説明

カラーレジスト塗布ムラ検査装置

【課題】カラーレジストに感光作用を及ぼすことなく、カラーレジストの塗布状態の撮像、検査が可能なカラーレジスト塗布ムラ検査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】すくなくとも、可視光に受光感度を有する撮像部20と、可視光を照射できる照明部10と、撮像側バンドパスフィルター40と、照明側バンドパスフィルター30と、前記撮像部20から取り込んだ画像からカラーレジスト塗布ムラを抽出、判定するための演算機能を有する画像解析部60と、判定された結果及びムラ画像を表示する表示部70とから構成されていることを特徴とするカラーレジスト塗布ムラ検査装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラーレジストの塗布ムラを検査するためのカラーレジスト塗布ムラ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカラーレジストムラ検査装置は、可視光波長での検査装置であるか、もしくは特定波長範囲のみの撮像、検査であっても、カラーレジストの透過率波長特性及び感光波長特性が考慮されていない特定波長範囲での検査装置であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−142101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の検査装置では、カラーレジストの感光波長特性が考慮されておらず、パターン露光工程(感光工程)の前段階において、従来の検査装置を用いると、検査装置の照明光にてカラーレジストが一部感光されるため、パターン露光、現像等のパターニング処理で、所定のパターン形状、精度が得られなという問題を有している。
【0005】
また、カラーレジスト塗布ムラは元来非常にコントラストが薄いものであり、ムラの強調(ムラ部のコントラスト改善)を行わないと、ムラの検査が非常に困難であると言う問題があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み考案あされたもので、カラーレジストに感光作用を及ぼすことなく、カラーレジストの塗布状態の撮像、検査が可能なカラーレジスト塗布ムラ検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を達成するために、まず請求項1においては、すくなくとも、可視光に受光感度を有する撮像部20と、可視光を照射できる照明部10と、撮像側バンドパスフィルター40と、照明側バンドパスフィルター30と、前記撮像部20から取り込んだ画像からカラーレジスト塗布ムラを抽出、判定するための演算機能を有する画像解析部60と、判定された結果及びムラ画像を表示する表示部70とから構成されていることを特徴とするカラーレジスト塗布ムラ検査装置としたものである。
【0008】
また、請求項2においては、前記撮像側バンドパスフィルター40及び照明側バンドパスフィルター30はカラーレジストの透過率波長特性及び感光波長特性に応じて交換可能なバンドパス交換手段50を具備していることを特徴とする請求項1記載のカラーレジスト塗布ムラ検査装置としたものである。
【発明の効果】
【0009】
上記したように、本発明のカラーレジスト塗布ムラ検査装置によれば、カラーレジストに感光作用を及ぼすことなく、感光工程前段階(塗布工程直後)において、カラーレジスト塗布基板の塗布ムラを高精度に撮像、検査することが可能となる。
また、カラーレジスト塗布工程直後に塗布ムラとして判定された位置及びそのムラ画像を作業者に通知することにより、ムラの発生状況が迅速、高精度に把握可能となり、カラーレジスト塗布工程の敏速なる品質対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の本発明のカラーレジスト塗布ムラ検査装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】本発明の本発明のカラーレジスト塗布ムラ検査装置の一実施例を示す説明図である。
【図3】本発明の本発明のカラーレジスト塗布ムラ検査装置に使用する部材の分光透過率特性の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明の実施の形態につき説明する。
請求項1に係わる本発明のカラーレジスト塗布ムラ検査装置100は、図1に示すように、可視光に受光感度を有する撮像部20と、可視光を照射できる照明部10と、撮像側バンドパスフィルター40と、照明側バンドパスフィルター30と、前記撮像部から取り込んだ画像からカラーレジスト塗布ムラを抽出、判定するための演算機能を有する画像解析部60と、判定された結果及びムラ画像を表示する表示部70とで構成されており、撮像側バンドパスフィルター40及び照明側バンドパスフィルター30はカラーレジストの透過率波長特性及び感光波長特性に応じて、最適のバンドパスフィルターがセットされるようになっている。
【0012】
請求項2に係わる発明は、上記撮像側バンドパスフィルター40及び照明側バンドパスフィルター30の中から最適なバンドパスフィルターを設定するためのフィルター交換手段50を設けたもので、フィルター交換手段50には予め使用するカラーレジスト(色、種類)に対して、何種類かのバンドパスフィルターが例えば、ターレット状にセットされており、使用するカラーレジスト(色、種類)に応じて、最適のバンドパスフィルターがセットされるようになっている。
【0013】
具体的には、照明部10より照射された光は、照明側バンドパスフィルター30により、カラーレジスト塗布基板80のカラーレジスト塗布膜82に感光作用を与えない波長範囲に限定され、さらに、撮像側バンドパスフィルター40により、カラーレジスト分光透過率特性の透過率の低い波長範囲に限定することで、カラーレジスト塗布基板80の照明によるカラーレジスト塗布膜の感光を防止し、撮像部20に、カラーレジスト塗布膜の塗布ムラを強調(コントラスト改善)した画像を得ることができるようになっている。
ここで、可視光は波長範囲として400nmから700nm程度の波長範囲を意味し、人の視覚特性や現在市販されている可視光照明装置の特性等に制限されるものではない、
例えば可視光に増して近赤外,近紫外光にも受光波長特性をもつ撮像手段や、照明手段としてもよい。
【0014】
さらに、撮像部20にて形成された画像は、画像解析部60に送られ、演算、解析処理されて、カラーレジスト塗布膜82の塗布ムラの程度に応じて良/不良の判定が可能となり、さらに、カラーレジスト塗布工程直後に塗布ムラとして判定された位置及びそのムラ画像を作業者に通知することにより、ムラの発生状況が迅速、高精度に把握可能となる。
【実施例】
【0015】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
図2に、本発明のカラーレジスト塗布ムラ検査装置の一実施例を示す。
カラーレジスト塗布ムラ検査装置100は、カラーレジストが塗布されたカラーレジスト塗布基板80を固定する基板ステージと、エリアカメラからなる撮像部20と、撮像側バンドパスフィルター40と、カラーレジスト塗布基板80の全面を撮像可能とするためのXYZ駆動軸と、平面照明からなる照明部10と、照明側バンドパスフィルター30と、撮像部20により撮像された画像を演算、解析処理する画像解析部60と、判定された結果及びムラ画像を表示する表示部70とから構成されている。
【0016】
ここで、基板ステージは、撮像対象とする位置が照明の光を遮らない構造を取っており、さらにカラーレジスト塗布基板のたわみを防止することを考慮し、基板把持機構が設けられている。また、撮像対象とするエリア(撮像位置)は変化するため、この変化に応じ前記基板把持機構も移動する構造を取っている。
【0017】
撮像部20として今回エリアカメラを採用したが、これはラインカメラであってもよい。
撮像側バンドパスフィルター40は、撮像部20の直下に配置し、カラーレジストの特性に応じて、フィルター交換手段50(特に、図示せず)にて最適のバンドパスフィルターに変更可能な構造とし、XYZ駆動軸の動きに対応して撮像部20と一緒に移動する構造となっている。
【0018】
照明部10は、Y方向撮像エリア全体をカバーし、X方向にのみ、撮像部20の動きに同期して移動する平面照明を採用した。
また、照明側バンドパスフィルター30は、使用するカラーレジストの種類、感光特性によって、フィルター交換手段50(特に、図示せず)にて、適正なバンドパスフィルターに設定される。
【0019】
画像解析部60は、撮像部20にて撮像された画像を演算、解析処理し、カラーレジスト塗布膜82の塗布ムラの程度に応じて良/不良の判定する。
表示部70は、画像解析部60にて判定された結果及びムラ画像をディスプレイ表示する。ディスプレイとしては、液晶、CRT、プラズマ等の端末ディスプレイが使用できる。
さらに、画像の解析、判定はソフトウェアによる処理を基本としているため、要求される内容に合わせて容易に変更可能なものとなっている。
【0020】
次に、今回採用したエリアカメラ、カラーレジスト、バンドパスフィルター特性の組み合わせについて述べる。
図3に、エリアカメラ、カラーレジスト、バンドパスフィルターの分光透過率特性の一例を示す。
分光透過率特性80Rを有するRedカラーレジストに対しては、透過率の低い波長域(450nm〜550nm)を透過する分光透過率特性40Rを有する
バンドパスフィルターを撮像側バンドパスフィルター40として組み合わせる(図3参照)。
同様に、分光透過率特性80Gを有するGreenカラーレジストに対しては、分光透過率特性40Gを有するバンドパスフィルター(図3参照)を、分光透過率特性80GをもつBlueカラーレジストに対しては、透過率特性40Bをもつバンドパスフィルターを撮像側バンドパスフィルター40として組み合わせることで(図3参照)、カラーレジストの感光作用に影響を与えることなく、カラーレジスト塗布ムラの画像コントラストを強調することが可能となる。
また、カラーレジスト感光特性に関しては、各レジスト(Red、Green、Blue)に対して共通であるため、400nm以下の波長をカットする分光透過率特性31を有するバンドパスフィルターを撮像側バンドパスフィルター30として設定する(図3参照)。
【0021】
また、ヒ記特定波長範囲の撮像が可能なように、受光波長特性21を有するエリアカメラと照明照射波長特性31を有する平面照明を設定した。
【0022】
このようにして取得された画像はカラーレジストの塗布ムラを高精度に捉えることが可能であり、かつ、カラーレジストに感光作用を及ぼすことがない。

【符号の説明】
【0023】
10……照明部
20……撮像部
30……照明側バンドパスフィルター
40……撮像側バンドパスフィルタ
50……フィルター交換手段
60……画像解析部
70……表示部
80……カラーレジスト塗布基板
81……基板
82……カラーレジスト塗布膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
すくなくとも、可視光に受光感度を有する撮像部(20)と、可視光を照射できる照明部(10)と、撮像側バンドパスフィルター(40)と、照明側バンドパスフィルター(30)と、前記撮像部(20)から取り込んだ画像からカラーレジスト塗布ムラを抽出、判定するための演算機能を有する画像解析部(60)と、判定された結果及びムラ画像を表示する表示部(70)とから構成されていることを特徴とするカラーレジスト塗布ムラ検査装置。
【請求項2】
前記撮像側バンドパスフィルター(40)及び照明側バンドパスフィルター(30)はカラーレジストの透過率波長特性及び感光波長特性に応じて交換可能なバンドパス交換手段(50)を具備していることを特徴とする請求項1記載のカラーレジスト塗布ムラ検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−137226(P2010−137226A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43824(P2010−43824)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【分割の表示】特願2003−15776(P2003−15776)の分割
【原出願日】平成15年1月24日(2003.1.24)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】