説明

カメラ機器が着脱する拡大表示器、及び該拡大表示器を用いた微小物観察用カプセル、拡大表示ユニット、拡大表示システム。

【課題】カメラ機器と組みあわせて、微小物を見易くする装置を提供する。
【解決手段】拡大表示器本体1は、撮影用レンズ40を具えたカメラ機器4が着脱可能に嵌まる開口10を上面に開設し、該開口10の内側に撮影用レンズ40と対向する拡大レンズ11を具え、該拡大レンズ11は撮影用レンズ40とは反対側で被写体に対向する。また、拡大表示器本体1の下面には、底面内側が略球面状で、内側下端が拡大レンズ11に対向する透明又は半透明な容器3が装着される。拡大表示器本体1と容器3とで、微小物観察用カプセル2を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等のカメラ機器が着脱可能に嵌まる拡大表示器、及び該拡大表示器を用いた微小物観察用カプセル、該カプセルとカメラ機器を合わせた拡大表示ユニット、拡大表示ユニットに投写装置等の表示装置を組み合わせた拡大表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図6(a)、(b)は、出願人が以前提案したカメラ機器(4)、具体的にはデジタルカメラの斜視図である(特許文献1参照)。これは縦長のキャビネット(42)の上端部片側に撮影用レンズ(40)を設け、反対側に操作釦群(43)を設けている。該キャビネット(42)の側部にディスプレイ(41)が回動可能に取り付けられ、撮影した画像は、ディスプレイ(41)に映し出され、また操作釦の操作により、サーバを経由して送信することができる。
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1242358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出願人は、かかるカメラ機器に画像表示機能及び画像送信機能があることに着目した。そして、該カメラ機器を微小物を拡大して表示する装置と組みあわせて使用し、撮影した拡大画像をディスプレイに表示し、又は送信してスクリーン等に表示することにより、微小物を見易くすることを着想した。
本発明の目的は、カメラ機器と組みあわせて、微小物を見易くする装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
拡大表示器本体(1)は、撮影用レンズ(40)を具えたカメラ機器(4)が着脱可能に嵌まる開口(10)を上面に開設し、該開口(10)の内側に撮影用レンズ(40)と対向する拡大レンズ(11)を具え、該拡大レンズ(11)は撮影用レンズ(40)とは反対側で被写体に対向する。
また、拡大表示器本体(1)の下面には、底面内側が略球面状で、内側下端が拡大レンズ(11)に対向する透明又は半透明な容器(3)が装着される。
【発明の効果】
【0006】
1.拡大表示器本体(1)に撮影用レンズ(40)を具えたカメラ機器(4)を装着する。撮影用レンズ(40)は拡大レンズ(11)によって拡大された被写体を撮影する。この画像をディスプレイ又はスクリーン等に表示すれば、被写体が微小物であっても見易くすることができる。
2.拡大表示器本体(1)の下面に、被写体を入れた容器(3)を取り付ける。容器(3)は底面内側が略球面状であるから、被写体は内側下端に位置する。容器(3)の下端内側は、拡大レンズ(11)に対向するから、容器(3)内の被写体は、常に拡大表示され易い箇所に位置する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施例を図を用いて詳述する。
図1は、カメラ機器(4)、拡大表示器本体(1)に容器(3)を取り付けた微小物観察用カプセル(2)、及び該カプセル(2)を受ける受け座(25)の斜視図である。カメラ機器(4)は、細長で長手方向の端部にて、一側部に撮影用レンズ(40)を、正面に操作釦(44)とディスプレイ(41)を設け、撮影用レンズ(40)を下向きにして、微小物観察用カプセル(2)に嵌まる。
微小物観察用カプセル(2)は、半球状の拡大表示器本体(1)の下面に、透明又は半透明で半球状の容器(3)を着脱可能に取り付けて構成される。容器(3)内に被写体である微小物(5)を入れる。容器(3)が球面状であるから、微小物観察用カプセル(2)は転がり易い。従って、容器(3)の下側に、窪み(26)を有する受け座(25)を設けて、微小物観察用カプセル(2)を受ける。尚、容器(3)に突起(図示せず)を設けて、微小物観察用カプセル(2)の転がり防止としてもよい。
拡大表示器本体(1)は上面に開口(10)を開設し、カメラ機器(4)は撮影用レンズ(40)が設けられた端部を下向きにして、開口(10)に斜めに挿入される。
【0008】
図2は、微小物観察用カプセル(2)と受け座(25)の断面図である。拡大表示器本体(1)の上面には、カメラ機器(4)の下端部が嵌まる開口(10)が開設され、該開口(10)の底面にカメラ機器の撮影用レンズ(40)と対向する上下貫通孔(12)を開設している。上下貫通孔(12)の上面は透明な保護板(13)にて塞がれ、該上下貫通孔(12)の下端部内側に拡大レンズ(11)が配備される。即ち、拡大レンズ(11)は、撮影用レンズ(40)と対向し、該拡大レンズ(11)は撮影用レンズ(40)とは反対側で被写体である微小物(5)に対向する。拡大レンズ(11)によって拡大された画像が、正確に撮影されるように、拡大レンズ(11)の焦点距離は、拡大レンズ(11)と撮影用レンズ(40)間の間隔に対応している。
【0009】
拡大表示器本体(1)の下面には、発光ダイオード等からなるライト(14)(14)が配備され(図3参照)、ライト(14)は開口(10)の周面に設けられたスイッチ(15)によってON/OFFを切り換えられる。該スイッチ(15)は開口(10)に挿入されるカメラ機器(4)の下端部によって押圧操作される。即ち、微小物観察用カプセル(2)にカメラ機器(4)を挿入すれば、自動的にライト(14)が点灯し、被写体である微小物(5)を照らす。
拡大表示器本体(1)の下面周縁からは、突片(16)(16)が下向きに突出している。これにより、拡大表示器本体(1)を容器(3)から外して、平面上に載置しても、ライト(14)と平面との間には、突片(16)(16)の高さ分だけ一定間隔が開く。この理由は後記する。
【0010】
容器(3)は、周壁(30)が一定厚みに形成されて、外面のみならず内側も略球面状である。容器(3)の内側下端が拡大レンズ(11)に対向する。これにより、容器(3)内に収納された被写体である微小物(5)、例えば昆虫は確実に容器(3)の内側下端に位置して、拡大レンズ(11)に対向する。また、容器(3)の周壁(30)が一定厚みであるから、容器(3)を外側からどの方向から見ても、中の微小物(5)は光の屈折等の影響を受けることなく、同じ大きさに見える。即ち、周壁(30)の厚みにバラ付きがあると、光の屈折の影響により、見る角度によって微小物(5)の大きさが異なることがあるが、周壁(30)の厚みが一定であるから、この虞れはない。
【0011】
微小物(5)を観察する際には、微小物観察用カプセル(2)から容器(3)を外し、容器(3)の中に微小物(5)を入れる。容器(3)は内面が半球状であるから微小物(5)は動いても、容器(3)の下端に位置する。容器(3)の上に拡大表示器本体(1)を取り付ける。拡大レンズ(11)が微小物(5)に対向する。
カメラ機器(4)を拡大表示器本体(1)の開口(10)に嵌める。撮影用レンズ(40)は拡大レンズ(11)によって拡大された微小物(5)の画像を取り込む。操作釦(44)を押圧操作して、拡大された微小物(5)が撮影され、ディスプレイ(41)に映し出される。拡大された被写体画像がディスプレイに表示されるから、被写体が微小物(5)であっても見易くすることができる。
【0012】
拡大表示器本体(1)は容器(3)と組みあわせなくとも、使用することができる。図4は、拡大表示器本体(1)をカメラ機器(4)と組みあわせて使用する状態を示す図である。拡大表示器本体(1)を文字等が印刷されたシート(19)の上に載置し、開口(10)にカメラ機器(4)を挿入する。スイッチ(15)がONとなり、ライト(14)が点灯する。突片(16)(16)により、シート(19)とライト(14)の間に隙間ができるから、シート(19)上の文字等は満遍なく照射される。操作釦(44)を押圧操作して、拡大された文字等が撮影され、ディスプレイ(41)に映し出される。
【0013】
また、撮影した画像を、ディスプレイ(41)に照射せず、投写装置(6)に送信して、投写装置(6)から床面(60)又はスクリーンに投写することができる。図5は、撮影した画像を床面(60)に投写する投写装置(6)の斜視図である。カメラ機器(4)が撮影した容器(3)内の微小物の画像は、投写装置(6)にサーバを介して送信される。投写装置(6)は該画像を床面(60)に投写する。床面(60)には更に拡大された微小物(5)の画像が照射される。尚、床面(60)ではなく、壁面やスクリーンに投写してもよい。
更に、撮影した画像を、テレビモニター(図示せず)に表示してもよい。
【0014】
拡大表示器本体(1)は単体で、拡大表示器として販売されても、容器(3)と組み合わせて微小物観察用カプセル(2)として販売されてもよい。また、微小物観察用カプセル(2)とカメラ機器(4)をセットにして拡大表示ユニットとして販売しても、更に拡大表示システムに投写装置(6)を組み合わせて、拡大表示システムとして販売してもよい。
【0015】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
上記例では、拡大表示器本体(1)内に拡大レンズ(11)を設けているとしたが、カメラ機器(4)にズーム機能が設けてあれば、拡大表示器本体(1)内のレンズは拡大レンズである必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】カメラ機器、微小物観察用カプセル、及び該カプセルを受ける受け座の斜視図である。
【図2】微小物観察用カプセルと受け座の断面図である。
【図3】図2の拡大表示器本体をC方向から見た下面図である。
【図4】拡大表示器本体をカメラ機器と組みあわせて使用する状態を示す図である。
【図5】撮影した画像を床面に投写する投写装置の斜視図である。
【図6】(a)、(b)は、出願人が以前提案したカメラ機器の斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
(1) 拡大表示器本体
(2) 微小物観察用カプセル
(3) 容器
(4) カメラ機器
(5) 微小物
(6) 投写装置
(10) 開口
(11) 拡大レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影用レンズを具えたカメラ機器が着脱可能に嵌まる開口を上面に開設し、該開口の内側に撮影用レンズと対向する拡大レンズを具えた拡大表示器本体を具え、該拡大レンズは撮影用レンズとは反対側で被写体に対向する拡大表示器。
【請求項2】
拡大表示器本体は下面に被写体を照射するライトを具え、開口の内側にはカメラ機器によって押圧操作されて、ライトのON/OFFを切り換えるスイッチが配備された、請求項1に記載の拡大表示器。
【請求項3】
撮影用レンズを具えたカメラ機器が着脱可能に嵌まる開口を上面に開設し、該開口の内側に撮影用レンズと対向するレンズを具え、該レンズは撮影用レンズとは反対側で被写体に対向する拡大表示器本体と、
拡大表示器本体の下面に装着され、底面内側が略球面状で、内側下端がレンズに対向する透明又は半透明な容器とを具えた、微小物観察用カプセル。
【請求項4】
撮影用レンズと対向する拡大表示器本体のレンズは、拡大レンズである、請求項3に記載の微小物観察用カプセル。
【請求項5】
請求項3又は4の微小物観察用カプセルとカメラ機器を具えた、拡大表示ユニット。
【請求項6】
カメラ機器から送信された画像を表示する表示装置と、請求項5に記載の拡大表示ユニットを具えた拡大表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−58706(P2009−58706A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225112(P2007−225112)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】