説明

カラー画像表示パネル及びその製造方法、並びにカラー画像表示装置

【課題】副画素の配列がデルタ配列やスクランブル配列などの画像表示パネルと同様の表示性能を有する、カラー画像表示パネル及びその製造方法、並びにカラー画像表示装置を提供する。
【解決手段】基板上に形成された第1の電極上に、真空堆積法で有機発光層が堆積され、さらに第2の電極が形成されてなる、少なくとも赤、緑、青の発光色を有する有機EL素子が一定の順に並んで構成される画素が複数配列された有機エレクトロルミネッセンス型二次元カラー画像表示パネルにおいて、各々の有機EL素子は平面形状において一組の平行な二辺を有しており、互いに他色の発光色を有する有機EL素子が、前記平行な二辺で隣接しており、同一の発光色を有する有機EL素子は、前記平行な二辺の平行線方向に隣接して、垂直線に対して傾斜して平行に並ぶストライプ状に配列されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に第1の電極と、少なくとも1種の低分子発光性有機化合物を含む層と、第2の電極とを順に積層した構造の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)が複数配列されたカラー画像表示パネルに関する。また本発明は前記カラー画像表示パネルの製造方法、並びに前記カラー画像表示パネルを用いたカラー画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に形成された第1の電極と、該第1の電極上に形成された有機化合物層と、該有機化合物層上に形成された第2の電極とが積層された構造の有機EL素子が知られている。
【0003】
図11は、有機EL素子がマトリックス状に配置されている画像表示パネルの一例を示す概略構成図である。(a)は各画素の配列を示す平面図である。(b)はA−A’の断面図である。図11において、101は基板、102は第1の電極、103は有機化合物層、104は第2の電極である。また105は第1の電極102と第2の電極104との間に有機化合物層が介在している領域で規定される画素である。
【0004】
図11においては、基板101の表面上に画素としてドット状の有機EL素子がマトリックス状に配列され、かつ各有機EL素子が別々に発光できるように構成された例を示している。この画像表示パネルは、発光させる有機EL素子を適切に選択させることにより、様々な画像を表示することができる。
【0005】
図12は、有機EL素子105の周辺部に素子分離膜110が形成されており、隣接する素子間を電流が交差して流れない構成とされた画像表示パネルの断面図の一例である。図12においては、さらに保護層111が素子表面に形成されて、素子部に環境から水や空気等が浸入することを防ぐ構造を示している。
【0006】
カラー画像表示パネルを形成するために、多色の副画素を一組として用いる場合の前記副画素の形状や配列の例について説明する。
【0007】
図13は副画素の配列の平面図である。図13において(a)はストライプ配列と呼ばれる副画素の配列の模式図である。フルカラー画像表示パネルにおいては3原色を必要とするのでそれぞれ赤、緑、青の発光色を有する素子が隣接して形成される。この3つの隣接する素子を副画素とする一組で画素が形成される(図13において副画素の色を区別する場合には、赤をR、緑をG、青をBの記号で表す。以下同様。)。
【0008】
コンピュータのディスプレイでは正方形の画素が通常用いられるので、前記副画素は長辺/短辺比が約3の長方形に形成され、この長方形の短辺方向で隣接した副画素をもって画素とされる場合が多い。特許文献1はストライプ配列の副画素を有するフルカラー有機EL画像表示パネルを、ストライプ状のマスクを用いた工程で製造する方法に言及している。
【0009】
明るさを得る目的や、表示可能な色の範囲を拡張する目的などで4種又はそれ以上の色(白も含む)の副画素をもって1画素とする場合でも、長方形の副画素の短辺方向で隣接した一組により画素が形成されるのが普通である。フルカラーが必要とされず2種の副画素をもって1画素とする場合などにおいても、長方形の副画素の短辺方向で隣接した一組により画素が形成されるのが普通である。
【0010】
図13(b)は、RGBデルタ配列と呼ばれる別の副画素の配列の模式図である。このデルタ配列の特徴は奇数行と偶数行とで色配列が1/2ピッチずれていることである。画素数の限られる携帯型の小画面ディスプレイで自然画を表示した場合の解像感に優れている。
【0011】
また同図の(c)に示す、副画素の配列が上の行と1/3ピッチずれている、スクランブル配列と呼ばれる副画素の配列も同様に知られている。
【0012】
特許文献2には、表示画像の画質の向上を目的として、画素内における副画素のカラーの位置構成が、隣接する画素と異なる表示パネルが提案されている。また特許文献2では、インクジェット印刷工程によりエレクトロルミネッセンス材料を堆積する場合に、画素配列に対して傾斜したライン状に連続して堆積する方法が開示されている。これにより堆積層の厚さを安定化し、さらに画素内における副画素のカラーの位置構成が異なる表示パネルが得られる。
【0013】
図14は、カラー画像表示パネルをマスクを通じた真空堆積法により製造する一般的工程を説明した斜視図である。図14において、図11や図12と同じ符号は同じ部材を示しており、201はマスク、202は貫通孔である。図の例ではマスク201の貫通孔202は前記デルタ配列の特定の一色の副画素の配置に一致するように形成されている。
【0014】
基板101上にアクティブマトリクス駆動回路(不図示)と前記回路に接続された第1の電極102が形成されている。この上に、赤、緑、青のいずれか一つの発光をする有機化合物層103をマスク201の貫通孔202を通じて形成する。次にマスク201を隣の副画素の位置まで水平方向にシフトし、別の一つの発光をする有機化合物層103をマスク201の貫通孔202を通じて形成する。こうして3回の操作を繰り返すことにより赤、緑、青の各色の有機化合物層103をそれぞれ所定の位置に堆積する。最後に全体に第2の電極104を形成し、必要ならばさらに保護層111を形成して、カラー画像表示パネルを得る。
【0015】
図15は、図14のマスク201のB−B’の断面図である。高解像度のカラー画像表示パネルでは、マスク201の厚さに匹敵するほど副画素の幅が小さくなる。真空堆積が迅速に行える大きな材料放射源を用いるとき、マスク201の小さな貫通孔202の中央と周辺部とで堆積物の厚さが異なることを軽減するためには、マスク201の厚みを薄くする必要がある。しかしマスク201は、そのものの耐久性や取扱いの容易性を確保するために、通常少なくとも数十μm程度以上の厚みが必要である。そこで図15のようにマスク201の材料放射源側で貫通孔202が広がるように削り部分203を形成することにより、マスク201を厚くして強度を確保しながら、貫通孔202の周辺部分を薄くしたマスクが用いられる。
【0016】
【特許文献1】特開2002−110345号公報
【特許文献2】特表2004−516630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
2種以上の異なる発光色を有する有機EL素子を配列したカラー画像表示パネルにおいて、長方形の副画素の配列を上記のデルタ配列やスクランブル配列とする場合には、マスクを用いた真空堆積工程に以下のような問題がある。
【0018】
図16は、副画素の配列をデルタ配列とするための真空堆積工程用マスクの模式図である。図において(a)は材料放射源側から見たマスクの平面図で、そのC−C’の断面図が(b)である。上記のように貫通孔202を材料放射源側ほど大きくなるように削り部分203を形成すると、貫通孔202の角が近接する部分でそれぞれの削り部分203の干渉が起こり、マスク201が著しく薄くなる部分ができる。
【0019】
そのため、外力が加わると特定方向に裂けやすい、強度に問題のあるマスクとなる。強度の不十分なマスクはそれ自体の作成に時間とコストを浪費するばかりでなく、真空堆積工程に繰り返し使用できる回数も短くなる。また充分な張力を加えてマスクを治具に固定することができないため、真空堆積工程の位置精度が低くなり高精細の画像表示パネルを製造する場合に歩留まりが悪くなる。スクランブル配列では特に干渉が強く起こる部分があるため(不図示)斜め方向に特に裂け易く、さらにマスクの作成が困難になる。
【0020】
貫通孔202の大きさを小さくして上記の干渉が起こらないようにするとマスクの強度は確保できる。しかし、各副画素の面積が減少するので所定の発光の明るさを得るには素子の電流密度を上げねばならず、画像表示パネルの発光電流効率や駆動寿命に悪い影響を及ぼす。
【0021】
つまり、上記のように真空堆積工程を用いて製造した、副画素の配列がデルタ配列やスクランブル配列となるカラー画像表示パネルには歩留まり、コスト、性能、寿命等において改善すべき課題がある。この画像表示パネルを部品として用いた画像表示装置にも課題が継承され、コスト、性能、寿命等に課題がある。
【0022】
言い換えるならば、従来のデルタ配列やスクランブル配列の位置に並んだ長方形副画素の配列を有するカラー画像表示パネルには、マスクを用いた真空堆積工程で副画素を作成する場合に、副画素の開口率を大きくすることが難しいという問題がある。この原因は副画素の角部が近接する部分が存在することにある。ここに述べた課題は、カラー画像表示パネルを開口率の大きなマスクを介して真空堆積する工程により製造する場合に明らかになるものである。
【0023】
本発明は、上記のような課題を解決し、副画素の配列がデルタ配列やスクランブル配列などの画像表示パネルと同様の表示性能を有する、カラー画像表示パネル及びその製造方法、並びにカラー画像表示装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、強度に問題のないマスクを用いた真空堆積工程で作製することのできる、カラー画像表示パネル及びその製造方法、並びにカラー画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の課題を解決するための本発明のカラー画像表示パネルは、
基板上に形成された第1の電極上に、真空堆積法で有機発光層が堆積され、さらに第2の電極が形成されてなる、少なくとも赤、緑、青の発光色を有する有機EL素子が一定の順に並んで構成される画素が複数配列された有機エレクトロルミネッセンス型二次元カラー画像表示パネルにおいて、
各々の有機EL素子は平面形状において一組の平行な二辺を有しており、
互いに他色の発光色を有する有機EL素子が、前記平行な二辺で隣接しており、同一の発光色を有する有機EL素子は、前記平行な二辺の平行線方向に隣接して、垂直線に対して傾斜して平行に並ぶストライプ状に配列されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、副画素の配列がデルタ配列やスクランブル配列と同様の自然画像表示性能を有しながら、作成が容易なストライプ状の貫通孔を有するマスクを利用して製造できる。そのため、コスト、表示の明るさなどの性能、寿命等において優れたカラー画像表示パネルを得ることができる。
【0026】
また、本発明によれば、副画素の配列がデルタ配列やスクランブル配列と同様の自然画像表示性能を有する画像表示パネルの製造方法において、作成が容易で、耐久性のあるマスクを利用するため、製造コストや歩留まりの改善された製造方法とすることができる。
【0027】
さらに、本発明によれば、副画素の配列がデルタ配列やスクランブル配列と同様の自然画像表示性能を有しながら、コスト、表示の明るさなどの性能、寿命等において優れた有機エレクトロルミネッセンス型カラー画像表示装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は本発明のカラー画像表示パネル(以下、単に画像表示パネルと省略する場合がある。)の実施形態を示した平面模式図である。
【0029】
図示する画像表示パネルは、基板上に形成された第1の電極上に、真空堆積法で有機発光層が堆積され、さらに第2の電極が形成されてなる、赤、緑、青の発光色を有する有機EL素子が一定の順に並んで構成される画素が複数配列された有機EL型二次元カラー画像表示パネルである。
【0030】
各々の有機EL素子は平面形状において一組の平行な二辺を有している。ちなみに、本実施形態では平行四辺形の有機EL素子とされている。従って前記素子は平行な長辺一組と平行な短辺一組を有し、平面内の素子の重心は平行な二辺から等距離にある。
【0031】
互いに他色の発光色を有する有機EL素子が、長辺で隣接しており、同一の発光色を有する有機EL素子は、短辺(すなわち、平行な長辺の平行線方向)で隣接している。前記有機EL素子は、重心位置を結ぶ一本の第1の直線sが、前記有機EL素子の長辺に対して平行となる形態で、ストライプ状に配列されている。この有機EL素子が配列されてなるストライプは、相互に重なることなく、垂直線vに対して傾斜して平行に並べられている。
【0032】
特に、本実施形態では、水平方向に隣接するように配列された、前記赤、緑、青の発光色を有する有機EL素子を副画素105の一組として画素が形成されている。そして、水平方向に隣接する前記画素は、その重心位置を結ぶ第2の直線hが水平線に対して平行となるように配列されている。また、副画素105の短辺は水平線に対して平行となるように配置される。
【0033】
つまり、平行四辺形の有機EL素子からなる副画素105はその重心位置を水平方向に引いた直線(第2の直線)hに一致させ、さらに一組の平行な二辺を斜め線(第1の直線)sの方向に一致させている。同一の発光色を有する前記有機EL素子は前記斜め線sの方向に複数並んだ形態で、ストライプ状に配列している。前記斜め線sは垂直線vから傾いている。
【0034】
なお、各有機EL素子には有機発光層と第1、第2の電極が存在し、これらの電極を駆動する配線、やトランジスタなど(不図示)が接続されて各素子が個別に駆動可能とされている。テレビジョン信号の二次元画像表示の伝統から、ここでは画素データが早い周期で一括書込みされる方向を水平方向、前記の一括書き込みより遅い周期で画像データが位置を逐次ずらしながら繰り返し書き込みされる方向を垂直方向と呼ぶことにする。水平線、垂直線についても、それぞれ前記の水平方向の直線、垂直方向の直線の意味で用いる。
【0035】
副画素105の配列の傾き、すなわち第1の直線sの傾きの大きさは、次のように導き出せる。すなわち、任意の副画素105の重心位置と前記副画素105と垂直方向に隣接する同一の発光色を有する副画素の重心位置との水平方向のずれ量kと、水平方向に隣接する同一の発光色を有する副画素の繰り返しピッチrとの比の値k/rで導き出せる。図1は前記の傾きの値が1/2となるものを示している。
【0036】
この傾きが1/2である場合、平行四辺形の副画素105の重心位置は図13(b)に模式的に例示したデルタ配列の長方形副画素の重心位置と同等となる。したがって、この配列の画像表示パネルは、従来の長方形副画素がデルタ配列の画像表示パネルと同等の駆動データを同等の駆動タイミングで供給することにより、同等のカラー画像の表示を得ることができる。
【0037】
すなわち、図1の副画素105の形状と配列を有する画像表示パネルは、長方形副画素がデルタ配列の画像表示パネルと置き換え可能である。画像入力信号から各副画素の駆動信号を生成する画像表示パネル制御用回路や制御用集積回路には従来のものを利用することができる。また、基板として第1の電極を駆動するトランジスタを形成したアクティブマトリクス回路付きのものを用いる場合、デルタ配列の長方形副画素を駆動するためのアクティブマトリクス回路と同じ設計のものを使用することができる。前記アクティブマトリクス回路の上に形成する、第1の電極や有機発光層の形状と配列は図1に例示されたものにすればよい。
【0038】
図1では、平行四辺形の副画素105の長辺が画面の左方向に傾いた例を示したが、傾斜の向きが右方向である場合でも同様に、デルタ配列の長方形副画素と重心位置が対応することは明らかである。また図1では、副画素105の色の並び順を左からB、G、Rの順を示したが、もちろんR、G、Bの順などとしても何ら問題が無い。
【0039】
さらにカラー表示範囲を広げる目的で三原色以外の色の副画素を加えて、1画素を4つの副画素により構成するときも同様である。4副画素分の水平方向のピッチをr、垂直方向に隣接する同一の発光色を有する副画素の重心位置相互のずれ量をkとすると、k/rの比が1/2となる場合に三原色の副画素がデルタ配列の画像表示パネルと同様に表示の解像感が高く感じられる。一般に1画素をn個の副画素で構成する場合、上記と同様にk/rの比が1/2となるようにすると、三原色の副画素がデルタ配列の画像表示パネルと同様に表示の解像感が高く感じられる。
【0040】
三原色の副画素からなる前記の配列の傾きが1/2でなく1/3である場合は、平行四辺形の副画素105の重心位置が、スクランブル配列の長方形副画素の重心位置と同等となる。すなわち前記傾きが1/3である配列を有する画像表示パネルは、長方形副画素がスクランブル配列の画像表示パネルと置き換え可能である。基板としてアクティブマトリクス回路を形成したものを用いる場合についても長方形副画素がスクランブル配列用のものと同じ設計のアクティブマトリクス回路を利用できる。
【0041】
傾きが前記した1/2と1/3以外の場合、従来の長方形副画素の場合のデルタ配列やスクランブル配列との対応は無い。しかし、二次元の規則的カラー画素配列であるので、所定の二次元のカラー画像表示のための各副画素に与える駆動電流の値は必ず決めることができ、所望の画像表示が可能である。前記の傾きが小さい場合、従来の垂直ストライプの場合との差異がなくなり自然画像の表示における解像向上の利点が小さくなる。
【0042】
一方、前記平行四辺形の副画素の傾きが大きいと副画素の幅は狭くなるため、非画素部分に対する副画素の占有面積比が減少し、画像表示パネルの明るさの低下や素子電流密度の増加、駆動寿命の短縮といった悪影響が無視できなくなる。
【0043】
したがって、前記傾きの値の好適な範囲に原理的制限は無いが1/5から1/1の範囲が実用的に有効であり、従来のデルタ配列やスクランブル配列の設計が利用可能な1/3と1/2において特に有効である。
【0044】
図1の副画素105の形状と配列の画像表示パネルでは、同一の発光色を有する副画素105のみが直線状に配列されている。つまり、同一の発光色を有する副画素105は、垂直方向に隣接する前記副画素105の重心位置を結ぶ一本の第1の直線sが、前記副画素105の平行な二辺に対して平行となる形態で、ストライプ状に配列されている。この有機EL素子が配列されてなるストライプは、相互に重なることなく、垂直線vに対して傾斜して平行に並べられている。そのため、各副画素105の材料をマスクを通じて基板に堆積する工程において、図2に模式図で例示するようなストライプ状の貫通孔202を有するマスク201を用いることができる。
【0045】
図2(a)はストライプ状の貫通孔部分の説明図である。マスク201に形成されたストライプ状の貫通孔202の間隔は副画素配列ピッチの2倍あるため、隣接する貫通孔の削り部分203が相互に干渉し合うことなく作成することが可能である。
【0046】
なお、前記貫通孔202は図2(b)に模式的に示すように、マスク201に対して斜めに形成してもよいが、図2(c)に示すようにマスク201の全体形状に沿って平行に形成し、このマスク201を面内で斜めに回転させて用いても良い。マスク201は所定の張力を与えて治具に固定して用いることが多いので、図2(c)のように加工すると、ストライプ方向に均等に張力を加えやすいので都合がよい。その場合、基板上の画像表示領域以外に材料が堆積されることを防ぐために、前記画像表示領域の形状に対応した開口を有する第2のマスクを重ねて用いてもよい。
【0047】
また、基板の背面に磁石を配して磁性材料からなるマスクを磁力により所定の位置に定位させる方法を用いてもよい。
【0048】
図2のようなマスク201を用いると真空堆積材料が貫通孔202の形状に従い複数の隣接する副画素105に跨って有機化合物層として堆積される。しかし、通常第2の電極も同様に隣接する副画素105に跨って形成されて共通電極とされるので、前記有機化合物層を隣接する副画素105の間で切断しなくとも、素子間のクロストーク電流は特に問題にはならない。
【0049】
また、各副画素105の形状は有機層の堆積領域の形状ではなく、基板上の第1の電極及び通常、第1の電極の周縁部に形成された素子分離膜の形状により定まる。この観点からも、ストライプ状の堆積層が隣接する副画素間に跨ることは問題にならない。
【0050】
図3は、本発明の画像表示パネルの別の副画素の形状と配列の一例を示す平面模式図であって、長方形の副画素をなす素子が傾いて配列している様子を示している。
【0051】
図3(a)でも、図1と同様に、同一の発光色を有する副画素105のみが直線状に配列されている。傾きを図1の場合と同様に垂直方向に隣接する副画素の重心位置の水平方向のずれ量kと、水平方向に隣接する同一の発光色を有する副画素の繰り返しピッチrとの比の値k/rは1/3である。したがって、各副画素の重心位置が図13(c)に模式的に例示したスクランブル配列の長方形副画素の重心位置と同等となる。この画像表示パネルでは、従来の長方形副画素がスクランブル配列の画像表示パネルと同等の駆動データを同等の駆動タイミングで供給することにより、同等のカラー画像の表示を得ることができる。
【0052】
図3(b)は、長方形の副画素の重心を僅かに移動し、副画素からなる各画素を正方形とした例である。この例でも図3(a)と同様に傾きを表すk/rの値は1/3である。 図4は、本発明の画像表示パネルのさらに別の副画素の形状と配列の一例を示す平面模式図であって、さらに異形の副画素をなす素子が傾いて配列している様子を示している。 図4(a)と(b)は、副画素の素子形状として台形のものを用いた例を示している。いずれの例も、同一の発光色を有する副画素のみが直線状に配列されており、傾きの値を表すk/rは1/2である。
【0053】
図5は、多角形の形状を有する副画素を持つ、本発明の画像表示パネルの一例を示す平面模式図である。図5でも、同一の発光色を有する副画素のみが直線状に配列されており、傾きの値を表すk/rは1/2である。
【0054】
図6は、長方形の頂点部分が曲線状の形状を有する副画素を持つ、本発明の画像表示パネルの一例を示す平面模式図である。図6でも、同一の発光色を有する副画素のみが直線状に配列されており、傾きの値を表すk/rは1/2である。
【0055】
図7は、曲線を含む輪郭形状を有する副画素を持つ、本発明の画像表示パネルの一例を示す平面模式図である。この例における副画素は平行な二辺と、曲線とにより囲まれた形状をしている。図7でも、同一の発光色を有する副画素のみが直線状に配列されており、傾きの値を表すk/rは1/2である。
【0056】
本発明の画像表示パネルの製造方法は、基板上に二次元に配列した複数の第1の電極を形成する工程を有する。そして、少なくとも赤、緑、青の発光色を有する有機発光材料を、それぞれの発光色ごとに、複数の貫通孔を有するマスクの前記貫通孔を通じて前記第1の電極の形成位置に堆積する工程を有する。さらに、第2の電極を形成する工程を有する。
【0057】
つまり、通例の有機エレクトロルミネッセンス型二次元カラー画像表示パネルの製造方法と略同様である。しかし、複数の第1の電極を形成する工程では、一組の平行な二辺を有する平面形状の第1の電極を、前記平行な二辺の第一の辺が直線上に並び、前記平行な二辺の第二の辺もまた直線上に並ぶように一次元に配置される。前記電極の一次元配列が垂直線に対して傾斜して平行に並ぶストライプ状となるように二次元に並べられる。
【0058】
そして、有機発光材料を堆積する工程では、前記第1の電極が形成されてなるストライプに対応するように貫通孔がストライプ状に形成されたマスクを、前記第1の電極が形成されてなるストライプと前記マスクの貫通孔とを対向させるように位置合わせする。その後、前記マスクの貫通孔を通じて有機発光材料の堆積を行うことを特徴とする。
【0059】
具体的に云うと、前記マスクを用いた材料の真空堆積工程は、少なくとも発光層の形成において行われる。
【0060】
図2に例示したマスク201を、その削り部分203が材料放射源側となるようにして基板に近接させ、ストライプ状の貫通孔202を基板上の所定の色の副画素の並びの上に重ねるように位置合わせを行う。圧力を10−4Pa程度に減圧して材料放射源から所定の材料を所定量だけ堆積させ、貫通孔202の位置に対向した基板上の副画素の並びに、前記材料を成膜する。複数の種類の材料の混合層を堆積する場合には、材料の種類の数だけ別の材料源を用意して前記成膜を行う。
【0061】
次に、別の発光色を有する副画素に対して別の材料を堆積する場合には、前記マスク201を面方向に1副画素のピッチだけシフトして、貫通孔202を別の色の副画素の並びに対向するように位置合わせを行う。そして、前記と同様にして別の発光色を有する副画素の並びに別の材料を成膜する。これを繰り返して各色の副画素に対する成膜を行う。又は、別の発光色を有する副画素に対する材料堆積の工程それぞれのために、専用の図2に例示したマスク201を別々に用意しても良い。この場合、別の発光色を有する副画素の堆積を行う都度、それぞれ前記別のマスク201を基板に対して位置合わせを行い、材料放射源から貫通孔202を通じて材料を基板上に堆積して成膜を行う。
【0062】
別の発光色を有する副画素に対して発光層以外についても、層の材料の組成・種類や堆積量を副画素の色に応じて変える必要がある場合には、上記と同様にして図2に例示したマスク201を用いた工程を利用することができる。
【0063】
例えば、後述する各素子の層方向に光干渉構造を有した画像表示パネルを製造する場合などにおいて、発光層以外についてもそれぞれ発光波長に応じた所定の厚みにする必要がある。また、発光層に電荷を受け渡す電子輸送層やホール輸送層等は材料のLUMO、HOMO準位が発光層のそれぞれの準位と適切な関係のものを選ぶ必要があるため、発光層材料に応じて変える場合がある。したがって、これらの場合にも前記のマスク201を用いて貫通孔202を通じて所定の位置に選択的に堆積を行う。
【0064】
なお、図3から図7に例示したいずれの副画素の形状と配列の画像表示パネルにおいても、図1と同様に副画素が平行な二辺を有し、同一の発光色を有する副画素を前記二辺の方向に直線状に配列している。したがって、いずれの画像表示パネルの製造においても、上述した図2に例示するような貫通孔202を有するマスク201を用いた真空堆積工程を利用できる。
【0065】
次に上記のような副画素の形状と配列を有する画像表示パネルの層構成例について説明する。なお、本発明は層構成、構成材料、各層の厚み等により制限されるものではない。 図8は各有機EL素子の層構成例を説明する断面図である。(a)は基板側陽極型の模式図で第1の電極が陽極、第2の電極が陰極である。(b)は基板側陰極型の模式図で第1の電極が陰極、第2の電極が陽極である。図において101は基板、102は第1の電極、301はホール注入層、302はホール輸送層、303は発光層、304は電子輸送層、305は電子注入層、104は第2の電極、111は保護層である。301から305の各層は図11及び図12において有機化合物層103とまとめて記載されたものと同じものを表す。図8は素子の発光が起こる部分の説明の図であるため、図12に記載の素子分離膜110は不図示である。また、各素子の駆動にアクティブマトリクス回路が用いられる場合は駆動用トランジスタや第1の電極への接続部などが基板101の表面に形成されるが、これも不図示である。
【0066】
基板101は、本発明の画像表示パネルの各素子等を表面に機械的に保持するものであって、ガラス、石英やアルミナ等のセラミクス、ポリエチレンナフタレートやポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリイミド等のプラスチックが用いられる。また、ニッケル鋼やステンレス鋼、アルミニウムやチタン等の金属、セラミクスや金属等の繊維状あるいは粉末状の充填材を内部に含んだ、プラスチックやガラス等の複合材料などが用いられる。なお、第1の電極102を表面に複数形成し、それらを独立に駆動する必要があるので、基板101が導電性である場合はその表面に絶縁層を形成して用いる。
【0067】
基板101の必要とする厚みは画像表示パネルの製造時の取り扱いに必要な強度、及び完成した画像表示パネルの必要強度とから決まるものである。これは前記画像表示パネルの広さとも関わるので一概には言えないが、ガラス、セラミックス等の脆い材料の場合0.3mmから2mm、プラスチックや金属のような変形に強い材料では0.1mmから2mm程度が適当である。
【0068】
第1の電極102の材料は、アルミニウム、クロム、ニッケル、銀等の金属、或いは合金、酸化錫、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、亜鉛酸化物等の導電性酸化物などが用いられる。前記の金属や導電性セラミクスが単独で用いられても、2層又はそれ以上に重ねて用いられても良い。
【0069】
第1の電極102の個々の平面形状と相互の配列については上述したが、形状と配列を形成するパターニング手段は、例えば湿式、或いは乾式のエッチング技術や、マスクを用いた選択堆積技術、インクジェット技術など従来公知のものから選んで用いればよい。
【0070】
第1の電極102に必要な厚みは、個々の電極内で電位分布が充分小さくなるように選ばれるもので、素子駆動時の電流や材料の伝導度、電極への電流の供給方法などに依存し、通常は金属材料で数10nm以上、導電性酸化物材料で数100nm以上が選ばれる。もちろん充分な厚みの金属材料を下地に有し、導電セラミクス材料を表面とする複合電極の場合は前記導電性酸化物材料が100nm以下であっても問題ない。
【0071】
素子分離膜の材料は、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等のプラスチックや酸化シリコン、窒化シリコンや酸化アルミニウム等のセラミックスなどの絶縁性材料から選ばれる。プラスチックの場合は、特に光レジスト材料として知られるものを使用してパターニングを行うのが便利である。セラミックスを用いる場合は、マスクを用いた選択堆積技術やレジスト材料を用いたエッチング技術により所望のパターニングを行う。
【0072】
素子分離膜は上記第1の電極102の周縁部を囲むように形成される。素子分離膜は後に行われるマスクを用いた真空堆積工程時に、マスクが素子部に直接接触して堆積膜を傷つけることを防止する役割を持つ。そして、後に第2の電極104を形成した際に第1の電極102との間で欠陥による短絡を防止する役割を持つ。さらに、前記第1の電極102の端部の段差部を被覆することにより短絡を防止するなどの役割を持つ。このような素子分離膜の厚さは200nmから4μmの間がよく用いられる。
【0073】
ホール注入層301は、接する電極(陽極)からホールを引き出し後述のホール輸送層302に受け渡す役割を有する。その材料としては、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム等の遷移金属酸化物や、銅フタロシアニン等の遷移金属錯体などが挙げられる。なお、陽極材料がインジウム錫酸化物やインジウム亜鉛酸化物等の金属酸化物からなる場合などで、後述のホール輸送層302に対して直接、ホールが注入可能な場合にはホール注入層301を省略してもよい。
【0074】
ホール注入層301を設けると、図8(b)の構成の素子を作成する場合、第2の電極104を堆積する工程でホール注入層301以下の有機化合物層が受けるダメージを低減する効果が期待できる。
【0075】
ホール注入層301の厚みは通常2nmから100nm程度が用いられる。ホール注入層301は上記の材料をマスク真空堆積工程などで素子形成部分に選択堆積してもよいが、基板101上に非選択的に形成してもよい。
【0076】
ホール輸送層302は、注入されたホールを後述の発光層303に受け渡す役割を有する。これを構成するホール輸送材料は、ホールの注入が容易で、またホールを発光層303に輸送するに優れたモビリティを有することが好ましい。電子の輸送性は低くてよい。ホール注入輸送性を有する低分子系材料としては、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体が挙げられる。また、ピラゾロン誘導体、オキサゾール誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。以下に、具体例の一部を示す。
【0077】
【化1】

【0078】
また、高分子のホール輸送材料も知られており、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(シリレン)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が利用可能である。
【0079】
ホール輸送材料は単独で用いてもよいが、複数の材料を混合してホール輸送層302を形成してもよい。
【0080】
ホール輸送層302は、上記したホール輸送材料をマスクを用いた真空堆積工程などで素子形成部分に選択堆積してもよいが、基板101上に非選択的に形成してもよい。高分子材料は適当な溶液を回転塗布法などで成膜し溶媒を乾燥除去するのが普通である。ホール輸送層302の厚みは5nmから200nmとする。
【0081】
発光層303は、前記ホール輸送層302からホールを注入され、また後述の電子輸送層304から電子が注入されて、層内で両電荷が相殺する際に生じる励起状態により発光する役割を有する。発光材料としては、発光効率の高い蛍光材料や燐光材料が用いられる。発光材料を単独で用いて発光層を形成することもあるが、励起分子の濃度を下げて非発光失活を減らす効果等を目的として発光材料とキャリア輸送材料とを混合して発光層を形成することがよく行われる。このキャリア輸送材料には、前記したホール輸送材料のほか、後述する電子輸送材料や、ホールと電子との両方に対して適当な移動度を有する両極性輸送材料が利用できる。単独で発光性を有する材料であっても、より励起エネルギーの低い発光材料と混合すると、それ自身の発光は抑制されるのでキャリア輸送材料として利用できるものがある。発光層303の厚みは5nmから200nm程度とする。
【0082】
発光材料の具体例の一部を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】
【化2】

【0084】
【化3】

【0085】
電子輸送層304は、後述する電子注入層305から注入された電子を、前記発光層303に受け渡す役割を有する。その材料としては、注入された電子を輸送する機能を有するものから任意に選ぶことができ、ホール輸送材料のキャリア移動度とのバランス等を考慮し選択される。電子注入輸送性能を有する材料としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体が挙げられる。また、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フルオレノン誘導体、アントロン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機金属錯体等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。以下に、具体例の一部を示す。
【0086】
【化4】

【0087】
電子輸送層304は、上記した電子輸送材料をマスクを用いた真空堆積工程などで素子形成部分に選択堆積してもよいが、基板101上に非選択的に形成してもよい。電子輸送材料は単独で用いてもよいが、複数の材料を混合して電子輸送層を形成してもよい。電子輸送層304の厚みは2nmから80nmの範囲とする。
【0088】
電子注入層305は、接する電極(陰極)から電子を引き出し電子輸送層304に受け渡す役割を有する。電子注入材料としては、前述した電子輸送性材料に、リチウムやセシウム等のアルカリ金属やマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、若しくはその化合物を用いることができる。例えば炭酸セシウム等を0.1%〜数十%含有させて電子注入性を付与したものを用いることができる。また、フッ化リチウムのようなアルカリ金属塩を電子注入層として用いることができる。
【0089】
電子注入層305は必須な層ではないが、界面に大きな電位降下を生じることなく、接する電極から電子を取り出す効果が期待できる。また、図8(a)の構成の素子を作成する場合、第2の電極104を堆積する工程で電子輸送層304以下の有機化合物層が受けるダメージを低減する効果が期待できる。電子注入層305は良好な電子注入性や前記のダメージ低減効果等を確保するために2nmから100nm程度挿入するのが好ましい。 場合によっては、作成された素子が酸素や水分等と接触することを防止する目的で保護層111が設けられる。保護層111としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の金属窒化物膜や、酸化タンタル等の金属酸化物膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)薄膜が挙げられる。また、フッ素樹脂、ポリパラキシレン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂等の高分子膜、さらには、光硬化性樹脂等が挙げられる。
【0090】
また、図8のように第2の電極104に重ねて保護層111を設けなくとも、不浸透性のキャップを被せることにより素子を保護することもできる。すなわち、窒素やアルゴンなど不活性雰囲気、或いは減圧雰囲気下で前記の素子形成部分をガラス、気体不透過性フィルム、金属など(不図示)でカバーし、適当な封止材料により基板101の成膜部分全体をパッケージングすることで保護を行うこともできる。
【0091】
防湿性を高めるために、前記保護層111内や前記パッケージ内に吸湿材を含有、或いは配置しても良い。
【0092】
基板101と第1の電極102とを透光性とした場合、発光層303で生じた光を基板101側から取り出せるボトムエミッション構成の画像表示パネルとなる。この場合、基板101及び第1電極102は、発光層303に生じる光の主要波長に対して50%以上の透過率を有するべきである。
【0093】
また、基板101の表面に配線やアクティブマトリクス回路がある場合、ボトムエミッション構成の画像表示パネルではそれらの回路も基板101側への光の透過性を阻害しないように設計する必要がある。
【0094】
前記のボトムエミッション構成の画像表示パネルでは、第2の電極104側に光反射面を設けることにより基板101側に取り出せる光を増して表示される画像を明るくすることができる。反射面としては金属面や、屈折率の異なる透明層の界面などを用いることができる。例えば第2の電極104を金属とすることや、第2の電極104を透明材料と金属との積層とすることで構成できる。第2の電極104を透明材料としても、第2の電極104上に屈折率の異なる透明材料を積層(不図示)することで基板101側に取り出せる光を増すことが可能である。前記光反射面の反射率は70%以上とすべきである。
【0095】
第2の電極104及び保護層111を透光性とした場合、発光層303で生じた光を基板101と反対側から取り出せるトップエミッション構成の画像表示パネルとなる。この場合、前記第2の電極104及び保護層111は、発光層303に生じる光の主要波長に対して50%以上の透過率を有するべきである。トップエミッション構成の画像表示パネルでは、第1の電極102側に光反射面を設けることにより、基板101と反対側に取り出せる光を増して表示される画像を明るくすることができる。上記のボトムエミッション構成の場合と同様に、反射面としては金属面や、屈折率の異なる透明層の界面などを用いることができる。前記光反射面の反射率は発光層303に生じる光の主要波長に対して70%以上とすべきである。
【0096】
前記反射面と発光層との光学距離を調節し、発光層303から直接、取り出される光と反射面で反射されてから取り出される光とが強め合う条件を満たすと、特定の波長の光を強く取り出すことができる。金属面のような固定端反射面の場合、反射で光の位相が約180度ずれるので、発光層303内の発光が起こる位置と反射面との光学距離を光の波長の約n/4倍(nは奇数)とすると前記の条件が満たされる。屈折率のより低い材料に接する透明体界面のような開放端反射面の場合、反射で光の位相がほとんどずれないで、発光層303と反射面との光学距離を光の波長の約n/2倍(nは自然数)とすると前記の条件が満たされる。さらに光の取り出し側にも、光を一部反射する半透過反射面を形成し上記と同様に発光層303と半透過反射面との光学距離を調節することにより、特定の波長の光に対する微小共振器構造を形成することもできる。
【0097】
上記のような光の干渉による波長選択構造を用いることにより、画像表示パネルを構成する各副画素(赤、緑、青)に対してそれぞれ所定の波長を強めれば、それぞれの発光が高い彩度となる。そのため、表示のGAMUTが広くなり、色の再現範囲を改善することができる。
【0098】
なお、反射面における前記位相ずれの大きさは、実際には反射界面を形成する材料の物性や厚み等に依存し、発光層303の層内で主に発光が生じている位置や、各堆積層の屈折率の値などに若干の不確定要素がある。そのため、実際に素子を試作して適切な光干渉構造を見出すのがよい。
【0099】
基板101、第1の電極102、第2の電極104及び保護層111を透光性(半透過性も含む)とした場合、発光層303で生じた光を両面から取り出せる、両面画像表示パネルとなる。
【0100】
また、複数の有機EL素子が積層されたマルチフォトン構成や多段階積層構成に対しても本発明は実施可能である。所望の光学特性を得る目的でホトニック結晶等を組み合わせてもよい。
【0101】
本発明の画像表示パネルの表面には視認性を高めるために、反射防止層、防眩層を設けたり、金属電極で反射して視認される外光を低減するために円偏光板やカラーフィルタを組み合わたりするなど、従来公知の技術を利用することができる。
【0102】
図9は、本発明の画像表示パネルの一副画素当たりの制御回路の一例を表す図である。図において、105は前記有機EL素子による副画素で、この例においては第2の電極を共通陰極とし、第1の電極を個別にトランジスタで駆動する陽極としている。
【0103】
トランジスタTr1は、ゲート電位に加えられる選択信号線(走査信号線)410の電位により制御され、所定のタイミングでON状態とされて、データ信号線411の電位をトランジスタTr2のゲートに加える。トランジスタTr2は、加えられたゲートの電位により決まる電流を電源線412から有機EL素子の副画素105に流す。前記トランジスタTr2のゲートには容量Cgが接続されており、トランジスタTr1がOFFの期間は両端電位差をほぼ一定に保持するので、トランジスタTr2は保持されたゲート電位に応じたほぼ一定の電流を副画素105に流しつづける。トランジスタTr1、Tr2及び容量Cgは副画素105付近の基板表面に形成されている。
【0104】
図10は、本発明の画像表示装置の一例を表す機能ブロック図であり、本発明の画像表示パネルと表示制御部とを有する構成とされている。図において、401は本発明の画像表示パネル、402は表示制御部である。画像表示パネル401の表面には表示部403が形成されており、これは上記図1に例示した副画素配列からなる画素404が配列され、また図9に例示した制御回路が各副画素に形成されている。画像表示パネル401の表面には、また画像データ信号を所定のタイミングで取り込み表示部403へのデータ信号線411の電位を保持する要素の並んだラッチアレイ406が形成されている。前記ラッチアレイ406の各要素にデータ取り込みのタイミングを与えるHシフトレジスタ405が形成されている。表示部403への選択(走査)信号線410を順次選択するためのVシフトレジスタ407が形成されている。
【0105】
表示制御部402は画像データを入力し、前記画像表示パネル401が必要とする映像信号と、Hシフトレジスタ405及びVシフトレジスタ407のタイミング信号を供給するものである。
【0106】
表示制御部402は映像信号変換メモリ408とタイミング信号を制御するコントローラ409を有する。コントローラ409は映像信号メモリから映像信号をシリアル出力しラッチアレイ406に送る。
【0107】
コントローラ409は同時に、水平方向のラッチタイミングを生成するためにHシフトレジスタ405の初期化を行うHスタートパルスと、同Hシフトレジスタ405のシフトを行うHシフトクロックを生成する。Hシフトレジスタ405はコントローラ409から受け取る前記信号により、ラッチ406に対するラッチ信号を生成する。ラッチ406は前記ラッチ信号のタイミングで前記映像信号を取り込み、その値に従い各データ信号411への出力電位を固定する。
【0108】
また、コントローラ409は垂直方向選択タイミングを生成するために、Vシフトレジスタ407の初期化を行うVスタートパルスと、同Vシフトレジスタ407のシフトを行うVシフトクロックを生成する。Vシフトレジスタ407はコントローラ409からの前記信号により走査信号線410の一つに選択信号を与える。
【0109】
表示部403に並んだ素子は図9に例示される制御回路により制御されており、前記の選択された走査信号線410に接続された制御回路が、データ信号線411の電位を容量Cgに貯えて、この電位に応じた電流が画素404の有機EL素子に供給される。
【0110】
図10において、画素404は平行四辺形の形状で垂直方向に対して傾斜して配列するように描かれているが、図9に示したデータ信号線411は、この見かけの斜め配列に沿って結線される必要は無い。垂直方向に隣接する副画素を互いに結線して図10のデータ信号線411としてよい。
【0111】
本発明の画像表示パネルは、上述したように傾きが1/2、或いは1/3である副画素配列の場合、従来の長方形副画素によるデルタ配列、或いはスクランブル配列と同等の副画素の重心位置を有する。前記のように結線することによって、従来の直交座標系で表された画像データをそのまま表示することが可能である。
【0112】
なお、画素を形成する副画素の配置を前記の画素内で一定とすることにより、各画素の重心と副画素の重心とのオフセットが一定となる。もし画素内の副画素の配置を一定としない場合、前記のオフセットのムラが画面内に生じるため、例えば単色のなだらかなグラデーションを表示する場合に、オフセットのムラに起因する色ムラが視認される。画素内の副画素の配置を一定にするならば、上記の色ムラを防ぐことができる。
【0113】
従来の長方形副画素によるデルタ配列の場合のデータ信号線411の結線方法には、少なくとも二つの結線方法がある。そのひとつは、奇数行と偶数行及び副画素の色を区別せずに垂直方向に最短距離にある二つの副画素のうち一方に結線して、水平方向の副画素数と同数のデータ線を引き出す方法である。
【0114】
別のひとつは、奇数行同士、偶数行同士についてそれぞれ独立に、同一の発光色を有する副画素について垂直方向の最短距離を結線して、各列の水平方向に隣接する副画素の数の2倍のデータ線を引き出す方法である。本発明の画像表示パネルは、前記のいずれの結線方法によってもよい。
【0115】
もちろん、本発明の画像表示パネルでは、見かけの傾斜配列に沿ってデータ信号線411を斜めに結線しても、データ信号線411と選択信号線とにより原理的に表示部403の全ての画素に駆動情報を与えることができる。したがって、前記の斜めの結線でも、二次元画像情報の座標変換を行えば直交座標系で表れた所望の画像情報の表示は可能である。
【実施例】
【0116】
以下に実施例を示してさらに具体的に本発明を説明する。なお本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0117】
<実施例1>
本発明の画像表示パネルの製造方法を具体的に説明する。ガラス基板に100ppi相等のシリコンTFTアクティブマトリクス駆動回路を形成し、この上にアクリル樹脂による絶縁・平坦化層を重ねる。前記アクリル樹脂層に開けたスルーホールを通じて前記駆動トランジスタに接続した300nmの厚さのクロム反射層と、0.6μmの厚さのインジウム錫酸化物とを形成する。前記クロム反射層と錫酸化物層とを図1の平面形状にパターニングして第1の電極とする。前記第1の電極の大きさは、平行四辺形の長辺を237μm、短辺は75μmとし、垂直方向に隣接する第1の電極の間隔を30μm、水平方向に隣接する電極間隔を10μmとする。
【0118】
次に、ポリイミド樹脂を1.8μmの厚さに基板表面に形成し、パターニングを行って各第1の電極を取り囲む周縁部位置に幅20μmの素子分離膜を形成する。前記の基板をUV/オゾン洗浄した後、厚さ50nmのN、N’−α−ジナフチルベンジジン(α−NPD)を堆積してホール輸送層とする。
【0119】
次に、スリット幅71μmの図2の形状のマスクを基板に重ね、赤色副画素の第1の電極上に重なるように、Ir(ppy)3(イリジウム−フェニルピリジン錯体)と、
4、4’−N、N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)との堆積重量比14:86の混合真空堆積膜を40nmの厚さに形成して赤色発光層とする。
【0120】
同じマスクを面内シフトして、緑色副画素の第1の電極上に重なるように、クマリン6(1.0vol%)と、
トリス[8−ヒドロキシキノリナート]アルミニウム(Alq3)との堆積重量比1:99の混合真空堆積膜を30nmの厚さに形成して緑色発光層とする。
【0121】
さらに、同じマスクを面内シフトして、青色副画素の第1の電極上に重なるように、ペリレンとトリス[8−ヒドロキシキノリナート]アルミニウム(Alq3)との堆積重量比1:99の混合真空堆積膜を40nmの厚さに形成して青色発光層とする。
【0122】
次に、
【0123】
【化5】

で表されるパソフェナントロリン(Bphen)を10nmの厚さで成膜して電子輸送層とする。さらに、炭酸セシウムとBphenとの混合真空堆積膜(堆積重量比1:99)を40nmの厚さで堆積して電子注入層とする。
【0124】
さらに250nmの厚さのインジウム錫酸化物を堆積し、第2の電極とする。最後に窒素雰囲気下で、この基板に乾燥剤を付けたガラスキャップを被せ、UV硬化樹脂により封止する。
【0125】
<実施例2>
本発明の画像表示パネルの別の製造例を説明する。
【0126】
ガラス基板に図9に従うアクティブマトリクス駆動回路を960列240行配列した画像表示部と、図10のラッチ406、シフトレジスタ405,407を形成したシリコンTFT基板を作成する。データ信号線411は、奇数行青−偶数行赤、奇数行緑−偶数行青、奇数行赤−偶数行緑を垂直方向に結線する。前記画像表示部の表面にアクリル樹脂による絶縁・平坦化層を重ねる。前記アクリル樹脂層に開けたスルーホールを通じて前記駆動トランジスタに接続した100nmの厚さのAg合金(AgPdCu)層を堆積して、さらに20nmの厚さのインジウム亜鉛酸化物IZOを堆積し、図1の形状にパターニングして第1の電極とする。
【0127】
さらにアクリル樹脂からなる素子分離膜を、前記第1の電極の周囲にパターニングして形成し、熱処理後放冷し、UV/オゾン洗浄した後、図2(c)のパターンのマスクを重ねて、
【0128】
【化6】

で表される化合物[I]を赤色副画素のホール輸送層として50nmの厚さ、緑色副画素のホール輸送層として30nmの厚さ、青色副画素のホール輸送層として20nmの厚さで、各々前記のマスクを副画素のピッチずつシフトして真空堆積する。
【0129】
次に、発光層として、前記マスクを用いて、赤、緑、青(RGB)それぞれの発光層を成膜する。前記Rの発光層としては、ホストとしてCBPと、燐光発光性化合物BtpIr(acac)とを混合真空堆積して60nmの厚さの発光層とする。前記Gの発光層としては、ホストとしてAlq3と、発光性化合物クマリン6とを混合真空堆積して40nmの厚さの発光層とする。前記Bの発光層としては、ホストとして、
【0130】
【化7】

で表される化合物[II]と、
【0131】
【化8】

で表される発光性化合物[III]とを混合真空堆積して20nmの厚さの発光層とする。
【0132】
更に、共通の電子輸送層として、バソフェナントロリン(BPhen)を真空堆積法にて10nmの厚さに形成する。堆積時の真空度は1×10−4Pa、成膜速度は0.2nm/secの条件である。次に、共通の電子注入層として、BPhenと炭酸セシウムとを混合真空堆積(重量比90:10)し、20nmの厚さに形成する。
【0133】
この上に、透明陰極103としてITOの透明電極を60nmの厚さに成膜する。さらに保護膜として、窒化酸化シリコンを700nmの厚さに成膜し、画像表示パネルを得る。
【0134】
<実施例3>
本発明の画像表示装置の製造例を説明する。実施例2の画像表示パネルに対して図10の表示制御部402を接続する。コントローラ409はVスタートパルスを出力し、次に表示部403の第1行のそれぞれの副画素の明るさを、映像信号変換メモリ408を参照し演算により求める。
【0135】
次にコントローラ409はHシフトレジスタのリセット信号を出力する。この後、コントローラ409は前記の演算により求めた各副画素の明るさのデータを、Hシフトクロックとともに順次シリアルに出力する。1行分の出力が終了したら、コントローラ409はVシフトクロックを出力し、次の行について上記と同様の処理を行う。
【0136】
以下、最後の行まで処理が終了したら、コントローラ409は所定の時間待機し、再び上記Vスタートパルス出力から同じ動作を繰り返す。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明の画像表示パネルの副画素の形状と配列の一例を示す平面図である。
【図2】本発明の画像表示パネルの製造に用いるマスクの一例を示す平面図である。
【図3】本発明の別の画像表示パネルの副画素の形状と配列の一例を示す平面図である。
【図4】本発明の別の画像表示パネルの副画素の形状と配列の一例を示す平面図である。
【図5】本発明の別の画像表示パネルの副画素の形状と配列の一例を示す平面図である。
【図6】本発明の別の画像表示パネルの副画素の形状と配列の一例を示す平面図である。
【図7】本発明の別の画像表示パネルの副画素の形状と配列の一例を示す平面図である。
【図8】本発明の画像表示パネルの副画素の層構成の例を示す模式図である。
【図9】本発明の画像表示パネルの副画素の制御回路の一例を示す回路図である。
【図10】本発明の画像表示装置の一例を示す構成図である。
【図11】有機EL素子がマトリックス状に配置されている画像表示パネルの一例を示す概略構成図で、(a)は各画素の配列を示す平面図、(b)はA−A’の断面図である。
【図12】素子周辺に素子分離膜が形成された画像表示パネルの一例を示す断面図である。
【図13】従来の画像表示パネルの副画素の形状と配列を示す平面図で、(a)ストライプ配列、(b)デルタ配列、(c)スクランブル配列を示す平面図である。
【図14】従来の方法により、有機EL素子の有機化合物層を形成している様子を模式的に示す斜視図である。
【図15】従来のマスクの断面を示す模式図である。
【図16】長方形副画素がデルタ配列の画像表示パネルのためのマスクの例を示す模式図で、(a)材料放射源側から見たマスクの平面図、(b)C−C’の断面図である。
【符号の説明】
【0138】
101 基板
102 第1の電極
103 有機化合物層
104 第2の電極
105 副画素
110 素子分離膜
111 保護層
201 マスク
202 貫通孔
203 削り部分
301 ホール注入層
302 ホール輸送層
303 発光層
304 電子輸送層
305 電子注入層
401 画像表示パネル
402 表示制御部
403 表示部
404 画素
405 Hシフトレジスタ
406 ラッチアレイ
407 Vシフトレジスタ
408 映像信号変換メモリ(記憶手段)
409 コントローラ
410 選択(走査)信号線
411 データ信号線
412 電源線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された第1の電極上に、真空堆積法で有機発光層が堆積され、さらに第2の電極が形成されてなる、少なくとも赤、緑、青の発光色を有する有機EL素子が一定の順に並んで構成される画素が複数配列された有機エレクトロルミネッセンス型二次元カラー画像表示パネルにおいて、
各々の有機EL素子は平面形状において一組の平行な二辺を有しており、
互いに他色の発光色を有する有機EL素子が、前記平行な二辺で隣接しており、同一の発光色を有する有機EL素子は、前記平行な二辺の平行線方向に隣接して、垂直線に対して傾斜して平行に並ぶストライプ状に配列されていることを特徴とする、カラー画像表示パネル。
【請求項2】
水平方向に隣接するように配列された、前記少なくとも赤、緑、青の発光色を有する有機EL素子を副画素の一組として画素が形成され、水平方向に隣接する前記画素はその重心位置を結ぶ直線が水平線に対して平行となるように配列されていることを特徴とする、請求項1に記載のカラー画像表示パネル。
【請求項3】
前記有機EL素子は平行四辺形であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のカラー画像表示パネル。
【請求項4】
前記有機EL素子は長方形であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のカラー画像表示パネル。
【請求項5】
前記有機EL素子の短辺は水平線に対して平行であることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のカラー画像表示パネル。
【請求項6】
任意の前記副画素の重心位置と前記副画素と垂直方向に隣接する同一の発光色を有する副画素の重心位置との水平方向のずれ量kと、水平方向に隣接する同一の発光色を有する副画素の繰り返しピッチrとの比の値k/rは、1/2あるいは1/3であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のカラー画像表示パネル。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のカラー画像表示パネルと表示制御部とを有することを特徴とする、カラー画像表示装置。
【請求項8】
基板上に二次元に配列した複数の第1の電極を形成する工程と、少なくとも赤、緑、青の発光色を有する有機発光材料を、それぞれの発光色ごとに、複数の貫通孔を有するマスクの前記貫通孔を通じて前記第1の電極の形成位置に堆積する工程と、第2の電極を形成する工程とを有する有機エレクトロルミネッセンス型二次元カラー画像表示パネルの製造方法において、
複数の第1の電極を形成する工程では、一組の平行な二辺を有する平面形状の第1の電極を、前記平行な二辺の第一の辺が直線上に並び、前記平行な二辺の第二の辺もまた直線上に並ぶように一次元に配置し、前記電極の一次元配列が垂直線に対して傾斜して平行に並ぶストライプ状となるように二次元に配列を形成すること、
有機発光材料を堆積する工程では、前記第1の電極が形成されてなるストライプに対応するように貫通孔がストライプ状に形成されたマスクを、前記第1の電極が形成されてなるストライプと前記マスクの貫通孔とを対向させるように位置合わせし、有機発光材料の堆積を行うこと、
を特徴とする、カラー画像表示パネルの製造方法。
【請求項9】
水平方向に隣接するように配列した、前記少なくとも赤、緑、青の発光色を有する有機EL素子を副画素の一組として画素を形成し、水平方向に隣接する前記画素はその重心位置を結ぶ直線を水平線に対して平行となるように配列していることを特徴とする、請求項8に記載のカラー画像表示パネルの製造方法。
【請求項10】
前記第1の電極は平行四辺形であることを特徴とする、請求項8又は請求項9に記載のカラー画像表示パネルの製造方法。
【請求項11】
前記第1の電極は長方形であることを特徴とする、請求項8又は請求項9に記載のカラー画像表示パネルの製造方法。
【請求項12】
前記第1の電極の短辺は水平線に対して平行であることを特徴とする、請求項8乃至請求項11のいずれか1項に記載のカラー画像表示パネルの製造方法。
【請求項13】
任意の副画素の重心位置と前記副画素と垂直方向に隣接する同一の発光色を有する副画素の重心位置との水平方向のずれ量kと、水平方向に隣接する同一の発光色を有する副画素の繰り返しピッチrとの比の値k/rは、1/2あるいは1/3であることを特徴とする、請求項8又は請求項9に記載のカラー画像表示パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−277264(P2008−277264A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57395(P2008−57395)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】