説明

カプラを備えたカード装置および電子機器

【課題】周辺部品による影響の低減と位置ずれに対する十分な耐性との双方を実現することができるカプラを実現する。
【解決手段】実施形態によれば、カプラ1は、第1開放端と第2の開放端とを有する線状の結合素子と、地板と、前記結合素子と給電点との間を接続する給電素子と、前記給電素子と前記地板との間を接続する短絡素子とを具備する。前記給電素子は、前記結合素子の前記第1開放端と前記第2の開放端の間の中間部に接続された第1端と、前記給電点に接続された第2端とを有する。前記短絡素子は、前記給電素子の前記第1端と前記第2端との間に配置された第3端と、前記地板に接続された第4端とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、電磁波を送受信するためのカプラに関し、例えば近接無線通信に使用されるカプラおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、近接無線通信技術の開発が進められている。近接無線通信技術は、互いに近接された2つのデバイス間の通信を可能にする。近接無線通信機能を有するデバイスそれぞれはカプラを含む。2つのデバイスが通信範囲内に近接された時、それら2つのデバイスのカプラは互いに電磁気的に結合される。この結合により、それらデバイスは互いに信号を無線で送受信することができる。
【0003】
典型的なカプラは、例えば、結合素子、電極ポール、共振スタブ、グランド等から構成される。信号は、共振スタブおよび電極ポールを介して結合素子に供給される。この結果、結合素子に電流が流れ、カプラの周囲には電磁場が生じる。この電磁場は、互いに近接された2つのデバイスのカプラ同士の電磁的結合を可能にする。典型的なカプラの別の例としては、逆F型アンテナもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−157872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カプラには、そのカプラと相手のカプラとの間の位置ずれに対する十分な耐性が要求される。たとえ近接されたデバイス同士の位置関係が多少ずれても、デバイス間の無線通信に影響が与えられないようにするためである。
【0006】
さらに、デバイスに内蔵されるカプラには、そのハイ・インピーダンス化も求められる。なぜなら、カプラをデバイス内に実装すると、カプラとデバイス内の周辺部品との間の結合が発生し、カプラの入力インピーダンスが低下されるからである。入力インピーダンスの低下は、カプラの電磁場放射効率を劣化させる要因となる。
【0007】
またさらに、最近では、様々なデバイスにカプラを容易に実装できるようにする目的で、カプラの低背化も要求されている。
【0008】
本発明の目的は、周辺部品による影響の低減と位置ずれに対する十分な耐性との双方を実現することができるカプラおよび電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、電子機器のカードスロットに挿入可能なカード装置であって、前記カード装置内にあり、近接無線通信に使用されるカプラであって、他のカプラとの電磁気的結合によって電磁波を送受信するカプラを具備し、前記カプラは、第1開放端と第2開放端とを有する線状の結合素子と、地板と、前記結合素子と給電点とを接続する給電素子と、前記給電素子と前記地板とを接続する第1の短絡素子と、前記給電素子と前記地板とを接続する第2の短絡素子とを具備する。前記給電素子は、前記結合素子の前記第1開放端と前記第2の開放端の間の中間部に接続された第1端と、前記給電点に接続された第2端とを有する。前記第1の短絡素子は、前記給電素子の前記第1端と前記第2端との間に配置された第3端と、前記地板に接続された第4端とを有する。前記第2の短絡素子は、前記給電素子の前記第1端と前記第2端との間に配置された第5端と、前記地板に接続された第6端とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係るカプラの構成例を示す図。
【図2】同実施形態に係るカプラに流れる電流の向きを説明するための図。
【図3】同実施形態に係るカプラの実装構造の例を示す斜視図。
【図4】同実施形態に係るカプラの別の実装構造の例を示す斜視図。
【図5】同実施形態に係るカプラの他の構成例を示す図。
【図6】同実施形態に係るカプラのさらに他の構成例を示す図。
【図7】同実施形態に係るカプラのさらに他の構成例を示す図。
【図8】同実施形態に係るカプラのさらに他の構成例を示す図。
【図9】同実施形態に係るカプラのさらに他の構成例を示す図。
【図10】同実施形態に係るカプラのさらに他の構成例を示す図。
【図11】同実施形態に係るカプラの特性測定において用いられるパラメータを説明するための図。
【図12】同実施形態に係るカプラの特性測定において用いられるパラメータを説明するための図。
【図13】同実施形態に係るカプラの特性を示す図。
【図14】同実施形態に係るカプラを搭載した電子機器の外観を示す斜視図。
【図15】図14の電子機器内におけるカプラの配置を説明するための図。
【図16】同実施形態に係るカプラを含むカードが、図14の電子機器のカードスロットに装着される様子を示す図。
【図17】図14の電子機器のシステム構成を示すブロック図。
【図18】同実施形態に係るカプラを含むカードの構造例を説明するための図。
【図19】同実施形態に係るカプラを含むカードの他の構造例を説明するための図。
【図20】同実施形態に係るカプラを含むカードのさらに他の構造例を説明するための図。
【図21】同実施形態に係るカプラを含むカードのさらに他の構造例を説明するための図。
【図22】同実施形態に係るカプラのさらに他の構成例を示す図。
【図23】同実施形態に係るカプラのさらに他の構成例を示す図。
【図24】同実施形態に係るカプラのさらに他の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態を説明する。
まず、図1を参照して、実施形態に係るカプラ1の構成について説明する。このカプラ1は、他のカプラとの電磁的結合によって電磁波を送受信する。カプラ1は、近接無線通信において使用される。近接無線通信は、互いに近接されたデバイス間のデータ転送を実行する。近接無線通信方式としては、例えばTransferJet(登録商標)を使用し得る。TransferJetは、UWB(Ultra Wide Band)を利用した近接無線通信方式である。2つのデバイスが通信範囲(例えば3cm)内に接近した場合、それらデバイスそれぞれのカプラ間が電磁気的に結合され、これによってそれらデバイスは互いに信号を無線で送受信することができる。
【0012】
図1に示されるように、カプラ1は、結合素子11と、地板12と、給電素子13と、給電点14と、短絡素子15とを含む。地板12は平板状である。結合素子11、給電素子13、および短絡素子15は、いずれも線状である。
【0013】
結合素子11は細長い素子であり、第1開放端E1と第2開放端E2とを有する。第1開放端E1は結合素子11の一端であり、ここには何も接続されない。第2開放端E2は結合素子11の他端であり、ここにも何も接続されない。結合素子11は、カプラ1と他のカプラとの間の電磁気的な結合のために用いられる。
【0014】
給電素子13は、給電点14と結合素子11との間を接続する。この給電素子13の一端は、結合素子11の第1開放端E1と第2開放端E2の間の中間部A1に接続されている。一方、給電素子13の他端は、給電点14に接続されている。結合素子11の中間部A1は結合素子11の長手方向の中間点またはその中間点近傍に位置する。
【0015】
図2は、カプラ1に流れる電流を示している。図2の各矢印は電流の向きを示している。本実施形態においては、上述したように給電点14は給電素子13を介して結合素子11の中間部A1に結合されるので、結合素子11においては、互いに逆向きの電流、つまり中間部A1から第1開放端E1に向かう電流と、中間部A1から第2開放端E2に向かう電流が流れる。しかも、これら電流の強さ(電流量)は、同じである。したがって、結合素子11においては、電流分布は中間部A1に関して略対称となる。
【0016】
カプラ間の結合の強さの度合いは、対向する2つのカプラに流れる電流の方向が同じである場合に比べ、互いに逆向きである場合の方が強くなる傾向がある。本実施形態では、結合素子11に同じ電流量で且つ互いに逆向きの電流を流すことができるので、位置ずれに対する耐性を高めることができる。
【0017】
図1に示されているように、短絡素子15は、カプラ1のインピーダンス(入力インピーダンス)を高めるために、結合素子11と地板12との間を接続する(短絡)。本実施形態においては、短絡素子15は、結合素子11を直接的に地板12に接続するのではなく、給電素子13と地板12との間を接続する。より詳しくは、短絡素子15の一端は給電素子13の一端と他端との間に配置(接続)され、短絡素子15の他端は地板12に接続されている。
【0018】
もし結合素子11と地板12との間を直接接続したならば、カプラ1のハイ・インピーダンス化は実現できるものの、結合素子11における電流分布が中間部A1に関して非対称となる。いま、結合素子11の中間部A1と第1開放端E1との中間位置と地板12との間を短絡素子によって接続した場合を想定する。この場合、中間部A1と第1開放端E1との間の中間位置から第1開放端E1に向かう電流の強さは、中間部A1と第1開放端E1との間の中間位置から第2開放端E2に向かう電流の強さよりも弱くなる。もし端E1と地板12との間を短絡素子によって接続すると、結合素子11においては、端E2に向かう電流しか流れなくなり、この結果、位置ずれに対する耐性は低下される。
【0019】
本実施形態では、短絡素子15は給電素子13と地板12との間を接続するので、結合素子11に同じ電流量で互いに逆向きの電流を流すことを妨げることなく、つまり、カプラ1の位置ずれ耐性を弱めることなく、カプラ1のハイ・インピーダンス化を図ることができる。
【0020】
給電点14から第1開放端E1および第2開放端E2の各々までの電気長は、カプラ1によって送受信される電磁波(高周波信号)の中心周波数に対応する波長λの1/4である。電気長は、給電点14から開放端までの電流経路の長さに相当する。結合素子11の長手方向の長さの1/2をL1、給電素子13の長さをL2とすると、L1+L2は、λ/4である。これにより、結合素子11の一部分(中間部A1から第1開放端E1までの部分)と給電素子13とが一つの共振アンテナ部として機能し、さらに結合素子11の他の一部分(中間部A1から第2開放端E2までの部分)と給電素子13とが別の一つの共振アンテナ部として機能するので、共振スタブなどを設けることなく、所望の周波数の無線信号を送受信することができる。
【0021】
図3には、カプラ1の構造例が示されている。図3に示すカプラ構造は平面型カプラに対応している。カプラ1は、基板(誘電体基板)20を備えている。基板20の第1表面上においては、結合素子11、地板12、給電素子13、給電点14および短絡素子15が配置されている。結合素子11、給電素子13、給電点14、および短絡素子15は金属の配線パターンによって実現できる。また地板12は板状のグランド層によって実現できる。基板20上には、さらに、カプラ1と電気的に接続される通信モジュールを設けてもよい。この通信モジュールは、カプラ1を介して、他のデバイスとの近接無線通信を実行する。
【0022】
なお、図4に示すように、結合素子11または地板12の一方を基板20の第1表面上に配置し、結合素子11または地板12の他方を基板20の第2表面(裏面)上に配置してもよい。図4においては、結合素子11、給電素子13、および短絡素子15は、基板20の第1表面上の第1領域に配置されている。一方、地板12は、基板20の第2表面(裏面)上における第3領域に配置されている。この第3領域は、第1表面上の第1領域に非対向の領域である。
【0023】
図4の平面型カプラ構造においては、結合素子11、給電素子13、および短絡素子15は、地板12に対向しない。よって、たとえ基板20として薄型基板を用いた場合であっても、カプラ1のエネルギ損失が増加することを防ぐことができる。この理由は以下の通りである。
【0024】
カプラの特性は、結合素子と地板との間の距離に影響される。もし結合素子と地板との間の距離が短すぎるならば、結合素子と地板との間の結合に起因して、結合素子から発生される電磁場の一部が地板に流れ込みやすくなる。これにより、エネルギ損出が発生し、カプラ間の電磁的結合が弱まってしまう。結合素子と地板との間の距離を長く設定すれば、結合素子と地板との間の結合を回避し得る。しかし、結合素子と地板との間の距離を長くするためには、厚い基板を用いなければならず、カプラの高さを増加させる要因になる。本実施形態では、結合素子1は地板12に対向しないので、容易に結合素子1と地板12との間の距離を十分に確保することができる。よって、たとえ基板20として薄型基板を用いた場合であっても、カプラ1のエネルギ損失が増加することを防ぐことができる。
【0025】
給電点14は基板20の第2表面(裏面)上に配置しても良い。この場合、給電素子13は基板20内のスルーホール13Aを介して給電点14に接続してもよい。また、短絡素子15は、基板20内のスルーホール15Aを介して地板12に接続してもよい。
【0026】
なお、給電素子13および短絡素子15それぞれの一部分のみを基板20の第1表面上に配置し、それらの残りの部分を基板20の第2表面上に配置し、それらの間をスルーホールを介して接続してもよい。
【0027】
図4の構造においても、基板20上に、さらに通信モジュールを設けてもよい。
【0028】
次に、図5から図10を参照して、本実施形態のカプラ1の他のいくつかの構成例について説明する。
【0029】
図5に示すカプラ1においては、2つの短絡素子15A,15Bが設けられている点が図1の構成と異なり、他の点は図1の構成と同じである。2つの短絡素子15A,15Bは給電素子13の両側に設けられている。短絡素子15Aは給電素子13と地板12との間を接続する。より詳しくは、短絡素子15Aの一端は給電素子13の一端と他端との間に配置(接続)され、短絡素子15Aの他端は地板12に接続される。同様に、短絡素子15Bは給電素子13と地板12との間を接続する。より詳しくは、短絡素子15Bの一端は給電素子13の一端と他端との間に配置(接続)され、短絡素子15Bの他端は地板12に接続される。
【0030】
図5に示すカプラ1においては、給電素子13の両側に短絡素子15A,15Bがあるので、図1の構成よりも電流分布の対称性を高めることができる。
【0031】
図6に示すカプラ1においては、給電点14は、中央部A1の直下ではなく、オフセットされた位置に設けられている。このように給電点14の位置をオフセットしても、図1の構成と同様の効果を得ることができる。
【0032】
図7の構成例も、給電点14の位置をオフセットする例である。このカプラ1においては、給電素子13と短絡素子15の位置関係が、図1の構成とは逆になっている。
【0033】
図8に示すカプラ1においては、結合素子11の両端部がそれぞれ下方に折り曲げられている。この構成により、たとえ基板20の幅が狭い場合であっても、結合素子11の長さを適切な長さに設定することができる。
【0034】
図9に示すカプラ1においては、結合素子11の両端部がそれぞれ下方に折り曲げられており、さらに、地板12の上端の両側が切り取られており、地板12の上端の両側にはテーパ12A,12Bが設けられている。この構成により、結合素子11と地板12との間の距離を十分に確保することができる。
【0035】
図10は、地板12の上端の両側を切り取る構成を図1のカプラ1に適用した例を示している。なお、地板12の上端の両側を切り取る構成は、図5、図6、図7の構成にもそれぞれ適用することができる。
【0036】
次に、図11、図12、図13を参照して、カプラ1の特性測定の結果について説明する。図11、図12は測定条件を示している。図13は、図11の測定条件下におけるカプラ1の特性(曲線21)と、図12の測定条件下におけるカプラ1の特性(曲線22)を示している。図13の横軸は周波数を表し、図13の縦軸は透過係数(S21[dB])を表している。
【0037】
測定条件は次の通りである。
【0038】
図11は、カプラ1の結合素子に対して基準カプラ10の結合素子を右方向に10mmずらし、かつカプラ間の縦方向のオフセット距離を10mmとしている。基準カプラ10としてはこの分野で広く知られている通常のカプラを用いればよい。図11の例では、基準カプラ10は基板10A、結合素子10B、および地板10Cを備えている。
【0039】
図12は、カプラ1の結合素子に対して基準カプラ10の結合素子を左方向に10mmずらし、かつカプラ間の縦方向のオフセット距離を10mmとしている。
【0040】
カプラ1に対して基準カプラ10の位置を左右どちらの方向にずらした場合でも、十分なカプラ特性が得られることが、図13から理解されよう。
【0041】
図14は、カプラ1が搭載される電子機器の外観を示す斜視図である。この電子機器は、情報処理装置、例えば、バッテリ駆動可能なノートブック型の携帯型パーソナルコンピュータ30として実現されている。
【0042】
コンピュータ30は、本体300およびディスプレイユニット350を備えている。ディスプレイユニット350は、回動自在に本体300に取り付けられている。ディスプレイユニット350は、本体300の上面を露出させる開放位置と、本体300の上面を覆う閉塞位置との間で回動する。ディスプレイユニット350の筐体内には、LCD(liquid crystal display)351が設けられている。
【0043】
本体300は薄い箱状の筐体を有している。本体300の筐体は、下部ケース300aとこれに嵌合されたトップカバー300bとを含んでいる。本体300の上面上には、キーボード301、タッチパッド302および電源スイッチ303等が配置されている。また本体300の筐体の外壁、たとえば、右側壁には、カードスロット304が設けられている。図14の例では、光ディスクドライブ305の収納部の上部にカードスロット304が配置されている。本体300の筐体内には、カプラ1が設けられている。カプラ1は、図15に示すように、例えば、基板20上の結合素子11がトップカバー300bに対向し、且つ本体300の筐体の外壁に対向するように配置される。つまり、カプラ1の基板20は、基板20の第1表面がトップカバー300bに対向し、且つ結合素子11が配置される基板20上の第1領域が、地板12が配置される第2領域よりも本体300の筐体の外壁(たとえば右側壁)に近接する向きで、筐体内に配置される。かくして右側壁の一部、およびトップカバー300bのパームレスト領域300cの一部は、それぞれ通信面として機能する。
【0044】
なお、カプラ1はディスプレイユニット350の筐体内に設けても良い。
【0045】
また、カプラ1は、図16に示すように、カードスロット304に取り外し自在に挿入されるカード装置(たとえばSDカード)306内に設けても良い。この場合、カード装置306の一端部には、ホストとのインターフェースのためのコネクタ306Aが設けられている。カプラ1は、カード装置306の他端部側に結合素子11が位置するように、カード装置306内に配置される。上述したように、カプラ1はハイ・インピーダンス化されているので、カプラ1をカード装置306として実現した場合でも、本体300内の周辺部品との間の結合による影響を低減することができる。
【0046】
図17は、コンピュータ30のシステム構成を示すブロック図である。
コンピュータ30は、カプラ装置1、キーボード301、タッチパッド302、電源スイッチ303、光ディスクドライブ(ODD)305およびLCD351の他に、ハードディスクドライブ(HDD)404、CPU405、主メモリ406、BIOS(basic input/output system)−ROM407、ノースブリッジ408、グラフィクスコントローラ409、ビデオメモリ(VRAM)410、サウスブリッジ411、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)412、電源コントローラ413および近接無線通信デバイス414を含む。
【0047】
ハードディスクドライブ404は、オペレーティングシステム(OS)や各種アプリケーションプログラム等を格納する。CPU405は、コンピュータ30の動作を制御するためのプロセッサであり、ハードディスクドライブ404から主メモリ406にロードされる各種プログラムを実行する。CPU405が実行するプログラムには、オペレーティングシステム501、近接無線通信ガジェットアプリケーションプログラム502、認証アプリケーションプログラム503、あるいは送信トレイアプリケーションプログラム504を含む。またCPU405は、ハードウェア制御のために、BIOS−ROM407に格納されたBIOSプログラムを実行する。
【0048】
ノースブリッジ408は、CPU405のローカルバスとサウスブリッジ411との間を接続する。ノースブリッジ408は、主メモリ406をアクセス制御するメモリコントローラを内蔵する。また、ノースブリッジ408は、AGPバスなどを介してグラフィクスコントローラ409との通信を実行する機能を有する。グラフィクスコントローラ409は、LCD351を制御する。グラフィクスコントローラ409は、ビデオメモリ410に記憶された表示データから、LCD351に表示させる表示イメージを表す映像信号を生成する。なお表示データは、CPU405の制御の下にビデオメモリ410に書き込まれる。
【0049】
サウスブリッジ411は、LPCバス上のデバイスを制御する。サウスブリッジ411は、ハードディスクドライブ404を制御するためのATAコントローラを内蔵している。さらに、サウスブリッジ411は、BIOS−ROM407をアクセス制御するための機能を有している。エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)412は、エンベデッドコントローラと、キーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。エンベデッドコントローラは、ユーザによる電源スイッチ303の操作に応じて情報処理装置30をパワーオン/パワーオフするように電源コントローラ413を制御する。キーボードコントローラは、キーボード301およびタッチパッド302を制御する。電源コントローラ413は、図示しない電源装置の動作を制御する。なお当該電源装置は、コンピュータ30の各部の動作電力を生成する。
【0050】
近接無線通信デバイス414は近接無線通信を実行するための通信モジュールである。近接無線通信デバイス414は、PHY/MAC部414aを備える。PHY/MAC部414aは、CPU405による制御の下に動作する。PHY/MAC部414aは、カプラ1を介して信号を無線で送受信する。この近接無線通信デバイス414は本体300の筐体内に収容される。
【0051】
なお、近接無線通信デバイス414とサウスブリッジ411との間のデータの転送は、例えば、PCI(peripheral component interconnect)バスを介して行われる。なお、PCIの代わりにPCI Expressを用いても良い。
【0052】
上述したように、近接無線通信デバイス414とカプラ1はカード装置306内に内蔵してもよい。
【0053】
なお、ここでは、カプラ1を搭載する電子機器の例としてコンピュータ30を説明したが、この電子機器としては、たとえば、TVであってもよい。カプラ1はTVの筐体内に配置される。TVがカードスロットを有するならば、そのカードスロットに、カプラ1を内蔵したカード、またはカプラ1と近接無線通信デバイス414の双方を内蔵したカードを挿入しても良い。
【0054】
次に、図18から図21を参照して、カード装置306のいくつかの構成例を説明する。
【0055】
図18はカード装置306の第1の構成例を示している。カード装置306の筐体内には、プリント回路基板のような基板(誘電体基板)500が設けられる。この基板500の第1表面上の第1領域には上述の結合素子11、給電素子13、および短絡素子15が配置される。基板500の第1表面上の第2領域には近接無線通信デバイス414が配置される。なお、第2領域には、近接無線通信デバイス414に加え、不揮発性メモリなどを設けても良い。基板500の第2表面(裏面)上における、第1領域に非対向の第3領域には、地板12としてのグランド層が配置されている。給電端子14は第1表面側または第2表面側のどちらに設けても良い。短絡素子15と地板12は基板500内のスルーホールを介して接続される。近接無線通信デバイス414のいくつかのグランドピンは、基板500内のスルーホールを介して地板12に接続される。
【0056】
図19はカード装置306の第2の構成例を示している。図19においては、結合素子11、給電素子13、および短絡素子15が、第2表面(裏面)上に配置されている。
【0057】
図20はカード装置306の第4の構成例を示している。図21においては、図18の構成と比し、給電素子13および短絡素子15それぞれの一部分のみが基板500の第1表面上の第1領域に設けられ、給電素子13および短絡素子15それぞれの残りの部分が基板500の第2表面上に設けられている点のみが相違する。
【0058】
図21はカード装置306の第3の構成例を示している。図20においては、基板500の第1表面上の第1領域には上述の結合素子11、給電素子13、および短絡素子15が配置される。基板500の第1表面上の第2領域には地板12が配置される。基板500の第2表面(裏面)上における、第2領域に対向する第3領域には、近接無線通信デバイス414が配置される。
【0059】
以上説明したように、本実施形態においては、給電素子13の一端が結合素子11の中間部A1に接続され、かつ短絡素子15の一端が、給電素子13の一端と他端との間に配置(接続)され、短絡素子15の他端が地板12に接続されているので、結合素子11に同じ電流量で互いに逆向きの電流を流すことを妨げることなく、つまり、カプラ1の位置ずれ耐性を弱めることなく、カプラ1のハイ・インピーダンス化を図ることができる。よって、周辺部品による影響の低減と位置ずれに対する十分な耐性との双方を容易に実現することができる。
【0060】
なお、カプラ1の共振周波数は上述のL1+L2の長さに基づいて決定されるが、このカプラ1の共振周波数を調整するために、図1の結合素子11と給電点14との間にインダクタなどの素子を追加してもよい。図22は給電点14と結合素子11との間にインダクタLを共振周波数調整用素子として直列に挿入した例である。図22では、給電素子13にインダクタLが挿入されている。もちろん、給電素子13全体がインダクタLによって構成されていても良い。図23は短絡素子15にインダクタLを直列に挿入した例である。図24は、結合素子11と給電点14との間につまり給電素子13にインダクタLを直列に挿入し、かつ短絡素子15にインダクタLを直列に挿入した例である。
【0061】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1…カプラ、11…結合素子、12…地板、13…給電素子、15…短絡素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器のカードスロットに挿入可能なカード装置であって、
前記カード装置内にあり、近接無線通信に使用されるカプラであって、他のカプラとの電磁気的結合によって電磁波を送受信するカプラを具備し、
前記カプラは、
第1開放端と第2開放端とを有する線状の結合素子と、
地板と、
前記結合素子と給電点とを接続する給電素子であって、前記第1開放端と前記第2開放端の間の前記結合素子の中間部に接続された第1端と、前記給電点に接続された第2端とを備える給電素子と、
前記給電素子と前記地板とを接続する第1の短絡素子であって、前記給電素子の前記第1端と前記第2端との間にある第3端と、前記地板に接続された第4端とを備える第1の短絡素子と、
前記給電素子と前記地板とを接続する第2の短絡素子であって、前記給電素子の前記第1端と前記第2端との間にある第5端と、前記地板に接続された第6端とを備える第2の短絡素子とを具備するカード装置。
【請求項2】
前記給電点から前記第1開放端および前記第2開放端の各々までの電気長は、前記電磁波の中心周波数に対応する波長の1/4である請求項1記載のカード装置。
【請求項3】
前記カプラは、
基板をさらに具備し、
前記結合素子は、前記基板の第1表面上の第1領域にあり、
前記地板は、前記基板の前記第1表面上の第2領域にまたは前記基板の第2表面上における第3領域にあり、前記第2表面上における第3領域は、前記第2表面上における第3領域と前記第1表面上の第1領域とを単一平面上に投影した場合に前記第1表面上の第1領域から離れている請求項1記載のカード装置。
【請求項4】
カードスロットを備えた筐体と、
前記カードスロットに挿入可能なカード装置であって、近接無線通信に使用されるカプラであって他のカプラとの電磁気的結合によって電磁波を送受信するカプラを備えたカード装置と、
前記カード装置内または前記筐体内にあり、前記カプラと電気的に接続される通信モジュールと、
前記筐体内にあり、前記通信モジュールを用いた通信制御を行なうアプリケーションを実行するプロセッサとを具備し、
前記カプラは、
第1開放端と第2開放端とを有する線状の結合素子と、
地板と、
前記結合素子と給電点とを接続する給電素子であって、前記第1開放端と前記第2開放端の間の前記結合素子の中間部に接続された第1端と、前記給電点に接続された第2端とを備える給電素子と、
前記給電素子と前記地板とを接続する第1の短絡素子であって、前記給電素子の前記第1端と前記第2端との間にある第3端と、前記地板に接続された第4端とを備える第1の短絡素子と、
前記給電素子と前記地板とを接続する第2の短絡素子であって、前記給電素子の前記第1端と前記第2端との間にある第5端と、前記地板に接続された第6端とを備える第2の短絡素子とを具備する、電子機器。
【請求項5】
前記カード装置は、コネクタが配置された一端部と、他端部とを備え、
前記カプラは、前記結合素子が前記他端部側に位置するように前記カード装置内に配置される請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
前記カプラは、
基板をさらに具備し、
前記結合素子は、前記基板の第1表面上の第1領域にあり、
前記地板は、前記基板の前記第1表面上の第2領域にまたは前記基板の第2表面上における第3領域にあり、前記第2表面上における第3領域は、前記第2表面上における第3領域と前記第1表面上の第1領域とを単一平面上に投影した場合に前記第1表面上の第1領域から離れている請求項4記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−249312(P2012−249312A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−159438(P2012−159438)
【出願日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【分割の表示】特願2010−275718(P2010−275718)の分割
【原出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】