説明

カルボキシアルキル化セルロース繊維及び抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法、これによって得られるカルボキシアルキル化セルロース繊維及び抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維、並びに繊維製品

【課題】 多量のカルボキシアルキル化剤や有機溶剤を使用する必要がなく、また、複雑な装置を必要とせず、経済的に且つ安全に効率よく、カルボキシアルキル化セルロース繊維及び抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維を製造する方法を提供する。
【解決手段】 セルロース繊維を、アルカリ金属水酸化物、カルボキシアルキル化剤及びカルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩を含有してなるカルボキシアルキル化剤組成物水溶液を用いてカルボキシアルキル化することを特徴とするカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法。カルボキシアルキル化されるセルロース繊維が、反応性染料により染色されたものであるカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法。上記製造方法によって得られるカルボキシアルキル化セルロース繊維。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法、この製造方法により得られるカルボキシアルキル化セルロース繊維、抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法、これによって得られる抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維、及びこれらの繊維からなる繊維製品に関する。更に詳しくは、カルボキシアルキル化セルロース繊維及び抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維の経済性及び安全性に優れた製造方法、これらの製造方法により得られるカルボキシアルキル化セルロース繊維及び抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維、並びにこれらの繊維からなる繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
靴下、肌着、サポーター等の衣料製品は、人体に長時間着用する必要があるので、装着時の心地よい肌触りや発汗に対する適度な吸湿性が求められ、更に最近では、悪臭の発生の抑制力が求められている。
このような用途には、従来からカルボキシアルキル化セルロース系繊維が用いられているが、悪臭発生を防止し、衛生的な状態を保持するために、最近では銅や亜鉛等の金属を結合させて抗菌性ないし消臭性を付与したカルボキシアルキル化セルロース繊維が賞用されるようになっている。
【0003】
これらのカルボキシアルキル化セルロース繊維において、カルボキシアルキル化の程度によりセルロース繊維の水溶性や銅塩化したときの抗菌性等が変化する。このため、カルボキシアルキル化の程度を安定的に一定高さに保つ必要がある。
また、包帯、ガーゼ、オムツ、生理用品等の衛生用品においても、体液、尿等を簡便に処理することができると共に、衛生的な状態を保持できることが求められる。
【0004】
カルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法としては、アルカリ金属水酸化物の存在下に、セルロース繊維とモノハロゲン化酢酸又はその塩とを反応させ、得られるカルボキシアルカリ金属化セルロース繊維を中和処理してアルカリ金属を水素で置き換える方法が一般的である。
また、このカルボキシアルカリ金属化セルロース繊維を硫酸銅や硫酸亜鉛等で処理をすれば、銅カルボキシアルキル化セルロース繊維や亜鉛カルボキシアルキル化セルロース繊維を得ることができる。
【0005】
ところが、モノハロゲン化酢酸等のカルボキシアルキル化剤とアルカリ金属水酸化物とを用いてセルロース繊維をカルボキシアルキル化する際に、水を溶媒として使用すると、カルボキシアルキル化の間にカルボキシアルキル化剤の分解が起きてしまい、反応率が低下する。
反応率を上げるためには、カルボキシアルキル化剤を増量することが考えられるが、添加量に比例して反応効率が上昇するわけではなく、一般的にカルボキシアルキル化剤は高価であるので、経済的ではない。
【0006】
このため、セルロース繊維をカルボキシアルキル化剤、アルカリ金属水酸化物、架橋剤及び水からなる水性反応液に含浸した後、水を一部蒸発させて反応液中の水の量を減らした後カルボキシアルキル化を行なうことにより、カルボキシアルキル化剤の分解を抑制してカルボキシアルキル化の反応効率を高める方法(特許文献1)が提案されている。しかし、この方法によれば、分解は抑制できるものの、水の減量によりカルボキシアルキル化剤の溶解性が低下するので、却ってカルボキシアルキル化が起こりにくくなってしまう。
また、特許文献2には、反応媒体として水と高沸点水溶性有機溶媒との混合物を用いて、反応液中の水の比率を低下させて、セルロース繊維のカルボキシアルキル化と架橋とを同時に行なう方法が開示されている。しかしながら、反応に用いた高沸点水溶性溶媒は、当然のことながら、その除去を必要とするので、装置や安全性への負担を大きくする。
更に、上記のように反応温度を高めたり、また、反応媒体の量を減らしたりしてカルボキシアルキル化を行なうと、セルロース繊維の解重合を引き起こしてしまう恐れがある。
【0007】
【特許文献1】特開平8−60542号公報
【特許文献2】特開平8−246341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、多量のカルボキシアルキル化剤や有機溶剤を使用する必要がなく、また、複雑な装置を必要とせず、経済的に且つ安全に効率よく、カルボキシアルキル化セルロース繊維及び抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維を製造する方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記製造方法によって得られるカルボキシアルキル化セルロース繊維及び抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維を用いて、衣料製品や衛生製品等の繊維製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かくして、本発明によれば、セルロース繊維を、アルカリ金属水酸化物、カルボキシアルキル化剤及びカルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩を含有してなるカルボキシアルキル化剤組成物水溶液を用いてカルボキシアルキル化することを特徴とするカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法が提供される。
本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法において、カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩が、炭酸の水溶液中の一段目の酸解離指数(pKa値=6.35)以下の酸解離指数を有する酸から生成される塩であることが好ましい。
前記カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩は、硫酸塩、塩酸塩、炭酸塩及び酢酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩は、アルカリ金属塩であることが好ましい。
【0010】
本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法において、カルボキシアルキル化剤組成物水溶液中の水に対するカルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩の重量比率が、当該カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩の水に対する溶解度以上の量であることが好ましい。
本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法において、カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩の含有量が、カルボキシアルキル化剤組成物水溶液中の水100重量部に対して5〜300重量部であることが好ましい。
また、本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法において、カルボキシアルキル化剤組成物水溶液が、水100重量部、アルカリ金属水酸化物1.4〜20重量部、カルボキシアルキル化剤3.5〜24重量部及びカルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩5〜300重量部を含有してなるものであることが好ましい。
【0011】
本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法において、セルロース繊維を、アルカリ金属水酸化物、カルボキシアルキル化剤及びカルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩を含有してなるカルボキシアルキル化剤組成物水溶液に浸漬し、このカルボキシアルキル化剤組成物水溶液を0〜70℃で撹拌しながら、セルロース繊維をカルボキシアルキル化することが好ましい。
また、本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法において、カルボキシアルキル化反応時間が1〜30時間であることが好ましい。
更に、本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法において、カルボキシアルキル化剤組成物水溶液の量が、セルロース繊維100重量部に対して、200〜2,000重量部であることが好ましい。
更に、本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法において、セルロース繊維のカルボキシアルキル基平均置換度が0.01〜0.45であることが好ましい。
【0012】
本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法において、セルロース繊維の形態が、糸状であることが好ましい。
本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法において、カルボキシアルキル化されるセルロース繊維が、反応性染料により染色されたものであることが好ましい。
更に上記本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法において、反応性染料がモノクロロトリアジン染料であることが好ましい。
本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法において、カルボキシアルキル化されるセルロース繊維が、反応性染料により染色されたものである場合は、カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩として炭酸カリウムを使用することが好ましい。
【0013】
本発明によれば、上記カルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法によって得られたカルボキシアルキル化セルロース繊維が提供される。
更に、本発明によれば、上記のカルボキシアルキル化セルロース繊維を、抗菌性金属化合物で処理する抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法によって得られた抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維が提供される。
更に、本発明によれば、上記カルボキシアルキル化セルロース繊維又は抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維から形成された繊維製品が提供される。
上記繊維製品は、好ましくは、衣料製品又は衛生製品である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法は、反応試薬としてアルコール等の可燃性の有機溶剤や高温条件下での反応工程を必要としないので、安全性、低環境負荷に優れた製造方法であり、繊維の形態にあわせた特殊な設備等を用いなくとも、多様な繊維形態でカルボキシアルキル化処理をすることができるので、多品種生産をする場合に好適である。また、得られるカルボキシアルキル化セルロース繊維は劣化が少ないため、これを用いて、装着時に肌触りの良い繊維製品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法は、セルロース繊維をアルカリ金属水酸化物、カルボキシアルキル化剤及びカルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩を含有してなるカルボキシアルキル化剤組成物水溶液を用いてカルボキシアルキル化することからなる。
なお、本発明において、カルボキシアルキル化とは、セルロース繊維のグルコース水酸基をカルボキシアルキル化することをいう。
また、本発明においては、カルボキシルアルキル化において、カルボキシル基の水素原子をアルカリ金属等の金属で置換した形のアルカリ金属カルボキシアルキル化も、カルボキシアルキル化の概念に含む。
本発明で使用するセルロース繊維は、特に限定されず、綿等の天然セルロース繊維;ビスコースレーヨン繊維、ポリノジック繊維、銅アンモニアレーヨン繊維、リヨセル繊維、モダル繊維等の再生セルロース繊維;のいずれであってもよい。
セルロース繊維の形態は、ステープル、糸状及びシート状のいずれであってもよく、また、靴下、肌着等の製品形態を有するものであってもよい。
【0016】
糸状のものとしては、撚糸、モノフィラメント、マルチフィラメント、カバードヤーン、コアヤーン等の形態のものが利用でき、伸縮加工や嵩高加工等を施したものであってもよい。
また、シート状のものとしては、織物、編物、不織布、ネット等の形態を挙げることができる。
織物は、平織、綾織、朱子織のいずれであってもよい。編物は、経編及び緯編の各種編組織が利用できる。不織布は、フリース形成法として、乾式法、湿式法及びスパンボンド法のいずれを使用したものであってもよく、繊維結合が、スパンレース法、ニードルパンチ法、ケミカルボンド法、ポイントシール法、サーマルボンド法等のいずれの方法で形成されたものであってもよい。ネットは、複数の長繊維を網目が形成されるように適当な間隔をあけて配置し、これを熱融着や接着剤等の結合手段により繊維同士を結合して形成したものを使用できる。
これらのうち、糸状及びシート状の形態が、幅広い製品形態への加工が可能であるため好ましく、特に糸状の形態であることが好ましい。
【0017】
セルロース繊維は、セルロース繊維以外の繊維をその構成繊維として含んでいてもよい。セルロース以外の繊維の具体例としては、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリアミド系繊維、アラミド繊維、ポリオレフィン系繊維、ビニロン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリウレタン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維等の有機合成繊維;羊毛等の動物性天然繊維;ガラス繊維、カーボンファイバー繊維等の無機繊維;等を挙げることができる。
セルロース繊維と非セルロース繊維との合計重量に対するセルロース繊維の比率は、50〜100%であることが好ましく、70〜100%であることが更に好ましい。セルロース繊維の比率が上記範囲内にあることにより、その繊維から形成する被服や衛生用品に良好な吸湿性、吸水性及び肌触りを付与することができる。
【0018】
本発明で使用するアルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等が挙げられるが、好ましくは水酸化ナトリウムが用いられる。
【0019】
本発明においてカルボキシアルキル化剤としては、ハロゲノカルボン酸又はその塩を使用することができる。ハロゲノカルボン酸は、特に限定されないが、炭素数3以下のものが好ましい。ハロゲノカルボン酸の炭素数により、得られるカルボキシアルキル基が異なり、ハロゲノ酢酸を使用したときはカルボキシメチル基が、ハロゲノプロピオン酸を使用したときはカルボキシエチル基が生成する。
また、ハロゲノカルボン酸を構成するハロゲンの種類は、特に限定されないが、塩素及び臭素が好ましく、その数も特に限定されないが、通常、モノハロゲノカルボン酸が用いられる。
また、ハロゲノカルボン酸そのものを用いてもよいが、水溶性の良好なアルカリ金属塩を用いるのが好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム及びカリウムが好ましく用いられる。
ハロゲノカルボン酸の具体例としては、モノクロロ酢酸アルカリ金属塩、モノブロモ酢酸アルカリ金属塩、α−クロロプロピオン酸アルカリ金属塩、β−クロロプロピオン酸アルカリ金属塩、α−ブロモプロピオン酸アルカリ金属塩、β−ブロモプロピオン酸アルカリ金属塩等を挙げることができる。これらのハロゲノカルボン酸は一種類を単独で使用してもよく、二種類以上を併用してもよい。
これらのうち、好ましくはモノクロロ酢酸アルカリ金属塩、特に好ましくはモノクロロ酢酸ナトリウム塩が用いられる。
【0020】
本発明においては、カルボキシアルキル化反応を、カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩の存在下に行なうことが重要である。
カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩は、水溶性であれば特に限定されないが、炭酸の水溶液中の一段目の酸解離指数(pKa値=6.35)以下の酸解離指数を有する酸から生成される塩が好ましい。ここで、或る酸から生成される塩とは、その酸から生成される塩と同等の構造を有するものを全て(その由来に限定されず)含む概念である。
炭酸の水溶液中の一段目の酸解離指数(pKa値=6.35)以下の酸解離指数を有する酸としては、硫酸(pKa値=−3.0)、塩酸(pKa値=−7.0)、炭酸(pKa値=6.35)、酢酸(pKa値=4.76)、ベンゼンスルホン酸(pKa値=−2.7)、硝酸(pKa値=−1.4)、シュウ酸(pKa値=1.27)、リン酸(pKa値=2.15)、ギ酸(pKa値=3.75)、安息香酸(pKa値=4.2)等が挙げられる。これらの中でも、硫酸塩、塩酸塩、炭酸塩及び酢酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
また、カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩は、アルカリ金属の塩であることがより好ましい。
【0021】
このような水溶性塩の具体例としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩や、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の有機塩が挙げられる。これらの中でも、硫酸ナトリウムと炭酸カリウムが特に好ましい。
これらのカルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩は、一種類を単独で使用してもよく、二種類以上を併用してもよい。
本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法において、カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩の存在により、カルボキシアルキル化剤とアルカリ金属水酸化物の反応が抑制され、カルボキシアルキル化反応の効率が高まっているものと考えられる。
【0022】
カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩の使用量は、カルボキシアルキル化剤組成物水溶液中の水に対する当該カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩の重量比率が、当該カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩の水に対する溶解度以上の量であることが好ましい。なお、ここで、カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩の水に対する溶解度とは、カルボキシアルキル化反応温度における水100gに対して溶解しうる当該カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩の最大量をいう。
【0023】
本発明において、カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩の合計使用量は、使用するカルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩の種類及び水温にもよるが、水100重量部に対して、好ましくは5〜300重量部、更に好ましくは10〜260重量部である。
本発明において、アルカリ金属水酸化物、カルボキシアルキル化剤及びカルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩を含有してなるカルボキシアルキル化剤組成物水溶液中のアルカリ金属水酸化物、カルボキシアルキル化剤及びカルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩の量は、水100重量部に対して、それぞれ、1.4〜20重量部、3.5〜24重量部及び5〜300重量部であることが好ましい。
【0024】
本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法において、セルロース繊維を、アルカリ金属水酸化物、カルボキシアルキル化剤及びカルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩を含有してなるカルボキシアルキル化剤組成物水溶液を用いてカルボキシアルキル化するに際し、アルカリ金属水酸化物、カルボキシアルキル化剤及びカルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩を含有してなるカルボキシアルキル化剤組成物水溶液にセルロース繊維を浸漬する。
このとき、カルボキシアルキル化剤組成物水溶液の温度は、0〜70℃であることが好ましく、0〜50℃であることが更に好ましい。混合水溶液の温度が70℃より高いと、カルボキシアルキル化剤の副反応が促進され反応効率が低下する恐れがあり、また、セルロース繊維が劣化し繊維の肌触りが悪化する可能性がある。0℃未満の場合には混合溶液を冷却する特別の設備等を要することがあり、不経済となる場合がある。
【0025】
本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法において、セルロース繊維を混合水溶液に浸漬して静置しておいてもカルボキシアルキル化反応は進行するが、セルロース繊維にカルボキシアルキル化剤が十分浸透するように、ポンプによる循環や攪拌機の使用により、混合水溶液を撹拌するのが好ましい。
浸漬時間は、通常、1〜30時間、好ましくは1〜15時間である。
本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法においては、従来の製造方法のように、アルカリ金属水酸化物の存在下で、含浸したカルボキシアルキル化剤の溶液を搾り出すためセルロース繊維を圧搾したり、反応のため熱風乾燥したりする必要がない。このため、本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法によれば、セルロース繊維が劣化することが少ない。
【0026】
本発明において、使用する混合水溶液の量は、セルロース繊維100重量部に対して、200〜2,000重量部であることが好ましい。混合水溶液の量がこの範囲内にあるとき、セルロース繊維が完全に混合水溶液中に浸る状態になるので好ましい。
【0027】
セルロース繊維のカルボキシアルキル化後、セルロース繊維に残存する未反応のハロゲノカルボン酸、アルカリ金属水酸化物、カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩及び副反応生成物等を除去するために、セルロース繊維を洗浄することが好ましい。
洗浄には、水、アルコール等の有機溶媒、又は水と有機溶媒との混合溶媒を使用するのが洗浄を完全にする上で好ましい。また、残存する水酸化アルカリ金属を中和するために、酢酸等の酸を混合することが好ましい。なお、カルボキシアルキル化セルロース繊維を更に抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維とする場合には、中和を行なわず、アルカリ金属カルボキシアルキル化セルロース繊維のままでもよい。洗浄後には、乾燥機等を使用し余分な水分を乾燥させればよい。
【0028】
本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法によって得られるカルボキシアルキル化セルロース繊維のカルボキシアルキル化の程度は、セルロース繊維を構成するセルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシアルキル基のモル数(平均置換度)が、好ましくは0.01〜0.45、更に好ましくは0.01〜0.1となる範囲である。
【0029】
本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法において、セルロース繊維として染色済みのセルロース繊維を使用することも可能である。
染色済みのセルロース繊維をカルボキシアルキル化する場合、反応性染料により染色されたセルロース繊維を使用することが好ましく、特にモノクロロトリアジン型の反応性染料により染色されたものが好ましい。
使用する染料の種類によっては、カルボキシアルキル化反応に使用するアルカリ金属水酸化物の影響で、染料の脱落が生じやすくなるが、反応性染料、特にモノクロロトリアジン型の反応性染料を使用することで染料の脱落を低減することができる。この際、使用するカルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩として炭酸カリウムを選択することによって、染料の脱落を一層抑えることができる。
また、染色済みのセルロース繊維をカルボキシアルキル化させるときの混合水溶液の温度は、0〜70℃が好ましく、0〜50℃が更に好ましい。70℃以上にすると染料の脱落が生じやすくなる。
従来公知のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法によって染色済みのセルロース繊維をカルボキシアルキル化すると、染料の脱落が激しいものとなるが、上述の本発明の方法によれば、これを抑制することができる。
【0030】
本発明のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法によって得られたカルボキシアルキル化セルロース繊維又はアルカリ金属カルボキシアルキル化セルロース繊維を抗菌性金属化合物で処理することにより、抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維を得ることができる。処理の方法は、カルボキシアルキル化セルロース繊維又はアルカリ金属カルボキシアルキル化セルロース繊維と抗菌性金属化合物とを接触させることができれば特に限定されないが、カルボキシアルキル化セルロース繊維又はアルカリ金属カルボキシアルキル化セルロース繊維を抗菌性金属化合物の水溶液に浸漬して行なうのが好ましい。これにより、カルボキシアルキル基又はアルカリ金属カルボキシアルキル基が抗菌性カルボキシアルキル基に変換される。
【0031】
抗菌性金属としては、亜鉛、銅及び銀が好ましく、中でも、酸化や硫化によっても変色することのない亜鉛が特に好ましい。
抗菌性金属化合物は、上記抗菌性金属化合物のうち、水溶性の化合物のものがよく、その硫酸塩、塩酸塩、酢酸塩、硝酸塩等の塩;水酸化物;等を使用することができる。抗菌性亜鉛化合物の具体例としては、硫酸亜鉛、塩化亜鉛及び酢酸亜鉛を例示することができるが、硫酸亜鉛が好ましい。また、抗菌性銅化合物の具体例としては、硫酸銅、塩化銅、水酸化銅、及び酢酸銅を例示することができるが、硫酸銅が好ましい。更に、抗菌性銀化合物の具体例としては、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、及び酢酸銀を例示することができるが、硝酸銀が好ましい。
【0032】
抗菌性金属カルボキシアルキル基の量は、セルロース繊維を構成するセルロースの無水グルコース単位当たりの抗菌性金属カルボキシアルキル基のモル数(平均置換度)が、好ましくは0.01〜0.45、更に好ましくは0.01〜0.1となる範囲である。
抗菌性金属化合物によるカルボキシアルキル化セルロース繊維又はアルカリ金属カルボキシアルキル化セルロース繊維の処理後、反応に関与しないで残存している抗菌性金属化合物を除去するために、セルロース繊維を洗浄する。洗浄には、水、アルコール等の有機溶媒、又は水と有機溶媒との混合溶媒を使用できる。
【0033】
本発明の製造方法によって得られたカルボキシアルキル化セルロース繊維及び抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維は、これから繊維製品を好適に形成することができる。
繊維製品としては、靴下(ストッキング、タイツなどを含む)、肌着、サポーターなどの衣料製品及び包帯、ガーゼ、オムツ、生理用品などの衛生製品が挙げられる。また、抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維は、鳥インフルエンザ、豚インフルエンザ、人インフルエンザ等のインフルエンザやその他の感染症の感染防止用として、帽子、マスク、作業着、又は畜舎用のクロース、カーテン、マット、エアコンフィルター等の繊維製品にも使用することができる。
カルボキシアルキル化セルロース繊維及び抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維は、これらの繊維製品を構成する繊維の少なくとも一部または全部に使用することができるが、特に皮膚に直接接する部分にカルボキシアルキル化セルロース繊維又は抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維が配置されるように繊維製品を形成することが好ましい。
【実施例】
【0034】
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、各例中の部及び%は特に断りのない限り、質量基準である。
また、実施例の各特性の評価方法は、以下のとおりである。
【0035】
(カルボキシメチル基平均置換度)
カルボキシメチル基を有するセルロース繊維から採取した試料を秤量してその質量(Xg)を求める。試料繊維がセルロース繊維と非セルロース繊維とを含む場合は、その含有比率からセルロース繊維の質量を算出する。
なお、アルカリ金属カルボキシルメチル基を有するセルロース繊維の場合は、酸を添加した水とアルコールとの混合溶媒中で処理して、アルカリ金属カルボキシメチル基:−CHCOOM(但し、Mは、アルカリ金属である。)をカルボキシメチル基:−CHCOOHに変換する。次に、水とアルコールとの混合溶媒で洗浄後、乾燥したものを試料とする。
乾燥後の試料を容器中に入れ、一定量の水酸化ナトリウム水溶液で溶解する。フェノールフタレイン指示薬を添加した後、過剰の水酸化ナトリウムを規定度Nの塩酸で中和滴定して、その使用量をSmlとする。一方、包帯を酸処理しないで同様の操作を行い、塩酸の使用量をBmlとする。
平均置換度は、下記式で求められる。
A=N×(B−S)/X
置換度=0.162A/(1−0.058A)
【0036】
(抗菌性)
JIS Z 1902に記載の方法に準拠して、黄色ブドウ球菌を用いて試験を行う。試料繊維から、試験片0.4gを切り出し、その試験片に菌液0.2mlを滴下し、滴下直後の生菌数(個)、及び37℃で18時間放置した後の生菌数(個)を測定し、下式により殺菌活性値を算出する。この値が正で大きいほど殺菌活性が優れている。
殺菌活性値=標準布(非抗菌布)の試験菌接種直後の生菌数の常用対数値−抗菌加工試料の18時間培養後の生菌数の常用対数値
【0037】
(糸の引張強度)
JIS L1069(天然繊維の引張試験方法)に記載された方法に準拠して行なう。30mmの糸の両端に紙片を空間距離を20mmとして貼り付ける。紙片部分を引張試験機(島津製作所社製、商品名「オートグラフAG−I」ロードセル50N)のつかみ部分に、つかみ間隔20mmで固定し、引張速度20mm/minの条件で引張り、引張強度(単位:N)を測定する。
【0038】
(実施例1)
表1に示す組成の水酸化ナトリウム(アルカリ金属水酸化物)、モノクロロ酢酸ナトリウム(カルボキシアルキル化剤)及び硫酸ナトリウム(カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩)の混合水溶液が入った容器内に、100重量部の無染色の綿糸30/2(30番手、双糸)を円筒にチーズ巻きしたものを、水溶液に完全に浸漬させた。
水溶液の温度を25℃に保ち、容器内の水溶液をポンプにより循環撹拌しながら、セルロース繊維を15時間浸漬状態に維持して、セルロース繊維をナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維に変換した。
次いで、水に適量の酸を添加し、中和洗浄し、乾燥して、ナトリウムカルボキシメチル基をカルボキシメチル基に変換して、平均置換度が0.04のカルボキシメチル化セルロース繊維を得た。
このカルボキシメチル化セルロース繊維について、抗菌性及び糸の引張強度を測定した。結果を表1に示す。
【0039】
(実施例2〜4)
硫酸ナトリウムの量を表1に示すように変更するほかは実施例1と同様にして、カルボキシメチル化セルロース繊維を得た。
これらのカルボキシメチル化セルロース繊維について、抗菌性及び糸の引張強度を測定した。結果を表1に示す。
【0040】
(実施例5〜9)
硫酸ナトリウムに代えて、表1に示す量の塩化ナトリウム(実施例5)、塩化カリウム(実施例6)、炭酸カリウム(実施例7及び8)又は酢酸ナトリウム(実施例9)を使用するほかは実施例1と同様にして、カルボキシメチル化セルロース繊維を得た。
これらのカルボキシメチル化セルロース繊維について、抗菌性及び糸の引張強度を測定した。結果を表1に示す。
【0041】
(実施例10)
無染色の綿糸に代えて、モノクロロトリアジン型反応性染料(日本化薬社製、商品名「kayacion」)を使用して黒色に染色した太さ233μmの綿糸を使用するほかは、実施例1と同様に操作して、ナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維を得た。このカルボキシメチル化の際、染色の色落ちを肉眼で評価したところ、若干の色落ちは観察されたが、実用上は問題のない程度であった。このナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維を、硫酸亜鉛七水和物、酢酸及び酢酸ナトリウムの混合水溶液に浸漬して、ナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維を亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維へ変換した。次いで、水洗により残存する硫酸亜鉛、酢酸及び酢酸ナトリウムを除去した後、乾燥して、亜鉛カルボキシメチル化繊維を得た。
このカルボキシメチル化セルロース繊維について、抗菌性及び糸の引張強度を測定した。結果を表1に示す。
また、上記亜鉛カルボキシメチル化した糸とポリウレタン弾性糸をポリアミド糸でカバーした弾性糸とを使用し、靴下を編成した。
この靴下は、染色が綺麗に行われ、製品として仕上がりの良いものとなった。
【0042】
(実施例11)
硫酸ナトリウムに代えて、表1に示す量の炭酸カリウムを使用するほかは、実施例10と同様にして、亜鉛カルボキシメチル化繊維を得た。
また、カルボキシメチル化の際の染色の色落ちを肉眼で評価したところ、ほとんど色落ちは確認されず、その程度は実施例10より更に少なかった。
この亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維について、抗菌性及び糸の引張強度を測定した。結果を表1に示す。
また、この亜鉛カルボキシメチル化した糸とポリウレタン弾性糸をポリアミド糸でカバーした弾性糸とを使用し、靴下を編成した。
この靴下は、染色が綺麗に行われ、製品として仕上がりの良いものとなった。
【0043】
(実施例12)
無染色の綿糸30/2(30番手、双糸)を使用するほかは、実施例10と同様の方法により得られた亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維を使用して、丸編によりチューブ状の包帯を編成した。
この包帯について、外気と日光に3日間曝したが、変色は全く確認されなかった。
また、この包帯に、高圧蒸気滅菌、酸化エチレンガス滅菌又は放射線滅菌を施したが、いずれの場合にも、変色は全く確認されなかった。
【0044】
(比較例1)
硫酸ナトリウムを使用しないほかは、実施例1と同様にして、カルボキシメチル化処理を行った。平均置換度を測定したところ、0であった。
【0045】
(比較例2)
表1に示す組成の水酸化ナトリウム(アルカリ金属水酸化物)及びモノクロロ酢酸ナトリウム(カルボキシアルキル化剤)の混合水溶液が入った容器内に、モノクロロトリアジン型反応性染料(日本化薬社製、商品名「kayacion」)を使用して黒色に染色した太さ233μmの綿糸をかせ枠に100重量部かせ巻きしたものを、水溶液に2分間完全に浸漬させた。その後、適当な脱水率で繊維を絞り、その後、絶乾状態になるまで120℃で30分熱風乾燥させ、セルロース繊維をナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維に変換した。その後、ナトリウムカルボキシメチル化した糸を、酢酸及び酢酸ナトリウムを溶解した水溶液に浸漬し、ナトリウムカルボキシメチル基を中和し、その後水洗、乾燥して、カルボキシメチル化セルロース繊維を得た。
このカルボキシメチル化セルロース繊維について、抗菌性及び糸の引張強度を測定した。結果を表1に示す。
また、このカルボキシメチル化した糸とポリウレタン弾性糸をポリアミド糸でカバーした弾性糸とを使用し、靴下を編成した。
この靴下は、色落ちの程度がひどく、製品として仕上がりが非常に悪いものとなった。
【0046】
【表1】

【0047】
表1の結果から、カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩を含有しないカルボキシアルキル化剤組成物水溶液を使用してカルボキシアルキル化処理を行なった場合は、25℃×15時間の条件では、カルボキシアルキル化が進行しないことが分かる(比較例1)。
また、同様のカルボキシアルキル化剤組成物水溶液を用いて、温度を120℃として反応させた場合は、実施例と同程度のカルボキシアルキル化率とすることはできる。しかし、得られる糸の引張強度が低下することが分かる(比較例2)。これは、熱とアルカリ性水溶液の影響により繊維の劣化が進行したものと考えられる。
これに対して、カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩を含有するカルボキシアルキル化剤組成物水溶液の存在下に反応を行なった本発明の実施例においては、温和な条件で、カルボキシアルキル化が効率的に進行し、得られる糸の引張強度も優れることが分かる。
また、染色した繊維を高温でカルボキシメチル化させた比較例2では、色落ちの程度が顕著であったが、本発明の方法でカルボキシメチル化を行なった実施例10及び11では、繊維の色落ちがないことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース繊維を、アルカリ金属水酸化物、カルボキシアルキル化剤及びカルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩を含有してなるカルボキシアルキル化剤組成物水溶液を用いてカルボキシアルキル化することを特徴とするカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法。
【請求項2】
カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩が、炭酸の水溶液中の一段目の酸解離指数(pKa値=6.35)以下の酸解離指数を有する酸から生成される塩である請求項1に記載のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法。
【請求項3】
カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩が、硫酸塩、塩酸塩、炭酸塩及び酢酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法。
【請求項4】
カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩がアルカリ金属塩である請求項2又は3に記載のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法。
【請求項5】
カルボキシアルキル化剤組成物水溶液中の水に対するカルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩の重量比率が、当該カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩の水に対する溶解度以上の量である請求項1〜4のいずれかに記載のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法。
【請求項6】
カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩の含有量が、カルボキシアルキル化剤組成物水溶液中の水100重量部に対して5〜300重量部である請求項1〜5のいずれかに記載のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法。
【請求項7】
カルボキシアルキル化剤組成物水溶液が、水100重量部、アルカリ金属水酸化物1.4〜20重量部、カルボキシアルキル化剤3.5〜24重量部及びカルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩5〜300重量部を含有してなるものである請求項1〜6のいずれかに記載のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法。
【請求項8】
セルロース繊維を、アルカリ金属水酸化物、カルボキシアルキル化剤及びカルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩を含有してなるカルボキシアルキル化剤組成物水溶液に浸漬し、このカルボキシアルキル化剤組成物水溶液を0〜70℃で撹拌しながら、セルロース繊維をカルボキシアルキル化する請求項1〜7のいずれかに記載のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法。
【請求項9】
カルボキシアルキル化反応時間が1〜30時間である請求項1〜8のいずれかに記載のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法。
【請求項10】
カルボキシアルキル化剤組成物水溶液の量が、セルロース繊維100重量部に対して、200〜2,000重量部である請求項1〜9のいずれかに記載のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法。
【請求項11】
セルロース繊維のカルボキシアルキル基平均置換度が0.01〜0.45である請求項1〜10のいずれかに記載のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法。
【請求項12】
カルボキシアルキル化されるセルロース繊維の形態が、糸状である請求項1〜11のいずれかに記載のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法。
【請求項13】
カルボキシアルキル化されるセルロース繊維が、反応性染料により染色されたものである請求項1〜12のいずれかに記載のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法。
【請求項14】
反応性染料がモノクロロトリアジン染料である請求項13に記載のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法。
【請求項15】
カルボキシアルキル化剤以外の水溶性塩として炭酸カリウムを使用する請求項13又は14に記載のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載のカルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法によって得られたカルボキシアルキル化セルロース繊維。
【請求項17】
請求項16に記載のカルボキシアルキル化セルロース繊維を、抗菌性金属化合物で処理する抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維の製造方法によって得られた抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維。
【請求項19】
請求項16に記載のカルボキシアルキル化セルロース繊維又は請求項18に記載の抗菌性金属カルボキシアルキル化セルロース繊維から形成された繊維製品。
【請求項20】
衣料製品又は衛生製品である請求項19に記載の繊維製品。

【公開番号】特開2007−169825(P2007−169825A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369318(P2005−369318)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000151380)アルケア株式会社 (88)
【Fターム(参考)】