説明

カメラ装置、露出制御方法、露出制御プログラム

【課題】電力消費の大きい動作中であっても迅速に適正な露出制御をすることを可能にする。
【解決手段】電子カメラ1は、シャッタ速度と絞り値とで決められる露出値を被写体の明るさに応じて自動調整する。主制御回路10は、絞り値の変更動作以外の電力消費の大きい動作、例えばフォーカスモータ23または光学ズームモータ24の駆動、フラッシュ駆動部64におけるフラッシュ充電、あるいはレンズ繰り出し動作の実行中に、絞り値の変更を制限し、シャッタ速度の変更により露出値を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、カメラ付携帯電話、カメラ付情報通信端末等のカメラ装置、露出制御方法、露出制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カメラ装置では、カメラ特有のプログラム線図に基づき露出を制御するプログラムAEを備え、シャッターの操作に応答してプログラムAEを機能させ、これにより撮影時の適正な露出制御を行えるようにしている。
【0003】
ところで、デジタルカメラにおいては、シャッターの操作に関係なく、撮影モード(RECモード)が設定されているときには被写体画像のスルー画像を常時モニタに表示させ、これによりモニタにファインダーとしての機能を持たせている。
【0004】
こうしたスルー画像を表示する場合には、プログラム線図に厳密に従って露出を制御する必要性は少ないため、例えば、絞り切り替えにヒステリシスを設けることにより、頻繁な絞り切り替え動作を回避する絞り制御もある(例えば特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開平10−20358号公報
【特許文献2】特開平10−221734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、絞り切り替え動作は、モータ類を駆動して機構部品を動作させる必要があるため電力負荷が大きい。従来では、電力負荷の大きい制御動作が重なった場合、システム関連への電力供給を妨げるおそれが発生するため、これら動作を同時に実行しないようにしている。
【0006】
例えば、電力負荷の大きい制御動作として、ユーザ操作に伴うフォーカスモータ駆動、光学ズームモータ駆動、フラッシュ充電、レンズ繰り出し動作などを実行する場合には、これらの制御動作を優先して実行し、絞り制御動作を後に実行する必要がある。すなわち、電力負荷の大きい動作中にはスルー画像の表示については露出の制御がされないことになる。
【0007】
本発明の課題は、電力消費の大きい動作中であっても迅速に適正な露出制御をすることが可能なカメラ装置、露出制御方法、露出制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、シャッタ速度と絞り値とで決められる露出値を被写体の明るさに応じて自動調整するカメラ装置において、電力消費の大きい動作の実行中に、絞り値の変更を制限し、シャッタ速度の変更により露出値を調整する制御手段を具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記電力消費の大きい動作は、フォーカスモータ駆動、光学ズームモータ駆動、フラッシュ充電、レンズ繰り出し動作の何れかであることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記制御手段は、前記電力消費の大きい動作の実行中であり、かつ撮像された画像のデータをメモリへ書き込む動作の実行中は、絞り値の変更を制限し、シャッタ速度の変更により露出値を調整することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、シャッタ速度と絞り値とで決められる露出値を被写体の明るさに応じて自動調整するカメラ装置において、撮像された画像のデータをメモリへ書き込む動作の実行中は、絞り値の変更を制限し、シャッタ速度の変更により露出値を調整する制御手段を具備したことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、シャッタ速度と絞り値とで決められる露出値を被写体の明るさに応じて自動調整するカメラ装置において、第1のプログラム線図に従いシャッタ速度と絞り値とを設定して露出値を調整する第1調整手段と、所定動作中に前記第1のプログラム線図から逸脱したシャッタ速度の設定を許容する第2のプログラム線図に従い露出値を調整する第2調整手段とを有し、前記第1調整手段は、前記所定動作の終了時に、前記第2のプログラム線図による設定を前記第1のプログラム線図に従う設定にすることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、前記所定動作は、スルー画像表示動作と撮影動作と撮影された画像データのメモリへの書き込み動作とを伴う動画撮影動作であることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、シャッタ速度と絞り値とで決められる露出値を被写体の明るさに応じて自動調整する露出制御方法であって、電力消費の大きい動作の実行中に、絞り値の変更を制限し、シャッタ速度の変更により露出値を調整することを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、シャッタ速度と絞り値とで決められる露出値を被写体の明るさに応じて自動調整するカメラ装置に搭載されたコンピュータを、電力消費の大きい動作の実行中に、絞り値の変更を制限し、シャッタ速度の変更により露出値を調整する制御手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、絞り値の変更動作以外の電力消費の大きい動作の実行中に、絞り値の変更を制限し、シャッタ速度の変更により露出値を調整することで、絞り値の変更動作と他の動作との同時実行による電圧降下やノイズの発生を防止しながら適正な露出制御をすることができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、フォーカスモータ駆動、光学ズームモータ駆動、フラッシュ充電、レンズ繰り出し動作の実行中に電圧降下やノイズの発生を防止して適正な露出制御をすることができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、露出値の調整のために絞り機構を駆動する場合に、この駆動に伴う大電流により電圧降下やノイズが発生し、メモリ書き込み動作中に誤動作が発生することによる画像データの破壊や消失を確実に防止することができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、露出値の調整のために絞り機構を駆動する場合に、この駆動に伴う大電流により電圧降下やノイズが発生し、メモリ書き込み動作中に誤動作が発生することによる画像データの破壊や消失を確実に防止することができる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、通常動作時には第1のプログラム線図に従いシャッタ速度と絞り値とを設定することで露出値を調整し、所定動作中には第1のプログラム線図から逸脱したシャッタ速度の設定を許容する第2のプログラム線図に従いシャッタ速度を設定することにより、所定動作中に絞り値の変更ができない場合であってもプログラム線図に従って露出値を調整することができる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、スルー画像表示動作と撮影動作と撮影された画像のデータのメモリへの書き込み動作とを伴う動画撮影動作において、絞り値の変更動作と他の動作との同時実行による電圧降下やノイズの発生を防止しながら適正な露出制御をすることができる。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、電力消費の大きい動作の実行中に、絞り値の変更を制限し、シャッタ速度の変更により露出値を調整することで、絞り値の変更動作と他の動作との同時実行による電圧降下やノイズの発生を防止しながら適正な露出制御をすることができる。
【0023】
請求項8記載の発明によれば、電力消費の大きい動作の実行中に、絞り値の変更を制限し、シャッタ速度の変更により露出値を調整することで、絞り値の変更動作と他の動作との同時実行による電圧降下やノイズの発生を防止しながら適正な露出制御をするようにコンピュータを機能させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態における電子カメラ1の回路システム構成を示すブロック図である。
【0025】
電子カメラ1には、カメラ全体を制御する主制御回路10が設けられている。主制御回路10は、各部を制御することで、画像の撮影や表示、記録、外部機器との通信等を実現することができる。本実施形態の電子カメラ1では、絞り値の変更動作以外の電力消費の大きい他の動作、例えばフォーカスモータ駆動、光学ズームモータ駆動、フラッシュ充電、レンズ繰り出し動作などの実行中は、絞り値の変更動作を制限してシャッタ速度の変更により露出値EVの自動調整をする機能が設けられている。
【0026】
主制御回路10は、入力回路54を通じて操作部55に設けられた各種入力デバイスから入力される指示に応じて、各種機能の制御や設定等を実行する。操作部55には、例えばシャッタスイッチ、ダイヤル、カーソルキー、座標入力部(タッチパネル)等のボタンやスイッチの他、各種の入力デバイスが含まれる。
【0027】
主制御回路10は、レンズ・撮像系制御回路12を通じて、レンズや撮像系の各部を制御する。主制御回路10は、画像処理部10aを有している。画像処理部10aは、A/D回路37を通じて入力されるデジタルデータに対して、データ圧縮等の処理を施す。画像処理部10aによる画像処理が施された画像データは、メモリ(半導体メモリ)50に記録される。また、画像処理部10aは、撮像系(シャッタ19〜A/D回路37)を通じて入力される画像データを、表示選択部44を通じて表示制御部46の表示メモリ(図示せず)に記録させることで、LCDファインダとして表示部48に撮像(スルー)画像を表示させる。
【0028】
レンズ・撮像系制御回路12は、インタフェース22を通じて入力される焦点検出センサ20からの信号、または距離速度検出部39からの信号に応じてドライバ25によってフォーカスモータ23を駆動し、フォーカスレンズ16の位置を移動させることでレンズの焦点を被写体に合わせるオートフォーカス機能を実現する。また、レンズ・撮像系制御回路12は、同様にして、ドライバ26によって光学ズームモータ24を駆動し、ズームレンズ18の位置を移動させることで例えば多焦点の望遠ズーム機能を実現する。
【0029】
また、レンズ・撮像系制御回路12は、主制御回路10の制御のもとで、レンズ光学系に設けられた絞り17を、図示せぬモータ類を駆動させ機構部品を動作させることで制御し、またシャッタ34を開閉駆動を制御する。
【0030】
レンズ光学系を通じて入る被写体から光は、タイミング発生部32及びドライバ30による走査駆動制御に従いCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子28によって光電変換され、サンプルホールド(S&H)回路34、オートゲインコントローラ(AGC)36、A/D回路37を通じてデジタルデータ化されて入力される。
【0031】
表示制御部46は、表示メモリに記憶される画像データ46aに基づいて、表示部48(LCDモニタ))に電子ファインダとして撮像(スルー)画像をリアルタイムに表示させる、あるいはメモリ50や外部メモリ52に記憶された画像データをもとに撮影済みの画像を表示させる。
【0032】
また、主制御回路10は、インタフェース58,60を通じて、USB59あるいはIEEE139461により接続された外部の機器、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、プリンタ機器、他の電子カメラとの間で、メモリ50や外部メモリ52に記録された画像データの転送などの通信を実行することができる。
【0033】
また、インタフェース51を通じて、図示せぬメモリスロットを通じて装着される着脱式の外部メモリ52に対して画像データを記録し、また外部メモリ52に記録された画像データを読み出してメモリ50に記録する。
【0034】
また、主制御回路10は、インタフェース58,59を介してだけでなく、送受信部56及び無線LAN/Bluetooth(BT)部57を通じて、無線通信によって他の機器との間で画像データ等の送受信をすることができる。
【0035】
主制御回路10は、図示せぬ電源スイッチによる操作により起動される。主制御回路10は、電源制御部62を通じて電池63から供給される電力を制御する。
【0036】
なお、主制御回路10は、シャッタスイッチ(操作部55)に対するシャッタ操作に応じて、フラッシュ駆動部64によりフラッシュ65を閃光駆動させる。フラッシュ駆動部64は、フラッシュ駆動が設定されている場合に、電池63からの電力を図示せぬフラッシュ用大容量コンデンサに充電させた上でフラッシュ65を閃光駆動する。
【0037】
次に、本実施形態における電子カメラの動作について、図2及び図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、電子カメラ1は、電源が投入され、操作部55に設けられたモード切り替えキーの操作により撮影モードに設定されると、レンズ・撮像系制御回路12を通じてフォーカスレンズ16、ズームレンズ18などのレンズ位置等を初期設定し、撮影系を起動し、また測光センサまたは露出計(図示せず)を起動する。そして、露出制御プログラムに従う露出制御動作を開始して、被写体の明るさを表す測光センサまたは露出計出力にあわせて撮影条件を設定する。
【0038】
レンズ・撮影系を通じて撮影される画像は、主制御回路10の画像処理部10aに処理された後、表示制御部46に出力され、表示部48(LCDファインダ)にスルー画像として表示される。この際、主制御回路10は、図2のフローチャートに従って、プログラム線図(プログラムAEデータ)に基づき絞り値F及びシャッタースピードを設定して、これにより撮像素子(CCD等)28に結像される被写体像の光量を制御する。主制御回路10は、電力消費の大きい動作の実行中、または画像データのメモリへの書き込み動作中には、絞り値Fを変更するための絞り機構の駆動(絞り動作)を制限し、シャッタ速度の変更により露出値を調整するよう制御する。
【0039】
主制御回路10は、通常の動作時には通常のプログラム線図に従う露出制御を行うが、絞り機構の駆動が制限される場合には、通常のプログラム線図を逸脱した設定が可能な仮のプログラムに従って露出制御を実行する。
【0040】
例えば、図4には通常のプログラム線図を示している。図4に示すプログラム線図では、絞り切り替えにヒステリシスを設けることにより、頻繁な絞り切り替え動作が回避できるようになっている。例えば、絞り値Fが4.0の状態で露出値EVを例えば12から10に調整する場合には、図中aにより絞り値を変更するが、絞り値2.8の状態で露出値EVを例えば9から12に調整する場合には、図中bにより絞り値を変更する。従って、絞り値2.8の状態で露出値EVが10近くで頻繁に変化するとしても絞り値の変更動作が行われない。
【0041】
図5には、図4に示す通常のプログラム線図(実線)と共に仮のプログラム線図(破線)を表している。
【0042】
まず、露出制御をする場合、主制御回路10は、図3のフローチャートに示す絞り動作可能の判断処理を実行する(ステップA1)。
【0043】
絞り動作が可能であるか否かは、絞り値の変更動作以外の電力消費の大きい動作の実行中であるか否かによって判断する。本実施形態の電子カメラ1において、電力消費の大きい動作としては、例えば電源投入時などのフォーカスモータ23及び光学ズームモータ24の駆動を伴うレンズ初期化(ステップB1)、ユーザ操作に伴う光学ズームモータ24やフォーカスモータ23の動作(ステップB2,B3)、さらにフラッシュ65を閃光駆動させるための充電(ステップB4)の各動作を対象とする。
【0044】
主制御回路10は、ステップB1〜B4において何れかの動作中と判別される場合には、絞り動作の実行が不可の状態にあるものと判断する(ステップB7)。
【0045】
また、前述した電力消費の大きい動作中でないと判別できた場合(ステップB4、No)、さらに主制御回路10は、撮像された画像のデータを、メモリ50あるいはインタフェース51を介した外部メモリ52へ書き込む動作の実行中であるかを判断する(ステップB5)。
【0046】
ここで、画像データのメモリへの書き込み動作中である場合、主制御回路10は、同様にして絞り動作の実行が不可の状態にあるものと判断する(ステップB7)。
【0047】
一方、電力消費の大きい動作中でなく、また画像データのメモリへの書き込み動作中でない場合には、主制御回路10は、絞り動作が可能な状態にあるものと判断する(ステップB6)。
【0048】
以上のような絞り動作可能判断処理の後、主制御回路10は、現在、適正補正となっているかを判別する(ステップA2)。適正露出状態にある場合には(ステップA2、Yes)、通常のプログラム線図に基づき制御された状態にあるかを判別する(ステップA6)。ここで、通常のプログラム線図に沿っている状態にあれば露出制御動作が不要となる(ステップA6、Yes)。
【0049】
一方、通常のプログラム線図に基づき制御された状態にないと判別した場合(ステップA6、No)、すなわち絞り動作不可の状態であったために仮のプログラム線図に従う露出制御がされている場合、主制御回路10は、絞り動作可能判断処理において絞り動作可能と判断されているかを確認し(ステップA7)、絞り動作可能であれば仮のプログラム線図に沿った現在のシャッタスピードと絞り値を、通常のプログラム線図に沿ったシャッタスピードと絞り値に換算して、その換算値に応じた設定を行う(ステップA8)。この場合、絞り機構の駆動も可能な通常の露出制御に復帰することになる。
【0050】
一方、ステップA2において、適正露出にない状態にあると判別された場合、主制御回路10は、絞り動作可能判断処理において絞り動作可能と判断されているかを確認し(ステップA3)、絞り動作可能であれば、通常のプログラム線図に沿ってシャッタスピードを設定すると共に、絞り機構を駆動することで絞り値を調整して適正露出に合わせる(ステップA4)。
【0051】
これに対し、絞り動作可能判断処理において絞り動作不可と判断されている場合、主制御回路10は、仮のプログラム線図に沿ってシャッタスピードのみを操作することで適正露出に合わせる(ステップA5)。
【0052】
例えば、図5において、絞り値Fが2.8の状態にある時に絞り動作不可と判断された場合、露出値EVを14にする必要があるとすると、通常のプログラム線図(実線で表す)から逸脱した仮のプログラム線図(破線で表す)上の仮Aの位置における露出設定を行う。すなわち、絞り機構の動作を伴う絞り値Fの変更を行わず、シャッタスピードを変更することで露出を仮追従する。
【0053】
同様にして、例えば図5において、絞り値Fが5.6の状態にある時に絞り動作不可と判断された場合、露出値EVを10.5にする必要があるとすると、通常のプログラム線図(実線で表す)から外れた仮プログラム線図(破線で表す)上の仮Bの位置における露出設定を行う。
【0054】
これにより適正露出に制御されたスルー画像を表示させることができる。
【0055】
そして、絞り動作が可能と判断された時点で、主制御回路10は、仮プログラム線図上のシャッタスピードと絞りを、通常のプログラム線図上に設定する。例えば、仮Aの位置に設定されていた場合には、露出値EVを14とするため、例えば絞り機構を駆動することで絞り値を2.8から5.6に変換する(変換A)。これにより、通常のプログラム線図上の通常Aの位置に設定が調整される。
【0056】
同様にして、仮Bの位置に設定されていた場合には、絞り機構を駆動することで絞り値を5.6から4.0に変換することで(変換B)、通常のプログラム線図上の通常Bの位置に設定が調整される。
【0057】
このようにして、シャッタスピードの変更により露出値EVの調整をすることで電圧降下を回避して、露出追随動作が可能となる。従って、例えば光学ズーム動作中や電源立ち上げ時のレンズ繰り出し中においても露出合わせかが可能となる。
【0058】
なお、前述した絞り動作可能判断処理では、図3に示すように、絞り値の変更動作以外の電力消費の大きい複数の動作と画像データのメモリへの書き込みの何れかが実行中である場合に絞り動作不可と判断しているが、画像データのメモリへの書き込み動作中であるかのみを判断するようにしても良い。
【0059】
これにより、露出値EVの調整のために絞り機構を駆動する場合に、この駆動に伴う大電流により電圧降下やノイズが発生し、メモリ書き込み動作中に誤動作が発生することによる画像データの破壊や消失を確実に防止することができる。
【0060】
また、電力消費の大きい複数の動作のうち何れかが実行中であり、かつ画像データのメモリへの書き込み動作中である場合に絞り動作不可と判断するようにしても良い。また、画像データのメモリへの書き込み動作中の判断を行わず、電力消費の大きい複数の動作のうち何れかが実行中であるか否かのみを判断するようにしても良い。
【0061】
さらに、図3に示す絞り動作可能判断処理では、ステップB1〜B4について判断している動作を対象としているが、これ以外の電力の安定供給に支障がでる可能性のある他の動作を対象とすることも可能である。
【0062】
また、前述した説明では、スルー画像に対する露出制御を対象にして説明しているが、動画像(ムービー)の記録中における露出制御に適用することもできる。この動画撮影動作では、スルー画像表示動作と共に撮影動作が実行され、撮影された画像のデータがメモリへ書き込まれるが、この間、シャッタスピードの変更により露出値EVの調整を行う。
【0063】
また、電子カメラ1(デジタルスチルカメラ)を対象にして説明しているが、その他にも、デジタルビデオカメラ、カメラ付携帯電話機、カメラ付情報通信端末等の絞り機構が搭載されたカメラ装置に適用することが可能である。
【0064】
さらに、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0065】
また、電子カメラ1に搭載されるコンピュータに実行させることのできる露出制御プログラムを、例えば磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリなどの記録媒体に書き込んで、あるいは通信媒体を通じて提供することができる。露出制御プログラムによりコンピュータの動作を制御することで、前述した実施形態における電子カメラ1と同様の露出制御の機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態における電子カメラ1の回路システム構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態における電子カメラの露出制御の動作について説明するためのフローチャート。
【図3】本実施形態における絞り動作可能の判断処理を説明するためのフローチャート。
【図4】通常のプログラム線に従う露出制御を説明するための図。
【図5】本実施形態における仮のプログラム線図に従う露出制御を説明するための図。
【符号の説明】
【0067】
1…電子カメラ、10…主制御回路、10a…画像処理部、12…レンズ・撮像系制御回路、14…光学系、16…フォーカスレンズ、17…絞り、18…ズームレンズ、19…シャッタ、20…焦点検出センサ、22…インタフェース、23…フォーカスモータ、24…光学ズームモータ、25,26…ドライバ、28…撮像素子、30…ドライバ、32…タイミング発生部、34…サンプルホールド(S&H)回路、36…オートゲインコントローラ(AGC)、37…A/D回路、39…距離速度検出部、46…表示制御部、46a…画像データ、48…表示部、50…メモリ、51…インタフェース、52…外部メモリ、54…入力回路、55…操作部、56…送受信部、57…無線LAN/BT部、58…インタフェース、59…USB、61…IEEE1394、62…電源制御部、63…電池、64…フラッシュ駆動部、65…フラッシュ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッタ速度と絞り値とで決められる露出値を被写体の明るさに応じて自動調整するカメラ装置において、
電力消費の大きい動作の実行中に、絞り値の変更を制限し、シャッタ速度の変更により露出値を調整する制御手段を具備したことを特徴とするカメラ装置。
【請求項2】
前記電力消費の大きい動作は、フォーカスモータ駆動、光学ズームモータ駆動、フラッシュ充電、レンズ繰り出し動作の何れかであることを特徴とする請求項1記載のカメラ装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記電力消費の大きい動作の実行中であり、かつ撮像された画像のデータをメモリへ書き込む動作の実行中は、絞り値の変更を制限し、シャッタ速度の変更により露出値を調整することを特徴とする請求項1記載のカメラ装置。
【請求項4】
シャッタ速度と絞り値とで決められる露出値を被写体の明るさに応じて自動調整するカメラ装置において、
撮像された画像のデータをメモリへ書き込む動作の実行中は、絞り値の変更を制限し、シャッタ速度の変更により露出値を調整する制御手段を具備したことを特徴とするカメラ装置。
【請求項5】
シャッタ速度と絞り値とで決められる露出値を被写体の明るさに応じて自動調整するカメラ装置において、
第1のプログラム線図に従いシャッタ速度と絞り値とを設定して露出値を調整する第1調整手段と、
所定動作中に前記第1のプログラム線図から逸脱したシャッタ速度の設定を許容する第2のプログラム線図に従い露出値を調整する第2調整手段とを有し、
前記第1調整手段は、前記所定動作の終了時に、前記第2のプログラム線図による設定を前記第1のプログラム線図に従う設定にすることを特徴とするカメラ装置。
【請求項6】
前記所定動作は、スルー画像表示動作と撮影動作と撮影された画像データのメモリへの書き込み動作とを伴う動画撮影動作であることを特徴とする請求項5記載のカメラ装置。
【請求項7】
シャッタ速度と絞り値とで決められる露出値を被写体の明るさに応じて自動調整する露出制御方法であって、
電力消費の大きい動作の実行中に、絞り値の変更を制限し、シャッタ速度の変更により露出値を調整することを特徴とする露出制御方法。
【請求項8】
シャッタ速度と絞り値とで決められる露出値を被写体の明るさに応じて自動調整するカメラ装置に搭載されたコンピュータを、
電力消費の大きい動作の実行中に、絞り値の変更を制限し、シャッタ速度の変更により露出値を調整する制御手段として機能させるための露出制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−47417(P2006−47417A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224737(P2004−224737)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】