説明

カドミウムの回収設備及びその回収方法

【課題】カドミウムを吸収した植物からカドミウムを効率よく回収するカドミウムの回収設備及びその回収方法を提供する。
【解決手段】カドミウムを含む植物11を焼却炉12で500℃以上、好ましくは765℃以上で焼却して、カドミウムを単体及び/又は化合物として気化させ、気化したカドミウムの単体及び/又は化合物を冷却手段13でカドミウムの単体及び/又は化合物の沸点以下、好ましくは250℃以下、更に好ましくは150℃以下に冷却して析出させ、析出したカドミウムの単体及び/又は化合物を含む粉状物14を第1の捕集手段16で捕集し、第1の捕集手段16の下流側に設けられ、活性炭及び消石灰のいずれか一方又は双方で被覆されたろ布17を備えたバグフィルターからなる第2の捕集手段18によって、第1の捕集手段16を通過した窒素酸化物、硫黄酸化物、及びダイオキシン類のいずれか1又は2以上の物質を捕集する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カドミウムを効率的に回収する設備及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、土壌中のカドミウムを吸収して蓄積する植物を、カドミウムで汚染された土壌で栽培(生育)し、土壌中のカドミウムを植物に吸収させて土壌から除去するファイトレメディエーションが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。また、カドミウムを再拡散させることなく安全に処理するために、カドミウムを吸収した植物を焼却して、カドミウムの単体又は化合物を気化させた後、冷却して析出させ、析出したカドミウムを集塵機(バグフィルター)で捕集して回収する方法も開発されている(例えば、特許文献4参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭57−190号公報
【特許文献2】特表平7−508206号公報
【特許文献3】特開2000−288529号公報
【特許文献4】特開2005−76970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した特許文献4記載の方法においては、バグフィルターのろ布を消石灰等の無機微粉子で被覆した場合には、カドミウムの捕集率は向上するが、ろ布には窒素酸化物等も同時に吸着され、カドミウムを高濃度で回収できないという問題があった。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、カドミウムを吸収した植物からカドミウムを効率よく回収するカドミウムの回収設備及びその回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係るカドミウムの回収設備は、カドミウムを含む植物を500℃以上、好ましくは765℃以上で焼却して、前記カドミウムを単体及び/又は化合物として気化させる焼却炉と、
前記気化したカドミウムを、前記カドミウムの単体及び/又は化合物の沸点以下、好ましくは250℃以下、更に好ましくは150℃以下に冷却して析出させる冷却手段と、
前記冷却手段で析出したカドミウムの単体及び/又は化合物を含む粉状物を捕集する第1の捕集手段と、
前記第1の捕集手段の下流側に設けられ、活性炭及び消石灰のいずれか一方又は双方で被覆されたろ布を備えたバグフィルターからなる第2の捕集手段とを有する。
【0007】
本発明に使用されるカドミウムを含む植物としては、土壌中のカドミウムを植物体内に取り込む性質を有する、例えば、アブラナ科、アオイ科、マメ科、ナス科、キク科、ヒユ科、イネ科等がある。中でも、オオバタカナ、ケナフ、オクラ、ソルガムは、カドミウム吸収蓄積能の点で好ましく、稲は種苗から収穫までの生産技術が高くかつ広く普及している点で好ましい。また、焼却する植物に含有されるカドミウムの濃度が高い程、回収率がよく、0.2ppm以上、好ましくは1ppm以上かつ1000ppm以下の植物が使用される。なお、植物中のカドミウム濃度とは、植物中の水分含量を0としたときの濃度(重量割合)である。
【0008】
カドミウムを含む植物は、500℃以上、好ましくはカドミウムの沸点である765℃以上、更に好ましくは、900℃以上で焼却する。植物に吸収されているカドミウムは、高温で焼却されて、植物体の有機物や燃焼に伴って発生した一酸化炭素によって還元されて、ほとんど金属カドミウムとして揮散(気化)する。焼却炉としては、被焼却物の温度を前記した燃焼温度以上にすることができればよく、流動床炉、キルン・ストーカ炉、ストーカ炉、固定床炉、電気炉等が使用できる。
【0009】
気化したカドミウムは、例えば、ガス冷却装置、熱交換器等の冷却手段で冷却されて液体又は固体となって析出し、第1の捕集手段で捕集される。第1の捕集手段としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、アクリル、ポリイミド、ガラス等で形成され、消石灰や活性炭等で被覆されていない未処理のろ布を備えたバグフィルターや、サイクロン等が使用できる。ここで、第1の捕集手段として、バグフィルターを使用した場合、冷却手段において、焼却炉から排出されるガスをバグフィルターの作動温度(通常、90〜250℃程度)内にするために所定温度(250℃以下、好ましくは150℃以下)まで冷却するが、バグフィルターが耐熱性のろ布を備えている場合には、カドミウムを析出させる温度、すなわち、カドミウムの単体及び/又は化合物の沸点以下まで冷却すればよく、第1の捕集手段に供給するガスの温度を高くすることができる。
【0010】
また、第2の捕集手段のバグフィルターに使用するろ布は、例えば、平均粒径が2〜50μm、好ましくは5〜20μmの活性炭及び消石灰のいずれか一方又は双方の微粒子を含む気体を未処理のろ布に通過させて、ろ布を微粒子で被覆して製造することができる。活性炭には、ダイオキシン類が吸着され、また、消石灰には、窒素酸化物及び硫黄酸化物が吸着され、第2の捕集手段によってこれらの物質を除去することができる。
【0011】
本発明に係るカドミウムの回収設備において、前記第1の捕集手段は、ろ布を備えたバグフィルターであるのが好ましい。
本発明に係るカドミウムの回収設備において、前記第1の捕集手段のろ布は、目付量が500g/m2以上かつ開口度が10μm以下であるのが好ましい。
ここで、目付量とは、1m2当たりのろ布の重量のことであり、ろ布の目付量が500g/m2未満又は開口度が10μmを超えると、ろ布の目が粗過ぎて、捕集するカドミウムの析出物が逃げる恐れがある。なお、第2の捕集手段のバグフィルターに使用するろ布も、目付量が500g/m2以上かつ開口度が10μm以下であるのが好ましい。
【0012】
本発明に係るカドミウムの回収設備において、前記焼却炉から排出される気化したカドミウムを含むガスに、酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給手段が設けられているのが好ましい。
酸素含有ガスとしては、空気、純酸素等が使用できる。
【0013】
前記目的に沿う本発明に係るカドミウムの回収方法は、カドミウムを含む植物を焼却炉で500℃以上、好ましくは765℃以上で焼却して、前記カドミウムを単体及び/又は化合物として気化させる第1工程と、
前記気化したカドミウムを、前記カドミウムの単体及び/又は化合物の沸点以下、好ましくは250℃以下、更に好ましくは150℃以下に冷却して析出させる第2工程と、
前記析出したカドミウムの単体及び/又は化合物を含む粉状物を第1の捕集手段で捕集する第3工程と、
前記第1の捕集手段の下流側に設けられ、活性炭及び消石灰のいずれか一方又は双方で被覆されたろ布を備えたバグフィルターからなる第2の捕集手段によって、前記第1の捕集手段を通過した窒素酸化物、硫黄酸化物、及びダイオキシン類のいずれか1又は2以上の物質を捕集する第4工程とを有する。
【0014】
本発明に係るカドミウムの回収方法において、前記第1の捕集手段にろ布を備えたバグフィルターを使用するのが好ましい。
本発明に係るカドミウムの回収方法において、前記焼却炉から排出される気化したカドミウムを含むガスに酸素含有ガスを供給するのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
請求項1〜4に記載のカドミウムの回収設備及び請求項5〜7に記載のカドミウムの回収方法においては、析出したカドミウムの単体及び/又は化合物を含む紛状物を捕集する第1の捕集手段と、活性炭及び消石灰のいずれか一方又は双方で被覆されたろ布を備えた第2の捕集手段とを有するので、第1の捕集手段でカドミウムを高濃度で回収でき、第2の捕集手段で窒素酸化物、硫黄酸化物、及びダイオキシン類のいずれか1又は2以上の物質を効率よく分離して回収することができる。なお、第1の捕集手段で回収できなかったカドミウムは、第2の捕集手段で回収されるので、環境中にカドミウムが排出され難い。
【0016】
特に、請求項2記載のカドミウムの回収設備及び請求項6記載のカドミウムの回収方法においては、第1の捕集手段がろ布を備えたバグフィルターであるので、析出したカドミウムを簡単に、効率よく捕集できる。
請求項3記載のカドミウムの回収設備においては、第1の捕集手段のろ布は目付量が500g/m2以上かつ開口度が10μm以下であるので、析出したカドミウムを捕集し易い。
請求項4記載のカドミウムの回収設備及び請求項7記載のカドミウムの回収方法においては、焼却炉から排出される気化したカドミウムに酸素含有ガスを供給するので、気化した金属カドミウムが酸化されて酸化カドミウムとなり、沸点が高くなって析出し易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の第1及び第2の実施の形態に係るカドミウムの回収設備の説明図である。
【0018】
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るカドミウムの回収設備10について説明する。
カドミウムの回収設備10は、カドミウムを含む植物11を焼却して気化させる固定床式の焼却炉(固定床炉)12と、気化したカドミウムを冷却して析出させる冷却手段の一例である冷却水で高温のガスを冷却する完全蒸発型のガス冷却装置(ガスクーラー)13と、析出したカドミウムを含む粉状物14を捕集するろ布15を備えた第1の捕集手段の一例である第1のバグフィルター16と、第1のバグフィルター16を通過した窒素酸化物、硫黄酸化物、及びダイオキシン類のいずれか1又は2以上の物質を捕集するろ布17を備えた第2の捕集手段を構成する第2のバグフィルター18と、カドミウムの回収設備10の通路を形成する配管21内の気体を移動させるファン19と、カドミウム、窒素酸化物、硫黄酸化物、及びダイオキシン類が除去されたガスを排出する排出部20と、それらを接続する配管21とを有している。以下、それぞれについて詳しく説明する。
【0019】
固定床式の焼却炉12において、カドミウムを含む植物11を、500℃以上、好ましくはカドミウムの沸点である765℃以上、更に好ましくは、900℃以上、例えば、850〜900℃で焼却する。焼却炉12内には図示しない温度計が配置され、焼却炉12内が所定温度となるように燃焼温度が制御されている。植物に吸収されているカドミウムは、高温で焼却されて、植物体の有機物や燃焼に伴って発生した一酸化炭素によって還元されて、ほとんど金属カドミウムの単体及び/又は化合物として気化される。
【0020】
焼却炉12のガス排出部の下流側に配管21を介して設けられたガス冷却装置13は、焼却炉12で発生する高温、例えば、800℃程度のカドミウムを含むガスに水を噴射して、第1のバグフィルター16のろ布15の使用(耐熱)温度、例えば、250℃以下、好ましくは150℃以下(本実施の形態では200℃程度)に冷却する装置である。ガス冷却装置13の排出口には、図示しない温度計が配置され、第1のバグフィルター16に供給するガスの温度が200℃程度になるように、ガス冷却装置13において噴射する水の量等を制御している。焼却炉12内で気化したカドミウムは、ガス冷却装置13で冷却されて、固体又は液体となって析出する。なお、冷却手段として、熱交換器を使用してもよい。また、第1のバグフィルター16が耐熱性のろ布を備えている場合、冷却手段では、ガスをカドミウムを析出させる温度、すなわち、カドミウムの単体及び/又は化合物の沸点以下まで冷却すればよく、第1のバグフィルター16に供給するガスの温度を高くすることができる。
【0021】
ガス冷却装置13の下流側に配管21を介して設けられた第1のバグフィルター16は、目付量が500g/m2以上かつ開口度が10μm以下のポリエチレン製のろ布15が備えられ、ガス冷却装置13によって析出したカドミウムの単体及び/又は化合物を含む粉状物14を捕集することができる。また、第1のバグフィルター16の上流側及び下流側にはそれぞれバルブ22、23が設けられている。
【0022】
更に、第1のバグフィルター16には、捕集した粉状物14をろ布15から払い落とす図示しない払い落とし装置が設けられ、粉状物14をカドミウムの回収設備10から排出することができる。第1のバグフィルター16には、窒素酸化物、硫黄酸化物、及びダイオキシン類のいずれか1又は2以上の物質が捕集され難くなっており、カドミウムを高濃度で回収することができる。なお、第1のバグフィルター16を複数段にすることにより、カドミウムの回収率を高くすることもできる。
【0023】
第1のバグフィルター16の下流側に配管21を介して設けられた第2のバグフィルター18の上流側及び下流側にはそれぞれバルブ24、25が設けられている。また、第1のバグフィルター16と第2のバグフィルター18の間の配管21には、平均粒径が2〜50μm、好ましくは5〜20μmの活性炭及び消石灰の微粒子26が貯留された貯留槽27がロータリーバルブ28を介して接続されている。
【0024】
ここで、第2のバグフィルター18内に、例えば、第1のバグフィルター16に使用されているろ布15と同じろ布を配置し、ファン19を作動させ、貯留槽27内の微粒子26を含む気体をロータリーバルブ28を介してろ布に通過させ、表面が活性炭及び消石灰で被覆されたろ布17を作成している。活性炭によってダイオキシン類が吸着され、消石灰によって窒素酸化物及び硫黄酸化物を吸着することができる。
【0025】
これによって、第2のバグフィルター18では、第1のバグフィルター16を通過した窒素酸化物、硫黄酸化物、及びダイオキシン類のいずれか1又は2以上を含む物質を捕集することができる。また、第2のバグフィルター18では、第1のバグフィルター16で捕集されなかったカドミウムも捕集することができる。更に、第2のバグフィルター18には、図示しない払い落とし装置がそれぞれ設けられている。
【0026】
次に、カドミウムの回収設備10を使用したカドミウムの回収方法について説明する。
まず、第1のバグフィルター16のバルブ22、23、及び第2のバグフィルター18のバルブ24、25を開け、ファン19作動させて配管21の上流側から下流側へ気流を発生させながら、カドミウムを含む植物11を焼却炉12で850〜900℃で焼却して、カドミウムを単体及び/又は化合物として気化させる(第1工程)。
【0027】
次に、焼却炉12のガス排出部から排出される800℃程度の排ガスを、ガス冷却装置13で第1のバグフィルター16に装着されたろ布15の作動温度である200℃程度まで冷却して、気化したカドミウムの単体及び/又は化合物を固体又は液体として析出させる(第2工程)。析出したカドミウムの単体及び/又は化合物を含む粉状物14を第1のバグフィルター16のろ布15で捕集し(第3工程)、第1のバグフィルター16を通過した窒素酸化物、硫黄酸化物、及びダイオキシン類を含む物質を第2のバグフィルター18のろ布17で捕集する(第4工程)。
【0028】
ここで、第1のバグフィルター16が粉状物14で目詰まりする前に、第1のバグフィルター16に設けられた払い落とし装置を作動させ、ろ布15に付着した粉状物14を払い落として、カドミウムを回収する。このようにして、カドミウムの回収設備10を連続的に作動させることができる。また、第2のバグフィルター18のろ布17も、同様にして再生することができる。
【0029】
図1を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るカドミウムの回収設備30について説明する。なお、カドミウムの回収設備10と同一の構成要素については同一の番号を付してその詳しい説明を省略する。
カドミウムの回収設備30は、焼却炉12から排出される気化したカドミウムを含むガスに、酸素含有ガスの一例である空気を供給する酸素含有ガス供給手段の一例であるブロア31が、焼却炉12とガス冷却装置13の間の配管21に設けられている点が、カドミウムの回収設備10と異なっている。焼却炉12から排出される気化したカドミウムを含むガスに、空気を供給することにより、気化した金属カドミウムが酸化されて酸化カドミウムとなり、沸点が高くなって析出し易くなり、第1のバグフィルター16で捕集し易くなる。これによって、カドミウムの回収率が向上する。
【実施例】
【0030】
カドミウムを含む植物を焼却する焼却炉と、ガス冷却装置と、ポリエステル製のろ布を備えた第1のバグフィルター(第1の捕集手段)と、活性炭及び消石灰で被覆されたろ布を備えた第2のバグフィルター(第2の捕集手段)とを備えたカドミウムの回収設備を使用して、植物中のカドミウムの回収を行った。この結果を表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
表1に示すように、10.92kgの植物中には、164.6mgのカドミウムが含まれている。これを焼却した際に焼却炉に残る焼却灰中のカドミウムは0.08mgであり、焼却炉によって、カドミウムがほとんど気化していることが解った。気化したカドミウムをガス冷却装置で冷却して析出させ、第1のバグフィルターによって、63.0mgのカドミウムを捕集した。第1のバグフィルターでの回収率は38.3%であった。
【0033】
また、第2のバグフィルターでは、窒素酸化物、硫黄酸化物、及びダイオキシン類のいずれか1又は2以上を含む物質の他に、21mgのカドミウムが捕集されており、第2のバグフィルターでのカドミウムの回収率は12.8%であった。従って、第1のバグフィルターでの回収率を向上させるために、第1のバグフィルターを、例えば、多段等にするのが好ましい。なお、排出部から排出されるガス中にはカドミウムが検出されなかったので、第1及び第2のバグフィルターで捕集されていないカドミウムは、カドミウムの回収設備の通路に付着しているものと解される。
【0034】
本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明のカドミウムの回収設備及びその回収方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、前記実施の形態のカドミウムの回収設備及びその回収方法において、燃焼炉として、固定床炉を使用したが、キルン・ストーカ炉、ストーカ炉、流動床炉、電気炉等を用いてもよい。また、第1の捕集手段として、ろ布を備えたバグフィルターを使用したが、サイクロンであってもよい。更に、第1及び第2のバグフィルターは、ポリエステルで形成したろ布を備えているが、ナイロン、ポリプロピレン、アクリル、ポリイミド、ガラス等で形成されたろ布を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1及び第2の実施の形態に係るカドミウムの回収設備の説明図である。
【符号の説明】
【0036】
10:カドミウムの回収設備、11:植物、12:焼却炉、13:ガス冷却装置、14:粉状物、15:ろ布、16:第1のバグフィルター、17:ろ布、18:第2のバグフィルター、19:ファン、20:排出部、21:配管、22〜25:バルブ、26:微粒子、27:貯留槽、28:ロータリーバルブ、30:カドミウムの回収設備、31:ブロア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カドミウムを含む植物を500℃以上、好ましくは765℃以上で焼却して、前記カドミウムを単体及び/又は化合物として気化させる焼却炉と、
前記気化したカドミウムを、前記カドミウムの単体及び/又は化合物の沸点以下、好ましくは250℃以下、更に好ましくは150℃以下に冷却して析出させる冷却手段と、
前記冷却手段で析出したカドミウムの単体及び/又は化合物を含む粉状物を捕集する第1の捕集手段と、
前記第1の捕集手段の下流側に設けられ、活性炭及び消石灰のいずれか一方又は双方で被覆されたろ布を備えたバグフィルターからなる第2の捕集手段とを有することを特徴とするカドミウムの回収設備。
【請求項2】
請求項1記載のカドミウムの回収設備において、前記第1の捕集手段は、ろ布を備えたバグフィルターであることを特徴とするカドミウムの回収設備。
【請求項3】
請求項2記載のカドミウムの回収設備において、前記第1の捕集手段のろ布は、目付量が500g/m2以上かつ開口度が10μm以下であることを特徴とするカドミウムの回収設備。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のカドミウムの回収設備において、前記焼却炉から排出される気化したカドミウムを含むガスに、酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給手段が設けられていることを特徴とするカドミウムの回収設備。
【請求項5】
カドミウムを含む植物を焼却炉で500℃以上、好ましくは765℃以上で焼却して、前記カドミウムを単体及び/又は化合物として気化させる第1工程と、
前記気化したカドミウムを、前記カドミウムの単体及び/又は化合物の沸点以下、好ましくは250℃以下、更に好ましくは150℃以下に冷却して析出させる第2工程と、
前記析出したカドミウムの単体及び/又は化合物を含む粉状物を第1の捕集手段で捕集する第3工程と、
前記第1の捕集手段の下流側に設けられ、活性炭及び消石灰のいずれか一方又は双方で被覆されたろ布を備えたバグフィルターからなる第2の捕集手段によって、前記第1の捕集手段を通過した窒素酸化物、硫黄酸化物、及びダイオキシン類のいずれか1又は2以上の物質を捕集する第4工程とを有することを特徴とするカドミウムの回収方法。
【請求項6】
請求項5記載のカドミウムの回収方法において、前記第1の捕集手段にろ布を備えたバグフィルターを使用することを特徴とするカドミウムの回収方法。
【請求項7】
請求項5及び6のいずれか1項に記載のカドミウムの回収方法において、前記焼却炉から排出される気化したカドミウムを含むガスに酸素含有ガスを供給することを特徴とするカドミウムの回収方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−163079(P2007−163079A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362118(P2005−362118)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(594146179)株式会社新菱 (19)
【Fターム(参考)】