説明

カラーディスプレイ

カラーディスプレイ装置は、複数の画像素子(14)と、異なる輝度スペクトルを有して交互に活性化される少なくとも2つの光源と、この光源と共にカラー画像(P1、P2)の原色を生成するカラー選択手段とを有する。表示されるカラー画像(P1、P2)にそれぞれ関係する複数の画像情報セットのそれぞれは、第1の光源の動作中に維持される画像素子設定である第1のサブフレーム(A1、A2)及び第2の光源の動作中に維持される画像素子設定である第2のサブフレーム(B1、B2)に分割される。画像素子(14)の極性は、第1の極性(+)と第2の極性(-)との間で交互にシフトされる。極性は、遅い応答又は他の副作用を生じ得る画像素子(14)での偏光を回避するために、第1のサブフレーム(A1)と次の第1のサブフレーム(A2)とが異なる極性(+、-)で合致するようにシフトされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配列に構成された複数の画像素子を有する液晶光弁層と、実質的に異なる輝度スペクトルを有して交互に活性化される少なくとも2つの光源と、この光源と共にカラー画像の原色を生成するカラー選択手段とを有し、カラー画像を表示するカラーディスプレイ装置に関する。
【0002】
本発明は、このようなカラーディスプレイ装置を制御する方法に更に関する。
【背景技術】
【0003】
WO2004/032523A1は、各ピクセルが3つのカラーフィルタを備えており、それぞれサブピクセルに構成された前述の形式のカラーディスプレイ装置を記載しており、交互に活性化される2つの異なる選択可能な光源を使用する。従って、6つの原色(プライマリ)を取得することが可能になる。この構成により、白の背面照明の構成とピクセル毎に3つのフィルタ(RGB)とを有する従来の構成に比較して、ピクセル毎の広い開口及び改善した色域が可能になる。しかし、このディスプレイの問題は、限られた寿命期間を有するという点と、1つの画像の表示から他の画像の表示へのシフトのときにカラーディスプレイ装置の応答が遅くなるという点とがある。更に、このディスプレイはかなりのちらつき(flicker)を有することが見出されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、前述の従来技術の問題が低減又は実質的に減少するカラーディスプレイ装置を提供することであり、従って、低いちらつきと長い寿命と迅速な応答とを有するカラーディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、配列に構成された複数の画像素子を有する液晶光弁層と、異なる輝度スペクトルを有して交互に活性化される少なくとも2つの光源と、この光源と共にカラー画像の原色を生成するカラー選択手段とを有し、カラー画像を表示するカラーディスプレイ装置により実現され、カラーディスプレイ装置は、表示されるカラー画像に関係する複数の画像情報セットのそれぞれを、第1の光源の動作中に維持される画像素子設定である第1のサブフレーム及び第2の光源の動作中に維持される画像素子設定である第2のサブフレームに分割するように適合された画像コントローラと、画像コントローラにより送出されたサブフレームを受領し、光源制御信号及び画像素子制御信号を光源及び画像素子にそれぞれ送出するように適合され、第1の極性と第1の極性の反対の第2の極性との間で画像素子の極性を交互にシフトするように更に構成されたディスプレイコントローラとを有し、画像コントローラ及びディスプレイコントローラは、第1のサブフレームと次の第1のサブフレームとが異なる極性で合致するように、サブフレームを送出して極性をシフトするように協力するように構成される。
【0006】
このカラーディスプレイ装置の利点は、従来技術のカラーディスプレイ装置に生じることが認められている遅い応答及びちらつきの問題を回避するという点にある。従って、本発明は、長い寿命及び高品質の画像投射と共に、広い色域を提供する。
【0007】
請求項2に記載の手段の利点は、1つの極性が常に第1のサブフレームに結合することを回避する簡単且つコスト効率の良い方法を提供する点にある。従って、例えばサブフレームが100Hzの周波数で生成される場合、極性は50Hz若しくは25Hz又は更に低い周波数にシフトされるべきである。しかし、遅すぎる極性のシフトは、カラーディスプレイ装置の遅い応答をもたらすことがある。第1の極性と共に表示される画像は、実際には第2の極性と共に表示される画像と100%の同じ強度を有しているとは限らない。極性をシフトする極端に遅い周波数では、第1の極性と第2の極性との間のこれらの小さい強度差は、ちらつきとして人間により観測され得る。従って、サブフレームを生成する周波数が極性をシフトする周波数を得るために分割される偶数は、遅い応答及びちらつきの問題を回避するために、2であることが好ましい。
【0008】
請求項3に記載の手段の利点は、第1のサブフレーム及び異なる極性の次の第1のサブフレームの合致が画像コントローラにより行われ、ディスプレイコントローラはサブフレームが画像コントローラから受領される周波数と同じ周波数で極性をシフトし得るため、標準的な液晶パネルで使用することが可能になるという点にある。
【0009】
本発明の他の利点は、ディスプレイ装置を制御する方法を提供することにあり、この方法は、従来技術の方法に比較して、改善した応答と低減したちらつきとを提供する。
【0010】
この目的は、配列に構成された複数の画像素子を有する液晶光弁層と、異なる輝度スペクトルを有して交互に活性化される少なくとも2つの光源と、この光源と共にカラー画像の原色を生成するカラー選択手段とを有し、カラー画像を表示するカラーディスプレイ装置を制御する方法により実現され、表示されるカラー画像にそれぞれ関係する複数の画像情報セットのそれぞれは、第1の光源の動作中に維持される画像素子設定である第1のサブフレーム及び第2の光源の動作中に維持される画像素子設定である第2のサブフレームに分割され、サブフレームは、光源及び画像素子にそれぞれ送出される光源制御信号及び画像素子制御信号に変換され、画像素子の極性は、第1の極性と第1の極性の反対の第2の極性との間でシフトされ、極性は、第1のサブフレームと次の第1のサブフレームとが異なる極性で合致するようにシフトされる。
【0011】
この方法の利点は、遅い応答の問題を低減し、カラーディスプレイ装置が1つの画像の表示から他の画像の表示に変更するときに迅速な応答を提供するという点にある。更に、この方法は、ちらつきを低減し、表示をユーザに更に快適にする。
【0012】
請求項5に記載の方法の利点は、第1のサブフレーム及び次の第1のサブフレームが画像素子の異なる極性で合致することを確保するという点にある。このことは、画像素子での低い偏光(polarization)を提供し、極性が非常に高い周波数でシフトしないため、依然として低いエネルギー消費を提供する。
【0013】
請求項6に記載の手段の利点は、各画像素子が全サブフレームの間に双方の極性にさらされるという点にある。このことは、画像素子での最小の偏光を提供する。
【0014】
請求項7に記載の手段の利点は、代わりにサブフレームが送出される順序を変化することにより、偏光及び遅い応答が回避されるという事実のため、極性をシフトする既存の方式が使用され得るという点にある。
【0015】
請求項8に記載の方法の利点は、遅い応答が回避され、サブフレームが送出される順序が不適切に変化する場合に生じ得るちらつきが最小化されるという点にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の前記及び他の態様は、以下に記載の実施例から明らかになり、これを参照して説明する。
【0017】
添付図面を参照して、本発明について詳細に説明する。
【0018】
図1は、透過型ディスプレイ装置1を概略的に示している。ディスプレイ装置1は、3つのカラーフィルタ2、4、6と、異なるスペクトルで光を放出することができる2つの選択可能な光源8、10と、画像素子の形式で複数の“光弁”を有する液晶光弁層12とを有する。3つのサブピクセル16、18、20を有する1つの画像素子14が図1に図示されており、それぞれの設定に応じて光が送出されることを許容又は抑制する。透過型ディスプレイ1は、画像コントローラ22とディスプレイコントローラ24とを更に有する。
【0019】
表示されるカラー画像Pに関係する情報のセットS(フレームとも呼ばれる)は、コンピュータ又はテレビ受信機のような源から画像コントローラ22に送出される。画像コントローラは、情報のセットSを第1のサブフレームAと第2のサブフレームBとに分割する。第1のサブフレームAは、第1の光源8を活性化するときに使用されるサブピクセル16、18、20の設定に関係し、第2のサブフレームBは、第2の光源10を活性化するときに使用されるサブフレーム16、18、20の設定に関係する。第1のサブフレームA及び第2のサブフレームBは、ディスプレイコントローラ24に送出される。ディスプレイコントローラ24は、サブフレームA、Bを変換し、画像素子制御信号26をサブピクセル16、18、20に送出し、光源制御信号28、30を光源8、10に送出し、第1の光源8の活性化と同時にサブフレームAによる設定を維持するようにサブピクセル16、18、20に指示し、次に、第2の光源10の活性化と同時にサブフレームBによる設定を維持するようにサブピクセル16、18、20に指示する。画像が動画であるか静止画像であるかにかかわらず、新規のセットSが常に特定の周波数で画像コントローラ22に送出されることがわかる。
【0020】
図2は、WO2004/032523A1にも記載されているカラーフィルタでの原色選択の原理を示している。図2は、所定の原色のセットを得るための、図1に示す選択可能な光源8、10により放出されたスペクトルとカラーフィルタとの組み合わせを示している。図1に示すカラーフィルタ2、4、6は、それぞれ透過スペクトル40、42、44を有する従来の赤色、緑色及び青色フィルタである。第1の光源8は、それぞれ赤、緑及び青の波長帯で3つの異なるピークを有するスペクトル分布46で光を放出することができる。第2の光源10は、それぞれイエロー、シアン及びディープ・ブルーの波長帯で3つの異なるピークを有するスペクトル分布48で光を放出することができる。この用途におけるディープ・ブルーは、従来の青の波長帯より低いが、依然として可視である波長帯での放射を意味する。光源8、10のスペクトル46、48と従来の赤色、緑色及び青色フィルタ2、4、6との組み合わせは、2つのセットの原色を生成する。それぞれ、赤R、緑G及び青BLで構成される第1のセットと、イエローY、シアンC及びディープ・ブルーDBで構成される第2のセットである。選択された第1の光源8の原色の赤R、緑G若しくは青BL、又は選択された光源10の原色のイエローY、シアンC若しくはディープ・ブルーDBに対応する画像データを用いたディスプレイ装置1のサブピクセル16、18、20の駆動と共に、第1及び第2の光源8、10を交互に選択する特定の方式は、広域のディスプレイ装置1を可能にする。
【0021】
図3は、従来技術のディスプレイパネルの画像素子についてのいわゆる反転方式(inversion scheme)を示している。液晶ディスプレイパネルは、液晶分子を有する複数の画像素子を有する。実際の画像素子を通じた光の透過及びその光の色は、望ましいように液晶分子を配向させるために、ディスプレイコントローラにより提供される信号に従って各画像素子のサブピクセルのそれぞれに電場を印加することにより制御される。しかし、液晶分子を配向させるために印加される直流(DC)電場は、いわゆる“残像(image sticking)”を生じる。残像は、電場が変化した後でも画像素子がある時間に1つの方向に残る傾向にあることを意味する副作用に関係する。従って、第1の画像がある時間にディスプレイパネルに“残る”傾向にあるため、残像は、第1の画像の表示から他の画像の表示に切り替わるときに、遅い応答を生じる。おそらく、これは、電場の影響で移動して、これによって画像素子で多かれ少なかれ永続する偏光を生じるイオン及び他の不純物のためである。更に、偏光は、画像素子に致命的な損傷を生じ、これによってディスプレイ装置の寿命を減少させることがある。
【0022】
残像を回避するために、画像素子に印加される電場は、画像素子の何らかの部分でのイオンの蓄積が妨げられるように、通常では交流(AC)を印加することにより、符号(負電圧/正電圧)を変化させる。液晶分子の方向及び実際の画像素子を通じた光の透過は、電場の大きさに依存し、電場の符号には依存しない。電場の符号の変化は“反転(inversion)”と呼ばれる。図3は、従来技術のディスプレイパネルで、第2の画像P2に関する画像情報を有する次の第1のサブフレームX2及び次の第2のサブフレームY2が後続する、第1の画像P1に関する画像情報を有する第1のサブフレームX1及び第2のサブフレームY1のシーケンスを示している。第2の画像P2は、第1の画像P1と同じでもよく、異なってもよい。個々の画像素子に印加される電場は、“+”で表す正の電場と“-”で表す負の電場との間で交互に変化する。図3に示す反転方式では、負の電場“-”にさらされるものと同じ数の正の電場“+”にさらされる画像素子が常に存在する。この種類の反転方式は、各画像素子“ドット(dot)”の極性が個々にシフトされるため、ドット反転方式と呼ばれる。
【0023】
図3に示す従来技術は、WO2004/032523A1に記載の形式のカラーディスプレイ装置で、電場の反転にもかかわらず、遅い応答が生じ得るというリスクを提供することが発見された。この理由は、第1のサブフレームX1、X2が常に同一の反転モードと一致するが、第2のサブフレームY1、Y2が常に反対の反転モードと一致することにあることがわかっている。第1のサブフレームX1、X2及び第2のサブフレームY1、Y2は、少なくとも全ての画像素子ではなくても、画像素子の設定に関して同一ではないため、ある画像素子が、極性が“+”である場合に第1のサブフレームX1、X2で大きい電場にさらされ、極性が“-”である場合に第2のサブフレームY1、Y2で小さい電場にさらされる可能性があり、この逆も同様であるという特定のリスクが存在する(理解を容易にするために、図3では画像素子が点線の矩形で印を付けられている)。ある画像素子の電場の大きさが反対の極性のものより1つの極性で大きいという事実の最終結果は、画像素子のいくつかが正味の直流(DC)の増大(net direct current build up)を受け、極性のシフトにもかかわらず画像素子の偏光を生じることになる。前述の“残像効果”のような、また、“残像”にある程度似ている原理による遅い応答及び減少した寿命を生じ得る問題は、静止画像を示す場合には、全ての第1のサブフレームX1、X2及び全ての第2のサブフレームY1、Y2が同一であるため、増加する。遅い応答を生じることに加えて、従来技術はまた、ちらつきの問題を生じる。第1の極性と共に表示される画像は、第2の極性と共に表示される画像と実際には100%の同じ強度を有するとは限らない。前述のように画像素子が正味の直流の増大にさらされると、2つの極性の間の強度差が増加することになり、可視のちらつきを生じる。
【0024】
図4は、本発明の第1の実施例を示している。この実施例では、ディスプレイコントローラ24により信号26でサブピクセル16、18、20に送出される反転方式は、液晶光弁層12の各画像素子14が、第1の画像P1に関する画像情報を有する第1のサブフレームA1と第2のサブフレームB1との双方の間で同じ極性(例えば“+”)を維持するように修正される。従って、各画像素子14の極性は、サブフレームA、Bが送出される周波数の半分の頻度に変更される。すなわち、極性がシフトする周波数は、サブフレームが送出される周波数を2で割ったものに等しくなる。従って、各画像素子14が、第2の画像P2に関する画像情報を有する次のサブフレームのセットA2、B2の間に反対の極性(例えば“-”)を有するように、極性が切り替えられる。従って、全ての第1のサブフレームが同じ極性(例えば“+”)で表示され、偏光及び遅い応答のリスクを生じ得るという従来技術の問題が回避される。図4に示す反転方式では、液晶光弁層12の全ての画像素子が同じ符号を有する。これは“フィールド反転方式(field inversion scheme)”と呼ばれる。
【0025】
図5は、本発明の第2の実施例を示している。この実施例では、いわゆる“ドット反転方式”が図4に示すものと同じ原理(すなわち、液晶光弁層12の画像素子が毎秒サブフレーム毎に1回極性を変化する)に適用されている。図4及び5では、理解を容易にするために、1つの画像素子14が印を付けられているが、如何なる特定の画像素子について、第1の画像P1に関する第1のサブフレームA1が第1の極性と結合し、第2の画像P2に関する次の第1のサブフレームA2が反対の極性と結合する点に留意すべきである。
【0026】
図4及び図5に示す実施例の多数の変形が可能であることがわかる。例えば、代わりに、第1のサブフレームA1の後に個々の画像素子又は全体の液晶光弁層の極性をシフトし、第2のサブフレームB1及び次の第1のサブフレームA2の間に極性を一定に保持し、次の第2のサブフレームB2に再び極性をシフトすることも可能である。従って、シーケンスは、括弧内で特定の画像素子の極性を有するサブフレーム(A1(+)→B1(-)→A2(-)→B2(+))になる。
【0027】
図6は、更に他の実施例を示している。この実施例では、サブフレームが送出される順序が変更されている。図4及び図5を参照して説明したように、第1、第2及び第3の画像に関する画像情報を提供するためにA1B1-A2B2-A3B3の順序でサブフレームを送出する代わりに、画像コントローラ22は、A1B1-B2A2-A3B3-B4A4の順序でサブフレームを送出する。このことは、第1の画像P1について第1のサブフレームA1が最初に送出され、続いて第1の画像P1について第2のサブフレームB2が送出されることを意味する。次に第2の画像P2について第2のサブフレームB2が送出され、第2の画像P2について第1のサブフレームA2が送出される。第1のサブフレームA及び第2のサブフレームBが送出される順序を変更するこの本発明の方法を使用することにより、液晶光弁層12の何らかの特定の画像素子14について、第1のサブフレームA1が第1の極性と結合し、次の第1のサブフレームA2が反対の極性と結合するため、画像素子の偏光の問題及びこの結果の遅い応答を生じずに、従来技術で使用される反転方式(図3参照)が使用され得る。
【0028】
図7は、本発明の更に他の実施例を示している。この実施例では、第2のサブフレームB1、B2、B3、B4が一回のみ送出される間に、第1のサブフレームA1、A2、A3及びA4は画像P1、P2、P3、P4毎に2回送出される。従って、4つの画像のシーケンスは、A1A1B1-A2A2B2-A3A3B3-A4A4B4になる。液晶光弁層の唯一の画像素子14の極性を示す図7に示すように、2回送出されるサブフレームA1は、2つの異なる極性で送出される。全シーケンスでの平均では、全てのサブフレームA1、A2、A3、A4の半分が“+”の極性で送出され、半分が“-”の極性で送出され、同じことがサブフレームB1、B2、B3、B4に当てはまる。
【0029】
図8は、本発明の更に他の実施例を示している。この場合、画像素子の極性は、第1のサブフレームA1がディスプレイコントローラ22に送出される周波数の2倍でシフトされる。従って、第1の画像P1に対応する第1のサブフレームA1について、液晶光弁層12の特定の画像素子14の極性は、最初に“+”であり、第2のサブフレームB1が送出される前に“-”にシフトされる。従って、1つのサブフレームの間に双方の極性“+”及び“-”が使用され、これによって画像素子での何らかの直流の増大を効率的に回避する。従って、第1のサブフレームA1及び次の第1のサブフレームA2(図8に図示せず)は、共に異なる極性に合致する。更に、第1のサブフレームA1は、画像素子14において“-”の極性で終了し、次の第1のサブフレームA2(図8に図示せず)は、画像素子14において“+”の極性(すなわち異なる極性)で開始する。しかし、ある程度は、この非常に迅速な極性のシフトは、更なる電力消費を生じることがある。
【0030】
特許請求の範囲内で前述の実施例の多数の変更が可能であることがわかる。
【0031】
例えば、図4及び図5に示す実施例では、極性はサブフレームが画像コントローラに送出される周波数の半分でシフトされる。すなわち、極性は2つのサブフレーム毎の後にのみ変化する。画像素子の極性を4つ、6つ、8つ又は他の偶数のサブフレーム毎の後にのみ変化させることも可能である。しかし、このような場合に、画像素子は長い時間同じ極性を有し、ある程度の偏光のリスクにさらす。従って、図4及び図5に示すように、2つのサブフレーム毎の後に極性をシフトすることが好ましい。
【0032】
図4及び図5では、サブフレームの完全なセットの後に極性がシフトされることが示されている。すなわち、シーケンスはA1→B1→極性のシフト→A2→B2→極性のシフト等のように簡略化される。
【0033】
極性のシフトは、セットのサブフレームの間で行われてもよいことがわかる。すなわち、A1→極性のシフト→B1→A2→極性のシフト→B2等のように従う。
【0034】
遅い応答を回避する効果に関して、これらの2つの変形は同等である。
【0035】
前記では、画像情報セットSが第1のサブフレームAと第2のサブフレームBとに分割されることについて説明した。これは、改善した色域と限られたちらつきとを提供するため、好ましい実施例である。しかし、異なる輝度スペクトルの3つの光源が利用可能である場合に、画像情報セットを3つのサブフレームA、B、Cに分割することも可能であり、また、場合によっては4つ又は更に更に多くのサブフレームに分割することも可能であることがわかる。このような場合、極性のシフトは、各サブフレームA、B、Cが交互に双方の極性“+”及び“-”と合致するように調整される。3つのサブフレームの場合のように、3つのサブフレーム毎の後にのみ極性を変化させる選択肢もある。
【0036】
要約すると、カラーディスプレイ装置は、複数の画像素子14と、異なる輝度スペクトルを有しており交互に活性化される少なくとも2つの光源8、10と、この光源8、10と共にカラー画像P1、P2の原色を生成するカラー選択手段2、4、6とを有する。表示されるカラー画像P1、P2にそれぞれ関係する複数の画像情報セットSのそれぞれは、第1の光源8の動作中に維持される画像素子設定である第1のサブフレームA1、A2及び第2の光源10の動作中に維持される画像素子設定である第2のサブフレームB1、B2に分割される。画像素子14の極性は、第1の極性(+)と第2の極性(-)との間で交互にシフトされる。極性は、遅い応答又は他の副作用を生じ得る画像素子14での偏光を回避するために、第1のサブフレームA1と次の第1のサブフレームA2とが異なる極性(+、-)で合致するようにシフトされる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】3つのサブピクセルのカラーフィルタ構成と2つの光源とを有するディスプレイ装置の概略図
【図2】所定の原色のセットを取得するためのカラーフィルタと光源のスペクトルとの組み合わせの概略図
【図3】従来技術のディスプレイパネルの反転方式
【図4】本発明の第1の実施例によるディスプレイパネルの反転方式
【図5】本発明の第2の実施例によるディスプレイパネルの反転方式
【図6】本発明の第3の実施例によるディスプレイパネルの反転方式
【図7】本発明の第4の実施例によるディスプレイパネルの反転方式
【図8】本発明の第5の実施例によるディスプレイパネルの反転方式

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列に構成された複数の画像素子を有する液晶光弁層と、異なる輝度スペクトルを有して交互に活性化される少なくとも2つの光源と、前記光源と共にカラー画像の原色を生成するカラー選択手段とを有し、カラー画像を表示するカラーディスプレイ装置であって、
前記カラーディスプレイ装置は、
表示されるカラー画像にそれぞれ関係する複数の画像情報セットのそれぞれを、第1の光源の動作中に維持される画像素子設定である第1のサブフレーム及び第2の光源の動作中に維持される画像素子設定である第2のサブフレームに分割するように適合された画像コントローラと、
前記画像コントローラにより送出された前記サブフレームを受領し、光源制御信号及び画像素子制御信号を前記光源及び前記画像素子にそれぞれ送出するように適合され、第1の極性と該第1の極性の反対の第2の極性との間で前記画像素子の極性を交互にシフトするように更に構成されたディスプレイコントローラと
を有し、
前記画像コントローラ及び前記ディスプレイコントローラは、第1のサブフレームと次の第1のサブフレームとが異なる極性で合致するように、サブフレームを送出して極性をシフトするように協力するように構成されるカラーディスプレイ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカラーディスプレイ装置であって、
前記ディスプレイコントローラは、前記画像コントローラが前記サブフレームを前記ディスプレイコントローラに送出する周波数を偶数で割ったものに等しい周波数で、前記画像素子の極性をシフトするように適合されるカラーディスプレイ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のカラーディスプレイ装置であって、
前記画像コントローラは、第1のサブフレーム及び次の第1のサブフレームが異なる極性で合致するように、前記サブフレームが前記ディスプレイコントローラに送出される順序を変化するように適合されるカラーディスプレイ装置。
【請求項4】
配列に構成された複数の画像素子を有する液晶光弁層と、異なる輝度スペクトルを有して交互に活性化される少なくとも2つの光源と、前記光源と共にカラー画像の原色を生成するカラー選択手段とを有し、カラー画像を表示するカラーディスプレイ装置を制御する方法であって、
表示されるカラー画像にそれぞれ関係する複数の画像情報セットのそれぞれは、第1の光源の動作中に維持される画像素子設定である第1のサブフレーム及び第2の光源の動作中に維持される画像素子設定である第2のサブフレームに分割され、
前記サブフレームは、前記光源及び前記画像素子にそれぞれ送出される光源制御信号及び画像素子制御信号に変換され、
前記画像素子の極性は、第1の極性と該第1の極性の反対の第2の極性との間でシフトされ、
前記極性は、第1のサブフレームと次の第1のサブフレームとが異なる極性で合致するようにシフトされる方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記画像素子の極性は、サブフレームが生成される周波数を偶数で割ったものに等しい周波数でシフトされる方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、
前記画像素子の極性は、前記第1のサブフレームが生成される周波数の2倍の周波数でシフトされる方法。
【請求項7】
請求項4に記載の方法であって、
前記サブフレームが画像素子信号に変換される順序は、第1のサブフレーム及び次の第1のサブフレームが異なる極性で合致するように変化する方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
共に第1の画像に関係する第2のサブフレームにより後続される第1のサブフレームは、第2の画像に関係する次の第2のサブフレームにより直後に後続される方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、
同じ画像に関係する第1のサブフレーム及び次の第1のサブフレームは、この同じ画像に関係する第2のサブフレームが画像素子信号に変換される前に、各画像素子信号に変換される方法。
【請求項10】
請求項4ないし9のうちいずれか1項に記載の方法であって、
前記液晶光弁層の個々の画像素子の極性は、何らかの所定の時間で、前記画像素子の半分が前記第1の極性を有しており、他の半分が前記第2の極性を有するようにシフトされる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−506975(P2008−506975A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518787(P2007−518787)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【国際出願番号】PCT/IB2005/052133
【国際公開番号】WO2006/003609
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】