説明

カラーフィルタ用顔料分散体、カラーフィルタ用着色組成物及びカラーフィルタ用顔料分散体の製造方法

【課題】 カラーフィルタの製造に使用した場合に、高い輝度とコントラストが得られ、かつ分散安定性に優れた顔料分散体を得る。
【解決手段】 少なくとも顔料と溶媒と分散剤およびバインダー樹脂の少なくともいずれか一方とを含有してなる顔料分散体であって、前記分散体中に含まれる顔料の平均粒径が100nm以下であり、かつ動的光散乱法により測定された顔料粒径から得られたd10が30nm以上であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散安定性に優れた顔料分散体、およびこれを用いてなるコントラストの高いカラーフィルタ用着色組成物、並びに前記分散体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置などに用いられるカラーフィルタを製造する方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法が知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている。
【0003】
顔料分散法では、通常、まずガラス基板等の透明支持体上に、クロムや酸化クロム等の金属遮光膜によりブラックマトリクスを形成し、次いで、例えば赤色の顔料を分散させた着色組成物(以下、赤色、青色又は緑色の顔料を分散させた着色組成物を「カラーレジスト」と記載し、黒色顔料を分散させた着色組成物を「ブラックレジスト」と記載する場合がある)をスピンコート法等により全面に塗布し、マスクを介して露光し、露光後に現像を行って赤色の画素を形成する。同様の手順でカラーレジストの塗布、露光、現像を行うことにより、青色、緑色の画素を形成し、3色の画素を形成する。各画素間のブラックマトリクス部は凹(へこ)みとなるので、多くの場合、表面平滑化のために画素形成表面をエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂などの透明樹脂で被覆して保護膜を形成するが、このような保護膜を設けない場合もある。更に、この保護膜上にスパッタリングや真空蒸着等で、ITO(Indium Tin Oxide)膜等の透明導電膜を形成する。また、最近では、ブラックマトリクスの形成にも顔料分散法が採用される場合が多くなり、例えば、黒色顔料を分散させた着色組成物(ブラックレジスト)の塗布、露光、現像によりブラックマトリクスが形成される。
【0004】
近年、技術革新の流れは急速であり、液晶表示装置の大画面化、また、テレビ用途への拡大が急速に進んでいる。テレビ用途向けには、これまで以上に高輝度、高視野角が要求され、液晶駆動方式としては、例えばVA(垂直配向)方式やIPS(平面配向)方式といった視野角の広い方式が用いられる。一方、視野角を拡げると、それと反比例して輝度は低下する。このため、一般的には、この輝度の低下は、バックライトのランプ本数を増やすことにより補われる。しかし、バックライトの輝度が上がると、黒表示の際の漏れ光により、コントラストが低下し、画質の低下につながる場合がある。このため、カラーフィルタに対しては、これまで以上に消偏特性に優れ、コントラストが高いことが要求されている。
【0005】
顔料分散体の製造に好ましく用いられるビーズミルとしては、例えば特許文献1〜3に記載のものを挙げることができる。
【特許文献1】特開2006−000751号公報
【特許文献2】特開2006−007128号公報
【特許文献3】特開2006−212489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
着色組成物中に含まれる顔料の粒径が小さい程、得られる画素の輝度とコントラストが向上することは知られている。しかし、本発明者らの検討によると、例えば顔料分散工程により一次粒子が破砕した顔料が多数発生した場合、着色組成物の増粘が生じやすく、カラーフィルタの工業的製造上、却って問題となる可能性があることが判明した。
【0007】
そこで、本発明は、カラーフィルタの製造に使用した場合に、高い輝度とコントラストが得られ、かつ分散安定性に優れた顔料分散体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決するために、本発明者らは鋭意検討し、顔料の平均粒径が小さく、かつ一次粒子が破砕してなる超微粒子の含有量が低い顔料分散体を使用することにより、上記問題を解決できることを見出し、本発明に至った。また、特定のビーズミルを使用することにより、微小粒径のビーズを用いて顔料の分散処理を行うことを可能にし、1次粒子ごとに顔料が分散され、かつ一次粒子が破砕してなる超微粒子の含有量が低い、理想の顔料分散体に近い顔料分散体を得られることを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち本発明の要旨は、以下に存する。
【0010】
上記目的を解決するための本発明は、少なくとも顔料と溶媒と分散剤およびバインダー樹脂の少なくともいずれか一方とを含有してなる顔料分散体であって、前記分散体中に含まれる顔料の平均粒径が100nm以下であり、かつ動的光散乱法により測定された顔料粒径から得られたd10が30nm以上であることを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を解決するための別の本発明は、上記顔料分散体を含有するカラーフィルタ用着色組成物および上記顔料分散体の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カラーフィルタの製造に使用した場合に、高い輝度とコントラストが得られ、かつ分散安定性に優れた顔料分散体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の顔料分散体は、少なくとも溶媒および顔料と、分散剤およびバインダー樹脂のうち少なくとも一方を含有し、前記顔料の平均粒径が100nm以下であり、かつd10が30nm以上であることを特徴とする。
【0014】
なお本発明における顔料の平均粒径およびD10は、動的光散乱法(DLS)により測定された顔料粒径から求めた値である。粒径測定は、十分に希釈された顔料分散体(通常、顔料濃度0.005〜0.2重量%程度に調製。但し測定機器により推奨された濃度があれば、その濃度に従う)に対して行い、温度は25℃にて測定する。
【0015】
顔料の平均粒径は、好ましくは90nm以下であり、またd10は好ましくは40nm以上である。平均粒径が大きすぎると、コントラストの低下、表面粗度の悪化、欠陥の発生等の問題が生じる場合がある。またd10が小さすぎると、その顔料分散体は、一次粒子が破砕した顔料を多く含有していることになり、分散安定性が低くなる傾向、すなわち増粘する傾向がある。
【0016】
例えば、後述するビーズミルに代表される各種分散機などを用いて顔料分散体を調製した場合、使用するビーズ等の分散メディアと顔料との衝突エネルギーが大きすぎると、顔料の一次粒子が破砕し、非常に微細な顔料粒子が発生する。このような超微細な粒子が含まれていると、結果的に顔料の平均粒径は小さくなるが、顔料の表面積が増大し、分散安定性の低下、すなわち顔料分散体の増粘を招く。
【0017】
なお、顔料の一次粒子の破砕状態は、例えば、顔料を溶媒中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過電子顕微鏡(TEM)にて観測することができる。
【0018】
本発明の顔料分散体は、後述するように、特定のビーズミルを使用することにより好適に得ることができるが、通常一般のビーズミル、ペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等の分散機器を使用して得られた顔料分散体を遠心分離し、上澄みを除去することによりd10を調整し、粗大粒子を除去することにより平均粒径を調整して得ることもできる。この際、除去したい粒径に応じて、遠心力を調整すればよい。
【0019】
以下に、顔料分散体を製造する上で好ましく使用することが可能な顔料、溶媒、分散剤等について説明する。
【0020】
本発明を実施する上で使用可能な顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。なお、以下に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0021】
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、254を挙げることができる。
【0022】
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6を挙げることができる。
【0023】
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36を挙げることができる。
【0024】
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180を挙げることができる。
【0025】
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79を挙げることができる。この中でも、好ましくは、C.I.ピグメン
トオレンジ38、71を挙げることができる。
【0026】
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23を挙げることができる。
【0027】
なお、上述の各種の顔料は、複数種を併用することもできる。例えば、色度の調整のために、顔料として、緑色顔料と黄色顔料とを併用したり、青色顔料と紫色顔料とを併用したりすることができる。
【0028】
本発明の顔料分散体全体に占める顔料の含有量は、特に制限はないが、その上限は通常30重量%以下とする。顔料が30重量%を超える場合は、顔料分散体の粘度が高くなる傾向があり、小粒径のビ−ズが使用できなくなる可能性がある。一方、顔料含有量の下限は、通常5重量%以上、好ましくは8重量%以上、更に好ましくは10重量%以上である。
【0029】
本発明を実施する上で使用可能な溶媒の具体例を以下に示す。溶媒は、顔料、分散剤のほか、場合により配合したそれ以外の成分などを溶解又は分散させ、粘度を調節する機能を有する。
【0030】
かかる溶媒としては、各成分を溶解または分散させることができるものであればよく、沸点が100〜300℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜170℃の沸点をもつものである。
【0031】
このような溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
エチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;
シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;
アミルエーテル、プロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノールグリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等が挙げられる。
【0032】
上記に該当する市販の溶媒としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
カラーフィルタ用着色組成物を製造するための顔料分散体を製造するために用いる場合、上記溶媒中、塗布性、表面張力などのバランスが良く、顔料分散帯の組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点から、グリコールアルキルエーテルアセテート類を用いることが好ましい。
【0034】
また、グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよいが、他の溶媒を併用してもよい。併用する溶媒として、特に好ましいのはグリコールモノアルキルエーテル類である。中でも、特に組成物中の構成成分の溶解性からプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。なお、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、添加量が多すぎると顔料が凝集しやすく、後に得られる顔料分散体の粘度が上がっていくなどの保存安定性が低下する傾向があるので、溶媒中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は5重量%〜30重量%が好ましく、5重量%〜20重量%がより好ましい。
【0035】
本発明の顔料分散体全体に占める溶媒の含有量は、特に制限はないが、その上限は通常99重量%以下とする。溶媒が99重量%を超える場合は、顔料、分散剤などが少なくなり過ぎて、例えばカラーフィルタ用着色組成物を製造するための顔料分散体として用いた場合、塗布膜の形成性が低下する傾向がある。一方、溶媒含有量の下限は、塗布に適した粘性などを考慮して、通常75重量%以上、好ましくは80重量%以上、更に好ましくは82重量%以上である。
【0036】
本発明の顔料分散体は、必要に応じて、分散剤およびバインダー樹脂の少なくともいずれか一方を含有する。
【0037】
本発明を実施する上で、分散剤としては既存の分散剤を使用可能である。好ましくは、3級アミノ基などの塩基性官能基を有する高分子分散剤が挙げられ、例えば、特開2006−343648号公報に記載の各種分散剤などを使用することができる。
【0038】
なお、分散剤の含有量は、顔料分散体に含まれる顔料全量に対し、通常75重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは25重量%以下であり、また通常5重量%以上、好ましくは8重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。分散剤が多すぎる場合には、後述するカラーフィルタ用着色組成物に適用した場合に、得られる画素の膜強度が低下する可能性があり、また少なすぎる場合には、顔料分散機能が不十分となる場合がある。
【0039】
また本発明の顔料分散体は、上述した分散剤の代わりに、或いは分散剤とともに、バインダー樹脂を含有していても良い。バインダー樹脂としては、既存の熱硬化性樹脂や、光重合性樹脂など特に制限させることなく使用することができる。バインダー樹脂は、顔料分散液中の顔料全量に対して5〜200重量%程度使用することが好ましく、10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
【0040】
カラーフィルタ用着色組成物を製造する場合、バインダー樹脂を使用した顔料分散体を含有させる場合であっても、通常は、さらにバインダー樹脂を配合させる。使用可能なバインダー樹脂としては、前述の顔料分散体が含有しうるバインダー樹脂と同様、既存の熱硬化性樹脂や光重合性樹脂など特に制限されること無く使用することができる。
【0041】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物において、バインダー樹脂の含有割合は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上であり、また、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下である。バインダー樹脂の含有量がこの範囲よりも少ないと、膜が脆くなり、基板への密着性が低下することがある。逆に、この範囲よりも多いと、露光部への現像液の浸透性が高くなり、画素の表面平滑性や感度が悪化する場合がある。
【0042】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、更に、必要に応じバインダー樹脂以外の成分を配合できる。このような成分としては、光重合性モノマー、光重合開始剤、有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物、界面活性剤、熱重合防止剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤、染料等が挙げられる。
【0043】
さらに、顔料分散体を製造するために、顔料、溶媒、上述した分散剤およびバインダー樹脂の少なくともいずれか一方にプラスして、顔料誘導体などの分散助剤や他の添加剤などを使用することができる。
【0044】
本発明の顔料分散体は、特定のビーズミルを用いることにより、好適に得ることができる。
【0045】
以下に、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0046】
本発明の顔料分散体を製造するためのビーズミルは、溶媒、その溶媒に分散させる顔料、並びに分散剤およびバインダー樹脂の少なくともいすれか一方を供給する供給口と、前記溶媒に前記顔料が分散した顔料分散体を排出する排出口とを有したべセルを備えている。そして、ビーズミルの設置面と平行方向に第1の回転軸を有し、ベセル内においてその第1の回転軸の延長線上に環状空間を有する円筒形状を構成するローターを備えている。さらに、ビーズミルの設置面と平行方向に第2の回転軸を有し、ベセル内においてその第2の回転軸に沿う方向に排出口に通じる開口部と前記開口部を覆うスクリーンとが形成された排出管を備えている。そして、ローター用モーターと、ローターの回転速度よりも速い回転速度で回転駆動することが可能な排出管用モーターとを備えている。
【0047】
このような、いわゆる横型のビーズミルとすることで、分散させる顔料とビーズとを効率的に衝突させることができる。図3及び図4は、本発明のビーズミルが分散させる顔料とビーズとを効率的に衝突させることができることを説明するための図である。図3は分散処理の開始直前における横型のビーズミルのベゼルの断面図を表しており、図4は分散処理の開始直前における縦型のビーズミルのベゼルの断面図を表している。図3及び図4で示されるように、分散処理の開始直前はビーズ9がベセル3の下部に集まっている。これは、一般的に溶媒より比重の大きいビーズ9が重力の影響によりベセル3の下部に集まるためである。このような状態から分散処理を開始すると、図3のビーズミルでは、ベセル3の下部に集まっているビーズ9を円筒形のローター5が持ち上げることによりベゼル全体で効率的にビーズ9を撹拌できる。これに対し、図4のビーズミルでは、ベセル3の下部でビーズ9を撹拌することとなり効率的な撹拌ができない。このため、本発明のビーズミルは分散させる顔料とビーズとを効率的に衝突させることができる。なお、図3及び図4の白抜きの矢印は顔料、溶媒及び分散剤からなる液(または顔料分散体)の流れを示している。
【0048】
また、本発明の顔料分散体を製造するためのビーズミルは、排出口に通じる開口部とこれを覆うスクリーン15とが形成された排出管6の回転速度をローター5の回転速度よりも速くすることが可能である。このような構成とすることにより、分散させる顔料とビーズとの衝突エネルギーが高くなりすぎることなく、微小粒径のビーズを用いてもビーズと顔料分散体とを分離することが可能になる。すなわち、開口部から顔料分散体が排出される際に、スクリーン15表面にビーズが貼りついて、排出を阻害するという問題を解決するには、排出管6の回転速度は速い方が好ましいが、ローター5の回転速度が速すぎると、ビーズと顔料粒子との衝突エネルギーが高くなりすぎる傾向があり、顔料の一次粒子が破砕する可能性がある。従って、ローター6と排出管6の回転速度は個別に制御可能であることが好ましい。
【0049】
図3のビーズミルでは、ローター5の回転速度よりも排出管6の回転速度を高くしている。こうすることで、ローターの回転速度を高くしすぎることで分散させる顔料とビーズとの衝突エネルギーが高くなりすぎるのを防止している。また、排出管の回転速度を高くすることで、スクリーンに貼りつく微小粒径のビーズを強い遠心力により遠心分離し、ビーズと顔料分散体とを分離しやすくしている。
【0050】
なお、排出管6の回転速度(rpm換算)はローター5の1.2倍以上であることが好ましく、1.5倍以上がより好ましい。
【0051】
図1は、本発明の好ましい実施形態で用いられるビーズミルの概略図である。
【0052】
図1に示されるビーズミルは、溶媒とその溶媒に分散させる顔料と分散剤とを供給する供給口1と、溶媒に顔料が分散した顔料分散体を排出する排出口2とを有した前記顔料を前記溶媒に分散させるためのべセル3を備えている。また、ベセル3は冷却ジャケット4により覆われている。ベセル内には、ローター5と、ローター5と対向するように排出管6とが設けられており、それぞれの回転軸である分散軸7と遠心分離軸8とがビーズミルの設置面と平行方向であって一直線上に形成されるように設けられている。また、ベセル内には、ビーズ9が入れられている。
【0053】
ローター5は、伝導ベルト10及びプーリー11を介してローター用モーター12の回転駆動が伝えられて回転駆動する。ローター5の回転駆動により、ビーズ9及び顔料、溶媒、分散剤は撹拌される。ベセル3とローター5の分散軸7との間には、ベアリング13とシール部材である軸シール14とが設けられている。
【0054】
排出管6の開口部にはスクリーン15が設けられており、排出管6はこのスクリーン15に貼り付いたビーズ9及び顔料などを遠心分離により外すために排出管用モーター16により回転駆動する。ベセル3と排出管6の遠心分離軸8との間には、ベアリング17とシール部材である軸シール18とが設けられている。
【0055】
図2は、図1のビーズミルにおけるベセル内での溶媒、顔料及び分散剤からなる液(または顔料分散体)の流れを示す図である。図2は、図1のビーズミルのベセル部分を拡大した図であり、図中の矢印が液の流れを示している。例えば、容量3〜10Lのビーズミルに、粘度10〜20mPa・sである液を、循環流量300〜1500kg/hで分散処理することが好ましい。
【0056】
なお、本実施形態のビーズミルにおいて使用するビーズは、直径0.02mm以上0.10mm以下のものが好ましい。この範囲のビーズを用いることで、顔料とビーズとの衝突エネルギが高くなりすぎず、顔料とビーズとの衝突回数が多い分散処理が可能になるためである。また、例えば、ジルコニアのビーズが好ましく用いられるが、他の材質のビーズを使用することもできる。
【0057】
また、好ましいローターの回転速度は、通常周速3m/s以上15m/s以下程度であり、好ましい排出管の回転速度は、通常周速6m/s以上20m/s以下程度である。
【0058】
排出管の回転速度が速すぎる、すなわちスクリーン15の回転数が高すぎると、発熱により顔料分散体の温度が上がったり、遠心力により送り圧が高くなる傾向がある。
【0059】
また、スクリーンとしてはメッシュタイプのフィルタが好ましく用いられる。特に孔径は使用するビ−ズ径の20〜70%径程度が好ましく、例えば0.05mmビ−ズを用いた場合、スクリ−ンの孔径が10μm以上35μm以下のものが好ましく用いられる。
【0060】
本実施形態のビーズミルは、特にカラーフィルタ用着色組成物を製造するための顔料分散体を製造するのに適している。カラーフィルタには、より高透過率、高コントラスト且つ高色濃度が要求されている。このようなカラーフィルタを形成するためには、顔料の粒子径が小さく、顔料の一次粒子の破砕が少ないことで安定性に優れた顔料分散体が要求される。このため、カラーフィルタ用着色組成物を製造するための顔料分散体は、特に、顔料とビーズとの衝突エネルギが高くなりすぎず、顔料とビーズとの衝突回数が多い分散処理により製造されたものが要求される。
【0061】
以下に、上記図1のビーズミルを用いて製造した顔料分散体の実施例について述べる。
【0062】
上記図1のビーズミル及び市販のビーズミル(浅田鉄工社製「ナノミル NM−G5M」及び「ピコミル PCMH−C5M」)を用いて、以下の条件で実施例1、比較例1、参考例1及び2の顔料分散体を製造した。実施例1、参考例1及び2では、上記図1のビーズミルを用いて顔料分散体を製造し、比較例1では、上記市販のビーズミルを用いて顔料分散体を製造した。参考例1では排出管の回転速度をローターの回転速度と同一とし、参考例2では排出管の回転速度をローターの回転速度よりも遅くした。
【0063】
なお、実施例1、比較例1、参考例1および2における顔料分散体の組成は同じであり、いずれも以下の表1の通りである。
【0064】
【表1】

【0065】
また、上記図1のビーズミルとして、メッシュの孔径が25μmで外径が114mmのスクリーン、直径(外径)が195mmで、内径が135mmのローター、内径が220mmのベセルを備えたビーズミルを使用した。また、分散処理時間は、それぞれにおいてRetention time(実効分散時間:塗料がベッセル内に滞留している時間)5、10、20、30分とした。
【実施例1】
【0066】
ビーズミル:図1のビーズミル
ビーズ:ジルコニア、直径0.05mm、重量0.0004mg
ローターの回転速度:周速6m/s(588rpm)
排出管の回転速度:周速8m/s(1337rpm)
[比較例1]
ビーズミル:浅田鉄工社製「ナノミル NM−G5M」
ビーズ:ジルコニア、直径0.50mm、重量0.39mg
ローター(ディスク径126mm)の回転速度:周速10m/s (1213rpm)
排出管の回転速度:無回転
[比較例2]
ビーズミル:浅田鉄工社製「ピコミル PCMH−C5M」
ビーズ:ジルコニア、直径0.10mm、重量0.39mg
ローターの回転速度:周速8m/s(783rpm)
排出管の回転速度:ロ−タ−と同回転。周速4.7m/s(783rpm)
[参考例1]
ビーズミル:図1のビーズミル
ビーズ:ジルコニア、直径0.05mm、重量0.0004mg
ローターの回転速度:周速 8m/s(783rpm)
排出管の回転速度: 周速10m/s(1670rpm)
[参考例2]
ビーズミル:図1のビーズミル
ビーズ:ジルコニア、直径0.05mm、重量0.0004mg
ローターの回転速度:周速 8m/s( 783rpm)
排出管の回転速度: 周速 6m/s(1003rpm)
上記実施例1、比較例1、参考例1及び2の顔料分散体の、DLSにて測定した顔料平均粒径およびd10は以下の表2の通りである。
【0067】
【表2】

【0068】
なお、DLSによる測定は、以下の条件で行った。顔料分散体は、顔料濃度が0.01重量%になるように3−メトキシブチルアセテート溶媒で希釈した。DLS測定装置は大塚電子製「FPAR−1000」を用い、測定は25℃で行った。その他、測定に必要な溶媒の屈折率(25℃)は溶媒の主成分である3−メトキシブチルアセテートの値(1.407)を用いた。
【0069】
上記実施例1、比較例1、参考例1及び2の顔料分散体の粘度とコントラストとの関係を図5に示す。なお、粘度が低いほど1次粒子よりも細かく顔料が破砕された顔料が少なく、コントラストが高いほど1次粒子ごとに細かく顔料が分散されたことを示している。つまり、粘度が低くコントラストが高いほど理想の顔料分散体に近いことを示している。特にカラーフィルタ用着色組成物を製造するための顔料分散体としては、粘度が6.0mPa・sであることが望まれている。
【0070】
顔料分散体の粘度は、E型粘度計(BROOKFIELD社製「DV−III ULTRA」)を用いて測定した。またコントラストは、顔料分散体と光重合性アクリル樹脂、および光重合開始剤を含有させてなるカラーフィルタ用着色組成物を調製し、これをガラス基板上にスピンコートすることにより得られた着色板を用いて、以下の方法にて測定した。
【0071】
<着色板を用いた着色組成物のコントラスト測定>
図6(a)及び(b)は、いずれも、着色板の平行透過光および直交透過光の色度を測定する方法を説明するための模式的な図である。まず、図6(a)に示すように、着色板34(カラーフィルタに相当)の両側に偏光板33及び35を重ねて、偏光板33及び35の偏光軸を互いに平行にした状態で、一方の偏光板35の側からバックライト37の光36を当てて、他方の偏光板33を透過した光の輝度Lp(平行透過光の輝度)を色彩輝度計トプコンテクノハウス製「BM−5A」32を使用して、2゜視野の条件で測定した。
【0072】
次に、図6(b)に示すように、偏光板33及び35の偏光軸を互いに直交させた状態で、一方の偏光板35側からバックライト37の光36を当て、他方の偏光板33を透過した光の輝度Lc(直交透過光の輝度)を、色彩輝度計32にて上記Lpと同様に測定した。
【0073】
なお、バックライト37は、図7に示すような発光スペクトルを有るものを用いた。このスペクトルの測定は、コニカミノルタ製分光放射輝度計CS−1000Aと、光量を制御し、測定を容易にするため、ケンコー社製のフィルター「NDフィルターND4」を用いて測定し算出した。また、偏光板33及び35は、図8のスペクトル特性を持つものを用いた。
【0074】
上記、着色組成物のコントラストは、平行透過光の輝度Lpと直交透過光の輝度Lcから式Lp/Lcを用いて算出し、上記塗布基板の代わりに素ガラスを用いて測定したときのブランク値は12800であった。
【0075】
なお、比較例1の顔料分散体は、図5の粘度及びコントラストの範囲に入らず、この範囲よりもコントラストが低く粘度が高かったため図5には表示されていない。
【0076】
図5の実施例1、参考例1及び2の顔料分散体の粘度とコントラストとの関係において、それぞれは分散処理時間が32、40、48、56分に対応する4点で表されており、それぞれにおいて分散処理時間が長くなるほど粘度及びコントラストが高くなっている。これは、分散処理時間が長くなるほど顔料の分散が進むと共に1次粒子よりも細かく破砕された顔料が生じてくるためである。
【0077】
図5から明らかなように実施例1の顔料分散体は、比較例1および2の顔料分散体に比べてはるかに理想の顔料分散体に近く、参考例1及び2の顔料分散体に比べても理想の顔料分散体に近くなっていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の好ましい実施形態で用いられるビーズミルの概略図である。
【図2】図1のビーズミルにおけるベセル内での溶媒、顔料及び分散剤からなる液の流れを示す図である。
【図3】分散処理の開始直前における横型のビーズミルのベゼルの断面図を表す図である。
【図4】分散処理の開始直前における縦型のビーズミルのベゼルの断面図を表す図である。
【図5】顔料分散体の粘度とコントラストとの関係を示す図である。
【図6】着色板の平行透過光および直交透過光の色度を測定する方法を説明するための模式的な図である。
【図7】実施例におけるコントラストの測定に使用した光源の発光スペクトルを表わす図である。
【図8】実施例におけるコントラストの測定に用いた偏光板の特性を示すスペクトル図である。
【符号の説明】
【0079】
1 供給口
2 排出口
3 ベセル
4 冷却ジャケット
5 ローター
6 排出管
7 分散軸
8 遠心分離軸
9 ビーズ
10 伝導ベルト
11 プーリー
12 ローター用モーター
13 ベアリング
14 軸シール
15 スクリーン
16 排出管用モーター
17 ベアリング
18 軸シール
32 色彩輝度計
33、35 偏光板
34 着色板
36 光
37 バックライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも顔料と溶媒と、分散剤およびバインダー樹脂の少なくともいずれか一方とを含有してなる顔料分散体であって、
前記顔料分散体中に含まれる顔料の平均粒径が100nm以下であり、かつ動的光散乱法により測定された顔料粒径から得られたd10が30nm以上であることを特徴とする顔料分散体。
【請求項2】
前記顔料と前記溶媒と前記分散剤およびバインダー樹脂の少なくともいずれか一方とを供給する供給口と前記溶媒に前記顔料が分散した顔料分散体を排出する排出口とを有した前記顔料を前記溶媒に分散させるためのべセルを備えたビーズミルを用いて製造された請求項1に記載の顔料分散体であって、
前記ビーズミルは、
前記ビーズミルの設置面と平行方向に第1の回転軸を有し、前記ベセル内において前記第1の回転軸の延長線上に環状空間を有する円筒形状を構成するローターと、
前記ローターを回転駆動するローター用モーターと、
前記ビーズミルの設置面と平行方向に第2の回転軸を有し、前記ベセル内において前記第2の回転軸に沿う方向に前記排出口に通じる開口部と前記開口部を覆うスクリーンとが形成された排出管と、
前記排出管を前記ローターの回転速度よりも速い回転速度で回転駆動することが可能な排出管用モーターと、
を備え、
前記排出管を前記ローターの回転速度よりも速い回転速度で回転駆動して製造されたことを特徴とする顔料分散体。
【請求項3】
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸とが一直線上に設けられ、
前記開口部は、前記円筒形状の内側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の顔料分散体。
【請求項4】
前記ローターと前記排出管とは、対向するように設けられていることを特徴とする請求項3に記載の顔料分散体。
【請求項5】
直径が0.02mm以上0.10mm以下のビーズが用いられることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の顔料分散体。
【請求項6】
前記ローターの回転速度は周速3m/s以上15m/s以下であり、
前記排出管の回転速度は周速6m/s以上20m/s以下であることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の顔料分散体。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の顔料分散体を含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項8】
溶媒と、前記溶媒に分散させる顔料と、分散剤およびバインダー樹脂の少なくともいずれか一方とを供給する供給口と、前記溶媒に前記顔料が分散した顔料分散体を排出する排出口とを有した前記顔料を前記溶媒に分散させるためのべセルを備えたビーズミルを用いて製造する顔料分散体の製造方法であって、
前記ビーズミルの設置面と平行方向に第1の回転軸を有し、前記ベセル内において前記第1の回転軸の延長線上に環状空間を有する円筒形状を構成するローターと、
前記ローターを回転駆動するローター用モーターと、
前記ビーズミルの設置面と平行方向に第2の回転軸を有し、前記ベセル内において前記第2の回転軸に沿う方向に前記排出口に通じる開口部と前記開口部を覆うスクリーンとが形成された排出管と、
前記排出管を前記ローターの回転速度よりも速い回転速度で回転駆動することが可能な排出管用モーターと、を備えた前記ビーズミルを用い、
前記排出管を前記ローターの回転速度よりも速い回転速度で回転駆動して、平均粒径が100nm以下であり、かつ動的光散乱法により測定された顔料粒径から得られたd10が30nm以上の顔料分散体を製造することを特徴とする顔料分散体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−235263(P2009−235263A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84046(P2008−84046)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【出願人】(591111868)浅田鉄工株式会社 (11)
【Fターム(参考)】