説明

カンナビノイド受容体アンタゴニスト化合物および抗精神病薬剤の組合せを含有する医薬組成物

本発明は、カンナビノイド受容体アンタゴニスト化合物(ピラゾール誘導体)および抗精神病薬剤の組合せを含有する医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピラゾール系カンナビノイドCB受容体アンタゴニスト化合物および抗精神病薬を組合せで含有する医薬組成物に関する。
【0002】
用語「ピラゾール系カンナビノイドCB受容体アンタゴニスト」は、欧州特許656354に記載されるN−ピペリジノ−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチルピラゾール−3−カルボキサミド(この国際的な一般名はリモナバントである)、および、欧州特許1150961に記載されるN−ピペリジノ−5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチルピラゾール−3−カルボキサミドから選ばれる化合物を意味する。これらの化合物のそれぞれの医薬的に許容される塩または溶媒和物もまた含まれる。
【0003】
用語「抗精神病薬」は、リスペリドン、オランザピン、クロザピン、セルチンドール、ゾチピン、セロクエルなどの化合物を意味する。これらの化合物のそれぞれの医薬的に許容される塩または溶媒和物もまた含まれる。
【0004】
本発明による医薬組成物は、統合失調症に関連した、また、抗精神病薬によるこの処置に関連した体重過多、肥満および代謝性障害(例えば、脂肪および炭水化物の代謝障害など)を防止および処置するために有用である。
【0005】
本発明による医薬組成物は、効果的な用量のピラゾール系カンナビノイドCB受容体アンタゴニストと、抗精神病薬と、同様にまた、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤とを含有する。
【0006】
前記賦形剤は、薬学的形態物および所望される投与様式に従って、当業者に知られている通常の賦形剤から選ばれる。
【0007】
経口投与、舌下投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、局所投与、局部投与、気管内投与、鼻腔内投与、経皮投与または直腸投与のための本発明の医薬組成物において、有効成分は、標準的な医薬用賦形剤との混合物としての単位投与形態物で、上記の障害または疾患を防止または処置するために動物およびヒトに投与することができる。
【0008】
適切な単位投与形態物には、経口用の形態物(例えば、錠剤、ソフトゲルカプセルまたはハードゲルカプセル、粉末剤、顆粒、および、経口用の溶液または懸濁物など)、舌下投与、口内投与、気管内投与、眼内投与、鼻腔内投与または吸入投与のための形態物、局所投与、経皮投与、皮下投与、筋肉内投与または静脈内投与のための形態物、直腸投与のための形態物、および、インプラントが含まれる。局所適用のために、本発明による化合物は、クリーム、ゲル、軟膏またはローションで使用することができる。
【0009】
最も具体的には、本発明の主題は、リモナバントおよびN−ピペリジノ−5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチルピラゾール−3−カルボキサミド、または、この医薬的に許容される塩またはこの溶媒和物から選ばれるピラゾール系カンナビノイドCB受容体アンタゴニストと、抗精神病薬と、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤とを組合せで含有する医薬組成物である。本発明の主題は具体的には、リモナバントまたはN−ピペリジノ−5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチルピラゾール−3−カルボキサミド、または、この医薬的に許容される塩またはこの溶媒和物と、リスペリドン、オランザピン、クロザピン、セルチンドール、ゾチピンおよびセロクエル、または、この医薬的に許容される塩またはこの溶媒和物から選ばれる抗精神病薬とを組合せで含有する医薬組成物である。
【0010】
より具体的には、本発明の主題は、リモナバントと、リスペリドンと、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤とを組合せで含有する医薬組成物である。
【0011】
本発明の別の態様によれば、ピラゾール系カンナビノイド受容体アンタゴニストおよび組み合わされた抗精神病薬は、同時に、別々に、または逐次的に投与することができる。
【0012】
用語「同時での使用」は、同じ薬学的形態物に含まれる本発明による組成物の化合物の投与を意味する。
【0013】
用語「別々での使用」は、それぞれが別個の薬学的形態物に含まれる本発明による組成物の2つの化合物の同時での投与を意味する。
【0014】
用語「逐次的な使用」は、1つの薬学的形態物に含まれる本発明による組成物の第1の化合物の投与、その後、別個の薬学的形態物に含まれる本発明による組成物の第2の化合物の投与が連続していることを意味する。
【0015】
この「逐次的な使用」の場合、本発明による組成物の第1の化合物の投与と、本発明による同じ組成物の第2の化合物の投与との間の間隔は、一般には24時間を超えない。これらの化合物のうちのどちらかが、例えば、毎週の投与を可能にする薬学的形態物で提供されるならば、この間隔はより長くすることができる。
【0016】
本発明による組成物の構成化合物の一方のみ、または、上記で記載された様々なタイプの使用において使用され得る2つの化合物の組合せのいずれかを含有する薬学的形態物は、例えば、経口投与、鼻腔投与、非経口投与または経皮投与のために好適であり得る。
【0017】
同様に、「別々での使用」および「逐次的な使用」の場合、2つの別個の薬学的形態物は、同じ投与経路のために、または、異なる投与経路(経口投与および経皮投与、または、経口投与および鼻腔投与、または、非経口投与および経皮投与、など)のために意図され得る。
【0018】
従って、本発明はまた、ピラゾール系カンナビノイドCB受容体アンタゴニストおよび抗精神病薬を含有するキットに関し、この場合、前記ピラゾール系カンナビノイドCB受容体アンタゴニストおよび前記抗精神病薬は別個の区画にあり、同一または異なる包装であり、同時に、別々に、または逐次的に投与されるために意図される。
【実施例1】
【0019】
リスペリドンによる処置によって誘導される体重増加に対するリモナバントの影響。
【0020】
メスのWistarラット(富脂肪食が処置前の3日間および処置期間中に与えられる)が使用される。
【0021】
15匹の動物からなる群には、毎日、下記が与えられる。
・群1:リスペリドン(0.3mg/kg、i.p.)およびビヒクル(p.o.);
・群2:リスペリドン(0.3mg/kg、i.p.)およびリモナバント(1mg/kg、p.o.);
・群3:2つのビヒクル(i.p.およびp.o.)。
【0022】
処置の9日目に、9日間の処置での累積体重増加と、9日目での餌消費とを測定する。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
1mg/kgでのリモナバントおよび0.3mg/kgでのリスペリドンの組合せは、リスペリドンによる処置によって誘導される体重の増大を防止することが認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモナバントおよびN−ピペリジノ−5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチルピラゾール−3−カルボキサミドから選ばれるピラゾール系カンナビノイドCB受容体アンタゴニストおよび抗精神病薬とおよび少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤とを組合せで含有する医薬組成物。
【請求項2】
抗精神病薬が、リスペリドン、オランザピン、クロザピン、セルチンドール、ゾチピンおよびセロクエル、または、この医薬的に許容される塩またはこの溶媒和物から選ばれる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
リモナバントおよびリスペリドンを組合せで含有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
リモナバントおよびN−ピペリジノ−5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチルピラゾール−3−カルボキサミド、または、この医薬的に許容される塩またはこの溶媒和物から選ばれるピラゾール系カンナビノイドCB受容体アンタゴニストおよびリスペリドン、オランザピン、クロザピン、セルチンドール、ゾチピンおよびセロクエル、または、この医薬的に許容される塩またはこの溶媒和物から選ばれる抗精神病薬とを含有するキットであって、カンナビノイドCB受容体アンタゴニストおよび抗精神病薬が別個の区画にあり、および同一または異なる包装であり、並びに同時に、別々に、または逐次的に投与されることが意図される、キット。

【公表番号】特表2008−533110(P2008−533110A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501356(P2008−501356)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000532
【国際公開番号】WO2006/097605
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】