説明

カプセルシェルの製造方法及びカプセル

カプセルシェルの製造方法は、カプセルシェルが静電粉体塗装で製造されることを含んでいる。複数のカプセルシェルが、複数の成形された基材に静電的に粉体コーティング物質を塗布すること、当該成形された基材のそれぞれに連続的なコーティング層を形成するように処理すること、当該成形されたコーティング層を前記基材から除去し、中空のカプセルシェルを与えることによって製造される。
カプセルシェル製造用装置は、基材、帯電した粉体物質の供給源、及び前記粉体物質の供給源と前記基材間のバイアス電圧を印加して電界を生ぜしめ、粉体物質が前記基材に塗布するための電圧源を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセルシェルの製造方法及びカプセル、特に、薬品分野、食品或いは栄養補助食品の分野に使用される、カプセルシェルの製造方法及びカプセルに関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
所定の服用をする医薬品、栄養補助食品、そしてその他の化合物の大量生産は、ヘルスケア産業その他の産業にて重要な部分を占めるようになった。これらの服用の多くが、ハードまたはソフトのゼラチンまたはセルロースカプセルにて提供されている。こうしたカプセルは、錠剤に比べ、患者への投与が容易であり、カプセルは大量生産の製造機関で簡単に製造することができる。また、カプセルは、必要な服用回数で足りるため、かさのある液体に比べ、患者による搬送が、より容易である。さらに、圧縮した固体の錠剤や、かさのある液体に比べ、1のカプセル内の有効成分の取り込みを、単位あたり服用量において、より正確に送達可能とし、この利点は、比較的少量の有効成分を送達せねばならない際に、特に重要である。
【0003】
最も従来的なカプセル製造機は、細長い底面と従属する複数の金属ピンから構成されるピンバーを採用している。乾燥したカプセルシェルを容易に離型する潤滑油、テトラフルオロエチレンポリマーまたはその他の物質がピン上にコートされ、そしてピンに付着し、ゲル化するカプセル物質の溶液にそのピンは浸漬され、その後乾燥、硬化してカプセルシェルの半分を形成する。硬化したシェルの半分は、その後除去され、大きさごとに切断され、充填後、かみ合わせられる。
【0004】
伝統的には、哺乳類由来のゼラチンがソフトシェルカプセル、ハードシェルカプセルの外皮製造のための物質として選択されてきた。その迅速なゲル化力、優れた造膜性及び酸素不透過性付与力の観点からから、ゼラチンは有用であるものの、例えばコスト高、入手困難さ、そして時にはバッチ間のばらつき等の欠点がある。
【0005】
例えば米国特許6375981号及び米国特許6337045号等、多くの特許明細書が、カプセル形成のための水溶性セルロースエーテルまたは変性デンプン組成物の使用について記載している。セルロースベースのカプセルの典型的な製造方法は、冷たい、水性セルロースエーテル塗布溶液内に熱いピンを浸漬するものである。セルロースカプセルは、従来的なゼラチンカプセルに比べ、微生物に対する抵抗力、極度に湿気の高い状況下での、より大きな安定性等のいくつかの利点を有しているが、最近のヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルが、ここ数年成功裏に販売されているにもかかわらず、セルロースカプセルを製造するうえで、現代の高速充填機に充填するのに適した、十分な均一性を有しつつ、大量生産することが困難であった。しかし、セルロースベースのカプセルは、セルロースフィルムの完全性を損なうことなく、ピンから除去するのが一般的に困難であり、その内面においてかすむ、という問題が生じ得る、課題を残している。
【0006】
さらに、カプセルの製造方法は全て、それがゼラチンベースであろうとセルロースベースであろうと、複雑であり、カプセルを大きさごとに切断することが必要で、追加的な費用を伴う。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、カプセルシェルの製造方法を提供するものであって、前記カプセルシェルが静電粉体塗装によって製造される製造方法である。
【0008】
先行技術の方法とは異なり、本発明の方法は湿式処理ではなく、乾燥ステップが要求されない。さらにカプセル物質を基材ピン上に正確に塗布して、切り取りステップを省くことが可能である。本発明の方法は、カプセル物質の変更の機会を提供するものでもあり、状況に応じて例えば、水溶性、酸可溶性、或いは不溶性であるが、浸透性を有するものとすることもできるし、腸溶性のコーティングを意図するものであってもよい。
【0009】
粉体物質を基材に静電的に塗布する方法が知られている。該方法は、電子写真やレントゲン写真撮影法分野で開発されており、好適な方法例が、例えば、Electrophotography and Development Physics, Revised Second Edition,
by L.B.Schein, published by Laplacian Press, Morgan Hill Californiaに記載されている。粉体物質を静電的に塗布して固体の投与形態にすることも、例えば、WO 92/14451、WO 96/35413、WO
96/35516, WO 98/20861の記載から、知られている。これらの開示内容は、例えば、錠剤や錠剤コア(tablet cores) のコーティング及び伝統的なカプセルのコーティングであるが、この方法によるカプセル製造の開示はなされていない。
【0010】
また、本発明は、カプセルの製造方法であって、静電粉体塗装で製造されたカプセルが充填され、キャップをして、完成されたカプセルをなす、製造方法を提供するものである。
【0011】
本発明の方法において、粉体は成形された基材に静電的に付着され、その後基材上に1の連続した層を形成するよう、例えば赤外線及び/または対流加熱にて処理し、コーティング層を除去して中空のカプセルシェルを与えることが好ましい。その後、カプセル自体が通常は2つのカプセルシェルから組み立てられ、これを便宜上カプセル本体とカプセルキャップと呼ぶこともできる。組み立て前に、カプセル本体が、例えば液体、粉体、またはその他の固体で充填され、キャップが本体に装着される。カプセル本体とそのキャップは、同じ大きさ、同じ形状とすることもできるが、必ずしもそのようにする必要はない。しかし、カプセルは、本発明の方法により製造したカプセルシェル(カプセル本体)を使用して組み立てることもでき、このカプセルはいくつかの他の手段により、キャップとともに提供される。
【0012】
成形された基材は、従来的な成形された薬品カプセルの製造によりよく対応したものとして、例えば、直径約5mmのロッド形状とすることができるが、該カプセルは、その使用態様に応じて、適するように、これとは異なる形状をとることもでき、適切に成形された成形品が基材として使用される。
【0013】
より特別には、基材は例えばスチールのような金属基材とすることができる。金属支持材が、その高い導電性ゆえに静電塗装のための優れた基材を提供するためである。
【0014】
該基材は、粉体塗布物質の塗布前に離型剤で処理されていることが好ましい。離型剤は文献にて知られている。一般的に、このような物質は、離型のための潤滑作用を提供するが、溶解時にコートに浸透してはならない。例えば油脂、パラフィン、タルクの使用が考えられる。その他の離型剤には、PTFE、重質パラフィン液、ポリエチレングリコール、例えばPEG300等がある。
【0015】
本発明は、カプセルの製造方法であって、該方法は、成形された基材に粉体のコーティング物質を静電的に塗布し、前記粉体を処理してカプセルシェルを形成し、前記カプセルシェルを前記基材から除去し、カプセルシェルに充填して、充填された該シェルからカプセルを組み立てることを含み、さらに、本発明は同様の方法によって製造されるシェルを提供するものである。
【0016】
さらに、本発明は、カプセルシェルまたはカプセルの製造方法であって、該方法は、成形された複数の基材に連続的なコーティング層を形成するように処理すること、前記成形されたコーティング層を前記基材から除去して中空のカプセルシェルを与えること、カプセル本体とカプセルキャップを構成し、任意に前記カプセル本体に充填して、前記充填されたカプセル本体と前記カプセルキャップから前記カプセルを組み立てることを含むものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
カプセルを組み立てるために適した方法が、文献にて知られている。例えば、2つの半分が、それらが摩擦でロックされるまで、ともに押圧または圧迫することができる。
閉鎖及び突き出しピンを使用する組み立てプロセスは、例えば、米国特許6546702号に開示されている。該カプセルは、望ましい場合には、ヒートシールすることができる。腸溶性物質から製造されるカプセル用の腸溶性シールは、当然に必要である。
【0018】
充填物質は、個々のユニットに割り当てられるいかなる物質でもよく、しばしばそれは生物活性物質、即ち生物環境における処理速度を増減させる物質である。従って、生物活性物質は、例えば農業目的、害虫駆除(例えば肥料、殺虫剤、除草剤、または防虫剤)に使用できるし、または、より特別には、例えば、医薬品や栄養物として使用される生理活性物質(例えばビタミン、栄養補助食品、香味料等の前処理した食品成分、菓子)である。その他の非薬品カプセルは、例えば、液体石鹸、発泡剤、香水、洗剤、酵素、漂白剤、水、繊維柔軟剤、入浴や洗濯用の泡切れのよい製品等を充填することができる。しかし、カプセルは、薬品への使用が好ましい。
【0019】
基材上に形成されるコーティング層は、例えば厚みが少なくとも20μmで、例えば20から50μmの厚みとすることができる。コーティング厚みを増すと、通常はカプセルの強度がさらに増し、1または複数の層が、さらに粉体を塗布する前に各々が溶解され、塗布され、例えば少なくとも0.2mmの厚みを備える。もう1つの方法として、低い電荷質量比で例えば約30μmの大粒径の粉体を用い、単層からより厚みのあるカプセルシェルを製造することが可能となる。
【0020】
粉体物質は、静電的に帯電し、電界が成形された基材領域に存在して粉体物質が成形された基材に付着されるようにすることが好ましい。例えば、粉体物質は、一方の極性の記号(a sign)で静電的に帯電できるし、同じ極性の電位が粉体物質の供給源の領域に維持されることもでき、基材はより低い電位、接地電位、反対電位に維持されることもできる。例えば、粉体物質は、静電的に正に帯電できるし、正の電位は粉体物質の粉体物質の供給源の領域に維持でき、基材は接地電位に維持することもできる。粉体物質は、永久的正味荷電または一時的正味荷電とすることもできる。粉体物質を帯電させるために、適切な方法であれば、いかなる方法をも採用できる。有効的には、粉体物質上の静電的な帯電は、(従来的なコピー印刷によくあるように)摩擦電気の帯電またはコロナ帯電により印加される。帯電制御剤の使用により、粒子は帯電の特定の記号(sign)に帯電され、特定の帯電規模へ帯電される。
【0021】
電界は、安定した直流電圧であるバイアス電圧によって提供されることが好ましい。交流電圧は、直流電圧よりも実質的に高電圧であるが、バイアス電圧の上に重ね合わすのが好ましい。交流電圧は、最大振幅値が直流バイアス電圧の最大値よりも大きいことが好ましく、さらには2倍を超えて大きいことが好ましい。直流バイアス電圧は100Vから2000Vとすることができ、好ましくは200Vから1200Vである。交流電圧は、最大振幅値が5000Vのオーダーで、1から15kHzの周波数を有することができる。
【0022】
良好かつ均一なコーティングは、粉体物質の供給源と基材間の間隔が比較的小さい場合、即ち10mm未満である場合、その達成が容易となる。間隔が0.3mmから5mmの範囲内であることが好ましく、0.5mmから5mmの範囲内であることが、さらに好ましい。
【0023】
該方法は、バイアス電圧を印加して粉体物質の供給源と前記基材間に電界を生ぜしめるステップと、前記粉体物質が当該電界と静電的に帯電した粉体物質との相互作用によって当該基材上に運ばれ、当該基材上に前記帯電した粉体物質が存在することにより前記基材への電気帯電を起こし、これにより前記粉体物質の供給源と前記基材間のバイアス電圧によって生じた電界が減少して、前記静電的に帯電した粉体物質を当該基材に塗布するステップと、及び前記静電的に帯電した粉体物質を、粉体物質の供給源と前記基材間の電界が十分に小さくなり、前記粉体物質の電界による前記基材への塗布が実質的に終了するまで塗布を継続するステップを含んでいる。
【0024】
このような方法を使用することは、たとえ粉体物質の供給源から基材の間隔が、ある部分では、他の部分と相違している場合であっても、基材の均一なコーティングを促進させる。このことは、基材が丸い端部を有するロッド形状を有する場合、特に有利である。
さらに、該方法は、粉体が基材に付着される速度にかかわりなく、均一なコーティングを促進し、付着中、基材と粉体物質間に相対的な動きがあるときに採用することができる。コーティングの1の層の厚みが、要請される最終厚みほど厚くない場合、1または複数のコーティング層を付着することができ、状況によっては直流バイアス電圧が増大してさらに層が付着する。
【0025】
静電的導電性シールドを、基材の一部または全部の周囲に備えることができる。例えば、基材がロッド形状である場合、静電的導電性シールドは、その周囲近傍に配置することができ、ロッドの端からの距離を有して該ロッドから間隔を空けることもでき、空けないこともできる。該シールドは、基材の電位よりも粉体物質の電位に近似した電位にて維持することができる。導電性シールドを、基材の周囲近傍に配置し、該シールドを基材の電位よりも粉体物質の供給源の電位により近似した電位にて維持することにより、物理的及び静電的障壁を創ることができ、粉体の塗布を基材のみに限定し、シールドが示す限界まで、均一に基材領域をコートすることが可能となる。従って、そのコーティングの明確な限界を得ることができる。基材がロッドでシールドが該ロッドの周方向に延びているとき、コーティングの限界は、該ロッドの端からの所定の軸方向の距離にて示すことができる。
【0026】
シールドの基材からの間隔は、1mm未満であることが好ましく、かつ、一定であることが好ましい。例えば、100から3000μmの範囲、例えば、100から150μmとすることができる。
【0027】
導電性シールドは、絶縁物質の層により、全部または一部が被覆された、導電性エレメントを含むことができる。絶縁物質の層の提供について、該層が薄いことが好ましく、これにより、基材及びシールド間の偶発的な電気接触を防ぐ。
【0028】
導電性シールドの電位と帯電粉体物質は同じ記号(sign)を有していることが好ましい。
【0029】
粉体物質が、成形された複数の基材に塗布される場合、基材の一部または全部に共通のシールドを備えることができる。例えば、基材がロッド形状である場合、該シールドは、複数の孔を有し、各孔を通って各ロッドの端が突出する構成とすることができる。
【0030】
基材をコートするために採用する、物理的な配置の選択は、コートされる基材の形状に
よる。例えば、別個の複数の粉体物質の供給源を提供して、単一基材にコートし、及び/または複雑な形状の供給源を供給し、及び/または複雑な形状の電界を提供することが可能である。また、粉体物質の供給源及び/または基材の配置をし、粉体物質塗布の過程で、これを動かすことも可能である。基材が円形断面のロッドである場合、粉体物質の供給源は、ロッドの端部に沿ってロッドから放射状に間隔を空けて配置することができ、ロッドは粉体供給源に対して回転することができる。このような場合、ロッド直径が約5mmであると、ロッドの端の中央は、ロッドの周方向部より粉体物質の供給源から約2.5mm遠い位置になる。しかし、このような間隔の相違は、特に粉体物質の塗布が、物質供給源と基材間の電界が実質的に止まるまで継続される場合には、必ずしも不均一なコーティングとなるものではない。 別の可能性としては、ロッドの長手方向軸上に該ロッドの端を越えて粉体物質の供給源を備えることである。
【0031】
適切な方法及び装置のさらなる詳細に関しては、WO92/14451、
WO96/35516、WO01/43727、 WO02/49771、WO03/061841及びGB 2393141A, 及び我々の同時係属出願GB0314188.4、GB 0330171、GB 0407312.8、GB
0409381.1に記載があり、これらは引用例として本文と図面をここに入れ込んでいる。
【0032】
また、本願は、カプセルシェル製造用装置であって、前記装置は基材、帯電した粉体物質の供給源、前記粉体物質の供給源と前記基材間のバイアス電圧を印加して電界を生ぜしめ、粉体物質を前記基材に塗布するための電圧源を含んでいる、カプセルシェル製造用装置を提供する。該装置のその他の任意の特徴は、本発明の方法の明細書記載から明らかである。該装置は、ここに記載するいかなる方法を行うためにも適したものとすることができる。
【0033】
複数の基材を複数の回転可能なロッドの形状で備えることができ、また該ロッドは、共通のドライブアレンジメント(drive arrangement)にて回転するように配置することができる。該ロッドは、取り外し可能に、共通のドライブアレンジメント(drive arrangement)にて回転するように配置した、各取り付け部材に装着されていることが好ましい。
【0034】
使用する粉体組成物を選択する際に、考慮すべき特性として、良好な、湿り、乾いたフィルム強度、カプセルに包まれた薬品またはその他物質に対する不活性、そして状況に応じて冷水不溶性、油及び/またはアルコール不溶性、湯に対する溶解性、ヒートシール適性及び/または圧力シール適性、フィルムの透明度、フィルムの柔軟性及び/または食用適性等がある。
【0035】
フィルムの塗布を形成する、基材上で処理可能な粉体コーティング物質と、その使用のための方法は、例えばWO96/35413、WO98/20861、WO98/20863及びWO01/57144に開示があり、これらは引用例として本文と図面をここに入れ込んでいる。有効的には、該粉体物質は、該粉体物質の構成成分の溶解押し出しによって製造され、または、粒子内で異なる構成成分物質をともに含んでいる粒子を製造する、他の方法によって、製造される。
【0036】
一般的に、粉体物質は、可溶性の構成要素を含んでいる。好適な構成要素の例としては、例えば、ポリマー結合剤(樹脂ともいう)、例えば、アクリルポリマー、例えばメタクリル酸ポリマー、例えば、アンモニオメタクリル酸共重合体、例えばEuragitの商品名で市販されているもの、ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体、多糖類、例えばセルロースエーテル、セルロースエステル、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、そして、ポリマーのフタル酸誘導体などがある。他に記載すべきものとしては、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン等のポリアミド、ポリ尿素、ポリサルフォン、ポリエーテル、ポリスチレン、例えば、ポリカプロラクトン、ポリ無水物、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリヒドロキシ酪酸塩、ポリヒドロキシ吉草酸塩などの生体分解性ポリマー等があり、また、例えば、糖アルコール、例えば、ラクチノール、ソルビトール、キシリトール、ガラクチトール、マルチトール等の非ポリマー結合剤、スクロース、デキストロース、フルクトース、キシロース、ガラクトース等の糖類、植物油、硬化植物油(飽和及び不飽和脂肪酸)、例えば水添ヒマシ油、カルナバワックス、蜜ロウ、親水性ワックス、ポリアルケン及びポリアルケンオキシド、ポリエチレングリコール等がある。明らかに、他にも適した物質があり得るため、上記は単なる例示にすぎない。1または複数の可溶性物質を存在させることもできる。好ましい可溶性物質は、一般的に粉体中の他の成分結合剤として機能する。使用するポリマーは、離型速度制御性を有するものとすることができる。このようなポリマーの例は、ポリメタクリル酸、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、アクリル酸ポリマー、ポリエチングリコール、ポリエチレンオキシド、カラギーナン、酢酸セルロース、モノステアリン酸グリセリン、ゼイン等がある。キシリトールまたは他の糖アルコールを、例えば、ポリマー結合剤が不溶性であるとき、溶解性を増すために、ポリマー結合剤に添加することができる。可溶性構成成分は、望ましい場合には、例えば、熱硬化やガンマ線、紫外線、または高周波帯でのエネルギー照射等の処理の過程で硬化したポリマーを含んでいる。
【0037】
一般的に、粉体物質の含有量は、可溶性物質に対して少なくとも30重量%、通常少なくとも35重量%、有効的には少なくとも80重量%を含んでいなければならず、例えば、可溶性物質は、粉体に対して95重量%まで、例えば85重量%で構成することができる。ワックスが存在する場合は、粉体物質の6重量%以下、特に3重量%以下、そして特に少なくとも1重量%含まれることになる。
【0038】
塗布後、粉体のコーティングは加熱により、好ましくは赤外線照射により、凝集したフィルムへと変換することができるが、その他電磁照射または対流加熱を使用することができる。通常、加熱に際してのコーティングの変化は、単なる物理変化にすぎない。粉体物質は、その軟化点を越える温度まで加熱して、その後、そのガラス転移点(Tg)を下回る温度にまで冷却して、1の連続した固体塗膜を形成することができる。例えば、温度150から250℃まで、例えば1から5分間、例えば3から4分間、加熱することができる。粉体物質は、1平方インチ当り1001b未満の圧力で、好ましくは常圧で、250℃未満の温度で可溶性を有することが好ましい。もう一つの方法は、例えば、粉体コーティングが硬化性ポリマーを含んでいる場合、対流加熱及び/または赤外線加熱及び/またはガンマ線、紫外線、または高周波帯で、エネルギー照射により処理して、連続的な架橋ポリマーのコーティングを形成することができる。
【0039】
使用する可溶性物質の選択は、物質の可溶性のみならず、他の特性、例えば、カプセルに対する機械的強度への適性、摩擦電気性などの点を考慮する。使用する可溶性構成要素の選択は、最終用途によって影響を受け得る。例えば、望ましくは、Eudragitsのようなメタクリル酸ポリマー等、改質された離型性(modified-release properties)を有する結合剤、またはすばやく溶解する結合剤を使用することができる。異なる可溶性物質が使用される場合、それらが融合できるように互換性があることが好ましい。
【0040】
粉体物質は、有効的には、可塑剤を含んで、適切なレオロジー性を提供することができる。適した可塑剤には、例えば、クエン酸エチル、ポリエチレングリコール、及びポリエチレングリコール6000等がある。可塑剤は、樹脂とともに、可塑剤と樹脂の総重量に対して例えば50重量%まで、有効的には30重量%まで、好ましくは20重量%まで使用することもできるが、その分量は、とりわけ、使用する特定の可塑剤による。可塑剤は、粉体物質の全重量の例えば、少なくとも2重量%、有効的には、少なくとも5重量%存在させることができ、2から30重量%、特に5から20重量%が好ましい。
【0041】
粉体物質は、帯電制御機能を有する物質を含んでいることが好ましい。その機能性は、上記のEudragit樹脂のように、ポリマー構造に組み込むこともでき、及び/あるいは帯電速度を増すために、別個の帯電制御を有する付加物を備えることもできる。適した帯電制御剤には、例えば、サリチル酸亜鉛、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸カルシウム等のサリチル酸金属、第4アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、トリメチルテトラデシル臭化アンモニウム(セトリミドcetrimide)、シクロデキストリン及びその付加化合物等がある。1または複数の帯電制御剤を使用することができる。例えば帯電制御剤は、粉体物質の全重量の10重量%まで、特に、少なくとも1重量%、例えば1から2重量%存在させることができる。
【0042】
また、粉体物質は、粉体粒子の外側面に存在する流動助剤を含めて粒子間の粘着力及び/または他の力を減じることができる。適した流動助剤(表面添加剤としても知られている)は、例えばコロイダルシリカ、ヒュームド二酸化チタン、酸化亜鉛、またはアルミナ等の金属酸化物、亜鉛、マグネシウム、またはステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属、タルク、機能的及び非機能的ワックス、ポリメチルメタクリル酸ビード、フルオロポリマービード等のポリマービード等がある。このような物質は、摩擦電気の帯電性を高めることができる。流動助剤、例えばシリカと二酸化チタンを混合することが特記できる。粉体物質は、表面添加流動助剤全量に対して例えば、0から3重量%、有効的には少なくとも0.1重量%、例えば、0.2から2.5重量%を含めることができる。
【0043】
しばしば、粉体物質は、着色剤及び/または隠蔽剤を含む。適した着色剤及び隠蔽剤の例は、例えば二酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物、アルミニウム レーキ、例えばインディゴ カーミン、サンセット イエロー、及びタルトラジン等、承認済食物染料、及び天然顔料を含んでいる。これらの物質の混合物も、望ましい場合には、使用できる。隠蔽剤は、粉体物質全重量の50重量%以下であることが好ましく、特に40重量%以下であることが好ましく、より特別には、30重量%以下であること、例えば10重量%以下であることが好ましく、例えば粉体に対して少なくとも5重量%使用することができる。二酸化チタンは特に有用な隠蔽剤で、白色を呈し、良好な隠蔽力及び着色力を有する。隠蔽剤とともに存在する着色剤は、粉体に対して、10重量%以下、好ましくは1から5重量%含めることができる。隠蔽剤を含まない場合は、着色剤は、粉体に対して例えば、1から15重量%、例えば2から15重量%、特に2から10重量%含めることができる。最適な色彩を達成するには、着色剤は、例えば酸化鉄等の無機顔料が使用されるとき等、場合によっては40重量%まで必要になることがある。しかし、通常、粉体物質は、例えば着色剤及び/または隠蔽剤の全重量に対して0から25重量%含まれている。
【0044】
粉体物質は、例えばレシチン等の分散剤を含めることができる。分散成分は、アニオン性、カチオン性、またはノニオン性界面活性剤が好ましいが、他にも、通常「界面活性剤」とは呼ばれないが、これと似た効果を有しているものが好ましい。分散成分は、共溶媒とすることができる。分散成分は、1または複数の例えばラウリル硫酸ナトリウム、ドキュセート・ナトリウム、Tweens(ソルビタン脂肪酸エステル)、ポリオキサマー及びセトステアリルアルコール等である。粉体物質は、粉体物質の重量に対して分散成分が少なくとも0.5重量%、例えば少なくとも1重量%、例えば2から5重量%含まれる。非常に往々にして、その含有量は、着色剤及び隠蔽剤の合計の10重量%である。
【0045】
カプセルを経口服用する場合には、粉体塗布物質は、例えば、アスパルテーム、アセスルファム・ケィ、チクロ、サッカリン、砂糖、糖アルコール、または香味料等の1または複数の味覚調整剤を含むことができる。粉体物質重量に対して香味料は5重量%以下であることが好ましく、さらに1重量%以下であることが好ましいが、使用する特定の味覚調整剤に応じて適宜増減させることができる。
【0046】
望ましい場合は、粉体物質はさらに充填剤、または希釈剤を含めることができる。適した充填剤及び希釈剤は、例えばアルギン酸、ベントナイト、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、炭酸マグネシウム等、一般的に粉体の色やその他の特性に影響を与えることが少ない、原則的に不活性で低価格の物質である。
【0047】
粉体物質の構成成分の混合割合は、粉体物質を含む物質に大いに依存し、粉体物質の望ましい特性が得られるようにと調整されるものである。適した粉体物質への混合割合は下記のようになるであろう。
【0048】
組成物1
樹脂 83重量%
ワックス 0−3重量%
着色剤 11−14重量%
帯電制御剤 1−2重量%
流動助剤 1重量%(表面添加剤)
【0049】
組成物2
樹脂 90重量%
ワックス 2重量%
無機着色剤 5重量%
帯電制御剤 2重量%
流動助剤 1重量%(表面添加剤)
【0050】
組成物3
帯電制御機能を有する樹脂 60重量%
キシリトール 20重量%
隠蔽剤 15重量%
着色剤 3.5重量%
分散剤 1.5重量%
【0051】
組成物4
樹脂 83重量%
隠蔽剤 10重量%
着色剤 2重量%
分散剤 2重量%
帯電制御剤 2重量%
錠剤分解物質 0.5重量%
流動助剤 0.5重量%(表面添加剤)
【0052】
粉体物質は、40℃から180℃の範囲、例えば40℃から120℃のガラス転移点(Tg)を有することが好ましい。有効的には、該物質は、50℃から100℃のTgを有する。好ましい最小ガラス転移点は55℃であり、好ましい最大ガラス転移点は70℃である。従って、より有効的には、該物質は55℃から70℃の範囲のTgを有する。
【0053】
カプセルを経口服用する場合には、該粉体物質が薬品的に許容される物質であることは当然である。
【0054】

好ましくは、該物質の体積の少なくとも50%は、100μm以下の粒子径を有する。
【0055】
有効的には、該物質の粒子の体積の少なくとも50%は、5μmから40μmの粒子径を有する。より有効的には、該物質の粒子の体積の少なくとも50%は、10μmから25μmの粒子径を有する。
【0056】
粒子径が狭い範囲の粉体については、特記する必要がある。粒子径の分布は、例えば幾何学的標準偏差(「GSD」)の数値d90/d50またはd50/d10から引用することができる。ここで、d90は、粒子の、体積で示した場合の90%がこの数値より低いところの(かつ10%が高いところの)粒子径を示し、d10は、粒子の、体積で示した場合の10%がこの数値より低いところの(かつ90%が高いところの)粒子径を示し、d50は、粒子径の平均値を示す。有効的には、平均値(d50)は、5μmから40μmの範囲内、例えば10μmから25μmである。d90/d50は、1.5以下で、特に1.35以下、より特には1.32以下、例えば1.2から1.5、特に1.25から1.35、より特には、1.27から1.32であり、粒子径は例えばコールター・カウンターで測定される。従って、例えば、粉体はd50=10μm、d90=13μm、d10=7μmとしてd90/d50=1.3、d50/d10=1.4とすることができる。
【0057】
カプセルシェルが均一の厚みを有する壁を有していることがしばしば望ましい一方で、カプセルシェルの壁は、1または複数の開口を有していることが望ましい場合、または厚みの薄い部分を有していることが望ましい場合がある。このような構成は、例えば薬品搬送可能性の範囲を高め、または容易にすることができる。一例を挙げると、カプセルシェルが不溶性の場合、薬品はその開口経由でのみ放出され、長期の放出特性を有することになる。カプセルからの薬品の放出態様を変えた他の形状も採用することができる。例えばGB2393141Aに記載の方法や、異なる導電性の領域を利用して、1または複数の領域を覆うことができる。
【0058】
従って、粉体が付着される基材表面は、一般的に導電性物質で形成することができるが、導電性が減少された物質を少なくとも1領域、含めることができる。導電性が減少された物質は、電気絶縁物質であることが好ましい。導電性を減少された物質上への粉体の付着は減り、結果、カプセルシェルの壁のより薄い領域を形成し、または、物質上への粉体の付着は実質上無く、結果、カプセルシェルの壁に開口を形成する。
【0059】
導電性が減少された領域、あるいはその各領域は、一般的には円形をしていると有用で、該基材における収納部に固定された挿入部を形成することもできる。例えば、挿入部は、基材内のネジ穴にはめ込むことができる。
【0060】
上記記載から理解されるように、カプセルシェルは、例えば、上記のステップを踏むことによって、少なくとも1の開口から形成することができる。
【0061】
このような方法は、粉体物質、液状物質を両方使用する、他の静電的なコーティング過程においても利用可能である。
【0062】
従って、静電的に基材をコートして、異なる厚みの領域を有する、及び/または1または複数の開口を入れ込んだコーティングを提供する方法であって、基材が異なる導電の領域を含んでいる方法も提供されている。
【0063】
カプセルシェルの製造に関する、ここに記載する一般的な発明の特性は、異なる厚みの領域を有する、及び/または1または複数の開口を入れ込んだコーティングに関して記載する特性も含め、上記のほかの静電的過程にも利用することができる。
【0064】
従って、例えば、付着がなされた基材表面は、通常導電性物質が形成されるが、例えば、電気絶縁物質等、導電性が減少された物質から形成される、少なくとも1の領域を含んでおり、例えば導電性が減少された物質上には付着がない場合もあり得る。例えば、コーティングは、少なくとも1の開口から形成することができる。例えば、薬品基材のコーティングにおける使用、また、例えば、WO92/14451、WO96/35413、WO98/20861、WO98/20863及び我々の同時係属出願
GB0318353 に記載した使用は、特記すべきである。これらの明細書の本文及び図面は、ここに引用例として入れ込んでいる。
【0065】
まず、図1Aに関して、基材は、円形断面の固体のスチールロッド1の端部を含んでいる。該ロッドは半円形の端2を有する。円形の孔4を有する扁平な板形状のシールド3が備えられ、孔4を通って突出しているロッド1の端部とともに配置されている。従って、シールド3は、近傍を囲んでいるが、ロッド1からは間隔を空けている。
【0066】
帯電した粉体物質の供給源5は、ロッド1の端部に沿ってロッドから均一な放射状の間隔を空けて備えられている。供給源5は、細長い出口6を有し、図1Aにて概略的に例示されており、この出口から粉体物質が供給される。
【0067】
シールド3は、電気絶縁物質の底部7と該底面7上に支持される、導電層8を有している。
【0068】
電圧供給源9が接続され、正の電位を粉体物質の供給源5及びシールド3の導電層8にも印加させる。前述のように、印加される電位は、直流バイアス電位及び交流電位の両方を含んでいる。該ロッド1は接地されている(earthed)。
【0069】
赤外線加熱器10が、該ロッド1に沿って備えられている。
【0070】
適した離型剤で塗布後、使用時に、該ロッド1は、図示されていないが図1Aの矢印で示した手段によって回転し、正に帯電した粉体が粉体物質の供給源5で使用可能となる。電圧供給源9は、粉体物質の供給源5と該ロッド間の電界を起こし、その結果、正に帯電した粉体が回転ロッド1の端部に、ロッドの半円形端2を含んで駆動する。シールド3は、電界を、粉体物質がロッドに沿ってシールド3までであって、これを超えないように付着させるように形成し、明確な粉体付着の周囲方向の端が明示される。ロッド1に付着した帯電した粉体が、供給源5とロッド間の電界を減じるため、粉体の塗布が、粉体が供給源5を通ってロッド1へと移送が止まるまで継続される。
【0071】
いったん粉体の塗布が完成すると、赤外線加熱器10の電源が入り、ロッド1に付着した粉体物質を加熱する。その後、該物質は冷却され、その後ロッドから除去されて、中空のカプセルシェルを備える。
【0072】
図1Bは、もう1つのシールド配置を示し、図1Bで示した部分は図1Aで示したものと、同じ符号で記載されているが、異なる配置部分には、接尾辞"b”を付記している。従って、図1Bのシールド3bは、一般的に該ロッド1を囲む円筒型であることがわかる。シールド3bは、外部の導電円筒型層8bと内部の電気絶縁円筒型底面7bを有している。図1Bで、底面7bは、該ロッド1から少し間隔を空けて図示されているが、これは該ロッド1に接触することもできるし、実際、シールド3bは、該ロッド1に固定させて該ロッドとともに回転させることもできる。図示されていないが、層8bは図1Aの配置で示したものと同様に、電圧供給源9に電気接続され、図1Bによる修正された配置が図1Aの配置と実質同じであることが分かるであろう。
【0073】
上記のように、粉体物質の供給源5は、それ自体、1つの種類とすることができる。例えば、WO02/49771は、採用可能な装置について記載しており、帯電した粉体が供給される図1aにて、ローラー1aを有する粉体供給源を示している。図1cは、ロッド1へのWO02/49771のローラー1aの1の可能な位置づけを例示している。図1cにおいてWO02/49771のローラー1aは、これに関連した装置なしに示されており、これをローラー11aと記載する。ローラー11aの軸は、ロッド1の軸に垂直となっており、ローラー11aの周辺はロッド1の側面に沿っており、該ロッド1が回転することが分かる。(図1cに示されていない)装置の他の部分は、図1Aまたは図1Bに示したものと同様とすることができる。操作時は、粉体がロッド1の側面に隣接するローラー11aの領域から離れ、曝露されたロッド1の長さに沿って付着される。
【0074】
図1Dは、ローラー11aとロッド1のもう一つの位置づけを示している。この場合、ローラー11aの軸は、ロッド1の軸に垂直であるが、ローラー11aの周囲は、ロッド1の端に沿っている。この場合、ロッド1は、回転させる必要がない。ローラー11aからの粉体が、最初にロッド1の隣接端にコートされる傾向になるが、その後ロッド1の、より離れた部分がコートされる。再度、(図1Dに示されていない)装置の別の部分が図1A、図1Bに示したものと同様であることが分かる。必要な場合は、加熱器10の形状及び/または位置は、加熱器とローラ−11aが互いに妨害し合うのを防ぐために調整することができる。
【0075】
図示した装置が、一時に1のカプセルシェルのみを製造するのに適したものである一方で、多くのロッドを備え、これらを動かして、及び/または粉体物質の複数の供給源及び/または加熱器を備えることにより、一時に多くのカプセルシェルをつくりだす装置を採用することが可能である旨、理解するべきである。
【0076】
図2は、一時に複数のロッドを塗布するために採用することができるリグ(rig)を示している。図面中、5つのロッド1が図示されているが、望ましい場合には、ずっと多くの数のロッドを備えることができる旨、分かるであろう。各ロッド1は、取り外し可能に取り付け部材22の一端に、ソケット21内に位置している。各取り付け部材22の他端は、ベアリング・ブロック24内に回転可能に取り付けられ、鋸歯状ギア部25を有するドライブ・アセンブリ23に受け止められる。隣接する取り付け部材の鋸歯状ギア部が互いにかみ合い、また、回転ドライブ(図示しない)に接続された、追加的な鋸歯状ギア部25aが備えられる。従って、回転ドライブの操作により、各取り付け部材22が回転し、隣接する部材が反対方向に回転する。1または複数の静止または移動電力供給源は、図1に示した供給源5に対応して、図1Cに示したロッド1の側面に沿って備えられ、加熱器及び/またはシールドは、図1Aまたは1Bに示すように備えることができるとよい。シールドは、図2の指定された領域26の各ロッド1の周囲に備えることができる。
【0077】
望ましい場合は、1または複数の取り付け部材の追加的な列を図2に示す列に沿って取り付けることができる。複数の追加的な列が取り付けられる場合には、ロッドの端から塗布される粉体または、列の間で空く、かなり大きな間隔によって、適切な粉体源が収容されることが必要である。
【0078】
図3は、ロッド101の特定の形状を示しており、上記の態様のいずれにおいても採用することができる。ロッド101は、通常は金属製であるが、この特別な場合には、電気的に絶縁物質である、挿入部102を備え、挿入部102の上面は、ロッド表面と同一平面にある。例えば、挿入部102は、例えば直径2mmのナイロンねじでロッド101のドリル穴、タップ穴をあけることで形成できる。ロッドが粉体でコートされると、コーティングがなされない挿入部102の場所以外は、ロッドが均一にコートされる。このようにして、カプセルは管理された大きさで所定の場所にある小さな開口をあけて形成される。このようなカプセルは、薬品搬送の態様範囲を可能にし、容易にするために採用することができる。例えば、カプセルシェルが不溶性の場合、カプセル内の薬品は、長期の放出特性となる開口を通ってのみ離型される。
【0079】
適した挿入部の選択により、開口の大きさ、形状、位置、数を変えるとよい。
【0080】
本発明の1の特定の例において、図1Cで概略的に図示する種類の装置を使用して、下記の状況下で塗布を行った。
【0081】
ロッド1の回転速度: 35rpm
ロッド1及びローラー11a間の間隔(最小):10mm
ローラー11aの電位: −3000V
コーティング時間: 90秒
【0082】
別の本発明の例において、ここでも、図1Cで概略的に図示される種類の装置を使用して、下記の状況下で塗布を行った。
【0083】
ロッド1の回転速度: 35rpm
ロッド1及びローラー11a間の間隔(最小):2mm
ローラー11aの電位: −1000V
コーティング時間: 90秒
【0084】
各場合において、ロッド1を接地電位に維持し、ロッド1への塗布後、コーティングが180秒間、250℃で熱に曝露した。
【0085】
これらの実施例で製造されたカプセルは壁厚み150−200mmで、10から30mmの長さを有していた。
【図面の簡単な説明】
【0086】
カプセルシェルの製造の例として、粉体物質を基材に塗布してカプセルシェルを形成するのに適した装置を添付の図面とともに説明する。
【図1A】図1Aは、該装置の概略側面図である。
【図1B】図1Bは、該装置の修正部分の概略側面図である。
【図1C】図1Cは、図1Aまたは図1Bの装置に採用できる粉体物質の供給源の特定の配置を示す、該装置の概略側面図である。
【図1D】図1Dは、図1Aまたは図1Bの装置に採用できる粉体物質の供給源の別の特定の配置を示す、該装置の概略側面図である。
【図2】図2は、装置の修正部分の概略側断面図である。そして、
【図3】図3は、装置の別の修正部分の概略側断面図である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセルシェル(capsule shell)の製造方法であって、当該カプセルシェルが、
基材上に静電粉体塗装させることで製造される、カプセルシェルの製造方法。
【請求項2】
カプセルシェルの製造方法であって、該方法は、複数の成形された基材に静電的に粉体コーティング物質を塗布すること、当該成形された基材のそれぞれに連続的なコーティング層を形成するように処理すること、当該成形されたコーティング層を当該基材から除去して中空のカプセルシェルを与えることを含む、カプセルシェルの製造方法。
【請求項3】
前記基材が離型剤により前処理されている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記離型剤がタルクである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記基材が金属基材である、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記基材がスチール基材である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記粉体を塗布後加熱して、凝集したコーティング層を形成する、請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記粉体物質が、アクリル重合体、ポリビニルピロリドン酢酸ビニル共重体またはヒドロ
キシプロピルセルロースを含んでいる、請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記粉体物質が、アンモニオメタクリル酸樹脂共重合体を含んでいる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記粉体物質が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(hydroxypropyl methylcellulose acetate succinate)を含んでいる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記粉体物質が、フタル酸誘導体である、請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記粉体物質が、5−20%の可塑剤を含んでいる、請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記粉体物質が薬剤に適している、請求項1乃至12のいずれかに記載の1または複数の薬剤カプセルシェルの製造方法。
【請求項14】
前記粉体物質が基材から0.5mmから5mmの範囲の距離間隔を空けて塗布されている、請求項1乃至13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載の方法であって、該方法は、バイアス電圧を印加して粉体物質の供給源と前記基材間に電界を生ぜしめるステップと、前記粉体物質が当該電界と静電的に帯電した粉体物質との相互作用によって当該基材上に運ばれ、当該基材上に前記帯電した粉体物質が存在することにより前記基材への電気帯電を起こし、これにより前記粉体物質の供給源と前記基材間のバイアス電圧によって生じた電界が減少して、前記静電的に帯電した粉体物質を当該基材に塗布するステップと、及び前記静電的に帯電した粉体物質を、粉体物質の供給源と前記基材間の電界が十分に小さくなり、前記粉体物質の電界による前記基材への塗布が実質的に終了するまで塗布を継続するステップを含む方法。
【請求項16】
導電性シールドが前記基材の一部または全部の周囲に備えられている、請求項1乃至15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記基材がロッドの形状をしており、前記導電性シールドが該ロッドの周囲近傍はであるが、間隔を空けて配置されている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記シールドが前記ロッドから3mm未満の距離で間隔を空けている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記粉体が付着された前記基材の表面は、導電性物質で一般的に形成されるが、導電性が減少された物質で形成された、少なくとも1の領域を含んでいる、請求項1乃至18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記導電性が減少された物質が電気絶縁材である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記導電性が減少された物質の上には粉体が実質的に付着されていない、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記カプセルシェルが少なくとも1の開口を有して形成されている、請求項1乃至20のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
請求項1乃至21のいずれかに記載された方法で製造されたカプセルシェルに充填し、キャップをして、組み立てられたカプセルを提供する、カプセルの製造方法。
【請求項24】
前記キャップが請求項1乃至22のいずれかに記載された方法で製造されたシェルである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
カプセルの製造方法であって、該方法は、成形された複数の基材に粉体のコーティング物質を静電的に塗布すること、成形された前記各基材上に1の連続的なコーティング層を形成するように前記粉体を処理すること、当該成形されたコーティング層を前記基材から除去し中空のカプセルシェルを与えて、カプセル本体とカプセルキャップを構成すること、及び前記カプセル本体に充填して、前記充填されたカプセル本体と前記カプセルキャップからカプセルを組み立てることを含むカプセルシェルの製造方法。
【請求項26】
前記カプセルに薬剤が充填され、前記カプセルシェルが薬剤に適している、請求項23乃至25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
カプセルシェル製造用装置であって、前記装置は基材、帯電した粉体物質の供給源、前記粉体物質の供給源と前記基材間のバイアス電圧を印加して電界を生ぜしめ、粉体物質を前記基材に塗布する電圧源を含んでいる、カプセルシェル製造用装置。
【請求項28】
複数の基材が複数の回転可能なロッドの形状で含み、前記ロッドは共通のドライブアレンジメント(drive arrangement)にて回転するように配置されている、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
粉体が付着する基材の表面は、導電物質で一般的に形成されるが、導電性が減少された物質より形成される少なくとも1の領域を含んでいる、当該基材上への静電粉体塗装による基材のコーティング方法。
【請求項30】
前記導電性が減少された物質が電気絶縁材である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記導電性が減少された物質上には粉体が実質的には付着されていない、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記コーティングが少なくとも1の開口を有して形成されている、請求項29乃至30のいずれかに記載の方法。


【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−515980(P2007−515980A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516476(P2006−516476)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002742
【国際公開番号】WO2005/000264
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(502189797)フォウカス ファーマスーティカルズ リミティド (6)
【住所又は居所原語表記】10 Kings Hill Avenue, Kings Hill, West Malling, Kent ME19 4PQ UNITED KINGDOM
【Fターム(参考)】