説明

カンナビジオールのプロドラッグ、カンナビジオールのプロドラッグを含む組成物及びその使用方法

カンナビジオールプロドラッグ、カンナビジオールプロドラッグの製造方法、カンナビジオールプロドラッグを含む製剤、カンナビジオールの使用方法が、本明細書に記載される。本明細書に記載される一実施形態は、疾患及び/又は障害を治療し、予防するためのカンナビジオールプロドラッグの経皮又は局所投与に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年7月30日に出願された米国特許仮出願第60/952,746号の利益を主張し、これは参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
哺乳類への局在的及び全身的な送達、例えば全身的な経皮送達及び局所的な送達に適した医薬活性剤(例えばカンナビジオールのプロドラッグ);医薬活性剤を全身的及び局在的に送達するための組成物;そして疾患及び障害の治療及び予防ならびに美容的外観の改善におけるかかる組成物の使用が、本明細書に記載される。
【背景技術】
【0003】
鎮痛及び神経保護を提供し、炎症を低減し、悪心及び悪阻を軽減し、そして癲癇、不安障害及び緑内障を治療するためのカンナビノイド、例えばカンナビジオール(「CBD」)の臨床的有用性は、十分に認識されている。さらに、カンナビジオールが、他の多くのカンナビノイド、例えばマリノール(登録商標)の商品名で販売されているΔ9−テトラヒドロカンナビジオール(現在、経口投与において利用可能である)に見られる神経活性作用を欠いていることもよく知られている。
【0004】
疼痛は最も高頻度に報告されている症候であり、これは臨床医に直面する共通の臨床的課題である。多数の近年の報告によれば、米国では数百万の人々が慢性的に治療中であるか、あるいは不適切に管理されている重度の疼痛に罹患している。同様に、数百万の人々が、重度の悪心及び/又は高頻度の悪阻に苦しめられている。さらに、極めて高頻度な、慢性の、治療中の、あるいは止むことのない疼痛に罹患している多数の患者は、食欲不振、悪心及び/又は高頻度の悪阻にも苦しんでおり、したがって、患者は有効な治療用量の経口疼痛薬を摂取できず、これにより彼等の疼痛は悪化する。カンナビノイド、例えばカンナビジオールは、疼痛を軽減するのに有効である。さらに、カンナビノイド、例えばカンナビジオールは、達成される任意の疼痛軽減とは関係なく、患者の悪心及び嘔吐を低減し得る。したがって、カンナビノイドは、非治療下又は治療下の疼痛に続発する悪心及び嘔吐を経験している患者に特に有用である。
【0005】
米国の人口の顕著な割合は、アルコール使用障害(「AUD」)に関する診断基準を満たしている。過剰量のアルコールの消費は、症状を治療する能力に直接的に影響を及ぼす複雑な一連の薬理学的作用を引き起こす。これらの作用は脳に直接影響を及ぼし、その例としては、進行性神経変性、実行機能障害及び依存性が挙げられ、禁断症状誘導性の負の作用をもたらす。カンナビノイド、例えばカンナビジオールは、神経保護、不安除去及び抗痙攣作用を有し、これはAUDを有する人々における付加的な脳損傷を防止するのに有効となり得るが、一方同時に、再発頻度を低減することが知られている。
【0006】
筋緊張異常は、多数の既知の原因を有し、ねじれ及び反復性運動又は異常姿勢を引き起こす不随意の連続的な筋収縮により特徴づけられる神経学的運動障害である。カンナビノイドは、この障害を特徴づける筋収縮の症候を低減することが示されている。
【0007】
多数の疾患の病因論的病態は、個体の免疫系により引き起こされる炎症過程に関する。炎症は、(1)外部外傷に対する他の場合であれば適切な免疫応答、例えば非開放性頭部損傷に派生する脳腫脹;(2)例えばアレルギー反応又は皮膚炎を伴う過敏性免疫応答;あるいは(3)不適切な自己免疫応答、例えばある形態の多発性硬化症、炎症性腸障害及び関節炎に起因し得る。炎症の根本的原因に関係なく、免疫系を調節し、炎症性応答を低下させることが、この状況では治療的に望ましい。カンナビノイドは、免疫応答の種々のステップを調節することが示されており、乾癬性関節炎のようなある種の炎症性疾患の治療において何らかの治療的利益を示し得る。
【0008】
関節リウマチは、米国人口の約0.5〜1%に影響を及ぼし、自己免疫疾患は、概して、2000万人以上の米国人に影響を及ぼす。関節リウマチに関連した疼痛は、しばしば無能状態にし得る。カンナビノイドは、関節リウマチ、ならびに他の自己免疫疾患、例えば炎症性腸疾患、多発性硬化症及び全身性紅斑性狼瘡に続発する関節痛のための補助治療として有用であることが見出されている。
【0009】
上述の治療的な利益に加えて、カンナビノイド、カンナビジオール及びカンナビジオールプロドラッグは種々の薬理学的な利益を示し、例としては、抗炎症、抗痙攣、抗精神病、抗酸化剤、神経保護、抗癌及び免疫調節作用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0010】
これらの全身性の治療的な利益を考えると、カンナビジオールが患者中で治療的有効濃度を達成するように送達される組成物を開発することが有益である。残念ながら、他のカンナビノイドと同様に、カンナビジオールは、経口投与後にヒト腸から吸収されると、実質的に初回通過代謝を受ける。さらに、患者が悪心又は悪阻に罹患した場合、彼等が経口薬物治療を回避するか、あるいは経口剤形が治療用量を達成するのに十分な時間の間消化管中に残存しないので、任意の生成物の経口生物学的利用能はさらに減少される。
【0011】
したがって、前記にかんがみて、哺乳類の消化管からの吸収に依存せず、かつ消化管からの吸収時に初回通過代謝を受けない一投与経路により、1又は複数の医学的症状、例えば疼痛、悪心又は食欲刺激の治療のために、治療的有効量のカンナビジオールを、それを必要とする哺乳類に送達することが望ましい。カンナビジオールの全身送達のための1つの非経口投与経路は、経皮経路である。
【0012】
残念ながら、カンナビジオールは、その高疎水性のため、哺乳類、例えばヒトの皮膚のような膜を介して十分に吸収されない。したがって、妥当な時間内かつ適切な表面積にわたり、治療的有効量のカンナビジオールを、治療を必要とする哺乳類に成功的に経皮投与することは、実質的に制限されていた。
【0013】
しかしながら、多数の哺乳類、例えばヒト及びモルモットの表皮及び真皮は、角質層を通過する活性医薬品を代謝できる酵素を含有する。哺乳類、例えばヒトの皮膚に生じる代謝プロセスは、医薬的有効量のカンナビジオールを、それを必要とする哺乳類の全身循環に送達するために利用できる。皮膚における代謝に起因する代謝産物が、疼痛、悪心又は食欲刺激のような医学的症状の治療のために全身的に利用可能であるカンナビジオールであるよう、哺乳類、例えばヒトに経皮投与され得るカンナビジオールのプロドラッグが本明細書に記載される。これらを必要とする哺乳類に経皮送達するのに適したカンナビジオールプロドラッグを含む組成物ならびにカンナビジオールプロドラッグの使用方法も、本明細書に記載される。
【0014】
したがって、経皮送達が可能なカンナビジオールプロドラッグ;カンナビジオールのプロドラッグを含む経皮送達に適した組成物;ならびに結果的に生じる代謝産物が治療的有効量で哺乳類に局在的又は全身的に利用可能なカンナビジオールとなるカンナビジオールのプロドラッグの使用方法の開発により、当該技術分野において有意な進歩がもたらされる。
【0015】
さらに、医薬組成物は、その他の手段、例えば経口、頬、舌下、注射、直腸、膣及び鼻内経路により全身投与できる。哺乳類、例えばヒトにおいて起きる代謝プロセスは、それを必要とする哺乳類の全身循環に医薬的有効量のカンナビジオールを送達するためにも利用できる。皮膚における代謝に起因する代謝産物が、疼痛、悪心又は食欲刺激のような医学的症状の治療のために全身的に利用可能であるカンナビジオールとなるように、哺乳類、例えばヒトに投与され得るカンナビジオールのプロドラッグが本明細書に記載される。これらを必要とする哺乳類に経皮送達するのに適したカンナビジオールプロドラッグを含む組成物ならびにカンナビジオールプロドラッグの使用方法も、本明細書に記載される。
【0016】
したがって、経口、頬、舌下、注射可能、局所的、小胞性、鼻、眼、直腸又は膣送達できるカンナビジオールプロドラッグ;カンナビジオールのプロドラッグを含む経口、頬、舌下、注射可能、局所的、小胞性、鼻、眼、直腸又は膣送達に適した組成物;ならびに結果的に生じる代謝産物が治療的有効量で哺乳類に全身的に利用可能であるカンナビジオールとなるカンナビジオールのプロドラッグの使用方法を開発することにより、当該技術分野において有意な進歩が生じ得る。
【0017】
上記の全身投与されたカンナビジオールの利益のほかに、カンナビノイド、例えばカンナビジオールは、局所投与からの限局的な利益を有することが見出されている。例えば局所投与されたカンナビノイドは、皮膚の表面近くに生じる疼痛及びその他の症状、例えばヘルペス後神経痛に関連した疼痛、帯状疱疹、熱傷、光線性角化症、口腔内糜爛及び潰瘍、会陰切開後疼痛、乾癬、掻痒、接触性皮膚炎、湿疹、水疱性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、剥脱性皮膚炎、菌状息肉腫、天疱瘡、重症型多形性紅斑(例えばスティーブン・ジョンソン症候群)、脂漏性皮膚炎及び乾癬性関節炎(これらに限定されない)を軽減するのに有用であることが見出されている。さらに、局所投与されたカンナビノイドは、より深部の組織に関連した疼痛及びその他の症状、例えば末梢性神経障害性疼痛、例えば糖尿病性神経障害に関連した末梢性神経障害性疼痛、強直性脊椎炎、ライター症候群、通風、軟骨石灰化症、月経困難症に派生する関節痛、繊維筋痛、筋骨格痛、神経障害性術後合併症、多発性筋炎、急性非特異的腱鞘炎、滑液包炎、上顆炎、外傷後骨関節炎、滑膜炎及び若年性関節リウマチ(これらに限定されない)を軽減するのに有用であることが見出されている。末梢性神経障害性疼痛を含めた深部組織に関連した疼痛及びその他の症状を治療するためにカンナビノイドが局所的に投与される場合、カンナビノイドを全身的に同時投与することが有用となり得る。また、カンナビノイド、例えばカンナビジオールの局所投与が発毛を阻害し得ることも見出されている。
【0018】
これらの局在的な利益を達成するために、カンナビジオール又はそのプロドラッグが、角質層を透過するが、全身的に吸収されないことが有益である。このような場合、カンナビジオールは皮膚及び/又は毛包脂腺単位に濃縮され、したがってその局在的作用を最大にする。患者中で循環する活性化合物の量は最小限にされるため、局在的作用は潜在的治療利益を増大するだけでなく、カンナビノイド投与に関連した副作用の頻度及び重症度も低下させる。カンナビジオールは、皮膚の外観及び/又は水和を改善する活性部分とともにプロドラッグに組み込むことができる。
【0019】
したがって、皮膚の外層を透過するが、循環に吸収されない局所送達し得るカンナビジオールプロドラッグ;カンナビジオールのプロドラッグを含む局所送達に適した組成物、ならびに結果的に生じる代謝産物が治療的有効量で哺乳類の投与部位で利用可能であるが全身的に吸収されないカンナビジオールのプロドラッグの使用方法の開発に伴って、当該技術分野における有意の進歩が生じ得る。
【発明の概要】
【0020】
カンナビジオールのプロドラッグ、カンナビジオールのプロドラッグの製造方法、カンナビジオールのプロドラッグを含む組成物、ならびにカンナビジオールのプロドラッグの使用方法が、本明細書に記載される。
【0021】
他の実施形態、目的、特徴及び利点は、以下の実施形態の詳細な説明に記述され、そして一部は、その説明から明らかであるか、あるいは本発明の実施により理解できる。これらの目的及び利点は、記載された説明及び特許請求の範囲において特に指摘された方法及び組成物により実現され、そして達成される。前記の概要は、本願明細書に開示される実施形態のいくつかの簡単かつ一般的な概要として作製されたものであり、特許請求の範囲の適用な権利範囲又は均等範囲を、如何なる点においても限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ゲル製剤中のカンナビジオール(n=3)及びALL00105(n=4)の代表的な透過プロフィールを示す線グラフである(ここで、「n」は試験した皮膚試料の数である)。
【図2】ゲル製剤中のカンナビジオール(n=2)及びALL00105(n=2)の代表的な透過プロフィールを示す線グラフである(ここで、「n」は試験した皮膚試料の数である)。
【図3】プロピレングリコール中のカンナビジオール(n=3)及びALL00101(n=3)の皮膚動態を示す棒グラフである(ここで、「n」は試験した皮膚試料の数である)。
【図4】プロピレングリコール中のカンナビジオール(n=4)及びALL00102(n=4)の皮膚動態を示す棒グラフである(ここで、「n」は試験した皮膚試料の数である)。
【図5】CBD(n=3)、ALL00131(n=3)、ALL00132(n=2)及びALL00140(n=3)の透過プロフィールを示すグラフである(ここで、「n」は試験した皮膚試料の数である)。
【図6】40%水性PEG 400レシーバー液を伴う90:8:2 PG:H2O:IPMドナー溶液中のCBD(n=3)、ALL00105(n=1)、ALL00145(n=3)及びALL00147(n=2)の透過プロフィールを示すグラフである(ここで、「n」は試験した皮膚試料の数である)。
【図7】40%水性PEG 400レシーバー液を伴うゲル製剤中のCBD(n=2)、ALL00101(n=2)、ALL00146(n=2)及びALL00148(n=3)の透過プロフィールを示すグラフである(ここで、「n」は試験した皮膚試料の数である)。
【図8】60/40ハンクス溶液/PEG 400レシーバー液を伴う90:8:2 PG:H2O:IPMドナー溶液中のCBD(n=3)、ALL00131(n=3)、ALL00132(n=2)及びALL00140(n=3)の皮膚動態を示す棒グラフである(ここで、「n」は試験した皮膚試料の数である)。
【図9】40%水性PEG 400レシーバー液を伴う90:8:2 PG:H2O:IPMドナー溶液中のCBD(n=3)、ALL00137(n=3)、ALL00142(n=3)及びALL00143(n=3)の皮膚動態を示す棒グラフである(ここで、「n」は試験した皮膚試料の数である)。
【図10】40%水性PEG 400レシーバー液を伴う90:8:2 PG:H2O:IPMドナー溶液中のCBD(n=3)、ALL00105(n=3)、ALL00145(n=3)及びALL00147(n=2)の皮膚動態を示す棒グラフである(ここで、「n」は試験した皮膚試料の数である)。
【図11】40%水性PEG 400レシーバー液を伴うゲル製剤中のCBD(n=2)、ALL00101(n=2)、ALL00146(n=2)及びALL00148(n=3)の皮膚動態を示す棒グラフである(ここで、「n」は試験した皮膚試料の数である)。
【図12】40%水性PEG 400レシーバー液を伴うゲル製剤中のCBD(n=2)、ALL00146(n=2)及びALL00150(n=3)の透過プロフィールを示すグラフである(ここで、「n」は試験した皮膚試料の数である)。
【図13】40%水性PEG 400レシーバー液を伴うゲル製剤中のCBD(n=2)、ALL00146(n=3)及びALL00150(n=3)の皮膚動態を示す棒グラフである(ここで、「n」は試験した皮膚試料の数である)。
【図14】40%水性PEG 400レシーバー液を伴う無水ゲル製剤中のCBD(n=2)及びALL00150(n=3)の皮膚動態を示す棒グラフである(ここで、「n」は試験した皮膚試料の数である)。
【0023】
本発明の説明
本発明は、種々の形態で具体化できるが、本発明の開示は特許請求の対象の一例として考えられ、特許請求の範囲は例示された特定の実施形態に限定されるものではないという理解を伴い、いくつかの実施形態についての下記の説明がなされる。本願の開示全体を通して用いられる見出しは、便宜的に供されるだけであり、如何なる点でも特許請求の範囲を限定するようには意図されない。任意の見出しで例示される実施形態は、任意の他の見出しで例示される実施形態と組み合わせることができる。
【0024】
本明細書に記載される化合物は、カンナビジオールの医薬的に許容されるプロドラッグを含む。本明細書に記載される一実施形態は、非経口投与に適しており、そしてカンナビジオールに代謝されるカンナビジオールの医薬的に許容されるプロドラッグを包含する。本明細書に記載されるさらなる実施形態は、経皮投与に適しており、そしてカンナビジオールに代謝されるカンナビジオールの医薬的に許容されるプロドラッグを包含する。カンナビジオールの医薬的に許容されるプロドラッグは、哺乳類に投与するための任意の適切な形態、例えば遊離塩基、塩、水和物、無水物、エナンチオマー、異性体、互変異性体の形態であってよく、あるいは任意のその他の薬理学的に適切な誘導体は、治療的に活性であるか、あるいは身体の内部又は外部において治療的活性形態のカンナビジオールに転化する。
【0025】
本明細書に記載される組成物は、カンナビジオールの少なくとも1つの医薬的に許容されるプロドラッグを含み、経皮、経口、頬、舌下、注射可能、局所、小胞、鼻、眼、直腸又は膣投与に適している。本明細書に記載される組成物は、任意に、カンナビジオールのプロドラッグの投与のためのビヒクル又は担体を含み、そして任意に医薬的に許容される賦形剤、例えば溶媒、増粘剤、浸透促進剤、湿潤剤、滑剤、皮膚軟化剤、結合剤、味覚増強剤、崩壊剤、不快な臭い、香り又は味を遮蔽するか又は中和するために添加される物質、ならびに組成物の外観又はテクスチャーを改善するために添加される物質を含む。
【0026】
本明細書中で用いるプロドラッグという用語は、代謝過程を介して、あるいは該化合物を受けた哺乳類の身体内において、医学的作用を有する活性形態に化学的に転化する化合物を意味する。
【0027】
一実施形態では、例示的なカンナビジオールプロドラッグは、式(I):
【化1】

(式中、R1及びR2は、同一であるか又は異なり得るし、各々独立して、水素及び/又は生体不安定性リンカー(例えば、エステル、酸化エステル、オキサエステル、ペグ化エステル、ヒドロキシル化エステル、アルキルエステル、アミノエステル、アルキルアミノ酸エステル、ジアルキルアミノ酸エステル、カルボネート、アルキルカルボネート、カルバメート、アルキルカルバメート、アミノカルバメート、アルキルアミノカルバメート、ジアルキルアミノカルバメート又はその他の適切な生体不安定性連結構造)で構成され、さらに、経皮吸収及び代謝を含めた吸収及び代謝の速度及び程度を制御するために選択され得る部分を含む)の化合物を含む。しかしながら、R1及びR2は、ともに水素原子であり得ない。R1及びR2に関するいくつかの選択肢が、本明細書中に開示される。式Iの化合物の塩基、塩、エステル、水和物、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、多形体又はその誘導体も、本明細書中に含まれる。
【0028】
本開示により意図されるさらなる実施形態としては、WO2007044215、WO2007035945、US2007066657、WO2007026215、WO2007020502、WO2007017264、WO2007009720、US2007004772、US2006287324、US2006287323、US2006287342、US2006287341、US2006089378、US2006079556、US2005143441、US7109216、US2004235854、US2005267161、US2005954659、US2007099990、US2006122229、US2006122230、US2004077650、US6974810、US2004248944、US6977266及びUS2006052411ならびに米国特許出願第10/032,163号に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
「医薬的に許容される塩」又は「塩」は哺乳類への投与に適したカンナビジオールプロドラッグの塩を含み、例としては、ギ酸、酢酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルギン酸、β−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸及びガラクツロン酸から調製されるものが挙げられる。医薬的に許容される塩についての以下の一覧は包括的であるよう意図されたものではなく、カンナビジオールのその他の医薬的に許容される塩及びカンナビジオールのプロドラッグが調製され得ると当業者が理解するように、単なる例証である。
【0030】
一実施形態では、遊離塩基と適切な酸との反応を含めて慣用的方法を用いて、遊離塩基形態から酸付加塩が調製される。酸付加塩を調製するための適切な酸としては、有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等、ならびに無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の両方が挙げられる。有機及び無機酸の以下の一覧は、包括的であるよう意図されたものではなく、カンナビジオールのその他の医薬的に許容される塩及びカンナビジオールのプロドラッグを作製するためにその他の酸が用いられ得ると当業者が理解するように、単なる例証である。他の実施形態では、酸付加塩は、適切な塩基での処理により遊離塩基に再転化される。さらに他の実施形態では、塩基性塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩である。
【0031】
一実施形態では、R1又はR2はエステルである。さらなる実施形態では、R1及びR2はともにエステルであり、これらは同一であるか又は異なり得る。CBDエステルの調製は、カンナビジオールの分子構造内に存在するヒドロキシル基を官能化することを包含する。別の実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方のエステルが酸化される。別の実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、オキサエステルである酸化エステルである。別の実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、ペグ化されるオキサエステルである。さらなる実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、独立して、1つのエチレングリコール反復単位、2つのエチレングリコール反復単位、3つのエチレングリコール反復単位、4つのエチレングリコール反復単位、5つのエチレングリコール反復単位、6つのエチレングリコール反復単位、7つのエチレングリコール反復単位、8つのエチレングリコール反復単位、9つのエチレングリコール反復単位、10のエチレングリコール反復単位、11のエチレングリコール反復単位、12のエチレングリコール反復単位、13のエチレングリコール反復単位、14のエチレングリコール反復単位及び15のエチレングリコール反復単位を有し得るペグ化オキサエステルである。さらなる実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、ヒドロキシル化されるエステルである。さらなる実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、アルキルエステルであるエステルである。さらなる実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、独立して、1つのアルキル炭素、2つのアルキル炭素、3つのアルキル炭素、4つのアルキル炭素、5つのアルキル炭素、6つのアルキル炭素、7つのアルキル炭素、8つのアルキル炭素、9つのアルキル炭素、10のアルキル炭素、11のアルキル炭素、12のアルキル炭素、13のアルキル炭素、14のアルキル炭素及び15のアルキル炭素を有するアルキルエステルである。他の実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、独立して、1つのアミノ基、2つのアミノ基、3つのアミノ基、4つのアミノ基及び5つのアミノ基を有するアミノエステルであるエステルである。別の実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、アルキルアミノ酸エステルであるアミノエステルである。さらなる実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、独立して、1つのアミノ基、2つのアミノ基、3つのアミノ基、4つのアミノ基及び5つのアミノ基を有し、ならびに、独立して、1つのアルキル炭素、2つのアルキル炭素、3つのアルキル炭素、4つのアルキル炭素、5つのアルキル炭素、6つのアルキル炭素、7つのアルキル炭素、8つのアルキル炭素、9つのアルキル炭素、10のアルキル炭素、11のアルキル炭素、12のアルキル炭素、13のアルキル炭素、14のアルキル炭素及び15のアルキル炭素を有するアルキルアミノ酸エステルである。別の実施形態では、エステルはグリコール酸エステルである。別の実施形態では、エステルは、グリコール酸エステル、ヒアルロン酸エステル又は乳酸エステルである。エステルは、所望により、慣用的手法、例えば水素化分解又は加水分解を用いることにより、遊離酸に再転化され得る。
【0032】
一実施形態では、R1又はR2はカルバメートである。さらなる実施形態では、R1及びR2はともに、同一であるか又は異なり得るカルバメートである。CBDカルバメートの調製は、カンナビジオールの分子構造内に存在するヒドロキシル基を官能化することを包含する。別の実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方のカルバメートが酸化される。別の実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、オキサカルバメートである酸化カルバメートである。別の実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、ペグ化されるオキサカルバメートである。さらなる実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、独立して、1つのエチレングリコール反復単位、2つのエチレングリコール反復単位、3つのエチレングリコール反復単位、4つのエチレングリコール反復単位、5つのエチレングリコール反復単位、6つのエチレングリコール反復単位、7つのエチレングリコール反復単位、8つのエチレングリコール反復単位、9つのエチレングリコール反復単位、10のエチレングリコール反復単位、11のエチレングリコール反復単位、12のエチレングリコール反復単位、13のエチレングリコール反復単位、14のエチレングリコール反復単位及び15のエチレングリコール反復単位を有し得るペグ化オキサカルバメートである。さらなる実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、ヒドロキシル化されるカルバメートである。さらなる実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、アルキルカルバメートであるカルバメートである。さらなる実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、独立して、1つのアルキル炭素、2つのアルキル炭素、3つのアルキル炭素、4つのアルキル炭素、5つのアルキル炭素、6つのアルキル炭素、7つのアルキル炭素、8つのアルキル炭素、9つのアルキル炭素、10のアルキル炭素、11のアルキル炭素、12のアルキル炭素、13のアルキル炭素、14のアルキル炭素及び15のアルキル炭素を有するアルキルカルバメートである。他の実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、独立して、1つのアミノ基、2つのアミノ基、3つのアミノ基、4つのアミノ基及び5つのアミノ基を有するアミノカルバメートであるカルバメートである。別の実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、アルキルアミノカルバメートであるアミノカルバメートである。さらなる実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、独立して、1つのアミノ基、2つのアミノ基、3つのアミノ基、4つのアミノ基及び5つのアミノ基を有し、ならびに、独立して、1つのアルキル炭素、2つのアルキル炭素、3つのアルキル炭素、4つのアルキル炭素、5つのアルキル炭素、6つのアルキル炭素、7つのアルキル炭素、8つのアルキル炭素、9つのアルキル炭素、10のアルキル炭素、11のアルキル炭素、12のアルキル炭素、13のアルキル炭素、14のアルキル炭素及び15のアルキル炭素を有するアルキルアミノカルバメートである。別の実施形態では、カルバメートはグリコール酸カルバメート、ヒアルロン酸カルバメート又は乳酸カルバメートである。カルバメートは、所望により、慣用的手法、例えば水素化分解又は加水分解を用いることにより、遊離酸に再転化され得る。
【0033】
一実施形態では、R1又はR2はカルボネートである。さらなる実施形態では、R1及びR2はともに、同一であるか又は異なり得るカルボネートである。CBDカルボネートの調製は、カンナビジオールの分子構造内に存在するヒドロキシル基を官能化することを包含する。別の実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方のカルボネートが酸化される。別の実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、オキサカルボネートである酸化カルボネートである。別の実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、ペグ化されるオキサカルボネートである。さらなる実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、独立して、1つのエチレングリコール反復単位、2つのエチレングリコール反復単位、3つのエチレングリコール反復単位、4つのエチレングリコール反復単位、5つのエチレングリコール反復単位、6つのエチレングリコール反復単位、7つのエチレングリコール反復単位、8つのエチレングリコール反復単位、9つのエチレングリコール反復単位、10のエチレングリコール反復単位、11のエチレングリコール反復単位、12のエチレングリコール反復単位、13のエチレングリコール反復単位、14のエチレングリコール反復単位及び15のエチレングリコール反復単位を有し得るペグ化オキサカルボネートである。さらなる実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、ヒドロキシル化されるカルボネートである。さらなる実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、アルキルカルボネートであるカルボネートである。さらなる実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、独立して、1つのアルキル炭素、2つのアルキル炭素、3つのアルキル炭素、4つのアルキル炭素、5つのアルキル炭素、6つのアルキル炭素、7つのアルキル炭素、8つのアルキル炭素、9つのアルキル炭素、10のアルキル炭素、11のアルキル炭素、12のアルキル炭素、13のアルキル炭素、14のアルキル炭素及び15のアルキル炭素を有するアルキルカルボネートである。他の実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、独立して、1つのアミノ基、2つのアミノ基、3つのアミノ基、4つのアミノ基及び5つのアミノ基を有するアミノカルボネートであるカルボネートである。別の実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、アルキルアミノカルボネートであるアミノカルボネートである。さらなる実施形態では、R1及び/又はR2のいずれか又は両方が、独立して、1つのアミノ基、2つのアミノ基、3つのアミノ基、4つのアミノ基及び5つのアミノ基を有し、ならびに、独立して、1つのアルキル炭素、2つのアルキル炭素、3つのアルキル炭素、4つのアルキル炭素、5つのアルキル炭素、6つのアルキル炭素、7つのアルキル炭素、8つのアルキル炭素、9つのアルキル炭素、10のアルキル炭素、11のアルキル炭素、12のアルキル炭素、13のアルキル炭素、14のアルキル炭素及び15のアルキル炭素を有するアルキルアミノカルボネートである。別の実施形態では、カルボネートはグリコール酸カルボネート、ヒアルロン酸カルボネート又は乳酸カルボネートである。カルボネートは、所望により、慣用的手法、例えば水素化分解又は加水分解を用いることにより、遊離酸に再転化され得る。
【0034】
本明細書に記載されるさらなる実施形態は:
(a)以下の:
【化2】

(式中、R1及びR2は、独立して、水素、エステル、酸化エステル、オキサエステル、ペグ化エステル、ヒドロキシル化エステル、アルキルエステル、アミノエステル、アルキルアミノ酸エステル、ジアルキルアミノ酸エステル、グリコール酸エステル、ヒアルロン酸エステル、乳酸エステル、カルボネート、酸化カルボネート、オキサカルボネート、ペグ化カルボネート、ヒドロキシル化カルボネート、アルキルカルボネート、アミノカルボネート、アルキルアミノカルボネート、ジアルキルアミノカルボネート、グリコール酸カルボネート、ヒアルロン酸カルボネート、乳酸カルボネート、カルバメート、酸化カルバメート、オキサカルバメート、ペグ化カルバメート、ヒドロキシル化カルバメート、アルキルカルバメート、アミノカルバメート、アルキルアミノカルバメート、ジアルキルアミノカルバメート、グリコール酸カルバメート、ヒアルロン酸カルバメート及び乳酸カルバメートから選択され;そして
1及びR2はともには水素ではない)
からなる群から選択されるカンナビジオールプロドラッグ;ならびに
(b)医薬賦形剤
を含む医薬組成物である。
【0035】
哺乳類への化合物の投与方法であって:
(a)以下の:
【化3】

(式中、R1及びR2は、独立して、水素、エステル、酸化エステル、オキサエステル、ペグ化エステル、ヒドロキシル化エステル、アルキルエステル、アミノエステル、アルキルアミノ酸エステル、ジアルキルアミノ酸エステル、グリコール酸エステル、ヒアルロン酸エステル、乳酸エステル、カルボネート、酸化カルボネート、オキサカルボネート、ペグ化カルボネート、ヒドロキシル化カルボネート、アルキルカルボネート、アミノカルボネート、アルキルアミノカルボネート、ジアルキルアミノカルボネート、グリコール酸カルボネート、ヒアルロン酸カルボネート、乳酸カルボネート、カルバメート、酸化カルバメート、オキサカルバメート、ペグ化カルバメート、ヒドロキシル化カルバメート、アルキルカルバメート、アミノカルバメート、アルキルアミノカルバメート、ジアルキルアミノカルバメート、グリコール酸カルバメート、ヒアルロン酸カルバメート及び乳酸カルバメートから選択され;そして
1及びR2はともには水素ではない)
からなる群から選択される化合物を医薬賦形剤と組合せて医薬組成物を形成するステップ;
(b)医薬組成物から哺乳類への投与に適した剤形を作製するステップ;ならびに
(c)哺乳類に剤形を投与するステップ
を包含する方法。
【0036】
追加的な実施形態は、哺乳類にカンナビジオールを経皮送達する方法であって:
(a)以下の:
【化4】

(式中、R1及びR2は、独立して、水素、エステル、酸化エステル、オキサエステル、ペグ化エステル、ヒドロキシル化エステル、アルキルエステル、アミノエステル、アルキルアミノ酸エステル、ジアルキルアミノ酸エステル、グリコール酸エステル、ヒアルロン酸エステル、乳酸エステル、カルボネート、酸化カルボネート、オキサカルボネート、ペグ化カルボネート、ヒドロキシル化カルボネート、アルキルカルボネート、アミノカルボネート、アルキルアミノカルボネート、ジアルキルアミノカルボネート、グリコール酸カルボネート、ヒアルロン酸カルボネート、乳酸カルボネート、カルバメート、酸化カルバメート、オキサカルバメート、ペグ化カルバメート、ヒドロキシル化カルバメート、アルキルカルバメート、アミノカルバメート、アルキルアミノカルバメート、ジアルキルアミノカルバメート、グリコール酸カルバメート、ヒアルロン酸カルバメート及び乳酸カルバメートから選択され;そして
1及びR2はともには水素ではない)
からなる群からカンナビジオールプロドラッグを選択するステップ;
(b)選択カンナビジオールプロドラッグを医薬的に許容される賦形剤と組合せて医薬組成物を形成するステップ;ならびに
(c)医薬組成物を哺乳類の皮膚と接触させるステップ
を包含する方法を含む。
【0037】
本明細書に記載されるさらなる実施形態は、哺乳類における医学的症状の治療方法であって:
【化5】

(式中、R1及びR2は、独立して、水素、エステル、酸化エステル、オキサエステル、ペグ化エステル、ヒドロキシル化エステル、アルキルエステル、アミノエステル、アルキルアミノ酸エステル、ジアルキルアミノ酸エステル、グリコール酸エステル、ヒアルロン酸エステル、乳酸エステル、カルボネート、酸化カルボネート、オキサカルボネート、ペグ化カルボネート、ヒドロキシル化カルボネート、アルキルカルボネート、アミノカルボネート、アルキルアミノカルボネート、ジアルキルアミノカルボネート、グリコール酸カルボネート、ヒアルロン酸カルボネート、乳酸カルボネート、カルバメート、酸化カルバメート、オキサカルバメート、ペグ化カルバメート、ヒドロキシル化カルバメート、アルキルカルバメート、アミノカルバメート、アルキルアミノカルバメート、ジアルキルアミノカルバメート、グリコール酸カルバメート、ヒアルロン酸カルバメート及び乳酸カルバメートから選択され;そして
1及びR2はともには水素ではない)
からなる群から選択されるカンナビジオールプロドラッグを投与するステップを包含する方法であり、この場合、医学的症状は、悪心、悪阻、疼痛、消耗症候群、HIV消耗症候群、化学療法誘導性悪心及び嘔吐、アルコール使用障害、筋緊張異常、多発性硬化症、炎症性腸障害、関節炎、皮膚炎、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、抗炎症、抗痙攣、抗精神病、抗酸化剤、神経保護、抗癌、免疫調節作用、末梢性神経障害性疼痛、ヘルペス後神経痛に関連した神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害、帯状疱疹、熱傷、光線性角化症、口腔内糜爛及び潰瘍、会陰切開後疼痛、乾癬、掻痒、接触性皮膚炎、湿疹、水疱性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、剥脱性皮膚炎、菌状息肉腫、天疱瘡、重症型多形性紅斑(例えばスティーブン・ジョンソン症候群)、脂漏性皮膚炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、ライター症候群、通風、軟骨石灰化症、月経困難症に派生する関節痛、繊維筋痛、筋骨格痛、神経障害性術後合併症、多発性筋炎、急性非特異的腱鞘炎、滑液包炎、上顆炎、外傷後骨関節炎、滑膜炎、若年性関節リウマチ及び発毛阻害からなる群から選択される。
【0038】
一実施形態では、結果的に生じるプロドラッグはカンナビジオールより親水性であり、したがってより水溶性である。カンナビジオール及びカンナビジオールの種々のプロドラッグに関する水/オクタノール分配係数のlog10値(logP)は、表15に示されている。さらなる実施形態は、カンナビジオールより小さいlogP値を有するカンナビジオールのプロドラッグである。さらなる実施形態は、カンナビジオールより大きいlogP値を有するカンナビジオールのプロドラッグである。さらなる実施形態は、カンナビジオールとほぼ等しいlogP値を有するカンナビジオールのプロドラッグである。
【0039】
医薬賦形剤
本明細書に記載される医薬組成物は、所望により、1又は複数の医薬的に許容される賦形剤を含んでよい。「賦形剤」という用語は、本明細書中では、対象への治療薬の送達のための担体又はビヒクルとして用いられるか、あるいはその取扱い又は保存特性を改善するために、もしくは組成物の用量単位の形成を可能にするかあるいは促進するために、治療薬と組み合わされ(例えば、医薬組成物を作製するために)、これ自体は治療薬でない任意の物質を意味する。賦形剤の例としては、結合剤、崩壊剤、味覚増強剤、溶剤、増粘剤、浸透促進剤、湿潤剤、滑剤、皮膚軟化剤、不快な臭い、香り又は味を遮蔽するか又は中和するために添加される物質、ならびに組成物の外観又はテクスチャーを改善するために添加される物質が挙げられるが、これらに限定されない。このような任意の賦形剤は、本発明の開示に従って任意の剤形で用いることができる。前記のクラスの賦形剤は、包括的であるよう意図されたものではなく、カンナビジオールプロドラッグの送達のために所望の目標を達成するためにさらなる種類の賦形剤が用いられ得ることを当業者が認識するような単なる例に過ぎない。
【0040】
賦形剤を含有する開示の組成物は、調剤、製薬、薬剤送達、薬物動態、医薬品、あるいは賦形剤を薬剤又は治療薬と混合することを含むその他の関連分野の当業者に知られた任意の技術により調製できる。
【0041】
一実施形態では、本明細書に記載されるカンナビジオールプロドラッグは、経皮又は局所送達のために浸透促進剤と組み合わせることができる。浸透促進剤の例としては、C8〜C22脂肪酸、例えばイソステアリン酸、オクタン酸及びオレイン酸;C8〜C22脂肪アルコール、例えばオレイルアルコール及びラウリルアルコール;C8〜C22脂肪酸の低級アルキルエステル、例えばオレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル及びラウリン酸メチル;C6〜C22二酸のジ(低級)アルキルエステル、例えばアジピン酸ジイソプロピル;C8〜C22脂肪酸のモノグリセリド、例えばモノラウリン酸グリセリル;テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル;ポリエチレングリコール、プロピレングリコール;2−(2−エトキシエトキシ)エタノール;ジエチレングリコールモノメチルエーテル;ポリエチレンオキシドのアルキルアリールエーテル;ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル;ポリエチレンオキシドジメチルエーテル;ジメチルスルホキシド;グリセロール;酢酸エチル;アセト酢酸エステル;N−アルキルピロリドン;及びテルペンが挙げられるが、これらに限定されない。使用に適した更なる浸透促進剤は、米国特許出願第10/032,163号にも見出され得る。
【0042】
一実施形態では、カンナビジオールプロドラッグは、増粘剤又はゲル化剤と組み合わせることができる。本明細書中で用いられ得る増粘剤(ゲル化剤としても知られる)の例としては、陰イオン性ポリマー、例えばポリアクリル酸(カルボポール(登録商標)、Noveon, Inc., Cleveland, Ohio)、カルボキシポリメチレン、カルボキシメチルセルロース等、例えば、カルボポール(登録商標)ポリマーの誘導体、例えばカルボポール(登録商標) Ultrez 10、カルボポール(登録商標) 940、カルボポール(登録商標) 941、カルボポール(登録商標) 954、カルボポール(登録商標) 980、カルボポール(登録商標) 981、カルボポール(登録商標) ETD 2001、カルボポール(登録商標) EZ-2及びカルボポール(登録商標) EZ-3、ならびにその他のポリマー、例えばペムレン(登録商標)高分子乳化剤及びノベオン(登録商標)ポリカルボフィルが挙げられるが、これらに限定されない。付加的増粘剤、増強剤及びアジュバントは、一般的に、Remington’s The Science and Practice of PharmacyならびにHandbook of Pharmaceutical Excipients, Arthur H. Kibbe ed. 2000に見出され得る。増粘剤又はゲル化剤は、組成物の所望の流動学的特性を提供するのに十分な量で存在する。例示的には、1又は複数の医薬的に許容される増粘剤又はゲル化剤は、総量の約0.1重量%、約0.25重量%、約0.5重量%、約0.75重量%、約1重量%、約1.25重量%、約1.5重量%、約1.75重量%、約2.0重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3.0重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4.0重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、約5.0重量%、約5.25重量%、約5.5重量%、約5.75重量%、約6.0重量%、約6.25重量%、約6.5重量%、約6.75重量%、約7.0重量%、約7.25重量%、約7.5重量%、約7.75重量%、約8.0重量%、約8.25重量%、約8.5重量%、約8.75重量%、約9.0重量%、約9.25重量%、約9.5重量%、約9.75重量%、約10重量%、約11重量%、約11.5重量%、約12重量%、約12.5重量%、約13重量%、約13.5重量%、約14重量%、約14.5重量%又は約15重量%の量で存在する。
【0043】
一実施形態では、ゲルを形成するのを手助けするために中和剤が任意に存在する。適切な中和剤としては、水酸化ナトリウム(例えば、水性混合物として)、水酸化カリウム(例えば、水性混合物として)、水酸化アンモニウム(例えば、水性混合物として)、トリエタノールアミン、トロメタミン(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)、アミノメチルプロパノール(AMP)、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジイソプロパノールアミン、エソミンC−25(Armac Industrial Division)、ジ−2(エチルヘキシル)アミン(BASF-Wyandotte Corp., Intermediate Chemicals Division)、トリアミルアミン、ジェファミンD−1000(Jefferson Chemical Co.)、b−ジメチルアミノプロピオニトリル(American Cyanamid Co.)、アルミンCD(Armac Industrial Division)、アラミン7D(Henkel Corporation)、ドデシルアミン及びモルホリンが挙げられる。中和剤は、哺乳類の皮膚との接触に適しているゲルを形成するために十分な量で存在する。
【0044】
いくつかの実施形態では、製剤は、ゲル、軟膏、クリーム又はパッチであり、カンナビジオールプロドラッグを、任意に浸透促進剤、増粘剤、低級アルコール、例えばエタノール又はイソプロパノール;及び水を含む。別の実施形態では、製剤は、ゲル、軟膏、クリーム又はパッチであり、さらに、水酸化ナトリウム又はトリエタノールアミンの水溶液、あるいは水酸化カリウムの水溶液、あるいはその組合せを、ゲルを形成するに際してゲル化剤を手助けするのに(当該技術分野で知られているような)十分な量で含む。
【0045】
一実施形態では、水酸化ナトリウムの溶液、例えば0.1 N水酸化ナトリウム溶液、0.2 N水酸化ナトリウム溶液、0.5 N水酸化ナトリウム溶液、1.0 N水酸化ナトリウム溶液、1.5 N水酸化ナトリウム溶液、2.0 N水酸化ナトリウム溶液、又は所望のゲルを形成するのに十分な量の水酸化ナトリウム水溶液を提供するための適切な任意の他の溶液が用いられる。一実施形態では、組成物は、ゲル化剤を、中和剤、例えば約1%〜約10%(wt/wt)の0.1 N水酸化ナトリウムと組合せることにより生じる。もちろん、ゲルの形成に際して手助けするのに十分な量のOHイオンが存在する限り、他の濃度の水酸化ナトリウム水溶液であり得るように、他の適切な中和剤が用いられ得る。
【0046】
さらなる実施形態としては、以下のものが挙げられる:
【0047】
パッチとともに用いられるゲル製剤(18 mg/mLのCBD又はカンナビジオールプロドラッグ)
75.2% プロピレングリコール、USP
18.8% 注射用滅菌水、USP
6.0% ジエチレングリコールモノエチルエーテル(トランスクトール、HP)、EP/USP/NF
5.0% ヒドロキシエチルセルロース(ナトロソール(登録商標))、NF(他の3つの構成成分の重量に基づく)
【0048】
皮膚にすり込むために用いられるゲル製剤
72.5〜67.5% 無水エタノール、USP/NF
20.38〜15.38% 注射用滅菌水、USP
4.72% 注射用滅菌水中0.1 NNaOH(NF)、USP
1〜10% カンナビジオール又はカンナビジオールプロドラッグ
0.9% カルボポール980(登録商標)、NF
0.5% ミリスチン酸イソプロピル、USP/NF
【0049】
ゲル製剤
78.1% 無水エタノール、USP/NF
15.3% 注射用滅菌水、USP
1.5% トリエタノールアミン、NF
3.5% カンナビジオール又はカンナビジオールプロドラッグ
1.0% カルボポール980(登録商標)、NF
0.6% ミリスチン酸イソプロピル、USP/NF
【0050】
ゲル製剤
91.75〜82.75% 無水エタノール、USP/NF
5.0% プロピレングリコール、USP
1〜10% カンナビジオール又はカンナビジオールプロドラッグ
1.25% ポリオキシエチレン(15)ココアルキルアミン(エソミン(登録商標)C/25)
0.5% カルボポール980(登録商標)、NF
0.5% ミリスチン酸イソプロピル、USP/NF
【0051】
本明細書に記載される組成物は、任意に、1又は複数の医薬的に許容される湿潤剤を賦形剤として含む。本発明の組成物に湿潤剤として用いることができる界面活性剤の例としては、第四級アンモニウム化合物、例えば塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンズエトニウム及び塩化セチルピリジニウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、例えばノンオキシノール9、ノンオキシノール10及びオクトキシノール9、ポロキサマー(ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンブロックコポリマー)、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド及び油、例えばポリオキシエチレン(8)カプリル酸/カプリン酸モノ及びジグリセリド(例えば、ラブラソールTM(Gattefosse))、ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油及びポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばポリオキシエチレン(20)セトステアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、例えばポリオキシエチレン(40)ステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、例えばポリソルベート20及びポリソルベート80(例えば、トゥイーンTM80(ICI))、プロピレングリコール脂肪酸エステル、例えばプロピレングリコールラウレート(例えば、ラウログリコールTM(Gattefosse))、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸及びその塩、例えばオレイン酸、オレイン酸ナトリウム及びオレイン酸トリエタノールアミン、グリセリル脂肪酸エステル、例えばモノステアリン酸グリセリル、ソルビタンエステル、例えばモノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン及びモノステアリン酸ソルビタン、チロキサポール、及びその混合物が挙げられるが、これらに限定されない。このような湿潤剤は、存在する場合、組成物の総重量の約0.25重量%〜15重量%、約0.4重量%〜約10重量%、又は約0.5重量%〜5重量%を構成する。例示的には、1又は複数の医薬的に許容される湿潤剤は、総量の約0.25重量%、約0.5重量%、約0.75重量%、約1重量%、約1.25重量%、約1.5重量%、約1.75重量%、約2.0重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3.0重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4.0重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、約5.0重量%、約5.25重量%、約5.5重量%、約5.75重量%、約6.0重量%、約6.25重量%、約6.5重量%、約6.75重量%、約7.0重量%、約7.25重量%、約7.5重量%、約7.75重量%、約8.0重量%、約8.25重量%、約8.5重量%、約8.75重量%、約9.0重量%、約9.25重量%、約9.5重量%、約9.75重量%又は約10重量%の量で存在する。
【0052】
本明細書に記載される組成物は、任意に、1又は複数の医薬的に許容される滑剤(例えば付着防止剤及び/又は流動促進剤)を賦形剤として含む。適切な滑剤としては、個別に又は組合せて、グリセリルベハペート(例えば、コンプリトールTM888);ステアリン酸及びその塩、例えばマグネシウム(ステアリン酸マグネシウム)、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸ナトリウム;硬化植物油(例えば、ステロテックスTM);コロイドシリカ;タルク;蝋;ホウ酸;安息香酸ナトリウム;酢酸ナトリウム;フマル酸ナトリウム;塩化ナトリウム;DL−ロイシン;PEG(例えば、カルボワックスTM4000及びカルボワックスTM6000);オレイン酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム;及びラウリル硫酸マグネシウムが挙げられる。このような滑剤は、存在する場合、組成物の総重量の約0.1重量%〜約10重量%、約0.2重量%〜8重量%、又は約0.25重量%〜5重量%を構成する。例示的には、1又は複数の医薬的に許容される滑剤は、総量の約0.1重量%、約0.2重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2.0重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、約3.0重量%、約3.1重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約3.4重量%、約3.5重量%、約3.6重量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約3.9重量%、約4.0重量%、約4.1重量%、約4.2重量%、約4.3重量%、約4.4重量%、約4.5重量%、約4.6重量%、約4.7重量%、約4.8重量%、約4.9重量%、約5.0重量%、約5.1重量%、約5.2重量%、約5.3重量%、約5.4重量%、約5.5重量%、約5.6重量%、約5.7重量%、約5.8重量%、約5.9重量%、約6.0重量%、約6.1重量%、約6.2重量%、約6.3重量%、約6.4重量%、約6.5重量%、約6.6重量%、約6.7重量%、約6.8重量%、約6.9重量%、約7.0重量%、約7.1重量%、約7.2重量%、約7.3重量%、約7.4重量%、約7.5重量%、約7.6重量%、約7.7重量%、約7.8重量%、約7.9重量%、約8.0重量%、約8.1重量%、約8.2重量%、約8.3重量%、約8.4重量%、約8.5重量%、約8.6重量%、約8.7重量%、約8.8重量%、約8.9重量%、約9.0重量%、約9.1重量%、約9.2重量%、約9.3重量%、約9.4重量%、約9.5重量%、約9.6重量%、約9.7重量%、約9.8重量%、約9.9重量%又は約10重量%の量で存在する。
【0053】
別の実施形態において、本明細書に記載される組成物は、任意に皮膚軟化剤を含む。例示的な皮膚軟化剤としては、鉱油及びラノリンアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ペトロラタム、ペトロラタム及びラノリンアルコール、セチルエステル蝋、コレステロール、グリセリン、モノステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、レシチン、カプロン酸アリル、ビロードアオイ抽出物、アラキジルアルコール、アルゴベース(argobase)EUC、ジカプリル酸/ジカプリン酸ブチレングリコール、アラビアゴム、アラントイン、カラジーナン、セチルジメチコン、シクロメチコン、コハク酸ジエチル、ベヘン酸ジヒドロアビエチル、アジピン酸ジオクチル、ラウリン酸エチル、パルミチン酸エチル、ステアリン酸エチル、ラウリン酸イソアミル、オクタノエート、PEG-75ラノリン、ラウリン酸ソルビタン、クルミ油、コムギ胚芽油、上質精製アーモンド油、上質精製ゴマ油、上質精製大豆油、パルミチン酸オクチル、カプリル酸/化プリン酸トリグリセリド及びグリセリルココエートが挙げられる。皮膚軟化剤は、存在する場合、本明細書に記載される組成物の総重量の約1重量%〜30重量%、約3重量%〜約25重量%、又は約5重量%〜15重量%の量で存在する。例示的には、1又は複数の医薬的に許容される皮膚軟化剤は、総量の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%又は約30重量%の量で存在する。
【0054】
一実施形態では、本明細書に記載される組成物は、抗菌防腐剤を含む。例示的な抗菌防腐剤としては、酸、例えば安息香酸、フェノール酸、ソルビン酸、アルコール、塩化ベンズエトニウム、ブロノポール、ブチルパラベン、セトリミド、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、エチルパラベン、イミド尿素、メチルパラベン、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、プロピルパラベン、プロピオン酸ナトリウム又はチメロサールが挙げられるが、これらに限定されない。抗菌防腐剤は、存在する場合、約0.1重量%〜約5重量%、約0.2重量%〜3重量%、又は約0.3重量%〜2重量%、例えば、約0.2重量%、約0.4重量%、約0.6重量%、約0.8重量%、約1重量%、約1.2重量%、約1.4重量%、約1.6重量%、約1.8重量%、約2重量%、約2.2重量%、約2.4重量%、約2.6重量%、約2.8重量%、約3.0重量%、約3.2重量%、約3.4重量%、約3.6重量%、約3.8重量%、約4重量%、約4.2重量%、約4.4重量%、約4.6重量%、約4.8重量%又は約5重量%の量で存在する。
【0055】
本明細書に記載される組成物は、任意に1又は複数の乳化剤を含む。「乳化剤」という用語は、非極性と極性相間の表面張力を低下できる作用物質を意味し、例としては、「自己乳化」剤として他の箇所で定義される化合物が挙げられる。適切な乳化剤は、医薬的に許容される乳化剤の任意のクラスから得られ、例としては、炭水化物、タンパク質、高分子量アルコール、湿潤剤、蝋及び微粉砕固体が挙げられる。任意の乳化剤は、存在する場合、組成物の総重量の約1重量%〜約15重量%、約1重量%〜12重量%、約1重量%〜約10重量%、又は約1重量%〜5重量%の量で組成物中に存在する。例示的には、1又は複数の乳化剤は、総量の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、又は約15重量%の量で存在する。
【0056】
別の実施形態では、水混和性溶媒はプロピレングリコールを含み、組成物の重量の約1重量%〜約99%、例えば約1重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量%又は約99重量%の量で組成物中に存在する。
【0057】
本明細書に記載される組成物は、任意に1又は複数の結合剤を含んでよい。結合剤は、乾性又は湿性であってよい。乾燥結合剤としては、単一及び複合炭水化物(例えば、スクロース、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、マルトデキストリン、デンプン、化工デンプン、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール及びエリトリトール)、セルロース及びセルロース誘導体(例えば、微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース)が挙げられる。湿性結合剤としては、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンゴム、カラジーナンゴム、イナゴマメゴム、アルギン酸塩及びアラビアゴムが挙げられ得る。所望の結果によって、調剤、製薬、薬剤送達、薬物動態、医薬品、あるいは賦形剤を薬剤又は治療薬と混合することを含むその他の関連専門分野の当業者は、適切な結合剤及び結合剤の相対濃度を選択できる。
【0058】
別の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、崩壊剤、例えばデンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロース、微晶質セルロース及びデンプンを含有し得る。所望の結果によって、調剤、製薬、薬剤送達、薬物動態、医薬品、あるいは賦形剤を薬剤又は治療薬と混合することを含むその他の関連専門分野の当業者は、適切な崩壊剤及び崩壊剤の相対濃度を選択できる。
【0059】
さらなる実施形態では、本明細書中に開示される組成物は、滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及びその医薬的に許容される塩、タルク、植物油及び蝋を含有し得る。所望の結果によって、調剤、製薬、薬剤送達、薬物動態、医薬品、あるいは賦形剤を薬剤又は治療薬と混合することを含むその他の関連専門分野の当業者は、適切な滑剤及び滑剤の相対濃度を選択できる。
【0060】
本明細書に記載される組成物は、任意に、1又は複数の味覚増強剤、例えば甘味剤、例えばアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース及びサッカリン、あるいは味覚遮蔽剤、例えば風味剤も含んでよい、所望の結果によって、調剤、製薬、薬剤送達、薬物動態、医薬品、あるいは賦形剤を薬剤又は治療薬と混合することを含むその他の関連専門分野の当業者は、適切な味覚増強剤又は味覚遮蔽剤及び味覚増強剤又は味覚遮蔽剤の相対濃度を選択できる。
【0061】
治療用途
一実施形態では、本明細書中に開示される組成物は、組成物の重量の約0.1重量%〜約95%、例えば約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%又は約95重量の量で1又は複数のカンナビジオールプロドラッグを含む。
【0062】
本明細書中で用いる「治療的有効量」又は「治療的及び/又は予防的有効量」という用語は、特定治療状況が必要とし得る場合に、必要とされるか又は所望される治療的及び/又は予防的応答を生じるのに十分な化合物又は作用物質の量を指す。
【0063】
対象のための薬剤の治療的及び/又は予防的有効量は、特に、対象の体重、ならびに当業者に既知のその他の因子に依っている、と理解される。治療薬又はその組成物が投与され得る「対象」は、本明細書中では、哺乳類、例えばいずれかの性別及び任意の年齢のヒト対象を含み、任意の非ヒト動物、特に家畜又はコンパニオン動物も含み、例としては、ネコ、イヌ又はウマ、ならびに実験動物、例えばモルモットが挙げられる。
【0064】
「治療する」、「治療される」、「治療すること」及び「治療」という用語は、哺乳類、特にヒトにおける医学的症状に対する任意の応答又はその予期を意味するものと広範に理解されるべきであり、以下の:
(i)当該症状にかかりやすいか否かにかかわらず、未だ当該症状を診断されたことがない対象に医学的症状を予防すること、すなわち治療は医学症状のための予防的処置を成すことであり;
(ii)医学的症状を抑制すること、すなわち医学的症状の開始、発達又は進行を停止すること、遅くすること又は遅延させることこと;あるいは
(iii)医学的症状を軽減すること、すなわち医学的症状の退行をもたらすこと;
を包含するが、これらに限定されない。
【0065】
一実施形態では、治療的有効量のカンナビジオールプロドラッグは、以下のものからなる群から選択される医学的症状を治療するために投与される:悪心、悪阻、疼痛、消耗症候群、HIV消耗症候群、化学療法誘導性悪心及び嘔吐、アルコール使用障害、筋緊張異常、多発性硬化症、炎症性腸障害、関節炎、皮膚炎、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、抗炎症、抗痙攣、抗精神病、抗酸化剤、神経保護、抗癌、免疫調節作用、末梢性神経障害性疼痛、ヘルペス後神経痛に関連した神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害、帯状疱疹、熱傷、光線性角化症、口腔内糜爛及び潰瘍、会陰切開後疼痛、乾癬、掻痒、接触性皮膚炎、湿疹、水疱性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、剥脱性皮膚炎、菌状息肉腫、天疱瘡、重症型多形性紅斑(例えばスティーブン・ジョンソン症候群)、脂漏性皮膚炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、ライター症候群、通風、軟骨石灰化症、月経困難症に派生する関節痛、繊維筋痛、筋骨格痛、神経障害性術後合併症、多発性筋炎、急性非特異的腱鞘炎、滑液包炎、上顆炎、外傷後骨関節炎、滑膜炎、若年性関節リウマチ及び発毛阻害。
【0066】
医薬剤形
一実施形態では、任意の製剤の単一投与量単位は、治療的有効量又は治療的及び/又は予防的有効量のカンナビジオールプロドラッグを含む。
【0067】
一実施形態では、本明細書に記載される組成物は、経皮投与に適している。別の実施形態では、経皮投与可能な組成物は、腹部、背部、胸部、足、腕、頭皮又はその他の適切な皮膚表面における及び/又はその周囲での投与に適合され、カンナビジオールプロドラッグが、パッチ、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、フォーム又は油中で投与される製剤を含んでよい。
【0068】
別の実施形態では、経皮投与可能である本明細書に記載される組成物は、カンナビジオールプロドラッグがグリコール又はゲル製剤中に入れられる製剤を包含する。
【0069】
一実施形態では、本明細書に記載される組成物は、局所投与に適している。別の実施形態では、局所投与可能な組成物は、腹部、背部、胸部、足、腕、頭皮又はその他の適切な皮膚表面における及び/又はその周囲での投与に適合され、カンナビジオールプロドラッグが、パッチ、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、フォーム又は油中で投与される製剤を含んでよい。
【0070】
別の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、経口投与に適している。別の実施形態では、経口投与可能である本明細書に記載される組成物は、カンナビジオールプロドラッグが、錠剤、カプセル、懸濁液、シロップ又は液体中で投与される製剤を包含する。さらなる実施形態では、組成物は、持続放出性又は長期作用性の錠剤又はカプセルとして処方され得る。さらなる実施形態では、経口剤形は、当業者に既知の組成物及び技法を用いて腸溶性にされ得る。
【0071】
一実施形態では、本明細書に記載される組成物は、頬投与に適している。別の実施形態では、頬投与可能である本明細書に記載される組成物は、カンナビジオールプロドラッグが、ロゼンジ、スプレー、ゲル、ペースト、溶解性錠剤又は溶解性ストリップ中で投与される製剤を含んでよい。
【0072】
一実施形態では、本明細書に記載される組成物は、舌下投与に適している。別の実施形態では、舌下投与可能である本明細書に記載される組成物は、カンナビジオールプロドラッグが、ロゼンジ、スプレー、ゲル、ペースト、溶解性錠剤又は溶解性ストリップ中で投与される製剤を含んでよい。
【0073】
一実施形態では、本明細書に記載される組成物は、注射可能投与に適している。別の実施形態では、注射投与可能である本明細書に記載される組成物は、カンナビジオールプロドラッグが、静脈内、くも膜下腔内、皮下又はデポー注射として投与される製剤を含んでよい。
【0074】
一実施形態では、本明細書に記載される組成物は、直腸投与に適している。別の実施形態では、直腸投与可能である本明細書に記載される組成物は、カンナビジオールプロドラッグが、坐薬、軟膏、クリーム、懸濁液、溶液、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、フォーム又は油中に入れられる製剤を含んでよい。
【0075】
一実施形態では、本明細書に記載される組成物は、膣投与に適している。別の実施形態では、膣投与可能である本明細書に記載される組成物は、カンナビジオールプロドラッグが、坐薬、軟膏、クリーム、懸濁液、溶液、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、フォーム又は油中に入れられる製剤を含んでよい。
【0076】
一実施形態では、本明細書に記載される組成物は、眼投与に適している。別の実施形態では、眼投与可能である本明細書に記載される組成物は、カンナビジオールプロドラッグが、軟膏、懸濁液、溶液、ゲル又はスプレー中に入れられる製剤を含んでよい。
【0077】
一実施形態では、本明細書に記載される組成物は、鼻投与に適している。別の実施形態では、鼻投与可能である本明細書に記載される組成物は、カンナビジオールプロドラッグが、軟膏、懸濁液、溶液、ローション、ペースト、ゲル、スプレー又はミスト中に入れられる製剤を含んでよい。
【実施例】
【0078】
実施例1
I.要約
本目的は、カンナビジオール及びカンナビジオールプロドラッグを合成し、in vitroでのヒト腹部皮膚を介してカンナビジオール及びそのプロドラッグの透過性を評価することであった。カンナビジオール及び5つのカンナビジオールプロドラッグを合成し、試験した。フロースルー型拡散セルを、透過試験のために用いた。40%(ポリエチレングリコール)PEG400をゲンタマイシンとともに含有するHEPES緩衝ハンクス平衡塩を、レシーバー区画に用いた。ドナー溶液は、100%プロピレングリコール(PG)溶液又は摺込み型ゲル内製剤で構成された。カンナビジオール及びカンナビジオールプロドラッグの流量及びラグタイム値を、透過プロフィールから得た。24又は36時間拡散実験後の皮膚中の薬剤蓄積を、μmol/組織湿重量1 gとして測定した。
【0079】
これらのプロドラッグは、他の投与経路、例えば経口、頬、舌下、注射可能、局所、小胞、鼻、眼、直腸又は膣経路による送達改善のための適切な候補にする改善された生理化学的特性も有する。
【0080】
II.方法
1.0 目的:カンナビジオールプロドラッグを合成し、in vitroでのカンナビジオール及びカンナビジオールプロドラッグのヒト皮膚透過を評価する。
【化6】

【0081】
2.0 皮膚の詳細
以下の実験に用いる皮膚試料は、腹部縮小手術から得られ、約200μmの厚みに皮膚採取した。用いる皮膚試料は6ヶ月未満の間−20℃で凍結した。
【0082】
3.0 化学物質
実験で使用する化学物質を以下に挙げる:アセトニトリル(HPLC等級)、トリフルオロ酢酸、トリエチルアミン、4-(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、硫酸ゲンタマイシン、p−トルエンスルホン酸、4-ジメチルアミノピリジン、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、水酸化ナトリウム及び重炭酸ナトリウムは、Fisher Scientific(Fairlawn, NJ)から購入した。メタノール(HPLC等級)、アセトニトリル(HPLC等級)、3−O−エトキシ−プロピオン酸、ジエチルエーテル、N,N1−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N−ジメチルグリシン、ポリエチレングリコール400(PEG 400)、及び無水硫酸ナトリウムは、VWR(West Chester, PA)から購入した。プロピレングリコール(PG)、オリベトール、クロロメチルクロロホルメート、エチルイソシアネート、無水エタノール及びハンクス平衡塩改質粉末は、Sigma-Aldrich (St. Louis, MO)から購入した。石油エーテル、酢酸エチル、ヘキサン、クロロホルム及びジクロロメタンは、University of Kentucky Chemical Stores(Lexington, KY)から入手した。(+)−(1S,4R)−p−メンタ−2,8−ジエン−1−オールは、Norac, Inc.(Azusa, CA)から購入した。カルボポール(登録商標)980は、Noveon, Inc.(Cleveland, OH)から入手した。ナノピュア水は、Barnstead filtration system(Dubuque, IA)から入手した。
【0083】
4.0 カンナビジオール及びカンナビジオールプロドラッグの合成
4.1 カンナビジオールの合成
オリベトール(920 mg, 0.00511 mol)及びp−トルエンスルホン酸(PTSA)(110 mg, 0.000578 mol)をベンゼン中に溶解した;その結果生じた反応混合物を2.5時間共沸した。反応混合物を室温に冷却し、アルゴン下で、(+)−(1S,4R)−p−メンタ−2,8−ジエン−1−オール(586 mg, 0.00385 mol)を添加し、室温で30分間撹拌した。反応完了後、反応混合物をジエチルエーテルで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。エーテル層を蒸発させて、溶離液として石油エーテル及びジエチルエーテル(98:2)を用いて、シリカカラム上で精製した。最後に、300 mgのカンナビジオール(300 mg)を回収した(24%)。
【0084】
1HNMR(CDCl3):6.23-6.41(m, 2H)、5.99(s, 1H, D2O交換可能)、5.66(s, 1H)、4.56(s, 1H)、4.49(bs, 1H, D2O交換可能)、4.46(s, 1H)、3.96(m, 1H)、2.00-2.47(m, 5H)、1.87(m, 5H)、1.46-1.83(m, 6H)、1.23-1.48(m, 3H)、0.96-1.00(m, 3H).
【0085】
4.2 ALL00101の合成
β−アラニン、N,N−ジメチル(0.600 mg, 0.00512 mol)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(1.05 g, 0.00512 mol)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(85 mg)をジクロロメタン(DCM)中に溶解し、窒素下で2時間撹拌した;その後、DCM中のカンナビジオール(806 mg, 0.00264 mol)を添加した。その結果生じた反応混合物を一晩撹拌し、固体をセライト上で濾過した。粗生成物をシリカカラム上で精製して、最終化合物(ALL00101)300 mg(26.48%)を得た。
【0086】
4.3 ALL00102の合成
カンナビジオール(216 mg, 0.0006878 mol)をジクロロメタン中に溶解し、反応混合物を氷浴上で0℃に冷却し、クロロメチルクロロホルメート(177 mg, 0.001375 mol)を30分までの間で滴下して、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応完了後、反応混合物を水で洗浄し、併合有機層を乾燥し、蒸発させて、溶離液として石油エーテル及びジエチルエーテル(9:1)を用いて、シリカカラム上で精製した。表題化合物が油化合物として存在した(130 mg, 37%)。この油状化合物(130 mg, 0.000260 mol)を過剰量のジエチルアミンで処理して、目標化合物を得た(31.5 g, 21%)。
【0087】
1HNMR(CDCl3):6.90(s,2H)、5.83-5.84(dd, 4H)、5.19(s, 1H, 環状エチレン性)、4.54-4.55(d, 1H)、4.44-4.44(d, 1H)、3.50-3.55(m, 1H)、2.57-2.62(m, 3H)、1.90-2.12(m, 2H)、1.34-1.59、1.62-1.64(m, 11H)、1.30-1.33(m, 5H)、0.90-0.92(m, 3H) 13C-NMR(CDCl3):13.89、19.27、22.30、23.31、28.48、30.02、30.22、31.23、35.05、37.87、45.63、72.19、72.23、72.28、111.05、122.12、122.15、122.18、134.28、142.53、147.13、149.10、151.34 1HNMR(CDCl3):6.81(s,2H)、5.42(s, 1H)、4.68(dd, 2H)、3.69(m, 1H)、3.24-3.47(m, 10H)、2.47-2.57(m, 3H)、2.01(m, 2H)、1.69-1.95(m, 12H)、1.15-1.46(m, 17H)、0.93-0.95(m, 3H) 13C-NMR(CDCl3):13.71、14.35、14.62、20.53、22.76、23.65、29.50、30.82、30.99、31.98、35.62、38.80、41.61、42.20、46.08、110.90、125.63、126.36、131.61、141.50、148.04、150.30、153.92.
【0088】
4.4 ALL00103の合成
3−O−エトキシ−プロピオン酸(0.507 mg, 0.0042 mol)、DCC(889 mg, 0.00429 mol)及びDMAP(138 mg)を、撹拌しながら2時間、窒素下でDCM中に溶解した。カンナビジオール(450 mg, 0.00143 mol)をDCM中に30分間添加し、その結果生じた反応混合物を一晩撹拌した。固体をセライトを通して濾過し、濾液を、溶離液として石油エーテル及びジエチルエーテル(75:25)を用いて精製して、油状最終化合物210mg(51.4%)を得た。
【0089】
1HNMR(CDCl3):6.78(s,2H)、5.20(s, 1H)、4.45-4.53(dd, 2H)、3.77-3.80(m, 4H)、3.58(m, 1H)、3.50-3.57(t, 4H)、2.57-2.90(m, 4H)、2.51-2.56(t, 2H)、2.10(m, 1H)、2.00(m, 1H)、1.61-1.90(m, 2H)、1.57-1.65(m, 9H)、1.30-1.32(m, 4H)、1.21-1.29(t, 6H)、0.85-0.90(m, 3H) 13C-NMR(CDCl3):14.25、15.35、19.84、22.68、23.59、28.97、30.56、30.70、31.67、35.39、38.46、45.82、65.78、66.68、111.13、124.69、126.02、141.94、147.80、149.58、169.78.
【0090】
4.5 ALL00104の合成
カンナビジオール(284 mg, 0.000904 mol)及びトリエチルアミン(0.482 mL, 0.00226 mol)をDCM中に溶解し、室温で1時間撹拌した。エチルイソシアネート(0.1419mL, 0.00180 mol)を10分間滴下して、反応混合物を得て、これを一晩撹拌した。溶媒を蒸発させて、粗生成物を、溶離液としてヘキサン:酢酸エチル(8:2)を用いてシリカカラム上で精製した。回収した最終化合物(260mg, 63%)は半固体であった。
【0091】
1HNMR(CDCl3):6.77(s,2H)、5.30(m, 1H)、4.11(bs, 2H)、4.42(s, 1H)、4.85(s, 1H)、3.15(m, 4H)、2.46-2.64(m, 3H)、2.10(m, 2H)、1.88(2H)、1.25-1.66(m, 10H)、1.30(m, 5H)、1.17-1.22(m, 5H)、0.88(m, 3H) 13C-NMR(CDCl3):14.36、14.53、19.87、22.80、23.71、25.02、29.17、30.75、30.90、31.87、35.61、36.44、36.97、38.26、46.24、111.14、124.60、127.12、132.37、141.76、147.97、149.87、154.26.
【0092】
4.6 ALL00105の合成
カンナビジオール(280 mg, 0.000890 mol)を添加して、DCM中のDCC(550 mg, 0.00267 mol)、DMAP(429 mg, 0.00133 mol)及びN,N−ジメチルグリシン(275 mg, 0.002678 mol)を室温で活性化した。窒素下で一晩撹拌後、反応混合物中の固体をセライトを通して濾過し、反応混合物を、溶離液としてクロロホルム及びメタノール(97:3)を用いてシリカカラム上で精製して、70 mgの最終化合物(10.07%)を得た。
【0093】
1HNMR(CDCl3):6.42(s,2H)、5.12(s, 1H)、4.20-4.40(dd, 2H)、2.21(s, 4H)、2.34-2.40(m, 1H)、2.20-2.34(m, 13H)、2.00-2.10(m, 3H)、1.29-1.42(m, 10H)、1.13-1.26(m, 4H)、0.91-0.92(m, 3H) 13C-NMR(CDCl3):14.36、20.16、22.80、23.90、29.12、30.67、30.85、31.75、35.53、38.86、45.57、45.86、60.16、111.23、124.69、125.94、132.71、142.17、147.86、149.38、168.73.
【0094】
5.0 in vitro皮膚透過試験
5.1 レシーバー液の調製
メスシリンダー中に1 Lのナノピュア水を測定することにより、1 Lのレシーバー液を調製した。水の90%をエレンマイヤーフラスコに添加した。ハンクス塩(1瓶)を、5.96 gのHEPES及び0.35 gの重炭酸ナトリウムとともに水に添加した。その溶液のpHを、1 N水酸化ナトリウム溶液でpH7.4に調整した。残りの水を添加し、レシーバー液を、0.2 μフィルター(Millipore, Billerica, MA)を通して濾過した。50 mgのゲンタマイシンを濾過レシーバー液に添加し、400 mLのレシーバー液を取り出して、400 mLのPEG400と取り替えた。
【0095】
5.2 薬剤製剤の調製
2つの異なる製剤を、ドナー区画に投入するために用いた。薬剤を、100%PG又はゲル製剤中に作製した。PG溶液に関しては、約50〜120 mgの適切な薬剤をガラス製シラン処理培養管中に計量した。ゲル製剤は、無水エタノール、ナノピュア水、IPM、カルボポール(登録商標)980、0.1 N水酸化ナトリウム水溶液及びそれぞれの薬剤を混合することによって得た。
【0096】
5.3 透過実験
腹壁形成術から採取し、−20℃で保存した採皮皮膚を実験のために用いた。PermeGearフロースルー型(In-Line, Riegelsville, PA)拡散セル系を、皮膚透過試験のために用いた。
【0097】
拡散セルを、循環水浴を用いて32℃に保持した。ヒト表皮を拡散セル中に並べて、角質層(皮膚の上部層)がドナー区画に面するようにした。皮膚の透過面積は0.95 cm2であった。3〜4拡散セル/処理で、ヒト皮膚ドナーからデータを回収した。
【0098】
レシーバー溶液は、pH7.4で40%PEG400を含有する、ゲンタマイシンを有するHEPES緩衝ハンクス平衡塩であり、流量を0.8 mL/時に調整した。各セルに、0.050 mLのそれぞれの薬剤(ドナー溶液)を、又は0.035mLのゲル製剤を投入し、これを、テフロン(登録商標)被覆棒で15秒間、皮膚に擦り込んだ。適用範囲全体に塗布されるよう、製剤を適用した。試験の継続のために、拡散セルを蓋で被覆した。
【0099】
試料を、3時間毎に24時間又は36時間、シンチレーションバイアル中に採取した。試料はすべて、抽出するまで4℃で保存した。拡散試料のアリコート(0.5 mL)を、シラン処理HPLCバイアル中に入れて、0.5 mLのアセトニトリルを試料に添加し、蓋をして、掻き混ぜた。
【0100】
実験終了時に、皮膚組織を拡散セルから取り出して、ナノピュア水ですすぎ、ペーパータオルで吸い取り乾燥した。皮膚をブックテープ(スコッチTM、3M, St. Paul, MN)を用いて2回テープ剥離して、組織表面に付着している薬剤製剤を除去した。薬剤と接触している皮膚の領域を切り取り、刻んで、予備計量シンチレーションバイアル中に入れた。10 mLのアセトニトリルをバイアルに添加し、室温で一晩振盪することにより薬剤を皮膚から抽出した。翌日、0.1 mLのアリコートを取り出し、さらなる0.9 mLのアセトニトリルで希釈した。希釈試料を、分析のためにシラン処理HPLCバイアルに添加した。
【0101】
実験終了時に、PGドナー溶液の0.01 mLアリコートを取り出し、10 mLのアセトニトリルを含有するシンチレーションバイアルに添加した。バイアルを撹拌し、次に15分間音波処理した。1 mLのアリコートを取り出し、分析のためにシラン処理HPLCバイアルに移した。
【0102】
6.0 分析方法
【表1】

【0103】
7.0 データ解析
レシーバー区画中に回収した累積量の薬剤を、時間の関数としてプロットした。累積量の浸透薬剤対時間プロットの定常状態部分の勾配から、所定の実験に関する流量値を得た。ラグタイムは、累積量の浸透薬剤対時間プロットの定常状態部分のx切片から得た。表11〜14では、送達プロドラッグとプロドラッグからのカンナビジオールの併合結果を「総カンナビジオール」として列挙している。これらの値は、カンナビジオール及び/又はプロドラッグの形態で送達されたそうカンナビジオール等価物としてのデータを表す。
【0104】
III.結果
化合物はすべて油形態であるため、カンナビジオール又はカンナビジオールプロドラッグに関しては融点を報告しなかった。ALL00101及びALL00102は、カンナビジオールとしてヒト皮膚を通して透過した。ALL00101又はALL00102に関しては、拡散試料(レシーバ試料)中に無傷プロドラッグは見出されなかった。カンナビジオール及び無傷プロドラッグはともに、皮膚動態(組織)試料中に見出された。ALL00101及びALL00102は、カンナビジオールと比較して、より高い皮膚中総カンナビジオールを有する。流量増強は、ALL00101及びALL00102プロドラッグでは観察されなかった。ALL00103及びALL00104は、PGドナー溶液及びゲル製剤の両方で、皮膚を透過しなかった(又はLODより低かった)。多少の無傷プロドラッグが皮膚試料中に見出されたが、しかしALL00103及びALL00104に関しては極少量のカンナビジオールしか検出されなかった。2つのALL00105ゲル製剤実験間の平均流量増強は、2.5であった。ALL00105は、主に無傷プロドラッグとして透過した。ALL00105から送達される総カンナビジオール等価物の累積量(nmol)は、カンナビジオールと比較して、3.1〜5.9倍であった。同一結果は、如何なる増強も示さないプロピレングリコールドナー溶液では観察されなかった。ALL00105での流量増強に加えて、総カンナビジオールのラグタイム(ゲル製剤試験)は、親薬剤と比較して、7〜8時間減少した。ラグタイム低減は、薬剤をより迅速に送達することにより患者に利益をもたらし、これは、疼痛管理及び悪心のために有益である。他のカンナビジオールプロドラッグは、薬剤溶液が増強剤を用いて処方される場合、上手くいくことがあるし、あるいは経皮投与の代わりに局所処理投与を目標とするのに有用であり得る(薬剤の全身血中レベルに関して)。
【0105】
【表2】

【0106】
【表3】

【0107】
【表4】

【0108】
【表5】

【0109】
【表6】

【0110】
【表7】

【0111】
【表8】

【0112】
【表9】

【0113】
【表10】

【0114】
【表11】

【0115】
【表12】

【0116】
【表13】

【0117】
【表14】

【0118】
【表15】

【0119】
実施例2
実施例2A及び2B
以下に示す場合を除いて、実施例2A及び2Bで用いられる方法は、実施例2で用いられる方法と同一である。
【0120】
I.要約
本目的は、カンナビジオールプロドラッグを合成し、in vitroでのヒト腹部皮膚を通してのカンナビジオール及びカンナビジオールの種々のプロドラッグの透過を評価することであった。カンナビジオール及び多数のカンナビジオールプロドラッグを合成し、いくつかを試験した。フロースルー型拡散セルを、透過試験のために用いた。40%PEG400をゲンタマイシンとともに、又は40%水性PEGをゲンタマイシンとともに含有するHEPES緩衝ハンクス平衡塩を、レシーバー区画のために用いた。ドナー溶液は、90:8:2のPG:H2O:IPM溶液又はゲル製剤で構成された。カンナビジオール及びカンナビジオールプロドラッグの流量及びラグタイム値を、透過プロフィールから得た。24、30又は42時間拡散実験後の皮膚中の薬剤蓄積を、μmol/組織湿重量1 gとして測定した。
【0121】
これらのプロドラッグは、他の投与経路、例えば経口、頬、舌下、注射可能、局所、小胞、鼻、眼、直腸又は膣経路による送達改善のための適切な候補にする改善された生理化学的特性も有する。
【0122】
II.方法
1.0 目的:本実施例の目的は、カンナビジオールプロドラッグを合成し、in vitroでのカンナビジオール及びカンナビジオールプロドラッグのヒト皮膚透過を評価することであった。
【化7】

【化8】

【化9】

【0123】
2.0 皮膚詳細
以下の実験に用いる皮膚試料は、腹部縮小手術から得て、約200μmの厚みに皮膚採取した。本明細書中で用いる皮膚試料を、6ヶ月未満の間、−20℃で凍結した。
【0124】
3.0 化学物質
実験で使用する化学物質を、以下に挙げる:トリフルオロ酢酸、トリエチルアミン(TEA)、4-(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、硫酸ゲンタマイシン、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、水酸化ナトリウム、オクタンチオール、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、クロロギ酸メチル及び重炭酸ナトリウム(NaHCO3)は、Fisher Scientific(Fairlawn, NJ)から購入した。メタノール(HPLC等級)、アセトニトリル(HPLC等級)、N,N1−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N−ジメチルグリシン、ポリエチレングリコール400(PEG 400)、ギ酸、塩化アセチル、3−ジメチルアミノプロピオン酸塩酸塩、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)及び無水硫酸ナトリウム(NaSO4)は、VWR(West Chester, PA)から購入した。プロピレングリコール(PG)、オリベトール、無水エタノール、トリエチルアミントリヒドロフルオリド、2−[2−92−メトキシエトキシ]エトキシ]酢酸、メチル(R)−(+)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボキシレート、テトラヒドロフラン(THF)、トリホスゲン、L−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)乳酸及びハンクス平衡塩改質粉末は、Sigma-Aldrich (St. Louis, MO)から購入した。モノ−Fmoc−1,4−ブタンジアミン塩酸塩は、Novabiochem(San Diego, CA)から購入した。酢酸エチル、ヘキサン及びジクロロメタン(DCM)は、University of Kentucky Chemical Stores(Lexington, KY)から入手した。(+)−(1S,4R)−p−メンタ−2,8−ジエン−1−オール及びオリベトールは、Norac, Inc.(Azusa, CA)から購入した。カルボポール(登録商標)980は、Noveon, Inc.(Cleveland, OH)から入手した。カンナビジオールは、Cayman Chemical Company(Ann Arbor, MI)から購入した。ナノピュア水は、Barnstead NANOpure(登録商標) DiamondTM Ultrapure water filtration system(Dubuque, IA)から入手した。化合物3,6,9,12−テトラオキサトリデカン酸は、Macromolecules,39(12), 3978-3979, 2006に見出される手法に従って合成した。
【0125】
4.0 カンナビジオールプロドラッグの合成
4.1 ALL00101(CBD ビス(3−(ジメチルアミノ)プロピオネート))及びALL00150(CBD 3−(ジメチルアミノ)プロピオネート)の合成
カンナビジオール(100 mg, 0.00032 mol)、3−ジメチルアミノプロピオン酸塩酸塩(123 mg, 0.00080 mol)及びDMAP(117 mg, 0.00096 mol)を1 mLの乾燥ジクロロメタン中に併合した。溶液を、周囲温度で5分間撹拌した。DCC(198 mg, 0.00096 mol)を混合物に添加した。混合物を、周囲温度で5時間撹拌させた。ヘキサンを添加し、沈殿物を濾過により除去した。溶液を、窒素下で小容積に低減した。ALL00101及びALL00150を分離し、ACN:水(70:30)により半分取C8カラムを用いて単離した。回転蒸発により、各分画に関して溶離分画からACNを除去した。残りの水性層をDCMで分配し、DCMを硫酸ナトリウム上で乾燥した。DCMを窒素流及び真空下で除去した。精製産物は、淡琥珀色を有する透明粘性油として出現した。
【0126】
エレクトロスプレー陽性モードで、LC/MS(Waters; Milford, MA)により、ALL00101を分析した。質量を、513.42(M+1、70%)、257.34(100%)及び123.06(15%)で観察した。
【0127】
ALL00150に関して、1HNMR(400 MHz、CDCl3)を以下に示す:δ=6.55(1H, br s, ArH);6.40(1H, d, J=1.8, ArH);5.98(1H, br s, OH);5.53(1H, br s, H-2);4.59-4.62(1H, m);4.45(1H, br s);3.45-3.59(1H, m, H-3);2.60-2.83(4H, m);2.41-2.55(3H, m);2.30(6H, s, NMe2);2.16-2.27(1H, m);2.03-2.12(1H, m);1.70-1.84(2H, m);1.77(3H, br s, 7-Me);1.52-1.62(2H, m);1.61(3H, s, 10-Me);1.24-1.38(4H, m);0.88(3H, t, J=7.0, CH2CH3);
【0128】
4.2 ALL00105(CBD ビス(N,N−ジメチルグリシネート))及びALL00148(CBD N,N−ジメチルグリシネート)の合成
カンナビジオール(200 mg, 0.00064 mol)、N,N−ジメチルグリシン(196.8 mg, 0.00191 mol)及びDMAP(38.9 mg, 0.00032 mol)を1 mLの乾燥ジクロロメタン中に併合した。溶液を、周囲温度で5分間撹拌した。DCC(459.3 mg, 0.00223 mol)を混合物に添加した。混合物を、周囲温度で一晩撹拌させた。ヘキサンを添加し、沈殿物を濾過により除去した。溶液を、窒素下で小容積に低減した。ALL00105及びALL00148を分離し、ACN:水(75:25)により半分取C8カラムを用いて単離した。回転蒸発により、各分画に関して溶離分画からACNを除去した。残りの水性層をDCMで分配し、DCMを硫酸ナトリウム上で乾燥した。DCMを窒素流及び真空下で除去した。精製産物は、淡琥珀色を有する透明粘性油として出現した。
【0129】
エレクトロスプレー陽性モードで、LC/MSにより、ALL00105を分析した。質量を、485.31(M+1)で観察した。
【0130】
エレクトロスプレー陽性モードで、LC/MSにより、ALL00148を分析した。質量を、417.15(M+18、30%)、315.23(CBD+1、100%)で観察した。
【0131】
4.3 ALL00131(CBD 3,6,9,12−テトラオキサトリデカノエート)及びALL00132(CBD ジ(3,6,9,12−テトラオキサトリデカノエート))の合成
カンナビジオール(100 mg, 0.00033 mol)、Macromolecules,39(12),3978-3979, 2006に従って調製した3,6,9,12−テトラオキサトリデカン酸(98.9 mg, 0.00045 mol)及びDMAP(11.7 mg, 0.00010 mol)を1 mLの乾燥ジクロロメタン中に併合した。溶液を、周囲温度で5分間撹拌した。DCC(111.4 mg, 0.00046 mol)を混合物に添加した。混合物を、周囲温度で2時間拌させた。ヘキサンを添加し、沈殿物を濾過により除去した。溶液を、窒素下で小容積に低減した。ALL00131及びALL00132を分離し、ヘキサン:酢酸エチル勾配により半分取シリカカラムを用いて単離した。各回収分画からの溶媒を、真空下で除去した。精製産物は、淡琥珀色を有する透明粘性油として出現した。
【0132】
ALL00131に関して、1HNMR(400 MHz、CDCl3)を以下に示す:δ=6.56(1H, br s, ArH);6.43(1H, d, J=1.8, ArH);6.01(1H, br s, OH);5.53(1H, br s, H-2);4.58-4.62(1H, m);4.43(1H, br s);4.35(2H, br s, OCH2CO2);3.76-3.86(2H, m, PEG);3.63-3.76(8H, m, PEG);3.54-3.57(2H, m, PEG);3.47(1H, br s, H-3);3.38(s, 3H, CH2OCH3);2.47-2.53(2H, m,ベンジル位CH2);2.40-2.47(1H, m);2.14-2.25(1H, m);2.02-2.14(1H, m);1.65-1.86(2H, m);1.77(3H, br s, 7-Me);1.52-1.64(2H, m);1.58(3H, s, 10-Me);1.23-1.37(4H, m);0.88(3H, t, J=7.0, CH2CH3).
【0133】
ALL00132に関して、1HNMR(400 MHz、CDCl3)を以下に示す:δ=6.75(2H, s, ArH);5.18(1H, br s, H-2);4.52-4.55(1H, m);4.42-4.45(1H, m);4.37、4.34及び4.22(4H, br 一重項、 OCH2CO2);3.76-3.86(4H, m, PEG);3.63-3.76(16H, m, PEG);3.53-3.57(4H, m, PEG);3.43-3.51(1H, m, H-3);3.38(s, 6H, CH2OCH3);2.51-2.62(3H, m);2.07-2.20(1H, m);1.97-2.06(1H, m);1.67-1.82(2H, m);1.66(3H, br s, 7-Me);1.52-1.63(2H, m);1.54(3H, s, 10-Me);1.23-1.38(4H, m);0.88(3H, t, J=7.0, CH2CH3).
【0134】
4.4 ALL00135(CBD 4−アミノブチルカルバメート)及びALL00136(CBD ビス(4−アミノブチルカルバメート))の合成
飽和NaHCO3水溶液(33.3 mL)及びジクロロメタン(22.2 mL)中のモノ−Fmoc−1,4-ブタンジアミン塩酸塩(461 mg, 1.33 mmol)の撹拌溶液に、ジクロロメタン(5 mL)中のトリホスゲン(592 mg, 2.0 mmol)を周囲温度で添加した。1時間撹拌後、生成物をジクロロメタン(40mL)で抽出し、ジクロロメタン層を無水Na2SO4上で乾燥し、濃縮した。残渣を酢酸エチル中に溶解し、生成物をヘキサンの添加により沈殿させた。Fmoc−4−アミノブチルイソシアネートを、濾過により白色固体として回収した(305 mg, 68%)。
【0135】
カンナビジオール(44 mg, 0.00014 mol)、Fmoc−4−アミノブチルイソシアネート(68.0 mg, 0.00020 mol)及びTEA(20 mg, 0.00038 mol)を、窒素下で2 mLの乾燥ジクロロメタン中に併合した。溶液を、一晩撹拌した。反応混合物を濾過した。保護化化合物を分離し、ヘキサン:酢酸エチル勾配で、半分取シリカカラムを用いて単離した。各回収分画からの溶媒を取って、窒素流下で乾燥し、THF中に再構成した。
【0136】
DBU(THF中100倍希釈)及びカンナビジオール(THF中10倍希釈)の溶液を調製した。DBU溶液(0.2 mL)及びカンナビジオール溶液(0.1 mL)を、保護化化合物を含有する各溶液に添加し、0.5〜1時間撹拌した。ALL00135及びALL00136を、シリカカラムクロマトグラフィーを用いて単離し、DCM:メタノール(80:20)で溶離した。精製産物は、淡琥珀色を有する透明粘性油として出現した。
【0137】
エレクトロスプレー陽性モードで、LC/MSにより、ALL00135を分析した。質量を、429.26(M+1、100%)、315.16(CBD+1、65%)及び153.13(22%)で観察した。
【0138】
エレクトロスプレー陽性モードで、LC/MSにより、ALL00136を分析した。質量を、543.32(M+1、30%)、315.16(CBD+1、70%)、292.76(100%)及び272.24(45%)で観察した。
【0139】
4.5 ALL00137(CBD (S)−2,3−ジヒドロキシプロパノエート)及びALL00139(CBD ビス(S)−2,3−ジヒドロキシプロパノエート)の合成
カンナビジオール(100 mg, 0.00032 mol)、(S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサラン−4-カルボキシレート(151.4 mg, 0.00035 mol)及びDMAP(11.7 mg, 0.00010 mol)を1 mLの乾燥ジクロロメタン中に併合した。溶液を、周囲温度で5分間撹拌した。DCC(92.3 mg, 0.00045 mol)を混合物に添加した。混合物を、周囲温度で一晩撹拌させた。ヘキサンを添加し、沈殿物を濾過により除去した。溶液を、窒素下で小容積に低減した。ALL00137及びALL00139を分離し、ヘキサン:酢酸エチル勾配により半分取シリカカラムを用いて単離した。各回収分画からの溶媒を、真空下で除去した。精製産物は、淡琥珀色を有する透明粘性油として出現した。ALL00137及びALL00139のアセトニドを、1−オクタンチオール/亜鉛トリフラートを用いて脱保護化し、ヘキサン:酢酸エチル(7:3)で、シリカカラムクロマトグラフィー(HPLC)を用いて精製した。
【0140】
エレクトロスプレー陽性モードで、LC/MSにより、ALL00137を分析した。質量を、420.25(M+18、100%)、403.18(M+1、65%)及び315.23(CED+1、15%)で観察した。
【0141】
エレクトロスプレー陽性モードで、LC/MSにより、ALL00139を分析した。質量を、508.23(M+18、100%)、491.15(M+1、18%)、315.16(CBD+1、5%)で観察した。
【0142】
4.6 ALL00140(CBD 2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]アセテート)及びALL00141(CBD ビス(2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]アセテート)の合成
カンナビジオール(105 mg, 0.00033 mol)、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(83.3 mg, 0.00047 mol)及びDMAP(12.3 mg, 0.00011 mol)を1 mLの乾燥ジクロロメタン中に併合した。溶液を、周囲温度で5分間撹拌した。DCC(117 mg, 0.00056 mol)を混合物に添加した。混合物を、周囲温度で5時間撹拌させた。ヘキサンを添加し、沈殿物を濾過により除去した。溶液を、窒素下で小容積に低減した。ALL00140及びALL00141を分離し、ヘキサン:酢酸エチル勾配により半分取シリカカラムを用いて単離した。各回収分画からの溶媒を、真空下で除去した。精製産物は、淡琥珀色を有する透明粘性油として出現した。
【0143】
エレクトロスプレー陽性モードで、LC/MSにより、ALL00140を分析した。質量を、492.37(M+18、100%)及び475.37(M+1、35%)で観察した。
【0144】
エレクトロスプレー陽性モードで、LC/MSにより、ALL00141を分析した。質量を、652.51(M+18、100%)及び635.52(M+1、10%)で観察した。
【0145】
4.7 ALL00142(CBD ジアセテート)の合成
カンナビジオール(42 mg, 0.00013 mol)、塩化アセチル(26.3 mg, 0.00033 mol)及びTEA(35 mg, 0.00039 mol)を0.5 mLの乾燥ジクロロメタン中に併合した。溶液を、一晩撹拌した。ヘキサンを添加し、反応混合物を濾過した。ALL00142を、ヘキサン:酢酸エチル(9:1)で、シリカカラムクロマトグラフィーを用いて単離した。精製産物は、淡琥珀色を有する透明粘性油として出現した。
【0146】
エレクトロスプレー陽性モードで、LC/MSにより、ALL00142を分析した。質量を、416.22(M+18、100%)、399.14(M+1、10%)で観察した。
【0147】
4.8 ALL00143(CBD ビス(メチルカルボネート))の合成
カンナビジオール(44 mg, 0.00013 mol)、メチルクロロホルメート(31.7 mg, 0.00034 mol)及びTEA(18.4 mg, 0.00035 mol)を2 mLの乾燥ジクロロメタン中に併合した。溶液を、一晩撹拌した。ヘキサンを添加し、反応混合物を濾過した。ALL00143を、ヘキサン:酢酸エチル(9:1)で、シリカカラムクロマトグラフィーを用いて単離した。精製産物は、淡琥珀色を有する透明粘性油として出現した。
【0148】
ALL00143に関して、1HNMR(400 MHz、CDCl3)を以下に示す:δ=6.82(2H, s, ArH);5.17-5.21(1H, m, H-2);4.51-4.55(1H, m);4.42-4.46(1H, m);3.86(6H, s, OCH2CH3);3.60-3.68 (1H, m, H-3);2.65-2.73(1H, m);2.53-2.59(2H, m、ベンジル位CH2);2.16-2.28(1H, m);1.93-2.01(1H, m);1.66-1.81(2H, m);1.65(3H, br s, 7-Me);1.54-1.63(2H, m);1.58-1.60(3H, s, 10-Me);1.24-1.37(4H, m);0.88(3H, t, J=7.0, CH2CH3).
【0149】
4.9 ALL00145(CBD ジホルメート)及びALL00146(CBD ホルメート)の合成
カンナビジオール(150 mg, 0.00043 mol)、ギ酸(59.25 mg, 0.00129 mol)及びDMAP(36.6 mg, 0.00030 mol)を1 mLの乾燥ジクロロメタン中に併合した。溶液を、周囲温度で5分間撹拌した。DCC(150 mg, 0.00142 mol)を混合物に添加した。混合物を、周囲温度で4時間撹拌させた。ヘキサンを添加し、沈殿物を濾過により除去した。溶液を、窒素下で小容積に低減した。ALL00145及びALL00146を分離し、ヘキサン:酢酸エチル(97:3)により半分取シリカカラムを用いて単離した。各回収分画からの溶媒を、真空下で除去した。精製産物は、淡琥珀色を有する透明粘性油として出現した。
【0150】
ALL00145に関して、1HNMR(400 MHz、CDCl3)を以下に示す:δ=8.16(2H, br s, CHO);6.78(2H, s, ArH);5.09-5.13(1H, m, H-2);4.52-4.56(1H, m);4.41-4.45(1H, m);3.60-3.69(1H, m, H-3);2.64-2.72(1H, m);2.54-2.62(2H, m、ベンジル位CH2);2.08-2.20(1H, m);1.96-2.05(1H, m);1.75-1.82(1H, m);1.66-1.75(1H, m);1.654(3H, br s, 7-Me);1.65-1.54(2H, m);1.58-1.60(3H, s, 10-Me);1.24-1.39(4H, m);0.89(3H, t, J=7.0, CH2CH3).
【0151】
ALL00146に関して、1HNMR(400 MHz、CDCl3)を以下に示す:δ=8.18(1H, s, CHO);6.78(1H, br s, ArH);6.37(1H, d, J=1.5, ArH);6.10(1H, br s, OH);5.53(1H, br s, H-2);4.55-4.58(1H, m);4.36(1H, br s);3.62-3.72(1H, m, H-3);2.48-2.54(2H, m、ベンジル位CH2);2.41-2.46(1H, m);2.17-2.30(1H, m);2.05-2.15(1H, m);1.68-1.86(2H, m);1.79(3H, br s, 7-Me);1.53-1.63(2H, m);1.60(3H, s, 10-Me);1.24-1.38(4H, m);0.88(3H, t, J=7.0, CH2CH3).
【0152】
4.10 ALL00147(CBD ジグリコレート)の合成
ジクロロメタン(0.4 mL)中のカンナビジオール(31.4 mg, 0.1 mmol)及び(t−ブチルジメチルシリルオキシ)酢酸(57.5 mg, 0.26 mmol)の撹拌溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(10.3 mg, 0.05 mmol)を添加し、その後、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(61.9 mg, 0.3 mmol)を添加した。混合物を周囲温度で4時間撹拌した。混合物をヘキサン(0.4 mL)で希釈し、濾過し、減圧下で濃縮し、ヘキサン−酢酸エチル(勾配40:1、20:1、10:1)を用いてシリカゲル上でクロマトグラフィー処理して、CBDビス((t−ブチルジメチルシリルオキシ)アセテート)(44.4 mg, 67.4%)を油として得た。
【0153】
カンナビジオールビス((t−ブチルジメチルシリルオキシ)アセテート)をジクロロメタン(0.2 mL)中に溶解し、−15℃に冷却して、トリエチルアミントリヒドロフルオリドの冷2 M溶液0.2 mLで処理した。反応混合物を5℃で65時間放置した。混合物を過剰量の水性飽和重炭酸ナトリウム/酢酸エチル中に注ぎ入れ、激しく撹拌しながら0℃に冷却した。水性層を酢酸エチルで2回抽出し、併合有機抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥して、濃縮した。残渣を、ヘキサン−酢酸エチル(勾配3:1、2:1、1:1)を用いてシリカゲル上でクロマトグラフィー処理して、18.9 mg(65%)のカンナビジオールジグリコレート(ALL00147)を油として得た。
【0154】
ALL00147に関して、1HNMR(400 MHz、CDCl3)を以下に示す:δ=6.79(2H, s, ArH);5.17(1H, br s, H-2);4.52-4.57(1H, m);4.41-4.47(1H, m);4.39、4.36及び4.22(4H,br 一重項, OCH2CO2);3.42-3.50 (1H, m, H-3);2.48-2.62(1H, m);2.36(2H, t, J=5.6、OH);2.08-2.20(1H, m);1.99-2.08(1H, m);1.68-1.83(2H, m);1.66(3H, br s, 7-Me);1.57-1.65(2H, m);1.52-1.54(3H, s, 10-Me);1.26-1.38(4H, m);0.89(3H, t, J=7.0, CH2CH3).
【0155】
4.11 ALL00149(CBD グリコレート)の合成
乾燥ジクロロメタン(1 mL)中のカンナビジオール(125.8 mg, 0.4 mmol)及び(t−ブチルジメチルシリルオキシ)酢酸(112.9 mg, 0.51 mmol)の撹拌溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(6.2 mg, 0.03 mmol)を添加し、その後、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(123.8 mg, 0.6 mmol)を添加した。混合物を周囲温度で1時間撹拌した。さらなる量の酸(26.6 mg)及びN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(31 mg)を添加し、撹拌を1時間継続した。混合物をヘキサン(2 mL)で希釈し、濾過し、濃縮した。粗生成物を、アセトニトリル−水を用いて分取逆相HPLC(C8カラム)により精製して、カンナビジオール(t−ブチルジメチルシリルオキシ)アセテートを油として得た。
【0156】
カンナビジオール(t−ブチルジメチルシリルオキシ)アセテート(80 mg)をジクロロメタン(0.25 mL)中に溶解し、−15℃に冷却して、ジクロロメタン中のトリエチルアミントリヒドロフルオリドの冷2 M溶液0.25 mLで処理した。反応混合物を5℃で65時間放置した。混合物を過剰量の水性飽和重炭酸ナトリウム/酢酸エチル中に注ぎ入れ、激しく撹拌しながら0℃に冷却した。水性層を酢酸エチルで2回抽出し、併合有機抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥して、濃縮した。残渣を、ヘキサン−酢酸エチル(勾配10:1、4:1、3:1)を用いてシリカゲル上でクロマトグラフィー処理して、58 mg(95%)のカンナビジオールグリコレート(ALL00149)を油として得た。
【0157】
ALL00149に関して、1HNMR(400 MHz、CDCl3)を以下に示す:δ=6.59(1H, br s, ArH);6.43(1H, d, J=1.8, ArH);6.03(1H, br s, OH);5.53(1H, br s, H-2);4.59-4.62(1H, m);4.44(1H, br s);4.30-4.40(2H, m, OCH2CO2);3.46(1H,br s, H-3);2.48-2.54(2H, m、ベンジル位CH2);2.40-2.47(1H, m);2.39(2H, t, J=5.6, OH);2.15-2.29(1H, m);2.04-2.14(1H, m);1.67-1.86(2H, m);1.78(3H, br s, 7-Me);1.53-1.63(2H, m);1.57(3H, s, 10-Me);1.23-1.37(4H, m);0.88(3H, t, J=7.0, CH2CH3).
【0158】
4.12 ALL00151(CBD L−ラクテート)の合成
乾燥ジクロロメタン(2 mL)中のカンナビジオール(220.1 mg, 0.7 mmol)及びL−(t−ブチルジメチルシリル)乳酸(299.4 mg, 1.26 mmol)の撹拌溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(14.4 mg, 0.07 mmol)を添加し、その後、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(310.5 mg, 1.505 mmol)を添加した。混合物を周囲温度で1時間撹拌した。さらなる量の酸(45 mg)及びN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(60 mg)を添加し、撹拌を1.5時間継続した。混合物をヘキサン(3 mL)で希釈し、濾過し、濃縮した。粗生成物を、アセトニトリル−水を用いて分取逆相HPLC(C8カラム)により精製して、カンナビジオールL−(t−ブチルジメチルシリル)ラクテートを油として、ならびにカンナビジオールビス(L−(t−ブチルジメチルシリル)ラクテート)(カンナビジオールジ(L−ラクテート)に関する中間体)を得た。
【0159】
カンナビジオールL−(t−ブチルジメチルシリル)ラクテート(15.1 mg)をジクロロメタン(0.1 mL)中に溶解し、−15℃に冷却して、ジクロロメタン中のトリエチルアミントリヒドロフルオリドの冷2 M溶液0.1 mLで処理した。反応混合物を5℃で65時間放置した。混合物を過剰量の水性飽和重炭酸ナトリウム/酢酸エチル中に注ぎ入れ、激しく撹拌しながら0℃に冷却した。水性層を酢酸エチルで2回抽出した。併合有機抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥して、濃縮した。残渣を、ヘキサン−酢酸エチル(勾配10:1、6:1、4:1)を用いてシリカゲル上でクロマトグラフィー処理して、9.8 mg(82%)のCBD L−ラクテート(ALL00151)を油として得た。
【0160】
ALL00151に関して、1HNMR(400 MHz、CDCl3)を以下に示す:δ=6.59(1H, br s, ArH);6.37(1H, d, J=1.8, ArH);6.02(1H, br s, OH);5.52(1H, br s, H-2);4.60-4.63(1H, m);4.44-4.52(1H, m, OCH2CO2);4.44(1H, br s);3.41(1H,br s, H-3);2.77(1H, d, J=5.4, OH);2.47-2.53(2H, m、ベンジル位CH2);2.40-2.48(1H, m);2.15-2.29(1H, m);2.03-2.14(1H, m);1.67-1.86(2H, m);1.78(3H, br s, 7-Me);1.53-1.64(5H, m, 脂肪族H及びOCH(CH3)CO2);1.59(3H, br s, 10-Me);1.23-1.38(4H, m);0.88(3H, t, J=7.0, CH2CH3).
【0161】
4.13 CBD−ヒアルロン酸の提唱
カンナビジオール分子上のヒドロキシル基の一方又は両方が、種々の置換基(例えば、ヒアルロン酸、乳酸及びグリコール酸)により官能化され、任意に皮膚科学的に許容されるビヒクルと組合されて、哺乳類、例えばヒトの皮膚への適用のための化粧品組成物を形成し得る。以下のスキームは、カルボネート連結及び保護基としてTBDMSエーテルを用いたヒアルロン酸へのカンナビジオールの結合のための考え得る方法を表す。ポリマーの第一ヒドロキシル基のほとんどが薬剤への連結の形成に関与する、と予測され得る。添加的な及び/又は異なる組の保護基/脱保護方法が用いられ得る。
【化10】

【0162】
さらにまた、グリコール酸及び乳酸は、酸の2−ヒドロキシ基の使用により、エステル結合を介して、あるいはカルボネート連結で、カンナビジオール・ヒドロキシル基のいずれかに結合され得る。カンナビジオールは、同様の方法で、高分子化合物、例えばヒアルロン酸とも結合される。添加的スペーサー(例えば、2−アミノエタノール又はグリシン)を用いて、結合は、すべての場合に、カルバメート結合を介しても達成され得る。
【0163】
例えば、カンナビジオールは、添加的スペーサー(例えば2−アミノエタノール)の使用により、エステル結合を介して、又はカルバメート結合を介して、+酸のカルボキシル基と結合され得る、とも当業者は認識する。さらなる一実施形態では、添加的スペーサーは、ヒアルロン酸のヒドロキシル基にカンナビジオールを結合する場合にも用いられ得る。
【0164】
5.0 血漿安定性試験
各プロドラッグの概算1 mg/mLストック溶液を、エタノール100 μL及びアセトニトリル900 μL中に調製した。ストック10 μLを血漿1 mL中に混入して、掻き混ぜた。試料を琥珀色バイアル中に密封保持し、親薬剤への生物変換に関して分析するための試料を得た。
【0165】
6.0 in vitro皮膚透過試験
6.1 レシーバー液1の調製
メスシリンダー中に1 Lのナノピュア水を測定することにより、1 Lのレシーバー液を調製した。水の90%をエレンマイヤーフラスコに添加した。ハンクス塩(1瓶)を、5.96 gのHEPES及び0.35 gの重炭酸ナトリウムとともに水に添加した。その溶液のpHを、1 N水酸化ナトリウム溶液でpH7.4に調整した。残りの水を添加し、レシーバー液を、0.2 μフィルター(Millipore, Billerica, MA)を通して濾過した。50 mgのゲンタマイシンを濾過レシーバー液に添加し、400 mLのレシーバー液を取り出して、400 mLのPEG400と取り替えた。
【0166】
6.2 レシーバー液2の調製
メスシリンダー中に600 mLのナノピュア水を測定することにより、レシーバー液を調製した。水を、0.2 μフィルター(Millipore, Billerica, MA)を通して濾過した。50 mgのゲンタマイシンを濾過水に添加し、400 mLのPEGを添加した。
【0167】
6.3.1 薬剤製剤(実施例2)の調製
プロドラッグを、45:4:1のPG:H2O:IPMの溶液中に作製した。この溶液に関しては、適量の薬剤をガラス製シラン処理培養管中に計量し、IPMを添加し、薬剤を被覆するためのPG 50 μLを添加して、次に、さらに247 μLのPGを添加し、ドナー溶液を再び撹拌した。最後に、水26 μLを添加した。ゲル製剤は、無水エタノール、ナノピュア水、IPM、カルボポール(登録商標)980、0.1 N水酸化ナトリウム水溶液及びそれぞれの薬剤を混合することによって得た。
【0168】
6.3.2 薬剤製剤(実施例2A)の調製
ゲル製剤は、無水エタノール、ナノピュア水、IPM、カルボポール(登録商標)980、0.1 N水酸化ナトリウム水溶液及びそれぞれの薬剤で構成された。無水ゲルは、無水エタノール、PEGモノエチルエーテル550、クルセル(登録商標)ヒドロキシプロピルセルロース及びそれぞれの薬剤で構成された。
【0169】
6.4 透過実験
腹壁形成術から採取し、−20℃で保存した採皮皮膚を実験のために用いた。PermeGearフロースルー型(In-Line, Riegelsville, PA)拡散セル系を、皮膚透過試験のために用いた。
【0170】
拡散セルを、循環水浴を用いて32℃に保持した。ヒト表皮を拡散セル中に並べて、角質層(皮膚の上部層)がドナー区画に面するようにした。皮膚の透過面積は0.95 cm2であった。3つの拡散セル/処理で、ヒト皮膚ドナーからデータを回収した。
【0171】
レシーバー溶液は、pH7.4で40%PEG400を含有する、ゲンタマイシンを有するHEPES緩衝ハンクス平衡塩であり、流量を0.8 mL/時に調整した。各セルに、0.10 mLのそれぞれの薬剤製剤(ドナー溶液)を、又は50 μLのゲル製剤を投入し、これを、テフロン(登録商標)被覆棒で15秒間、皮膚に擦り込んだ。適用範囲全体に塗布されるよう、製剤を適用した。試験の継続のために、拡散セルを栓又は蓋で被覆した。
【0172】
試料を、3時間毎に24、30又は42時間、シンチレーションバイアル中に採取した。試料はすべて、抽出するまで4℃で保存した。拡散試料のアリコート(0.5 mL)を、シラン処理HPLCバイアル中に入れて、0.5 mLのアセトニトリルを試料に添加し、蓋をして、掻き混ぜた。
【0173】
実験終了時に、皮膚組織を拡散セルから取り出して、ナノピュア水ですすぎ、ペーパータオルで吸い取り乾燥した。皮膚をブックテープ(スコッチTM、3M, St. Paul, MN)を用いて2回テープ剥離して、組織表面に付着している薬剤製剤を除去した。薬剤と接触している皮膚の領域を切り取り、刻んで、予備計量シンチレーションバイアル中に入れた。10 mLのアセトニトリルをバイアルに添加し、室温で一晩振盪することにより薬剤を皮膚から抽出した。翌日、1 mLのアリコートを取り出し、分析のためにシラン処理HPLCバイアルに移した。ゲルを用量投与した実験の終了時に、皮膚組織をナノピュア水で各10秒間、3回すすいで、アルコールパッドで拭取った。すべての皮膚片を吸い取り乾燥し、ブックテープ845(スコッチTM、3M, St. Paul, MN)を用いて2回テープ剥離して、表面に付着している任意の薬剤製剤を除去した。皮膚をナノピュア水でもう一度すすぎ、再び吸い取り乾燥した。薬剤と接触している皮膚の領域を切り取り、外科用メスで細かく刻んで、予備計量シンチレーションバイアル中に入れた。水浴中で一晩振盪しながら、10 mLのACNで平衡させることにより、薬剤と接触している皮膚の領域から薬剤を抽出した。
【0174】
実験終了時に、PGドナー溶液の0.01 mLアリコートを取り出し、10 mLのアセトニトリルを含有するシンチレーションバイアルに添加した。バイアルを撹拌し、1 mLのアリコートを取り出し、分析のためにシラン処理HPLCバイアルに移した。ゲルを用量投与した実験の終了時に、ドナー区画を既知量のナノピュア水又はACNで5回すすぎ、次に、ナノピュア水又はACNのアリコートをACNで希釈した。バイアルを掻き混ぜて、1 mLのアリコートを取り出し、分析のためにシラン処理HPLCバイアルに移した。
【0175】
7.0.1 分析方法(実施例2)
【表16】

【0176】
7.0.2 分析方法(実施例2A)
【表17】

【0177】
7.0.3 分析方法(実施例2B)
【表18】

【0178】
8.0 データ解析
レシーバー区画中に回収した累積量の薬剤を、時間の関数としてプロットした。累積量の浸透薬剤対時間プロットの定常状態部分の勾配から、所定の実験に関する流量値を得た。ラグタイムは、累積量の浸透薬剤対時間プロットの定常状態部分のx切片から得た。表16〜19及び21〜23では、送達プロドラッグとプロドラッグからのカンナビジオールの併合結果を「総カンナビジオール」として列挙している。これらの値は、カンナビジオール及び/又はプロドラッグの形態で送達されたそうカンナビジオール等価物としてのデータを表す。
【0179】
III.結果
実施例2で合成されたカンナビジオールプロドラッグは、すべて油状化合物であった。
【0180】
ゲル製剤では、ALL00101は、一置換プロドラッグ(ALL00150)として皮膚を透過しただけであった。ALL00101は、カンナビジオールと比較して、流量を増大しなかった。ALL00101は、極微量の無傷プロドラッグとして皮膚中で検出されたが、しかしほとんどは、一置換プロドラッグ、ALL00150及びカンナビジオールとして検出された。総皮膚濃度は、カンナビジオールと比較して高かった。ラグタイムは、カンナビジオールと比較して低減された。
【0181】
ドナー溶液では、ALL00105は、一置換プロドラッグ(ALL00148)及びカンナビジオールとして皮膚を透過した。ALL00105は、カンナビジオールと比較して、流量を増大しなかった。ALL00105は、一置換プロドラッグ、ALL00148及びカンナビジオールとして皮膚中で検出された。総皮膚濃度は、カンナビジオールと比較して高かった。ラグタイムは、カンナビジオールと比較して低減された。
【0182】
ドナー溶液では、ALL00131は、無傷プロドラッグ及びカンナビジオールとして皮膚を透過した。ALL00131は、カンナビジオールと比較して、流量を増大しなかった。ALL00131は、プロドラッグとしてのみ、皮膚中で検出された。総皮膚濃度は、カンナビジオールと比較して高くなかった。ラグタイムは、カンナビジオールと同様であった。
【0183】
ドナー溶液では、ALL00132は、無傷プロドラッグ、一置換プロドラッグ(ALL00131)及びカンナビジオールとして皮膚を透過した。ALL00132は、カンナビジオールと比較して、流量を増大しなかった。ALL00132は、プロドラッグとして、ならびに少量は一置換プロドラッグALL00131として、皮膚中で検出された。総皮膚濃度は、カンナビジオールと比較して高くなかった。ラグタイムは、カンナビジオールと比較して低減されなかった。
【0184】
ドナー溶液では、ALL00137は、皮膚を透過しないか、又はレシーバ試料中での検出より低かった。ALL00137は、プロドラッグとして、ならびに極微量のカンナビジオールとして、皮膚中で検出された。総皮膚濃度は、カンナビジオールと比較して高くなかった。
【0185】
ドナー溶液では、ALL00140は、無傷プロドラッグ及びカンナビジオールとして皮膚を透過した。ALL00140は、カンナビジオールと比較して、流量を増大しなかった。ALL00140は、ほとんどがプロドラッグとして、ならびに少量がカンナビジオールとして、皮膚中で検出された。総皮膚濃度は、カンナビジオールと比較して高くなかった。ラグタイムは、カンナビジオールと比較してわずかに低減した。
【0186】
ドナー溶液では、ALL00142は、皮膚を透過しないか、又はレシーバ試料中での検出より低かった。ALL00142は、無傷プロドラッグとしてのみ、皮膚中で検出された。総皮膚濃度は、カンナビジオールと比較して高くなかった。
【0187】
ドナー溶液では、ALL00143は、皮膚を透過しないか、又はレシーバ試料中での検出より低かった。ALL00143は、プロドラッグとして、ならびに極微量のカンナビジオールとして、皮膚中で検出された。総皮膚濃度は、カンナビジオールと比較して高くなかった。
【0188】
ドナー溶液では、ALL00145は、約50%の一置換プロドラッグ(ALL00146)及び約50%のカンナビジオールとして皮膚を透過した。ALL00145は、カンナビジオールと比較して、流量を増大しなかった。ALL00145は、プロドラッグ、一置換プロドラッグALL00146及びカンナビジオールとして、皮膚中で検出された。総皮膚濃度は、カンナビジオールと比較して高かった。ラグタイムは、カンナビジオールと比較して低減されなかった。
【0189】
ゲル製剤では、ALL00146は、無傷プロドラッグ及びカンナビジオールとして皮膚を透過した。ALL00146は、カンナビジオールと比較して、流量をわずかに増大した。ALL00146は、無傷プロドラッグ及びカンナビジオールとして、皮膚中で検出された。総皮膚濃度は、カンナビジオールと比較して高くなかった。ラグタイムは、カンナビジオールと同様であった。
【0190】
ドナー溶液では、ALL00147は、無傷プロドラッグ、一置換プロドラッグ(ALL00149)及びカンナビジオールとして皮膚を透過した。ALL00147は、カンナビジオールと比較して、流量を増大しなかった。ALL00147は、プロドラッグ、一置換プロドラッグALL00149及びカンナビジオールとして、皮膚中で検出された。総皮膚濃度は、カンナビジオールと比較して高くなかった。ラグタイムは、カンナビジオールと比較して低減されなかった。
【0191】
ゲル製剤では、ALL00148は、無傷プロドラッグとしてのみ、皮膚を透過した。ALL00148は、カンナビジオールと比較して、流量を増大しなかった。ALL00148は、ほとんどが無傷プロドラッグとして、ならびに少量がカンナビジオールとして、皮膚中で検出された。総皮膚濃度は、カンナビジオールと比較して高かった。ラグタイムは、カンナビジオールと同様であった。
【0192】
ラグタイム低減は、薬剤をより迅速に送達することにより患者に利益をもたらし、これは、疼痛管理及び悪心のために有益である。長いラグタイムは、局所及び小胞両方のためにより有用であり、この場合、薬剤吸収が弱められる。カンナビジオールプロドラッグは、薬剤溶液溶媒系が最適化される場合、又はそれらが増強剤とともに処方される場合、より透過を増大し得る。これらのプロドラッグの多くが、経皮適用の代わりに、局所/小胞適用を目標にするのに有用であり得る。局所適用を目標にすることにより、薬剤送達は、全身送達と比較して、限局的送達に集中し得る。さらにまた、小胞送達は、微小粒子製剤を用いる場合又は用いない場合の投与のために目標にされ得る。
【0193】
ゲル製剤では、ALL00146は、カンナビジオールとしてのみ、皮膚を透過し、プロドラッグはレシーバー液中には検出されなかった。ALL00146は、カンナビジオールと比較して、流量を増大しなかった。ALL00146は、少量のカンナビジオールとして皮膚中で検出され、残りはプロドラッグであった。総皮膚濃度は、カンナビジオールと比較してわずかに高かった。ラグタイムは、カンナビジオールと比較して高かった。
【0194】
ゲル製剤では、ALL00150は、皮膚を透過しなかった。ALL00150は、主にALL00150として皮膚中で検出され、少量がカンナビジオールであった。総皮膚濃度は、カンナビジオールと比較して高かった。
【0195】
無水ゲル製剤では、ALL00150は、皮膚を透過しなかった。ALL00150は、ALL00150及びカンナビジオールとして皮膚中で検出された。総皮膚濃度は、カンナビジオールと比較して高かった。
【0196】
全体的に、無水ゲル製剤で処置された皮膚中のカンナビジオール及びALL00150の濃度は、エタノールベースのゲル製剤と比較して非常に低かった。
【0197】
ゲル製剤では、カンナビジオール、ALL00147及びALL00149に関してのみ、各薬剤の1つのセルのみが、それぞれの薬剤のレシーバー液中の検出可能レベルを有した。しかしながら、各薬剤の3つのセルすべてが、検出可能な皮膚濃度を有した。したがって、ここで報告された拡散データは、回収されたデータを反映する。
【0198】
ALL00147は、カンナビジオール(47.2%)及び一プロドラッグALL00149(45.6%)として、極微量のALL00147とともに皮膚を透過した。ALL00147は、カンナビジオールと比較して流量を2倍増大した。ALL00147は、主にプロドラッグALL00149として皮膚中で検出され、ALL00147は極微量であった。総皮膚濃度は、カンナビジオールと比較して高くなかった。
【0199】
ALL00149は、主にALL00149として、極微量のカンナビジオールとともに皮膚を透過した。ALL00149は、カンナビジオールと比較して流量を1.4倍増大した。ALL00149は、主にALL00149として皮膚中で検出され、カンナビジオールは極微量であった。総皮膚濃度は、カンナビジオールと比較して高かった。ALL00149のラグタイムは、カンナビジオールと比較して低かった。
【0200】
IV.表
【表19】

【0201】
【表20】

【0202】
【表21】

【0203】
【表22】

【0204】
【表23】

【0205】
【表24】

【0206】
【表25】

【0207】
【表26】

【0208】
【表27】

【0209】
【表28】

【0210】
本明細書中で引用される参考文献、例えば出版物、特許出願及び特許はすべて、各参考文献が、個別にかつ特定的に、参照により本明細書中で援用され、その全体がそこに記述されることが示されているのと同様に、これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される。
【0211】
本開示の状況における(特に以下の特許請求の範囲の状況における)「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」ならびに類似の言及の使用は、本明細書中で別記しない限り、あるいは状況により明らかに否定されない限り、単数及び複数の両方を包含するよう意図されるべきである。本明細書に記載される方法はすべて、本明細書中で別記しない限り、あるいは状況により明らかに否定されない限り、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書中で提供される任意の及びすべての例、又は例示的言語(例えば、好ましい、好ましくは)の使用は、単に開示の状況をさらに例示するためのものであって、特許請求の範囲を限定することを主張しない。本明細書中の言語は、本発明の開示の実行に不可欠であるとして任意の非特許請求素子を示すよう意図されるべきではない。
【0212】
特許請求される開示の代替的実施形、例えば特許請求される本発明を実行するために本発明人等に既知である最良の方式が、本明細書に記載される。これらのうち、開示された実施形態の変動は、前記の開示を読めば、当業者に明らかになる。本発明人等は、適切な場合にこのような変動を用いる(例えば、特徴又は実施形態を変えるか又は組合せる)ことを当業者に期待しており、そして本発明人等は、本明細書中に具体的に記載したものと別のやり方で本発明が実行されるよう意図する。
【0213】
したがって、本発明は、適用可能な法律により許されるような、本明細書に添付された特許請求の範囲で列挙される対象のすべての修正及び等価物を包含する。さらに、すべての考え得るその変動における上記の素子の任意の組合せは、本明細書中に別記しない限り、あるいは状況により明らかに否定されない限り、本発明に包含される。
【0214】
個々の数値の使用は、「約」又は「およそ」という語がその値の前に来るように、近似値として記述される。同様に、本出願で特定される種々の範囲の数値は、別記しない限り、記述範囲内の最小及び最大値の前に「約」又は「およそ」という語が来るように、近似値として記述される。このようにして、記述された範囲より上及び下の変動は、その範囲内の値と実質的に同一の結果を達成するために用いられ得る。本明細書中で用いる場合、「約」及び「およそ」という用語は、数値を指す場合、開示された対象物が最も密接に関連する当該技術分野又は問題の範囲又は素子に関連した当該技術分野における当業者に対して明白なかつ普通の意味を有する。厳密な数的境界から広がる量は、多数の因子に依っている。例えば、考えられ得る因子のいくつかは、所定量の変動が特許請求対象物の実施ならびに当業者に既知のその他の考察において有する素子及び/又は作用の臨界性を包含する。本明細書中で用いる場合、異なる数値に関する異なる量の有意の数字の使用は、「約」又は「およそ」という語の使用が特定の数値又は数範囲を広げるのに役立つ方法を限定するものではない。したがって、一般的事柄としての「約」又は「およそ」は、数値を広げる。さらにまた、範囲の開示は、最小及び最大値間のすべての値、+「約」又は「およそ」という用語の使用によりもたらされる範囲の広がりを含めて、連続範囲として意図される。したがって、本明細書中での値の範囲の列挙は、別記しない限り、単に、範囲内の各々の別個の値について独立して言及する簡略方法として役立つよう意図されており、各々の別個の値は、それが本明細書中で独立して記載されるように、本明細書中で援用される。
【0215】
本明細書中に開示されるデータのいずれかにより形成され得るか又はそれに由来する任意の範囲、割合、及び割合の範囲は、本発明の開示のさらなる実施形態を表し、それらが明白に記述され場合と同様に開示の一部として包含される、と理解されるべきである。これは、有限の上限及び/又は下限を含むか又は含まずに形成され得る範囲を含む。したがって、特定の範囲、割合又は割合の範囲に最も密接に関連する当該技術分野の当業者は、このような値が、疑いなく、本明細書中に提示されるデータから得られる、と理解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式:
【化1】

(式中、R1及びR2は、独立して、水素、エステル、カルボネート及びカルバメートから選択され;そして
1及びR2はともには水素ではない)
を有する化合物。
【請求項2】
エステルが酸化エステルである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
酸化エステルが、オキサエステル、ペグ化エステル及びヒドロキシル化エステルからなる群から選択される請求項2記載の化合物。
【請求項4】
エステルが、アルキルエステル、アミノエステル、アルキルアミノ酸エステル、ジアルキルアミノ酸エステル、ギ酸エステル、グリコール酸エステル、乳酸エステル及びヒアルロン酸エステルからなる群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項5】
カルバメートが、酸化カルバメート、オキサカルバメート、ペグ化カルバメート、ヒドロキシル化カルバメート、アルキルカルバメート、アミノカルバメート、アルキルアミノカルバメート、ジアルキルアミノカルバメート、グリコール酸カルバメート、ヒアルロン酸カルバメート及び乳酸カルバメートからなる群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項6】
カルボネートが、酸化カルボネート、オキサカルボネート、ペグ化カルボネート、ヒドロキシル化カルボネート、アルキルカルボネート、アミノカルボネート、アルキルアミノカルボネート、ジアルキルアミノカルボネート、グリコール酸カルボネート、ヒアルロン酸カルボネート及び乳酸カルボネートからなる群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項7】
以下の:
【化2】

【化3】

からなる群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項8】
以下の:
(a)請求項1記載の化合物;及び
(b)医薬的に許容される賦形剤
を含む医薬組成物。
【請求項9】
以下の:
(a)請求項7記載の化合物;及び
(b)医薬的に許容される賦形剤
を含む医薬組成物。
【請求項10】
哺乳類における医学的症状の治療のための医薬の調製のための請求項1記載の化合物の使用であって、医学的症状が、悪心、嘔吐、悪阻、疼痛、消耗症候群、HIV消耗症候群、化学療法誘導性悪心及び嘔吐、アルコール使用障害、筋緊張異常、多発性硬化症、炎症性腸障害、関節炎、皮膚炎、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、抗炎症、抗痙攣、抗精神病、抗酸化剤、神経保護、抗癌、免疫調節作用、末梢性神経障害性疼痛、ヘルペス後神経痛に関連した神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害、帯状疱疹、熱傷、光線性角化症、口腔内糜爛及び潰瘍、会陰切開後疼痛、乾癬、掻痒、接触性皮膚炎、湿疹、水疱性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、剥脱性皮膚炎、菌状息肉腫、天疱瘡、重症型多形性紅斑(例えばスティーブン・ジョンソン症候群)、脂漏性皮膚炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、ライター症候群、通風、軟骨石灰化症、月経困難症に派生する関節痛、繊維筋痛、筋骨格痛、神経障害性術後合併症、多発性筋炎、急性非特異的腱鞘炎、滑液包炎、上顆炎、外傷後骨関節炎、滑膜炎、若年性関節リウマチ及び発毛阻害からなる群から選択される使用。
【請求項11】
哺乳類における医学的症状の治療のための医薬の調製のための請求項7記載の化合物の使用であって、医学的症状が、悪心、嘔吐、悪阻、疼痛、消耗症候群、HIV消耗症候群、化学療法誘導性悪心及び嘔吐、アルコール使用障害、筋緊張異常、多発性硬化症、炎症性腸障害、関節炎、皮膚炎、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、抗炎症、抗痙攣、抗精神病、抗酸化剤、神経保護、抗癌、免疫調節作用、末梢性神経障害性疼痛、ヘルペス後神経痛に関連した神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害、帯状疱疹、熱傷、光線性角化症、口腔内糜爛及び潰瘍、会陰切開後疼痛、乾癬、掻痒、接触性皮膚炎、湿疹、水疱性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、剥脱性皮膚炎、菌状息肉腫、天疱瘡、重症型多形性紅斑(例えばスティーブン・ジョンソン症候群)、脂漏性皮膚炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、ライター症候群、通風、軟骨石灰化症、月経困難症に派生する関節痛、繊維筋痛、筋骨格痛、神経障害性術後合併症、多発性筋炎、急性非特異的腱鞘炎、滑液包炎、上顆炎、外傷後骨関節炎、滑膜炎、若年性関節リウマチ及び発毛阻害からなる群から選択される使用。
【請求項12】
カンナビジオールプロドラッグが経皮的に投与される請求項10記載の化合物の使用。
【請求項13】
カンナビジオールプロドラッグが局所的に投与される請求項10記載の化合物の使用。
【請求項14】
哺乳類への化合物の投与方法であって、以下の:
(a)請求項1記載の化合物を医薬賦形剤と組合せて医薬組成物を形成するステップ;
(b)医薬組成物から哺乳類への投与に適した剤形を作製するステップ;ならびに
(c)哺乳類に剤形を投与するステップ
を包含する方法。
【請求項15】
哺乳類への化合物の投与方法であって、以下の:
(a)請求項7記載の化合物を医薬賦形剤と組合せて医薬組成物を形成するステップ;
(b)医薬組成物から哺乳類への投与に適した剤形を作製するステップ;ならびに
(c)哺乳類に剤形を投与するステップ
を包含する方法。
【請求項16】
化合物が、経皮、局所、経口、頬、舌下、静脈内、筋肉内、膣、直腸、眼、鼻及び小胞からなる群から選択される経路により投与される請求項15記載の方法。
【請求項17】
ヒトの皮膚への適用のための化粧品組成物であって、以下の:
(a)カンナビジオールプロドラッグ;及び
(b)皮膚科学的に許容されるビヒクル
を含む組成物。
【請求項18】
カンナビジオールプロドラッグが、以下の:
【化4】

(式中、R1及びR2は、独立して、水素、グリコール酸エステル、乳酸エステル、ヒアルロン酸エステル、ギ酸エステル、グリコール酸カルバメート、ヒアルロン酸カルバメート及び乳酸カルバメート、グリコール酸カルボネート、ヒアルロン酸カルボネート及び乳酸カルボネートからなる群から選択され;そして
1及びR2はともには水素ではない)
からなる群から選択される請求項17記載の組成物。
【請求項19】
カンナビジオールより低い対数P値を有するカンナビジオールプロドラッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2010−535238(P2010−535238A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520166(P2010−520166)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/071659
【国際公開番号】WO2009/018389
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(510027319)オールトランツ インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】