カッターホルダーユニット、およびそのカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置。
【課題】 スクライブ装置を用いてガラス板を良好にスクライブする。
【解決手段】 切り粉回収用の吸引ノーズ121を、カッターホルダー110の側面側に近接して配置して、スクライブで生じたガラス粉を吸収して回収したので、ガラス紛の拡散が防止され、スクライブカッター101やカッターホルダー110の磨耗が防げ、スクライブカッターがスリップすることなく、良好なスクライブが行え、製品の汚れも防げた。また、カッター支持部114と取付軸118との間に、両側に開口116Kを有し、かつカッター支持部114に連通した空間部116を設け、吸引する空気による流れで吸引ノーズ121部分の空気を引き込みガラス粉の回収効率を向上させた。
【解決手段】 切り粉回収用の吸引ノーズ121を、カッターホルダー110の側面側に近接して配置して、スクライブで生じたガラス粉を吸収して回収したので、ガラス紛の拡散が防止され、スクライブカッター101やカッターホルダー110の磨耗が防げ、スクライブカッターがスリップすることなく、良好なスクライブが行え、製品の汚れも防げた。また、カッター支持部114と取付軸118との間に、両側に開口116Kを有し、かつカッター支持部114に連通した空間部116を設け、吸引する空気による流れで吸引ノーズ121部分の空気を引き込みガラス粉の回収効率を向上させた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス等の脆性材料をスクライブ(切断)するスクライブカッターを回転自在に保持するカッターホルダーユニット、およびそのカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板等の脆性材料を大きなブランク材から所望の寸法に切り出す場合、超硬合金または焼結ダイヤモンドから成る円盤の円周面にV字状の刃を形成したスクライブカッターを、ガラス板上において圧接状態で転動させることにより、ガラス板表面にスクライブライン(切筋)を刻み、当該スクライブラインに沿って板厚方向に垂直クラックを生じさせ、その後、ブレイキング装置を用いて、ガラス板表面に応力を加え、垂直クラックをガラス板の片方の表面から反対面迄成長させ、ガラス板を切断する。この切断を工業的に大量に行う場合、スクライブ装置を用い、スクライブカッターはカッターホルダーユニットで保持しながら、スクライブ装置に装着して使用する。このカッターホルダーユニットの背景技術としては、一般的に広く用いられる幾つかの慣用技術の他にも、下記の特許文献1で示した技術がある。
【0003】
【特許文献1】特許出願公開 2000−247667号公報
【0004】
以下、背景技術を、図8〜図12を用いながら説明する。図8は背景技術における一般的なスクライブ装置の正面図、図9は背景技術の従来例1として、図8のスクライブ装置に使用するスクライブヘッドの一部を成すカッターホルダーユニットで、図9(a)は側面図、図9(b)は正面図、図10は背景技術の従来例2として、図8のスクライブ装置に使用するスクライブヘッドの一部を成すカッターホルダーユニットの正面図、図11は背景技術の従来例3として、図8のスクライブ装置に使用するスクライブヘッドの側面図、図12は背景技術の従来例4として、特許文献1に示され、図8のスクライブ装置に使用するスクライブヘッドの側面断面図である。
【0005】
先ず、図8を用いながら、本発明の対象であるカッターホルダーユニット及び、そのカッターホルダーユニットを構成部品とするスクライブヘッドを装着したスクライブ装置の概説から始める。
【0006】
図8に示したスクライブ装置10に設けられたテーブル1は、ボールネジ2により、レール3に沿って、移動するY方向移動台4や、その上に載置された回転台5により、Y方向移動とθ回転が可能である。また、テーブル1の上方には、ガイドバー6がX方向に向けて設けられ、モーター7により、スクライブヘッド20がガイドバー6に沿って移動可能である。ワークであるガラス板8をスクライブする場合、テーブル上1にガラス板8を吸引固定し、CCDカメラ9により、セットしたガラス板8の所定位置からのずれ量を検出し、テーブル1を回転(θ)とY方向移動により、定位置にセットする。スクライブヘッド20には、カッターホルダーユニット30が設けられ、回動自在に軸支したスクライブカッター31が装着されているので、スクライブカッター31をガラス板8に押圧しながら、スクライブヘッド20をX方向に移動させてガラス板8の表面にスクライブラインを刻む。1本のスクライブラインが終わったら、テーブル1をY方向に移動させて、X方向のスクライブ加工を繰返して、この加工が終わったら、テーブル1を90度旋回させ、同様のスクライブラインを刻んでいく。
【0007】
以上、説明したスクライブ装置10に用いたスクライブヘッド20の一部を成すカッターホルダーユニット30の構成を、従来例1として図9を用いながら説明する。尚、図9(a)はカッターホルダーユニットの側面図、図9(b)はカッターホルダーユニットの正面図である。
【0008】
従来例1のカッターホルダーユニット40は、カッターホルダー42とスクライブカッター41とから成り、カッターホルダー42の主要構成部品であるカッターホルダー本体43の下部には、カッター軸44を支えるカッター支持部43aが設けられ、また、カッターホルダー本体43の上部には、取付軸45が固定されている。そして、前記カッター軸44にスクライブカッター41を回転自在に取付けたカッターホルダーユニット40を、取付軸45を介して、図8に示したスクライブ装置10のカッターホルダー30の位置に装着して使用していた。
【0009】
スクライブ装置10で、ガラス板8をスクライブ時には、切り粉としてガラス紛が発生する。従来例1のカッターホルダーユニット40では、支持部43aとスクライブカッター41の間の隙間46に貯まったガラス紛47を除去するには、スクライブ装置10の運転を一旦停止して、マニュアルで除去した。しかし、十分な除去が難しく、ガラス紛47が隙間46に詰まってスクライブカッター41が回転せず、スリップを起し易かった。
【0010】
図10は従来例2におけるカッターホルダーユニット50の正面図である。従来例2のカッターホルダーユニット50を従来例1の場合と比較すると、従来例2では、カッターホルダー本体53のカッター支持部53aの上方に空間部53bを設けた点に特徴がある。その他は、従来例1と同一である。(従って、図10において同一の番号を付し、説明は省略した。)
【0011】
従来例2においても、カッターホルダーユニット50を、取付軸45を介して、図8に示したスクライブ装置10のカッターホルダーユニット30の位置に装着してスクライブに使用する。そして、カッターホルダー52の主要構成部品であるカッターホルダー本体53の空間部53bや隙間56に貯まったガラス紛47は、スクライブ運転を停止した時、圧縮空気を用いて吹き飛ばした。隙間56に連なる空間部53bから圧縮空気を吹き付ける為、従来例1の様に、ガラス紛47がスクライブカッター41の周りに詰まり、回転の障害になることは少なくなったが、ガラス紛除去作業時にスクライブ装置10の運転を止める必要があり、また、ガラス紛が装置周辺に拡散する問題が生じた。
【0012】
図11を用い、従来例3として示すスクライブヘッド60は、カッターホルダーユニット62の部分に、従来例1で説明したカッターホルダーユニット40や、従来例2で説明したカッターホルダーユニット50を装着し、また、後方側面に、圧縮空気を吹き出すノズル61を設けてある。そして、このスクライブヘッド60を、図8に示すスクライブ装置10のガイドバー6に取り付け、スクライブ時、ノズル61より、圧縮空気を、斜め上方からスクライブポイントに向けて吹き付けて、ガラス紛を吹き飛ばして除去する。この為、ガラス紛除去に際し、スクライブ装置10の運転を止めする必要は無くなったが、吹き飛ばしたガラス紛が、カッターホルダーユニット62内に留まり、スクライブカッター41の回転を妨げてスリップを起し、製品不良の原因になったり、カッターホルダーユニット62のトラブル発生の原因になっていた。
【0013】
この従来例3の問題を解決するため考えられたのが、次に従来例4として図12を用いながら説明する特許許文献1に開示された方法である。図12は、背景技術において、図8のスクライブ装置10のスクライブヘッド20として装着するスクライブヘッド70の縦断面図である。
【0014】
図12に示したスクライブヘッド70は、大別すると、ガイドバー6に装着するスクライブヘッド本体71とホルダー保持部75から成る。そして、スクライブヘッド本体71には、エアーシリンダー室73が形成され、ピストン74が嵌挿され、ピストン74の下端に設けた凹部にはベアリング74aが収納され、ベアリング74aの内輪穴と嵌合する中心軸74bがピストン74に固定されている。また、カッターホルダーユニット80の垂直方向の取付軸85が、ホルダー保持部75の略中央に設けた凹部76に格納した軸受ベアリング77の内輪に嵌合されている。更に、ホルダー保持部75の右側では、軸受ベアリング75aが、紙面に直交する方向に埋め込まれ、ベアリング75aの内輪に挿入した中心軸75bはスクライブヘッド本体71側に取付られ、ホルダー保持部75の左下端部は、スクライブヘッド本体71に取り付けたストッパーSで係止されているので、ホルダー保持部75は、ベアリング75aを支点として、Gの範囲内で矢印A方向に俯仰することで、カッターホイール41を上下する構成になっている。
【0015】
また、カッターホルダーユニット80の取付軸85には、空気吹き付け孔85aが形成され、その上端は、ホルダー保持部75の略中央に設けた凹部76に導通し、更に通気孔78を通して外部に開口している。また、カッターホルダー本体81の下部では、スリ割溝81aにスクライブカッター41が回転自在に装着され、このスリ割溝81aに空気吹き付け孔85aの下端が開口している。尚、本実施例4では、スクライブカッター41の中心と、取付軸85の中心がずれているので、ホルダーは、スクライブヘッドの移動に伴い、移動方向に倣って首を振る構成を採っている。
【0016】
図12を用いながら説明した従来例4のスクライブヘッドは、図8に示したスクライブ装置10のスクライブヘッド20として使用する。そして、圧縮空気をエアーシリンダー室73に導通すると、ピストン74が下降し、軸受ベアリング74aの外輪がホルダー保持部75と当接して、スクライブカッター41に直下方向に所定のスクライブ圧が付与される。また、圧縮空気を通気孔78に供給すると、空気吹き付け孔85aを通った圧縮空気は、スクライブカッター41の上方から吹き付けられ、スクライブ時に発生したガラス紛はスクライブカッター41を挟むスリ割溝81aやスクライブカッター41に付着せず外部に吹き飛ばされる。
【0017】
図12で示した従来例4のスクライブヘッドを用いると、図11を用いて示した従来例3の場合と異なり、ガラス紛がカッターホルダーユニット内に留まる問題は無くなったが、ガラス紛は相変わらず飛散するので、スクライブカッターやホルダーの異常磨耗が発生し、また、スクライブカッターがスリップして、良好なスクライブが行えなかったり、また製品が汚れる事による品質問題が発生した。また、 飛散防止されたカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置は、トラブル、故障の頻度が増え、定期的な保守点検の回数も増えてしまった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
以上、種々の従来例で説明した通り、スクライブ時発生するガラス紛の対策として、これまで多くの技術改良が行われたが、最も進んだ従来例4の方法でも、スクライブ時に発生するガラス紛により、スクライブカッターやホルダーの異常磨耗が発生したり、スクライブカッターがスリップして、良好なスクライブが行えないとか、製品が汚れる等で製品品質に問題が発生した。また、 スクライブ装置の、トラブルや、故障の頻度が増え、また、定期的な保守点検の回数も増えてしまう問題は残っていた。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は上記課題を解決するために成されたものである。解決する手段として、本発明の請求項1記載に係わる発明は、脆性材料をスクライブするスクライブカッターと、このスクライブカッターを回転自在に軸支するカッターホルダーとを備えたカッターホルダーユニットにおいて、前記カッターホルダーは、前記スクライブカッターのカッター軸をスクライブカッターの両側で軸支するカッター支持部と、カッターホルダーユニットをスクライブ装置へ取付ける為に設けた取付軸と、前記カッター支持部と前記取付軸との間にあって両側に開口を有して前記カッター支持部に連通した空間部を有し、更に、スクライブ時発生する切り粉回収用の吸引ノーズが、カッターホルダーの側面側に近接して配置されている事を特徴とするカッターホルダーユニットである。
【0020】
また、本発明の請求項2記載に係わる発明は、前記カッターホルダーの空間部に有する両側の開口は、前記カッターホルダーユニットのスクライブ走行方向側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカッターホルダーユニットである。
【0021】
また、本発明の請求項3記載に係わる発明は、前記吸引ノーズは、袋状で、且つ、カッターホルダー側の面が開放されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカッターホルダーユニットである。
【0022】
また、本発明の請求項4記載に係わる発明は、前記吸引ノーズは、上板によって前記カッターホルダーに固定されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のカッターホルダーユニットである。
【0023】
また、本発明の請求項5記載に係わる発明は、前記吸引ノーズは、前記カッターホルダーユニットのスクライブ時の走行方向とは反対側の側面側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のカッターホルダーユニットである。
【0024】
また、本発明の請求項6記載に係わる発明は、前記吸引ノーズの先端は、前記スクライブカッターのスクライブポイント近傍まで延出していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のカッターホルダーユニットである。
【0025】
また、本発明の請求項7記載に係わる発明は、前記請求項1乃至6の何れか1項に記載のカッターホルダーユニットを備えたことを特徴とするスクライブ装置である。
【発明の効果】
【0026】
発明の効果として、請求項1記載に係わる本発明のカッターホルダーユニットを用いると、ガラス粉を吸収して回収する為の、切り粉回収用の吸引ノーズが、カッターホルダーの側面側に近接して配置されているので、スクライブの結果生じたガラス粉の拡散が防止され、その結果、スクライブカッターやカッターホルダーの磨耗が防げ、スクライブカッターがスリップすることなく、良好なスクライブが行えるし、製品の汚れも防げる。また、カッター支持部と取付軸との間に、両側に開口を有してカッター支持部に連通した空間部を設けたことにより、吸引する空気による大きな流れが作られ、その流れに、ノーズ部分の空気も引き込まれるエジェクター効果が生じ、ガラス粉の回収効率が向上する効果が得られる。
【0027】
発明の効果として、請求項2記載に係わる本発明のカッターホルダーユニットを用いると、カッターホルダーの空間部に設けた両側の開口は、カッターホルダーユニットの走行方向側に設けられているので、カッターホルダーユニットの移動により、前方の空気がカッターホルダーの空間部に入り込んで吸引による空気の流れと合流し、より大きな吸引力を生じるので、より効率良くガラス粉を回収できる。
【0028】
発明の効果として、請求項3記載に係わる本発明のカッターホルダーユニットを用いると、吸引ノーズは、袋状で、且つ、カッターホルダー側の面が開放されているので、簡単な構造にもかかわらず、効率良くガラス粉を回収できる。
【0029】
発明の効果として、請求項4記載に係わる本発明のカッターホルダーユニットを用いると、吸引ノーズは、上板によってカッターホルダーに固定されるので、簡易に、且つ安定的にカッターホルダーに装着可能である。
【0030】
発明の効果として、請求項5記載に係わる本発明のカッターホルダーユニットを用いると、吸引ノーズが、カッターホルダーユニットのスクライブ時の走行方向とは反対側の側面側に配置されているので、スクライブカッターの回転で、スクライブカッター外周の周速によって引き起こされる空気の流れにより、ガラス粉を巻き込むことができ、ガラス粉の回収効率が高まる。
【0031】
発明の効果として、請求項6記載に係わる本発明のカッターホルダーユニットを用いると、吸引ノーズの先端が、前記スクライブカッターのスクライブポイント近傍まで延出して、吸引ノーズの下側ではカッター支持部より幅が広くなる為、吸引ノーズ部分に生じる吸引力が有効に使えて、ガラス粉の回収効率が高まる。
【0032】
発明の効果として、請求項7記載に係わる本発明のスクライブ装置を用いると、ガラス紛の飛散防止されたカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置は、トラブル、故障の頻度が減るので、日頃のメンテナンスが容易であり、また、定期的な保守点検の回数も少なくて済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」と略す)を、図1(a)、図1(b)、図2、図3を用いて説明する。図1は本発明の実施形態におけるカッターホルダーユニットを示し、図1(a)は該カッターホルダーユニットの側面断面図、図1(b)は図1(a)を矢視Aから見た正面図、図2は本実施形態のカッターホルダーユニットを装着したスクライブヘッドの縦断面図、図3は、本発明の実施形態のカッターホルダーユニットを装着したスクライブ装置の正面図である。
【0034】
図1に示す様に、本実施形態のカッターホルダーユニット100は、スクライブカッター101と、カッターホルダー110と、吸引部120とから成る。そして、スクライブカッター101を回転自在に軸支するカッター軸112は、厚板状の金属板から成り、スクライブカッター101の両側面側を挟むカッター支持部114により両端を支えられている。カッターホルダー本体115の下端でスクライブカッター101の両側面を挟むカッター支持部114は、それぞれ上方につながり、一旦間隔を広めて空間部116を形成してから、空間部上面117で一体化している。尚、空間部116に設けた両側の開口116Kは、カッターホルダーユニット100のスクライブ時の走行方向側に向いて設けてある。また、空間部上面117には、取付軸118が外側に向けて固着され、更に、位置決めピン孔119と固定用雌ネジ111とが設けてある。
【0035】
本実施形態のカッターホルダーユニット100に設けられた吸引部120の主要構成部品は吸引ノーズ121と上板122である。図1(a)において、カッターホルダー本体の左側側面に近接して配置される吸引ノーズ121は、カッターホルダー本体115の側面に沿い、かつ、カッターホルダー本体115側が開放された袋状を成しており、その先端121Sは、スクライブポイントSP近傍迄延びていている。また、吸引ノーズ121の幅はカッターホルダー本体115の空間部116の幅と略同寸法である。また、吸引ノーズ121の上端には上板122が一体化して設けてあり、上板122には、吸引孔123と取付軸逃げ孔124、位置決めピン孔125、固定ネジ用孔126が設けられ、吸引孔123には、吸引パイプ127が上方に向けて固着している。
【0036】
カッターホルダー110と、吸引部120とを組付けて図1に示したカッターホルダーユニット100を構成する場合は、上板122に設けた取付軸逃げ孔124に、カッターホルダー110の取付軸118を貫通させながら、上板122を空間部上面117上に載置し、上板122に設けてある位置決めピン孔125、および固定ネジ用孔126と、空間部上面117に設けた位置決めピン孔119、および固定用雌ネジ111の位置が合致する様に調整し、合致したところで位置決めピン孔125と119とに位置決めピン102を挿入し、最後に、固定ネジ103により、上板122と、空間部上面117とを確りと固定することにより、本発明の実施形態として図1(a)および、図1(b)に示したカッターホルダーユニット100が完成する。
【0037】
本実施形態の、カッターホルダーユニット100をガラス板等の脆性材料のスクライブ加工に供する場合は、図1(a)および、図1(b)中、想像線で示した取付け軸ベアリング177を、図2に示したスクライブヘッド170のホルダー保持部175に装着し、図3に示したスクライブ装置180を使用してスクライブするので、先ず、スクライブヘッド170の構成を簡単に説明しておく。
【0038】
図2に示した本実施形態におけるスクライブヘッド170の主要構成部品は、ガイドバー6に装着するスクライブヘッド本体171とその下側に設けたホルダー保持部175とに大別される。そして、スクライブヘッド本体171に設けたエアーシリンダー室173にはピストン174が嵌挿され、該ピストン174の下端の凹部にはベアリング174aが収納され、該ベアリング174aの内輪穴に嵌合する中心軸174bはピストン下端でピストン174に固定されている。
【0039】
また、ホルダー保持部175では、ホルダー保持部175の略中央に設けた凹部176に、軸受ベアリング177の外輪が格納され、軸受ベアリング177の内輪には図1をもって既に説明したカッターホルダーユニット100の取付軸118が嵌合され、また、吸引パイプ127は縦吸引孔191に挿入されている。また、ホルダー保持部175の右側においては、紙面に直交する方向に埋め込まれたベアリング175aの内輪に挿入した中心軸175bが、スクライブヘッド本体171のアーム179に固定されており、ホルダー保持部175はベアリング175aを支点として、スクライブヘッド本体171に取り付けたストッパーSに当接するGの範囲内で矢印A方向に俯仰することで、スクライブカッター101を上下する構成になっている。
【0040】
このスクライブヘッド170を、図3で示したスクライブ装置180に装着してスクライブする。本実施形態におけるスクライブ装置180の構成は、周辺技術において、図8を用いて既に説明したスクライブ装置10の場合と基本的な構成と動作は同一であるが、実施形態の装置として、図3を用いながら改めて一通り説明しておく。尚、スクライブ装置10と同一部品には、同一番号を使用する。
【0041】
本実施形態において、スクライブ装置180に設けられたテーブル1は、ボールネジ2の回転により、レール3に沿って紙面に垂直な方向(Y方向)に移動するY方向移動台4や、その上に載置された回転台5により、Y方向移動とθ回転が可能である。また、テーブル1の上方には、ガイドバー6がX方向に向けて設けられ、モーター7により、スクライブヘッド170がガイドバー6に沿って移動可能である。このスクライブ装置180を用いて、ガラス板8をスクライブ加工する場合は、先ず、テーブル1の上にワークとなるガラス板8を載置し、テーブル1表面に設けた開口に導通した吸引力によりワークを吸引固定する。そのあと、CCDカメラ9により、ガラス板8上に設けられたアライメントマークを認識して、セットしたガラス板8の所定位置からのずれ量を検出し、テーブル1を回転(θ)したり、Y方向に移動して、ガラス板8を所定位置にセットしておく。
【0042】
実施形態のスクライブ装置180を用いてガラス板8をスクライブ加工する場合は、図2のスクライブヘッド170のエアーシリンダー室173に圧縮空気を導通して、ピストン174を下降させ、ピストン174の下端に設けたベアリング174aの外輪で、ホルダー保持部175を押圧してスクライブカッター101に所定のスクライブ圧を付与する。また、図3のスクライブ装置180に設けた真空ポンプ181から導管182を通して回収ボックス183に負圧を供給し、この負圧は更に、ホルダー保持部175の横吸引孔192と縦吸引孔191を通して、カッターホルダーユニット100の吸引ノーズ121へと供給される。
【0043】
実施形態においても、スクライブカッター101をガラス板8の表面に下降させて押圧しながら、スクライブヘッド170をX方向に移動させることで、ガラス板8の表面にスクライブラインを刻んでいく。1本のスクライブラインが終わったら、テーブル1を所定量だけY方向に移動させ、テーブルをY方向に移動する度にこのX方向のスクライブ加工を繰返して、次々と一方向のスクライブ加工を施し、この加工が終わったら、テーブル1を90度旋回させ、同様のスクライブラインを刻んでいく。
【0044】
本実施形態においては、スクライブ時に発生するガラス紛は、真空ポンプ181により吸引ノーズ121に生じている負圧により外部から空気を吸い込んで生じる空気流と、カッターホルダーユニット100のスクライブ時の進行により、空間部116内に生じる圧縮空気が、低圧部分に向かう時生じる強い空気流れに乗って、吸引ノーズ121から吸引パイプ127を経て、スクライブ装置180に設けた回収ボックス183に回収される。
尚、本実施形態では、スクライブ時に発生する粉塵を負圧ポンプである真空ポンプ181で吸引する例を示したが、周辺部との差圧を利用して粉塵を吸引するブロアを使用しても良い。
【0045】
図1〜図3を用いて説明した本実施形態のカッターホルダーユニット、およびそのカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置は、ガラス粉を吸収して回収する為の、ガラス粉回収用の吸引ノーズが、カッターホルダーの側面側に近接し、かつ、吸引ノーズの先端が、前記スクライブカッターのスクライブポイント近傍まで延出して配置されており吸引ノーズの下側ではカッター支持部より幅が広くなる為、スクライブ時発生するガラス粉を効率良く回収できる。
【0046】
また、カッター支持部と取付軸との間に、両側に開口を有し、カッター支持部に連通した空間部を設けたことで、空間部を流れる大きな空気の流れが生じ、それに、吸引ノーズ部分の空気が引き込まれ、スクライブ時発生するガラス粉の回収効率が高まる。
【0047】
更に、カッターホルダーの空間部に設けた両側の開口が、カッターホルダーユニットの走行方向側に設けられていることで、スクライブ時のカッターホルダーユニットの移動により、走行時前方の空気がカッターホルダーの空間部に入り込んで吸引ノーズ部分に更に大きな吸引力を生じるのでスクライブ時発生するガラス粉の回収効率が高まる。
【0048】
また、吸引ノーズは、カッターホルダーユニットのスクライブ時の走行方向とは反対側の側面側に配置されているので、スクライブカッターの回転で、スクライブカッター外周の周速によって引き起こされる空気の流れにより、ガラス粉を巻き込むことができ、ガラス粉の回収効率が高まる。
【0049】
その結果、本実施形態では、スクライブカッターやカッターホルダーの磨耗が防げ、スクライブカッターがスリップすることなく、良好なスクライブが行えるし、製品の汚れも防げる。また、 飛散防止されたカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置は、トラブル、故障の頻度が減るので、日頃のメンテナンスが容易であり、また、定期的な保守点検の回数も少なくて済む。
【実施例1】
【0050】
次に図4を用いながら本発明の実施例1を説明する。図4は、本発明のカッターホルダーユニットの側面断面図である。尚、実施例1におけるカッターホルダーユニットの構成は、実施形態の場合と略同一であり、相違点は、吸引ノーズがスクライブポイント迄延長してないことだけである。従って、その説明は簡単に行う。
【0051】
実施例1におけるカッターホルダーユニット200の主要構成部品も、カッターホルダー210と吸引部220に分けられ、スクライブカッター201を回動自在に支持するカッター軸212は、スクライブカッター201の両側面側を挟むカッター支持部214により両端を支えられ、そのカッター支持部214は、それぞれ上方に延長しながら空間部216を形成し、空間部上面217で一体化している。また、空間部216に設けた両側の開口216Kは、カッターホルダーユニット200のスクライブ時の走行方向側に向いている。また、空間部上面217には、取付軸218と、位置決めピン孔219と、固定用雌ネジ211とが設けてある。
【0052】
実施例1の吸引部220の主要構成部品も実施形態と同様に吸引ノーズ221と上板222である。そして、図4において、カッターホルダー本体215の左側側面に近接して配置される吸引ノーズ221は、カッターホルダー本体215の側面に沿い、かつ、カッターホルダー本体215側が開放された袋状をしており、その先端は、空間部216の下端近傍迄延びていている。また、吸引ノーズ221の幅は空間部216の幅と略同寸法である。また、吸引ノーズ221の上端には、吸引孔223と取付軸逃げ孔224と、位置決めピン孔225と、固定ネジ用孔226とが設けられた上板222が一体化して設けてあり、吸引孔223には、上方に向けて吸引パイプ227が固着している。
【0053】
カッターホルダー210と、吸引部220とを組付けてカッターホルダーユニット200を構成する方法も、実施形態と同一である。即ち、上板222の取付け軸逃げ孔224に、取付軸218を貫通させながら、上板222の位置決めピン孔225、および固定ネジ用孔226と、空間部上面217に設けた位置決めピン孔219、および雌ネジ211の位置が合致する様に上板222と、カッターホルダー本体215の位置関係を調整しながら、位置決めピン孔219、225に位置決めピン202を挿入し、固定ネジ203により、上板222と、空間部上面217とを確りと固定して、本発明の実施例1として図4に示したカッターホルダーユニット200を完成する。
【0054】
実施例1において、カッターホルダーユニット200をスクライブヘッドに装着する方法も、実施形態の場合と同一である。即ち、実施形態として、カッターホルダーユニット100を装着したスクライブヘッド170を図2に示したが、このカッターホルダーユニット100の代わりに、図4で示したカッターホルダーユニット200を装着して、新たな実施例1のスクライブヘッド(図示省略)を構成する。
【0055】
また、この実施例1のスクライブヘッドを、スクライブ装置に装着する方法も、実施形態の場合と同一である。即ち、図3において、実施形態のカッターホルダーユニット100を装着した実施形態のスクライブヘッド170を備えたスクライブ装置180を示したが、この実施形態のカッターホルダーユニット100の代わりに、図4で示した実施例1のカッターホルダーユニット200を装着した実施例1のスクライブヘッド(図示省略)を装着した新たなスクライブ装置(図示省略)を構成する。そして、真空ポンプ181(図3参照)を用いて、図4中で示した吸引パイプ227に負圧を供給しながら、スクライブする。
【0056】
実施例1におけるスクライブ装置の構成および動作は、カッターホルダーユニット部分の構成を除いて、実施形態の場合と全く同一であり、その説明は省略する。
【0057】
実施例1におけるスクライブ時に発生するガラス紛の回収は、図3をもって説明した実施形態の場合と同様に、真空ポンプ181により吸引ノーズ221に生じている負圧により外部から空気を吸い込んで生じる空気流と、カッターホルダーユニット200のスクライブ時の進行により、空間部216内に生じる圧縮空気が、気圧差が大きい低圧部分に向かう時生じる強い空気流れに乗って、吸引ノーズ221から吸引パイプ227を経て、回収ボックス183に回収される。尚、負圧タイプの真空ポンプ181の代りに周辺部との差圧を利用したブロアを用いても良い。
【0058】
次に、実施形例1のカッターホルダーユニット、およびそのカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置の効果を説明する。図4で示した実施形例1のカッターホルダーユニットを備えた、スクライブ装置は、ガラス粉を吸収して回収する為の、吸引ノーズが、カッターホルダーの側面側に近接し、かつ、吸引ノーズの先端は、空間部近傍まで延出して配置されているので、実施形態の場合と比較すると、スクライブ時発生するガラス粉の吸引効率は少し劣るが、吸引ノーズの構造が簡単である特徴がある。
【0059】
その他には、実施形例1のカッターホルダーユニットを備えた、スクライブ装置は、実施形態と略同一の効果を生じる。即ち、カッター支持部と取付部との間に、両側に開口を有し、カッター支持部に連通した空間部を設けたことで、空間部を流れる大きな空気の流れが生じ、それに、吸引ノーズ部分の空気が引き込まれ、スクライブ時発生するガラス粉の回収効率が高まり、更に、カッターホルダーの空間部に設けた両側の開口が、カッターホルダーユニットの走行方向側に設けられているので、スクライブ時、前方の空気がカッターホルダーの空間部に入り込んで大きな吸引力を生じ、ガラス粉の回収効率が高まる。また、吸引ノーズは、カッターホルダーユニットのスクライブ時の走行方向とは反対側の側面側に配置されているので、スクライブカッター自身の回転でガラス粉を巻き込むことができ、ガラス粉の回収効率が高まる。
【0060】
実施例1のカッターホルダーユニットを用いてスクライブ時発生するガラス紛を効率良く回収することで、スクライブカッターやホルダーの磨耗が少なくなり、スクライブカッターのスリップが無い良好なスクライブが可能になり、また製品の汚れも防げる。また、スクライブ装置のトラブルや故障の頻度が減るので、日頃のメンテナンスが容易で、また、定期点検の回数も少なくて済む。
【実施例2】
【0061】
次に図5、図6、図7を用いながら本発明の実施例2を説明する。図5は実施例2のカッターホルダーユニットの側面断面図、図6は本実施例2のカッターホルダーユニットを装着したスクライブヘッドの縦断面図、図7は実施例2におけるスクライブ装置の正面図である。
【0062】
実施例2におけるカッターホルダーユニット300の構成は、実施例1で左側にのみ設けた吸引ノーズ221を、右側にも設けた点に特徴がある。その他は、実施例1と同一であり、従って、その説明は簡単に行う。
【0063】
図5に示した実施例2におけるカッターホルダーユニット300の主要構成部品も、カッターホルダー310と吸引部320に分けられる。また、カッターホルダー本体315は、実施例1と全く同一の構成である。即ち、スクライブカッター301を回動自在に支持するカッター軸312は、スクライブカッター301の両側面側を挟むカッター支持部314により両端を支えられ、そのカッター支持部314は、それぞれ上方に延長しながら空間部316を形成し、空間部上面317で一体化している。また、空間部上面317には、取付軸318と、位置決めピン孔319と、固定用雌ネジ311とが設けてある。
【0064】
図5に示した様に、実施例2における吸引ノーズ321は、実施例1と異なって、カッターホルダー本体315の左側側面の他に、右側側面にも近接して配置される。そして、それら左右の吸引ノーズ321は、カッターホルダー本体315の側面に沿い、かつ、カッターホルダー本体315側が開放された袋状をしており、その先端は、空間部316の下端近傍迄延びていている。また、左右の吸引ノーズの幅はカッターホルダー本体の空間部の幅と略同寸法である。また、左右の吸引ノーズ321の上端は、上板322に固定され、上板322の中央には取付軸逃げ孔324が、また、その取付軸逃げ孔324を挟んで位置決めピン孔325と、固定ネジ用孔326が、更に吸引ノーズ321の上方には2個の吸引孔323が設けられ、それぞれの吸引孔323には、吸引パイプ327が上方に向けて固着している。
【0065】
図5に示した様に、実施例2において、取付軸318を備えたカッターホルダー本体315と、2個の吸引ノーズ321と上板322から成る吸引部320とを組付けながら、カッターホルダーユニット300を構成する方法は、実施例1の場合と同一である。即ち、上板322の取付け軸逃げ孔324に、カッターホルダー本体315の取付軸318を貫通させながら、上板322の位置決めピン孔325、および固定ネジ用孔326と、カッターホルダー本体315の空間部上面317に設けた位置決めピン孔319および、雌ネジ311の位置が合致する様に上板322と、カッターホルダー本体315の位置関係を調整しながら、位置決めピン孔319、325に位置決めピン302を挿入し、固定ネジ303により、上板322と、空間部上面317とを確りと固定して、本発明の実施例2として図5に示したカッターホルダーユニット300を完成する。
【0066】
実施例2のカッターホルダーユニット300を装着したスクライブヘッド370を図6に示した。実施例2の場合は、吸引パイプ327を2個設けているので、左側の縦吸引孔391Lと右側の縦吸引孔391Rを横吸引孔392で集合させ、これをホルダー保持部375の出口に導いている。また、横吸引孔392を配置する都合上、ホルダー保持部375とスクライブヘッド本体371とを回転自在に軸支するベアリング175aはスクライブヘッド本体371側に設けてあるが、その他は、実施形態の場合と同一であり、説明は省略する。
【0067】
図7に実施例2におけるスクライブ装置380の構成を示したが、スクライブヘッド370の構成を除いて、実施形態の場合と全く同一であり、同一の部品に同一の符号を付すだけで、その説明は省略する。
【0068】
実施例2の場合も、スクライブ時に発生するガラス紛は、真空ポンプ181により回収ボックス183に生じている負圧によりスクライブポイントSP近傍で外部から空気を吸い込んで生じる空気流に乗って、回収ボックス183に回収される。
【0069】
次に、実施形例2のカッターホルダーユニット、およびそのカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置の効果を説明する。図6で示した実施例2のカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置は、実施例1の場合と比較すると構造が少しだけ複雑になるが、真空ポンプの吸引力だけを使用して回収するので、スクライブ速度に影響されずに吸引力の制御が可能になる特徴がある。そして、実施例2のカッターホルダーユニットを用いてスクライブ時発生するガラス紛を効率良く回収することで、スクライブカッターやホルダーの磨耗が少なくなり、スクライブカッターのスリップが無い良好なスクライブが可能になり、また製品の汚れも防げる。また、スクライブ装置のトラブルや故障の頻度が減るので、日頃のメンテナンスが容易で、また、定期点検の回数も少なくて済む効果を生じる。
【0070】
以上説明した様に、本発明のカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置は、ガラス粉を吸収して回収する為、スクライブカッターやカッターホルダーの磨耗が防げ、スクライブカッターがスリップすることないので、製品の良好なスクライブが行えるし、製品の汚れも防げ、また、スクライブ装置のトラブル、故障の頻度も減り、日頃のメンテナンスが容易になり、また、定期的な保守点検の回数も少なくて済む効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施形態におけるカッターホルダーユニットを示し、図1(a)は該カッターホルダーユニットの側面断面図、図1(b)は正面図である。
【図2】本実施形態のカッターホルダーユニットを装着したスクライブヘッドの縦断面図である。
【図3】本発明の実施形態のカッターホルダーユニットを装着したスクライブ装置の正面図である。
【図4】本発明の実施例1におけるカッターホルダーユニットの側面断面図である。
【図5】本発明の実施例2におけるカッターホルダーユニットの側面断面図である。
【図6】本発明の実施例2におけるカッターホルダーユニットを装着したスクライブヘッドの縦断面図である。
【図7】本発明の実施例2のカッターホルダーユニットを装着したスクライブ装置の正面図である。
【図8】背景技術における一般的なスクライブ装置の正面図である。
【図9】背景技術の従来例1として、図8のスクライブ装置に使用するカッターホルダーユニットで、図9(a)は側面図、図9(b)は正面図である。
【図10】背景技術の従来例2として、図8のスクライブ装置に使用するカッターホルダーユニットの正面図である。
【図11】背景技術の従来例3として、図8のスクライブ装置に使用するスクライブヘッドの側面図である。
【図12】背景技術の従来例4として、特許文献1に示され、図8のスクライブ装置に使用するスクライブヘッドの側面断面図である。
【符号の説明】
【0072】
100、200、300 カッターホルダーユニット
101、201、301 スクライブカッター
110、210,310 カッターホルダー
112、212,312 カッター軸
114、214、314 カッター支持部
116、216、316 空間部
116K、216K、316K 開口
118、218、318 取付軸
121、221、321 吸引ノーズ
121S 吸引ノーズの先端
122、222、322 上板
180、380 スクライブ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス等の脆性材料をスクライブ(切断)するスクライブカッターを回転自在に保持するカッターホルダーユニット、およびそのカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板等の脆性材料を大きなブランク材から所望の寸法に切り出す場合、超硬合金または焼結ダイヤモンドから成る円盤の円周面にV字状の刃を形成したスクライブカッターを、ガラス板上において圧接状態で転動させることにより、ガラス板表面にスクライブライン(切筋)を刻み、当該スクライブラインに沿って板厚方向に垂直クラックを生じさせ、その後、ブレイキング装置を用いて、ガラス板表面に応力を加え、垂直クラックをガラス板の片方の表面から反対面迄成長させ、ガラス板を切断する。この切断を工業的に大量に行う場合、スクライブ装置を用い、スクライブカッターはカッターホルダーユニットで保持しながら、スクライブ装置に装着して使用する。このカッターホルダーユニットの背景技術としては、一般的に広く用いられる幾つかの慣用技術の他にも、下記の特許文献1で示した技術がある。
【0003】
【特許文献1】特許出願公開 2000−247667号公報
【0004】
以下、背景技術を、図8〜図12を用いながら説明する。図8は背景技術における一般的なスクライブ装置の正面図、図9は背景技術の従来例1として、図8のスクライブ装置に使用するスクライブヘッドの一部を成すカッターホルダーユニットで、図9(a)は側面図、図9(b)は正面図、図10は背景技術の従来例2として、図8のスクライブ装置に使用するスクライブヘッドの一部を成すカッターホルダーユニットの正面図、図11は背景技術の従来例3として、図8のスクライブ装置に使用するスクライブヘッドの側面図、図12は背景技術の従来例4として、特許文献1に示され、図8のスクライブ装置に使用するスクライブヘッドの側面断面図である。
【0005】
先ず、図8を用いながら、本発明の対象であるカッターホルダーユニット及び、そのカッターホルダーユニットを構成部品とするスクライブヘッドを装着したスクライブ装置の概説から始める。
【0006】
図8に示したスクライブ装置10に設けられたテーブル1は、ボールネジ2により、レール3に沿って、移動するY方向移動台4や、その上に載置された回転台5により、Y方向移動とθ回転が可能である。また、テーブル1の上方には、ガイドバー6がX方向に向けて設けられ、モーター7により、スクライブヘッド20がガイドバー6に沿って移動可能である。ワークであるガラス板8をスクライブする場合、テーブル上1にガラス板8を吸引固定し、CCDカメラ9により、セットしたガラス板8の所定位置からのずれ量を検出し、テーブル1を回転(θ)とY方向移動により、定位置にセットする。スクライブヘッド20には、カッターホルダーユニット30が設けられ、回動自在に軸支したスクライブカッター31が装着されているので、スクライブカッター31をガラス板8に押圧しながら、スクライブヘッド20をX方向に移動させてガラス板8の表面にスクライブラインを刻む。1本のスクライブラインが終わったら、テーブル1をY方向に移動させて、X方向のスクライブ加工を繰返して、この加工が終わったら、テーブル1を90度旋回させ、同様のスクライブラインを刻んでいく。
【0007】
以上、説明したスクライブ装置10に用いたスクライブヘッド20の一部を成すカッターホルダーユニット30の構成を、従来例1として図9を用いながら説明する。尚、図9(a)はカッターホルダーユニットの側面図、図9(b)はカッターホルダーユニットの正面図である。
【0008】
従来例1のカッターホルダーユニット40は、カッターホルダー42とスクライブカッター41とから成り、カッターホルダー42の主要構成部品であるカッターホルダー本体43の下部には、カッター軸44を支えるカッター支持部43aが設けられ、また、カッターホルダー本体43の上部には、取付軸45が固定されている。そして、前記カッター軸44にスクライブカッター41を回転自在に取付けたカッターホルダーユニット40を、取付軸45を介して、図8に示したスクライブ装置10のカッターホルダー30の位置に装着して使用していた。
【0009】
スクライブ装置10で、ガラス板8をスクライブ時には、切り粉としてガラス紛が発生する。従来例1のカッターホルダーユニット40では、支持部43aとスクライブカッター41の間の隙間46に貯まったガラス紛47を除去するには、スクライブ装置10の運転を一旦停止して、マニュアルで除去した。しかし、十分な除去が難しく、ガラス紛47が隙間46に詰まってスクライブカッター41が回転せず、スリップを起し易かった。
【0010】
図10は従来例2におけるカッターホルダーユニット50の正面図である。従来例2のカッターホルダーユニット50を従来例1の場合と比較すると、従来例2では、カッターホルダー本体53のカッター支持部53aの上方に空間部53bを設けた点に特徴がある。その他は、従来例1と同一である。(従って、図10において同一の番号を付し、説明は省略した。)
【0011】
従来例2においても、カッターホルダーユニット50を、取付軸45を介して、図8に示したスクライブ装置10のカッターホルダーユニット30の位置に装着してスクライブに使用する。そして、カッターホルダー52の主要構成部品であるカッターホルダー本体53の空間部53bや隙間56に貯まったガラス紛47は、スクライブ運転を停止した時、圧縮空気を用いて吹き飛ばした。隙間56に連なる空間部53bから圧縮空気を吹き付ける為、従来例1の様に、ガラス紛47がスクライブカッター41の周りに詰まり、回転の障害になることは少なくなったが、ガラス紛除去作業時にスクライブ装置10の運転を止める必要があり、また、ガラス紛が装置周辺に拡散する問題が生じた。
【0012】
図11を用い、従来例3として示すスクライブヘッド60は、カッターホルダーユニット62の部分に、従来例1で説明したカッターホルダーユニット40や、従来例2で説明したカッターホルダーユニット50を装着し、また、後方側面に、圧縮空気を吹き出すノズル61を設けてある。そして、このスクライブヘッド60を、図8に示すスクライブ装置10のガイドバー6に取り付け、スクライブ時、ノズル61より、圧縮空気を、斜め上方からスクライブポイントに向けて吹き付けて、ガラス紛を吹き飛ばして除去する。この為、ガラス紛除去に際し、スクライブ装置10の運転を止めする必要は無くなったが、吹き飛ばしたガラス紛が、カッターホルダーユニット62内に留まり、スクライブカッター41の回転を妨げてスリップを起し、製品不良の原因になったり、カッターホルダーユニット62のトラブル発生の原因になっていた。
【0013】
この従来例3の問題を解決するため考えられたのが、次に従来例4として図12を用いながら説明する特許許文献1に開示された方法である。図12は、背景技術において、図8のスクライブ装置10のスクライブヘッド20として装着するスクライブヘッド70の縦断面図である。
【0014】
図12に示したスクライブヘッド70は、大別すると、ガイドバー6に装着するスクライブヘッド本体71とホルダー保持部75から成る。そして、スクライブヘッド本体71には、エアーシリンダー室73が形成され、ピストン74が嵌挿され、ピストン74の下端に設けた凹部にはベアリング74aが収納され、ベアリング74aの内輪穴と嵌合する中心軸74bがピストン74に固定されている。また、カッターホルダーユニット80の垂直方向の取付軸85が、ホルダー保持部75の略中央に設けた凹部76に格納した軸受ベアリング77の内輪に嵌合されている。更に、ホルダー保持部75の右側では、軸受ベアリング75aが、紙面に直交する方向に埋め込まれ、ベアリング75aの内輪に挿入した中心軸75bはスクライブヘッド本体71側に取付られ、ホルダー保持部75の左下端部は、スクライブヘッド本体71に取り付けたストッパーSで係止されているので、ホルダー保持部75は、ベアリング75aを支点として、Gの範囲内で矢印A方向に俯仰することで、カッターホイール41を上下する構成になっている。
【0015】
また、カッターホルダーユニット80の取付軸85には、空気吹き付け孔85aが形成され、その上端は、ホルダー保持部75の略中央に設けた凹部76に導通し、更に通気孔78を通して外部に開口している。また、カッターホルダー本体81の下部では、スリ割溝81aにスクライブカッター41が回転自在に装着され、このスリ割溝81aに空気吹き付け孔85aの下端が開口している。尚、本実施例4では、スクライブカッター41の中心と、取付軸85の中心がずれているので、ホルダーは、スクライブヘッドの移動に伴い、移動方向に倣って首を振る構成を採っている。
【0016】
図12を用いながら説明した従来例4のスクライブヘッドは、図8に示したスクライブ装置10のスクライブヘッド20として使用する。そして、圧縮空気をエアーシリンダー室73に導通すると、ピストン74が下降し、軸受ベアリング74aの外輪がホルダー保持部75と当接して、スクライブカッター41に直下方向に所定のスクライブ圧が付与される。また、圧縮空気を通気孔78に供給すると、空気吹き付け孔85aを通った圧縮空気は、スクライブカッター41の上方から吹き付けられ、スクライブ時に発生したガラス紛はスクライブカッター41を挟むスリ割溝81aやスクライブカッター41に付着せず外部に吹き飛ばされる。
【0017】
図12で示した従来例4のスクライブヘッドを用いると、図11を用いて示した従来例3の場合と異なり、ガラス紛がカッターホルダーユニット内に留まる問題は無くなったが、ガラス紛は相変わらず飛散するので、スクライブカッターやホルダーの異常磨耗が発生し、また、スクライブカッターがスリップして、良好なスクライブが行えなかったり、また製品が汚れる事による品質問題が発生した。また、 飛散防止されたカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置は、トラブル、故障の頻度が増え、定期的な保守点検の回数も増えてしまった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
以上、種々の従来例で説明した通り、スクライブ時発生するガラス紛の対策として、これまで多くの技術改良が行われたが、最も進んだ従来例4の方法でも、スクライブ時に発生するガラス紛により、スクライブカッターやホルダーの異常磨耗が発生したり、スクライブカッターがスリップして、良好なスクライブが行えないとか、製品が汚れる等で製品品質に問題が発生した。また、 スクライブ装置の、トラブルや、故障の頻度が増え、また、定期的な保守点検の回数も増えてしまう問題は残っていた。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は上記課題を解決するために成されたものである。解決する手段として、本発明の請求項1記載に係わる発明は、脆性材料をスクライブするスクライブカッターと、このスクライブカッターを回転自在に軸支するカッターホルダーとを備えたカッターホルダーユニットにおいて、前記カッターホルダーは、前記スクライブカッターのカッター軸をスクライブカッターの両側で軸支するカッター支持部と、カッターホルダーユニットをスクライブ装置へ取付ける為に設けた取付軸と、前記カッター支持部と前記取付軸との間にあって両側に開口を有して前記カッター支持部に連通した空間部を有し、更に、スクライブ時発生する切り粉回収用の吸引ノーズが、カッターホルダーの側面側に近接して配置されている事を特徴とするカッターホルダーユニットである。
【0020】
また、本発明の請求項2記載に係わる発明は、前記カッターホルダーの空間部に有する両側の開口は、前記カッターホルダーユニットのスクライブ走行方向側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカッターホルダーユニットである。
【0021】
また、本発明の請求項3記載に係わる発明は、前記吸引ノーズは、袋状で、且つ、カッターホルダー側の面が開放されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカッターホルダーユニットである。
【0022】
また、本発明の請求項4記載に係わる発明は、前記吸引ノーズは、上板によって前記カッターホルダーに固定されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のカッターホルダーユニットである。
【0023】
また、本発明の請求項5記載に係わる発明は、前記吸引ノーズは、前記カッターホルダーユニットのスクライブ時の走行方向とは反対側の側面側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のカッターホルダーユニットである。
【0024】
また、本発明の請求項6記載に係わる発明は、前記吸引ノーズの先端は、前記スクライブカッターのスクライブポイント近傍まで延出していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のカッターホルダーユニットである。
【0025】
また、本発明の請求項7記載に係わる発明は、前記請求項1乃至6の何れか1項に記載のカッターホルダーユニットを備えたことを特徴とするスクライブ装置である。
【発明の効果】
【0026】
発明の効果として、請求項1記載に係わる本発明のカッターホルダーユニットを用いると、ガラス粉を吸収して回収する為の、切り粉回収用の吸引ノーズが、カッターホルダーの側面側に近接して配置されているので、スクライブの結果生じたガラス粉の拡散が防止され、その結果、スクライブカッターやカッターホルダーの磨耗が防げ、スクライブカッターがスリップすることなく、良好なスクライブが行えるし、製品の汚れも防げる。また、カッター支持部と取付軸との間に、両側に開口を有してカッター支持部に連通した空間部を設けたことにより、吸引する空気による大きな流れが作られ、その流れに、ノーズ部分の空気も引き込まれるエジェクター効果が生じ、ガラス粉の回収効率が向上する効果が得られる。
【0027】
発明の効果として、請求項2記載に係わる本発明のカッターホルダーユニットを用いると、カッターホルダーの空間部に設けた両側の開口は、カッターホルダーユニットの走行方向側に設けられているので、カッターホルダーユニットの移動により、前方の空気がカッターホルダーの空間部に入り込んで吸引による空気の流れと合流し、より大きな吸引力を生じるので、より効率良くガラス粉を回収できる。
【0028】
発明の効果として、請求項3記載に係わる本発明のカッターホルダーユニットを用いると、吸引ノーズは、袋状で、且つ、カッターホルダー側の面が開放されているので、簡単な構造にもかかわらず、効率良くガラス粉を回収できる。
【0029】
発明の効果として、請求項4記載に係わる本発明のカッターホルダーユニットを用いると、吸引ノーズは、上板によってカッターホルダーに固定されるので、簡易に、且つ安定的にカッターホルダーに装着可能である。
【0030】
発明の効果として、請求項5記載に係わる本発明のカッターホルダーユニットを用いると、吸引ノーズが、カッターホルダーユニットのスクライブ時の走行方向とは反対側の側面側に配置されているので、スクライブカッターの回転で、スクライブカッター外周の周速によって引き起こされる空気の流れにより、ガラス粉を巻き込むことができ、ガラス粉の回収効率が高まる。
【0031】
発明の効果として、請求項6記載に係わる本発明のカッターホルダーユニットを用いると、吸引ノーズの先端が、前記スクライブカッターのスクライブポイント近傍まで延出して、吸引ノーズの下側ではカッター支持部より幅が広くなる為、吸引ノーズ部分に生じる吸引力が有効に使えて、ガラス粉の回収効率が高まる。
【0032】
発明の効果として、請求項7記載に係わる本発明のスクライブ装置を用いると、ガラス紛の飛散防止されたカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置は、トラブル、故障の頻度が減るので、日頃のメンテナンスが容易であり、また、定期的な保守点検の回数も少なくて済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」と略す)を、図1(a)、図1(b)、図2、図3を用いて説明する。図1は本発明の実施形態におけるカッターホルダーユニットを示し、図1(a)は該カッターホルダーユニットの側面断面図、図1(b)は図1(a)を矢視Aから見た正面図、図2は本実施形態のカッターホルダーユニットを装着したスクライブヘッドの縦断面図、図3は、本発明の実施形態のカッターホルダーユニットを装着したスクライブ装置の正面図である。
【0034】
図1に示す様に、本実施形態のカッターホルダーユニット100は、スクライブカッター101と、カッターホルダー110と、吸引部120とから成る。そして、スクライブカッター101を回転自在に軸支するカッター軸112は、厚板状の金属板から成り、スクライブカッター101の両側面側を挟むカッター支持部114により両端を支えられている。カッターホルダー本体115の下端でスクライブカッター101の両側面を挟むカッター支持部114は、それぞれ上方につながり、一旦間隔を広めて空間部116を形成してから、空間部上面117で一体化している。尚、空間部116に設けた両側の開口116Kは、カッターホルダーユニット100のスクライブ時の走行方向側に向いて設けてある。また、空間部上面117には、取付軸118が外側に向けて固着され、更に、位置決めピン孔119と固定用雌ネジ111とが設けてある。
【0035】
本実施形態のカッターホルダーユニット100に設けられた吸引部120の主要構成部品は吸引ノーズ121と上板122である。図1(a)において、カッターホルダー本体の左側側面に近接して配置される吸引ノーズ121は、カッターホルダー本体115の側面に沿い、かつ、カッターホルダー本体115側が開放された袋状を成しており、その先端121Sは、スクライブポイントSP近傍迄延びていている。また、吸引ノーズ121の幅はカッターホルダー本体115の空間部116の幅と略同寸法である。また、吸引ノーズ121の上端には上板122が一体化して設けてあり、上板122には、吸引孔123と取付軸逃げ孔124、位置決めピン孔125、固定ネジ用孔126が設けられ、吸引孔123には、吸引パイプ127が上方に向けて固着している。
【0036】
カッターホルダー110と、吸引部120とを組付けて図1に示したカッターホルダーユニット100を構成する場合は、上板122に設けた取付軸逃げ孔124に、カッターホルダー110の取付軸118を貫通させながら、上板122を空間部上面117上に載置し、上板122に設けてある位置決めピン孔125、および固定ネジ用孔126と、空間部上面117に設けた位置決めピン孔119、および固定用雌ネジ111の位置が合致する様に調整し、合致したところで位置決めピン孔125と119とに位置決めピン102を挿入し、最後に、固定ネジ103により、上板122と、空間部上面117とを確りと固定することにより、本発明の実施形態として図1(a)および、図1(b)に示したカッターホルダーユニット100が完成する。
【0037】
本実施形態の、カッターホルダーユニット100をガラス板等の脆性材料のスクライブ加工に供する場合は、図1(a)および、図1(b)中、想像線で示した取付け軸ベアリング177を、図2に示したスクライブヘッド170のホルダー保持部175に装着し、図3に示したスクライブ装置180を使用してスクライブするので、先ず、スクライブヘッド170の構成を簡単に説明しておく。
【0038】
図2に示した本実施形態におけるスクライブヘッド170の主要構成部品は、ガイドバー6に装着するスクライブヘッド本体171とその下側に設けたホルダー保持部175とに大別される。そして、スクライブヘッド本体171に設けたエアーシリンダー室173にはピストン174が嵌挿され、該ピストン174の下端の凹部にはベアリング174aが収納され、該ベアリング174aの内輪穴に嵌合する中心軸174bはピストン下端でピストン174に固定されている。
【0039】
また、ホルダー保持部175では、ホルダー保持部175の略中央に設けた凹部176に、軸受ベアリング177の外輪が格納され、軸受ベアリング177の内輪には図1をもって既に説明したカッターホルダーユニット100の取付軸118が嵌合され、また、吸引パイプ127は縦吸引孔191に挿入されている。また、ホルダー保持部175の右側においては、紙面に直交する方向に埋め込まれたベアリング175aの内輪に挿入した中心軸175bが、スクライブヘッド本体171のアーム179に固定されており、ホルダー保持部175はベアリング175aを支点として、スクライブヘッド本体171に取り付けたストッパーSに当接するGの範囲内で矢印A方向に俯仰することで、スクライブカッター101を上下する構成になっている。
【0040】
このスクライブヘッド170を、図3で示したスクライブ装置180に装着してスクライブする。本実施形態におけるスクライブ装置180の構成は、周辺技術において、図8を用いて既に説明したスクライブ装置10の場合と基本的な構成と動作は同一であるが、実施形態の装置として、図3を用いながら改めて一通り説明しておく。尚、スクライブ装置10と同一部品には、同一番号を使用する。
【0041】
本実施形態において、スクライブ装置180に設けられたテーブル1は、ボールネジ2の回転により、レール3に沿って紙面に垂直な方向(Y方向)に移動するY方向移動台4や、その上に載置された回転台5により、Y方向移動とθ回転が可能である。また、テーブル1の上方には、ガイドバー6がX方向に向けて設けられ、モーター7により、スクライブヘッド170がガイドバー6に沿って移動可能である。このスクライブ装置180を用いて、ガラス板8をスクライブ加工する場合は、先ず、テーブル1の上にワークとなるガラス板8を載置し、テーブル1表面に設けた開口に導通した吸引力によりワークを吸引固定する。そのあと、CCDカメラ9により、ガラス板8上に設けられたアライメントマークを認識して、セットしたガラス板8の所定位置からのずれ量を検出し、テーブル1を回転(θ)したり、Y方向に移動して、ガラス板8を所定位置にセットしておく。
【0042】
実施形態のスクライブ装置180を用いてガラス板8をスクライブ加工する場合は、図2のスクライブヘッド170のエアーシリンダー室173に圧縮空気を導通して、ピストン174を下降させ、ピストン174の下端に設けたベアリング174aの外輪で、ホルダー保持部175を押圧してスクライブカッター101に所定のスクライブ圧を付与する。また、図3のスクライブ装置180に設けた真空ポンプ181から導管182を通して回収ボックス183に負圧を供給し、この負圧は更に、ホルダー保持部175の横吸引孔192と縦吸引孔191を通して、カッターホルダーユニット100の吸引ノーズ121へと供給される。
【0043】
実施形態においても、スクライブカッター101をガラス板8の表面に下降させて押圧しながら、スクライブヘッド170をX方向に移動させることで、ガラス板8の表面にスクライブラインを刻んでいく。1本のスクライブラインが終わったら、テーブル1を所定量だけY方向に移動させ、テーブルをY方向に移動する度にこのX方向のスクライブ加工を繰返して、次々と一方向のスクライブ加工を施し、この加工が終わったら、テーブル1を90度旋回させ、同様のスクライブラインを刻んでいく。
【0044】
本実施形態においては、スクライブ時に発生するガラス紛は、真空ポンプ181により吸引ノーズ121に生じている負圧により外部から空気を吸い込んで生じる空気流と、カッターホルダーユニット100のスクライブ時の進行により、空間部116内に生じる圧縮空気が、低圧部分に向かう時生じる強い空気流れに乗って、吸引ノーズ121から吸引パイプ127を経て、スクライブ装置180に設けた回収ボックス183に回収される。
尚、本実施形態では、スクライブ時に発生する粉塵を負圧ポンプである真空ポンプ181で吸引する例を示したが、周辺部との差圧を利用して粉塵を吸引するブロアを使用しても良い。
【0045】
図1〜図3を用いて説明した本実施形態のカッターホルダーユニット、およびそのカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置は、ガラス粉を吸収して回収する為の、ガラス粉回収用の吸引ノーズが、カッターホルダーの側面側に近接し、かつ、吸引ノーズの先端が、前記スクライブカッターのスクライブポイント近傍まで延出して配置されており吸引ノーズの下側ではカッター支持部より幅が広くなる為、スクライブ時発生するガラス粉を効率良く回収できる。
【0046】
また、カッター支持部と取付軸との間に、両側に開口を有し、カッター支持部に連通した空間部を設けたことで、空間部を流れる大きな空気の流れが生じ、それに、吸引ノーズ部分の空気が引き込まれ、スクライブ時発生するガラス粉の回収効率が高まる。
【0047】
更に、カッターホルダーの空間部に設けた両側の開口が、カッターホルダーユニットの走行方向側に設けられていることで、スクライブ時のカッターホルダーユニットの移動により、走行時前方の空気がカッターホルダーの空間部に入り込んで吸引ノーズ部分に更に大きな吸引力を生じるのでスクライブ時発生するガラス粉の回収効率が高まる。
【0048】
また、吸引ノーズは、カッターホルダーユニットのスクライブ時の走行方向とは反対側の側面側に配置されているので、スクライブカッターの回転で、スクライブカッター外周の周速によって引き起こされる空気の流れにより、ガラス粉を巻き込むことができ、ガラス粉の回収効率が高まる。
【0049】
その結果、本実施形態では、スクライブカッターやカッターホルダーの磨耗が防げ、スクライブカッターがスリップすることなく、良好なスクライブが行えるし、製品の汚れも防げる。また、 飛散防止されたカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置は、トラブル、故障の頻度が減るので、日頃のメンテナンスが容易であり、また、定期的な保守点検の回数も少なくて済む。
【実施例1】
【0050】
次に図4を用いながら本発明の実施例1を説明する。図4は、本発明のカッターホルダーユニットの側面断面図である。尚、実施例1におけるカッターホルダーユニットの構成は、実施形態の場合と略同一であり、相違点は、吸引ノーズがスクライブポイント迄延長してないことだけである。従って、その説明は簡単に行う。
【0051】
実施例1におけるカッターホルダーユニット200の主要構成部品も、カッターホルダー210と吸引部220に分けられ、スクライブカッター201を回動自在に支持するカッター軸212は、スクライブカッター201の両側面側を挟むカッター支持部214により両端を支えられ、そのカッター支持部214は、それぞれ上方に延長しながら空間部216を形成し、空間部上面217で一体化している。また、空間部216に設けた両側の開口216Kは、カッターホルダーユニット200のスクライブ時の走行方向側に向いている。また、空間部上面217には、取付軸218と、位置決めピン孔219と、固定用雌ネジ211とが設けてある。
【0052】
実施例1の吸引部220の主要構成部品も実施形態と同様に吸引ノーズ221と上板222である。そして、図4において、カッターホルダー本体215の左側側面に近接して配置される吸引ノーズ221は、カッターホルダー本体215の側面に沿い、かつ、カッターホルダー本体215側が開放された袋状をしており、その先端は、空間部216の下端近傍迄延びていている。また、吸引ノーズ221の幅は空間部216の幅と略同寸法である。また、吸引ノーズ221の上端には、吸引孔223と取付軸逃げ孔224と、位置決めピン孔225と、固定ネジ用孔226とが設けられた上板222が一体化して設けてあり、吸引孔223には、上方に向けて吸引パイプ227が固着している。
【0053】
カッターホルダー210と、吸引部220とを組付けてカッターホルダーユニット200を構成する方法も、実施形態と同一である。即ち、上板222の取付け軸逃げ孔224に、取付軸218を貫通させながら、上板222の位置決めピン孔225、および固定ネジ用孔226と、空間部上面217に設けた位置決めピン孔219、および雌ネジ211の位置が合致する様に上板222と、カッターホルダー本体215の位置関係を調整しながら、位置決めピン孔219、225に位置決めピン202を挿入し、固定ネジ203により、上板222と、空間部上面217とを確りと固定して、本発明の実施例1として図4に示したカッターホルダーユニット200を完成する。
【0054】
実施例1において、カッターホルダーユニット200をスクライブヘッドに装着する方法も、実施形態の場合と同一である。即ち、実施形態として、カッターホルダーユニット100を装着したスクライブヘッド170を図2に示したが、このカッターホルダーユニット100の代わりに、図4で示したカッターホルダーユニット200を装着して、新たな実施例1のスクライブヘッド(図示省略)を構成する。
【0055】
また、この実施例1のスクライブヘッドを、スクライブ装置に装着する方法も、実施形態の場合と同一である。即ち、図3において、実施形態のカッターホルダーユニット100を装着した実施形態のスクライブヘッド170を備えたスクライブ装置180を示したが、この実施形態のカッターホルダーユニット100の代わりに、図4で示した実施例1のカッターホルダーユニット200を装着した実施例1のスクライブヘッド(図示省略)を装着した新たなスクライブ装置(図示省略)を構成する。そして、真空ポンプ181(図3参照)を用いて、図4中で示した吸引パイプ227に負圧を供給しながら、スクライブする。
【0056】
実施例1におけるスクライブ装置の構成および動作は、カッターホルダーユニット部分の構成を除いて、実施形態の場合と全く同一であり、その説明は省略する。
【0057】
実施例1におけるスクライブ時に発生するガラス紛の回収は、図3をもって説明した実施形態の場合と同様に、真空ポンプ181により吸引ノーズ221に生じている負圧により外部から空気を吸い込んで生じる空気流と、カッターホルダーユニット200のスクライブ時の進行により、空間部216内に生じる圧縮空気が、気圧差が大きい低圧部分に向かう時生じる強い空気流れに乗って、吸引ノーズ221から吸引パイプ227を経て、回収ボックス183に回収される。尚、負圧タイプの真空ポンプ181の代りに周辺部との差圧を利用したブロアを用いても良い。
【0058】
次に、実施形例1のカッターホルダーユニット、およびそのカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置の効果を説明する。図4で示した実施形例1のカッターホルダーユニットを備えた、スクライブ装置は、ガラス粉を吸収して回収する為の、吸引ノーズが、カッターホルダーの側面側に近接し、かつ、吸引ノーズの先端は、空間部近傍まで延出して配置されているので、実施形態の場合と比較すると、スクライブ時発生するガラス粉の吸引効率は少し劣るが、吸引ノーズの構造が簡単である特徴がある。
【0059】
その他には、実施形例1のカッターホルダーユニットを備えた、スクライブ装置は、実施形態と略同一の効果を生じる。即ち、カッター支持部と取付部との間に、両側に開口を有し、カッター支持部に連通した空間部を設けたことで、空間部を流れる大きな空気の流れが生じ、それに、吸引ノーズ部分の空気が引き込まれ、スクライブ時発生するガラス粉の回収効率が高まり、更に、カッターホルダーの空間部に設けた両側の開口が、カッターホルダーユニットの走行方向側に設けられているので、スクライブ時、前方の空気がカッターホルダーの空間部に入り込んで大きな吸引力を生じ、ガラス粉の回収効率が高まる。また、吸引ノーズは、カッターホルダーユニットのスクライブ時の走行方向とは反対側の側面側に配置されているので、スクライブカッター自身の回転でガラス粉を巻き込むことができ、ガラス粉の回収効率が高まる。
【0060】
実施例1のカッターホルダーユニットを用いてスクライブ時発生するガラス紛を効率良く回収することで、スクライブカッターやホルダーの磨耗が少なくなり、スクライブカッターのスリップが無い良好なスクライブが可能になり、また製品の汚れも防げる。また、スクライブ装置のトラブルや故障の頻度が減るので、日頃のメンテナンスが容易で、また、定期点検の回数も少なくて済む。
【実施例2】
【0061】
次に図5、図6、図7を用いながら本発明の実施例2を説明する。図5は実施例2のカッターホルダーユニットの側面断面図、図6は本実施例2のカッターホルダーユニットを装着したスクライブヘッドの縦断面図、図7は実施例2におけるスクライブ装置の正面図である。
【0062】
実施例2におけるカッターホルダーユニット300の構成は、実施例1で左側にのみ設けた吸引ノーズ221を、右側にも設けた点に特徴がある。その他は、実施例1と同一であり、従って、その説明は簡単に行う。
【0063】
図5に示した実施例2におけるカッターホルダーユニット300の主要構成部品も、カッターホルダー310と吸引部320に分けられる。また、カッターホルダー本体315は、実施例1と全く同一の構成である。即ち、スクライブカッター301を回動自在に支持するカッター軸312は、スクライブカッター301の両側面側を挟むカッター支持部314により両端を支えられ、そのカッター支持部314は、それぞれ上方に延長しながら空間部316を形成し、空間部上面317で一体化している。また、空間部上面317には、取付軸318と、位置決めピン孔319と、固定用雌ネジ311とが設けてある。
【0064】
図5に示した様に、実施例2における吸引ノーズ321は、実施例1と異なって、カッターホルダー本体315の左側側面の他に、右側側面にも近接して配置される。そして、それら左右の吸引ノーズ321は、カッターホルダー本体315の側面に沿い、かつ、カッターホルダー本体315側が開放された袋状をしており、その先端は、空間部316の下端近傍迄延びていている。また、左右の吸引ノーズの幅はカッターホルダー本体の空間部の幅と略同寸法である。また、左右の吸引ノーズ321の上端は、上板322に固定され、上板322の中央には取付軸逃げ孔324が、また、その取付軸逃げ孔324を挟んで位置決めピン孔325と、固定ネジ用孔326が、更に吸引ノーズ321の上方には2個の吸引孔323が設けられ、それぞれの吸引孔323には、吸引パイプ327が上方に向けて固着している。
【0065】
図5に示した様に、実施例2において、取付軸318を備えたカッターホルダー本体315と、2個の吸引ノーズ321と上板322から成る吸引部320とを組付けながら、カッターホルダーユニット300を構成する方法は、実施例1の場合と同一である。即ち、上板322の取付け軸逃げ孔324に、カッターホルダー本体315の取付軸318を貫通させながら、上板322の位置決めピン孔325、および固定ネジ用孔326と、カッターホルダー本体315の空間部上面317に設けた位置決めピン孔319および、雌ネジ311の位置が合致する様に上板322と、カッターホルダー本体315の位置関係を調整しながら、位置決めピン孔319、325に位置決めピン302を挿入し、固定ネジ303により、上板322と、空間部上面317とを確りと固定して、本発明の実施例2として図5に示したカッターホルダーユニット300を完成する。
【0066】
実施例2のカッターホルダーユニット300を装着したスクライブヘッド370を図6に示した。実施例2の場合は、吸引パイプ327を2個設けているので、左側の縦吸引孔391Lと右側の縦吸引孔391Rを横吸引孔392で集合させ、これをホルダー保持部375の出口に導いている。また、横吸引孔392を配置する都合上、ホルダー保持部375とスクライブヘッド本体371とを回転自在に軸支するベアリング175aはスクライブヘッド本体371側に設けてあるが、その他は、実施形態の場合と同一であり、説明は省略する。
【0067】
図7に実施例2におけるスクライブ装置380の構成を示したが、スクライブヘッド370の構成を除いて、実施形態の場合と全く同一であり、同一の部品に同一の符号を付すだけで、その説明は省略する。
【0068】
実施例2の場合も、スクライブ時に発生するガラス紛は、真空ポンプ181により回収ボックス183に生じている負圧によりスクライブポイントSP近傍で外部から空気を吸い込んで生じる空気流に乗って、回収ボックス183に回収される。
【0069】
次に、実施形例2のカッターホルダーユニット、およびそのカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置の効果を説明する。図6で示した実施例2のカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置は、実施例1の場合と比較すると構造が少しだけ複雑になるが、真空ポンプの吸引力だけを使用して回収するので、スクライブ速度に影響されずに吸引力の制御が可能になる特徴がある。そして、実施例2のカッターホルダーユニットを用いてスクライブ時発生するガラス紛を効率良く回収することで、スクライブカッターやホルダーの磨耗が少なくなり、スクライブカッターのスリップが無い良好なスクライブが可能になり、また製品の汚れも防げる。また、スクライブ装置のトラブルや故障の頻度が減るので、日頃のメンテナンスが容易で、また、定期点検の回数も少なくて済む効果を生じる。
【0070】
以上説明した様に、本発明のカッターホルダーユニットを備えたスクライブ装置は、ガラス粉を吸収して回収する為、スクライブカッターやカッターホルダーの磨耗が防げ、スクライブカッターがスリップすることないので、製品の良好なスクライブが行えるし、製品の汚れも防げ、また、スクライブ装置のトラブル、故障の頻度も減り、日頃のメンテナンスが容易になり、また、定期的な保守点検の回数も少なくて済む効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施形態におけるカッターホルダーユニットを示し、図1(a)は該カッターホルダーユニットの側面断面図、図1(b)は正面図である。
【図2】本実施形態のカッターホルダーユニットを装着したスクライブヘッドの縦断面図である。
【図3】本発明の実施形態のカッターホルダーユニットを装着したスクライブ装置の正面図である。
【図4】本発明の実施例1におけるカッターホルダーユニットの側面断面図である。
【図5】本発明の実施例2におけるカッターホルダーユニットの側面断面図である。
【図6】本発明の実施例2におけるカッターホルダーユニットを装着したスクライブヘッドの縦断面図である。
【図7】本発明の実施例2のカッターホルダーユニットを装着したスクライブ装置の正面図である。
【図8】背景技術における一般的なスクライブ装置の正面図である。
【図9】背景技術の従来例1として、図8のスクライブ装置に使用するカッターホルダーユニットで、図9(a)は側面図、図9(b)は正面図である。
【図10】背景技術の従来例2として、図8のスクライブ装置に使用するカッターホルダーユニットの正面図である。
【図11】背景技術の従来例3として、図8のスクライブ装置に使用するスクライブヘッドの側面図である。
【図12】背景技術の従来例4として、特許文献1に示され、図8のスクライブ装置に使用するスクライブヘッドの側面断面図である。
【符号の説明】
【0072】
100、200、300 カッターホルダーユニット
101、201、301 スクライブカッター
110、210,310 カッターホルダー
112、212,312 カッター軸
114、214、314 カッター支持部
116、216、316 空間部
116K、216K、316K 開口
118、218、318 取付軸
121、221、321 吸引ノーズ
121S 吸引ノーズの先端
122、222、322 上板
180、380 スクライブ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脆性材料をスクライブするスクライブカッターと、このスクライブカッターを回転自在に軸支するカッターホルダーとを備えたカッターホルダーユニットにおいて、前記カッターホルダーは、前記スクライブカッターのカッター軸をスクライブカッターの両側で軸支するカッター支持部と、カッターホルダーユニットをスクライブ装置へ取付ける為に設けた取付軸と、前記カッター支持部と前記取付軸との間にあって両側に開口を有して前記カッター支持部に連通した空間部を有し、更に、スクライブ時発生する切り粉回収用の吸引ノーズが、カッターホルダーの側面側に近接して配置されている事を特徴とするカッターホルダーユニット。
【請求項2】
前記カッターホルダーの空間部に有する両側の開口は、前記カッターホルダーユニットのスクライブ走行方向側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカッターホルダーユニット。
【請求項3】
前記吸引ノーズは、袋状で、且つ、カッターホルダー側の面が開放されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカッターホルダーユニット。
【請求項4】
前記吸引ノーズは、上板によって前記カッターホルダーに固定されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のカッターホルダーユニット。
【請求項5】
前記吸引ノーズは、前記カッターホルダーユニットのスクライブ時の走行方向とは反対側の側面側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のカッターホルダーユニット。
【請求項6】
前記吸引ノーズの先端は、前記スクライブカッターのスクライブポイント近傍まで延出していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のカッターホルダーユニット。
【請求項7】
前記請求項1乃至6の何れか1項に記載のカッターホルダーユニットを備えたことを特徴とするスクライブ装置。
【請求項1】
脆性材料をスクライブするスクライブカッターと、このスクライブカッターを回転自在に軸支するカッターホルダーとを備えたカッターホルダーユニットにおいて、前記カッターホルダーは、前記スクライブカッターのカッター軸をスクライブカッターの両側で軸支するカッター支持部と、カッターホルダーユニットをスクライブ装置へ取付ける為に設けた取付軸と、前記カッター支持部と前記取付軸との間にあって両側に開口を有して前記カッター支持部に連通した空間部を有し、更に、スクライブ時発生する切り粉回収用の吸引ノーズが、カッターホルダーの側面側に近接して配置されている事を特徴とするカッターホルダーユニット。
【請求項2】
前記カッターホルダーの空間部に有する両側の開口は、前記カッターホルダーユニットのスクライブ走行方向側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカッターホルダーユニット。
【請求項3】
前記吸引ノーズは、袋状で、且つ、カッターホルダー側の面が開放されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカッターホルダーユニット。
【請求項4】
前記吸引ノーズは、上板によって前記カッターホルダーに固定されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のカッターホルダーユニット。
【請求項5】
前記吸引ノーズは、前記カッターホルダーユニットのスクライブ時の走行方向とは反対側の側面側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のカッターホルダーユニット。
【請求項6】
前記吸引ノーズの先端は、前記スクライブカッターのスクライブポイント近傍まで延出していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のカッターホルダーユニット。
【請求項7】
前記請求項1乃至6の何れか1項に記載のカッターホルダーユニットを備えたことを特徴とするスクライブ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−94635(P2008−94635A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274658(P2006−274658)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】
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