説明

カプセル化された化粧用組成物

本発明は局所に塗布するカプセル化された化粧用組成物に関する。組成物は、熱軟化性材料製の継ぎ目の無いシェルを有する脆弱なカプセルを少なくとも一つ含む。シェルは室温程度では固体であるが、肌に塗布すると融解する。シェルは、透明ゲルベースに加えられるコア化粧料を保持している。従って、カプセルの色は視認可能であり、複数の色を有するカプセルをカスタムカラー組成物用ベースに加えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカプセル化された化粧用組成物、特にファンデーションに関する。より具体的には、本発明は、カプセル化され、化粧品として許容されるビヒクルに懸濁されてカスタムカラーを提供するあらゆるタイプの化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
装飾カラー又はマスキングカラーを人間の肌に塗布すること、特に塗布されたカラーを人間の顔に適合させることは、高度に専門化した技術分野である。組成物の色は、そのカラーが塗布される特定の場所によって、実際の組成物の色の見かけと、塗布時の色の見かけとの間で大きく異なる可能性がある。例えば、唇にカラーを塗布するために用いられる組成物(例えばリップスティック又はリップバーム)は、唇のピンク又は赤みを帯びた背景色の影響を受ける。黒以外の色のマスカラは、まつ毛、特に黒又は茶色のまつ毛の色に対抗するために非常に高い色濃度を有していなくてはならない。口紅やアイシャドウもまた、様々な肌のトーンに対して色を呈することができなくてはならない。ベースやファンデーションの色は、それらが塗布される肌の色に近いため、あまり難しいものにはみえないかもしれないが、ファンデーションの色を独特な色を有する肌の色に合わせるという技術的課題は他のどのタイプのメイキャップよりも数倍困難である。消費者はファンデーション又はベースカラーに対して、ファンデーションをつけているようには見えなくなるよう正確に肌に適合することを期待している。従来、消費者の肌の色に塗布するための別々のカラーのセットであって、そのうちの二つは同じではないものが開発されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
美容アドバイザーは、大抵二つ以上のカラーをブレンドして、肌のための望ましい固有の色を実現することを勧める。しかし、ファンデーションカラーをブレンドするということには、消費者にとって不利な点がいくつか含まれている。第一に、消費者は今や一つの製品に代えて二つの製品を購入しなくてはならない状況に置かれている。また、その二つの製品により家又は化粧品バッグの中にさらなる保存場所が必要になってしまう。そして最後に、消費者は肌のために望ましい最終的な色を作り出すために、二つのカラーをブレンドして塗布するための余計な時間をとらなくてはならない。近年、この数十年で、時間はより広く認識された貴重なものとなっている。そのため、多くの消費者は複数のカラーをブレンドするという提案に満足することができないでいる。よって、消費者がカスタマイズでき、必要かつ所望の量だけを購入することができるような独特なファンデーションカラーを提供する必要がある。本発明は、そのような消費者にカスタムカラーをもたらす化粧用組成物、特にファンデーション組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、コア化粧用組成物をカプセル化した少なくとも一つの脆弱なカプセルを含む、局所に適用(塗布)するための組成物に関する。カプセルは、化粧品として許容されるベース又はビヒクル中に懸濁しており、室温程度では固体であるが肌に塗布すると融解する熱軟化性材料製の継ぎ目の無いシェルを有している。シェルはカプセルの外壁を形成しており、化粧用組成物であるコア化粧料素材をカプセル化している。材料の熱軟化性により、シェルは室温程度では固体で自立しているが、肌に塗布すると(体温程度で)融解し破裂する。
【0005】
コア化粧料は、製品容器から小出しする際にはカプセル中に保持されているが、肌に塗布するとコア化粧料がカプセルから放出され、例えばコア化粧料がファンデーションの場合には、肌がカラーによって覆われる。カプセル化されたコア化粧料は、カプセル組成物に含まれるカプセルの色合いを任意の数だけ組み合わせることによりファンデーションカラーをカスタムブレンドする製品を提示する。ファンデーション組成物は、半透明又は透明で継ぎ目の無いシェルを有する脆弱なカプセルを複数含む。コア化粧料はシェルによってカプセル化されたファンデーションであり、シェルを通して目に見える色合いを形成する少なくとも一種の着色剤を有している。二種以上の色合いの脆弱なカプセルが化粧品として許容されるベース中に存在する。よって本発明の組成物はカスタムカラー化した組成物を作り出すのに有用である。従って、本発明は上述の継ぎ目の無いシェルとコア化粧料を有する脆弱なカプセルを化粧品として許容されるベースに加える方法を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明で用いられる脆弱なカプセルは、一つのピースからなる熱軟化性材料製(該熱軟化性材料は室温程度では固体であり肌に塗布すると融解する)の継ぎ目の無いシェルを有する。これらの性質により、該カプセルは化粧品として許容されるビヒクルに懸濁され、使用前に容器に貯蔵されている間は完全性を維持することができる。本発明の組成物中のカプセルは、パッケージ又は容器の中にあるときには、化粧品として許容されるビヒクルの中でカプセルとして目に見えるように懸諾していなければならない。カプセルはまた、二種類の状況で自立していなければならない。第一の状況は、カプセルが局所に塗布する組成物の一部として製品容器の中にある場合である。局所に塗布する組成物中のカプセルは、輸送及び貯蔵の間の様々な状況で完全性を維持しなければならない。第二の状況は、組成物の一部としてパッケージ又は容器から小出しされるときである。脆弱なカプセルを含む局所に塗布する組成物が取り出されて肌表面に塗布される間、カプセルは自立していなければならない。その固有の自立する性質にもかかわらず、触れてみるとカプセルは比較的やわらかい。よって、本発明の脆弱なカプセルはやわらかい(軟)カプセルと称される。本発明において広く用いられている技術用語としての「やわらかいカプセル」という用語は、そのカプセルが特定の基準を満たさなくてはならないことを除いて理解される。第一に摩擦した際に体温で即座に融解しなくてはならず、第二に輸送テスト(例えば温度と振動状態における製品の安定性)をパスしなくてはならない。さらに、カプセルに浮力があり、且つその浮力が長時間維持され(すなわち安定であり)、満足のいく望ましい視覚効果を作り出すために最終製品中で浮いていられることができると望ましい。カプセルは肌表面の暖かさと肌表面で摩擦される(擦られる)ことによるストレスの両方がカプセルの自立構造を打ち破るのに必要となるように設計されている。カプセルはビヒクル中にあることから、それがクッションとなり、製品が実際に肌に塗り込まれるまでは実際に融解することはない。
【0007】
前述のように、カプセルが取り出されて肌に塗布される間は、カプセルは自立していなければならない。しかしこれは、肌のような暖かい表面に局所的に塗布されるにつれてカプセルの性質が変化しなければならないときでもある。この時点での変化は、望ましいことに、暖かい肌温度による融解と、肌表面に局所塗布用組成物を塗布する間に与えられるストレス(例えば肌表面に組成物を塗り込むことによるもの)による破裂とをカプセルに引き起こす。融解と破裂により、カプセル中に含まれていた化粧用組成物が肌表面に放出される。よって、肌へ局所的に塗布した際には、カプセルは容易に破裂し、カプセルに含まれている化粧用組成物が設計されているように機能しなくてはならない。このことは、体温及び化粧用組成物を肌に塗布する際に典型的にみられるストレス状態で融解するシェルの能力によって助けられている。
【0008】
このカプセルの基準は、それぞれが異なる融点を有する様々な材料を含むシェルによって達成される。継ぎ目の無いシェルは一層から成り、ゼラチンも可塑剤も含まない熱軟化性材料から形成されている。本発明で熱軟化性材料として用いることができる材料の例としては、ステアリルジメチコン、蜜蝋、アーモンドバター(スイートアーモンドオイル55%/水素化植物油45%)ココアバター、PEG-8ジメチコン、ジメチコンコポリオール蜜蝋、ビニルジメチコン、ジメチコン、C-30-45アルキルメチコン、オリーブバター(オリーブ果実油/水素化オリーブ油)、カンデリラ蝋、及びポリエチレン、カルナウバ蝋、セレシン蝋、微結晶蝋、パラフィン蝋、オレンジピール蝋、ラベンダー蝋、ホホバエステル類、薔薇蝋、合成蜜蝋、ポリグリセリル-3蜜蝋、オゾケライト、合成蝋、米蝋、米ぬか蝋、脂肪酸蝋、及び花蝋が挙げられるがこれらに限定されるものではない。蝋はカプセルの外側のコーティングとして用いられることは知られているが、カプセルの外壁自体を作るのに用いる材料としてはこれまで知られていなかった。従って、熱軟化性材料はカプセルのシェルとして用いられている唯一の材料である。シェルは一つの層のみからなり、複数の層からなってはいない。好ましくは、熱軟化性材料は複数の蝋をブレンドしたものである。蝋が少なくともステアリルジメチコンを含むブレンドを形成するとより好ましい。蝋ブレンドが、少なくとも三種類の熱軟化性材料を含み、その三種類の材料のうち少なくとも一種がステアリルジメチコンであるとさらに好ましい。熱軟化性材料のブレンドが、ステアリルジメチコンに加えて、アーモンドバター、ココアバター、PEG-8ジメチコン又は蜜蝋のうち少なくとも一種を含むとさらにより好ましい。この場合、各成分は以下の量で存在する:ステアリルジメチコン15〜60%、蜜蝋10〜20%、アーモンドバター(スイートアーモンドオイル/水素化植物油)10〜20%、ココアバター10〜50%、PEG-8ジメチコン10〜20%。
【0009】
シェルを作るために用いられる蝋ブレンドの融点は、肌への局所的な塗布により融解できるシェルの能力に貢献している。それ故、蝋ブレンドの望ましい融点は肌への局所的な塗布で融解するのに必要な温度に基づいている。蝋ブレンドの融点は30〜50℃の範囲であると好ましい。蝋ブレンドの融点が37〜45℃であるとより好ましい。蝋ブレンドの粘性は、標準的なレオメータ(例えばTAインスツルメント、AR2000レオメータ、形状:20mm 4゜スチールコーン 82μmのギャップつき)を用い、制御せん断応力試験(せん断応力は5分間で0〜10000dyne/cm2の傾斜をつけ、試験の間は温度を37℃に制御した)を適用したところ、約1秒−1で約3000〜5000ポアズである。
【0010】
凍結工程によって形成されることにより、シェルは継ぎ目を有さない。本発明における凍結工程は、凍結乾燥とは区別できる急冷工程である。なぜなら、該工程はシェルから水分を除去することを含まないからである。シェル材料は水を含まないため、水分を除去するために乾燥するステップは必要ない。特定の凍結/冷却状態に晒された時に熱軟化性材料がカプセルの外殻を形成するような感温性材料が存在する。同様な凍結乾燥/急冷工程の例は、例えば引用して本明細書に組み込まれる米国特許第6,174,446号明細書に記載されており、また他の同様な方法が当該技術分野で知られている。本発明の継ぎ目の無いシェルは、2〜20ミクロンの厚さを有する。脆弱なカプセルは、500〜1500ミクロン、好ましくは約500〜1000ミクロンの範囲の粒径を有する。カプセルは泡又は小さなビーズ状であり、おおよそ丸型又は涙型をしている。好ましい実施形態では、継ぎ目の無いシェルは、化粧品として許容されるベース中での脆弱なカプセルの浮力をサポートするために気泡と共に調製される。最終的に得られる脆弱なカプセルが、化粧品として許容されるベース中で様々な高さに浮遊(懸濁)するよう、様々な量の気泡が継ぎ目の無いシェルの厚みの中に作り出される。
【0011】
脆弱なカプセルは、化粧品として許容されるベース又はビヒクル中に浮遊している。最終的な製品としてのメイキャップにより達成される被覆は、薄い(軽い)被覆から、より多い(厚い)シミ、クマ等のための被覆まで、ビヒクルに加えるカプセルの量によって様々に変化させることができる。従って、ビヒクルに加えられるカプセルの量は組成物中約1〜40重量%である。加えて、被覆の程度によって決定しなくてはならない望ましい色合いが存在し、最終的な色合いと被覆の量の両方に基づいて、最終的な製品のためのカプセルの量を決定する。カプセルは単にビヒクルに加え、穏やかに攪拌して一緒にブレンドする。本発明の化粧用組成物をカプセル化した最終的な製品は、保存及び小出しのための適切な容器に注ぎ入れる。
【0012】
ベースは半透明又は透明であると好ましい。ベースが透明ゲルであるとより好ましい。適切な透明ゲルとしては、カルボマーゲル、シリコーンゲル、ポリアクリルアミドゲル、ポリクオタニウム37、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられるがこれらに限定されるものではない。カプセルシェル従ってカプセル自体の透明さは、特にファンデーションの場合、化粧用組成物中の脆弱なカプセルの個々の色合いを消費者により観察可能とする。カプセルの個々の色合いを視認可能とすることは、審美的に好ましい製品を提供し、カスタムカラーを作成するためにそれらをブレンドしたときどのようになり得るかということを消費者にイメージさせる。コア化粧料、特にファンデーションの様々な色合いは個々のカプセル内に含まれており、塗布することでブレンドされて一つのカスタムカラーを作る。ジョルジュ・スーラの新印象派の絵画におけるドットのように、透明ゲルベース中の様々な色を有するカプセルは、所望に応じてブレンドされたカスタムカラーの推定される色を表現する。従って、組成物は二種以上の色合いを有する脆弱なカプセルを複数含む。カプセル内では、コア化粧料は色合いを形成するための少なくとも一種の着色剤を含む。それぞれのカプセルは異なる色合いのコア化粧料を有する。結果として、個々の脆弱なカプセルは、カプセルに含まれるコア化粧料の色合いに基づく様々な色合いを有する。二種以上の色合いを有する複数の脆弱なカプセルが化粧品として許容されるベースに加えられるとカスタムカラーが作り出される。
【0013】
カスタムブレンドメイキャップ製品を作り出す方法は、透明ゲルベースからスタートする。消費者は、組み合わせてブレンドすると消費者の肌のトーンに適合する色合いになると考えられている又は知られている様々な色合いのカプセルを選ぶ。カプセルを含む様々な色合いのファンデーションが透明ゲルベースに加えられ、製品を塗布することで、カプセルは融解し破裂してファンデーションを放出する。その結果、消費者は一つの製品、すなわちカプセルを透明ゲルベース内に含んだ、異なる色合いの化粧料を含む本発明の組成物と彼らの肌の色とを可能なかぎり近く合わせることができる。
【0014】
コア化粧料は、色合いを形成する着色剤を少なくとも一種類含む。本発明で用いられる着色剤は、任意の化粧品として許容される顔料、すなわち有機、無機、水溶性若しくは水に不溶の、又は任意の化粧品として許容される染料、又はこれらの組み合わせである。有用な無機顔料の例としては、酸化鉄(黄、赤、茶又は黒)、フェロシアン化第二鉄アンモニウム(青)、マンガンバイオレット、群青、酸化クロム(緑)、タルク、レシチン修飾タルク、ゼオライト、カオリン、レシチン修飾カオリン、二酸化チタン(白)及びこれらの混合物が挙げられる。他の有用な顔料は、雲母、オキシ塩化ビスマス、並びに雲母チタンやレシチン修飾雲母のような処理雲母等のパール化剤である。
【0015】
有機顔料には、天然着色剤並びに合成の単分子及び高分子着色剤が挙げられる。典型的なものは、フタロシアニンブルー及びグリーン顔料、ジアリーリドイエロー及びオレンジ顔料、並びにトルイジンレッド、リトレッド、ナフトールレッドおよびブラウン顔料のようなアゾタイプの赤色及び黄色顔料である。また、有機染料を不溶性のベース(例えばアルミナ、バリウム又はカルシウムの水和物)上に沈殿及び吸収させることにより形成される顔料であるレーキが有用である。特に好ましいレーキはプライマリーFD&C又はD&Cレーキ、及びこれらのブレンドである。
【0016】
また、水に不溶のコポリマー顔料、例えばナイロン粉末、ポリエチレン、及びポリエステルが挙げられる。ポリエステルには、一つ以上のジオール及び一つ以上のジカルボン酸を、着色剤と共重合させて製造される直鎖、熱可塑性、結晶質又は非晶質の材料が含まれ得る。顔料の濃度は最終的な製品の色によって様々であるが、通常は組成物全体に対して約0.1〜20重量%の範囲である。
【0017】
コア化粧料は、カプセル化され最終的な製品に加えられるよう意図された任意の化粧用組成物である。適切なコア化粧料の例としては液体製品、例えばファンデーション、日焼け止め、クリームコンシーラー、ブロンザー、頬紅(ブラッシュ)、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、及びリップグロスのような全ての非スティック状着色リップ製品、並びに粉末製品、例えばプレスト又はルースパウダー、フェイスパウダー、パウダーの頬紅(ブラッシュ)、及びパウダーアイシャドウが挙げられるがこれらに限定されるものではない。コア化粧料を含むカプセルを単に透明ゲルベースの中に加えることにより、顔料を必要とする或いは望ましいような任意の透明ゲルベースにおいてコア化粧料を利用することができる。
【0018】
好ましくは、コア化粧料はファンデーションである。ファンデーションを含むコア化粧料は、例えば水中油型、油中水型、多相型エマルジョンのようなどのようなタイプのエマルジョンでも、ゲル、或いは無水物であってもよい。コア化粧料は水中油型エマルジョンの形態であると好ましい。
【0019】
カプセル組成物はまた、コア化粧料を含むカプセル組成物と組み合わせることで、どのようなタイプのスキントリートメント製品においても用いることができる。カプセル化できるスキントリートメント製品としては、クリームリップ製品、ニキビ治療剤、保湿剤、アンチエイジング製品、リフティングトリートメント、セルライトトリートメント及びアイトリートメントが挙げられるがこれらに限定されるものではない。本発明をメイキャップ製品と併せて用いられるトリートメント製品に用いる場合、トリートメントが肌に最初に付着し、メイキャップ製品がその後に続くよう設計されている。肌が油より水に親和性が高いことに基づき、トリートメント製品は水懸濁又は水中油系の何れかで設計されており、その一方でメイキャップ製品は無水物又は油中水系の何れかで設計されている。従って、本発明の組成物は二重の機能を有することができる。いくつかのカプセルはコア化粧料を保持し、他のカプセルはコア活性剤を保持する。本発明のカプセル化した化粧用組成物におけるカプセル化したメイキャップとカプセル化した活性物質の組み合わせにより、消費者は異なる製品を複数塗布する手間を省くことができる。多くの女性は、活性物質を含むトリートメント製品とメイキャップとを毎日塗布している。場合によっては、肌表面に重ねられる塗布の回数は6、7回又はそれ以上にも達する。本発明のカプセルによれば、さまざまな製品を含むカプセルを組み合わせて一種類の局所に塗布する組成物に加えることにより、消費者の時間の節約を現実のものとすることができる。
【0020】
従って、コア化粧料に加えて、脆弱なカプセルはコア活性剤も含むことができる。組成物は、他の任意成分も含むことができ、その例としては、油溶性日焼け止め、例えばオクチルメトキシシンナメート;微粒子状日焼け止め、例えば酸化亜鉛;油溶性抗酸化物質及び/又は保存料、例えばBHT;キレート剤、例えばEDTA二ナトリウム;香料[fragrance](例えばピネン);着香剤[flavoring agent];防水剤(例えばPVP/エイコセンコポリマー);界面活性剤;及び油溶性活性物質、例えばトコフェロール及びその誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0021】
本発明を、本発明を限定するものではない以下の実施例によりさらに説明する。
【0022】
(実施例1)
本発明のゲルベース
【表1】

【0023】
カルボマー(カルボポール980)をメイン容器に加える。プロペラ攪拌機[prop agitation]で混合している間、EDTAとフェノキシエタノールをメイン容器に加え、均一になるまで混合する。トロメタミン(トリスアミノ)及びクロロフェネジンは水に予め混ぜておき、メイン容器に加える。各成分の混合物がプロペラ攪拌機を用いるには粘稠になりすぎた時は、攪拌をサイドワイピング攪拌機に切り替え、均一になるまで混合する。ゲルベースは本発明のカプセルをすぐ加えられる状態にある。
【0024】
(実施例2)
本発明のシェル
【表2】

【0025】
各成分を容器に入れ、約60℃に加熱し、プロペラ攪拌機を用いてそのバッチが均一になるまで混合する。均一となった材料を貯蔵容器に入れ室温まで冷却する。シェルは本発明のカプセルを作る際に必要に応じて再加熱することができる。
【0026】
(実施例3)
本発明のカプセル化用コア化粧料の典型例
【表3】

【0027】
相Iの成分をメイン容器に入れ、約10分攪拌下で混合し、容器を約68℃に加熱し始める。相IIの成分を予め混合しておき、容器に加え、10分間混合する。相IIIの成分を容器に加え、10分間混合する。相IVと相Vの成分を先に混合し、ボールミルにかける。粉砕した成分を相VI中の水ですすぐ。相VIの水を含む粉砕した相IVとVの成分を容器に入れ10分間混合する。別の容器で、シクロペンタシロキサンを除く相VIの残りの成分を混合し、均一になるまで約95℃に加熱する。乳化の前にシクロペンタシロキサンを加え、混合物を75℃に維持する。別々の容器中の内容物をメイン容器に加え、30分間混合する。内容物を約30℃に冷却する。相VIIの各成分を予め混合し、温度が約40℃となった際に容器に加える。化粧料コアが調製され、本発明のカプセル化が行える状態にある。
【0028】
(実施例4)
本発明によるカプセル
二つの相が必要となる。一つの相は実施例2で調製したシェルからなり、もう一方は実施例3で調製したシェルの中にカプセル化されるコア化粧料からなる。二つのノズルを有し、そのうち一つはもう一方の中にあり、内側のノズルはコア化粧料を供給し、外側のノズルはシェルを供給する装置を使用する。厚さ及び粒子のサイズ/形は、ノズルのサイズ、内側と外側のノズル間の距離、及び凍結温度により決定される凍結速度により決定される。二つの相を所定の長さ(約1〜2フィート)の所定の温度(約−20℃〜0℃)に冷却されたチューブ中に分注する。各相が分注されると液滴が形成される。液滴がチューブから落ちるとシェルが素早く凍結しコア化粧料を封入する。カプセルは、シェルによってカプセル化されたコア化粧料により形成される。
【0029】
(実施例5)
本発明のカプセル化した化粧用組成物
【表4】

【0030】
カプセルをゲルベースに加え穏やかに攪拌しながら一緒に混ぜ、本発明のカプセル化した化粧用組成物を形成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの脆弱なカプセルを含み、前記カプセルは室温程度では固体であるが肌に適用すると融解する熱軟化性材料製の継ぎ目の無いシェル、及び前記継ぎ目の無いシェルによりカプセル化されているコア化粧料を有し、前記脆弱なカプセルが化粧品として許容されるベース中に存在する、局所に適用する組成物。
【請求項2】
前記熱軟化性材料がゼラチンも可塑剤も含まないものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記熱軟化性材料が蝋ブレンドである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記蝋ブレンドが少なくとも一種のステアリルジメチコンを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記蝋ブレンドが蜜蝋、アーモンドバター(スイートアーモンドオイル55%/水素化植物油45%)、ココアバター、PEG-8ジメチコンから選択される蝋をさらに含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記継ぎ目の無いシェルが一層からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記蝋ブレンドの融点が30〜50℃である、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
前記蝋ブレンドの融点が37〜45℃である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記継ぎ目の無いシェルの粒径が500〜1500ミクロンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記継ぎ目の無いシェルの厚さが2〜20ミクロンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記継ぎ目の無いシェルが凍結工程によって形成されたものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記継ぎ目の無いシェルがさらに気泡を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記化粧品として許容されるベースが半透明又は透明である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記化粧品として許容されるベースが透明ゲルである、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が複数の脆弱なカプセルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記コア化粧料がさらに色合い(shade)を形成する少なくとも一種の着色剤を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記脆弱なカプセルのそれぞれがさらに前記コア化粧料の色合いを有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が二種以上の色合いを有する複数の脆弱なカプセルを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記コア化粧料がファンデーションである、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
さらにコア活性剤のカプセルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
カスタムカラー化された局所に適用する組成物を作り出すための方法であって、室温程度では固体であるが肌に適用すると融解する熱軟化性材料製の継ぎ目の無いシェルと、コア化粧料とを有する脆弱なカプセルを、化粧品として許容されるベースに加えるステップを含む前記方法。
【請求項22】
半透明又は透明の継ぎ目の無い熱軟化性材料製(前記熱軟化性材料は室温程度では固体であるが肌に適用すると融解する)のシェルと、前記継ぎ目の無いシェルによりカプセル化され、前記継ぎ目の無いシェルを通して視認可能な色合いを形成する少なくとも一種の着色剤を含むコアファンデーションとを有する複数の脆弱なカプセルを含み、前記脆弱なカプセルは二種以上の色合いで存在し、化粧品として許容されるベース中に存在するファンデーション組成物。

【公表番号】特表2008−543946(P2008−543946A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518445(P2008−518445)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/024521
【国際公開番号】WO2007/002431
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】