説明

カメラ

【課題】カメラ本体を把持した状態と三脚により支持した状態との間で切り換えて撮影を行なう際の一連の撮影操作が簡易なカメラを提供する。
【解決手段】ケーシング1にカバー部材3が摺動可能に係合しており、該カバー部材3は、撮影レンズ100を覆うこととなる被覆位置と、撮影レンズ100を外部に露出させる一方、三脚取付け部4を覆うこととなる第1露出位置と、撮影レンズ100及び三脚取付け部4を外部に露出させることとなる第2露出位置との間で移動が可能である。カメラは、カバー部材3が第1露出位置と第2露出位置の各位置まで移動したことを検知する手段と、カバー部材3が第1露出位置まで移動したことが検知されたときに手ぶれ補正機能をオンに設定する一方、カバー部材3が第2露出位置まで移動したことが検知されたときに手ぶれ補正機能をオフに設定する手段を具えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手ぶれ補正機能及び/又はセルフタイマー機能を有するカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のデジタルカメラは、手ぶれ補正機能やセルフタイマー機能等の種々の機能を有しており、ユーザは、所定の操作を行なうことによって、これらの機能をそれぞれオン/オフ設定することが出来る。
【0003】
尚、レンズカバーを2以上の方向に移動させることが可能な撮像装置が提案されている(特許文献1及び2参照)。
又、レンズバリア部材を、撮影レンズの前面を覆う位置と撮影レンズの前面及びフラッシュ発光部の前面を開放する位置と撮影レンズの前面を開放すると共にフラッシュ発光部の前面を覆う位置との間で移動させることが可能なカメラが提案されている(特許文献3参照)。
更に、レンズカバーを、撮像レンズを露出させる撮影モード位置と撮像レンズ及びストロボ発光部を覆う非撮影モード位置と撮像レンズ及びストロボ発光部を覆う再生モード位置との間で移動させることが可能な撮像装置が提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−348059号公報
【特許文献2】特開2006−267206号公報
【特許文献3】特開2003−29321号公報
【特許文献4】特開2007−88666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、手ぶれ補正機能及びセルフタイマー機能を有する従来のデジタルカメラにおいては、カメラ本体を把持した状態で撮影を行なう際には、通常、手ぶれ補正機能はオン、セルフタイマー機能はオフに設定されている。従って、その後にカメラ本体を三脚により支持した状態でセルフタイマー機能を用いて撮影を行なう際には、無駄な電力消費を防止すべく手ぶれ補正機能をオフに設定する操作を行なうと共に、セルフタイマー機能をオンに設定する操作を行なわねばならず、一連の撮影操作が煩雑であった。又、その後に再びカメラ本体を把持した状態で撮影を行なう際には、手ぶれ補正機能をオンに戻す操作やセルフタイマー機能をオフに戻す操作を行なわねばならず、一連の撮影操作が煩雑であった。
特に、複数の機能をそれぞれオン/オフ設定する際に操作すべき複数の操作キーを階層的に画像表示器に表示するデジタルカメラにおいては、手ぶれ補正機能及びセルフタイマー機能をそれぞれオン/オフ設定するために複数回の操作を行なわねばならず、一連の撮影操作が極めて煩雑であった。
そこで本発明の目的は、カメラ本体を把持した状態と三脚等の支持部材により支持した状態との間で切り換えて撮影を行なう際の一連の撮影操作が従来よりも簡易なカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1のカメラは、ケーシングに、撮影レンズとカメラ本体を支持する支持部材を取り付けるための支持部材取付け部とが配備されると共に、前記撮影レンズ及び前記支持部材取付け部を覆うためのカバー部材が摺動可能に係合しており、手ぶれ補正機能を有している。そして、前記カバー部材は、前記撮影レンズを覆うこととなる被覆位置と、前記撮影レンズを外部に露出させる一方、前記支持部材取付け部を覆うこととなる第1露出位置と、前記撮影レンズ及び前記支持部材取付け部を外部に露出させることとなる第2露出位置との間で移動が可能であり、前記カメラは、
前記カバー部材が前記第1露出位置と前記第2露出位置の各位置まで移動したことを検知する位置検知手段と、
前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第1露出位置まで移動したことが検知されたときにカメラ本体を手ぶれ補正機能を発揮し得る状態に設定する一方、前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第2露出位置まで移動したことが検知されたときにカメラ本体を手ぶれ補正機能を発揮し得ない状態に設定する手ぶれ補正機能制御手段
とを具えている。
【0007】
上記本発明に係る第1のカメラを用いて撮影を行なわないときには、撮影レンズをカバー部材によって覆うべくカバー部材を被覆位置に移動させておく。これによって、撮影レンズが埃等から保護される。
その後、カメラ本体を把持した状態で撮影を行なう際には、カバー部材を、撮影レンズが外部へ露出し、且つ支持部材取付け部が被覆された状態となる第1露出位置まで移動させる。これによって、カメラ本体が手ぶれ補正機能を発揮し得る状態に設定されることになる。又、この第1露出位置では、カバー部材は支持部材取付け部を埃等から保護している。
一方、カメラ本体を三脚等の支持部材により支持した状態で撮影を行なう際には、カバー部材を、撮影レンズ及び支持部材取付け部が外部へ露出した状態となる第2露出位置まで移動させる。これによって、カメラ本体が手ぶれ補正機能を発揮し得ない状態に設定されることになる。
上述の如く、上記本発明に係る第1のカメラによれば、カメラ本体を把持した状態で撮影を行なう際には、カバー部材を第1露出位置まで移動させる操作を行なうことによってカメラ本体が手ぶれ補正機能を発揮し得る状態に設定されるので、該機能を発揮し得る状態に設定するための特別の操作は不要となる。又、カメラ本体を支持部材により支持した状態で撮影を行なう際には、カバー部材を第2露出位置まで移動させる操作を行なうことによってカメラ本体が手ぶれ補正機能を発揮し得ない状態に設定されるので、該機能を発揮し得ない状態に設定するための特別の操作は不要となる。従って、カメラ本体を把持した状態と支持部材により支持した状態との間で切り換えて撮影を行なう際の一連の撮影動作が従来と比べて簡易となる。
又、カメラ本体を把持した状態で撮影を行なう際には、カバー部材を第1露出位置まで移動させる操作を行なうことによってカメラ本体が手ぶれ補正機能を発揮し得る状態に設定されるので、手ぶれ補正動作が行なわれないために撮影画像がぼけることを防止することが出来る。
更に、カメラ本体を支持部材により支持した状態で撮影を行なう際には、カバー部材を第2露出位置まで移動させる操作を行なうことによってカメラ本体が手ぶれ補正機能を発揮し得ない状態に設定されるので、不要な手ぶれ補正動作が実行されて無駄な電力が消費されることを防止することが出来る。
【0008】
具体的形態において、更に、前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第1露出位置まで移動したことが検知されたとき、及び前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第2露出位置まで移動したことが検知されたときに、カメラ本体の電源をオンに設定する電源制御手段を具えている。
【0009】
上記具体的形態によれば、撮影を行なう際には、カバー部材を第1露出位置或いは第2露出位置にまで移動させる操作を行なうことによってカメラ本体の電源がオンに設定されるので、カメラ本体の電源をオンに設定するための特別の操作は不要となる。
【0010】
又、具体的形態において、予め設定された時間が経過したときに自動的に撮影動作を実行するセルフタイマー機能を有しており、更に、前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第1露出位置まで移動したことが検知されたときにカメラ本体をセルフタイマー機能を発揮し得ない状態に設定する一方、前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第2露出位置まで移動したことが検知されたときにカメラ本体をセルフタイマー機能を発揮し得る状態に設定するセルフタイマー機能制御手段を具えている。
【0011】
上記具体的形態によれば、カメラ本体を把持した状態で撮影を行なう際には、カバー部材を第1露出位置まで移動させる操作を行なうことによってカメラ本体がセルフタイマー機能を発揮し得ない状態に設定されるので、該機能を発揮し得ない状態に設定するための特別の操作は不要となる。又、カメラ本体を支持部材により支持した状態で撮影を行なう際には、カバー部材を第2露出位置まで移動させる操作を行なうことによってカメラ本体がセルフタイマー機能を発揮し得る状態に設定されるので、該機能を発揮し得る状態に設定するための特別の操作は不要となる。従って、カメラ本体を把持した状態と支持部材により支持した状態との間で切り換えて撮影を行なう際の一連の撮影動作がより簡易となる。
【0012】
本発明に係る第2のカメラは、ケーシングに、撮影レンズとカメラ本体を支持する支持部材を取り付けるための支持部材取付け部とが配備されると共に、前記撮影レンズ及び前記支持部材取付け部を覆うためのカバー部材が摺動可能に係合しており、予め設定された時間が経過したときに自動的に撮影動作を実行するセルフタイマー機能を有している。そして、前記カバー部材は、前記撮影レンズを覆うこととなる被覆位置と、前記撮影レンズを外部に露出させる一方、前記支持部材取付け部を覆うこととなる第1露出位置と、前記撮影レンズ及び前記支持部材取付け部を外部に露出させることとなる第2露出位置との間で移動が可能であり、前記カメラは、
前記カバー部材が前記第1露出位置と前記第2露出位置の各位置まで移動したことを検知する位置検知手段と、
前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第1露出位置まで移動したことが検知されたときにカメラ本体をセルフタイマー機能を発揮し得ない状態に設定する一方、前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第2露出位置まで移動したことが検知されたときにカメラ本体をセルフタイマー機能を発揮し得る状態に設定するセルフタイマー機能制御手段
とを具えている。
【0013】
上記本発明に係る第2のカメラを用いて撮影を行なわないときには、撮影レンズをカバー部材によって覆うべくカバー部材を被覆位置に移動させておく。これによって、撮影レンズが埃等から保護される。
その後、カメラ本体を把持した状態で撮影を行なう際には、カバー部材を、撮影レンズが外部へ露出し、且つ支持部材取付け部が被覆された状態となる第1露出位置まで移動させる。これによって、カメラ本体がセルフタイマー機能を発揮し得ない状態に設定されることになる。又、この第1露出位置では、カバー部材は支持部材取付け部を埃等から保護している。
一方、カメラ本体を三脚等の支持部材により支持した状態で撮影を行なう際には、カバー部材を、撮影レンズ及び支持部材取付け部が外部へ露出した状態となる第2露出位置まで移動させる。これによって、カメラ本体がセルフタイマー機能を発揮し得る状態に設定されることになる。
上述の如く、上記本発明に係る第2のカメラによれば、カメラ本体を把持した状態で撮影を行なう際には、カバー部材を第1露出位置まで移動させる操作を行なうことによってカメラ本体がセルフタイマー機能を発揮し得ない状態に設定されるので、該機能を発揮し得ない状態に設定するための特別の操作は不要となる。又、カメラ本体を支持部材により支持した状態で撮影を行なう際には、カバー部材を第2露出位置まで移動させる操作を行なうことによってカメラ本体がセルフタイマー機能を発揮し得る状態に設定されるので、該機能を発揮し得る状態に設定するための特別の操作は不要となる。従って、カメラ本体を把持した状態と支持部材により支持した状態との間で切り換えて撮影を行なう際の一連の撮影動作が従来と比べて簡易となる。
【0014】
具体的形態において、更に、前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第1露出位置まで移動したことが検知されたとき、及び前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第2露出位置まで移動したことが検知されたときに、カメラ本体の電源をオンに設定する電源制御手段を具えている。
【0015】
上記具体的形態によれば、撮影を行なう際には、カバー部材を第1露出位置或いは第2露出位置にまで移動させる操作を行なうことによってカメラ本体の電源がオンに設定されるので、カメラ本体の電源をオンに設定するための特別の操作は不要となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る第1及び第2のカメラによれば、カメラ本体を把持した状態と三脚等の支持部材により支持した状態との間で切り換えて撮影を行なう際の一連の撮影操作が従来よりも簡易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態であるデジタルカメラの外観を表わす斜視図である。
【図2】図2は、上記デジタルカメラを表わす正面図である。
【図3】図3は、上記デジタルカメラのケーシングとカバー部材の係合状態を表わす断面図である。
【図4】図4は、上記デジタルカメラの電気的構成を表わすブロック図である。
【図5】図5は、上記デジタルカメラにおいてカメラ本体の電源がオフに設定されている状態で実行される制御手続きを表わすフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明の一実施形態であるデジタルカメラは、図1(a)乃至(c)に示す如く直方体形状のケーシング(1)を具えており、該ケーシング(1)の前面中央部には、撮影レンズ(100)及びストロボ発光部(19)が配備されている。又、該ケーシング(1)の上面にはシャッターボタン(210)が配備される一方、該ケーシング(1)の下面にはカメラ本体を支持する三脚を取り付けるための三脚取付け部(4)が配備されている。
又、上記デジタルカメラは、L字状の側面を有する樹脂製のカバー部材(3)を具えており、該カバー部材(3)は、2つの開口部(31)(32)とこれら2つの開口部(31)(32)の間に形成された閉塞部(33)とを具えている。該カバー部材(3)は、ケーシング(1)に長手方向に摺動可能に係合して、同図(a)に示す如く撮影レンズ(100)及びストロボ発光部(19)が該カバー部材(3)の閉塞部(33)によって覆われると共に三脚取付け部(4)が該カバー部材(3)の底部によって覆われる被覆位置と、同図(b)に示す如く撮影レンズ(100)及びストロボ発光部(19)が該カバー部材(3)の一方の開口部(31)から外部へ露出すると共に三脚取付け部(4)が該カバー部材(3)の底部によって覆われる第1露出位置と、同図(c)に示す如く撮影レンズ(100)及びストロボ発光部(19)が該カバー部材(3)の他方の開口部(32)から外部へ露出すると共に三脚取付け部(4)が外部へ露出する第2露出位置との間で、スライド操作が可能となっている。
【0019】
図2及び図3は、ケーシング(1)とカバー部材(3)の係合状態を表わしている。前記ケーシング(1)の前面には、図2及び図3に示す如く、長手方向に延びる2本の案内溝(1a)(1b)が開設されている一方、前記カバー部材(3)の背面には、2つのフック部(34)(35)が突設されており、これらのフック部(34)(35)がそれぞれ前記案内溝(1a)(1b)に摺動可能に嵌合している。この様にして、カバー部材(3)はケーシング(1)の長手方向にスライド操作が可能となっている。
又、前記2本の案内溝(1a)(1b)の内、下側の案内溝(1b)の両端にはそれぞれ、カバー部材(3)の位置を検出するための第1リミットスイッチ(22)及び第2リミットスイッチ(23)が取り付けられており、カバー部材(3)が図1(a)に示す被覆位置に位置する状態では、第1リミットスイッチ(22)及び第2リミットスイッチ(23)はオフとなる。そして、カバー部材(3)が同図(b)に示す第1露出位置に位置する状態では、第1リミットスイッチ(22)がカバー部材(3)の前記フック部(35)により押圧されてオンとなる一方、カバー部材(3)が同図(c)に示す第2露出位置に位置する状態では、第2リミットスイッチ(23)がカバー部材(3)の前記フック部(35)により押圧されてオンとなる。
【0020】
図4は、上記デジタルカメラの電気的構成を表わしている。上記撮影レンズを含む光学レンズ群(10)には、CCD(11)、A/Dコンバータ(12)、及び圧縮処理等の所定の画像処理を実行する画像処理部(13)が直列に接続されており、これらのCCD(11)、A/Dコンバータ(12)及び画像処理部(13)には、マイクロコンピュータ(14)が接続されている。マイクロコンピュータ(14)には、カード制御部(15)を介して、撮影画像データを記録するためのメモリカード(16)が接続されると共に、表示制御部(17)を介して、撮影画像を表示するためのLCD(18)が接続されている。又、マイクロコンピュータ(14)には、上記ストロボ発光部(19)と、各機能のオン/オフ設定情報を含む種々の情報を格納するためのメモリ(20)と、上記シャッターボタンを含む複数の操作ボタンを具えた操作部(21)とが接続されている。更に、マイクロコンピュータ(14)には、上記の第1リミットスイッチ(22)及び第2リミットスイッチ(23)が接続されている。
【0021】
上記デジタルカメラは、予め設定された時間が経過したときに自動的に撮影動作を実行するセルフタイマー機能を有しており、前記マイクロコンピュータ(14)には、タイマー(24)が接続されている。該マイクロコンピュータ(14)は、セルフタイマー機能がオンに設定されている場合に、タイマー(24)に対する制御動作を実行する。
【0022】
又、上記デジタルカメラは、光学式の手ぶれ補正機能を有しており、上記光学レンズ群(10)には該光学レンズ群(10)に含まれる補正レンズ群(図示省略)を駆動するレンズ駆動部(25)が接続されている。該レンズ駆動部(25)は前記マイクロコンピュータ(14)に接続されており、該マイクロコンピュータ(14)には、光学レンズ群(10)からの入射光の光軸のずれを検出するための角速度センサ(26)が接続されている。該マイクロコンピュータ(14)は、手ぶれ補正機能がオンに設定されている場合に、角速度センサ(26)から得られる検出信号に基づいてぶれ量を算出し、その算出結果に基づいて前記レンズ駆動部(25)の動作を制御する。
【0023】
上記マイクロコンピュータ(14)は、第1リミットスイッチ(22)がオンとなったときに、図示省略する電力供給回路からカメラを構成する上記の全ての回路に対する電力の供給を開始させてカメラ本体の電源をオンに設定すると共に、手ぶれ補正機能のオン設定情報及びセルフタイマー機能のオフ設定情報をメモリ(20)に格納する。
又、第2リミットスイッチ(23)がオンとなったときに、前記電力供給回路から上記の全ての回路に対する電力の供給を開始させてカメラ本体の電源をオンに設定すると共に、手ぶれ補正機能のオフ設定情報及びセルフタイマー機能のオン設定情報をメモリ(20)に格納する。
更に、第1リミットスイッチ(22)がオフとなったとき、及び第2リミットスイッチ(23)がオフとなったときに、前記電力供給回路から上記の全ての回路に対する電力の供給を停止させてカメラ本体の電源をオフに設定する。
【0024】
上記本発明の一実施形態であるデジタルカメラを用いて撮影を行なわないときには、撮影レンズ(100)、ストロボ発光部(19)及び三脚取付け部(4)をカバー部材(3)によって覆うべくカバー部材(3)を図1(a)に示す被覆位置に移動させておく。これによって、撮影レンズ(100)、ストロボ発光部(19)及び三脚取付け部(4)が埃等から保護される。又、このとき、カメラ本体の電源がオフに設定されている。
撮影者は、該デジタルカメラを把持した状態で静止画撮影を行なう際には、撮影レンズ(100)及びストロボ発光部(19)を外部へ露出させるべくカバー部材(3)を同図(b)に示す第1露出位置までスライドさせる。これによって、カメラ本体の電源がオンに設定されることになる。又、手ぶれ補正機能がオンに設定される一方、セルフタイマー機能がオフに設定されることになる。続いて、撮影者がシャッターボタンを押下すると、その時点でCCD(11)から得られた撮影画像信号がA/Dコンバータ(12)によりデジタルの撮影画像データに変換され、該撮影画像データが画像処理部(13)により所定の画像処理を受けた後、メモリカード(16)に記録されることになる。尚、このとき、手ぶれ補正機能はオンに設定されているので、ぶれ量に応じて光学レンズ群(10)に含まれる補正レンズ群の位置が調整されることになる。
【0025】
一方、上記デジタルカメラを三脚により支持した状態でセルフタイマー機能を用いて静止画撮影を行なう際には、撮影レンズ(100)、ストロボ発光部(19)及び三脚取付け部(4)を外部へ露出させるべくカバー部材(3)を同図(c)に示す第2露出位置までスライドさせる。これによって、カメラ本体の電源がオンに設定されることになる。又、手ぶれ補正機能がオフに設定される一方、セルフタイマー機能がオンに設定されることになる。続いて、撮影者がシャッターボタンを押下すると、その時点からタイマー(24)による計時動作が開始され、その後、予め設定された時間が経過した時点でCCD(11)から得られた撮影画像信号がA/Dコンバータ(12)によりデジタルの撮影画像データに変換され、該撮影画像データが画像処理部(13)により所定の画像処理を受けた後、メモリカード(16)に記録されることになる。尚、このとき、手ぶれ補正機能はオフに設定されているので、光学レンズ群(10)に含まれる補正レンズ群は所定の位置に位置している。
【0026】
図5は、カメラ本体の電源がオフの状態で上記マイクロコンピュータ(14)によって実行される制御手続きを表わしており、先ずステップS1では、第1リミットスイッチがオンとなったか否かを判断する。
撮影者がカバー部材を上記第1露出位置までスライドさせたときに、ステップS1にてイエスと判断されてステップS2に移行し、カメラ本体の電源をオンに設定した後、ステップS3では手ぶれ補正機能をオンに設定する。続いてステップS4では、セルフタイマー機能をオフに設定して、上記手続きを終了する。
【0027】
これに対し、ステップS1にてノーと判断された場合には、ステップS5に移行して、第2リミットスイッチがオンとなったか否かを判断する。ここで、ノーと判断された場合にはステップS1に戻って、第1リミットスイッチがオンとなったか否かの判断を繰り返す。
撮影者がカバー部材を上記第2露出位置までスライドさせたときに、ステップS5にてイエスと判断されてステップS6に移行し、カメラ本体の電源をオンに設定した後、ステップS7では手ぶれ補正機能をオフに設定する。続いてステップS8では、セルフタイマー機能をオンに設定して、上記手続きを終了する。
【0028】
上記本発明の一実施形態であるデジタルカメラによれば、カメラ本体を把持した状態で撮影を行なう際には、カバー部材(3)を図1(b)に示す第1露出位置までスライドさせる操作を行なうことによってカメラ本体の電源がオンに設定されるので、カメラ本体の電源をオンに設定するための特別の操作は不要となる。又、カバー部材(3)を第1露出位置までスライドさせる前記操作を行なうことによって手ぶれ補正機能がオンに設定されると共にセルフタイマー機能がオフに設定されるので、手ぶれ補正機能をオンに設定するための特別の操作及びセルフタイマー機能をオフに設定するための特別の操作も不要となる。
一方、カメラ本体を三脚により支持した状態でセルフタイマー機能を用いて撮影を行なう際には、カバー部材(3)を同図(c)に示す第2露出位置までスライドさせる操作を行なうことによってカメラ本体の電源がオンに設定されるので、カメラ本体の電源をオンに設定するための特別の操作は不要となる。又、カバー部材(3)を第2露出位置までスライドさせる前記操作を行なうことによって手ぶれ補正機能がオフに設定されると共にセルフタイマー機能がオンに設定されるので、手ぶれ補正機能をオフに設定するための特別の操作及びセルフタイマー機能をオンに設定するための特別の操作も不要となる。
従って、カメラ本体を把持した状態で撮影を行なった後にカメラ本体を三脚により支持した状態でセルフタイマー機能を用いて撮影を行なう場合、逆に、カメラ本体を三脚により支持した状態でセルフタイマー機能を用いて撮影を行なった後にカメラ本体を把持した状態で撮影を行なう場合の何れの場合であっても、一連の撮影操作が従来よりも簡易となる。
【0029】
又、カメラ本体を把持した状態で撮影を行なう際には、カバー部材(3)を第1露出位置までスライドさせる操作を行なうことによって手ぶれ補正機能がオンに設定されるので、手ぶれ補正動作が行なわれないために撮影画像がぼけることを防止することが出来る。
更に、カメラ本体を三脚により支持した状態で撮影を行なう際には、カバー部材(3)を第2露出位置までスライドさせる操作を行なうことによって手ぶれ補正機能がオフに設定されるので、不要な手ぶれ補正動作が実行されて無駄な電力が消費されることを防止することが出来る。
【0030】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態においては、手ぶれ補正の方法として、光学レンズ群(10)に含まれる補正レンズ群の位置を調整する方法を採用しているが、CCD(11)の位置を調整する方法や、CCD(11)から得られた画像信号に対して手ぶれ補正処理を施す方法等の種々の方法を採用することが可能である。
又、上記実施の形態においては、本発明を静止画撮影が可能なカメラに実施しているが、動画撮影が可能なカメラに実施することも可能である。
更に、上記実施の形態においては、カバー部材(3)が撮影レンズ(100)を被覆する被覆位置では、カバー部材(3)はストロボ発光部(19)及び三脚取付け部(4)をも被覆しているが、カバー部材(3)を、該被覆位置では撮影レンズ(100)のみを被覆する様に構成してもよい。かかる構成によれば、カバー部材(3)は、三脚取付け部(4)に三脚が取り付けられた状態で撮影レンズ(100)を被覆することが出来る。
更に又、カメラ本体の電源をオン/オフするための操作部をカバー部材(3)とは別に設けてもよい。
【符号の説明】
【0031】
(1) ケーシング
(10) 光学レンズ群
(100) 撮影レンズ
(22) 第1リミットスイッチ
(23) 第2リミットスイッチ
(24) タイマー
(25) レンズ駆動部
(26) 角速度センサ
(3) カバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングに、撮影レンズとカメラ本体を支持する支持部材を取り付けるための支持部材取付け部とが配備されると共に、前記撮影レンズ及び前記支持部材取付け部を覆うためのカバー部材が摺動可能に係合しているカメラであって、手ぶれ補正機能を有しているカメラにおいて、前記カバー部材は、前記撮影レンズを覆うこととなる被覆位置と、前記撮影レンズを外部に露出させる一方、前記支持部材取付け部を覆うこととなる第1露出位置と、前記撮影レンズ及び前記支持部材取付け部を外部に露出させることとなる第2露出位置との間で移動が可能であり、
前記カバー部材が前記第1露出位置と前記第2露出位置の各位置まで移動したことを検知する位置検知手段と、
前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第1露出位置まで移動したことが検知されたときにカメラ本体を手ぶれ補正機能を発揮し得る状態に設定する一方、前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第2露出位置まで移動したことが検知されたときにカメラ本体を手ぶれ補正機能を発揮し得ない状態に設定する手ぶれ補正機能制御手段
とを具えていることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
更に、前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第1露出位置まで移動したことが検知されたとき、及び前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第2露出位置まで移動したことが検知されたときに、カメラ本体の電源をオンに設定する電源制御手段を具えている請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
予め設定された時間が経過したときに自動的に撮影動作を実行するセルフタイマー機能を有しており、更に、前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第1露出位置まで移動したことが検知されたときにカメラ本体をセルフタイマー機能を発揮し得ない状態に設定する一方、前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第2露出位置まで移動したことが検知されたときにカメラ本体をセルフタイマー機能を発揮し得る状態に設定するセルフタイマー機能制御手段を具えている請求項1又は請求項2に記載のカメラ。
【請求項4】
ケーシングに、撮影レンズとカメラ本体を支持する支持部材を取り付けるための支持部材取付け部とが配備されると共に、前記撮影レンズ及び前記支持部材取付け部を覆うためのカバー部材が摺動可能に係合しているカメラであって、予め設定された時間が経過したときに自動的に撮影動作を実行するセルフタイマー機能を有しているカメラにおいて、前記カバー部材は、前記撮影レンズを覆うこととなる被覆位置と、前記撮影レンズを外部に露出させる一方、前記支持部材取付け部を覆うこととなる第1露出位置と、前記撮影レンズ及び前記支持部材取付け部を外部に露出させることとなる第2露出位置との間で移動が可能であり、
前記カバー部材が前記第1露出位置と前記第2露出位置の各位置まで移動したことを検知する位置検知手段と、
前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第1露出位置まで移動したことが検知されたときにカメラ本体をセルフタイマー機能を発揮し得ない状態に設定する一方、前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第2露出位置まで移動したことが検知されたときにカメラ本体をセルフタイマー機能を発揮し得る状態に設定するセルフタイマー機能制御手段
とを具えていることを特徴とするカメラ。
【請求項5】
更に、前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第1露出位置まで移動したことが検知されたとき、及び前記位置検知手段によって前記カバー部材が前記第2露出位置まで移動したことが検知されたときに、カメラ本体の電源をオンに設定する電源制御手段を具えている請求項4に記載のカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−39240(P2011−39240A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185892(P2009−185892)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】