説明

カラーフィルタの製造方法

【課題】光路差調整層17の線幅、高さの寸法を精密に形成でき、光路差調整層の側面の垂直性を良好にでき、また、青色光の透過率が高く、反射カラー表示にて明度低下、黄色く色付かないカラーフィルタの製造方法を提供する。
【解決手段】光路差調整層17を形成する材料として、アルカリ可溶性ポリマー(A)、エチレン性不飽和化合物(B)、光重合開始剤(C)の3種を含有し、(A)、(B)、(C)を重量比で1:X:Yに混合し、XとYの積が前記数式(1)を満たす光硬化性樹脂組成物を用いること。(C)としてα‐アミノアルキルフェノン系化合物を(C)全重量の50重量%以上含有すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法に関するものであり、特に、光路差調整層を形成する際に、光路差調整層の線幅、高さなどの寸法を設定範囲に収まるよう精密に形成することができ、且つ、光路差調整層の側面の垂直性を良好に形成することができ、また、波長380nm〜500nm付近の青色光の透過率が高く、反射カラー表示にて明度低下、黄色く色付くことのないカラーフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は自発光型の表示装置ではないので、その表示には他からの光を必要とし、例えば、その後方にバックライトを設け、後方からの光によって表示を行っている。このような液晶表示装置は透過型液晶表示装置と称され、主に屋内のような暗い環境下で用いられる。
また、例えば、その後方に光反射層を設け、液晶表示装置を観視する際の周囲からの外光によって表示を行う液晶表示装置がある。このような液晶表示装置は反射型液晶表示装置と称され、主に屋外のような周囲が明るい環境下で用いられる。
【0003】
半透過型液晶表示装置と称される液晶表示装置は、1基の液晶表示装置において透過型と反射型の両機能を兼ね備えた液晶表示装置である。この半透過型液晶表示装置は、屋外のような非常に明るい環境下でも、屋内のような暗い環境下でも用いることができるものであり、モバイル機器に用いられる。
【0004】
図1は、半透過型液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの一例を示したものであり、一画素に対応する部位を拡大して示す平面図である。また、図2は、図1に示すカラーフィルタを用いた半透過型液晶表示装置の一画素の部分の断面を示す説明図である。図1におけるX−X線の断面が、図2に示すカラーフィルタ(10)の断面に相当する。
【0005】
図1、及び図2に示すように、この半透過型液晶表示装置は、カラーフィルタ(10)、液晶(30)、TFT素子(図示せず)などが形成されたTFT基板(20)で構成されている。TFT基板上には透明電極(21)及び反射電極(22)で形成されている。透明電極(21)及び反射電極(22)はTFT素子のドレイン電極と接続されている。カラーフィルタ(10)は、ガラス基板(11)上にブラックマトリックス(12)、着色画素(13)、透明電極(14)が形成されたものである。
【0006】
1画素の領域(Px)はブラックマトリックス(12)を除くと、透過表示領域(Tr)と反射表示領域(Re)とで構成されている。
透過表示領域(Tr)は、透過型液晶表示装置として機能する領域であり、反射表示領域(Re)は、反射型液晶表示装置として機能する領域である。
【0007】
着色画素(13)は、透過表示の着色画素(13Tr)と反射表示の着色画素(13Re)で構成されている。また、反射表示の着色画素(13Re)は、着色部(15)とスルーホール(開口部)(16)で構成されている。
1画素の領域(Px)内の透過表示の着色画素(13Tr)と、反射表示の着色画素(13Re)の着色部(15)は、同一の着色画素形成材料を用いて設けられた同一厚さの着色層である。図2にては、説明上、左斜線と右斜線で表記してある。
【0008】
また、図2中、反射電極(22)と透明電極(21)の境界の上方が、透過表示の着色画素(13Tr)と反射表示の着色画素(13Re)との境界であり、鎖線で表記してあ
る。
透過表示の着色画素(13Tr)の全領域に厚さD1の均一な着色層が形成され、また、スルーホール(開口部)(16)を有する反射表示の着色画素(13Re)の色濃度的な厚さは、その平均厚さ(D2)で表される。
【0009】
また、反射表示の着色画素(13Re)のスルーホール(開口部)(16)が、何も設けていない、着色層の欠落した状態であると、カラーフィルタの表面の平坦性は悪化したものとなる。これにより、液晶の配向が乱され、表示品質に悪影響を及ぼすことになる。従って、一般には、このスルーホール(開口部)(16)には無色透明な樹脂を充填し、平坦性を保たせている。
【0010】
図2に示す、厚さD1を有する均一な透過表示の着色画素(13Tr)の分光透過率は、過型液晶表示装置に好適な分光透過率を有する。透過表示領域(Tr)においては白太矢印(A)で示すバックライトからの白色光が、TFT基板(20)、透明電極(21)、液晶(30)、透明導電膜(14)を経て、透過表示の着色画素(13Tr)を通過し色光となり白細矢印(a)で示すように、外部へ射出するようになっている。
従って、この半透過型液晶表示装置のバックライトを点灯し透過型液晶表示装置として使用した際には、透過型液晶表示装置として優れた明度、彩度を有する透過カラー表示をする。
【0011】
また、この半透過型液晶表示装置のバックライトを消灯し、屋外のような明るい環境下で反射型液晶表示装置として使用した際には、反射表示領域(Re)において、斜線太矢印(B)で示す周囲からの外光が、ガラス基板(11)、平均厚さ(D2、D2<D1)の、スルーホール(開口部)(16)を有する反射表示の着色画素(13Re)を通過し色光となり反射電極(22)にて反射され、斜線細矢印(b)で示すように、再び外部へ射出するようになっている。
【0012】
この際の反射光は、平均厚さ(D2)のスルーホール(開口部)(16)を有する反射表示の着色画素(13Re)を2回にわたり通過しているので、透過型液晶表示装置に用いられる着色画素の分光透過率に近似した分光透過率を有するものとなる。
このようなカラーフィルタを用いることにより、透過型液晶表示装置としての優れた明度、彩度を有する透過カラー表示をし、また、反射型液晶表示装置として暗くならず、優れた明度、彩度を有する反射カラー表示をすることが可能となる。
【0013】
上記のように、図2に示す半透過型液晶表示装置においては、過型表示に好適な分光透過率を有する透過表示の着色画素と、反射表示に好適な分光透過率を有する反射表示の着色画素を別々に形成することなく、反射カラー表示の明度、彩度を、透過カラー表示の明度、彩度に近似させている。
すなわち、同一の着色画素形成材料を用い、透過表示の着色画素(13Tr)と反射表示の着色画素(13Re)を同時に形成することを可能にしている。
【0014】
しかしながら、図1、及び図2に示すカラーフィルタを半透過型液晶表示装置に用いた際には、図3に示すように、透過表示領域(Tr)における、バックライトからの白色光(A)が液晶(30)層を通過する光路長(T1)と、反射表示領域(Re)における、外光(B)が液晶(30)層を通過する光路長(T1×2)が相違するために射出される光には位相差が生じ、透過カラー表示の明度、彩度と、反射カラー表示の明度、彩度は異なったものとなってしまう。
尚、図3は、図2の一部を表したものであるが、説明上、図2におけるカラーフィルタ(10)とTFT基板(20)の上下位置関係を逆の関係に置き換えたものとしている。
【0015】
図4は、上記のような光路長の差による影響を回避する技法を用いたカラーフィルタの一例を示す断面図である。図4に示すように、このカラーフィルタは、透過表示領域(Tr)における、バックライトからの白色光(A)が液晶(30)層を通過する光路長(T1)と、反射表示領域(Re)における、外光(B)が液晶(30)層を通過する光路長(T1×2)の相違をなくし、射出される光の位相を揃えるために、反射表示の着色画素(13Re)上に光路差調整層(17)を設けたものである。
【0016】
この光路差調整層(17)を設けることにより、カラーフィルタ(10)とTFT基板(20)の基板間の間隔を、透過表示領域:反射表示領域=2:1としている。
すなわち、図4において、透過表示の着色画素(13Tr)上の透明電極(14)上面から、TFT基板(20)の透明電極(21)までの間隔と、光路差調整層(17)上の透明電極(14)上面から、TFT基板(20)の反射電極(22)までの間隔の比を2:1としている。(T1:T2=2:1)
具体的には、5μm:2.5μm程度のものである。
【0017】
この光路差調整層(17)は、光硬化性樹脂組成物を用いフォトリソグラフィによって形成されることが多い。当然、この光路差調整層の線幅、高さなどの寸法については、設定範囲に収まるよう精密に形成する必要がある。
また、光路差調整層の断面形状については、図4中、符号(H)で示すように、反射表示の着色画素(13Re)の表面に対し光路差調整層の側面が垂直な状態に形成されることが重要なことになる。すなわち、光路差調整層の側面には垂直性が求められる。
【0018】
しかし、光硬化性樹脂組成物を用いフォトリソグラフィによって光路差調整層を形成する場合には、良好な垂直性を有する光路差調整層を形成することは困難なことである。
図5は、光路差調整層(17)の側面が垂直な状態に形成されず、側面が傾斜(θ)した状態に形成された例を示した断面図である。図5に示すように、光路差調整層の側面に傾斜(θ)が生じた場合には、傾斜した部分(W1、W2)は光路差調整層として正常に作用しないので、その分、光路差調整層の調整機能が低下したものになるといった問題が生じる。
【0019】
また、一般に、光硬化性樹脂組成物を用いて光路差調整層を形成した場合には、形成された光路差調整層は波長380nm〜500nm付近の青色光の透過率が低いために、半透過型液晶表示装置の反射カラー表示にて黄色く色付いてしまうといった問題が生じている。
【特許文献1】特開2004−29400号公報
【特許文献2】特開2004−361531号公報
【特許文献3】特開2005−099267号公報
【特許文献4】特開2005−140886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、光硬化性樹脂組成物を用いフォトリソグラフィによって反射表示の着色画素上に光路差調整層を形成する際に、光路差調整層の線幅、高さなどの寸法を設定範囲に収まるよう精密に形成することができ、且つ、光路差調整層の側面の垂直性を良好に形成することができ、また、波長380nm〜500nm付近の青色光の透過率が高いカラーフィルタの製造方法を提供することを課題とするものである。
【0021】
これにより、光路差調整層は正常に作用し、反射カラー表示の明度、彩度は良好なカラーフィルタとなる。また、反射カラー表示にて明度低下、黄色く色付くことのないカラーフィルタとなる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、ガラス基板上にブラックマトリックス、着色画素、光路差調整層が順次に形成されたカラーフィルタの製造方法において、
前記光路差調整層を形成する材料として、少なくともアルカリ可溶性ポリマー(A)、エチレン性不飽和化合物(B)、光重合開始剤(C)の3種を含有し、アルカリ可溶性ポリマー(A)、エチレン性不飽和化合物(B)、光重合開始剤(C)を重量比で1:X:Yに混合した光硬化性樹脂組成物であって、XとYの積が下記数式(1)を満たす光硬化性樹脂組成物を用いることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0023】
【数2】

また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタの製造方法において、前記光硬化性樹脂組成物が、光重合開始剤(C)としてα‐アミノアルキルフェノン系化合物を光重合開始剤(C)全重量の50重量%以上含有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0024】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタの製造方法において、前記光硬化性樹脂組成物を用いて塗膜を形成し、露光、現像処理、230℃・20分焼成後の硬化した塗膜の膜厚が2.0μmの際に、波長400nmでの光透過率が95%以上であり、上記硬化した塗膜に250℃・60分追加焼成した後の波長400nmでの光透過率が90%以上であることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0025】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタの製造方法において、前記光硬化性樹脂組成物の塗膜への露光量が70〜140mJ/cm2 、塗膜とフォトマスクの間の露光ギャップが80〜120μm、アルカリ性現像液を用いての現像速度が3〜7μm/分、現像後の焼成が200〜250℃で10〜60分間であることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、光路差調整層を形成する材料として、少なくともアルカリ可溶性ポリマー(A)、エチレン性不飽和化合物(B)、光重合開始剤(C)の3種を含有し、アルカリ可溶性ポリマー(A)、エチレン性不飽和化合物(B)、光重合開始剤(C)を重量比で1:X:Yに混合した光硬化性樹脂組成物であって、XとYの積が前記数式(1)を満たす光硬化性樹脂組成物を用いるカラーフィルタの製造方法であるので、反射表示の着色画素上に光路差調整層を形成する際に、光路差調整層の線幅、高さなどの寸法を設定範囲に収まるよう精密に形成することができ、且つ、光路差調整層の側面の垂直性を良好に形成することができる。
従って、光路差調整層は正常に作用し、反射カラー表示の明度、彩度は良好なものとなる。また、波長380nm〜500nm付近の青色光の透過率が高く、反射カラー表示にて明度低下、黄色く色付くことのないカラーフィルタの製造方法となる。
【0027】
また、本発明は、光硬化性樹脂組成物が、光重合開始剤(C)としてα‐アミノアルキルフェノン系化合物を光重合開始剤(C)全重量の50重量%以上含有するので、光路差調整層の側面の垂直性をより良好に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明のカラーフィルタの製造方法を実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0029】
<実施例1>
〔光硬化性樹脂組成物(1)の調製〕
・アルカリ可溶性樹脂(分子量10000) 100重量部
・エチレン性不飽和化合物
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(分子量535)
150重量部
・イルガキュアー907 10重量部
・シクロヘキサノン 700重量部
上記の組成、比率で調製し光硬化性樹脂組成物(1)を得た。
【0030】
〔光路差調整層の形成〕
先ず、ガラス基板上に、膜厚1.8μmの樹脂ブラックマトリックス、及び透過表示の着色画素と、スルーホールを有する反射表示の着色画素を形成しカラーフィルタを得た。着色画素は赤色、緑色、青色の3色とし、膜厚は約1.8μmとした。
次に、上記光硬化性樹脂組成物(1)をカラーフィルタ上に膜厚が2.0μmとなるようにスピンコートし、90℃で5分間乾燥し塗布膜を形成した。この塗布膜に光路差調整層形成用のフォトマスクを介して、120mJ/cm2 の紫外線露光を行った。この際、フォトマスクと塗布膜との間隔(露光ギャップ)は、80μmとした。
続いて、アルカリ現像液を用いて塗布膜の現像を行った。この際、現像速度は5μm/分とした。水洗を行った後に230℃で20分間のベーキングを行ってカラーフィルタ上に光路差調整層を形成した。
【0031】
<実施例2>
実施例2においては、実施例1と同様な方法で、着色画素を形成しカラーフィルタ上に光硬化性樹脂組成物(1)を膜厚が2.0μmとなるようにスピンコートし、90℃で5分間乾燥し塗布膜を形成した。
次に、光路差調整層形成用のフォトマスクを介して、100mJ/cm2 の紫外線露光を行った。この際、フォトマスクと塗布膜との間隔(露光ギャップ)は、120μmとした。その後、実施例1と同様に現像、水洗、ベーキングを行ってカラーフィルタ上に光路差調整層を形成した。
【0032】
<実施例3>
実施例3においては、実施例1と同様な方法で、着色画素を形成しカラーフィルタ上に光硬化性樹脂組成物(1)を膜厚が2.0μmとなるようにスピンコートし、90℃で5分間乾燥し塗布膜を形成した。
次に、光路差調整層形成用のフォトマスクを介して、120mJ/cm2 の紫外線露光を行った。この際、フォトマスクと塗布膜との間隔(露光ギャップ)は、120μmとした。その後、実施例1と同様に現像、水洗、ベーキングを行ってカラーフィルタ上に光路差調整層を形成した。
【0033】
<比較例1>
比較例1においては、実施例1と同様な方法で、着色画素を形成しカラーフィルタ上に光硬化性樹脂組成物(1)を膜厚が2.0μmとなるようにスピンコートし、90℃で5分間乾燥し塗布膜を形成した。
次に、光路差調整層形成用のフォトマスクを介して、60mJ/cm2 の紫外線露光を行った。この際、フォトマスクと塗布膜との間隔(露光ギャップ)は、120μmとした。
その後、実施例1と同様に現像、水洗、ベーキングを行ってカラーフィルタ上に光路差調整層を形成した。
【0034】
<比較例2>
比較例2においては、実施例1と同様な方法で、着色画素を形成しカラーフィルタ上に光硬化性樹脂組成物(1)を膜厚が2.0μmとなるようにスピンコートし、90℃で5分間乾燥し塗布膜を形成した。
次に、光路差調整層形成用のフォトマスクを介して、150mJ/cm2 の紫外線露光を行った。この際、フォトマスクと塗布膜との間隔(露光ギャップ)は、120μmとした。その後、実施例1と同様に現像、水洗、ベーキングを行ってカラーフィルタ上に光路差調整層を形成した。
【0035】
<比較例3>
比較例3においては、実施例1と同様な方法で、着色画素を形成しカラーフィルタ上に光硬化性樹脂組成物(1)を膜厚が2.0μmとなるようにスピンコートし、90℃で5分間乾燥し塗布膜を形成した。
次に、光路差調整層形成用のフォトマスクを介して、120mJ/cm2 の紫外線露光を行った。この際、フォトマスクと塗布膜との間隔(露光ギャップ)は、150μmとした。その後、実施例1と同様に現像、水洗、ベーキングを行ってカラーフィルタ上に光路差調整層を形成した。
【0036】
<比較例4>
〔光硬化性樹脂組成物(2)の調製〕
・アルカリ可溶性樹脂(分子量10000) 100重量部
・エチレン性不飽和化合物
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(分子量535)
200重量部
・イルガキュアー907 50重量部
・シクロヘキサノン 700重量部
上記の組成、比率で調製し光硬化性樹脂組成物(2)を得た。
【0037】
〔光路差調整層の形成〕
比較例4においては、実施例1と同様な方法で、着色画素を形成しカラーフィルタ上に上記光硬化性樹脂組成物(2)を膜厚が2.0μmとなるようにスピンコートし、90℃で5分間乾燥し塗布膜を形成した。
次に、光路差調整層形成用のフォトマスクを介して、120mJ/cm2 の紫外線露光を行った。この際、フォトマスクと塗布膜との間隔(露光ギャップ)は、120μmとした。その後、実施例1と同様に現像、水洗、ベーキングを行ってカラーフィルタ上に光路差調整層を形成した。
【0038】
実施例1〜3、及び比較例1〜3で得られた光路差調整層の線幅、及び垂直性を観察した。図6に実施例3、及び比較例2で得られた光路差調整層のSEM断面写真を示す。
また、表1に光路差調整層の線幅、及び垂直性の評価結果を示す。線幅の設定値と実測値の差を線幅の太り量とした。線幅の評価は、1)太り量が1μm以下を良好(○印)、2)太り量が1μm以上を不良(×印)とした。
表1に示すように、線幅は実施例1〜3、及び比較例1において、良好な結果が得られている。
【0039】
垂直性の評価は、1)カラーフィルタ表面と光路差調整層側面とのなす角度が90度±10度(図5、6中のθ)以下を良好(○印)、2)カラーフィルタ表面と光路差調整層
側面とのなす角度が90度±10度(図5、6中のθ)以上を不良(×印)とした。
表1に示すように、線幅は実施例1〜3において、良好な結果が得られている。
すなわち、線幅、及び垂直性が共に良好な結果は、実施例1〜3において得られている。
【0040】
【表1】

表2に、オリンパス(株)製:顕微分光光度計(OSP−200)を用いて測定した光路差調整層の波長400nmにおける透過率を示す。表2に示すように、透過率は実施例1〜3において、良好な結果が得られている。
【0041】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0042】

【図1】半透過型液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの一例を示した平面図である。
【図2】図1に示すカラーフィルタを用いた半透過型液晶表示装置の断面を示す説明図である。
【図3】液晶層を通過する光路長の説明図である。
【図4】光路長の差による影響を回避する技法を用いたカラーフィルタの一例を示す断面図である。
【図5】光路差調整層の側面が垂直な状態に形成されず、側面が傾斜(θ)した状態に形成された例を示した断面図である。
【図6】実施例3、及び比較例2で得られた光路差調整層のSEM断面写真である。
【符号の説明】
【0043】
10・・・カラーフィルタ
11・・・ガラス基板
12・・・ブラックマトリックス
13・・・着色画素
13Re・・・反射表示の着色画素
13Tr・・・透過表示の着色画素
14、21・・・透明電極
15・・・反射表示の着色画素の着色部
16・・・スルーホール(開口部)
17・・・光路差調整層
20・・・TFT基板
22・・・反射電極
30・・・液晶
A・・・バックライトからの白色光
a・・・透過表示の着色画素を通過した色光
B・・・周囲からの外光
b・・・反射表示の着色画素を通過した色光
D1…着色層の厚さ
D2・・・反射表示の着色画素の平均厚さ
Px・・・1画素の領域
Re・・・反射表示領域
T1、T2・・・液晶層を通過する光路長
Tr・・・透過表示領域
W1、W2・・・光路差調整層として正常に作用しない部分
θ・・・光路差調整層の側面の傾斜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板上にブラックマトリックス、着色画素、光路差調整層が順次に形成されたカラーフィルタの製造方法において、
前記光路差調整層を形成する材料として、少なくともアルカリ可溶性ポリマー(A)、エチレン性不飽和化合物(B)、光重合開始剤(C)の3種を含有し、アルカリ可溶性ポリマー(A)、エチレン性不飽和化合物(B)、光重合開始剤(C)を重量比で1:X:Yに混合した光硬化性樹脂組成物であって、XとYの積が下記数式(1)を満たす光硬化性樹脂組成物を用いることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【数1】

【請求項2】
前記光硬化性樹脂組成物が、光重合開始剤(C)としてα‐アミノアルキルフェノン系化合物を光重合開始剤(C)全重量の50重量%以上含有することを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項3】
前記光硬化性樹脂組成物を用いて塗膜を形成し、露光、現像処理、230℃・20分焼成後の硬化した塗膜の膜厚が2.0μmの際に、波長400nmでの光透過率が95%以上であり、上記硬化した塗膜に250℃・60分追加焼成した後の波長400nmでの光透過率が90%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項4】
前記光硬化性樹脂組成物の塗膜への露光量が70〜140mJ/cm2 、塗膜とフォトマスクの間の露光ギャップが80〜120μm、アルカリ性現像液を用いての現像速度が3〜7μm/分、現像後の焼成が200〜250℃で10〜60分間であることを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3記載のカラーフィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−96622(P2008−96622A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277272(P2006−277272)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】