説明

カバーテープ

【課題】 キャリアテープに対して適度の剥離強度と、帯電防止効果を有しており、且つ高温多湿の環境において、IC等の金属部を有する内容物の腐食を著しく抑制できるカバーテープであって、一方で該カバーテープを通して内容物の形状を画像解析できる透明性を有する、キャリアテープ用カバーテープを提供する。
【解決手段】 層厚み5〜30μmの基材層、5〜25μmのポリエチレン樹脂を主成分とする中間層、5〜25μmのポリオレフィン系樹脂を主成分とする支持層、及び、5〜20μmのヒートシール層で構成される積層フィルムであり、該ヒートシール層側の平均表面粗さ(Ra)が、0.3〜1.0μmであって、その表面に帯電防止剤が塗布されている、電子部品包装キャリアテープ用カバーテープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に実装されるまで電子部品等を搬送するのに用いられるキャリアテープの蓋材として用いるカバーテープに関する。
【背景技術】
【0002】
IC等の電子部品を搬送するのに、一般的にキャリアテープが用いられている。即ちキャリアテープに一定間隔で形成された電子部品収納用の凹部に、前記の電子部品を挿入して、該キャリアテープの上面に、基材上に易剥離性の接着層を有するカバーテープをヒートシールして該電子部品を封入した後、リール状に巻き取られて搬送する。前記カバーテープは、該電子部品を検査できる程度に透明であることや、搬送中に加わる外力によっては剥離しない程度にヒートシールされているが、電子部品を取り出す際はキャリアテープから容易にスムースに剥離できることが必要である。更に、該電子部品がIC等の静電気により絶縁破壊されやすい部品である場合、埃の付着防止や内容物の静電気からの保護、または、キャリアテープからカバーテープを剥離する際に、カバーテープに該電子部品が付着して飛び出す等のトラブルを防止するために、カバーテープの片面又は両面の表面に帯電防止処理がなされる。
【0003】
帯電防止処理には、帯電防止性を付与させようとする面を構成する樹脂に帯電防止剤を練り込んだり、あるいは帯電防止剤を表面に薄く塗布するなどの方法が用いられる。接着層の表面に帯電防止剤を塗布したものは、例えば特許文献1〜4に開示されている。
【0004】
これらの方法で、十分な帯電防止効果を得ようとすると、帯電防止剤を多量に塗布する必要が有りキャリアテープへのシール強度が安定しなくなる傾向が有る。又、大気中の水分を呼び込むため、高温多湿の環境に長期に渡って保管し、かつ内容物であるIC等の金属部のメッキが不十分であると錆が発生する可能性が指摘されていた。
【0005】
一方で、近年前記のIC等の電子部品の検査において、該カバーテープの上からCCDカメラで撮影して画像解析することにより、ICのピンの変形等の不良を判別する方法が行われており、このような場合、該カバーテープへの透明性の要求は著しく高まっている。
【特許文献1】特開平11−115088号
【特許文献2】特開平9−156684号
【特許文献3】特許第2901857号
【特許文献4】特開平5−51053号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、キャリアテープに対して適度の剥離強度と、帯電防止効果を有しており、且つ高温多湿の環境において、IC等の金属部を有する内容物の腐食を著しく抑制できるカバーテープであって、一方で該カバーテープを通して内容物の形状を画像解析できる透明性を有する、キャリアテープ用カバーテープを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、これらの課題について鋭意検討した結果、帯電防止性のヒートシール層(接着層)を有するカバーテープにおいて、該ヒートシール層の表面粗さを特定の範囲に設定することで、前記課題を克服できることを見出し本発明に至った。即ち、本発明は、層厚み5〜30μmの基材層、5〜25μmのポリエチレン樹脂を主成分とする中間層、5〜25μmのポリオレフィン系樹脂を主成分とする支持層、及び、5〜20μmのヒートシール層で構成される積層フィルムであり、該ヒートシール層側の平均表面粗さ(Ra)が、0.3〜1.0μmであって、その表面に帯電防止剤が塗布されている、電子部品包装キャリアテープ用カバーテープである。ヒートシール層は、エチレン系重合体(A)、スチレン−ブタジエン共重合体(B)及び耐衝撃性ポリスチレン(C)の各成分を少なくとも1種以上含有する熱可塑性樹脂組成物であることが好ましい。又、ヒートシール層上に形成される帯電防止剤層の塗布厚みは、0.01〜0.2μmであることが好ましい。更に、ヒートシール層側表面の表面抵抗率は、1×1012Ω/□以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカバーテープは、キャリアテープに対して適度の剥離強度を有していて、電子部品の取り出し時には、容易にキャリアテープから剥離できるものであり、又、透明性が良好であり、内容物の形状を容易に確認することができ、更に、十分な帯電防止効果を有し、且つ高温多湿の環境において、IC等の金属部を有する電子部品の腐食を著しく抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のカバーテープは、基材層、中間層、支持層及びヒートシール層で構成される積層フィルムである。
【0010】
基材層は熱可塑性樹脂からなり、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン等のポリアミド、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂より製膜されたフィルム、特に二軸延伸フィルムを好適に用いることができる。好ましくは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであり、いずれも市販のフィルムを用いることができる。基材層の厚みは、高い透明性を付与させるため5〜30μmである。
【0011】
又、基材層は、後述する中間層との接着強度を強固にして安定するために、中間層と接する側の表面をサンドプラスト処理、コロナ放電処理、及び/又はプラズマ処理等の表面処理をすることができる。また、基材層には帯電防止剤を練り込んだり、表面コートした静電防止品を用いることもできる。
【0012】
積層フィルムの基材層と反対側のヒートシール層は、キャリアテープに対してヒートシール性を有し、使用時に容易に剥がすことのできる易剥離性を示す熱可塑性樹脂からなる。スチレン系の樹脂組成物からなるキャリアテープにヒートシールしたときに、適度の剥離強度が得られるという点では、各種のポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレン−アクリル酸エチル共重合体、及びエチレン−ブテン−1ランダム共重合体等のエチレン系重合体(A)、スチレン−ブタジエン共重合体(B)及び耐衝撃性ポリスチレン(C)の各樹脂成分を少なくとも1種以上含有する樹脂組成物が好ましい。更に、該キャリアテープにヒートシールして剥離する際の剥離強度が連続して安定している点で、該樹脂組成物中のエチレン系重合体としてエチレン−ブテン−1ランダム共重合体を用いることがより好ましい。
【0013】
このヒートシール層の厚みは5〜20μmである。5μm未満では、ヒートシールしたときに十分な剥離強度が得られず、20μmを越えると、本発明の特徴の一つである十分な透明性を得ることが困難となる。
【0014】
このようにヒートシール層の厚みは、透明性の観点から20μm以下である必要があるが、ヒートシール層自体は軟質であることから、この厚みで製膜することが非常に困難であることや、カバーテープとしてキャリアテープにヒートシールする際に安定した剥離強度が得られないことから、本発明のカバーテープは、このヒートシール層を支持する支持層を有していて、この支持層が存在することにより、安定した剥離強度が得られる。この支持層はポリオレフィン系樹脂を主成分としており、透明性の良好なポリオレフィン樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えば、エチレン−αオレフィンランダム共重合体と低密度ポリエチレンの混合物、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、プロピレン系重合体等、及びこれらの混合物が挙げられる。中でもエチレン−ブテン−1ランダム共重合体と低密度ポリエチレンの混合物が、透明性、柔軟性、ヒートシール層との密着性等の点で好ましく、更に好ましくは、該混合物100質量部に対するエチレン−ブテン−1ランダム共重合体の比率が20〜80質量部の混合物が好ましい。
【0015】
この支持層の厚みは、5〜25μmの範囲である。5μm未満では、前記のヒートシール層を支持する効果が不十分である。25μmを越えると、ヒートシール層を支持する効果には影響が無く、一方でカバーテープの総厚が厚くなり過ぎて柔軟性が低下する。
【0016】
本発明のカバーテープは、基材層と前記支持層の間の接着強度を強固で安定なものするために、これらの層の間に、ポリエチレン樹脂からなる中間層を有する。ポリエチレン樹脂としては、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の1種又は2種以上の混合物を用いることができる。この中間層の厚みは、5〜25μmである。5μm未満では、前記の接着強度の安定化の効果が十分に得られず、25μmを越えてもその効果はそれ以上改善されないばかりか、カバーテープの総厚が厚くなりすぎて柔軟性が低下する。
【0017】
本発明のヒートシール層は、帯電防止性を付与する必要がある。その帯電防止処理の方法は特に限定されるものではないが、該ヒートシール層の樹脂に、ポリエステルエーテル共重合体、エチレンオキサイド鎖−g−ポリアクリル酸等の高分子量帯電防止剤を添加する方法や、ヒートシール層の表面に、カチオン系、アニオン系、両性イオン系、ノニオン系等の各種の水溶性界面活性剤型帯電防止剤や、高分子量鎖に上記親水基を結合したような高分子量の帯電防止剤等の1種若しくは2種以上を塗布する方法が用いられる。
【0018】
帯電防止剤を塗布する場合は乾燥後の塗布厚みが0.01〜0.2μmであることが好ましい。0.01μm未満であると、十分な帯電防止性を得ることが出来ず、0.2μmを越えると剥離強度の低下等ヒートシール性に悪い影響を及ぼす恐れがある。また、十分な帯電防止性を得るためには、表面抵抗率で1×1012Ω/□以下であることが好ましく、より好ましくは1×1010Ω/□以下である。 1×1012Ω/□を越えると、十分な帯電防止性能が発揮されないことがある。また、帯電防止という観点からは、表面抵抗率が低すぎて問題となることはないが、帯電防止剤の添加で1×10Ω/□未満を得ることは現実的ではない。
【0019】
本発明のカバーテープは、JIS B−0651に準拠して測定したヒートシール層側の表面の表面粗さが、平均表面粗さRaで0.3〜1.0μmであることが重要であり、より好ましくは0.4〜0.6μmである。ヒートシール層のRaを0.3μm以上とすると、高温・高湿の環境で長期間保管した時に、ヒートシール層が含有している帯電防止剤が、ヒートシール層の表面に染みだしてきても、金属部分の腐食が起こらない。0.3μm未満では、キャリアテープにIC等の金属部を有する内容物を入れて、このカバーテープを用いて封入して、高温高湿の環境に長期間保管した場合に、内容物の金属部の腐食を抑制する十分な効果が得られない。この理由については推測の域を出ないが、前記の金属腐食を解決する手段を鋭意検討した結果として、ヒートシール層の表面粗さを0.3μm以上にコントロールすることにより、内容物である電子部品との実質的な接触面積が小さくなることが影響していると考えられる。又、Raが1.0μmを越えると、曇り度(ヘーズ)が30%を超えてしまい、カバーテープの透明性が損なわれ、電子部品等を封入したときに、その内容物の形状の確認が困難となる。
【0020】
本発明のカバーテープの特徴は、前記のようにキャリアテープに対して適度の剥離強度を有していて、電子部品の取り出し時には、容易にキャリアテープから剥離できるものであり、又、透明性が良好であり、内容物の形状を容易に確認することができ、更に、十分な帯電防止効果を有し、且つ高温多湿の環境において、IC等の金属部を有する電子部品の腐食を著しく抑制できることである。このような特徴は、前記の特定の基材層、中間層、支持層及びヒートシール層の構成にすることによって、各層のもつ機能の相乗効果として得られる。
【0021】
本発明のカバーテープは、前記のように基材層、中間層、支持層及びヒートシール層を有している。カバーテープを作成する方法としては、このような積層フィルムを得る一般的な方法を用いることができるが、前記のように厚み5〜15μmのヒートシール層を単層で製膜して、均一な厚みの単層フィルムを得ることは困難である。従って本発明の積層フィルムを得るには、マルチマニホールドやフィードブロック等を用いて、T−ダイ共押出法や共押出インフレーション法により、支持層とヒートシール層が積層された積層フィルムとして製膜する方法が有効である。この積層フィルムを支持層側の面を積層面として、基材層と、溶融押出されたポリエチレン樹脂を介してサンドラミネーションして積層する方法が有効である。又、中間層、支持層及びヒートシール層からなるフィルムを、一般的な3層共押出で作成し、その3層フィルムの支持層側の面を基材層と一般的なドライラミネーション法により積層することによっても、本発明の積層フィルムを得ることができる。
【0022】
前記のように、ヒートシール層の表面粗さ(Ra)を、0.3〜1.0μmに調整する方法は特に限定されるものではなく、カバーテープの層構成や各層の厚さによって異なるが、その一つの手段としては、ヒートシール層と支持層からなるフィルム又はヒートシール層、支持層及び中間層からなるフィルムを共押出し引き取る際に、ダイより押出されたフィルムのヒートシール層側のロールとして表面粗さ(Ra)が0.6〜2.0μmの間の適切な粗さに加工されたものを用いることによって達成される。このロールとしては、シリコンゴム等のマットロール又は表面にマット加工を施した金属ロール等を用いることができる。
【0023】
本発明のカバーテープは、例えば電子部品を収容するための電子部品収容凹部が幅方向の中央部において長さ方向に所定間隔で形成されているエンボスキャリアテープに、凹部の上面をカバーするための電子部品搬送用カバーテープとして使用される。
【0024】
また、本発明のカバーテープの他の使用例として、例えば、部品を入れる角形のパンチ穴をあけた角穴パンチキャリアテープと、該角穴パンチキャリアテープの角穴の下面をカバーするためのボトムカバーテープと、角穴パンチキャリアテープの角穴の上面をカバーするためのトップカバーテープとからなる搬送体が挙げられる。このような搬送体においては、本発明の電子部品搬送用カバーテープは、トップカバーテープとして使用できる。
【0025】
本発明の電子部品搬送用カバーテープは、前記のような使用形態で、チップ固定抵抗器などの抵抗器、積層セラミックコンデンサなどのコンデンサ等の広範なチップ型電子部品などの搬送に好適に使用できる。
【実施例】
【0026】
(実施例1)
スチレン含量が30質量%であるスチレン−ブタジエン共重合体45質量部(電気化学工業社製「クリアレン」)、ポリオレフィン樹脂(三井化学社製「タフマー」)45質量部及び耐衝撃性ポリエチレン(東洋スチレン社製「HI−E6」)10質量部からなる樹脂混合物(ヒートシール層用)を作成し、ポリオレフィン樹脂(三井化学社製「タフマー」)60質量部と低密度ポリエチレン(宇部興産製「UBEポリエチレン」)40質量部からなる樹脂混合物(支持層用)とT−ダイ法共押出法によりヒートシール層10μm、支持層20μm、総厚30μmのヒートシール層/ポリオレフィン樹脂層の2層フィルムを作成した。その際、T−ダイより押出されたフィルムを、シリコンゴム製のマットロールと、平均表面粗さ(Ra)を0.8μmに調整した金属製の冷却ロール(ヒートシール層側)で挟持して引き取った。得られた2層フィルムのヒートシール層側の表面粗さ(Ra)は0.4μmであった。この2層フィルムを、厚さ20μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(基材層)上に、該2層フィルムのポリオレフィン樹脂層側の面を積層面として、溶融押出した低密度ポリエチレンを介して押出ラミネーションを行い、積層フィルムを作成した。この積層フィルムの両表面に帯電防止剤として両性イオン系の帯電防止剤SAT(日本純薬社製)を純水にて20倍に希釈した液(5質量%溶液)を、乾燥後の厚さが約0.1μmとなるよう塗布し、乾燥してカバーテープとした。
【0027】
(実施例2)
ヒートシール層/ポリオレフィン樹脂層の2層フィルムを作製する際に、ピンチロールの平均表面粗さ(Ra)が1.4μmのものを用いた以外は、実施例1と同様にしてカバーテープを作製した。
【0028】
(実施例3)
ヒートシール層/ポリオレフィン樹脂層の2層フィルムを作製する際に、ヒートシール層の厚みを20μm、ポリオレフィン樹脂層の厚みを10μmとした以外は、実施例1と同様にしてカバーテープを作製した。
【0029】
(実施例4)
ヒートシール層の樹脂にエチレン−アクリル酸エチル重合体とスチレン含量が30質量%であるスチレン−ブタジエン共重合体の混合物を用いた以外は、実施例1と同様にしてカバーテープを作製した。
【0030】
(比較例1)
ヒートシール層として厚み30μmの単層フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にしてカバーテープを作製した。
【0031】
(比較例2)
ヒートシール層/ポリオレフィン樹脂層の2層フィルムを作製する際に、引き取り用のピンチロールに鏡面ロールを用いた以外は、実施例1と同様にしてカバーテープを作製した。
【0032】
(比較例3)
ヒートシール層/ポリオレフィン樹脂層の2層フィルムを作製する際に、引き取り用のピンチロールの平均表面粗さ(Ra)が3.0μmのものを用いた以外は、実施例1と同様にしてカバーテープを作製した。
【0033】
(比較例4)
帯電防止剤層の厚みを0.3μmとした以外は、比較例3と同様にしてカバーテープを作製した。
【0034】
(比較例5)
帯電防止剤を塗布しない以外は、実施例1と同様にしてカバーテープを作製した。
【0035】
(評価方法)
前記の実施例及び比較例で作製したカバーテープを用いて、以下の評価を行い評価結果を、それぞれ表1及び表2に纏めて示した。
(1)表面粗さ測定
三豊機工株式会社製 SJ−301表面粗さ測定器を用いて、JIS B−0651に準拠して、カバーテープのヒートシール層側表面の平均表面粗さ(Ra)を測定した。
(2)表面抵抗率測定
JIS K−6911に準拠して、23℃50%rh環境にて、印加電圧500V、測定時間60秒にて、カバーテープのヒートシール層側表面及び基材層側の表面抵抗率を測定した。
(3)金属に対する腐食性比較
60℃90%RHの環境において、カバーテープのヒートシール層側の表面上に金メッキされたコバール金属板を乗せたものと、カバーテープに触れない状態で保管したものの金属側に発生する赤褐色の異物発生の有無を20倍拡大の顕微鏡にて観察した。カバーテープに触れないものは、420時間で赤褐色の異物が発生した。試験誤差を考慮し、396時間よりも早く異物の発生が認められたものを×とし、そうでないものを○とした。
(4)透明性
JIS−K7105(1998)に準ずる測定法Aによるヘーズメーターを使用して、カバーテープの曇り度(%)を測定した。
(5)ヒートシール性
ヒートシール機を用いて、コテ幅0.5mm×2本、圧力0.34MPa、時間0.5秒、シール回数2回の条件にて、デンカECシートにより成形した24mm幅のエンボステープに対するテーピング品を作成し、300mm/minの速度において剥離を行い、剥離強度測定を行なった。剥離強度がシール温度160℃でシールしても0.4N未満のものは、シール性が問題となることがある。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
層厚み5〜30μmの基材層、5〜25μmのポリエチレン樹脂を主成分とする中間層、5〜25μmのポリオレフィン系樹脂を主成分とする支持層、及び、5〜20μmのヒートシール層で構成される積層フィルムであり、該ヒートシール層側の平均表面粗さ(Ra)が、0.3〜1.0μmであって、その表面に帯電防止剤が塗布されている、電子部品包装キャリアテープ用カバーテープ。
【請求項2】
ヒートシール層が、エチレン系重合体(A)、スチレン−ブタジエン共重合体(B)及び耐衝撃性ポリスチレン(C)の各樹脂成分を少なくとも1種以上含有する熱可塑性樹脂組成物である、請求項1に記載のカバーテープ。
【請求項3】
ヒートシール層上に形成される帯電防止剤層の塗布厚みが0.01〜0.2μmである請求項1又は請求項2に記載のカバーテープ。
【請求項4】
ヒートシール層側表面の表面抵抗率が1×1012Ω/□以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のカバーテープ。

【公開番号】特開2006−8152(P2006−8152A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185262(P2004−185262)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】