説明

カラープリンタ

【課題】カラーセンサの経時変化の影響をなくして、プリンタのキャリブレーションを正確に行うことができるようにすることである。
【解決手段】ロール紙1の搬送経路に、搬送面を挟み込むように反射パッチ21をカラーセンサ20と対向配置し、カラーセンサ20の発光部からの白色光を反射パッチ21で反射させて、その反射光をフィルタを介して受光部で受光し、3原色の濃度を測定して、カラーセンサ20自体のキャリブレーションを行うことにより、カラーセンサ20の経時変化の影響をなくして、プリンタのキャリブレーションを正確に行うことができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラープリンタに関し、特に、キャリブレーション用のカラーセンサを備えたカラープリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタ、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ等のカラープリンタには、プリンタの経時変化、記録紙の感度ばらつき、環境条件等によってカラーの印刷濃度や階調性等のカラー印刷特性が変化する。このため、このようなカラー印刷特性の変化を補正するキャリブレーションを行うために、分光特性を具備するカラーセンサ(濃度計ともいう)を備えたものが多い(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1、2に記載されたものでは、記録紙にテストパターンを印刷し、印刷されたテストパターンにおけるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色の3原色の濃度をカラーセンサで測定し、測定した各色の濃度を基準濃度と比較して、基準濃度と合致させるように、プリンタヘッドに供給するエネルギ量を調整するキャリブレーションを行っている。例えば、サーマルプリンタでは、サーマルヘッドに供給する熱エネルギを調整している。なお、カラーセンサは発光部と受光部を有し、発光部から白色光を発光させ、テストパターンが印刷された記録紙からの反射光を、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各色成分に対応するフィルタを介して受光部で受光し、各色成分(波長)の強度を受光部のフォトダイオードで検出することにより、色の3原色の濃度を測定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−194358号公報
【特許文献2】特開2000−255108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載されたカラーセンサを用いてキャリブレーションを行うカラープリンタは、カラーセンサ自体が経時変化によって、発光部や受光部等の特性が変化する。このため、このカラーセンサの経時変化がプリンタのキャリブレーションに影響し、正確なキャリブレーションを阻害する問題がある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、カラーセンサの経時変化の影響をなくして、プリンタのキャリブレーションを正確に行うことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、発光部から白色光を発光させ、該白色光の反射光を各色成分に対応するフィルタを介して受光部で受光し、色の3原色の濃度を測定するキャリブレーション用のカラーセンサを備え、搬送経路を搬送される記録紙にカラー印刷を施すカラープリンタにおいて、前記カラーセンサの前記発光部からの白色光を反射させて、前記受光部へ入射させる反射パッチを設け、この反射パッチからの反射光を前記フィルタを介して前記受光部で受光し、前記カラーセンサ自体のキャリブレーションを行う構成を採用した。
【0008】
すなわち、カラーセンサの発光部からの白色光を反射させて、受光部へ入射させる反射パッチを設け、この反射パッチからの反射光をフィルタを介して受光部で受光し、カラーセンサ自体のキャリブレーションを行うことにより、カラーセンサの経時変化の影響をなくして、プリンタのキャリブレーションを正確に行うことができるようにした。
【0009】
前記反射パッチは、白色光の各色成分を均等に反射し、反射効率の高いものが好ましく、例えば、紙やプラスチック製等の白色板、鏡面仕上げの金属板、鏡等を用いるとよい。
【0010】
前記カラーセンサ自体のキャリブレーションを行うときに、前記搬送経路の搬送面を挟み込むように前記反射パッチを前記カラーセンサと対向配置し、前記カラー印刷を施すときに、前記反射パッチを該反射パッチの反射面を保護する保護手段が設けられた位置に移動させるか、または前記保護手段を該反射パッチの反射面を保護する位置に移動させることにより、反射パッチの反射面に紙粉やインク等が付着しないようにし、反射効率の低下や白色反射光への外乱を防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るカラープリンタは、カラーセンサの発光部からの白色光を反射させて、受光部へ入射させる反射パッチを設け、この反射パッチからの反射光をフィルタを介して受光部で受光し、カラーセンサ自体のキャリブレーションを行うようにしたので、カラーセンサの経時変化の影響をなくして、プリンタのキャリブレーションを正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】カラープリンタの実施形態を示す縦断面図
【図2】図1のカラーセンサと反射パッチの配置部を拡大して示す断面図
【図3】図2のカラーセンサの構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。このカラープリンタはサーマルプリンタであり、図1に示すように、記録紙のロール紙1を給紙部に装填するリール2と、ロール紙1の外周を押さえる押さえローラ3と、リール2から搬送経路に送り出されるロール紙1を案内する一対のガイドローラ4と、ロール紙1を印刷部に送り込むフィードローラ5と、フィードローラ5にロール紙1を押し付けるピンチローラ6と、一対のボビン7aに巻回されたインクリボン7と、ロール紙1に印刷を施すサーマルヘッド8と、サーマルヘッド8と対向するプラテンローラ9と、印刷されたロール紙1を所定の長さに切断するカッタ10とで基本的に構成されており、切断されたロール紙1は、ケーシング11の前面に設けられた排紙口11aから外部に排出される。
【0014】
図1および図2に示すように、前記ロール紙1の搬送経路には、印刷部の下流側で、カラーセンサ20と反射パッチ21が搬送面の上下に対向するように配置されている。この搬送経路の上下両側には、ロール紙1を案内する上下のガイド部材12a、12bが設けられ、これらのガイド部材12a、12bの上下に対向する位置に、それぞれ窓13a、13bが形成されている。
【0015】
前記上ガイド部材12aの窓13aの部分には、カラーセンサ20が下向きに配置され、下ガイド部材12bの窓13bの下側には、反射パッチ21が反射面21aを上向きにして、カラーセンサ20と対向するように配置されており、後述するカラーセンサ20の発光部20aから発光される白色光が、反射パッチ21の反射面21aで反射されて、受光部20bで受光されるようになっている。
【0016】
前記反射パッチ21はプラスチック製の白色板で形成されており、カラー印刷を施すときには、図2中に二点鎖線で示すように、下ガイド部材12bの窓13bの位置から横方向に移動して、反射面21aが保護手段としての下ガイド部材12bで保護されるようになっている。
【0017】
図3に示すように、前記カラーセンサ20は、白色光を発光する発光部20aと、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各色成分に対応するフィルタ20cと、フィルタ20cを介して発光部20aからの光を受光する受光部20bとからなり、受光した光の各色成分(波長)の強度を受光部20bのフォトダイオードで検出することにより、色の3原色の濃度を測定する。測定された3原色の濃度は、A/D変換によりディジタル値に変換される。プリンタのカラー印刷特性のキャリブレーションを行うときは、テストパターンを印刷したロール紙1に発光部20aから白色光を照射し、その反射光をフィルタ20cを介して受光部20bで受光し、測定される各色の濃度を変換したディジタル値を、テストパターン用の基準濃度のディジタル値と比較し、サーマルヘッド8に供給する熱エネルギを調整する。
【0018】
前記カラーセンサ20自体のキャリブレーションを行うときは、前記搬送経路にロール紙1がない状態で、発光部20aからの白色光を反射パッチ21の反射面21aで反射させ、その反射光をフィルタ20cを介して受光部20bで受光して、3原色の濃度を測定する。そして、これらの測定された各色の濃度を変換したディジタル値を、センサキャリブレーション用の基準濃度のディジタル値と比較し、発光部20aから発光する白色光の光量を調整する。各受光部20bの感度を調整するようにしてもよい。
【0019】
上述した実施形態では、反射パッチをプラスチック製の白色板としたが、反射パッチは他の白色板、鏡面仕上げの金属板、鏡等とすることもできる。
【0020】
上述した実施形態では、カラー印刷時に反射パッチを移動させて、搬送経路のガイド部材を利用した保護手段で反射面を覆うようにしたが、反射パッチを固定して、移動する保護手段で反射面を覆うようにしてもよい。
【0021】
上述した実施形態では、カラープリンタをサーマルプリンタとしたが、本発明に係るカラープリンタは、インクジェットプリンタやレーザプリンタにも適用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 ロール紙
2 リール
3 押さえローラ
4 ガイドローラ
5 フィードローラ
6 ピンチローラ
7 インクリボン
7a ボビン
8 サーマルヘッド
9 プラテンローラ
10 カッタ
11 ケーシング
11a 排紙口
12a、12b ガイド部材
13a、13b 窓
20 カラーセンサ
20a 発光部
20b 受光部
20c フィルタ
21 反射パッチ
21a 反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部から白色光を発光させ、該白色光の反射光を各色成分に対応するフィルタを介して受光部で受光し、色の3原色の濃度を測定するキャリブレーション用のカラーセンサを備え、搬送経路を搬送される記録紙にカラー印刷を施すカラープリンタにおいて、前記カラーセンサの前記発光部からの白色光を反射させて、前記受光部へ入射させる反射パッチを設け、この反射パッチからの反射光を前記フィルタを介して前記受光部で受光し、前記カラーセンサ自体のキャリブレーションを行うことを特徴とするカラープリンタ。
【請求項2】
前記カラーセンサ自体のキャリブレーションを行うときに、前記搬送経路の搬送面を挟み込むように前記反射パッチを前記カラーセンサと対向配置し、前記カラー印刷を施すときに、前記反射パッチを該反射パッチの反射面を保護する保護手段が設けられた位置に移動させるか、または前記保護手段を該反射パッチの反射面を保護する位置に移動させるようにした請求項1に記載のカラープリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−86502(P2013−86502A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232417(P2011−232417)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】