説明

カプセル化粒子

核粒子と核粒子の周りに形成されたポリウレタン層を含むカプセル化粒子。この核粒子は、肥料や殺菌剤、難燃剤、種子などいろいろな粒子である。このポリウレタン層は、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分の反応生成物を含む。このイソシアネート反応性成分は、連続相とポリマー粒子を有するグラフトポリオールを含む。核粒子を準備する工程、イソシアネートとイソシアネート反応性成分を該核粒子に塗布する工程、該イソシアネートとイソシアネート反応性成分を反応させて、ポリウレタン層を形成する工程を含むカプセル化粒子の形成方法。このカプセル化粒子は、高撥水性、弾性力、保存寿命などの優れた物理的性質をもつ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはカプセル化粒子に関し、具体的には核粒子とこの核粒子の周りに形成されたポリウレタン層を含み、そのポリウレタン層がイソシアネート成分とグラフトポリオールを含有するイソシアネート反応性成分との反応生成物を含むカプセル化粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
徐放性肥料などのカプセル化された粒子は、農業分野では公知である。このようなカプセル化粒子は、核となる粒子の周りに、通常は尿素などの肥料の周りに一層以上のポリウレタン層を有している。このポリウレタン層の厚みと健全性により、カプセル化された粒子の溶解が制限され、具体的には、核粒子が分解し、それを、即ち「内容物」を水分を含む土壌中に放出する速度が制限される。
【0003】
残念ながら、従来の多くのカプセル化粒子ではポリウレタン層の厚みが不均一であり、このため溶解速度が速くなっていた。農業分野ではよく知られているように、このような大きな溶解速度は、浪費と植物毒性、即ち植物の成長に対する肥料の毒性効果につながる。また、ポリウレタン層が亀裂や穴やへこみなどの欠陥を含むため、多くの既存のカプセル化粒子は、そのポリウレタン層に健全性に問題を有している。欠陥を含むポリウレタン層が核粒子の周りに形成されると、亀裂や穴及び/又はへこみのために水や他の液体のポリウレタン層への浸入し、予定以上に早くこの核粒子に接触して溶解させる。このような欠陥を修復するためには、通常核粒子の周りに複数のポリウレタン層を形成する必要があり、カプセル化粒子の製造プロセスの時間が長くなりコストが高くなる。また、ポリウレタン層には適度な硬度と弾性力が欠けるため、既存の多くのカプセル化粒子は容易に破砕する。このような破砕のためカプセル化粒子の保存寿命が短くなり、カプセル化粒子の貯蔵中や取り扱い、使用中に無駄が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP0867422A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、耐湿性が改善され、耐膨潤性が改善され、疎水性が改善され、製造コストが低下し、弾性力と靱性さが改善されたカプセル化粒子を提供する機会がある。また、溶解速度が小さくまた予測可能であるカプセル化粒子を提供する機会がある。また、このようなカプセル化粒子の形成方法を提供する機会がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
カプセル化粒子は、核となる粒子とこの核粒子上に形成されたポリウレタン層とを有する。このポリウレタン層は、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との反応生成物を含む。このイソシアネート反応性成分は、連続相及びポリマー粒子を有するグラフトポリオールを含む。カプセル化粒子の形成方法は、核粒子を準備する工程、イソシアネートとイソシアネート反応性成分とを核粒子上に塗布する工程、このイソシアネートとイソシアネート反応性成分を反応させてポリウレタン層を形成する工程を含む。
【0007】
本発明は、ユニークな組合せのイソシアネートとイソシアネート反応性成分を提供する。このイソシアネート反応性成分のグラフトポリオールが、カプセル化粒子に改善された耐湿性と改善された耐膨潤性、低下した製造コスト、改善された靱性を与える。カプセル化粒子のポリウレタン層は、カプセル化粒子の溶解を遅延させ、より予測可能な溶解速度を与える。本発明のカプセル化粒子の形成方法で、通常、核粒子の周りに均一で完全で欠陥のないポリウレタン層が形成される。このため、より薄くて安価な、核粒子上に形成されたポリウレタン層を用いることができる。また、このカプセル化粒子とその成分は保存安定性がよく、このためこのカプセル化粒子とその成分がより効果的に保存可能で、また
それに続いて使用が可能となる。
【0008】
下の添付図面とともに以下の詳細な説明を参照することで、本発明の他の利点が容易に明確となり、よりよく理解可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明のカプセル化粒子の断面である。
【図2】図2は、比較例の溶解速度を示す図である。
【図3】図3は、比較例の溶解速度を示すもう一つの図である。
【図4】図4は、本発明の実施例の溶解速度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図(すべての図において、同じ番号は同じ部品を示す)において、本発明のカプセル化粒子を通常10で示す。カプセル化粒子10は核粒子12を含む。特定の実施様態においては、この核粒子12が肥料を含む。通常、この肥料は、窒素、リン酸、カリ(potash)、硫黄、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。本発明の目的に好適な肥料は、当分野の通常の技術をもつ人には既知であるいろいろな会社から販売されている。
【0011】
ある実施様態においては、この肥料が窒素系肥料である。本発明の目的に好適な窒素系肥料の例としては、無水アンモニア、尿素、硝酸アンモニウム、尿素硝酸アンモニウム、硝酸カルシウムアンモニウム、およびこれらの組み合わせがあげられる。もう一つの実施様態においては、この肥料がリン酸系肥料である。本発明の目的に好適なリン酸系肥料の例としては、リン酸、リン酸一アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、硫燐安、およびこれらの組み合わせがあげられる。更に別の実施態様においては、この肥料がカリ系肥料である。本発明の目的に好適なカリ系の肥料の例としては、カリ、硝酸アンモニウム、およびこれらの組み合わせがあげられる。他の実施様態においては、この肥料が硫黄系肥料である。本発明の目的に好適な硫黄系肥料の例としては、硫酸アンモニウム、硫酸、およびこれらの組み合わせがあげられる。
【0012】
他の実施様態においては、この核粒子12が殺生剤を含む。本発明の目的の殺生剤の例としては、除草剤、殺虫剤、防黴剤、およびこれらの組み合わせがあげられる。もちろん、他の形の核粒子12を、即ち難燃剤などの肥料や殺菌剤でない核粒子12を使用することもできる。本発明の目的に好適な他の核粒子12としては、球根や種子、例えば草の種子、花の種子などがあげられるが、これらに限定されるのではない。
【0013】
この核粒子12は、通常カプセル化粒子10中で、100重量部のカプセル化粒子10に対して約75〜約99重量部の量で、より典型的には約90〜約99重量部、さらに典型的には約96〜約98重量部の量で存在する。もちろん、このカプセル化粒子10が、2種以上の上記核粒子12のいずれの組み合わせを含んでいてもよい。このような実施様態では、この核粒子12が、核粒子組成物のブレンドを、核粒子12の数種の個々の亜粒子を、及び/又は異なる核粒子組成物の多層物を含むが、これらに限定されるわけではない。例えば、核粒子12は、尿素を含む内核と、この内核の周りに形成された硫黄を含む外核とを含むことができる。通常、カプセル化粒子10の製造及び/又は保管中の予定外に早い反応及び/又は劣化を防止するため、核粒子12が無水となっているか、少なくとも外表面が無水となっている(即ち、核粒子12が乾燥している)。
【0014】
核粒子12は、いろいろな大きさと形状が可能である。通常、核粒子12は実質的に球状であり、その平均径は約0.1〜約5mmであり、より典型的には約0.1〜約2.5mm、さらに典型的には約0.25〜約1mmである。もちろん、他の大きさ及び/又は形状の核粒子12を、例えば不規則粒子や長方形粒子または小板状粒子を使用することもできる。ある実施様態においては、核粒子12がかなり大きい。例えば、この核粒子12が従来のツリースパイク状の形状をしていてもよく、この場合このカプセル化粒子10は、カプセル化されたツリースパイクである(図示せず)。
【0015】
カプセル化粒子10は、さらに核粒子12の周りに形成されたポリウレタン層14を有する。本発明の目的において、「周りに形成された」という用語は、ポリウレタン層14による核粒子12の部分的被覆と完全被覆の両方を含むものとする。通常、核粒子12は、ポリウレタン層14で覆われ、核粒子12が環境条件への暴露から、例えば予定以上に早い水分への暴露から守られている。ポリウレタン層14は、通常、従来のカプセル化層、例えば従来の肥料カプセル化層の厚みに近い平均厚みをもち、例えば約50〜約200、より典型的には約100〜150、より典型的には約125〜約150ミクロンである。もちろん、ポリウレタン層14は、カプセル化粒子10の溶解速度など一つ以上の所望特性に応じて、いろいろな厚みに形成することができる。
【0016】
ポリウレタン層14は、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分とから得られる反応生成物を含む。このイソシアネート成分は、通常2個以上のイソシアネート官能(NCO)基をもつポリイソシアネートである。本発明の目的に好適なポリイソシアネートとしては、例えば従来の脂肪族や環状脂肪族、芳香脂肪族、芳香族のイソシアネートがあげられるが、これらに限定されるのではない。特定の実施様態においては、このイソシアネート成分は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。当分野では、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートは、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートともよばれる。本発明の目的に好適な他のイソシアネートの例としては、特に限定されないが、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、およびこれらの組み合わせがあげられる。
【0017】
特定の実施様態においては、このイソシアネート成分がイソシアネート末端プレポリマーである。ポリウレタンの技術分野ではよく知られているように、このイソシアネート末端プレポリマーは、イソシアネートとポリオール及び/又はポリアミンの反応生成物である。このイソシアネートは、上記のポリイソシアネートの一つなど、ポリウレタン技術の熟練者には既知のいずれの種類のイソシアネートであってよい。イソシアネート末端プレポリマーの製造に使用する場合、このポリオールは、通常、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。イソシアネート末端プレポリマーの製造に使用する場合、このポリアミンは、通常、エチレンジアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリメチレンポリフェニレンポリアミン、アミノアルコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。好適なアミノアルコールの例としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、およびこれらの組み合わせがあげられる。もちろん、このイソシアネート末端プレポリマーは、2種以上の上記のポリオール及び/又はポリアミンの組み合わせから形成してもよい。
【0018】
このイソシアネート成分はまた、カルボジイミドやアロファネート、イソシアヌレート、ビウレットなどの変性イソシアネートであってもよい。他の本発明の目的に好適なイソシアネートとしては、メンテらの米国特許公開特許2005/0266245に記載のものが含まれる。なお、本文献の開示のすべてを引用として本出願に組み込むものとする。
【0019】
本発明の目的に好適なイソシアネート成分の具体例が、BASF社(Plorham Park、NJ)より、ルプラネート(R)という商標で販売されているものであり、具体的にはルプラネート(R)Mや、ルプラネート(R)MI、ルプラネート(R)M20、ルプラネート(R)M20SB、ルプラネート(R)M20HB、ルプラネート(R)M20FBイソシアネートである。
【0020】
ポリウレタン層14は、通常カプセル化粒子10中で、100重量部のカプセル化粒子10に対して約25〜約1重量部の量で、より典型的には約10〜約1重量部、最も典型的には約4〜約2重量部の量で存在する。一般に本発明では、従来のカプセル化粒子と較べて、材料使用量が、例えばイソシアネート成分の使用量が少ない。
【0021】
このイソシアネート成分は、通常、核粒子12へのイソシアネート成分の具体的な塗布方法に適した粘度、例えばイソシアネート成分を核粒子12に塗布するためにイソシアネート成分を噴霧、霧化及び/又は気化するのに適した粘度をもつ。通常、このイソシアネート成分の25℃でASTM−D2196で求めた粘度は、約10〜約5,000、より典型的には約25〜約2,500、最も典型的には約50〜約200cpsである。塗布方法によらず、イソシアネート成分の粘度は、核粒子12を好適に覆うのに充分である必要がある。
【0022】
特定の実施様態においては、このイソシアネート成分の見かけの官能価は、約1〜約5であり、より典型的には約1.5〜約4、最も典型的には約2.0〜約2.7である。特定の実施様態においては、このイソシアネート成分のNCO含量が、100重量部のイソシアネート成分に対して約20〜約50重量%であり、より典型的には約25〜約40重量%、最も典型的には約30〜約33重量%である。上記のNCO含量は、一般的には欠陥のないポリウレタン層14の形成に役立つ高いイソシアネート成分分子架橋密度を与え、またイソシアネート成分に単位質量当り多くの化学結合を与え、コスト効率を向上させる。
【0023】
このイソシアネート成分は、通常100重量部の反応生成物当り、約1〜約50重量部の量で、より典型的には約1〜約25重量部、さらに典型的には約1〜約15重量部、最も典型的には約5〜約10重量部、さらに典型的には通常約7重量部の量で存在する。もちろん、このイソシアネート成分は、上記のイソシアネート及び/又はイソシアネート末端プレポリマーのいずれの組み合わせを含んでいてもよい。
【0024】
このイソシアネート反応性成分はグラフトポリオールを含む。ある実施様態においては、このグラフトポリオールがポリマーポリオールである。他の実施様態においては、このグラフトポリオールが、ポリハーンストフ(PHD)ポリオール、ポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオール、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる。もちろん、このイソシアネート反応性成分が上記のグラフトポリオールのいずれかの組み合わせを含むこともできる。特定の実施様態においては、後述のように、このイソシアネート反応性成分が、他のポリオール及び/又は他の標準的なウレタン樹脂成分などの他成分を含んでいてもよい。もう一つの実施様態においては、このイソシアネート反応性成分が、上記のグラフトポリオールからなる。
【0025】
当分野では、グラフトポリオールは、グラフト分散ポリオールまたはグラフトポリマーポリオールと呼ばれることもある。グラフトポリオールは、ポリウレタンの技術の熟練者には既知のものであり、スチレンモノマー及び/又はアクリロニトリルモノマーなどの一種以上のビニル系モノマーとポリエーテルポリオールなどのポリオール中のマクロマーとの現場重合で得られる生成物、即ちポリマー粒子16を含む。ある実施様態においては、このイソシアネート反応性成分がスチレン−アクリロニトリルグラフトポリオールである。PHDポリオールは、通常、ジイソシアネートとポリオール中のジアミンとの現場反応により、ポリウレア粒子の安定な分散液として得られる。PIPAポリオールは、PHDポリオールと同様に得られるが、分散液が通常ジイソシアネートと、ジアミンではなくアルカノアミンとの現場反応によりポリオール中のポリウレタン分散液として形成される点で異なる。もちろん、本発明はいずれか特定のグラフトポリオール製造方法に限定されるものではない。
【0026】
このイソシアネート反応性成分は連続相を含む。このイソシアネート反応性成分の連続相は、一般的にはイソシアネート成分と相溶性はなく、これによりポリマー粒子16をヒドロキシル官能(OH)基などの反応性基でより多く覆うことが可能となる。このような反応性基は、一旦反応すると、ポリウレタン層14にさらに架橋を与えることができる。このポリマー粒子16をさらに以下で説明する。特定の実施様態においては、上述のように連続相とポリマー粒子16の両方がイソシアネート成分と反応する。これらの実施様態を、以下により詳細に説明する。
【0027】
通常、このイソシアネート反応性成分の連続相はポリオールを含む。以下に記載又は例示されるように、このポリオールは、一般的にはグラフトポリオールの形成に用いられるポリオールである。このようなポリオールは、本分野では「キャリアー」ポリオールと呼ぶことができる。しかし、キャリアーポリオールに加えてあるいは代えて、ポリマー粒子16とは無関係のポリオールを使用することもできる。このポリオールは、一般的にはイソシアネート成分と反応する少なくとも2個のヒドロキシル官能(OH)基を有している。このポリオールは上記のイソシアネート末端プレポリマーとして説明例示したポリオールと同じであっても、異なっていてもよい。このイソシアネート反応性成分は、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオール、またこれらの組み合わせを含むことができる。また、このポリオールは、脂肪族ポリオール、環状脂肪族ポリオール、芳香族ポリオール、複素環式ポリオール、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれるが、これらに限定されるのではない。好適なポリオールの具体例は、グリセロール、プロピレングリコール、ショ糖開始ポリオール、ショ糖/グリセリン開始ポリオール、トリメチロールプロパン開始ポリオール、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれるが、これらに限定されるのではない。特定の実施様態においては、このポリオールが、トウモロコシ油や綿実油、ヒマシ油などの「天然」油であるか、それに由来するものである。通常これらの実施様態ではヒマシ油が用いられる。このような実施様態では、イソシアネート反応性成分の連続相は、一般にヒマシ油を含む。ヒマシ油は、通常非常に疎水性であり、高いヒドロキシル価をもち、これは本発明の目的に有用である。ヒマシ油はまた、いろいろな会社から販売されている。天然油脂、例えばヒマシ油の使用で、天然の持続可能な原料の利用の機会が与えられる。
【0028】
特定の実施様態においては、このポリオールが疎水性ポリオールである。ある特定の実施様態では、このポリオールが疎水性ポリエーテルポリオールである。もう一つの特定の実施様態では、このポリオールが疎水性ポリエステルポリオールである。この疎水性ポリオールはアルキレンオキシドを含む。これらの実施様態においては、この疎水性ポリオールが、通常100重量部の疎水性ポリオールのアルキレンオキシドに対して、約0〜約50重量部のエチレンオキシド(EO)を、より典型的には約2〜約20重量部、最も典型的には約5〜約15重量部のエチレンオキシドを含む。他の実施様態においては、この疎水性ポリオールが、通常100重量部のアルキレンオキシドに対して、少なくとも60重量部のプロピレンオキシド(PO)を、より典型的には少なくとも70重量部、最も典型的には少なくとも80重量部のプロピレンオキシド(PO)を含む。従って、これらの実施様態では、この疎水性ポリオールが、プロピレンオキシドの多いポリオールであり、このためこの疎水性ポリオールが疎水性を示し、したがってさらにカプセル化粒子10のポリウレタン層14が疎水性を示すこととなる。
【0029】
特定の実施様態においては、この疎水性ポリオールのアルキレンオキシドが、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物を含む。もう一つの実施様態においては、この疎水性ポリオールのアルキレンオキシドがプロピレンオキシドのみを含む、即ちこの疎水性ポリオールがエチレンオキシドなどの他のアルキレンオキシドを含まない。特定の実施様態においては、この疎水性ポリオールが、プロピレンオキシドに加えて、また必要ならエチレンオキシドと組み合わせて、ポリウレタンの技術で知られる他の種類のアルキレンオキシド、例えばブチレンオキシド(BO)を含む。この疎水性ポリオールのアルキレンオキシドは、ランダム(ヘテロ性)構造、ブロック構造、キャップ構造、またはこれらの組合せなどいろいろな構造に形成可能である。例えばある実施様態においては、この疎水性ポリオールが、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのヘテロ性混合物を含む。
【0030】
特定の実施様態においては、この疎水性ポリオールがエチレンオキシドで末端封鎖されている。この疎水性ポリオールは、通常、100重量部の疎水性ポリオールに対して、約5〜約25重量部のエチレンオキシドで、より典型的には約5〜約20重量部、最も典型的には約10〜約15重量部のエチレンオキシドで末端封鎖されている。もちろん、特定の実施様態においては、エチレンオキシドのみが末端エチレンオキシド封鎖基として存在していてもよい。しかしながら他の実施様態においては、エチレンオキシドがプロピレンオキシドとともに、また必要ならブチレンオキシドなどの他のアルキレンオキシドとともに、疎水性ポリオールのアルキレンオキシド中に存在していてもよい。一般に本発明の目的のためには、カプセル化粒子10のポリウレタン層14の疎水性を増加させるのに、疎水性ポリオールのプロピレンオキシド含量を増加させることが好ましい。
【0031】
本発明の目的に好適な疎水性ポリオールとしては、グリセリン開始のポリエーテルポリオール、トリメチロールプロパン開始のもの、プロピレングリコール開始のもの、ショ糖開始のポリエーテルポリオール、及びこれらの組み合わせがあげられるが、これらに限定されるのではない。ある実施様態においては、この疎水性ポリオールが、グリセリン開始ポリエーテルポリオールである。もう一つの実施様態においては、この疎水性ポリオールがグリセリン開始ポリエステルポリオールである。この疎水性ポリオールのアルキレンオキシドは、一般的には疎水性ポリオールの開始剤領域から延びている。
【0032】
上述のように、このイソシアネート反応性成分はポリマー粒子16を含む。このようなポリマー粒子16は、この技術分野では、イソシアネート反応性成分の不連続相と呼ぶことができる。このポリマー粒子16は、マクロマー構造をとるため一般的にはサイズが大きい。即ち、このポリマー粒子16は、マイクロメータ以上の大きさ、例えばマイクロメータ以上の直径を有している。特定の実施様態においては、このポリマー粒子16の平均径は、約0.1〜約10ミクロンの範囲であり、より典型的には約0.1〜約1.5ミクロンの範囲である。他の実施様態においては、このポリマー粒子16の平均径は0.1ミクロン未満であり、このためイソシアネート反応性成分がナノポリマー粒子16をもつこととなる。もちろん、このポリマー粒子16は、ナノサイズとミクロサイズ(またはそれより小さな及び/又は大きな)の粒子の両方を含むことができる。
【0033】
上述のように、このポリマー粒子16は、通常α−メチルスチレンなどのスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸とメタクリル酸のエステル、エチレン性不飽和ニトリル、アミン、アミド、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれるモノマーの反応生成物を含む。特定の実施様態においては、このポリマー粒子16は、マクロマーの反応を、一個以上のオレフィン基などの不飽和基をもつポリオールの反応を含み、上述のようにこれによりポリマー粒子16の化学的導入が可能となる。これらの実施様態においては、ポリマー粒子16に結合したイソシアネート成分と反応する反応性基、例えばポリオールにより与えられたOH基のため、このポリマー粒子16は、ポリウレタン層14中に架橋を与えことができると考えられている。
【0034】
ある実施様態においては、このポリマー粒子16が、当分野では周知である、スチレンモノマーとアクリロニトリルモノマーの反応生成物であるスチレンアクリロニトリル(SAN)コポリマーを含む。通常、これらのSANコポリマーのスチレン:アクリロニトリル重量比は、約30:70〜約70:30であり、より典型的には通常約40:60〜約60:40、さらに典型的には約45:55〜約60:40、最も典型的には約50:50〜約60:40、さらに最も典型的には約55:45〜約60:40である。ある実施様態においては、これらのSANコポリマーのスチレン:アクリロニトリルの重量比が約66.7:33.3である。もう一つの実施様態においては、このポリマー粒子16が、アミンモノマーと、ジイソシアネートのNCO基などのイソシアネート官能(NCO)基の反応生成物である尿素である。更に別の態様においては、このポリマー粒子16が、アルコールモノマーと、ジイソシアネートのNCO基などのNCO基の反応生成物であるウレタンである。
【0035】
通常、このポリマー粒子16は、イソシアネート反応性成分中に、100重量部のイソシアネート反応性成分に対して約5〜約70重量部の量で、より典型的には約15〜約55重量部、最も典型的には約25〜約50重量部の量で存在する。ある実施様態においては、このポリマー粒子16が、イソシアネート反応性成分中に、100重量部のイソシアネート反応性成分に対して約65重量部の量で存在する。通常、ポリマー粒子16の量が増加すると、カプセル化粒子10のポリウレタン層14の撥水性が増加する。このポリマー粒子16は、従来のカプセル化粒子と較べてより大きな弾性をカプセル化粒子10に与えると考えられている。
【0036】
このグラフトポリオールの分子量は、通常約400〜約20,000であり、より典型的には約500〜約10,000、さらに典型的には約600〜約5,000、最も典型的には約700〜約3,000である。ある実施様態においては、このグラフトポリオールの分子量が約730である。もう一つの実施様態においては、このグラフトポリオールの分子量が約3,000である。
【0037】
他の本発明の目的に好適なグラフトポリオールやその製造方法としては、米国特許4,522,976 to Grace et al.; 5,093,412 to Mente et al.; 5,179,131 to Wujcik et al.; 5,223,570 to Huang et al.; 5,594,066 to Heinemann et al.; 5,814,699 to Kratz et al.; 6,034,146 to Falke et al.; 6,103,140 to Falke et al.; 6,352,658 to Chang et al.; 6,432,543 to Harrison et al.; 6,472,447 to Lorenz et al.; 6,649,107 to Harrison et al.; and 7,179882 to Adkins et al.記載のものが含まれる、なお、これらの文献もすべて引用として本出願に組み込むものとする。
【0038】
本発明の目的に好適なグラフトポリオールの具体例が、BASF社(Florham Park、NJ)より、プルラコール(R)という商標で販売されており、具体的にはプルラコール(R)1365や、プルラコール(R)4600、プルラコール(R)4650、PLU−RACOL(R)4800、プルラコール(R)4815、プルラコール(R)4830、プルラコール(R)4850グラフトポリオールである。もちろん、このイソシアネート反応性成分は、2種以上の上記グラフトポリオールの組み合わせを含むこともできる。グラフトポリオールに関する詳細な情報が、ポリウレタンハンドブック(Polyurethanes Handbook、David Randall & Steve Lee eds., John Wiley & Sons, Ltd. 2002)の104頁と105頁に記載されている。なお、この文献もすべて引用として本出願に組み込むものとする。本発明の目的に好適なグラフトポリオール分散液の製造方法の一例は、アクリロニトリルとスチレンとポリエーテルポリオールマクロマーのフリーラジカル重合反応であり、上記成分のそれぞれは少なくとも一個のオレフィン基をもち、このポリエーテルポリオールはさらに少なくとも一種のヒドロキシル基をもち、反応は、開始剤、例えばフリーラジカル重合用開始剤の存在下で、また必要なら上記のポリエーテルポリオールと同じであっても異なっていてもよい他のポリオールの存在下で起こる。
【0039】
このイソシアネート成分は、通常核粒子12へのイソシアネート反応性成分の具体的な塗布方法に適した粘度を、例えばイソシアネート反応性成分を核粒子12に塗布するためにイソシアネート反応性成分を噴霧、霧化及び/又は気化するのに適した粘度をもつ。通常、このイソシアネート反応性成分の25℃でASTM−D2196で求めた粘度は、約100〜約10,000、より典型的には約500〜約5,000、最も典型的には約500〜約3,000cpsである。塗布方法によらず、イソシアネート反応性成分の粘度は、核粒子12を好適に覆うのに充分である必要がある。
【0040】
通常、このイソシアネート反応性成分は、100重量部の反応生成物に対して約99〜約50重量部の量で、より典型的には約99〜約75重量部、さらに典型的には約99〜約85重量部、最も典型的には約95〜約90重量部、さらに典型的には約93重量部の量で用いられる。もちろん、このイソシアネート反応性成分は、上記のポリオール、ポリマー粒子、及び/又はグラフトポリオールのいずれの組み合わせを含んでいてもよい。
【0041】
このイソシアネートとイソシアネート反応性成分は、ポリウレタン層14中でいろいろな重量比で存在可能である。一般的には、グラフトポリオールが、ポリウレタン層14が疎水性や本明細書記載の他の物理的性質、例えばカプセル化粒子10の弾性を示すのに有効な量で存在する必要がある。
【0042】
通常、イソシアネートとイソシアネート反応性成分は、周知のように、イソシアネートとイソシアネート反応性成分それぞれの反応部位として約1.5〜1の比率で、より典型的には約1.25〜1、最も典型的には約1.1〜1の比率で核粒子12に塗布される。ポリウレタンの技術分野では、このような比率をイソシアネート指数と呼ぶことができ、本分野の通常の知識を持つものには公知である。
【0043】
上述のように、本反応は、イソシアネート反応性成分として(またはイソシアネート反応性成分中に)さらに、使用するポリオールとは異なる予備のポリオールを含むことができる。この予備のポリオールとして使用が好適なポリオールが、上のイソシアネート末端プレポリマーの説明中に記載及び例示されている。この予備のポリオールはいろいろな目的に使用できる。例えば、高官能価(グラフトポリオールのポリオールと較べて)の予備ポリオールを、イソシアネート成分との反応に更なるイソシアネート反応性成分を与えるために使うことができ、またはこの予備のポリオールを、イソシアネート反応性成分の粘度の増加または減少のために用いることができる。使用する場合、この予備のポリオールはいろいろな量で使用できる。
【0044】
この反応生成物は、さらに添加物成分を含んでもよい。使用する場合は、この添加物成分は通常、剥離剤や触媒、増量剤、可塑剤、安定剤、架橋反応剤、鎖伸長剤、連鎖停止剤、空気放出剤、界面活性剤、表面修飾剤、水分捕捉剤、吸水材、粘度低下剤、強化剤、着色剤、酸化防止剤、相溶化剤、紫外線安定剤、揺変剤、老化防止剤、潤滑剤、カップリング剤、溶媒、レオロジー促進剤、増粘剤、帯電防止剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。使用の場合、この添加物成分はいろいろな量で存在可能である。もちろん、使用の場合、上記の添加物のいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0045】
特定の実施様態においては、この添加物成分が触媒成分を含む。ある実施様態においては、この触媒成分が錫系触媒を含む。本発明の目的に好適な錫系触媒としては、有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば酢酸スズ(II)やオクタン酸スズ(II)、エチルヘキサン酸スズ(II)、ラウリン酸スズ(II)があげられる。ある実施様態においては、この有機金属触媒が、有機カルボン酸のジブチル錫(IV)塩であるジブチル錫ジラウレートを含む。本発明の目的に好適な有機金属の触媒の具体例であるジブチル錫ジラウレートは、エアプロダクトアンドケミカルズ社(Allentown、PA)からDABCO(R)という商品名で販売されている。この有機金属触媒はまた、ジブチル錫ジアセテートやジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテートなどの他の有機カルボン酸ジブチル錫(IV)塩を含むこともできる。
【0046】
本発明の目的に好適な他の触媒の例としては、鉄(II)塩化物や;塩化亜鉛;オクタン酸鉛;トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジンなどのトリス(ジアルキルアミノアルキル)−s−ヘキサヒドロトリアジン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド;水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシドやカリウムイソプロポキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;10〜20個の炭素原子及び/又は側鎖OH基を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩があげられる。
【0047】
本発明の目的に好適な触媒、具体的には三量体形成触媒の他の例としては、N,N,N−ジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジンや、カリウム、酢酸カリウム、N,N,N−トリメチルイソプロピルアミン/ホルメート、およびこれらの組み合わせがあげられる。好適な三量体形成触媒の具体例が、エアプロダクトアンドケミカルズ社からポリキャット(R)という商品名で販売されている。
【0048】
他の本発明の目的に好適な触媒、具体的には第三級アミン触媒の更なる例としては、ジメチルアミノエタノールやジメチルアミノエトキシエタノール、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N−ジメチルピペラジン、テトラメチルイミノ−ビス(プロピルアミン)、ジメチルベンジルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルピロリドン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、3−(ジメチルアミノ)プロピルイミダゾール、およびこれらの組み合わせがあげられる。好適な第三級のアミン系触媒の具体例が、エアプロダクトアンドケミカルズ社からポリキャット(R)という商品名で販売されている。
【0049】
使用する場合、この触媒成分はいろいろな量で使用可能である。もちろん、この触媒成分は上記の触媒のいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。特定の実施様態においては、このカプセル化粒子10が触媒の非不存在下で形成される。
【0050】
特定の実施様態においては、この添加物成分が、ポリウレタン層14の着色のための染料及び/又は顔料などの着色剤を含む。この着色剤により、ポリウレタン層14の完成度が肉眼的に評価され、いろいろな営業上の利点を与える。使用する場合は、この着色剤はいろいろな量で使用できる。
【0051】
通常このポリウレタン層14は、実質的に水を含まない。「実質的に含まない」とは、これらの実施様態において、100重量部のポリウレタン層14に対して水が約5重量部以下で存在する、より典型的には約2.5重量部以下、より典型的には約1重量部以下、最も典型的には0重量部または約0重量部で存在することを意味する。本分野の通常の知識の人なら知っているように、このポリウレタン層14が完全に水を含まない場合、このポリウレタン層14が無水であるという。このカプセル化粒子10の予定より早い劣化を防止するため、例えば軟化、破壊、または他の近くのカプセル化粒子10または表面への粘着/凝集などを防止するためには、このポリウレタン層14がほとんどあるいはまったく水を含まないことが一般的には好ましい。このような劣化は、予定外に早い核粒子14の放出とごみを引き起こす。カプセル化粒子10の形成に使用される具体的な核粒子12によっては、水がこの核粒子14に有害であることもある。
【0052】
特定の実施様態においては、このポリウレタン層14は、実質的にパラフィンなどのワックスを含まない。「実質的に含まない」とは、これらの実施様態において、ワックスが、100重量部のポリウレタン層14に対して約5重量部以下で存在する、より典型的には約2.5重量部以下、さらに典型的には約1重量部以下、最も典型的には0重量部又は約0重量部で存在することを意味する。通常、水のポリウレタン層14への浸透を防止する均一なポリウレタン層14を得るためには、このポリウレタン層14はほとんどあるいはまったくワックスを含まない。しかしながら、用いる特定の成分と親和性があるなら、ワックスをポリウレタン層14中で用いることともできる。あるいは、またはさらに、ワックスをポリウレタン層14上に設けられる補助塗膜(図示せず)として用いることもできる。
【0053】
特定の実施様態においては、このポリウレタン層14は、核粒子12側に一定濃度のイソシアネート反応性成分を含み、核粒子12から離れ且つイソシアネート反応性成分の隣に一定濃度のイソシアネート成分を含む。言い換えれば、一般的にはポリウレタン層14中に濃度勾配があり、最内部18が主にイソシアネート反応性成分を含み、最外部20が主にイソシアネート成分を含む。図1からこのような濃度勾配が理解できる。図1にはカプセル化粒子10と濃度勾配が実寸どおり描かれていないが、これは単に説明の目的に描いたものであるからである。これらの実施様態において、ポリウレタン層14は、実質的に均一に核粒子12を覆い、この濃度のイソシアネート成分がカプセル化粒子10に弾性のある塗膜を与え、この濃度のイソシアネート反応性成分がカプセル化粒子10の核粒子12に均一な塗膜を与える。イソシアネート反応性成分が、(当初)イソシアネート成分より「粘着性が高い」ため、製造中核粒子12によく結合し、イソシアネート成分が続いて(製造後に)自由に空気中の水分と反応して硬い塗膜を与えるため、このような濃度勾配が有益であると考えられている。一般的にはこの濃度勾配のため、カプセル化粒子10に優れた流動特性が与えられる、即ちこれらが自由に流動できるようになる。これは、カプセル化粒子10を、基材に、例えば地面に散布する際に有用となる。他の実施様態においては、核粒子12に対する上記濃度が切り替えられ、濃度勾配が逆転する(図示せず)。さらに他の実施様態においては、このポリウレタン層14が実質的に均一である。即ちこのポリウレタン層14が一般的には濃度勾配をもたない(図示せず)。これらの特定のポリウレタン層14の形成方法を下に記載する。
【0054】
消費者に使用してもらうために、反応生成物用のイソシアネート成分とイソシアネート反応性成分を、いろいろな手段で、例えば鉄道やタンカー、大型ドラムや容器または小型ドラム、手提げ箱、キットで供給してもよい。例えば、あるドラムがイソシアネート成分を含み、もう一つのドラムがイソシアネート反応性成分を含んでいてもよい。これらの成分を消費者に個別に供給することで、予定外に早いこれら成分の反応を減少させ、反応生成物とカプセル化粒子10を形成する際の製造の柔軟性を得ることができる。例えば、消費者が特定のイソシアネート成分と特定のイソシアネート反応性成分、およびそれらの量を選択して、これらからポリウレタン層14を形成することができる。また、いろいろな種類の核粒子12が使用可能である。予備のポリオール及び/又は着色剤などの添加物成分などの他の成分を使用する場合、これらの成分を個別に供給してもよいし、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分の一方又は両方と混合して供給してもよい。
【0055】
カプセル化粒子10を形成するために、核粒子12を準備する。次いで、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分をこの核粒子12に塗布する(施す)。接触すると(ポリウレタン技術で理解されている反応条件下にある間に)、これらのイソシアネート成分とイソシアネート反応性成分が反応を開始し、核粒子12の周りにポリウレタン層14を形成して、カプセル化粒子10を与える。
【0056】
ある実施様態においては、核粒子12にイソシアネート成分を塗布する前にこのイソシアネート反応性成分が核粒子12に塗布される。上述のようにまた図1に示すように、この実施様態は、上記濃度のイソシアネート反応性成分が核粒子12側、例えば核粒子12の周りにあってイソシアネート反応層を形成し、イソシアネート成分がこのイソシアネート反応性層の周りに形成され反応している濃度勾配の形成に有用である。もう一つの実施様態においては、核粒子12にイソシアネート反応性成分が塗布される前に、イソシアネート成分が核粒子12に塗布される。上述のように、この実施様態は上記濃度のイソシアネート成分が核粒子12側、例えば核粒子12の周りに形成されてイソシアネート層を形成し、イソシアネート反応性成分がこのイソシアネート層の周りに形成されて反応している濃度勾配の形成に有用である。
【0057】
ある実施様態においては、これらのイソシアネート成分とイソシアネート反応性成分が、前もってブレンドされて混合物となっている。次いでこの混合物を核粒子12に塗布してカプセル化粒子10を形成する。上述のように、この実施様態は均一なポリウレタン層14の形成に有用である。即ちこのポリウレタン層14には上記実施様態に記載の濃度勾配が実質的になく、ポリマー粒子16がポリウレタン層14中に均一に分散している。
【0058】
これらの成分は、いろいろな公知の方法で塗布できる。本発明の目的に好適なカプセル化方法の例としては、バルク塗装やタンブリング、シート塗装、パン塗装、流動床塗装、共押出、噴霧、回転板カプセル化があげられる。ポリウレタンや化学工学の分野の通常の知識を持つ人には、このような方法や他のカプセル化方法はよく知られている。特定の実施様態においては、適当な装置内で核粒子12を攪拌しながら、これらの成分を核粒子12上に噴霧、気化、及び/又は霧化で塗布する。通常、核粒子12上への噴霧、気化及び/又は霧化によるこれら成分の塗布で、均一で完全な無欠陥のポリウレタン層14が核粒子12の周りに形成される。また、これらの成分の噴霧、気化及び/又は霧化による塗布で、より薄く安価なポリウレタン層14が核粒子12の周りに形成される。しかしながら、もし望ましいのなら、数回の塗布工程によりポリウレタン層14の厚みを上げてもよい。これらの成分の噴霧や気化、霧化による塗布はノズルを使って行われ、例えば各成分をそれぞれ一つのノズルから、あるいは供給される2つ以上の成分の混合物のノズルから行われる。一般的には、少なくとも一個のノズルでイソシアネート成分を核粒子12に塗布し、少なくとも一個のノズルでイソシアネート反応性成分を塗布する。上に記載また例示のように、ポリウレタン層14の形成にいろいろな順序の塗布が使用できる。
【0059】
できるかぎり核粒子12を被覆するために、一般的には回転ブレンダーまたはこれに類似の装置中で核粒子12をかき混ぜながら、これらの成分の液滴を噴霧またはその粒子を気化または霧化して核粒子12上に塗布する。もう一つの例として、少なくとも一台、通常少なくとも2台の回転板アトマイザーを備えた回転式ドラムブレンダー中で、これらの成分で核粒子12を塗布できる。本技術分野では周知のように、じゃま板を供えたタンブラ、ドラムまたはローラーも使用できる。あるいは、核粒子12を直接搬送具に、例えばスクリーン搬送ベルトに供給し、これらの成分を例えば噴霧またはシート化により核粒子12に塗布して、カプセル化粒子10を形成することができる。さらには、これらの成分の少なくとも一つ、例えばイソシアネート反応性成分をまず核粒子12上に塗布し、反応生成物用残る成分、例えばイソシアネート成分をその核粒子12とイソシアネート反応性成分に塗布して、ポリウレタン層14を形成することもできる。通常、ポリウレタン層14の完全硬化前の凝集を避けるために、カプセル化粒子10を攪拌を続ける。
【0060】
核粒子12に塗布混合されるこれらの成分の量は、多くの変数に、例えば用いる具体的な成分や用いる核粒子12の大きさと種類、カプセル化粒子10の所望用途、ポリウレタン層14の所望厚み、カプセル化粒子10の所望特性などに依存している。
【0061】
カプセル化粒子10は、いろいろな大きさと形状をもつことができる。通常カプセル化粒子10は実質的に球状であり、その平均径は約0.5〜約7.5mm、より典型的には約0.5〜約3、最も典型的には約1〜約2mmである。しかしながら、カプセル化粒子10は他の形状であってよく、例えば不規則な、凹みのある、長方形または小板状のカプセル化粒子10であってもよい。
【0062】
特定の理論に拘束あるいは制限されているのではないが、イソシアネート反応性成分はカプセル化粒子10に一定の撥水性を与えると考えられている。具体的には、ポリウレタン層14のグラフトポリオールがこのような撥水性を与えると考えられる。本発明のイソシアネート反応性成分が撥水性を与える一つの方法は、核粒子12の表面の少なくとも部分的な塗装とそれによるこの表面の表面張力の低下である。このイソシアネート反応性の成分が撥水性を与えるもう一つの方法は、このイソシアネート反応性成分が、少なくとも部分的に核粒子12及び/又はポリウレタン層14内の毛細管を満たし、毛細管の水吸収に対する障壁となることである。また、このイソシアネート反応性成分が、カプセル化粒子10の形成のための後硬化の際に、ポリウレタン層14内部でのマイクロクラック及び/又はナノクラックの形成を減少させると考えられている。さらに、このようなクラックが核粒子12中にすでに存在している場合、このイソシアネート反応性成分が、上述のように少なくとも部分的に毛細管のクラックを埋める。水の遮蔽と裂け目の充填で、カプセル化粒子10が保存および取扱い時に空気中の水分に曝された場合の膨潤や凝集などの劣化の問題を減らすことができると考えられる。これにより、カプセル化粒子10の保存寿命が延び、輸送(例えば出荷)中及び取扱い中のカプセル化粒子10の堅牢度と弾性力が増加する。このような遮蔽と充填はまた、以下に記載のように、カプセル化粒子10の溶解をコントロールする。また、このような「充填」は、おもにグラフトポリオールのポリマー粒子16のために起こると考えられている。具体的には、このイソシアネート反応性成分のポリマー粒子16が、存在するなら、これらのクラックを少なくとも部分的に充填すると考えられている。裂け目を充填するのに加えて、特定の実施様態においては、ポリマー粒子16はイソシアネート成分と反応し、これによりポリウレタン層14の強度と靱性を増加させる。グラフトポリオールにより得られる他の利点を以下に記載する。
【0063】
このカプセル化粒子10は、その製造に用いられる成分と同様に、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分に対して上に記載例示したように消費者に供給できる。通常、取扱いと使用を容易にするため、カプセル化粒子10は、約1〜80ポンドのカプセル化粒子10を収納するバッグ、例えば紙バッグ及び/又はプラスチックバッグに入れて供給される。もちろん、このようなバッグが、カプセル化粒子10に加えて、他の栄養剤及び/又は増量剤(例えば従来の肥料に通常含まれるもの)を含んでいてもよい。特定の実施様態においては、これらのバッグが、カプセル化粒子と非カプセル化粒子の両方を含むことができる。もちろん、これらのバッグが異なるグレードのカプセル化粒子10を、例えばポリウレタン層14の厚みが異なりこのため溶解速度が異なるものを含んでいてもよい。
【0064】
もちろん、異なる核粒子12、例えば窒素やカリ、窒素、硫黄など異なる種類の肥料をもつカプセル化粒子10などいろいろな種類のカプセル化粒子10を、ブレンドして消費者に供給できる。カプセル化粒子10は、異なる大きさや形状、異なる溶解速度、異なる硬度など異なる物理的性質を有していてもよい。このような特性を、以下に述べる。一般的には、カプセル化粒子10は凝集することがなく、そのためカプセル化粒子10は容易に注ぐことができ、即ち自由に流動し、このためカプセル化粒子10の供給及び/又は散布(例えば、肥料散布装置による)に用いられる装置を閉塞させることがない。
【0065】
用いる具体的な成分と量、核粒子12の大きさと形状、カプセル化粒子10の大きさと形状、ポリウレタン層14の厚みなど多くの変数により、カプセル化粒子10がいろいろな硬度(または「粉砕」強度)をとりうる。通常、このカプセル化粒子10は、先行技術のカプセル化粒子に較べて優れた硬度をもつ。このカプセル化粒子10の硬度によりカプセル化粒子10が長寿命化し、このためカプセル化粒子10は優れた使用および貯蔵寿命をもつ。具体的には、本発明のポリウレタン層14は、従来のカプセル化粒子と較べて弾性力の増加したカプセル化粒子10を与える。ポリウレタン層14中のポリマー粒子16が、カプセル化粒子10のためのクッション/衝撃吸収材として作用してこのような弾性力を与えるものと考えられる。通常カプセル化粒子10の保存寿命は少なくとも約1月であり、より典型的には少なくとも約5月、最も典型的には少なくとも約10月である。もちろん、部分的な水への暴露(またはその欠乏)では、カプセル化粒子10はほぼ永久的な保存寿命をもつことができ、より多くは20年以上の保存寿命をもつことができる。
【0066】
また、本発明のカプセル化粒子10は、徐放性の核粒子12、例えば徐放性の肥料を提供するのに有用である。放出時間、即ち核粒子12が周辺環境に放出される程にポリウレタン層14に穴が開くのに必要な時間は、用いる具体的な成分とその量、核粒子12の大きさと形状、カプセル化粒子10の大きさと形状、ポリウレタン層14の厚みなどいくつかの変数に依存する。このような測定は、このカプセル化粒子10をビーカー一杯の水に入れて、カプセル化粒子10が完全に水中に沈ませて容易に試験できる。ポリウレタン層14の孔は、カプセル化粒子10の目視検査及び/又は水の透明度の変化の観察で評価できる。この孔は、ポリウレタン層14中のピンホールから同層の剥離までを含む。もちろん、ポリウレタン層14が完全に核粒子12を覆う場合にのみ徐放性がえられる。そうでなければ、核粒子12が既に少なくとも部分的に周辺環境に曝されていることとなる。
【0067】
上述のように、カプセル化粒子10の徐放はまた、カプセル化粒子10の溶解速度と関係している。本技術分野で明らかなように、溶解速度は、核粒子12のうちのどれほどが周辺環境に分散されるかを測定することで求まる。例えば、カプセル化粒子10が水に、例えば雨または灌漑水に曝された場合に、経時的に周辺の土壌に放出される肥料の量である。カプセル化粒子10は、先行技術のカプセル化粒子より優れた溶解速度をもつ。これは、図2と3と4、及び下の実施例を参照すれば明らかである。一般的には、本発明のカプセル化粒子10は、均一な溶解速度を、即ち経時的に近定常状態で核粒子12を放出する。あるいは又はこれに加えて、本発明のカプセル化粒子10が、時間遅延で放出をしてもよい。例えば、カプセル化粒子10がまず十分な量の水に曝されてポリウレタン層14が浸透可能となってしばらく経過した後で、核粒子12が溶解と放出を始めてもよい。
【0068】
このような溶解が起こる一つの方法は、ポリウレタン層14が浸透可能となり水がカプセル化粒子10内に入ることができるようになることである。水が入ると、この水が核粒子12、例えば肥料と相互作用をする。例えば、核粒子12が窒素系肥料を含む場合は、水がポリウレタン層14を通過した後、窒素系肥料がカプセル化粒子10内部の液に溶解し、この溶液が次いでポリウレタン層14を通して周辺土壌に浸透し、窒素を放出する。核粒子12が肥料である場合は、水及び/又は他の液体は一般的にポリウレタン層14をあまり速く透過できず、従って水及び/又は他の液体が速やかに核粒子12を溶解させず、植物毒性が防止され予測可能でコントロールされた溶解速度が得られる。
【0069】
本発明のカプセル化粒子を示す以下の実施例は、本発明の説明のためのものであり、これが本発明を制限することはない。
【実施例】
【0070】
カプセル化粒子をビーカー中で調整する。まずイソシアネート反応性成分、具体的にはポリオールを加熱し、核粒子、具体的には尿素球(即ち、肥料)を含むビーカーに滴下して、ポリオール−尿素混合物を得る。泡混合羽根を用いてこのポリオール尿素混合物をかき混ぜ、尿素球の周りにポリオールを確実に分布させる。次いでイソシアネート成分を加熱してこのポリオール−尿素混合物に加え、手でかき混ぜて尿素球とポリオールとイソシアネート成分の反応生成物の間の完全接触を確実にする。完全接触の結果、尿素球の周りにポリウレタン層が形成される。次いで凝集を最大限抑えるために、反応生成物で覆われた尿素球を泡混合羽根でかき混ぜて、自由に流動するカプセル化粒子、即ちカプセル化尿素球を得る。
【0071】
厚みの違いで起こる差を測定するため、これらのポリウレタン層は、全体として総計尿素重量に対して2重量%と4重量%で形成する。この差を、下の表1〜3に示す。すべてのポリウレタン層(または塗膜)は、反応性基、即ちNCOとOH官能基として求めた反応性基(イソシアネート:ポリオール)比率が1.1〜1で形成する。下の表1と表2に示すように、いくつかの比較例では、上記成分の一つ以上を欠いている。すべての実施例で同じ種類の尿素とイソシアネート成分を使用する。これらを以下により詳細に説明する。
【0072】
いろいろなカプセル化粒子の溶解速度を測定するための予備試験を行う。この粒子を、粗い焼結ガラス漏斗の底に置く。15グラムの粒子を500mLの冷水道水で5回洗って、尿素の放出を測定する。この高速で漏斗に注ぐ水は、それぞれ一回当り約2インチの雨に相当する。吸引することなく重力により、水をカプセル化粒子間を「成り行きの速度」で通過させる。ろ液(または洗浄液)を捕集し、試料バイアル瓶に入れる。洗浄液試料中の尿素含量を標準的な分析方法で測定する。各粒子の溶解速度の測定結果を下の表1〜3に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
「核粒子」は、塗膜をもたない尿素球である。すべての実施例で同じ尿素を用いる。これは、様々な会社から購入可能な既存のグレードの尿素である。上にまた図2中に示すように、尿素(無塗膜)は、最初の洗浄で実質的にすべてが溶出し、粒子の溶解速度の測定に用いる方法が有効であることを示す。
【0075】
「イソシアネート成分」は、イソシアネート成分のみを2重量%塗布した尿素の粒子である。このイソシアネート成分は、ポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(PMDI)で、その官能価はおよそ2.7で、NCO含量が31.5、また粘度が25℃で200センチポイズである。このイソシアネート成分は、BASF社(Florham Park、NJ)からルプラネート(R)M20Sという商品名で販売されている。すべての実施例で同じイソシアネート成分を用いる(核粒子に)。上また図2に示すように、この尿素は、初めの二回の洗浄で速やかに溶出し、このイソシアネート成分のみでは尿素球を適当に保護しないことを示す。
【0076】
「比較例1」(成分1)は、イソシアネート成分とポリオール反応生成物を2重量%と4重量%で塗布した尿素粒子である。このポリオールはヒマシ油で、そのヒドロキシル価は162で、見かけの官能価は3である。上と図3に示すように、成分1の溶解が見られる。
【0077】
【表2】

【0078】
「比較例2」(成分2)は、イソシアネート成分とポリオール反応生成物を2重量%と4重量%で塗布した尿素の粒子である。このポリオールはグリセリン開始のプロポキシ化ポリオールで、そのヒドロキシル価は388−408の範囲であり、見かけの官能価は3で、25℃の粘度は360センチポイズである。このポリオールは、BASF社からプルラコール(R)GP430という商品名で販売されている。上と図3に示すような成分2の溶解速度が認められる。「−」は、洗浄液のデータがとられなかったことを示す。
【0079】
「比較例3」は、イソシアネート成分とポリオール反応生成物を2重量%で塗布した尿素の粒子である。このポリオールは、グリセリン開始のプロポキシル化ポリオールであり、そのヒドロキシル価は222〜237の範囲であり、見かけの官能価は3、また25℃の粘度は270センチポイズである。このポリオールは、BASF社よりプルラコール(R)GP730という商品名で販売されている。上と図3に示すような成分3の溶解速度が認められる。
【0080】
「比較例4」は、イソシアネート成分とポリオール反応生成物を4重量%で塗布した尿素の粒子である。このポリオールは、芳香族アミン系開始剤由来の、プロピレンオキシド(PO)とエチレンオキシド(EO)からなるポリオールであり、その来のヒドロキシル価は390であり、見かけの官能価は4、25℃の粘度は10、500センチポイズである。このポリオールは、BASF社よりプルラコールL(R)P824という商品名で販売されている。上と図3に示すような成分4の溶解速度が認められる。
【0081】
【表3】

【0082】
「本発明1」は、イソシアネート成分とポリオール反応生成物を2重量%と4重量%で塗布した尿素の粒子である。このポリオールは、ひまし油を連続相として、またSAN粒子をポリマー粒子として含むグラフトポリオールである。再現性を見るため2重量%で二回試験を行った。上と図4に示すような本発明例1の溶解速度が認められる。
【0083】
「本発明例2」は、イソシアネート成分とポリオール反応生成物を2重量%と4重量%で塗布した尿素の粒子である。このポリオールは、第二級ヒドロキシルで末端封鎖したグラフトポリエーテルトリオールで、そのヒドロキシル価は27〜31、見かけの官能価は3、25℃の粘度は4、340センチポイズである。このグラフトポリオールは、44重量%のSAN粒子をポリマー粒子として含む。このグラフトポリオールは、BASF社よりプルラコール(R)4600という商品名で販売されている。上と図4に示すような本発明例2の溶解速度が認められる。「−」は、洗浄液のデータがとられなかったことを示す。
【0084】
一般的に本発明のカプセル化粒子は、比較例の粒子と較べてより均一な溶解速度をもつ。いくつかの点で本発明の実施例の溶解速度の変動が見られるが、これはフィルターの閉塞によるもので、これが各洗浄での接触時間を大幅に伸ばし、このため各洗浄液中に存在する尿素の量の増大をもたらしたものと考えられる。また、本発明のカプセル化粒子は、一般的に比較用粒子と較べてより破壊に対する抵抗性が高い。
【0085】
以上、本発明を具体的に説明したが、ここで使用した用語は、制限のためなくもっぱら説明を目的とするものである。もちろん、上の記述を元に本発明の変更や変動が可能であり、本発明を上記の具体例とは異なった形で実施することも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核粒子と、
該核粒子の周りに形成されたポリウレタン層とを含み、
該ポリウレタン層は、イソシアネート成分と、連続相及びポリマー粒子を有するグラフトポリオールを含むイソシアネート反応性成分との反応生成物を含むことを特徴とするカプセル化粒子。
【請求項2】
上記グラフトポリオールがポリマーポリオールである請求項1に記載のカプセル化粒子。
【請求項3】
上記グラフトポリオールが、ポリマーポリオール、ポリハーンストフ(PHD)ポリオール、ポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオール、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれる請求項1に記載のカプセル化粒子。
【請求項4】
上記イソシアネート成分が、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれる請求項1〜3のいずれか一項に記載のカプセル化粒子。
【請求項5】
上記核粒子が肥料を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のカプセル化粒子。
【請求項6】
上記核粒子が肥料を含み、
上記イソシアネート成分が、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれ、さらに
上記イソシアネート反応性成分が連続相及びポリマー粒子を有するポリマーポリオールを含み、該連続相が少なくとも2個のヒドロキシル官能(OH)基を有するポリオールを含む請求項1に記載のカプセル化粒子。
【請求項7】
上記ポリマー粒子がスチレンアクリロニトリル(SAN)コポリマーを含む請求項1〜2と4〜6のいずれか一項に記載のカプセル化粒子。
【請求項8】
上記ポリマー粒子が、上記イソシアネート反応性成分中に、100重量部の上記イソシアネート反応性成分に対して約5〜約70重量部の量で存在する請求項1〜7のいずれか一項に記載のカプセル化粒子。
【請求項9】
上記連続相が、少なくとも2個のヒドロキシル官能(OH)基を有する疎水性ポリオールを含む請求項1〜5および7〜8のいずれか一項に記載のカプセル化粒子。
【請求項10】
上記連続相がヒマシ油を含む請求項1〜9のいずれか一項に記載のカプセル化粒子。
【請求項11】
上記ポリウレタン層の平均厚みが約50〜約200ミクロンである請求項1〜10のいずれか一項に記載のカプセル化粒子。
【請求項12】
I)上記ポリウレタン層が、上記核粒子側に一定濃度の上記イソシアネート反応性成分を、上記核粒子から離れ且つ前記濃度のイソシアネート反応性成分の隣に一定濃度の上記イソシアネート成分を含むか、又はII)上記ポリウレタン層が、上記核粒子側に一定濃度の上記イソシアネート成分を、上記核粒子から離れ且つ前記濃度のイソシアネート成分の隣に一定濃度の上記イソシアネート反応性成分を含む請求項1〜11のいずれか一項に記載のカプセル化粒子。
【請求項13】
核粒子を準備する工程;
イソシアネート成分と、連続相及びポリマー粒子を有するグラフトポリオールを含むイソシアネート反応性成分とを前記核粒子に塗布する工程;及び
前記イソシアネート成分と前記イソシアネート反応性成分とを反応させて、前記核粒子の周りにポリウレタン層を形成してカプセル化粒子を形成する工程、
を含むことを特徴とするカプセル化粒子の形成方法。
【請求項14】
I)上記イソシアネート成分を核粒子に塗布する前に上記イソシアネート反応性成分を核粒子に塗布するか、又はII)上記イソシアネート反応性成分を核粒子に塗布する前に上記イソシアネート成分を核粒子に塗布する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
上記核粒子が肥料を含み、
上記イソシアネート成分が、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれ、さらに
上記イソシアネート反応性成分が連続相及びポリマー粒子を有するポリマーポリオールを含み、該連続相が少なくとも2個のヒドロキシル官能(OH)基を有するポリオールを含む請求項13または14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−530600(P2012−530600A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516724(P2012−516724)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058934
【国際公開番号】WO2010/149713
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】