説明

カメラ用羽根駆動装置

【課題】カメラ用羽根駆動装置の組み付け工数を削減し、小型化、生産性の向上を図る。
【解決手段】露光用の開口部を有する基板10,20、開口部に臨む位置と退避する位置との間を移動自在に支持された羽根30、周方向に複数極着磁されたロータ41、ロータを回動自在に支持する軸47,励磁用のコイル42,及び周方向に配列された複数の櫛歯状磁極片44b、45bを形成するヨーク44,45を含むステータを有するステッピングモータ40とを備え、ロータ41は、羽根30に駆動力を及ぼすべく一体的に形成された出力部41cを有し、ステータは、ロータの軸線方向の一端側を受ける第1スラスト受部47aを含み、基板10は、ロータの軸線方向の他端側を受ける第2スラスト受部10eを含む。これにより、装置の組付け作業を簡素化でき、又、装置全体の小型化、薄型化を達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラの光路上を移動する羽根を備えたカメラ用羽根駆動装置に関し、特に駆動源としてステッピングモータを備えたカメラ用羽根駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラのシャッタ羽根等を駆動するステッピングモータとしては、周方向に配列された複数の櫛歯状磁極片をもつ第1ヨーク,第1ヨークの磁極片と周方向に交互に配列された複数の櫛歯状磁極片をもつ第2ヨーク,複数の櫛歯状磁極片の周りに配置されたボビンに巻回された励磁用のコイルからなる第1ステータ、周方向に配列された複数の櫛歯状磁極片をもつ第3ヨーク,第3ヨークの磁極片と周方向に交互に配列された複数の櫛歯状磁極片をもつ第4ヨーク,複数の櫛歯状磁極片の周りに配置されたボビンに巻回された励磁用のコイルからなる第2ステータ、積層された第1ステータ及び第2ステータの軸線方向の両端に配置された二つの取り付け板、二つの取り付け板にそれぞれ設けられた二つの軸受、二つの軸受に回動自在に支持される回転軸を一体的に備えると共に多極着磁されたロータ等を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
さらに、他のステッピングモータとしては、円周方向に配列された複数の櫛歯状磁極片をもつように環状に形成されかつその軸線方向に配列された二対の内ヨーク、各々の対のヨーク間に挟持されて軸線周りに巻回された励磁用の二つのコイル、これらのヨーク及びコイルを覆うように形成された有底円筒形状の外ヨーク、外ヨークの開口を閉鎖する円板状のフタ、外ヨーク及びフタにそれぞれ設けられた二つの軸受、二つの軸受に回動自在に支持される回転軸を一体的に備えると共に多極着磁されたロータ等を備えたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−89207号公報
【特許文献2】実公平1−45259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来のステッピングモータにおいては、ロータに回転軸を一体的に設け、その両端を専用の取り付け板あるいはヨークに設けた軸受により支持する構成を採用しているため、カメラの絞り兼用シャッタ羽根の駆動源として適用しようとすると、回転軸の先端に、別個に形成された駆動ピンあるいは駆動ギヤ等を組み付ける必要があり、部品点数の増加、組付け工数の増加等を招き好ましくない。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、部品点数の削減、構造の簡略化、小型化、さらには、組付け工数の削減による生産性の向上を図りつつ、絞り兼用シャッタ羽根等の羽根を駆動するステッピングモータを備えたカメラ用羽根駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るカメラ用羽根駆動装置は、露光用の開口部を有する基板と、開口部に臨む位置と退避する位置との間を移動自在に支持された羽根と、周方向に複数極着磁されたロータ、ロータを回動自在に支持する軸,励磁用のコイル,及び周方向に配列された複数の櫛歯状磁極片を形成するヨークを含むステータを有するステッピングモータとを備え、上記ロータは、羽根に駆動力を及ぼすべく一体的に形成された出力部を有し、上記ステータは、ロータの軸線方向の一端側を受ける第1スラスト受部を含み、上記基板は、ロータの軸線方向の他端側を受ける第2スラスト受部を含む、ことを特徴としている。
この構成によれば、ロータを軸により支持し、ステータを基板に組み付けると、ロータの他端側が基板の第2スラスト受部により支持される。このように、ロータの他端側が従来のようなステータに設けた軸受で支持されるのではなく開放されたフリーの状態となっているため、ロータに対して出力部を一体的に設けることができる。その結果、ステッピングモータをカメラ用羽根駆動装置の駆動源として用いる場合に、組付け作業を簡素化でき、又、装置全体の小型化、薄型化を達成できる。
【0008】
上記構成において、ステータは、ロータを回動自在に支持する軸を一体的に有し、軸には、第1スラスト受部を画定する拡径部が形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、ステータが含む軸に拡径部を設けて、ロータの一端側を支持する第1スラスト受部とすることにより、軸に対してラジアル軸受とスラスト軸受の役割を兼ねさせることで、第1スラスト受部を形成する専用の部材が不要になり、部品点数の削減、簡略化、小型化を達成できる。
【0009】
上記構成において、ステータは、ロータの軸線方向の一端側に対向するように配置された金属板を含み、金属板は軸を一体的に保持している、構成を採用することができる。
この構成によれば、ロータを軸に通して組み付けると、ロータはその一端側が金属板により引き寄せられるため、ロータの多端側が開放された状態でも、組付け時にロータの脱落を確実に防止でき、又、動作時にはロータのガタ寄せがなされてガタツキを防止できる。
【0010】
上記構成において、ロータの出力部は、二股に分岐して形成された二つの駆動ピンからなり、基板の第2スラスト受部は、二つの駆動ピンの中間領域を支持するように形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、出力部が二つの駆動ピンとして形成されているため、羽根がお互いに逆向きに移動する二枚羽根の場合の駆動源として適用することができる。また、二つの駆動ピンの中間領域すなわち、ロータの軸線上にある領域が基板の第2スラスト受部で支持されるため、ロータを円滑に回動するように支持することができる。
【0011】
上記構成において、ステータを固定する固定板を有し、固定板は、基板に対して位置決めされる位置決め部と、基板に対してスナップフィット結合される結合部とを含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、固定板を基板に位置決めしつつスナップフィット結合するだけで、ステッピングモータを装置の基板に組み付けることができるため、部品点数を削減でき、又、組付け工数を削減でき、全体として装置の生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上の構成をなすカメラ用羽根駆動装置によれば、部品点数の削減、構造の簡略化、小型化、さらには、組付け工数の削減による生産性の向上等が達成される。
また、組み付けが容易で、ロータのガタツキ等を防止でき、それ故に高精度で円滑に動作し得るカメラ用羽根駆動装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1ないし図14は、本発明に係るカメラ用羽根駆動装置(ここでは、絞り兼用シャッタ装置)の一実施形態を示すものであり、図1は装置の正面図、図2は装置の側面図、図3は装置の内部を示す平面図、図4は装置の一部を示す正面図(平面図)及び側面図、図5及び図6は地板(基板)を示す平面図及び側面図並びに内面図、図7はカバー(基板)を示す平面図、図8は羽根としての絞り兼用シャッタ羽根を示す平面図、図9はステッピングモータを示す分解斜視図、図10はステッピングモータを示す平面図及び側断面図、図11は一対のヨークを示す図、図12はボビン及びコイルを示す図、図13は固定板を示す図、図14は装置の動作を説明する図である。
【0014】
この装置は、図1ないし図4に示すように、露光用の開口部10a,20aを有する基板としての地板10及びカバー20、開口部10a,20aに臨む位置と退避する位置との間を移動自在に地板10に支持された羽根としての絞り兼用シャッタ羽根30、絞り兼用シャッタ羽根30を駆動するステッピングモータ40等を備えている。
【0015】
地板10は、図1ないし図6に示すように、樹脂材料により形成されて、円孔をなす露光用の開口部10a、カバー20を取り付ける掛止爪10b、ステッピングモータ40を取り付ける掛止爪10c及び位置決めするピン10d、後述するロータ41をスラスト方向にて支持する第2スラスト受部としてのスラスト受面10e、後述する二つの駆動ピン41cを往復動自在に通す円弧状の二つの長孔10f、絞り兼用シャッタ羽根30をガイドする4つのガイドピン10g等を備えている。
ここで、スラスト受面10eは、図5(a)に示すように、二つの長孔10fの中心に位置する領域に形成されている。
【0016】
カバー20は、図2、図4、図7に示すように、樹脂材料により形成されて、円孔をなす露光用の開口部20a、掛止爪10cに掛止する孔をもつ掛止片20b、後述する駆動ピン41cを往復動自在に通す円弧状の二つの長孔20f等を備えている。
すなわち、カバー20は、その掛止片20bを地板10の掛止爪10bにスナップフィット結合することにより、容易に組み付けできるようになっている。
【0017】
絞り兼用シャッタ羽根30は、薄板状の板金を打ち抜いて形成されており、図3及び図8に示すように、第1羽根31及び第2羽根32により形成されている。
第1羽根31は、図3及び図8に示すように、駆動ピン41cを通す長孔31a、開口部10a,20aの開閉を行う円弧状の縁部を画定する切り欠き31b、ガイドピン10gを通す長孔31cを備えている。
第2羽根32は、図3及び図8に示すように、駆動ピン41cを通す長孔32a、切り欠き31bと協働して開口部10a,20aの開閉を行う円弧状の縁部を画定する切り欠き32b、ガイドピン10gを通す長孔32cを備えている。
そして、第1羽根31及び第2羽根32は、ロータ41の回動により、お互いに逆向きに移動するように地板10に支持されつつガイドピン10gに案内されて、開口部10a,20aを開閉あるいは所望の口径に絞るようになっている。
【0018】
ステッピングモータ40は、図9ないし図13に示すように、周方向に複数極着磁されたロータ41、励磁用のコイル42,コイル42を巻回するボビン43,及びボビン43を挟持して互いに接合されかつそれぞれロータ41の周りに交互に配列される複数の櫛歯状磁極片44b,45bをもつ第1ヨーク44及び第2ヨーク45からなるヨークユニットU、一方のヨークユニットUの外側ヨーク44の上端に接合された金属板46、金属板46に一体的に保持されてロータ41を回動自在に支持する軸47、ヨークユニットUを固定する固定板48等を備えている。ここでは、二つのヨークユニットU、金属板46、軸47等によりステータが構成されている。
【0019】
ロータ41は、図9及び図10(a),(b)に示すように、周方向に複数極(ここでは、N極,S極の対が5対)に着磁されたマグネット部41a、軸47を通す孔41b、絞り兼用シャッタ羽根30の長孔31a,32aに通す出力部としての二つの駆動ピン41c等を備えている。この駆動ピン41cは、樹脂材料を用いて、マグネット部41aに対して一体的にモールドされている。
また、駆動ピン41cは、ロータ41の軸線Vに対して対称的に形成されており、その中間領域の端面が軸線方向におけるロータ41の他端側となって、地板10のスラスト受面10eに当接して支持されるようになっている。
【0020】
ボビン43は、図9及び図12(a),(b)に示すように、複数の櫛歯状磁極片44b,45b及びロータ41を通す円筒部43a、円筒部43aの両端に形成されたフランジ部43b、一方のフランジ部43bに埋設されてコイル42の端部を接続する2つのピン43c等を備えている。
【0021】
第1ヨーク44は、図9及び図11(c),(d)に示すように、ロータ41の軸線方向Vにおいて外側に配置されるものであり、磁性材料からなる薄板を型成形して、中央にロータ41を通す円孔44a、円孔44aの縁部に立設すると共に周方向に等間隔で配列された複数(ここでは5つ)の櫛歯状磁極片44b、コイル42を巻回したボビン43を囲繞する円筒部44c等を備えている。
【0022】
第2ヨーク45は、図9及び図11(a),(b)に示すように、ロータ41の軸線方向Vにおいて第1ヨーク44よりも内側に配置されるものであり、磁性材料からなる薄板を型成形して、中央にロータ41を通す円孔45a、円孔45aの縁部に立設すると共に周方向に等間隔で配列された複数(ここでは5つ)の櫛歯状磁極片45b、第1ヨーク44の円筒部44cに接合されてボビン43を覆う環状部45c等を備えている。
【0023】
そして、図9に示すように、コイル42、ボビン43、第1ヨーク44、及び第2ヨーク45により、一つのヨークユニットUが構成されており、二つのヨークユニットUの第2ヨーク45同士を接合して軸線方向Vに積層することで、ステータが構成されている。すなわち、一方のヨークユニットUがA相、他方のヨークユニットUがB相を構成した、二相励磁のステッピングモータを構成するものである。
【0024】
金属板46は、ステータの一部に含まれるものであり、図9及び図10(b)に示すように、磁性材料により薄板状に形成されて、その中央に軸47を一体的に保持する円孔46a、円孔46aの周りにおいて周方向に等間隔で配列して形成された複数個(ここでは、10個)のスリット46b等を備えている。このように、金属板46は、ロータ41を支持する軸47を一体的に保持するため、専用の支持部材が不要になり、又、軸線方向の薄型化にも寄与し、ステッピングモータ40の構造を簡略化でき、又、小型化できる。
【0025】
また、金属板46には、複数のスリット46bが形成されて、ロータ41を所定の角度位置(複数箇所)にて保持するディテントトルクを発生するようになっている。これにより、ロータ41は、非通電の状態でも、所定の角度位置にて確実に停止した状態で保持される。
さらに、金属板46は、ロータ41のスラスト方向Vの端部領域(ここでは、第1ヨーク44の上部)に設けられているため、ロータ41はスラスト方向の一方側に引き寄せられてガタ寄せされ、部品点数を削減しつつもガタツキによる騒音等を防止できる。
【0026】
軸47は、ロータ41を軸線V回りに回動自在に支持するものであり、図9及び図10(b)に示すように、金属板46に一体的に保持されると共に、ロータ41の孔41bに摺動自在に嵌合する円柱状に形成されており、その上端部領域には、第1スラスト受部としての拡径部47aが形成されている。拡径部47aは、ロータ41の軸線方向Vの一端側すなわち上端部に当接してスラスト軸受をなすものである。
このように、軸47に対してラジアル軸受とスラスト軸受の役割を兼ねさせることで、第1スラスト受部を形成する専用の部材が不要になり、部品点数の削減、簡略化、小型化を達成できる。
【0027】
固定板48は、図1、図2、図9、図13に示すように、2つのヨークユニットU及び金属板46、軸47からなるステータを担持して地板10に固定するものであり、ロータ41を通す円孔48a、地板10のピン10dを嵌合させる位置決め部としての二つの位置決め孔48b、地板10の掛止爪10cに掛止する孔をもつ結合部としての二つの掛止片48c等を備えている。
すなわち、固定板48にステータ及びロータ41を保持させた状態で、位置決め孔48bにピン10dを通して位置決めしつつ、掛止片48cを掛止爪10cにスナップフィット結合させることにより、ステッピングモータ40を地板10に対して、容易にかつ高精度に組み付けることができる。
【0028】
次に、上記絞り兼用シャッタ装置の組み付けについて説明する。
先ず、絞り兼用シャッタ羽根30を地板10内に移動自在に配置し、スナップフィット結合によりカバー20を取り付ける。
続いて、ヨークユニットUを二つ積層し、軸47を保持した金属板46を第1ヨーク44の上面に接合し、これらを固定板48に接合する。また、ロータ41を軸47に回動自在に取り付ける。
このとき、ロータ41の他端側は軸支されないフリーの状態であるが、金属板46及び複数の櫛歯状磁極片44b,45bとロータ41との間に磁気的吸引力が作用するため、第1スラスト受部である拡径部47aに当接した状態で抜け落ちることなく保持される。これにより、ステッピングモータ40が組み付けられてモジュール化される。
【0029】
続いて、ロータ41の二つの駆動ピン41cを絞り兼用シャッタ羽根30の長孔31a,32aにそれぞれ挿入するようにして、位置決め孔48cにピン10dを嵌合させつつ、掛止片48bを掛止爪10cにスナップフィット結合して、固定板48を地板10に組み付ける。これにより、ロータ41の他端側(二つの駆動ピン41cの中間領域)が、地板10の第2スラスト受部であるスラスト受面10eに当接して、ロータ41は円滑に回動するように支持された状態となる。
【0030】
これにより、ステッピングモータ40は地板10に対して確実に取り付けられ、ロータ41はガタツキ無く所定の角度範囲を回動自在に支持されることになる。尚、このステッピングモータ40では、最小角度で5段階のステップ動作を行うことができる。
このように、ロータ41の他端側が従来のようなステータに設けた軸受で支持されるのではなく開放されたフリーの状態となっているため、ロータ41に対して出力部である二股形状の駆動ピン41cを一体的に設けることができる。その結果、ステッピングモータ40の組付け作業を簡素化でき、又、絞り兼用シャッタ装置全体の小型化、薄型化を達成できる。
【0031】
次に、絞り兼用シャッタ装置の動作について、図14を参照しつつ説明する。
先ず、撮影前の初期状態においては、図14(a)に示すように、絞り兼用シャッタ羽根30は、開口部10a,20aを全開した状態にある。
そして、撮影動作を行う場合には、先ず通過する光量が計測されて最適な露光量となるように、例えば光量を絞る必要がある場合には、図14(b)に示すように、ステッピングモータ40が途中の角度位置まで駆動されて、絞り兼用シャッタ羽根30は開口部10a,20aを所定の口径に絞る。その後、さらにステッピングモータ40が回転駆動されて、絞り兼用シャッタ羽根30が、図14(c)に示すように、開口部10a,20aを全閉する位置に至り、撮影動作が完了する。
【0032】
上記絞り兼用シャッタ装置においては、全体の集約化を図りつつ、ロータ41を所望の角度位置にて停止させることができるため、絞り兼用シャッタ羽根30を所望の絞り位置あるいは全開位置、全閉位置に高精度に位置決めでき、装置の小型化も達成できる。また、金属板46によりロータ41がスラスト方向の一方側に引き寄せられてガタ寄せされるため、部品点数を削減しつつもガタツキによる騒音等を防止できる。
【0033】
図15は、本発明に係るカメラ用羽根駆動装置の一部をなす羽根の他の実施形態を示すものである。この実施形態における絞り兼用シャッタ羽根30´は、開口部10a,20aを最小口径に絞る近傍において濃度を調整するべく、一方の羽根31´がNDフィルタ30a´を一体的に備えている。
したがって、ステッピングモータ40が作動して最小口径近傍に絞られた状態において、NDフィルタ30a´が開口部10a,20aを覆い、通過する光の濃度を減少させるようになっている。この場合にも、絞り兼用シャッタ羽根30´は、ステッピングモータ40により円滑に駆動され、高精度に位置決めされる。また、ステッピングモータ40の組付け作業を簡素化でき、又、装置全体の小型化、薄型化を達成できる。
【0034】
図16は、本発明に係るカメラ用羽根駆動装置のさらに他の実施形態を示すものである。この実施形態におけるカメラ用羽根駆動装置は、図16に示すように、露光用の開口部10aを有する基板としての地板10´、地板10´上に回動自在に支持されると共に弧状のラック50aを有するリング50、リング50により開閉駆動される複数の羽根からなる虹彩状の絞り羽根30´´、ピニオン41c´´を有するロータ41´´を含むステッピングモータ40´´、ピニオン41c´´に噛合する歯車60aとラック50aに噛合する歯車60bとを同軸上に一体的に備える二段歯車60等を備えている。
したがって、ステッピングモータ40´´が作動すると、二段歯車60の端面がスラスト受面10eに支持された状態で、二段歯車60を介してリング50が回転し、絞り羽根30´´が所望の絞り位置に移動させられるようになっている。この場合にも、絞り羽根30´´は、ステッピングモータ40´´により円滑に駆動され、高精度に位置決めされる。また、ステッピングモータ40´´の組付け作業を簡素化でき、又、装置全体の小型化、薄型化を達成できる。
【0035】
図17は、本発明に係るステッピングモータのさらに他の実施形態を示すものであり、前述の実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
すなわち、図17に示すステッピングモータ40´´´では、ボビンが廃止されて、予め環状に巻回して成型されたコイル42´が、第1ヨーク44と第2ヨーク45に直接挟まれて保持されるようになっている。
この実施形態によれば、前述同様に、組付け作業を簡素化でき、所望のディテントトルクが得られ、又、ロータ41のガタ寄せを行うことができると共に、ボビンを廃止した分だけ、軸線方向Vの寸法を小さくでき、又、部品点数を削減でき、全体として小型化、薄型化、低コスト化できる。また、ステッピングモータ40´´´の組付け作業を簡素化でき、又、装置全体の小型化、薄型化を達成できる。
【0036】
上記実施形態においては、ステッピングモータの軸支構造をカメラの絞り兼用シャッタ装置に適用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、シャッタ機能あるいは絞り機能だけをもつ装置の駆動源として適用してもよく、又、その他の装置の駆動源に適用してもよい。
上記実施形態においては、ロータ41を回動自在に支持する軸47をステータに含まれる金属板46に設けた場合を示したが、これ以外の部材に設けてもよく、又、地板10のスラスト受面10eの中央に一体的に設けても良い。
上記実施形態にいては、ロータ41が5つの磁極対に着磁され、又、第1ヨーク44及び第2ヨーク45の櫛歯状磁極片44b,45bがそれぞれ5つ設けられた場合を示したが、これに限定されるものではなく、それ以外の個数を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上述べたように、本発明のカメラ用羽根駆動装置は、部品点数の削減、構造の簡略化、小型化、さらには、組付け工数の削減による生産性の向上を達成できため、小型化が要求されるデジタルカメラの羽根駆動装置として適用できるのは勿論のこと、さらに小型化が要求される携帯電話機、PDA等の携帯情報端末機に搭載されるモバイルカメラの羽根駆動装置としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るカメラ用羽根駆動装置の一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1に示すカメラ用羽根駆動装置の側面図である。
【図3】図1に示すカメラ用羽根駆動装置の内部を示す平面図である。
【図4】図1に示すカメラ用羽根駆動装置に搭載されたステッピングモータを示すものであり、(a)は正面図、(b)は側断面図である。
【図5】基板をなす地板を示すものであり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図6】基板をなす地板の内面を示す平面図である。
【図7】基板をなすカバーの内面を示す平面図である。
【図8】絞り兼用シャッタ羽根を示す平面図である。
【図9】図1に示すカメラ用羽根駆動装置に搭載されたステッピングモータの分解斜視図である。
【図10】ステッピングモータの一部を示すものであり、(a)は平面図、(b)は側断面図である。
【図11】ステッピングモータの一部をなす一対のヨークを示すものであり、(a),(b)は第2ヨークの平面図及び側面図、(c),(d)は第1ヨークの側面図及び平面図である。
【図12】ステッピングモータの一部をなすコイルを巻回したボビンを示すものであり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図13】ステッピングモータの一部をなす固定板を示す平面図及び一部拡大図である。
【図14】カメラ用羽根駆動装置の動作を説明するものであり、(a)は全開状態、(b)は絞り状態、(c)は全閉状態を示す状態図である。
【図15】本発明に係るカメラ用羽根駆動装置の一部をなす羽根の他の実施形態を示す平面図である。
【図16】本発明に係るカメラ用羽根駆動装置のさらに他の実施形態を示す平面図である。
【図17】本発明に係るカメラ用羽根駆動装置の一部をなすステッピングモータのさらに他の実施形態を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
10,10´ 地板(基板)
20 カバー(基板)
10a,20a 開口部
10e スラスト受面(第2スラスト受部)
30,30´ 絞り兼用シャッタ羽根
30´´ 絞り羽根
30a´ NDフィルタ
40,40´´,40´´´ ステッピングモータ
41,41´´ ロータ
41a マグネット部
41b 孔
41c 二つの駆動ピン(出力部)
41c´´ ピニオン(出力部)
42,42´ 励磁用のコイル
43 ボビン
44 第1ヨーク
44a 円孔
44b 櫛歯状磁極片
45 第2ヨーク
45a 円孔
45b 櫛歯状磁極片
46 金属板
46a 円孔
46b スリット
47 軸
47a 拡径部(第1スラスト受部)
48 固定板
48b 位置決め孔(位置決め部)
48c 掛止片(結合部)
50 リング
60 二段歯車


【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光用の開口部を有する基板と、
前記開口部に臨む位置と退避する位置との間を移動自在に支持された羽根と、
周方向に複数極着磁されたロータ、前記ロータを回動自在に支持する軸,励磁用のコイル,及び周方向に配列された複数の櫛歯状磁極片を形成するヨークを含むステータ、を有するステッピングモータと、を備え、
前記ロータは、前記羽根に駆動力を及ぼすべく一体的に形成された出力部を有し、
前記ステータは、前記ロータの軸線方向の一端側を受ける第1スラスト受部を含み、
前記基板は、前記ロータの軸線方向の他端側を受ける第2スラスト受部を含む、
ことを特徴とするカメラ用羽根駆動装置。
【請求項2】
前記ステータは、前記ロータを回動自在に支持する前記軸を一体的に有し、
前記軸には、前記第1スラスト受部を画定する拡径部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のカメラ用羽根駆動装置。
【請求項3】
前記ステータは、前記ロータの軸線方向の一端側に対向するように配置された金属板を含み、
前記金属板は、前記軸を一体的に保持している、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ用羽根駆動装置。
【請求項4】
前記ロータの出力部は、二股に分岐して形成された二つの駆動ピンからなり、
前記基板の第2スラスト受部は、前記二つの駆動ピンの中間領域を支持するように形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれかに記載のカメラ用羽根駆動装置。
【請求項5】
前記ステータを固定する固定板を有し、
前記固定板は、前記基板に対して位置決めされる位置決め部と、前記基板に対してスナップフィット結合される結合部とを含む、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載のカメラ用羽根駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−171188(P2006−171188A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−361322(P2004−361322)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】