チャージポンプ出力を用いて信号発生器の周波数を制御することにより、その信号発生器の周波数を調節して基準信号の周波数に一致させる。
【0004】
可変周波数信号発生器の周波数は究極的にはチャージポンプが発生する電流に依存するので、チャージポンプの「線形動作範囲(linear range of operation)」がチャージポンプを測るものさしとして使用される。線形動作範囲はチャージポンプが一定電流を出力できる(所定の出力抵抗にかかる)電圧範囲ともいうことができる。
(発明の概要)
【0005】
実施形態によっては、チャージポンプに電流ミラーといくつかのカスコードトランジスタ(cascode transistors)を含め、カスコードトランジスタが飽和領域で動作するように電流ミラーを用いてカスコードトランジスタにバイアスすることにより、チャージポンプの線形動作範囲を広くできる。より具体的には、実施例によっては、かかるチャージポンプは、アップ(UP)信号を受け取り、そのUP信号の受け取りに応答して、対応する出力電流を正の電源から出力ノードに送るように動作可能な第1の入力トランジスタを含む。このチャージポンプは、ダウン(DN)信号を受け取り、そのDN信号の受け取りに応答して、対応する出力電流を負の電源から出力ノードに送るように動作可能な第2の入力トランジスタをさらに含む。また、このチャージポンプは、第1の入力トランジスタと出力ノードとの間の第1の電流経路に配置された第1のカスコードトランジスタと第2のカスコードトランジスタを含み、第2の入力トランジスタと出力ノードとの間の第2の電流経路に配置された第3のカスコードトランジスタと第4のカスコードトランジスタを含む。このチャージポンプは、第1、第2、第3及び第4のカスコードトランジスタのゲートに結合した電流ミラーをさらに含む。この電流ミラー(current mirror)は、第1のバイアス電圧(V)、第2のバイアス電圧(V)、第3のバイアス電圧(V)、及び第4のバイアス電圧(V)をそれぞれ第1、第2、第3、及び第4のカスコードトランジスタ(cascode transistors)に送るように動作可能である。
【0006】
実施形態によっては、電流ミラーは、複数のp型MOS電解効果トランジスタ(p-type metal-oxide-semiconductor (pMOS) field-effect transistors)と、複数のn型MOS電解効果トランジスタとを含み、各p型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタにはチャネル幅(channel-width)がある。p型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタのそれぞれのチャネル幅によりバイアス電圧V−Vの値が決まり、このバイアス電圧V−Vにより第1、第2、第3、及び第4のカスコードトランジスタ(cascode transistors)は飽和領域(saturation regime)で動作できる。カスコード構造を利用してチャージポンプの出力抵抗を大きくし、かつ電流ミラーを用いてカスコードトランジスタにバイアス電圧を与え、カスコードトランジスタをチャージポンプの出力電圧の最大振れ幅にわたって飽和領域で動作させることにより、大きな出力抵抗、広い出力電圧振れ幅、及び低いシステマチックゲインエラー(systematic gain error)等の技術的利点を実現することができる。そして、かかる技術的利点により、チャージポンプを比較的小さなチャージポンプ電流と低い電源電圧で動作させることができる。
【0007】
言うまでもなく、本発明の様々な実施形態には、列記した技術的利点の一部または全部が含まれてもよいし、全く含まれなくてもよい。また、本発明の他の技術的利点は、図面、詳細な説明、及び特許請求の範囲に基づき、当業者には容易に明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は位相または周波数をロックするシステム100の一例を示している。システム100は次のものを含む:2つの信号の間の位相差を検出する位相検出器(phase detector)200と、位相検出器200からエラー補正信号を受け取り、対応する電流(ICP)を出力するチャージポンプ(charge pump)300と、フィードバックループ101の動的な振る舞いを制御し、チャージポンプ300が出力した電流に付随する高周波ノイズをフィルタ除去(filtering out)するループフィルタ400と、ループフィルタ400の電圧出力に応じて可変周波数クロック信号を発生する電圧制御オシレータ(voltage controlled oscillator、VCO)500と、これらの構成要素を結合するフィードバックループ101。実施形態によっては、システム100は基準信号(例えば、入力データ信号)を受け取り、基準信号の周波数と一致(match)するクロック信号を発生する。これについては、以下に詳説する。
【0009】
上記の通り、位相検出器200は基準信号の位相をクロック信号の位相と比較する。本発明の限定としてではなく一例として、位相検出器200はXORゲート、4象限乗算器(four-quadrant multiplier)、または位相周波数検出器(PFD)を含んでいてもよい。実施形態によっては、位相検出器200は基準信号とクロック信号の間の位相差を用いて、対応するエラー補正信号(error correction signal)を発生する。エラー補正信号は、逆論理または相補的レベルでアクティブとなるアップ信号(UP)とダウン信号(DN)を含む。実施形態によっては、エラー補正信号の特性は基準信号とクロック信号の間の位相差に比例する。本発明の限定としてではなく一例として、クロック信号の位相が基準信号の位相より大幅に遅れるとき、位相検出器200は比較的広いUP信号(例えば、幅が広い正の信号)を出力する。本発明の限定としてではなく他の一例として、クロック信号の位相が基準信号の位相より少し進んでいるとき、位相検出器200は比較的狭いDN信号(例えば、幅が狭い負の信号)を出力する。
【0010】
位相検出器200はエラー補正信号をチャージポンプ300に送る。エラー補正信号を受け取ると、チャージポンプ300はそれに応じて電流ICPを発生する。実施形態によっては、UP信号とDN信号のパルス幅の違いは、チャージポンプ300の平均電流出力と比例関係にある。本発明の限定としてではなく一例として、幅が広いUPパルスの場合、その幅に比例して大きな正の電流がチャージポンプ300によりループフィルタ400に供給され、一方、幅が狭いDNパルスの場合、その幅に比例して小さい電流がチャージポンプ300によりループフィルタ400に供給される。
【0011】
チャージポンプ300からの電流出力によりループフィルタ400の出力電圧(VCTL)が決まる。実施形態によっては、ループフィルタ400は、チャージポンプ300からの電流出力に付随する高周波の変動(例えば、ノイズ、高周波入力ジッター等)をフィルタ除去(filter out)し、ICPが、高周波の(またはその他の望ましくない)障害に邪魔されずに基準信号の位相変化をスムーズに追跡できるようにする。また、チャージポンプ300の出力抵抗はループフィルタ400の伝達関数に影響する。従って、チャージポンプ300の出力抵抗は大きい方がよい。
【0012】
ループフィルタ400の出力電圧(例えば、VCTL)はVCO500に送られる。VCO500はVCTLに基づきクロック信号を発生する。実施形態によっては、VCTLはVCO500が発生するクロック信号の周波数を制御する。本発明の限定としてではなく一例として、チャージポンプ300からの大きな正の電流パルス(例えば、正のICP)により、ループフィルタ400のVCTLがそれに比例して大きくなる。次に、VCTLの増加により、VCO500からのクロック信号の周波数が高くなる。本発明の限定としてではなく他の一例として、チャージポンプ300からの小さな負の電流パルス(例えば、負のICP)により、それに対応してVCTLが変化し、VCTLからのクロック信号の周波数が低くなる。
【0013】
(上記の通り)チャージポンプ300の電流出力はVCO500の周波数に直接的に影響するので、広い周波数範囲にわたりVCO500に予測可能な振る舞いをさせるためには、チャージポンプ300の線形動作範囲(linear range of operation)が広い電圧範囲にわたることが望ましい。本発明の技術分野の当業者には言うまでもないが、エラー補正信号とチャージポンプ300の電流出力との間の関係は説明を簡単にするために設けたものであり、本発明は、チャージポンプ300の電流出力を制御するために任意の適切なエラー補正信号方式を使うことができる。
【0014】
実施形態によっては、VCO500からのクロック信号は位相検出器200にフィードバックされ、上記のプロセスを用いて基準信号に同期される。本発明の技術分野の当業者には言うまでもないが、クロック信号と基準データ信号に関して説明したシステム100の上記の実施形態は説明を簡単にするために設けたものであり、本発明は、システム100を使用して任意の適切な信号に同期することができる。本発明の技術分野の当業者には言うまでもないが、さらに、システム100の上記の構成要素とトポロジーは説明を簡単にするために設けたものであり、本発明は、一信号の周波数と位相を他の信号の周波数と位相と特定の関係にあるように維持するために任意の適切な構成要素の任意の適切なトポロジーを使うことができる。
【0015】
図2はチャージポンプ300の一実施形態を示す回路図である。チャージポンプ300は、入力トランジスタ301、302と、カスコードトランジスタ(cascode transistors)341−344と、電流ミラー310とを含む。チャージポンプ300は、UPエラー補正信号とDNエラー補正信号をそれぞれ入力トランジスタ301と302で受け取り、エラー補正信号に対応する電流ICPをノード102に出力する(例えば、UP信号の場合、正のICPが出力され、DN信号の場合、負のICPが出力される)。電流ミラー310はカスコードトランジスタ341−344にバイアス電圧を供給し、カスコードトランジスタ341−344がチャージポンプ300の出力電圧の最大振れ幅(maximum swing)にわたり飽和領域(saturation regime)で動作するようにする。カスコードトランジスタ341−344が飽和領域で動作するとき、ICPはループフィルタ400の出力電圧(VCTL)には(第1近似では)依存しない。従って、カスコードトランジスタ341−344が飽和領域で動作するとき、後段のループフィルタ400の特性(例えば、伝達関数)がチャージポンプ300により乱されない。
【0016】
実施形態によっては、電流ミラー310の構成要素のトポロジーと選択により、電流ミラー310はバイアス電圧V−Vを発生し、チャージポンプ300が大出力抵抗の領域で電流源として動作する出力電圧の範囲を最大化する点で、カスコードトランジスタ341−344をバイアスすることができる。本発明の限定ではなく一例として、電流ミラー310は複数のp型MOS電界効果トランジスタ(p-type metal-oxide-semiconductor field-effect transistors)と複数のn型MOS電界効果トランジスタとを含む。電流ミラー310のトランジスタのサイズ(例えば、各トランジスタのチャネル幅)は、電流ミラー310のブランチに流れる電流が等しくなり、カスコードトランジスタ341−344が出力電圧の最大振れ幅にわたって飽和領域で動作する値にバイアス電圧V−Vが設定されるように決められる。以下、さらに詳述する。
【0017】
各カスコードトランジスタ341−344は、チャージポンプにおいてカスコード構成とできるものであればいかなるトランジスタでもよい。図示した実施形態では、カスコードトランジスタ341、342は、入力トランジスタ301とノード102の間に配置されたp型MOSトランジスタであり、カスコードトランジスタ343、344は、入力トランジスタ302とノード102の間に配置されたn型MOSトランジスタである。また、入力トランジスタ301のソース端子は正の電源346に接続され、入力トランジスタ302のソース端子は負の電源348(例えば、接地)に接続されている。実施形態によっては、カスコードトランジスタ341−344はバイポーラ接合トランジスタ(BJT)でも、MOS電界効果トランジスタ(MOSFET)でも、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0018】
カスコードトランジスタにより、
【数5】

の範囲に入る出力電圧(VCTL)において、チャージポンプ300の出力抵抗は約
【数6】

となる。ここで、gmNとroNはカスコードトランジスタ341、342の相互コンダクタンスと出力抵抗を表し、gmPとroPはカスコードトランジスタ343、344の相互コンダクタンスと出力抵抗を表す。実施形態によっては、
【数7】


【数8】

と表すこともできる。当業者には言うまでもないことだが、チャージポンプ300に含まれるカスコードトランジスタのタイプは説明を簡単にするために記載したものであり、本発明では、チャージポンプ300においてカスコード構成をとるために、電流ミラー310とともに使用するカスコードトランジスタのタイプは任意の適切なものでよい。
【0019】
電流ミラー310は複数のp型MOSトランジスタ311−318と複数のn型MOSトランジスタ319−322とを含む。これらは電流ミラー310の他の構成要素(例えば、電源303a−303d、p型MOSレプリカトランジスタ304a−304d、及びn型MOSレプリカトランジスタ305a−305d)とともに動作して、カスコードトランジスタ341−344にバイアス電圧V−Vを供給する。実施形態によっては、p型MOSトランジスタ311−318がバイアス電圧V、Vを発生し、それぞれがノード331、332に分配される。また、n型MOSトランジスタ319−322がバイアス電圧V、Vを発生し、それぞれがノード333、334に分配される。そして、ノード331−334がバイアス電圧V−Vをカスコードトランジスタ341−344のゲート端子に送る。
【0020】
実施形態によっては、p型MOSレプリカトランジスタ(replica transistors)304a−304dは入力トランジスタ301と似た特性を有し(mimic)、n型MOSレプリカトランジスタ305a−305dは入力トランジスタ302と似た特性を有する。例えば、p型MOSレプリカトランジスタ304a−304dは入力トランジスタ301と同じか実質的に同じチャネル幅を有し、p型MOSレプリカトランジスタ305a−305dは入力トランジスタ302と同じか実質的に同じチャネル幅を有する。レプリカトランジスタ304a−304d及び305a−305dをこのようなサイズにすることにより、電流ミラー310の各ブランチにおける電流の流れを等しくしやすくなる。また、p型MOSトランジスタ311、312、314、315−318のチャネル幅(W)は互いに同じか実質的に同じであるが、p型MOSトランジスタ313はp型MOSトランジスタ311、312、314、315−318の1/3のチャネル幅(例えば、W/3)を有する。同様に、n型MOSトランジスタ319−321のチャネル幅(W)は互いに同じか実質的に同じであるが、n型MOSトランジスタ322はn型MOSトランジスタ319−321の1/3のチャネル幅(例えば、W/3)を有する。トランジスタ311−322をこのようなサイズにすることにより、電流ミラー310のブランチ(branches)に同じ大きさの電流が流れ、電流ミラー310が次の式に示したバイアス電圧V−Vを発生するようにできる:
【数9】

【0021】
上記の式では、VDDは電源346の電圧を表し、VTHPはp型MOSトランジスタ311−314の閾値電圧(例えば、トランジスタ312の閾値電圧の第1近似)を表し、VTHNはn型MOSトランジスタ319−322の閾値電圧(例えば、トランジスタ319の閾値電圧の第1近似)を表す。VOVPは電流ミラー310に含まれるp型MOSトランジスタ(例えば、p型MOSトランジスタ311−318)のゲート・ソースオーバードライブ電圧(gate-to-source overdrive voltages)を表し、VOVNは電流ミラー310に含まれるn型MOSトランジスタ(例えば、n型MOSトランジスタ319−322)のゲート・ソースオーバードライブ電圧を表す。実施形態によっては、入力トランジスタ301、302による電圧低下はVOVN及びVOVPに対して無視できる大きさであると考えられるので、オーバードライブ電圧の計算に含める必要はない。また、VTHP及びVOVPは負であると仮定する。電圧に関する上記の式が満たされ、電流ミラー310のブランチに同じ大きさの電流が流れるようにトランジスタ311−322のサイズを決めると、チャージポンプ300は
【数10】

の電圧範囲で線形動作をする。上記の式によりVが最小となり、Vが最大となり、チャージポンプ300の振れ幅が最大となる。
【0022】
電流ミラー310はカスコードトランジスタ341−344と同じ半導体チップ上に配置してもよい。同じ半導体チップ上で(locally)電流ミラー310を用いてバイアス電圧V−Vを供給することにより、チャージポンプ300はプロセス(process)、電圧、及び温度(以下、「PVT」と呼ぶ)における動的な変化を追跡(track)することができる。本発明の限定ではなく一実施例として、バイアス電圧V−Vの大きさは、プロセス段階(process corners)、電源電圧、及び動作温度(すなわち、相異なるPVTポイント)に応じて、チャージポンプ300を通して必要な電流(ICP)を流すのに要する電圧を反映するように変化する。上記の式により「最低(bottom)」バイアス電圧(例えば、VとV)及び「最高(top)」バイアス電圧(例えば、VとV)を調節することにより、電流ミラー310は各PVTポイントにおいて出力電圧(VCTL)の振れ幅(swing)を最大化でき、これによりシステム100が正しく動作する(例えば、入力信号の位相を正しく追跡(track)する)周波数範囲を自動的に最大化できる。
【0023】
実施形態によっては、電流ミラー310中の「最高」(top)p型MOSトランジスタ(例えば、トランジスタ311)のドレイン電圧は、カスコードトランジスタ341のドレイン電圧でミラー(mirror)される。同様に、電流ミラー310中の「最低」(bottom)p型MOSトランジスタ(例えば、トランジスタ320)のドレイン電圧は、カスコードトランジスタ344のドレイン電圧でミラー(mirror)される。トランジスタ311のドレイン電圧をカスコードトランジスタ341のドレイン電圧でミラーし、トランジスタ320のドレイン電圧をカスコードトランジスタ344のドレイン電圧でミラーすることにより、チャージポンプ300は、トランジスタ311とカスコードトランジスタ341のドレイン・ソース電圧の違い、及びトランジスタ320とカスコードトランジスタ344のドレイン・ソース電圧の違いに起因する電流ミラー310のブランチ(branches)の電流の違いを低減または除去することができる。例えば、トランジスタ311のドレイン電圧をカスコードトランジスタ341のドレイン電圧でミラーすると、ブランチ351、352に流れる電流は、正の電源346から出力ノード102に(すなわち、カスコードトランジスタ341、342を含むブランチに)流れる電流と同じか実質的に同じになる。同様に、トランジスタ320のドレイン電圧をカスコードトランジスタ344のドレイン電圧でミラーすると、ブランチ353、354に流れる電流は、負の電源348(例えば、接地)から出力ノード102に(すなわち、カスコードトランジスタ343、344を含むブランチに)流れる電流と同じか実質的に同じになる。上記のように電流ミラー310のブランチに流れる電流間の違いを低減または除去することにより、チャージポンプ300のシステマチックゲインエラー(systematic gain error)を低減または除去できる。
【0024】
実施形態によっては、チャージポンプ300の出力抵抗が大きいこと、または動作範囲が線形であること、またはシステマチックゲインエラーが比較的小さいこと、またはこれらの組合せにより、システム100ではチャージポンプ電流を比較的小さくでき、電源電圧を比較的低くできる。本発明の限定ではなく一実施例として、オンチップ(on-chip)ループフィルタを利用するPLL回路やクロックデータ回復(CDR)回路で、チャージポンプ300の実施形態を使用できる。実施形態によっては、トランジスタの低出力抵抗化と低電源電圧化がスケーリングトレンド(scaling trends)であるディープサブミクロン(deep submicron)CMOS(Complimentary Metal-Oxide-Semiconductor)プロセスで使用するようにチャージポンプ300を設計することもできる。
【0025】
本発明は、ここに説明した実施形態に対する、当業者が想到するであろうすべての変更、置換、変形、代替、修正を含むものである。同様に、適切な場合には、特許請求の範囲は、ここに説明した実施形態に対する、当業者が想到するであろうすべての変更、置換、変形、代替、修正を含むものである。さらに、図1の構成要素が本発明の段階を実施するとして説明したが、本発明は任意の適切な段階を実行する任意の適切な校正用を含みうるものである。
【0026】
なお、本発明の一部の実施形態を整理すると以下の通りである。
(付記1) アップ(UP)信号を受け取り、前記UP信号の受け取りに応答して、対応する出力電流を正の電源から出力ノードに送るように動作可能な第1の入力トランジスタと、
ダウン(DN)信号を受け取り、前記DN信号の受け取りに応答して、対応する出力電流を負の電源から前記出力ノードに送るように動作可能な第2の入力トランジスタと、
前記第1の入力トランジスタと前記出力ノードの間の第1の電流経路に配置された第1のカスコードトランジスタ及び第2のカスコードトランジスタと、
前記第2の入力トランジスタと前記出力ノードの間の第2の電流経路に配置された第3のカスコードトランジスタ及び第4のカスコードトランジスタと、
第1のバイアス電圧(V)、第2のバイアス電圧(V)、第3のバイアス電圧(V)、及び第4のバイアス電圧(V)をそれぞれ第1、第2、第3、及び第4のカスコードトランジスタに送るように動作可能である、前記第1、第2、第3、第4のカスコードトランジスタのゲートに結合した電流ミラーとを有し、
前記電流ミラーは、複数のp型MOS電解効果トランジスタと、複数のn型MOS電解効果トランジスタとを有し、各p型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタにはチャネル幅があり、
前記p型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタの前記チャネル幅が前記バイアス電圧の値を決定し、
前記バイアス電圧V−Vにより前記第1、第2、第3、及び第4のカスコードトランジスタが飽和領域で動作するチャージポンプ。
(付記2) 前記複数のp型MOSトランジスタと前記複数のn型MOSトランジスタは
【数11】

に示すバイアス電圧V−Vを発生するように構成され、
DDは前記正の電源電圧の電圧を表し、VTHPは前記電流ミラーの前記複数のp型MOSトランジスタの閾値電圧を表し、VTHNは前記電流ミラーの前記複数のn型MOSトランジスタの閾値電圧を表し、VOVPは前記電流ミラーの前記複数p型MOSトランジスタのゲート・ソースオーバードライブ電圧を表し、VOVNは前記電流ミラーの前記複数のn型MOSトランジスタのゲート・ソースオーバードライブ電圧を表す、付記1に記載のチャージポンプ。
(付記3) 前記第1のカスコードトランジスタのソース端子は前記第1の入力トランジスタのドレイン端子に接続され、
前記第4のカスコードトランジスタのソース端子は前記第2の入力トランジスタのドレイン端子に接続され、
前記電流ミラーは前記第1のカスコードトランジスタのドレイン端子の電圧と前記第4のカスコードトランジスタのドレイン端子の電圧をミラーするように構成された、付記1に記載のチャージポンプ。
(付記4) 前記第1と第2のカスコードトランジスタはp型MOSトランジスタを含み、
前記第3と第4のカスコードトランジスタはn型MOSトランジスタを含み、
前記第1のカスコードトランジスタは、そのゲートにバイアス電圧Vが印加されると、飽和領域で動作するように構成され、
前記第2のカスコードトランジスタは、そのゲートにバイアス電圧Vが印加されると、飽和領域で動作するように構成され、
前記第3のカスコードトランジスタは、そのゲートにバイアス電圧Vが印加されると、飽和領域で動作するように構成され、
前記第4のカスコードトランジスタは、そのゲートにバイアス電圧Vが印加されると、飽和領域で動作するように構成された、付記2に記載のチャージポンプ。
(付記5) 前記複数のp型MOSトランジスタは同じチャネル幅(W)を有し、
前記複数のn型MOSトランジスタは同じチャネル幅(W)を有し、
前記チャージポンプは、
/3のチャネル幅を有する1つのp型MOSトランジスタと、
/3のチャネル幅を有する1つのp型MOSトランジスタとを更に有する、付記1に記載のチャージポンプ。
(付記6) 前記第1の入力トランジスタの第1のチャネル幅と同じか実質的に同じチャネル幅を有する複数のp型MOSレプリカトランジスタと、
前記第2の入力トランジスタの第2のチャネル幅と同じか実質的に同じチャネル幅を有する複数のn型MOSレプリカトランジスタとをさらに有する、付記1に記載のチャージポンプ。
(付記7) 前記電流ミラーは、第1のノード、第2のノード、第3のノード、及び第4のノードを介して第1、第2、第3、及び第4のカスコードトランジスタのゲートにバイアス電圧V−Vを送り、
前記複数のp型MOSトランジスタと前記複数のn型MOSトランジスタは前記電流ミラーの複数のブランチの各々に電流を流し、
前記正の電源から前記出力ノードへの、対応する出力電流の大きさは、前記電流ミラーの前記複数のブランチの各々の電流の大きさと同じである、付記1に記載のチャージポンプ。
(付記8) 前記電流ミラーは、前記カスコードトランジスタとともに1つのマイクロチップ上にあり、プロセス段階、電源電圧、及び動作温度の変化を補償するように前記バイアス電圧V−Vを調節するように動作可能である、付記2に記載のチャージポンプ。
(付記9) 前記カスコードトランジスタは、集合
【数12】

中の出力電圧(VCTL)の範囲において前記出力ノードの出力抵抗が
【数13】

となるように構成され、gmPとroPは前記第1と第2のカスコードトランジスタの相互コンダクタンスと出力抵抗を表し、gmNとroNは前記第3と第4のカスコードトランジスタの相互コンダクタンスと出力抵抗を表す、付記2に記載のチャージポンプ。
(付記10) アップ(UP)信号を受け取り、前記UP信号の受け取りに応答して、対応する出力電流を正の電源から出力ノードに送るように動作可能な第1の入力トランジスタと、
ダウン(DN)信号を受け取り、前記DN信号の受け取りに応答して、対応する出力電流を負の電源から前記出力ノードに送るように動作可能な第2の入力トランジスタと、
前記第1の入力トランジスタと前記出力ノードの間の第1の電流経路に配置された第1のカスコードトランジスタ及び第2のカスコードトランジスタと、
前記第2の入力トランジスタと前記出力ノードの間の第2の電流経路に配置された第3のカスコードトランジスタ及び第4のカスコードトランジスタと、
前記第1、第2、第3、及び第4のカスコードトランジスタのゲートに結合した電流ミラーとを有し、前記電流ミラーは、
同じチャネル幅(W)を有する複数のp型MOSトランジスタと、
/3のチャネル幅を有する1つのp型MOSトランジスタと、
同じチャネル幅(W)を有する複数のn型MOSトランジスタと、
/3のチャネル幅を有する1つのn型MOSトランジスタとを有し、
前記電流ミラーは、第1のバイアス電圧(V)、第2のバイアス電圧(V)、第3のバイアス電圧(V)、及び第4のバイアス電圧(V)をそれぞれ前記第1、第2、第3、及び第4のカスコードトランジスタに送るように構成されたチャージポンプ。
(付記11) 前記第1のカスコードトランジスタのソース端子は前記第1の入力トランジスタのドレイン端子に接続され、
前記第4のカスコードトランジスタのソース端子は前記第2の入力トランジスタのドレイン端子に接続され、
前記電流ミラーは前記第1のカスコードトランジスタのドレイン端子の電圧と前記第4のカスコードトランジスタのドレイン端子の電圧をミラーするように構成された、付記10に記載のチャージポンプ。
(付記12) 前記第1のカスコードトランジスタはそのゲートにバイアス電圧Vが印加されると、飽和領域で動作するように構成され、
前記第2のカスコードトランジスタは、そのゲートにバイアス電圧Vが印加されると、飽和領域で動作するように構成され、
前記第3のカスコードトランジスタは、そのゲートにバイアス電圧Vが印加されると、飽和領域で動作するように構成され、
前記第4のカスコードトランジスタは、そのゲートにバイアス電圧Vが印加されると、飽和領域で動作するように構成された、付記10に記載のチャージポンプ。
(付記13) 前記電流ミラーは、第1のノード、第2のノード、第3のノード、及び第4のノードを介して第1、第2、第3、及び第4のカスコードトランジスタのゲートにバイアス電圧V−Vを供給するように動作可能であり、
前記複数のp型MOSトランジスタと前記複数のn型MOSトランジスタは前記電流ミラーの複数のブランチの各々に電流を流し、
前記正の電源から前記出力ノードへの、対応する出力電流の大きさは、前記電流ミラーの前記複数のブランチの各々の電流の大きさと同じである、付記10に記載のチャージポンプ。
(付記14) 前記電流ミラーは、前記カスコードトランジスタとともに1つのマイクロチップ上にあり、プロセス段階、電源電圧、及び動作温度の変化を補償するように前記バイアス電圧V−Vを調節するように動作可能である、付記10に記載のチャージポンプ。
(付記15) 前記カスコードトランジスタは、集合
【数14】

中の出力電圧(VCTL)の範囲において前記出力ノードの出力抵抗が
【数15】

となるように構成され、gmPとroPは前記第1と第2のカスコードトランジスタの相互コンダクタンスと出力抵抗を表し、gmNとroNは前記第3と第4のカスコードトランジスタの相互コンダクタンスと出力抵抗を表し、
DDは前記正の電源電圧の電圧を表し、VTHPは前記電流ミラーの前記複数のp型MOSトランジスタの閾値電圧を表し、VOVPは前記電流ミラーの前記複数p型MOSトランジスタのゲート・ソースオーバードライブ電圧を表し、VOVNは前記電流ミラーの前記複数のn型MOSトランジスタのゲート・ソースオーバードライブ電圧を表す、付記10に記載のチャージポンプ。
(付記16) アップ(UP)信号を受け取り、前記UP信号の受け取りに応答して、対応する出力電流を正の電源から出力ノードに送るように動作可能な第1の入力トランジスタと、
ダウン(DN)信号を受け取り、前記DN信号の受け取りに応答して、対応する出力電流を負の電源から前記出力ノードに送るように動作可能な第2の入力トランジスタと、
前記第1の入力トランジスタと前記出力ノードの間の第1の電流経路に配置された第1のカスコードトランジスタ及び第2のカスコードトランジスタと、
前記第2の入力トランジスタと前記出力ノードの間の第2の電流経路に配置された第3のカスコードトランジスタ及び第4のカスコードトランジスタと、
前記第1、第2、第3、及び第4のカスコードトランジスタのゲートに結合した電流ミラーとを有し、前記電流ミラーは、
同じチャネル幅(W)を有する複数のp型MOSトランジスタと、
/3のチャネル幅を有する1つのp型MOSトランジスタと、
同じチャネル幅(W)を有する複数のn型MOSトランジスタと、
/3のチャネル幅を有する1つのn型MOSトランジスタとを有し、
前記p型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタの前記チャネル幅が前記バイアス電圧V−Vの値を決定し、
前記バイアス電圧V−Vにより前記第1、第2、第3、及び第4のカスコードトランジスタが飽和領域で動作し、
前記複数のp型MOSトランジスタと前記複数のn型MOSトランジスタは
【数16】

に示すバイアス電圧V−Vを発生するように構成され、
DDは前記正の電源電圧の電圧を表し、VTHPは前記電流ミラーの前記複数のp型MOSトランジスタの閾値電圧を表し、VTHNは前記電流ミラーの前記複数のn型MOSトランジスタの閾値電圧を表し、VOVPは前記電流ミラーの前記複数p型MOSトランジスタのゲート・ソースオーバードライブ電圧を表し、VOVNは前記電流ミラーの前記複数のn型MOSトランジスタのゲート・ソースオーバードライブ電圧を表すチャージポンプ。
(付記17) 前記カスコードトランジスタは、集合
【数17】

中の出力電圧(VCTL)の範囲において前記出力ノードの出力抵抗が
【数18】

となるように構成され、gmPとroPは前記第1と第2のカスコードトランジスタの相互コンダクタンスと出力抵抗を表し、gmNとroNは前記第3と第4のカスコードトランジスタの相互コンダクタンスと出力抵抗を表す、付記16に記載のチャージポンプ。
(付記18) 前記電流ミラーは、第1のノード、第2のノード、第3のノード、及び第4のノードを介して第1、第2、第3、及び第4のカスコードトランジスタのゲートにバイアス電圧V−Vを供給するように動作可能であり、
前記複数のp型MOSトランジスタと前記複数のn型MOSトランジスタは前記電流ミラーの複数のブランチの各々に電流を流し、
前記正の電源から前記出力ノードへの、対応する出力電流の大きさは、前記電流ミラーの前記複数のブランチの各々の電流の大きさと同じである、付記16に記載のチャージポンプ。
(付記19) 前記電流ミラーは、前記カスコードトランジスタとともに1つのマイクロチップ上にあり、プロセス段階、電源電圧、及び動作温度の変化を補償するように前記バイアス電圧V−Vを調節するように動作可能である、付記16に記載のチャージポンプ。
(付記20) 前記第1と第2のカスコードトランジスタはp型MOSトランジスタを含み、
前記第3と第4のカスコードトランジスタはn型MOSトランジスタを含み、
前記第1のカスコードトランジスタのソース端子は前記第1の入力トランジスタのドレイン端子に接続され、
前記第4のカスコードトランジスタのソース端子は前記第2の入力トランジスタのドレイン端子に接続され、
前記電流ミラーは前記第1のカスコードトランジスタのドレイン端子の電圧と前記第4のカスコードトランジスタのドレイン端子の電圧をミラーするように構成された、付記16に記載のチャージポンプ。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態によるPLLの一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態によるチャージポンプの一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0028】
100 システム
101 クロック信号
200 位相検出器
300 チャージポンプ
400 ループフィルタ
500 電圧制御オシレータ
102 ノード
301、302 入力トランジスタ
303 電源
304 p型MOSレプリカトランジスタ
305 n型MOSレプリカトランジスタ
310 電流ミラー
311−318 p型MOSトランジスタ
319−322 n型MOSトランジスタ
331−334 ノード
341−344 カスコードトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アップ(UP)信号を受け取り、前記UP信号の受け取りに応答して、対応する出力電流を正の電源から出力ノードに送るように動作可能な第1の入力トランジスタと、
ダウン(DN)信号を受け取り、前記DN信号の受け取りに応答して、対応する出力電流を負の電源から前記出力ノードに送るように動作可能な第2の入力トランジスタと、
前記第1の入力トランジスタと前記出力ノードの間の第1の電流経路に配置された第1のカスコードトランジスタ及び第2のカスコードトランジスタと、
前記第2の入力トランジスタと前記出力ノードの間の第2の電流経路に配置された第3のカスコードトランジスタ及び第4のカスコードトランジスタと、
第1のバイアス電圧(V)、第2のバイアス電圧(V)、第3のバイアス電圧(V)、及び第4のバイアス電圧(V)をそれぞれ第1、第2、第3、及び第4のカスコードトランジスタに送るように動作可能である、前記第1、第2、第3、第4のカスコードトランジスタのゲートに結合した電流ミラーとを有し、
前記電流ミラーは、複数のp型MOS電解効果トランジスタと、複数のn型MOS電解効果トランジスタとを有し、各p型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタにはチャネル幅があり、
前記p型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタの前記チャネル幅が前記バイアス電圧の値を決定し、
前記バイアス電圧V−Vにより前記第1、第2、第3、及び第4のカスコードトランジスタが飽和領域で動作するチャージポンプ。
【請求項2】
前記複数のp型MOSトランジスタと前記複数のn型MOSトランジスタは
【数1】

に示すバイアス電圧V−Vを発生するように構成され、
DDは前記正の電源電圧の電圧を表し、VTHPは前記電流ミラーの前記複数のp型MOSトランジスタの閾値電圧を表し、VTHNは前記電流ミラーの前記複数のn型MOSトランジスタの閾値電圧を表し、VOVPは前記電流ミラーの前記複数p型MOSトランジスタのゲート・ソースオーバードライブ電圧を表し、VOVNは前記電流ミラーの前記複数のn型MOSトランジスタのゲート・ソースオーバードライブ電圧を表す、請求項1に記載のチャージポンプ。
【請求項3】
前記第1のカスコードトランジスタのソース端子は前記第1の入力トランジスタのドレイン端子に接続され、
前記第4のカスコードトランジスタのソース端子は前記第2の入力トランジスタのドレイン端子に接続され、
前記電流ミラーは前記第1のカスコードトランジスタのドレイン端子の電圧と前記第4のカスコードトランジスタのドレイン端子の電圧をミラーするように構成された、請求項1に記載のチャージポンプ。
【請求項4】
前記第1と第2のカスコードトランジスタはp型MOSトランジスタを含み、
前記第3と第4のカスコードトランジスタはn型MOSトランジスタを含み、
前記第1のカスコードトランジスタは、そのゲートにバイアス電圧Vが印加されると、飽和領域で動作するように構成され、
前記第2のカスコードトランジスタは、そのゲートにバイアス電圧Vが印加されると、飽和領域で動作するように構成され、
前記第3のカスコードトランジスタは、そのゲートにバイアス電圧Vが印加されると、飽和領域で動作するように構成され、
前記第4のカスコードトランジスタは、そのゲートにバイアス電圧Vが印加されると、飽和領域で動作するように構成された、請求項2に記載のチャージポンプ。
【請求項5】
前記複数のp型MOSトランジスタは同じチャネル幅(W)を有し、
前記複数のn型MOSトランジスタは同じチャネル幅(W)を有し、
前記チャージポンプは、
/3のチャネル幅を有する1つのp型MOSトランジスタと、
/3のチャネル幅を有する1つのp型MOSトランジスタとを更に有する、請求項1に記載のチャージポンプ。
【請求項6】
前記第1の入力トランジスタの第1のチャネル幅と同じか実質的に同じチャネル幅を有する複数のp型MOSレプリカトランジスタと、
前記第2の入力トランジスタの第2のチャネル幅と同じか実質的に同じチャネル幅を有する複数のn型MOSレプリカトランジスタとをさらに有する、請求項1に記載のチャージポンプ。
【請求項7】
前記電流ミラーは、第1のノード、第2のノード、第3のノード、及び第4のノードを介して第1、第2、第3、及び第4のカスコードトランジスタのゲートにバイアス電圧V−Vを送り、
前記複数のp型MOSトランジスタと前記複数のn型MOSトランジスタは前記電流ミラーの複数のブランチの各々に電流を流し、
前記正の電源から前記出力ノードへの、対応する出力電流の大きさは、前記電流ミラーの前記複数のブランチの各々の電流の大きさと同じである、請求項1に記載のチャージポンプ。
【請求項8】
前記電流ミラーは、前記カスコードトランジスタとともに1つのマイクロチップ上にあり、プロセス段階、電源電圧、及び動作温度の変化を補償するように前記バイアス電圧V−Vを調節するように動作可能である、請求項2に記載のチャージポンプ。
【請求項9】
前記カスコードトランジスタは、集合
【数2】

中の出力電圧(VCTL)の範囲において前記出力ノードの出力抵抗が
【数3】

となるように構成され、gmPとroPは前記第1と第2のカスコードトランジスタの相互コンダクタンスと出力抵抗を表し、gmNとroNは前記第3と第4のカスコードトランジスタの相互コンダクタンスと出力抵抗を表す、請求項2に記載のチャージポンプ。
【請求項10】
アップ(UP)信号を受け取り、前記UP信号の受け取りに応答して、対応する出力電流を正の電源から出力ノードに送るように動作可能な第1の入力トランジスタと、
ダウン(DN)信号を受け取り、前記DN信号の受け取りに応答して、対応する出力電流を負の電源から前記出力ノードに送るように動作可能な第2の入力トランジスタと、
前記第1の入力トランジスタと前記出力ノードの間の第1の電流経路に配置された第1のカスコードトランジスタ及び第2のカスコードトランジスタと、
前記第2の入力トランジスタと前記出力ノードの間の第2の電流経路に配置された第3のカスコードトランジスタ及び第4のカスコードトランジスタと、
前記第1、第2、第3、及び第4のカスコードトランジスタのゲートに結合した電流ミラーとを有し、前記電流ミラーは、
同じチャネル幅(W)を有する複数のp型MOSトランジスタと、
/3のチャネル幅を有する1つのp型MOSトランジスタと、
同じチャネル幅(W)を有する複数のn型MOSトランジスタと、
/3のチャネル幅を有する1つのn型MOSトランジスタとを有し、
前記電流ミラーは、第1のバイアス電圧(V)、第2のバイアス電圧(V)、第3のバイアス電圧(V)、及び第4のバイアス電圧(V)をそれぞれ前記第1、第2、第3、及び第4のカスコードトランジスタに送るように構成されたチャージポンプ。
【請求項11】
アップ(UP)信号を受け取り、前記UP信号の受け取りに応答して、対応する出力電流を正の電源から出力ノードに送るように動作可能な第1の入力トランジスタと、
ダウン(DN)信号を受け取り、前記DN信号の受け取りに応答して、対応する出力電流を負の電源から前記出力ノードに送るように動作可能な第2の入力トランジスタと、
前記第1の入力トランジスタと前記出力ノードの間の第1の電流経路に配置された第1のカスコードトランジスタ及び第2のカスコードトランジスタと、
前記第2の入力トランジスタと前記出力ノードの間の第2の電流経路に配置された第3のカスコードトランジスタ及び第4のカスコードトランジスタと、
前記第1、第2、第3、及び第4のカスコードトランジスタのゲートに結合した電流ミラーとを有し、前記電流ミラーは、
同じチャネル幅(W)を有する複数のp型MOSトランジスタと、
/3のチャネル幅を有する1つのp型MOSトランジスタと、
同じチャネル幅(W)を有する複数のn型MOSトランジスタと、
/3のチャネル幅を有する1つのn型MOSトランジスタとを有し、
前記p型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタの前記チャネル幅が前記バイアス電圧V−Vの値を決定し、
前記バイアス電圧V−Vにより前記第1、第2、第3、及び第4のカスコードトランジスタが飽和領域で動作し、
前記複数のp型MOSトランジスタと前記複数のn型MOSトランジスタは
【数4】

に示すバイアス電圧V−Vを発生するように構成され、
DDは前記正の電源電圧の電圧を表し、VTHPは前記電流ミラーの前記複数のp型MOSトランジスタの閾値電圧を表し、VTHNは前記電流ミラーの前記複数のn型MOSトランジスタの閾値電圧を表し、VOVPは前記電流ミラーの前記複数p型MOSトランジスタのゲート・ソースオーバードライブ電圧を表し、VOVNは前記電流ミラーの前記複数のn型MOSトランジスタのゲート・ソースオーバードライブ電圧を表すチャージポンプ。
【請求項12】
基準信号とクロック信号の間の位相差を検出する位相検出器と、
前記位相検出器からエラー補正信号を受け取り、対応する電流を出力する、請求項1乃至11いずれか一項に記載のチャージポンプと、
フィードバックループの動的な振る舞いを制御し、前記チャージポンプが出力した電流に付随する高周波ノイズをフィルタ除去するループフィルタと、
前記ループフィルタの電圧出力に応じて前記クロック信号を発生する電圧制御オシレータとを有するシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−199617(P2008−199617A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29536(P2008−29536)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】