説明

カンナビノイド受容体モジュレーター

式(I)の化合物は、カンナビノイド受容体CB1のモジュレーターであり、特に肥満の治療のために有用である:


(式中、Xは、結合手、又は-C(R10)(R11)-*、-C(R10)(R11)-O-*、-C(R10)(R11)CH2-*、-C(R10)(R11)CH2-O-*、-CH2C(R10)(R11)-*、-CH2C(R10)(R11)-O-*、及び-CH2-O-C(R10)(R11)-*から選択される二価の基(式中、アスタリスクを付した結合手は、ピラゾール環に結合する)であり;Zは、特定の群から選択されるカルボキシルに等価な基であり;R3は、水素、(C1〜C3)アルキル、又は(C1〜C3)フルオロアルキルであり;R4は、式-(Alk1)p-(Q1)r-(L)s-Q2の基(式中、p、r、s、Alk1、L、Q1及びQ2は、特定のものであるか;或いはR3及びR4は、それらが結合する窒素と一緒になって、式-(L)s-Q2(式中、s、L及びQ2は、上記で定義したとおりである)の基により、或いはヒドロキシ、メトキシ、-NH2-、又はモノ-若しくはジ-(C1〜C3)アルキルアミノから選択される任意の置換基により任意に置換されていてもよい4〜7環原子を有する環状アミノ環を形成し;R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素、-F、-Cl、-Br、-CN、(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)フルオロアルキル、シクロプロピル、及び-OR9から選択され;R10は、水素、(C1〜C3)アルキル、ヒドロキシル若しくはNH2であり、及びR11は、水素若しくは(C1〜C3)アルキルであるか;又はR10及びR11は、それらが結合する炭素原子と一緒に、(C3〜C5)シクロアルキル環を形成する)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンナビノイド受容体CB1のモジュレーターであり、この受容体の正常なシグナル伝達活性を抑制する化合物に関する。本発明は、更に、CB1受容体シグナル伝達活性により媒介される疾患又は状態の治療、例えば肥満及び過体重の治療、体重増加の防止、肥満及び過体重に直接又は間接的に関連する疾患及び状態の治療、例えばメタボリックシンドローム、2型糖尿病、心血管疾患、過肥、過体重若しくは正常体重(normoweight)の個体における代謝不全、代謝疾患若しくは障害、癌、肝疾患及び以下に述べるその他の二次疾患の治療、並びに肥満及び過体重には必ずしも関連しないいくつかの障害の治療、例えば摂食障害、嗜癖障害(addictive disorders)、精神障害、神経障害、性的機能不全、生殖機能不全、肝疾患、線維症関連疾患及び以下に記載する他の臨床上徴候の治療のための、上記の化合物を用いる組成物及び方法に関する。本発明は、本発明の化合物を含有する医薬組成物、及びこのような障害のために、他の治療との組合せで該化合物を用いることにも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
北米及びほとんどの欧州の国々での肥満の罹患率は、最近20年間で2倍以上になり、成人人口の半分以上が現在、過体重又は過肥である。肥満は、現在では、慢性疾患であり、重要な世界的健康問題であると認識されている(Fiegalら,1998,Int.J.Obesity 22:39-47,Mokdadら,1999,JAMA 282:1519-1522;Halford,2006,Appetite,46,6-10)。肥満の「確認し得る徴候及び症状」は、脂肪又は脂肪組織の過剰な蓄積、脂肪細胞のサイズ又は数の増加(脂肪細胞の分化)、インスリン耐性、グルコースレベルの増加(高血糖)、血圧増加、コレステロール及びトリグリセリドのレベルの上昇、並びに高比重リポタンパクレベルの減少を含む。肥満は、2型糖尿病、冠動脈性心疾患、卒中、高血圧、種々の癌及び多くの他の主要な病気についての著しく上昇した危険性、並びに全ての原因による全体的な死亡率に関連する(Mustら,1999,JAMA 282:1523-1529,Calleら,1999,N.Engl.J.Med.341:1097-1105)。心血管疾患及び2型糖尿病についての代謝危険因子の群は、しばしば、メタボリックシンドローム、シンドロームX又はインスリン耐性シンドロームとよばれる。メタボリックシンドロームXの主な構成要素は、過剰な腹部脂肪(内臓男性型又はリンゴ型脂肪症としても知られる)、アテローム性脂質代謝異常(高比重リポタンパクコレステロール(HDL-C)の減少、トリグリセリドの上昇)、高血圧、高血糖(2型糖尿病、又は空腹時血糖異常、耐糖能障害若しくはインスリン抵抗性)、炎症誘発性状態、及び血栓形成促進性状態(AHA/NHLBI/ADA Conference Proceedings,Circulation 2004;109:551-556を参照)を含む。メタボリックシンドロームに関連する他の異常は、しばしば、アポリポタンパクB濃度の増加、低アディポネクチン血漿レベル、小型高密度低比重リポタンパク(LDL)粒子、高尿酸血症、非アルコール性脂肪性肝炎/脂肪肝、肝トランスアミナーゼの上昇、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ及び微量アルブミン尿症を含む。
【0003】
肥満と同様に、糖尿病のような肥満関連疾患の罹患率も、上昇し続けている。体重減少が、過肥の患者には重要である。なぜなら、これは、心血管及び代謝の値を改善して、肥満に関連する罹病率及び死亡率を減少させ得るからである(Blackburn,1999,Am.J.Clin.Nujtr.69:347-349,Galuskaら,1999,JAMA 282:1576)。体重の5〜10%の減少は、空腹時及び食後の血糖、HbA1c(グリコシル化ヘモグロビン)、インスリン、全血漿コレステロール、低比重リポタンパク(LDL)、トリグリセリド、尿酸及び血圧のレベルのような代謝パラメータを実質的に改善でき、糖尿病、癌及び心血管疾患の発生の危険性を低減できる(Goldstein,1992,J.Obesity,6,397-415)。
【0004】
よって、肥満及び肥満関連障害の治療の第一の目的は、体重減少である。最初に、治療は、薬理療法を用いる療法により増強された食餌及び生活習慣の変更に基づく。しかし、運動及び食餌によるカロリー摂取の低減は過肥の状態を改善できるが、この治療の遵守率は、定着した生活習慣及び過剰な食品(特に高脂質含有食品)消費のために、非常に悪い。更に、体重減少を促進するための利用可能な薬理療法での治療は、副作用の経験、禁忌又は肯定的な応答がないため、多くの過肥患者に適切な利益を与えることができていない。よって、肥満の管理のための新しい代替の治療を開発することが望まれている。
【0005】
いくつかの潜在的な抗肥満剤が、現在、研究されている(概説として、Bays,2004,Obesity Research,12,1197-1211を参照)。例えば、以下のものである。
i)神経伝達物質又は神経イオンチャネルに影響する中枢神経系作用剤(例えば抗うつ剤(ブプロピオン)、ノルアドレナリン再取込阻害剤(GW320659)、選択的5HT 2c受容体アゴニスト、抗痙攣剤(トピラメート、ゾニサミド)、いくつかのドーパミンアンタゴニスト、カンナビノイドCB-1受容体アンタゴニスト(リモナバン);
【0006】
ii)レプチン/インスリン/中枢神経系経路作用剤(例えばレプチンアナログ、レプチン輸送及び/又は受容体プロモーター、CNTF(アクソカイン)、NPYアンタゴニスト、AgRPアンタゴニスト、POMCプロモーター、CARTプロモーター、MSHアナログ、MC4受容体アゴニスト、インスリン代謝/活性に影響する薬剤[PTP-1B阻害剤、PPAR受容体アンタゴニスト、短時間作用型D2アゴニスト(エルゴセット)、ソマトスタチンアゴニスト(オクトレオチド)、及びアディポネクチン/Acrp30(ファモシキシン、すなわち脂肪酸代謝酸化誘導剤(Fatty Acid Metabolic OXidation INducer))]);
iii)胃腸-神経経路作用剤(例えば、CCK及びPYY活性を増大させる薬剤、GLP-1活性を増大させる薬剤(エクステンディン4、リラグルチド、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤)、グレリン活性を減少させる薬剤、アミリン(プラムリニチド)、ニューロペプチドYアゴニスト);
【0007】
iv)安静代謝率を増加させ得る薬剤(ベータ-3アゴニスト、UCPホモログ、甲状腺受容体アゴニスト);並びに
v)他のより多様な薬剤、例えば(MCH)メラニン凝集ホルモンアンタゴニスト、フィトスタノールアナログ、機能性油、P57、アミラーゼ阻害剤、成長ホルモンフラグメント、DHEASの合成アナログ(フルアステロン)、脂肪細胞11ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型活性のアンタゴニスト、CRHアゴニスト、カルボキシペプチダーゼ阻害剤、脂肪酸合成の阻害剤(セルレニン及びC75)、インダノン/インダノール、アミノステロール(トロズスクエミン(trodusquemine))、及びその他の胃腸リパーゼ阻害剤(ATL962)。
【0008】
肥満治療に有効な薬は、次のような種々の機構により作用し得る:食物摂取の低減(例えば、満腹又は満腹シグナルの誘発による)、代謝の変更(例えば、栄養分吸収の改変(例えば脂質吸収の阻害)による)、エネルギー消費の増加(例えば、熱産生の増加)、脂質生成の阻害又は脂肪細胞のアポトーシス刺激。しかし、肥満治療に利用可能な薬は僅かである(概説として、Gadde及びAllison,2006,Circulation,114,974-984;Weigle,2003,J Clin Endocrinol Metab.,88,2462-2469;Schioth,2006,CNS Neurol.Disorders Drug Targets,5,241-249を参照)。シブトラミンは、セロトニンとノルエピネフリンシナプス前再取込との中枢作用性混合阻害剤である。オルリスタットは、腸での脂質吸収を低減する胃腸リパーゼ阻害剤である。リモナバン(SR141716、アコンプリア(Acomplia、登録商標))は、肥満治療用に最近承認された中枢及び末梢作用性カンナビノイドCB1モジュレーターである(アンタゴニスト及びインバースアゴニスト)(概説として、Pagottoら,2006,Endocrine Reviews,27,73-100を参照;第III相臨床試験の報告についてDespresら,2005,N.Engl.J.Med.353,212;van Gaalら,2005,Lancet,16,1389;Pi-Sunyerら,2006,JAMA,295,761を参照)。
【0009】
現在、2つのカンナビノイド受容体が特徴決定されている:CB1、哺乳動物の脳及び末梢組織の多くの部位で見出される受容体;及びCB2、免疫系に関連する細胞で主に見出される末梢受容体。カンナビノイドCB1及びCB2受容体モジュレーターについての概説は、Pertwee,2000,Exp.Opin.Invest.Drugs,9,1553-1571及びMuccioli,2005,Cur.Med.Chem.,12,1361-1394を参照。相当な数の証拠が、CB1アンタゴニスト(例えばリモナバン)はエネルギーホメオスタシスをモジュレートできることやCB1アンタゴニストが食物摂取をモジュレートし、脂質生成プロセスを末梢で遮断することができることを示している(Pagottoら,2006,Endocrine Reviews,27,73-100;Tucciら,2006,Curr.Med.Chem.13,2669-2680;Lange及びKruse,2004,Current Opinion in Drug Discovery & Dev.,7,498-506)。CB1アンタゴニストの末梢効果は、いくつかの標的器官及び機構により媒介され得る:例えば、i)肝臓:デノボ脂質生成の遮断、ii)筋肉:グルコース取込の増大、iii)脂肪組織:アディポネクチンの発現及び/又は分泌の刺激、脂質生成酵素の阻害、GLUT4の刺激、無益回路の作製、iv)膵臓:インスリン調節、及びv)胃腸管:満腹シグナルの刺激。
【0010】
リモナバン(アコンプリア(登録商標))は、肥満治療用に食餌及び運動の補助剤として承認されている。体重及び代謝パラメータ(血漿トリグリセリドレベル、HDLコレステロールレベル、血漿インスリンレベル、HbA1c[グリコシル化ヘモグロビン]レベル、インスリン抵抗性及びアディポネクチンレベル)に対する効果は非常に有望である一方で、望ましくない副作用、おそらく中枢媒介性の副作用(精神障害及び神経系障害)、例えば不安、抑うつ障害、睡眠障害、悪心及び嘔吐もある(http://emc.medicines.org.uk;http://www.emea.europa.eu/humandocs/PDFs/EPAR/acomplia/AcompliaEparScientificD-en.pdfを参照)。よって、異なる薬物動態プロフィール、薬理プロフィール及び副作用プロフィールに関連する代替のCB1受容体アンタゴニストに対する必要性がある。
【0011】
CB1受容体は多くの疾患状態において引き合いに出されてきた(Pacherら,2006,Pharmacol.Rev,58,389-462による概説を参照)。CB1受容体活性のモジュレーターは、肥満及び過体重のようなCB1受容体調節に関連する疾患及び状態の治療、(例えば、投薬又は禁煙により誘発される)体重増加の防止、並びに以下のような肥満に直接又は間接的に関連する疾患及び状態の治療に有用であり得る(Bray,2004,J.Clin.Endocrinol.Metab.89,2583-9;Mansonら,1995,N.Engl.J.Med.333,677-85;Grundy,2004,J.Clin.Endocrinol.Metab.89,2595-600;Espositoら,2004,JAMA 291;2978-84;Ejerbladら,2006;J.Am.Soc.Nephrol.17,695-702;Whitmerら,2005,BMJ 330 (7504),1360を参照):
【0012】
−メタボリックシンドローム、シンドロームX又はインスリン抵抗性シンドロームともよばれる、
−2型糖尿病、
−心血管疾患(例えば動脈瘤、口峡炎、不整脈、アテローム性動脈硬化症、心筋症、脳血管発作(卒中)、脳血管障害、先天性心疾患、うっ血性心不全、心筋炎、弁疾患、冠動脈疾患、拡張型心筋症、拡張期機能不全、心内膜炎、高い血圧(高血圧)、肥大性心筋症及び関連の不整脈とめまい、僧帽弁逸脱症候群、心筋梗塞(心臓発作)、静脈血栓塞栓症、静脈瘤及び肺塞栓、炎症誘発性状態、血栓症傾向の増加(血栓形成促進状態)、並びに頭蓋内圧亢進、
【0013】
−過肥、過体重又は正常体重の個体における代謝不全(例えば、脂質代謝異常、高脂血症、低HDL及び/又は高LDLコレステロールレベル、高トリグリセリド血症、低アディポネクチンレベル、耐糖能障害、インスリン抵抗性、HbA1c[グリコシル化ヘモグロビン]レベルの増加、真性糖尿病、2型糖尿病、代謝活性の低下)、
−代謝疾患又は障害(逸脱がある状態又は異常代謝プロセスにより引き起こされる状態;遺伝性の酵素異常による先天性でもあり得、内分泌器官の疾患又は代謝上重要な器官(例えば肝臓)の不全による後天性でもあり得る)、
−癌(例えば結腸直腸癌、乳癌、子宮癌、結腸癌)、
【0014】
−肝疾患(例えば、非アルコール性脂肪肝疾患、脂肪肝炎、脂肪症、肝線維症、肝硬変)、並びに
−肥満及び過体重に関連する他の二次疾患、例えば月経障害、胃食道逆流症、胆石症(胆石)、ヘルニア、尿失禁、慢性腎不全、性機能低下(男性)、死産、伸展裂創、黒色表皮腫、リンパ浮腫、蜂巣炎、カルブンケル、間擦疹、尿酸過剰血症、不動症、骨関節炎、腰痛、知覚異常性大腿神経痛、頭痛、手根管圧迫症候群、認知症、特発性呼吸困難、妨害性睡眠時無呼吸、低換気症候群、ピックウィック症候群、喘息、うつ、低自己評価、身体異形障害、社会的不名誉。
【0015】
CB1受容体は、以下のような、肥満及び過体重に必ずしも関連しない多くの疾患及び状態において引き合いに出されてきた:
−摂食障害、
−嗜癖障害(例えば、マリファナ、覚醒剤、ニコチン、アルコール、コカイン及びオピエートの嗜癖)、
−精神障害(例えば、統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害、不安、パニック障害)、
−神経障害、
【0016】
−性的機能不全(例えば勃起障害)、
−生殖機能不全(例えば、多嚢胞卵巣、不妊症)、
−肝疾患(例えば、ウイルス性肝炎、他の感染性疾患における肝不全、炎症性肝疾患(例えば自己免疫肝炎)、アルコール性肝疾患、中毒性肝疾患、肝腫瘍(例えば、肝細胞癌、原発性肝細胞癌、肝癌、胆管癌、肝芽腫、肝臓の血管肉腫、クッパー星細胞肉腫、肝臓の他の肉腫)、脂肪肝炎、非アルコール性脂肪肝疾患、肝線維症、肝硬変、硬変門脈圧亢進、代謝性肝疾患(例えば、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、ギルバート症候群、クリグラー-ナジャー症候群、デュビン-ジョンソン症候群、ローター症候群))、
【0017】
−線維症関連疾患(例えば、膵臓及び肺の嚢胞性線維症、心内膜心筋線維症、特発性心筋症、特発性肺線維症、びまん性実質性肺疾患、縦隔線維症、骨髄線維症、精管切除後疼痛症候群、後腹膜線維症、進行性塊状線維症、増殖性線維症、腫瘍性線維症、鎌状赤血球貧血は脾臓の肥大及び最終的には線維症を引き起こし得る)、
−他の臨床上の徴候、例えば癲癇、骨粗鬆症、関節リウマチ、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎(UC)及びクローン病(CD)、うっ血性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症、炎症性疼痛、アテローム性動脈硬化症、下痢、喘息、便秘、皮膚疾患、緑内障及び毛髪損失。
【0018】
肥満は、以下の系を含む種々の身体の系が関与する同時罹患を導くか又は同時罹患の危険を著しく増大させる(Bays,2004,Obesity Research,12,1197-1211を参照)ので、このような疾患の治療に用いられる薬物とCB1モジュレーターを組み合わせることも有用である:
i)心血管系(高血圧、うっ血性心筋症、静脈瘤、肺塞栓、冠動脈性心疾患[CHD]、神経学的系(卒中、特発性頭蓋内圧亢進、知覚異常性大腿神経痛)、
ii)呼吸器系(呼吸困難、閉塞性睡眠時無呼吸、低換気症候群、ピックウィック症候群、喘息)、
iii)筋骨格系(不動症、変性性骨関節炎、腰痛)、
iv)皮膚系(皮膚裂線又は「伸展裂創」、下肢の静脈うっ血、リンパ浮腫、蜂巣炎、間擦疹、カルブンケル、黒色表皮腫、懸垂線維腫)、
v)胃腸系(胃食道逆流症、非アルコール性脂肪肝/脂肪肝炎、胆石症、ヘルニア、結腸癌)、
【0019】
vi)尿生殖器系(ストレス性失禁、肥満関連糸球体症、乳癌及び子宮癌)、
vii)精神系(うつ及び低自己評価、クオリティ・オブ・ライフの低下)、並びに
viii)内分泌系(メタボリックシンドローム、2型糖尿病、脂質代謝異常、女性のアンドロゲン過剰症、多嚢胞卵巣、月経困難症、不妊症、妊娠合併症、男性性機能低下)。
肥満に関連しない疾患、例えば摂食障害、嗜癖障害、精神障害、神経障害、性的機能不全、生殖機能不全、肝疾患、線維症関連疾患、及び肥満に関連しない他の臨床上の徴候の治療に用いられる薬物とCB1モジュレーターを組み合わせることも有用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
発明の簡単な説明
本発明は、カンナビノイド受容体CB1の活性をモジュレートするピラゾール化合物のクラスを入手可能にする。以下の刊行物がCB1モジュレーション活性を有する他のピラゾール化合物に関する:
WO1997021682、WO1997019063、WO2000046209、WO2001058869、WO200129007、WO2003088968、WO2003020217、WO2004052864、WO2005080343、WO2006067443、WO2006087480、WO2006133926、EP00576357、EP00658546、US20030199536、US20040119972、US20040192667、US20050261281、US20050624941、US2006028084、US20060509367、J.Med.Chem.1999 42,769-776、Biochem.Pharmacol,2000,60,1315-1323、J.Med.Chem.2003,46,642-645、Bioorg & Med.Chem.Lett.2004,14,2393-2395、Current Med.Chem.2005,12,1361-1394。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本明細書に記載されるように、本発明の化合物は、肥満及び過体重の治療、体重増加の予防、並びにCB1受容体の正常なシグナル伝達活性の抑制により利益を受ける上記の疾患及び状態の治療に有用である。上記のように、このような疾患及び状態は、肥満及び過体重、並びに肥満及び過体重に直接又は間接的に関連するもの(例えばメタボリックシンドローム、2型糖尿病、心血管疾患、代謝性障害、癌、肝疾患及び他の二次疾患)、並びに肥満には関連しないであろういくつかの疾患(例えば、摂食障害、嗜癖障害、精神障害、神経障害、性的機能不全、生殖機能不全、肝疾患、線維症関連疾患及びその他の臨床上の徴候)を含む。これらは、哺乳動物の体重及びエネルギー消費をモジュレートするため、メタボリックシンドロームに関わる血漿パラメータ、例えば低HDL及び/又は高LDLコレステロールレベル及び/又は小型高密度LDL粒子、高トリグリセリドレベル、低アディポネクチンレベル及び高HbA1c[グリコシル化ヘモグロビン]レベルをモジュレートするため、メタボリックシンドロームの他の特徴、例えば耐糖能障害、インスリン抵抗性、腹部内及び周囲の過剰脂肪組織、非アルコール性脂肪肝疾患、脂肪肝炎、脂肪症、肝線維症、肝硬変、肝腫瘍、代謝性肝疾患及び高い血圧をモジュレートするために有用である。
【0022】
本発明の化合物は、多様な物理化学的特性を示し、末梢CB1受容体及び種々の程度で中枢CB1受容体をモジュレートするために有用である。中枢のCB1受容体に対する作用が低い本発明の化合物は、精神的及び神経系の副作用を誘発する傾向が低いと考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本発明によれば、式(I)の化合物又はその塩、水和物、溶媒和物若しくはN-オキサイドが提供される:
【化1】

【0024】
(式中、
Xは、結合手、又は-C(R10)(R11)-*、-C(R10)(R11)-O-*、-C(R10)(R11)CH2-*、-C(R10)(R11)CH2-O-*、-CH2C(R10)(R11)-*、-CH2C(R10)(R11)-O-*及び-CH2-O-C(R10)(R11)-*から選択される二価基(式中、アスタリスクを付した結合手がピラゾール環に結合する)であり;
【0025】
Zは、以下の式(1)〜(26):
【化2】

(式中、Rは、C1〜C6アルキル;R5で環置換されていてもよいフェニル若しくはベンジル;又は3〜6の環原子を有する単環式非芳香族炭素環である)の基からなる群より選択される基であり;
【0026】
R3は、水素、(C1〜C3)アルキル又は(C1〜C3)フルオロアルキルであり;
R4は、式-(Alk1)p-(Q1)r-(L)s-Q2の基
(式中、
p、r及びsは、独立して0又は1であるが、但し、p、r及びsのうちの少なくとも1つは1であり;
Alk1は、(a)1つの炭素で、R10及び/又はR11により或いは1又は2個の任意置換基により置換されていてもよく、及び/又は(b)-O-、-S-、-CO-、-SO-、-SO2-若しくは-NR9-結合を含んでいてもよい、二価の(C1〜C4)アルキレン基であり;
Lは、いずれの向きでの式-(Alk2)n-(W)m-の二価基
(式中、
n及びmは、独立して0又は1であり;
Alk2は、-C(R10)(R11)-であり;そして
Wは、-CO-、-SO2-、-O-、-NR9-又は-SO-であるが;但し、W及び/又はAlk2がヘテロ原子に結合しているとき、Wは-O-でも-NR9-でも-SO-でもない)であり;
Q1は、3〜6の環原子を有する単環式炭素環、7〜10の環原子を有する二環式炭素環系、4〜6の環原子を有する単環式複素環又は8〜10の環原子を有する二環式複素環系であり、前記環又は環系はいずれも置換されていてもよく;
Q2は、(a)-(L)s-Q2中のsが0又は1である場合、3〜6の環原子を有する単環式炭素環、7〜10の環原子を有する二環式炭素環系、4〜6の環原子を有する単環式複素環若しくは8〜10の環原子を有する二環式炭素環系であり、前記環又は環系はいずれも置換されていてもよく;又は(b)-(L)s-Q2中のsが0である場合のみ、水素である)であるか;
【0027】
或いはR3及びR4は、それらが結合する窒素と一緒になって、式-(L)s-Q2(式中、s、L及びQ2は、上記で定義したとおりである)により、或いはヒドロキシ、メトキシ、-NH2-又はモノ-若しくはジ-(C1〜C3)アルキルアミノから選択される任意置換基により置換されていてもよい4〜7の環原子を有する環状アミノ環を形成し;
【0028】
R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素、-F、-Cl、-Br、-CN、(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)フルオロアルキル、シクロプロピル及び-OR9から選択され;
R9は、水素、(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)フルオロアルキル又は(C3〜C6)シクロアルキルであり;そして
R10は、水素、(C1〜C3)アルキル、ヒドロキシル又はNH2であり、R11は、水素又は(C1〜C3)アルキルであるか;或いはR10及びR11は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、(C3〜C5)シクロアルキル環を形成する)。
【0029】
本発明の別の観点は、式(I)の化合物又はその塩、水和物、溶媒和物若しくはN-オキサイドを、1種又は複数種の医薬的に許容される担体又は賦形剤とともに含む医薬組成物である。
【0030】
本発明に係る化合物は、カンナビノイド受容体CB1の正常なシグナル伝達活性を抑制する。よって、本発明の更なる観点として以下が挙げられる:
(i)式(I)の化合物又はその塩、水和物、溶媒和物若しくはN-オキサイドの、CB1受容体シグナル伝達活性により媒介される疾患又は状態の治療用組成物の製造における使用。疾患の例は上記のとおりである;
(ii)CB1受容体シグナル伝達活性により媒介される疾患又は状態に罹患した対象に、有効量の式(I)の化合物又はその塩、水和物、溶媒和物若しくはN-オキサイドを投与することを含む前記疾患又は状態の治療方法。ここでも、治療の例は上記のとおりである。
【0031】
用語
本明細書で用いる場合、用語「(Ca〜Cb)アルキル」(ここで、a及びbは整数である)とは、a〜b個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基をいう。よって、例えばaが1でありbが6である場合、この用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル及びn-ヘキシルを含む。
本明細書で用いる場合、用語「二価(Ca〜Cb)アルキレン基」(ここで、a及びbは整数である)とは、a〜b個の炭素原子及び2つの遊離原子価(unsatisfied valences)を有する直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素鎖をいう。
【0032】
本明細書で用いる場合、非限定的用語「炭素環式」とは、全てが炭素である16個までの環原子を有する単環式、二環式又は三環式の基をいい、アリール及びシクロアルキルを含む。
本明細書で用いる場合、非限定的用語「シクロアルキル」とは、3〜8個の炭素原子を有する単環式飽和炭素環基をいい、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルを含む。
本明細書で用いる場合、非限定的用語「アリール」とは、単環式、二環式又は三環式の芳香族炭素環基をいい、共有結合により直接連結された2つの単環式芳香族炭素環式環を有する基を含む。この基の例はフェニル、ビフェニル及びナフチルである。
【0033】
本明細書で用いる場合、非限定的用語「ヘテロアリール」とは、S、N及びOから選択される1又は複数のヘテロ原子を含む単環式、二環式又は三環式の芳香族基をいい、単環式環を2つ有する基、又は1つの単環式環と1つの単環式アリール環とが共有結合により直接連結された基を含む。この基の例は、チエニル、ベンズチエニル、フリル、ベンズフリル、ピロリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、ベンズオキサゾリル、イソキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンズトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、インドリル及びインダゾリルである。
【0034】
本明細書で用いる場合、非限定的用語「ヘテロシクリル」又は「複素環式」とは、上記で定義される「ヘテロアリール」を含み、加えて、S、N及びOから選択される1又は複数のヘテロ原子を含む単環式、二環式又は三環式の非芳香族基、及び1又は複数の前記へテロ原子を含む単環式の非芳香族基が別の同じような基又は単環式炭素環基に共有結合したものからなる基も意味する。この基の例は、ピロリル、フラニル、チエニル、ピペリジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリジニル、ピリミジニル、モルホリニル、ピペラジニル、インドリル、モルホリニル、ベンズフラニル、ピラニル、イソキサゾリル、ベンズイミダゾリル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、マレイミド及びスクシンイミド基である。
【0035】
文脈中で特に明記しない限り、本明細書でいずれの成分にも適用される用語「置換」は、4つまでの適合性の置換基での置換を意味する。この適合性の置換基の各々は、独立して、例えば(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、メルカプト、メルカプト(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルキルチオ、ハロ(フルオロ、ブロモ及びクロロを含む)、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルチオのような完全又は部分的にフッ素化された(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)アルコキシ又は(C1〜C3)アルキルチオ、ニトロ、ニトリル(-CN)、オキソ、フェニル、フェノキシ、5若しくは6環原子の単環式のヘテロアリール又はヘテロアリールオキシ、テトラゾリル、-COORA、-CORA、-OCORA、-SO2RA、-CONRARB、-SO2NRARB、-NRARB、-OCONRARB、-NRBCORA、-NRBCOORA、-NRBSO2ORA、又は-NRACONRARB(ここで、RA及びRBは独立して水素又は(C1〜C6)アルキル基であるか、或いはRA及びRBが同じN原子に結合する場合、RA及びRBはその窒素と一緒になって、環状アミノ環(例えばモルホリン、ピペリジニル又はピペラジニル環)を形成してもよい)であり得る。置換基がフェニル、フェノキシ又は5若しくは6環原子の単環式のヘテロアリール若しくはヘテロアリールオキシである場合、そのフェニル又はヘテロアリール環自体は、フェニル、フェノキシ、ヘテロアリール又はヘテロアリールオキシ以外の上記の置換基のいずれかで置換されていてもよい。「任意置換基」は、上記の置換基の1つであり得る。
【0036】
本明細書で用いる場合、用語「塩」は、塩基付加塩、酸付加塩及び第四級塩を含む。酸性の本発明の化合物は、塩(医薬的に許容される塩を含む)を、アルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば水酸化カルシウム、水酸化バリウム及び水酸化マグネシウム)のような塩基と;例えばN-メチル-D-グルカミン、コリントリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、L-アルギニン、L-リジン、N-エチルピペリジン、ジベンジルアミンのような有機塩基と形成することができる。塩基性の化合物(I)は、塩(医薬的に許容される塩を含む)を、無機酸、例えばハロゲン化水素酸(例えば塩化水素酸又は臭化水素酸)、硫酸、硝酸又はリン酸などと;有機酸、例えば酢酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、グルタミン酸、乳酸及びマンデル酸などと形成することができる。
適切な塩についての概説は、Stahl及びWermuthによるHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties, Selection, and Use (Wiley-VCH,Weinheim,Germany,2002)を参照。
【0037】
用語「溶媒和物」は、本明細書において、本発明の化合物と、化学量論的量の1種又は複数種の医薬的に許容される溶媒分子、例えばエタノールとを含む分子複合体を記述するために用いられる。用語「水和物」は、溶媒が水である場合に用いられる。
【0038】
不斉原子又は回転制限の存在により1又は複数種の立体異性体の形で存在し得る本発明に係る化合物は、各キラル中心でR又はSの空間的配置を有するいくつかの立体異性体として、又は各キラル軸でR又はSの空間的配置を有するアトロプ異性体として存在することができる。本発明は、このような鏡像異性体及びジアステレオマー並びにその混合物を全て含む。
【0039】
本発明の化合物は、上記の式(I)の化合物(全ての多形及び晶癖、以下で定義されるプロドラッグ及び異性体(光学異性体、幾何異性体及び互変異性体を含む)を含む)、及び同位体標識された式(I)の化合物を含む。
【0040】
式(I)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」も、本発明の範囲内である。つまり、それ自体はほとんど又は全く薬理活性を有さないかもしれない式(I)の化合物の或る誘導体は、身体に投与されたとき、例えば加水分解的開裂により、所望の活性を有する式(I)の化合物に変換され得る。このような誘導体を「プロドラッグ」と呼ぶ。プロドラッグについての更なる情報は、Pro-drugs as Novel Delivery Systems,第14巻,ACS Symposium Series (T. Higuchi及びV.J. Stella)、及びBioreversible Carriers in Drug Design,Pergamon Press,1987 (E. B. Roche編,American Pharmaceutical Association;C.S. Larsen及びJ. Ostergaard,Design and application of prodrugs,In Textbook of Drug Design and Discovery,第3版,2002,Taylor and Francis)に見出され得る。
【0041】
本発明によるプロドラッグは、例えば、式(I)の化合物に存在する適切な官能基を、例えばH. BundgaardによるDesign of Prodrugs(Elsevier,1985)に記載される「プロ成分(pro-moieties)」のような当業者に公知の或る成分で置き換えることにより製造することができる。この例は、カルボキシル基(例えば、アンピシリンのピバンピシリンプロドラッグで用いられる-CO-O-CH2-O-CO-tBu)、アミド(-CO-NH-CH2-NAlk2)、又はアミジン(-C(=N-O-CH3)-NH2)のプロドラッグであり得る。
【0042】
本発明の範囲内には、式(I)の化合物の代謝物、すなわち、該薬物の投与の際にインビボで形成される化合物も含まれる。代謝物のいくつかの例としては、以下のものが挙げられる:
(i)式Iの化合物がメチル基を含む場合、ヒドロキシメチル誘導体(-CH3 → -CH2OH);
(ii)式Iの化合物がアルコキシ基を含む場合、ヒドロキシ誘導体(-OR → -OH);
(iii)式Iの化合物が三級アミノ基を含む場合、二級アミノ誘導体(-NR1R2 → -NHR1又は-NHR2);
(iv)式Iの化合物が二級アミノ基を含む場合、一級誘導体(-NHR1 → -NH2);
(v)式Iの化合物がフェニル成分を含む場合、フェノール誘導体(-Ph → -PhOH);及び
(vi)式Iの化合物がアミド基を含む場合、カルボン酸誘導体(-CONH2 → COOH)。
【0043】
本発明による使用には、現在のところ、化合物(I)において、いずれの適合する組合せでも以下の構造的特徴が意図される:
【0044】
変数-X-:
二価リンカー基-X-は、結合手、又は-C(R10)(R11)-*、-C(R10)(R11)-O-*、-C(R10)(R11)CH2-*、-C(R10)(R11)CH2-O-*、-CH2C(R10)(R11)-*、-CH2C(R10)(R11)-O-*及び-CH2-O-C(R10)(R11)-*から選択される二価基(式中、アスタリスクを付した結合手がピラゾール環に結合する)である。R10及びR11は、独立して、水素及び(C1-C3)アルキル(すなわち、メチル、エチル及び、n-又はイソ-プロピル)から選択されるか;或いはR10及びR11は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、(C3-C5)シクロアルキル環(例えば、シクロプロピル環又はシクロペンチル環)を形成する。具体的には、-X-は、例えば、-CH2-、-CH2O-*又は-CH2OCH2-*(式中、アスタリスクを付した結合手がピラゾール環に結合する)であり得る。
【0045】
変数Z
Zは、上記の式(1)〜(26)のものからなる群より選択される基であり、Rは、C1〜C6アルキル、例えばメチル又はエチル;3〜6の環原子を有する単環式炭素環、例えばフェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル;又はベンジルである。前記の炭素環及びベンジルのフェニル環は、水素、-F、-Cl、-Br、-CN、(C1-C3)アルキル(例えば、メチル又はエチル)、(C1-C3)フルオロアルキル(例えば、トリフルオロメチル、シクロプロピル)、(C1-C3)アルコキシ(例えば、メトキシ又はエトキシ)、(C1-C3)フルオロアルコキシ(例えば、トリフルオロメトキシ)、或いは(C3-C6)シクロアルキルオキシ(例えば、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ又はシクロヘキシルオキシ)により任意に置換されていてもよい。式(1)〜(26)は、すべてが大まかに、カルボン酸基又はテトラゾリル基(これ自体がカルボキシル基の生物学的等価体(bioisostere)とみなされている)の生物学的等価体とみなされ得るという点で、纏まりのある一群を形成している。
【0046】
このような生物学的等価体は文献に記載されており、例えば、Olessen、P.H. Current Opinion in Drug Discovery and Development (2001),4,471;Wermuth,C.G. 「Molecular Variations Based on Isosteric Replacements」;Practice of Medicinal Chemistry;Wermerth,C.編;Academic Press,(2003),189-214頁;Ruble,J.ら;「Structure-activity relationships of bioisosteres of a carboxylic acid in a novel class of bacterial translation inhibitors」 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters (2007),17 4040-4043;Ronn,R.ら;「Evaluation of a diverse set of potential P1 carboxylic acid bioisosteres in hepatitis C virus NS3 protease inhibitors」 Bioorganic & Medicinal Chemistry (2007),15,4057-4068;Macchiarulo,A.;Pellicciari,R. 「Exploring the other side of biologically relevant chemical space:Insights into carboxylic, sulfonic and phosphonic acid bioisosteric relationships」 Journal of Molecular Graphics & Modelling (2007),26,728-739;Lolli,M.L.ら「Hydroxy-1,2,5-oxadiazolyl Moiety as Bioisostere of the Carboxy Function. Synthesis, Ionization Constants, and Pharmacological Characterization of γ-Aminobutyric Acid (GABA) Related Compounds」 Journal of Medicinal Chemistry (2006),49,4442-4446;Valgeirsson,J.ら「Bioisosteric Modifications of 2-Arylureidobenzoic Acids:Selective Noncompetitive Antagonists for the Homomeric Kainate Receptor Subtype GluR5」 Journal of Medicinal Chemistry (2004),47,6948-6957;Nicolaou,I.ら「[1-(3,5-Difluoro-4-hydroxyphenyl)-1H-pyrrol-3-yl]phenylmethanone as a Bioisostere of a Carboxylic Acid Aldose Reductase Inhibitor」 Journal of Medicinal Chemistry (2004),47,2706-2709;Ornstein,P.ら「Structure-Activity Studies of 6-Substituted Decahydroisoquinoline-3-carboxylic Acid AMPA Receptor Antagonists. 2. Effects of Distal Acid Bioisosteric Substitution, Absolute Stereochemical Preferences, and in Vivo Activity」 Journal of Medicinal Chemistry (1996),39,2232-44;Kohara,Y.ら「A new class of angiotensin II receptor antagonists with a novel acidic bioisostere」 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters (1995),5,1903-8を参照。
【0047】
上記の基(1)〜(26)のいくつかが互変性の平衡状態で存在し得ること、及びすべての互変体が式(1)〜(26)に含まれるとみなされるべきであることは明らかである。例えば、(13)及び(9)の基の互変体は以下のとおりである:
【化3】

【0048】
置換基R3
R3は、水素、(C1〜C3)アルキル(例えば、メチル又はエチル)又は(C1〜C3)フルオロアルキル(例えば、ジ-又はトリ-フルオロメチル)である。R3はしばしば水素である。
【0049】
置換基R4
上記定義から明らかなように、本発明の化合物には非常に多様な置換基が存在し得る。
R4は、式-(Alk1)p-(Q1)r-(L)s-Q2を有する(式中、p、r及びsは、いずれの適合する組合せでも0又は1であるが、但し、p、r及びsのうちの少なくとも1つは1である)。本発明の化合物の或る特定のタイプでは、p及びsが0でありrが1であり、別のタイプでは、p及びrが1でありsが0又は1である。
【0050】
R4において、Alk1は、存在する場合、(a)1つの炭素で、R10及び/又はR11により或いは1又は2個の任意置換基により置換されていてもよく、及び/又は(b)-O-、-S-、-CO-、-SO-、-SO2-若しくは-NR9-結合を含んでいてもよい、二価の(C1〜C4)アルキレン基である。この関連では、R10及びR11は、例えば、メチルであってもよいし;又はR10及びR11は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、例えば、シクロプロピル若しくはシクロペンチル環を形成してもよい。この関連では、任意置換基は、フルオロ及びヒドロキシルを含む。
【0051】
このような基の例としては、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2T-、-CH2TCH2-、-CH2CH2TCH2-、-CH2CH2TCH(CH3)-、-CH2TCH2CH2-及び-CH2TCH2CH2WCH2-(式中、Tは、-O-、-S-、-NH-又は-N(CH3)-である)、並びに1若しくは複数の水素がフッ素で交換されており及び/又は1若しくは2つの炭素がメチル若しくはトリフルオロメチルにより置換されているか;或いは1つの炭素がスピロ結合シクロプロピル置換基で置換されている前記のいずれかのものが挙げられる。
本発明の化合物において、Alk1は、存在する場合、しばしば単に-CH2-である。
【0052】
R4において、Lは存在する場合、いずれの向きでの式-(Alk2)n-(W)m-の二価基(式中、n及びmは、独立して0又は1であり;Alk2は、-C(R10)(R11)-であり;Wは、-CO-、-SO2-、-O-、-NR9-又は-SO-であるが;但し、W及び/又はAlk2がヘテロ原子に結合しているとき、Wは-O-でも-NR9-でも-SO-でもない)である。後者の制限は、不安定であるか又は望ましくないポテンシャル構造を回避するためである。この関連では、R9は、例えば水素又はメチルであり得る。存在する場合、Alk2の例は、-CH2-、-CH(CH3)-、同じ環炭素を介して各隣接原子に結合しているシクロプロピル環、並びにいずれの向きでの-CH2O-、-CH2NH-、-CH(CH3)O-及び-CH(CH3)NH-である。
【0053】
R4において、Q1(存在する場合)及びQ2は、各個独立して、3〜7の環原子を有する単環式炭素環、7〜10の環原子を有する二環式炭素環系、4〜7環原子を有する単環式複素環又は8〜10の環原子を有する二環式複素環系であり、前記環又は環系はいずれも置換されていてもよく;Q2は-(L)s-Q2中のsが0である場合には水素でもあり得る。存在する場合、Q1の例としては、置換されていてもよい、二価のフェニル、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン又は(C3〜C7)シクロアルキル(例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル又はシクロプロピル)基が挙げられる。Q2の例としては、水素、又は置換されていてもよいフェニル若しくはピリジルが挙げられる。環Q1及びQ2中の任意置換基は、-F、-Cl、-Br、-CN、-CF3、-CH3、シクロプロピル及び-OCH3を含み、例えば1又は2個の環原子に存在し得る。
【0054】
R3及びR4が一緒になっている基
別のタイプの本発明の化合物では、R3及びR4は、それらが結合する窒素と一緒になって4〜7の環原子を有する環状アミノ環を形成する。この環の例としては、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル及びピペラジニルが挙げられる。
R3及びR4がそれらの結合する窒素と一緒になって形成する環は、式-(L)s-Q2(式中、s、L及びQ2は上記のとおりである)の基により、又はヒドロキシ、メトキシ、-NH2-、又はモノ-若しくはジ-(C1〜C3)アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ及びジエチルアミノ)から選択される任意置換基により置換されていてもよい。
【0055】
基-C(=O)NR3R4の具体例としては、式(A)〜(R)及び(X1)〜(X12)のものが挙げられる:
【化4】

【化5】

【0056】
(式中、
R10及びR11は本明細書中で定義されるとおりであり;
R12は、水素、-CH3、-OH、-CN及び-COOHから選択され;
R13は、水素、-F、-CF3、-OCF3、-Br、-Cl、-OCH3、-CH3及び-CNから選択され;
R14は、水素、-F、-CF3、-OCF3、-Br、-Cl、-OCH3、-CH3、-CN及び-OHから選択され;
R15及びR16は、独立して、水素及び(C1〜C6)アルキルから選択されるか、又はR15及びR16は、それらが結合する窒素と一緒になって4〜7の環原子を有する環状アミノ環を形成し;
R17は、水素、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルキルC(=O)-、(C1〜C6)アルキルSO2-、ベンジルオキシカルボニル-及び-C(=O)OCH3から選択され;
R18は、水素、-F及び-CNから選択され;
R19は、水素、F、-CF3、-OCF3、-Br、-Cl、-OCH3、-CH3及び-CNから選択され;並びに
R20は、水素、F、-CF3、-OCF3、-Br、-Cl、-OCH3、-CH3、-CN及び-OHから選択される)。
【0057】
上記式(A)〜(R)及び(X1)〜(X12)に関して、ヘテロ芳香環のいずれの置換基も、当然のことながら、既知の医薬品化学の原理に適合しなければならない。例えば、窒素含有へテロ芳香環中のいずれのハロゲン置換基又はCN置換基も、窒素原子に近接することはなさそうである。なぜなら、このような置換基は、良好な脱離基として挙動することが予期され、このことは、その化合物がインビボで求核性物質と反応する強力な潜在能力を有し、潜在する毒性の理由から望ましくないと一般にみなされている共有結合形成を導くことを意味するからである。また、例えば、いずれのOH置換基も、窒素原子に近接することはありそうである。なぜなら、その化合物もまた、潜在する毒性に通じることがあるからである。
【0058】
置換基R5、R6、R7及びR8
R5、R6、R7及びR8は、各々独立して、水素、-F、-Cl、-Br、-CN、(C1〜C3)アルキル(例えばメチル又はエチル)、(C1〜C3)フルオロアルキル(例えばジ-又はトリ-フルオロメチル)及び-OR9(式中、R9は、水素、(C1〜C3)アルキル(例えばメチル又はエチル)、(C1〜C3)フルオロアルキル(例えばジ-又はトリ-フルオロメチル)及びシクロプロピルである)から選択される。多くの場合、R5、R6、R7及びR8は、独立して、水素及び-Clから選択される。
【0059】
置換基R10及びR11
R10は、水素、(C1〜C3)アルキル、ヒドロキシル又はNH2であり、R11は、水素又は(C1〜C3)アルキルである。多くの場合、R10及びR11は共に水素であるか、又はR10及びR11の一方が水素であり、他方がメチルである。
【0060】
本発明の具体的な化合物としては、本明細書の実施例のものが挙げられる。
本発明の化合物は、中枢及び末梢のカンナビノイド受容体CB1に作用する。いくつかの化合物は、より低い程度で、中枢神経系に分配される。すなわち、この化合物は、血液脳関門を容易には横断できず、中枢神経系を媒介する副作用にはほとんど関係しない。
本発明の化合物は、カンナビノイド受容体CB1を、その天然のシグナル伝達機能を抑制することによりモジュレートする。よって、この化合物は、CB1受容体アンタゴニスト、インバースアゴニスト又は部分(partial)アゴニストである。
【0061】
用語「CB1アンタゴニスト」又は「カンナビノイド受容体CB1アンタゴニスト」とは、該受容体又はその近傍に結合し、該受容体自体を活性化する実質的な能力を欠いている化合物をいう。このことにより、CB1アンタゴニストは、例えば内因性アゴニストであるN-アラキドニルエタノールアミン(アナンダミド)のようなCB1アゴニストによる該受容体の機能活性化又は占有を妨げるか又は低減させることができる。この用語は当該分野において公知である。
【0062】
用語「CB1インバースアゴニスト」又は「カンナビノイド受容体CB1インバースアゴニスト」とは、該受容体に結合し、CB1受容体アゴニストが奏するものとは反対の薬理効果を奏する化合物をいう。インバースアゴニストは、リガンドが受容体に作用することなく固有活性(「構成性活性」ともよばれる)を有する或る種の受容体に対して有効である。この用語は当該分野において公知である。両タイプの全般的な特性が等しいので、CB1インバースアゴニストをCB1アンタゴニストと呼ぶこともできることも、当該分野において公知である。よって、本発明に関して、用語「CB1アンタゴニスト」一般は、上記で定義される「CB1アンタゴニスト」及び「CB1インバースアゴニスト」の両方を含むものと理解される。
【0063】
用語「CB1部分アゴニスト」又は「カンナビノイド受容体CB1部分アゴニスト」とは、完全なアゴニストと同じ受容体に作用するが、生じる最大薬理応答が弱く、固有活性のレベルが低い化合物をいう。この用語は当該分野において公知である。
本発明の好ましい実施形態によると、「CB1モジュレーター」又は「カンナビノイド受容体CB1モジュレーター」は、CB1アンタゴニスト又はインバースアゴニスト化合物である。
【0064】
本発明の化合物は、CB1受容体シグナル伝達活性により媒介される疾患又は状態の治療に有用である。このような疾患及び状態並びにその治療の例は、上記に列挙した。限定されないが、これらには、肥満及び過体重、体重増加の予防、肥満に直接又は間接的に関連する疾患及び状態の治療(例えば、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、心血管疾患、過肥、過体重又は正常体重の個体における代謝不全、代謝疾患又は障害、癌、肝疾患、及び上記で言及した他の二次疾患)、並びに肥満に必ずしも関連しない疾患及び状態の治療(例えば、摂食障害、嗜癖障害、精神障害、神経障害、性機能不全、生殖機能不全、肝疾患、線維症関連疾患及び上記で言及した他の臨床上の徴候)が含まれる。本発明の化合物は、哺乳動物において体重及びエネルギー消費をモジュレートするため、メタボリックシンドロームに関与する主要な成分、例えば過剰な腹部脂肪、アテローム性脂質代謝異常(HDL-C、トリグリセリド、LDL、アポリポタンパクB、アディポネクチンの異常レベル)、高血圧、高血糖、高尿酸血症、非アルコール性脂肪肝疾患/肝臓脂肪症、肝臓トランスアミナーゼの上昇、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ及び微量アルブミン尿症をモジュレートするために有用である。
【0065】
本発明の化合物は、多様な物理化学的特性を示し、末梢CB1受容体及び種々の程度で中枢CB1受容体をモジュレートするために有用である。中枢のCB1受容体に対する作用が低い本発明の化合物は、精神的及び神経系の副作用を誘発する傾向が低減される。
【0066】
本発明の化合物は、異なる作用形態、例えば満腹又は空腹シグナル、欲求機構、食欲調節、レプチン/インスリン/中枢神経系経路、胃腸-神経経路、代謝速度、エネルギー消費、食物摂取、脂肪貯蔵、脂肪排出、胃腸運動性、脂質生成、グルコース輸送、グリコーゲン分解、解糖、脂肪分解などに対する中枢作用により作用する肥満治療に用いられる別の治療剤と組み合わせてもよい。このような別の治療剤としては、以下のもののモジュレーター(阻害剤、アゴニスト、アンタゴニスト、アナログ)が挙げられる:モノアミン作動性(NA(ノルアドレナリン)、5-HT(セロトニン)、DA(ドーパミン))受容体又は輸送体、神経イオンチャネル、レプチン又はレプチン受容体、神経ペプチドY受容体、PP(膵臓ポリペプチド)、PYY、プロテインYY3-36、グレリン又はグレリン受容体、モチリン又はモチリン受容体、オレキシン又はオレキシン受容体、ボンベシン又はボンベシン様ペプチド受容体、ソマトスタチン又はソマトスタチン受容体、MCHR1(メラニン凝集ホルモン受容体1)、CNTF(毛様体神経栄養因子)、AgRP(アグーチ関連ペプチド)、POMC(プロオピオメラノコルチン)、CART(コカイン及びアンフェタミン調節転写産物)、アルファ-MSH(アルファ-メラニン形成細胞刺激ホルモン)、MC4(メラノコルチン-4)又はMC3(メラノコルチン-3)受容体、ガラニン受容体、リラキシン-3受容体、GPR7受容体、GPR119受容体、GPR10受容体、ニューロメジンU受容体、遊離脂肪酸受容体、成長ホルモン、ネスファチン-1、オピオイド受容体、神経ペプチドFF受容体、PTP-1B(タンパク質-チロシンホスファターゼ)、PPAR(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体)受容体、レチノイドX受容体ヘテロダイマー、アディポネクチン、Acrp30としても知られる(脂肪細胞補体関連タンパク質、30kDa)、脂肪酸代謝、H(ヒスタミン)受容体、CCK-A(コレシストキニン-A)又はCCK-A受容体、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)又はGLP-1受容体、オキシントモジュリン、アドレノメデュリン、DPP-IV(ジペプチジルペプチダーゼIV)、アミリン、ベータ-3-アドレナリン作動性受容体、UCP(脱共役タンパク質)、甲状腺受容体、甲状腺刺激ホルモン受容体、11ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型、アミラーゼ、DHEAS(デヒドロエピアンドロステロン硫酸エステル)、CRH(コルチコトロピン放出ホルモン)又はCRH受容体、カルボキシペプチダーゼ、脂肪酸合成、HMG-CoA還元酵素、回腸胆汁酸輸送、胃腸リパーゼ、P57、AMP-活性化プロテインキナーゼ(AMPK)。
【0067】
本発明の化合物は、メタボリックシンドローム又は以下のような肥満と直接又は間接に関連し得る疾患の治療に用いられる別の治療剤と組み合わせてもよい:心血管性疾患(高血圧、心筋症、静脈瘤、肺塞栓、静脈血栓塞栓症、冠動脈性心疾患[CHD]、動脈瘤、狭心症、不整脈、アテローム性動脈硬化症、脳血管疾患、先天性心疾患、鬱血性心不全、心筋炎、弁疾患、冠動脈疾患、拡張機能障害、心内膜炎、僧帽弁逸脱、心筋梗塞、血栓症)、肝臓疾患(非アルコール性脂肪肝疾患、脂肪性肝炎、脂肪症、肝線維症、肝硬変)、神経学的疾患(卒中、特発性頭蓋内圧亢進症、知覚異常性大腿神経痛、頭痛、手根管症候群、認知症)、呼吸器疾患(呼吸困難、閉塞性睡眠時無呼吸、低換気症候群、ピックウィック症候群、喘息)、筋骨格疾患(不動症、変性性骨関節炎、腰痛、骨粗鬆症)、皮膚疾患(皮膚裂線又は「伸展裂創」、下肢の静脈鬱血、リンパ浮腫、蜂巣炎、間擦疹、癰、黒色表皮腫、懸垂線維腫)、胃腸疾患(胃食道逆流障害、非アルコール性脂肪肝/脂肪肝炎、胆石症、ヘルニア、結腸癌、結腸直腸癌)、尿生殖器疾患(緊張性尿失禁、肥満関連糸球体症、慢性腎不全、死産、乳癌及び子宮癌)、精神疾患(うつ及び低自己評価、クオリティ・オブ・ライフの低下、社会的不名誉(social stigmatization)、身体醜形障害)、並びに内分泌疾患(メタボリックシンドローム、2型糖尿病、真性糖尿病、異常脂肪血症(dyslipidemia)、高脂肪血症(hyperlipidemia)、低HDL及び/又は高LDLコレステロール値、高トリグリセリド血症、低アディポネクチン値、耐糖能異常、インスリン耐性、HbA1cレベル上昇、代謝活性低下、女性の高アンドロゲン血症、多嚢胞性卵巣症候群、月経困難症、不妊症、妊娠合併症、男性性機能低下症、高尿酸血症、月経障害、胆石、性機能低下症、リンパ浮腫)。
【0068】
本発明の化合物の使用は、食餌によるカロリー摂取の適切な低減及び身体的運動と組み合わせ得る。
【0069】
任意の特定患者についての具体的用量レベルは、用いられる具体的な化合物の活性、年齢、体重、全身健康状態、性別、食餌、投与の時期、投与経路、排泄速度、薬剤の組合せ及び治療を受ける特定疾患の重篤度を含む種々の要因に依存することが理解される。最適な用量レベル及び投与頻度は、製薬分野において必要とされるように、臨床試験により決定される。しかし、ヒト患者への投与については、本発明の化合物の1日の総用量は、もちろん投与形態にもよるが、代表的には1mg〜1000mgの範囲であり得る。例えば、経口投与は10mg〜1000mgの合計日用量を必要とし得るが、静脈内投与は1mg〜500mgしか必要としないこともあり得る。合計日用量は、単回用量又は分割された用量で投与されてもよく、医師の裁量により、本明細書に記載される代表的範囲から外れてもよい。
【0070】
これらの投与量は、約60kg〜100kgの体重の平均的なヒト対象に基づく。医師は、この範囲外の体重の対象、例えば幼児及び老人、特に過肥の患者についての用量を容易に決定できる。
【0071】
本発明に係る化合物は、それらの薬物動態特性と矛盾しない任意の経路による投与用に製造され得る。経口投与可能な組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、ロゼンジ、液剤又はゲル製剤の形態、例えば経口、局所又は滅菌非経口の溶液又は懸濁液の形態であり得る。経口投与用の錠剤及びカプセル剤は、単位用量提示形態(unit dose presentation form)であり得、結合剤(例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント又はポリビニルピロリドン);充填剤(例えば、ラクトース、ショ糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトール又はグリシン);打錠滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール又はシリカ);崩壊剤(例えば、バレイショデンプン)のような従来の賦形剤、又は許容される湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)を含有し得る。錠剤は、通常の製薬実務において周知の方法に従って被覆し得る。経口液体製剤は、例えば水性又は油性の懸濁剤、液剤、乳剤、シロップ又はエリキシル剤の形態であっても、使用前に水又はその他の適切なビヒクルで再構成する乾燥製品であってもよい。このような液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン硬化食用油);乳化剤(例えば、レシチン、ソルビタンモノオレエート、又はアカシア);非水性ビヒクル(食用油を含み得る)(例えば、アーモンド油、ヤシ油、油性エステル(例えば、グリセリン)、プロピレングリコール、又はエチルアルコール);防腐剤(例えば、メチル若しくはプロピルp-ヒドロキシベンゾエート又はソルビン酸)のような従来の添加剤並びに所望により従来の矯味矯臭剤又は着色剤を含み得る。
【0072】
活性成分は、滅菌媒体中で非経口的に投与してもよい。用いるビヒクル及び濃度に応じて、薬物は、ビヒクル中に懸濁又は溶解することができる。有利には、アジュバント、例えば局所麻酔剤、防腐剤及び緩衝剤をビヒクル中に溶解することができる。
【0073】
合成
本発明に係る化合物(I)の合成には合成ストラテジは複数存在するが、その全てが合成有機化学者に公知の化学に基づく。よって、式(I)による化合物は、標準的な文献に記載された手順及び当業者に周知の手順に従って合成することができる。代表的な文献ソースは、「Advanced organic chemistry」,第4版(Wiley)、J March,「Comprehensive Organic Transformation」,第2版(Wiley)、R.C. Larock,「Handbook of Heterocyclic Chemistry」,第2版(Pergamon)、A.R. Katritzky,P.G.M. Wuts及びT.W. Greene,「Greene's Protective Groups in Organic Chemistry」第4版(Wiley)、「Synthesis」、「Acc.Chem.Res.」、「Chem.Rev」に見出されるような総説文献、或いは標準的な文献検索によりオンラインで又は「Chemical Abstracts」若しくは「Beilstein」のような二次的ソースから同定される一次的文献ソースである。
【0074】
一般合成経路
以下に概説する経路は、網羅的なリストを構成しない。
記載した実験条件は総称的であり、上記のような標準的な文献ソースに見出すことができる。具体的な参考文献を情報として引用し、条件は、改変/最適化を伴って又は伴わずに所定の基質に適用し得る。
【0075】
式(I)の化合物は、以下のスキームで概説するように、対応するカルボン酸又は示されたカルボン酸の保護形態への-N(R3)R4部分の導入により得ることができる:
【化6】

【0076】
よって、HN(R3)R4部分は、求核性窒素中心を含有し、残りの部分は、最終の置換基、該置換基の保護バージョン又は当業者に公知の標準的な手順を用いて最終的な置換基に変換され得る基を含み得る。よって、式Iの化合物は、スキームAの手順に従って直接に得られてもよいし、又は保護基の除去のような標準的な変換の後に得られてもよい。
カルボン酸は、活性化された形態(例えば、酸塩化物又は活性エステル)であってもよいし、或いは、変換を、適切なカップリング剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC))及びプロモーター(例えば、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT))を用いて酸から直接行ってよい。
【0077】
式(I)の化合物はまた、アミド形成後に、カルボン酸誘導体(例えばニトリル、エステル又はアミド)又はその他の適切な前駆体を(一工程又は複数工程の合成で)基Zに変換する上記手順に関連する手順に従うことによって得ることができる。例えば、以下のスキームで概説されるように得ることができる:
【化7】

【0078】
このような手順は、例えば、ニトリル基の以下のものへの変換を含み得る:
a− 一般式(Ia)の化合物を得るための、[1,2,4]トリアゾル-3-オール(Y = NH)又は[1,2,4]オキサジアゾル-5-オール(Y = O):
【化8】

【0079】
このように、ニトリル基は、先ず、ピリジン中における硫化水素及び塩基(例えば、トリエチルアミン)での処理により、チオアミドへと変換され得る。ヒドラジン又はヒドロキシルアミンのいずれかとの反応で、チオアミドは、それぞれ、アミドラゾン又はアミドキシム中間体へと変換され得る。式(Ia)の[1,2,4]トリアゾル-3-オール又は[1,2,4]オキサジアゾル-5-オールをそれぞれ与えるアミドラゾン又はアミドキシム中間体の環化は、室温で又は加熱条件下で、塩基の存在下又は不在下において、適切な活性化剤(例えば、THFのような非プロトン性極性溶媒中のホスゲン、トリホスゲン、カルボニルジイミダゾール、エチルクロロホルメート)で処理することにより達成され得る。詳細な説明の実験の節及びBioorganic & Medicinal Chemistry,14(21),7324-7332;2006;European Journal of Medicinal Chemistry,28(6),513-16;1993を参照。
【0080】
b− 一般式(Ib)の化合物を得るための、ヒダントイン:
【化9】

【0081】
このように、ニトリル基を、最初に水素化ジイソブチルアルミニウムのような還元剤で処理することによりアルデヒドへと先ず還元し、次いで環形成試薬であるシアン化カリウム及び炭酸アンモニウム(例えば、ブヘラ-ベルクス反応)で処理することにより一般式(Ib)のヒダントインを得ることができる。
或いは、ニトリル基を、有機金属反応剤(例えば、RLi又はRMgX)で、続けてシアン化カリウム及び炭酸アンモニウムで処理することにより、ワンポット手順で一般式(Ib)のヒダントインへ変換することができる。Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,(2005),15(22),5039-5044;Synlett,(14),2203-2206;2006を参照。
【0082】
c− 一般式(Ic)の化合物を得るための、チアゾリジン-2,4-ジオン:
【化10】

【0083】
ニトリル基は先ず、水素化ジイソブチルアルミニウムのような還元剤での処理によりアルデヒドへと還元され得る。次いで、アルデヒドは、酸性条件下(例えば、HCl中)でシアン化トリメチルシリル及びメタノールを用いて、ヒドロキシ酢酸メチルエステルへ変換される。このα-ヒドロキシルエステルは、ピリジン存在下における塩化スルフィニルでの処理により活性化され、チオ尿素と反応して、加水分解後に、チアゾリジン-2,4-ジオンを与える。Bioorganic & Medicinal Chemistry (2005),13(11),3627-3639を参照。
【0084】
このような手順には、例えば、式CO2Wの誘導体の以下のものへの変換も含まれ得る:
d− 一般式(Id)の化合物を得るための、アシルスルホンアミド(Z = R-SO2-NH-)又はアシルシアナミド(Z = CN-NH-):
【化11】

【0085】
カルボン酸基は、活性化された形態(例えば、酸塩化物又は活性エステル)であってもよいし、或いは、適切なカップリング試薬(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC))及びプロモーター(例えば、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)を用いて、酸から直接的に変換を行うこともできる。活性化したカルボン酸基の、アルキル/アリールスルホンアミド又はシアナミドとの反応は、室温下での、例えば塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン)の存在下における、例えばジクロロメタン中で達成され、それぞれ、一般式(Id)のアシルスルホンアミド及びアシルシアナミドを得ることができる。詳細な説明の実験の節を参照のこと。
【0086】
e− 一般式(Ie)の化合物を得るための、3H-[1,3,4]オキサジアゾル-2-オン:
【化12】

【0087】
このように、エステル基は先ず、加熱条件下のヒドラジンでの処理により酸ヒドラジドへ変換され得る。この中間体の、式(Ie)の3H-[1,3,4]オキサジアゾル-2-オンを得るための環化は、室温又は加熱条件下で、塩基の存在下又は不在下において、適切な活性化剤(例えば、THFのような非プロトン性極性溶媒中のホスゲン、クロロホルメート、カルボニルジイミダゾール、ジエチルジカーボネート)で処理することにより達成され得る。詳細な説明の実験の節を参照。
【0088】
f− 一般式(If)の化合物を得るための、イソキサゾル-3-オール:
【化13】

【0089】
カルボン酸基は、活性化された形態(例えば、酸塩化物又は活性エステル)であってもよいし、或いは、適切なカップリング試薬(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC))及びプロモーター(例えば、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)を用いて、酸から直接的に変換を行うこともできる。
このように、活性化したカルボン酸基は先ず、アシルメルドラム酸へ変換され得る。このアシルメルドラム酸は、N,O-ビス(tert-ブトキシカルボニル)ヒドロキシルアミンでのアミノ分解により、例えばメタノール中で塩酸存在下において環化して一般式(Ie)の3-イソキサゾロール(R = H)を形成する中間体をもたらす。或いは、この中間体は、メチレン位に化学的多様性を導入するために、強塩基(例えば、LDA)及びアルキル化剤(例えば、ハロゲン化アルキル)で処理され得る。上記のようなアルキル化された中間体の環化は、一般式(If)の4-アルキル-イソキサゾル-3-オール(R = アルキル)をもたらす。Journal of Organic Chemistry (2000),65(4),1003-1007;Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,15(18),4053-4056;2005を参照。
【0090】
g− 一般式(Ig)の化合物を得るための、[1,2,4]オキサジアゾル-3-オール:
【化14】

【0091】
このように、カルボン酸部分の活性化された形態(例えば、酸塩化物)は、例えばジエチルエーテル中で、イソシアン酸銀を用いた処理により、アシルイソシアネートへ変換され得る。或いは、アシルイソシアネートは、例えばジクロロメタン又はジクロロエタン中で、塩化オキサリルとの反応で、一級アミドから合成され得る。
アシルイソシアネート中間体は、次いで、ピリジン中で塩酸ヒドロキシルアミンと反応して、一般式(Ig)の[1,2,4]オキサジアゾル-3-オールを与え得る。Tetrahedron,31(17),2007-14;1975;欧州特許出願585165,1994年3月2日;Organic Letters,6(15),2571-2574;2004を参照。
【0092】
h− 一般式(Ih)の化合物を得るための、トリフルオロメチルスルホンアミド:
【化15】

【0093】
このように、カルボン酸又はアミド基は、(周知の手順、例えばクルチウス、ロッセン又はホフマン転位に従って)一級アミン中間体へ変換され得、次いでこの一級アミン中間体が、低温にて塩基(例えばトリエチルアミン)の存在下で、例えばジクロロメタン中で、トリフルオロメタンスルホン酸無水物と反応により、一般式(Ih)のトリフルオロメタンスルホンアミドを与え得る。Angewandte Chemie,International Edition (2007),46(11),1852-1855。
【0094】
i− 一般式(Ii)の化合物を得るための、ピロリジン-2,5-ジオン:
【化16】

【0095】
このように、カルボン酸部分の活性された形態(例えば、酸塩化物)は先ず、周知の手順(例えば、アーント-アイシュタート合成)に従って、次の高級同族体へと変換され得る。次いで、同族エステル誘導体は、低温下でテトラヒドロフラン中において強塩基(例えば、LDA)により処理され、アルキル化剤(例えば、エチルブロモアセテート)との反応により、ジエステル中間体を得ることができる。このジエステル中間体は、塩基性条件下での加水分解に際して、水中での尿素及びアンモニアによる処理により、一般式(Ii)のピロリジン-2,5-ジオンへ変換され得る。Heterocycles (1999),50(2),833-841;Journal of the Chemical Society,Perkin Transactions 1:Organic and Bio-Organic Chemistry (1972-1999) (1987),(8),1679-87を参照。
【0096】
j− 一般式(Ij)の化合物を得るための、イソチアゾル-3-オール:
【化17】

【0097】
ニトリル基を、最初に、水素化ジイソブチルアルミニウムのような還元剤での処理によりアルデヒドへと先ず還元し、その後、塩基(例えば、1,2-ジメトキシエタン中のトリエチルホスホノアセトアミド及び水素化ナトリウム)の存在下でホスホン酸エステルによりオレフィン化して、アリルアミド中間体を形成してもよい。次いで、1-4マイケル付加を、チオ酢酸を用いて行い、次に、対応するチオールへの加水分解(水酸化ナトリウムを使用)、続くジスルフィドへの酸化(過酸化水素のような酸化剤を使用)を行う。次いで、例えばジクロロエタン中で塩化スルフリルを用いて環化を行い、一般式(Ij)のイソチアゾル-3-オールを得る。Journal of Medicinal Chemistry,2006,49(4),1389-1393を参照。
【0098】
k− 一般式(Ik)の化合物を得るための、フラザン-3-オール:
【化18】

【0099】
このように、エステル基又は活性化された酸を先ず、加熱条件下でのヒドラジンを用いた処理により酸ヒドラジドへと変換してもよい。次いで、この中間体を、適切な活性化剤(例えば、エタノール及びクロロホルムのような溶媒中の亜硝酸及び無水酢酸又はジアゾメタン)で処理することにより更に反応させて、式(Ik)のフラザン-3-オールを得る。Journal of Heterocyclic Chemistry,16(4),689-698,1979を参照。
【0100】
l− 一般式(Il)の化合物を得るための、3-ヒドロキシ-ピロール-2,5-ジオン:
【化19】

【0101】
このように、カルボン酸部分の活性化された形態(例えば、酸塩化物)を先ず、周知の手順(例えば、アーント-アイシュタート合成)に従って、より高級なアミド同族体へと変換させることができる。次いで、この同族アミド誘導体を、低温のテトラヒドロフラン中の強塩基(例えば、カリウムtert-ブトキシド)により処理し、そして水中での尿素及びアンモニアでの処理により、シュウ酸ジメチルと反応させて、一般式(Il)の3-ヒドロキシ-ピロール-2,5-ジオンを得ることができる。Bioorganic & Medicinal Chemistry (2006),14(17),5781-5794を参照。
【0102】
m− 一般式(Im)の化合物を得るための、N-アシル アルキルスルフィンアミド:
【化20】

【0103】
このように、カルボン酸部分の活性化された形態(例えば、酸塩化物)を先ず、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で、例えばジクロロメタン中のアルキルスルフェンアミド(R-S-NH2)と反応させて、N-アシル アルキルスルフェンアミド中間体を得ることができる。次いで、この中間体を、酸化剤(例えば、ジクロロメタン中のMCPBA、又は水/メタノール混合物中のNaIO4、又は水/酢酸混合物中のH2O2)での処理により、一般式(Im)のN-アシル アルキルスルフィンアミドへと変換することができる。Journal of Organic Chemistry,71(4),1380-1389;2006;Tetrahedron,60(52),12147-12152;2004;Bioorganic & Medicinal Chemistry,14(11),3775-3784;2006;Monatshefte fuer Chemie,121(6-7),539-47;1990を参照。
【0104】
このような手順は、例えば、臭素の以下への変換を含み得る:
n− 一般式(In)の化合物を得るための、イソキサゾル-3-オール:
【化21】

【0105】
ブロモ誘導体を、US 2004/0192667に記載されるように、四塩化炭素中でN-ブロモスクシンイミド及び1,1'-アゾビス(イソブチロニトリル)で処理することにより合成することができる。このように、臭素原子を、例えばエタノール中で塩基(例えば、ナトリウムエトキシド)の存在下でケトエステルにより置換して中間体を得ることができ、この中間体を、塩基(例えば、水酸化ナトリウム)の存在下で、例えば水/エタノール混合物中のヒドロキシルアミンヒロドクロリドとの反応で環化して、一般式(In)のイソキサゾル-3-オールを得ることができる。Journal of Medicinal Chemistry,45(12),2454-2468;2002を参照。
【0106】
o− 一般式(Io)の化合物を得るための、N-アルキルスルホンアミド(R=アルキル)又はN-アシルスルホンアミド(R=-C(=O)-アルキル):
【化22】

【0107】
ブロモ誘導体を、US 2004/0192667に記載されるように、四塩化炭素中でN-ブロモスクシンイミド及び1,1'-アゾビス(イソブチロニトリル)で処理することにより合成することができる。このように、臭素原子を、例えばテトラヒドロフラン中でチオ酢酸カリウムにより置換し、次いで、例えばエタノール/ジクロロメタン混合物中で塩素により処理して、スルホニルクロリド中間体を得ることができ、この中間体を、アルキルアミン又はアルキルアミド(akylamide)との反応で、一般式(Io)のN-アルキルスルホンアミド又はN-アシル スルホンアミドを得る。Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,17(1),73-77;2007;Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,17(7),1991-1995;2007を参照。
【実施例】
【0108】
本発明の化合物の以下の例、その製造及び特性は、例示目的のみに提示される:
【0109】
一般的注釈:
マイクロ波反応は、Personal Chemistry Emrys Optimizerで行った。NMRスペクトルは、Bruker Avance AMX 300 MHz装置で得た。LC/MSは、Agilent 1100-シリーズの装置にて行なった。UPLC/MSは、Waters Acquityシリーズの装置にて行った。LC/MS(A-E)及びUPLC/MS(F)法は、以下のとおりである:
【0110】
(A) tfa20p5:カラム:Gemini C18、5μm、2.0×50mm。流速:1.2ml/分。グラジエント:0〜31/2分:10〜95%の水中アセトニトリル、31/2〜41/2分:95%アセトニトリル。変性剤(Modifier):0.1% TFA。MS-イオン化モード:API-ES(pos.)
(B) tfa20n5:カラム:Gemini C18、5μm、2.0×50mm。流速:1.2ml/分。グラジエント:0〜31/2分:10〜95%の水中のアセトニトリル、31/2〜41/2分:95%アセトニトリル。変性剤:0.1% TFA。MS-イオン化モード:API-ES(neg.)
(C) HCO320p5:カラム:Gemini C18、5μm、2.0×50mm。流速:1.2ml/分。グラジエント:0〜4分:33〜90%の水中アセトニトリル、4〜41/2分:95%アセトニトリル。変性剤:5mM NH4HCO3。MS-イオン化モード:API-ES(pos.)
(D) HCO320p5:カラム:Gemini C18、5μm、2.0×50mm。流速:1.2ml/分。グラジエント:0〜4分:33〜90%の水中アセトニトリル、4〜41/2分:95%アセトニトリル。変性剤:5mM NH4HCO3。MS-イオン化モード:API-ES(neg.)
(E) 分取法:カラム:YMC 19×100mm;流速:20mL/分。グラジエント:0〜8分:10〜70%の水中MeCN、8〜9分:70〜95%の水中MeCN、9〜12分:95%のMeCN。変性剤:0.1% TFA;MS-イオン化モード:API-ES(pos.)
(F) HCO2H20t9850V:カラム:ACQUITY UPLC BEH C18、1.7μm、2.1×50mm。流速:0.5ml/分。グラジエント:0.1〜1.0分:24〜94%の水中アセトニトリル、1〜1.8分:94%アセトニトリル。変性剤:0.1% HCOOH。MS-イオン化モード:API-ES(pos.及びneg.イオン化)。
データは、他に言及しない限り、すべての化合物について、方法(A)を用いた分子イオン及び保持時間(RT)として記載する。
【0111】
一般式[1]の化合物
【化23】

(式中、R5及びR8は水素である)。
【0112】
【表1】

【0113】
合成:
【化24】

【0114】
式[F]の化合物を上記スキーム1に記載のように製造した。式[A]のエステルは、周知の方法(Ruoxiら,J.Med.Chem,1999,42,769-776)により得た。式[A]のエステルを、US 2004/0192667に記載されるように、四塩化炭素中でN-ブロモスクシンイミド(1.1当量)及び1,1'-アゾビス(イソブチロニトリル)(0.01当量)で処理することにより臭素化した。得られたブロモ化合物は精製せずに、直接、還流のアセトニトリル中でシアン化カリウム(2当量)及び18-クラウン-6-エーテル(0.4当量)で15時間処理した。反応混合物を、1M水酸化ナトリウムと酢酸エチルとの間で分配した。有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、シリカでのクロマトグラフィーにより精製し、酢酸エチル/シクロヘキサン混合物で溶出して式[B]の化合物のエチルエステル誘導体を得た。これらエステルを、当業者に周知の条件下において水酸化ナトリウムで処理することにより、式[B]の対応する酸へと変換した。
或いは、ブロモ化合物を、還流のエタノール及び水の混合物中においてシアン化ナトリウムで処理することもでき、これにより式[B]の酸が直接得られた。
【0115】
式[B]の化合物を、適切なアミンR3NHR4及びカップリング試薬を用いる周知の方法により、式[C]の化合物へと変換した。式[C]のニトリルを、トリエチルアミン(2当量)及びピリジン(溶媒)中で硫化水素の飽和溶液で処理し、室温での撹拌後に、式[D]のチオアミドを得た。式[D]の化合物を、メタノール中でヒドロキシルアミン(水中50%WT;2当量)と反応させることにより、式[E]のアミドキシムへと変換した。
【0116】
式[F]の化合物を、0℃で5分間、次いで室温で非環化中間体の形成を示す白色沈殿物が形成されるまで(〜15分間)、テトラヒドロフラン中で式[E]の化合物と20%ホスゲン/トルエン(1当量)とを反応させることにより製造した。次いで、この不均一混合物をマイクロ波オーブンで5分間100℃に加熱し、分取LCMS又はシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した後、式[F]の化合物を得た。
【0117】
化合物1.01
スキーム2に概説される手順に従って製造した:
【化25】

【0118】
2,2'-アゾビスイソブチルニトリル(0.35g,2.13mmol)を、テトラクロロメタン(160ml)中の[A1](16g,42.6mmol)及びN-ブロモスクシンイミド(8.35g,46.9mmol)の撹拌溶液に加え、この混合物を2時間還流に加熱し、次いで室温まで冷却した。メタ重亜硫酸ナトリウム飽和水溶液(30ml)を加え、混合物を24時間撹拌し、次いで水(160ml)及び塩水(40ml)で希釈し、酢酸エチル(240ml)で抽出した。有機抽出物を1M水酸化ナトリウム溶液(100ml)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で蒸発させた。
残留物をエタノール(100ml)に溶解し、シアン化カリウム(8.33g,127.8mmol)の水溶液(25ml)を加えた。混合物を還流で16時間加熱した。2M水酸化ナトリウム溶液(20ml)を加え、還流を30分間継続した。
【0119】
混合物を、水(300ml)で希釈し、2M塩酸で酸性化し、酢酸エチル(2×300ml)で抽出した。併せた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、シリカパッドで濾過し、最初は酢酸エチルで、次いで酢酸エチル中1%酢酸で洗浄した。濾液を減圧下で蒸発させ、次いで残留物をトルエンと共蒸発させて、酢酸を除去し、5-(4-クロロ-フェニル)-1-(2-クロロ-フェニル)-4-シアノメチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸[B1](14.7g,93%)をフォームとして得た。1H NMR(DMSO-D6):δ 3.91 (2H,s),7.10 (2H,d),7.23-7.37 (6H,m)。LCMS(方法A):RT = 2.476分,(M+H)+ = 372。
【0120】
イソブチルクロロホルメート(1.15ml;8.87mmol)を、アルゴン下で0℃の無水THF(30ml)中の[B1](3g;8.06mmol)及びN-メチルモルホリン(0.97ml;8.87mmol)の撹拌溶液に加えた。反応混合物を室温にし、(R)-1-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミン(1.52g;8.06mmol)を滴下で加えながら18時間撹拌を継続した。反応混合物を、ガス発生が止まるまで(〜5分)撹拌した。LCMSは、酸が完全に変換して、期待した生成物が形成されたことを示した。混合物を酢酸エチル(60ml)で希釈し、1NのHCl水溶液、次いで水、次いで1NのNaOH水溶液、次いで塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧下で濃縮して、淡黄色のフォーム(4.5g)を得た。これを、Combiflash(シリカ:40g;ローディング:CH2Cl2溶液(20ml);溶出:Hept./EtOAcグラジエント:30分間で1/9〜1/1;流速:38ml);画分サイズ:100ml)により精製して、白色のフォームとして、5-(4-クロロ-フェニル)-1-(2-クロロ-フェニル)-4-シアノメチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸[(R)-1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-アミド[C1]を得た(1.6g;2.95mmol;37%)。LCMS(方法A):RT = 3.42分 API-ES,Pos,543.0(M+H)+
【0121】
無水ピリジン中の[C1](0.93g;1.71mmol)溶液(2ml)に、トリエチルアミン(0.48ml;3.42mmol)を加えた。硫化水素(H2S)を反応混合物に通して〜5分間バブリングした。密閉されたマイクロ波バイアル(20ml)をH2Sの陽圧下に置き(20mlシリンジに3倍量のH2Sを充填し、次いでスペクタム(spectum)を通じてH2Sをバイアルに「注入」(×3)した)、1日撹拌すると、LCMSは、SM[C1]が残っておらず、要求した生成物が形成されたことを示した。反応混合物を、1NのHCl水溶液でクエンチし、CH2Cl2で抽出した。有機相を、1NのHCl水溶液、塩水で洗浄し、「相分離」カラム(biotage)に通して乾燥させた。有機溶液にアルゴンを通してバブリングし、残るH2Sを除去した。有機相を減圧下で濃縮して、白色のフォームとして、5-(4-クロロ-フェニル)-1-(2-クロロ-フェニル)-4-チオカルバモイルメチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸[(R)-1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-アミド[D1]を得た(0.84g;1.46mmol;85.4%)。LCMSは、純粋な要求化合物を示した。更なる精製をせずに使用し。LCMS(方法A):RT = 3.365分 API-ES,Pos,577.0(M+H)+
【0122】
メタノール中の[D1](60mg;0.1mmol)溶液(1ml)に、水中50%WTのヒドロキシルアミン(7.42μl;0.1mmol)を加えた。反応混合物を室温で18時間撹拌すると、LCMSは、大部分の要求生成物と少量のSM[D1]を示した。更に等量の水中50%WTのヒドロキシルアミン(7.42μl;0.1mmol)を加え、反応混合物を10分間40℃で加熱した。LCMSは、反応の完了を示した。溶媒を減圧下で除去した。残留物をジクロロメタンと水との間で分配した。有機相を「相分離」カラム(Biotage)に通して乾燥させ、減圧下で濃縮して、白色のフォームとして、5-(4-クロロ-フェニル)-1-(2-クロロ-フェニル)-4-(N-ヒドロキシカルバムイミドイルメチル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸[(R)-1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-アミド[E1]を得た(53mg;0.088mmol;88.5%)。更なる精製をせずに使用された。UPLC/MS(方法F):RT=1.10分;ES+ = 576.4(M+H)+
【0123】
冷却(0℃)した無水テトラヒドロフラン中の[E1](53mg;0.088mmol)溶液(1ml)に、トルエン中20%WTのホスゲン(45.97μl;0.088mmol)を加えた。反応混合物を0℃で5分間及び室温で15分間撹拌すると、白色沈殿物が形成された。LCMSは、SM[E1]の活性化された中間体への〜50%の変換を示した。次いで、反応混合物を5分間マイクロ波で100℃に加熱すると、LCMSは、中間体の要求生成物への完全な変換を示した。反応混合物を室温に冷却し、2日間静置すると、白色沈殿物が形成された。沈殿物を濾去し、濾液を減圧下で濃縮した。沈殿物のLCMSは、主にSM[E1]を示した。濾液をprepLCMS(方法E)により精製して、白色固形物として、表題化合物[1.01]を得た(6mg;0.0095mmol;10.8%)。1H NMR (300MHz.,DMSO):1.49 (d,3H);3.94 (q,2H);5.22 (quint.,1H);7.25 (d,2H);7.42 (d,2H);7.48-7.72 (m,8H);8.95 (d,1H);12.12 (s,1H)。LCMS(方法A):RT = 3.34分 API-ES,Pos,602.0 (M+H)+。UPLC/MS(方法F):RT=1.41分;ES+ = 602.0 (M+H)+
【0124】
一般式[2]の化合物
【化26】

(式中、R5及びR8は水素である)。
【0125】
【表2】

【0126】
合成:
【化27】

【0127】
式[K]の化合物を、上記スキーム3に記載のように製造した。
エタノール中のニトリルに、水酸化ナトリウム(6当量)を加え、混合物を還流に一晩加熱した。冷却後、白色の二ナトリウム塩沈殿物を濾過し、エタノールで2回洗浄し、真空デシケーター中で一晩乾燥させた。次いで、固形物を水に加え、4N HClで酸性化し、固体生成物を濾去し、真空デシケーター中で72時間乾燥させて、二酸[G]を得た。トルエン中のこの生成物に、ピリジン(0.05当量)及び無水酢酸(1.1当量)を加え、反応物を室温で一晩撹拌した。更なる量のピリジン(0.025当量)及び無水酢酸(0.5当量)を加え、反応物を室温で2時間、続いて50℃で45分間撹拌した。次いでエタノールを加え、反応物を室温で48時間撹拌し、減圧下で濃縮し、残留物をエタノールからの再結晶化により精製して、モノエステル[H]を得た。式[H]の化合物を、適切なアミンR3NHR4及びカップリング試薬を用いる周知の方法により式[I]の化合物へと変換した。式[I]の化合物を、還流エタノール中においてヒドラジン一水和物(2当量)で処理した。混合物をジクロロメタンで抽出した(×3)。有機相を併せ、乾燥させ、減圧下で濃縮して、式[J]の化合物を得た。
【0128】
式[K]の化合物を、式[J]の化合物とテトラヒドロフラン中20%のホスゲン/トルエン(1当量)とを0℃にて15分間、次いで室温で1時間反応させることによって合成した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をジクロロメタンで抽出した(×2)。有機相を併せ、乾燥させ、減圧下で濃縮して、分取LCMS又はシリカゲルによる精製後に式[K]を得た。
【0129】
化合物2.01
スキーム4に概説される手順に従って製造した:
【化28】

【0130】
式[B1]の化合物を上記スキーム2に記載のように製造した。
1-(2-クロロ-フェニル)-5-(4-クロロ-フェニル)-4-シアノメチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸[B1](30g,0.8mol)に、水酸化ナトリウム(19g,4.8mol)、エタノール(250ml)及び水(150ml)を加えた。反応混合物を還流に一晩加熱した。加熱を除き、反応混合物を室温にした。形成した沈殿物を収集し、エタノールで洗浄し、エクシケーター(exicator)内で一晩乾燥させた。ナトリウム塩を水中(400ml)に溶解し、粘性物質(gum)の形成を回避するために広範に撹拌しながらHCl(4N)を加え、沈殿物を収集し、真空オーブン内で乾燥させて、27g(0.7mol,86%)の4-カルボキシメチル-1-(2-クロロ-フェニル)-5-(4-クロロ-フェニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸[G1]を得た。LCMS(方法A):RT=2.1分;ES+ = 390.9(M+H)+
【0131】
[G1](19g,49mmol)を、N2-雰囲気下でトルエン(80ml)に溶解し、撹拌しながらピリジン(0.39mL,4.9mmol)を加え、その後、無水酢酸(5.05ml,53mmol)を滴下した。反応物を室温で一晩撹拌しながら放置した。LCMSによれば反応は完全ではなかったので、反応物を3時間35℃に加熱した。反応は依然として完全ではなかったので、加熱を除き、更に無水酢酸(0.5当量)及びピリジン(0.05当量)を加えた。反応混合物を一晩撹拌しながら放置した。エタノール(100ml)を加え、反応物を室温にて3日間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をエタノール(75ml)及び熱水(35ml)から再結晶化させて約20gを得た。この結晶は純粋ではなかったので、生成物を更に2回再結晶化させて、11.37g(56%)の1-(2-クロロ-フェニル)-5-(4-クロロ-フェニル)-4-エトキシカルボニルメチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸[H1]を得た。UPLC/MS(方法F):RT=1.10分;ES+ = 576.4(M+H)+1H NMR (300MHz.,CDCl3):1.27 (t,3H);3.80 (s,2H);4.19 (q,2H);7.16 (d,2H),7.27-7.47 (m,8H)。
【0132】
エステル[H1](12g,29mmol)をジクロロメタン(120ml)中に溶解し、0℃に冷却した。この懸濁液に、塩化オキサリル(5ml,57mmol)及びジメチルホルムアミド(0.05ml)を加え、冷却浴を除去した。懸濁液はますます溶解性になり、3時間後に再び固形物が見えるようになった。LCMSで出発物質がいくらか現れたので、更に塩化オキサリル(0.5ml,0.2当量)を添加した。この添加により反応は完全となり、溶媒を減圧下で除去した。いくらかの分子篩を含有するフラスコ内に、4-(2-フルオロフェニル)ピペリジンヒドロクロリド(7.4g,34mmol)、DIPEA(6ml)及びジクロロメタン(60ml)を加えた。この混合物を0℃に冷却し、ジクロロメタン(60ml)に溶解した酸塩化物を滴下漏斗から加えた。反応混合物を一晩撹拌した。分子篩を濾去し、反応混合物をジクロロメタンで抽出した(×3)。併せた有機相をNaHCO3(飽和)で抽出し、塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、蒸発して15gの粗エステルを得た。この粗生成物を短シリカカラム(short silica colon)(EtOAc/ヘプタン、1:4の後1:1)で精製し、生成物を含有する画分をプールし、EtOAc(45ml)及びヘプタン(80ml)で再結晶化して、9.1gの[1-(2-クロロ-フェニル)-5-(4-クロロ-フェニル)-3-[4-(2-フルオロ-フェニル)-ピペリジン-1-カルボニル]-1H-ピラゾル-4-イル]-酢酸エチルエステル[I1]を得た。母液を減圧下で濃縮し、EtOAC及びヘプタンで再結晶化することにより精製して、更に1.7gの[I1]を得た。LCMS(方法A):RT = 3.6分。ES+ = 580.1 (M+1)+1H NMR (300MHz.,CDCl3):1.28 (t,3H);1.72-2.04 (m,4H);2.91 (t,1H);3.21 (tt,1H);3.31 (t,1H);3.72 (AB-q,2H);4.18 (q,2H);4.78 (d,1H);4.91 (d,1H);7.00-7.44 (m,8H)。
【0133】
化合物[I1](105mg,0.18mmol)をエタノール(1.2ml)に溶解し、ヒドラジン(10μl,0.18mmol)を加えた。フラスコを密封し、一晩還流に加熱した。LCMSが出発物質のみを示したので、2回目の等量のヒドラジン(10μl,0.18mmol)を加え、週末をまたいで(over weekend)反応物を還流した。水を反応物に加え、その後、ジクロロメタンで抽出した(2×)。併せた有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、108mgの粗生成物[J1]を得た。これを更なる精製をせずに使用した。UPLC/MS(方法F):RT = 1.27分。ES+ = 566.4 (M+1)+
【0134】
粗製[J1]をTHF(1ml)に溶解し、0℃に冷却した。ホスゲン(トルエン中20%,20μL)を加え、反応物を0℃で15分間、その後室温で1時間、撹拌した。この粗生成物をCH2Cl2/水で抽出し、併せた有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて粗生成物を得た。粗生成物のいくらか(25mg)を、prepLCMS(方法E)により精製して、白色固形物として表題化合物[2.01]を得た(5.88mg;0.0099mmol;5.5%)。UPLC/MS(方法F):RT=1.34分;ES+ = 592.4 (M+H)+1H NMR (300MHz.,DMSO-d6):1.52-1.92 (m,4H);2.88 (t,1H);3.08-3.34 (m,2H) 水シグナルによって覆い隠された);3.89 (AB-q,2H);4.46 (d,1H);4.67 (d,1H);7.10-7.15 (m,1H);7.16 (d,1H);7.21-7.31 (m,3H);7.35 (t,1H);7.40-7.53 (m,4H);7.58 (dd,1H);7.66 (dd,1H);12.07 (br s,1H)。
【0135】
化合物2.02
化合物2.01の製造について記載したものと同一のスキーム4に概説される手順に従って製造した:
【化29】

【0136】
式[I2]の化合物を、[H1]及び(R)-1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチルアミンを用いて、スキーム4に記載されるように製造した。
【0137】
一般式[3]の化合物
【化30】

(式中、R5及びR8は水素である)。
【0138】
【表3】

【0139】
合成:
【化31】

式[M]の化合物を上記スキーム5に記載されるように製造した。
【0140】
式[L]の化合物を、周知の手順に従う塩基性媒体中での式[I]の化合物の加水分解により分離した。式[L]の酸を、例えば4-(ジメチルアミノ)ピリジン(1.7当量),1-エチル-3(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(2当量)及びジイソプロピルエチルアミン(3当量)を用いる処理で反応性中間体へと変換し、ジクロロメタン中で適切なアルキルスルホンアミド(2当量)と反応させて、SAXカラム(Biotage)での精製後に、式[M]の化合物を得た。
【0141】
化合物3.01
スキーム6に概説される手順に従って製造した:
【化32】

式[I1]の化合物を上記スキーム4に記載されるように製造した。
【0142】
実施例2.01に記載したエステル[1-(2-クロロ-フェニル)-5-(4-クロロ-フェニル)-3-[4-(2-フルオロ-フェニル)-ピペリジン-1-カルボニル]-1H-ピラゾル-4-イル]-酢酸エチルエステル[I1](12.3g,21.2mmol)に、THF(100ml)、水(100ml)、及び水酸化リチウム(9g,214mmol)を加えた。反応物を一晩撹拌した。有機溶媒を減圧下で除去し、残る水相を2M HClで酸性化し、その後EtOAcで抽出した(2×)。併せた有機相を、水及び塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、11.5gの粗生成物を得た。EtOAc及びヘプタンからの反復再結晶化により、7.8gの純粋な[1-(2-クロロ-フェニル)-5-(4-クロロ-フェニル)-3-[4-(2-フルオロ-フェニル)-ピペリジン-1-カルボニル]-1H-ピラゾル-4-イル]-酢酸[L1]を得た。LCMS(方法A):RT = 3.5分。ES+ = 552.1 (M+1)+。300 MHz (CDCl3):1.80-2.12 (4H,m),3.02 (1H,dt),3.20-3.43 (2H,m),3.60 (2H,q),5.01 (1H,d),5.20 (1H,d),7.01-7.54 (12H,m),及び 14.48 (1H,br s)。
【0143】
ジクロロメタン(0.5ml)中の、[L1](100mg;0.18mmol)、4-(ジメチルアミノ)ピペリジン(37.6mg;0.31mmol)、1-エチル-3(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(69.4mg;0.36mmol)及びメタンスルホンアミド(34.44mg;0.36mmol)の混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(90μl;0.54mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌したところ、LCMSは、要求生成物への[L1]の完全な変換を示した。混合物を、1N HCl水溶液で洗浄し、有機相を乾燥させ、減圧下で蒸発させて、110mgの粗物質を得た。これを、溶離液としてジクロロメタンを使用するSAXカラムで精製して、表題化合物[3.01]を得た(54mg;0.085mmol;47.4%)。LCMS(方法A):RT = 3.39分 API-ES,Pos,629.0 (M+H)+
【0144】
化合物3.02
化合物3.01の製造について記載したものと同一のスキーム6aに概説される手順に従って製造した:
【化33】

式[I2]の化合物を、[H1]及びメチル-[(R)-1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-アミンを用い、スキーム4に記載されるように製造した。
【0145】
一般式[4]の化合物
【化34】

(式中、R5及びR8は水素である)。
【0146】
【表4】

【0147】
合成:
【化35】

【0148】
式[N]の化合物を、アルキルスルホンアミドの代わりにシアナミド(CN-NH2)を用い、式[M]の化合物の合成について記載したものと同一の手順に従って、上記スキーム7に記載のように製造した:
【0149】
化合物4.01
スキーム8に概説される手順に従って製造した:
【化36】

式[L1]の化合物を上記スキーム6に記載されるように製造した。
【0150】
ジクロロメタン(0.5ml)中の[L1](100mg;0.18mmol)、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(26.54mg;0.22mmol)、1-エチルl-3(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(48.58mg;0.25mmol)及びシアナミド(15.22mg;0.36mmol)の混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(60μl;0.36mmol)を加えた。反応混合物を室温にて一晩撹拌したところ、LCMSは要求生成物への[L1]の完全な変換を示した。混合物を1N HCl水溶液で洗浄し、有機相を乾燥させ、減圧下で蒸発させて、110mgの粗製物質を得た。これを、溶離液としてジクロロメタンを使用するSAXカラムで精製して、表題化合物[4.01]を得た(43mg;0.114mmol;63.2%)。LCMS(方法A):RT = 3.3分 API-ES,Pos,576.0 (M+H)+
【0151】
化合物4.02
化合物4.01の製造について記載したものと同一のスキーム8aに概説される手順に従って製造した:
【化37】

式[L2]の化合物をスキーム6aに記載されるように製造した。
【0152】
化合物4.03
化合物4.01の製造について記載したものと同一のスキーム8bに概説される手順に従って製造した:
【化38】

【0153】
式[L3]の化合物を、スキーム7に記載されるように[I3]から製造した。
式[I3]の化合物を、[H1]及び4-(3,5-ジフルオロ-フェノキシ)-ピペリジンを用い、スキーム4に記載されるように製造した。
【0154】
一般式[5]の化合物
【化39】

(式中、R5及びR8は水素である)。
【0155】
【表5】

【0156】
合成:
【化40】

式[Q]の化合物を上記スキーム9に記載されるように製造した。
【0157】
式[C]の化合物をスキーム1に記載されるように製造した。式[O]の化合物を、1当量のLDAでの[C]の処理と、続く−78℃の無水THF中の1.5当量のブロモ酢酸エチルでのアルキル化により合成した。式[O]のアルキル化化合物を、熱い(80℃)濃H2SO4/酢酸混合物と短時間(10分間)反応させることにより、式[P]のアミドへと変換した。
【0158】
室温のTHF/水混合物中でLiOHと式[P]のアミドとを反応させることにより、式[Q]の環式化合物へと完全に変換させた。
【0159】
化合物5.01
スキーム10に概説される手順に従って製造した:
【化41】

式[C2]の化合物を、[B1]及びメチル-[(R)-1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-アミンを用い、スキーム1に記載されるように製造した。
【0160】
LDAを、アルゴン雰囲気下で、乾燥THF(3ml)中のジイソプロピルアミン(97ul,0.69mmol)の冷却(−20℃)溶液に、ヘキサン(230ul,0.57mmol)中の2.5Mブチルリチウムを加えることにより製造した。20分間の撹拌後、この混合物を、アルゴン雰囲気下で、乾燥THF(2ml)中の[C2](320mg,0.57mmol)の冷却(−78℃)溶液に加えた。反応混合物を、−78℃で30分間撹拌した。ブロモ酢酸エチル(95.5ul,0.86mmol)を加え、反応混合物を−78℃で1時間撹拌した。次いで、反応混合物を14時間にわたり徐々に5℃まで暖め、完全に反応させた(worked-up)。飽和NH4Cl水溶液を加え、反応混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機相を、MgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、茶色のオイル(350mg)を得た。式[O1]の粗化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シリカ:12g;ローディング:CH2Cl2溶液(5ml);溶出:Hept./EtOAcアイソクラチック:1/1);画分サイズ:10ml)により精製して、淡黄色のオイルを得た(239mg)。TLCは、唯一のUV活性スポットを示したが、UPLC/MS(方法F)は、未同定不純物と[O1]にそれぞれ対応する、Rt = 1.47分及び1.51分(〜40/60)の2つのピークを示した。式[O1]の夾雑化合物を更なる精製をせずに使用した。
【0161】
酢酸(0.5ml)中の[O1](239mg,0.37mmol)溶液を60℃に加熱した。濃硫酸(0.3ml)を加え、反応混合物を10分間80℃に加熱した。冷却後、反応混合物を完全に反応させた(worked-up)。反応混合物を氷上に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機相を、MgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、淡黄色のオイルを得た(100mg)。式[P1]の粗化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シリカ:4g;ローディング:CH2Cl2溶液(2ml);溶出:Hept./EtOAcアイソクラチック:1/1、その後4/1);画分サイズ:3ml)により精製して、式[P1]の化合物を得た(37mg,15%)。[P1]は未同定不純物が混入していた。[P1]を更なる精製をせずに使用した。
【0162】
THF/H2O(1ml,1/1)混合物中の[P1](37mg,0.06mmol)のスラリーに、水酸化リチウム一水和物(9.39mg,0.22mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌したところ、LCMSは、スクシンイミド[5.01]への完全な変換を示した。反応混合物を減圧下で濃縮してTHFを除去した。水相を1NのHCl水溶液でpH = 1〜2まで酸性化し、ジクロロメタンで抽出した。有機相を相分離カラム(Biotage)に通して乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製の[5.01]を得た。これを分取LCMS(方法E)により精製して、白色固形物として精製[5.01]を得た(23mg,67%)。
【0163】
一般式[6]の化合物
【化42】

(式中、R5及びR8は水素である)。
【0164】
【表6】

【0165】
合成:
【化43】

【0166】
式[I]の化合物を、上記スキーム3に記載のように製造した。エステルを、エタノール中で水素化ホウ素ナトリウム(16当量)により式[R]の一級アルコールへと還元し、その後、アルコールをデス-マーチン試薬(2当量)で酸化して、式[S]のアルデヒドを得た。次いで、このアルデヒドを、エタノール及び水中で、炭酸アンモニウム(9当量)及びシアン化カリウム(5当量)を用いてヒダントインへと変換して、最終生成物[T]を得た。
【0167】
化合物6.01
スキーム12に概説される手順に従って製造した:
【化44】

式[I1]の化合物を上記スキーム4に記載されるように製造した。
【0168】
エタノール(12ml)中の[l1](307mg,0.53mmol)の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(320mg,8.5mmol)を加え、懸濁液を室温で撹拌した。反応に続いてUPLCを行ったが、2日後に依然としていくらかの出発物質が残っていたので、反応物を撹拌し続けながら、更にエタノール及び水素化ホウ素ナトリウムを2度加えた。反応は決して完了しなかった。1週間の撹拌後に、反応混合物を水に続くNH4Cl(水溶液)の添加によってクエンチした。反応混合物を、ジクロロメタン(2×30ml)で抽出し、塩水(20ml)で洗浄した。併せた有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、310mgの粗生成物[R1]を得た。この粗生成物を、クロマトグラフィー(シリカ、EtOAc:ヘプタン,1:1)により精製し、50mgの[1-(2-クロロ-フェニル)-5-(4-クロロ-フェニル)-4-(2-ヒドロキシ-エチル)-1H-ピラゾル-3-イル]-[4-(2-フルオロ-フェニル)-ピペリジン-1-イル]-メタノン[R1]及び180mgの生成物[R1]及び出発物質[L1]180mgを得た。UPLC/MS(方法F):Rt = 1.35分 (M+1)+ =538.1。
【0169】
[R1](50mg,0.09mmol)を、窒素下で乾燥フラスコ中に入れ、乾燥ジクロロメタン(1ml)に溶解し、そこにデス-マーチンペルヨージナン(79mg,0.19mmol)を加えた。室温で15分間の撹拌後、UPLCMSに生成物のピークが見えたが、更にいくらかのデス-マーチン試薬を加えても、反応は完了しなかった。反応混合物を、ジクロロメタン(10ml)で抽出し、1:1の10% Na2S2O3:飽和NaHCO3(10ml)に続いて水及び塩水で洗浄した。有機相を、相分離カラム(Biotage)に通して乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製の[1-(2-クロロ-フェニル)-5-(4-クロロ-フェニル)-3-[4-(2-フルオロ-フェニル)-ピペリジン-1-カルボニル]-1H-ピラゾル-4-イル]-アセトアルデヒド[S1]を得た。UPLC/MS(方法F):Rt = 1.44分 (M+1)+ =536.0。この粗製物質を次工程で直ぐに使用した。
【0170】
形成した中間体[S1]、炭酸アンモニウム(80mg,0.84mmol)及びシアン化カリウム(30mg,0.46mmol)をエタノール(1ml)及び水(1ml)中で混合した。フラスコを密閉し、75℃で一晩加熱した。反応混合物を水中に注ぎ、1M HClでpH = 5に調整した後、EtOAcで抽出した(2×10ml)。併せた有機相を、MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、169mgの粗ヒダントインを得た。30mgの粗生成物を分取LCMS(方法E)により精製して、精製5-[1-(2-クロロ-フェニル)-5-(4-クロロ-フェニル)-3-[4-(2-フルオロ-フェニル)-ピペリジン-1-カルボニル]-1H-ピラゾル-4-イルメチル]-イミダゾリジン-2,4-ジオン[6.01]を得た。UPLC/MS(方法F):Rt = 1.26分 (M+1)+ = 606.0。
【0171】
化合物6.02
化合物6.01の製造について記載されたものと同一のスキーム12に概説される手順に従って製造した:
【化45】

式[I2]の化合物をスキーム4aに記載されるように製造した。
【0172】
一般式[7]の化合物
【化46】

(式中、R5及びR8は水素である)。
【0173】
【表7】

【0174】
合成:
【化47】

【0175】
式[Z]の化合物をスキーム13に概説される手順に従って製造した。置換フェニルヒドラジンを、エタノール中塩基(例えば、炭酸カリウム(2当量))の存在下で、ジエチルアセチレンジカルボン酸と反応させ、還流のために加熱して、ピラゾール[U]を形成した。還流の間に、このピラゾール[U]をN,N-ジメチルホルムアミド(1.2当量)及びオキシ塩化リン(12当量)と反応させ、式[V]の化合物を得た。エステル官能性を水酸化ナトリウムで加水分解し、得られたカルボン酸[W]を、先ず塩化オキサリルと酸塩化物を形成させた後にアミン及び非求核性塩基を加えることによりアミドカップリングに供して、[X]を得た。その後、触媒量のパラジウムテトラキス及び置換ボロン酸を用いて、鈴木反応を起こさせて、中間体[Y]を得た。エタノール/水中で炭酸アンモニウム(6当量)及び炭酸カリウム(3当量)を用いる還流により、アルデヒドをヒダントインへと変換することによって最終生成物[Z]を合成した。
【0176】
化合物7.01
スキーム14に概説される手順に従って製造した:
【化48】

【0177】
フラスコ中に、2-フルオロフェニルヒドラジンヒドロクロリド(12.2g,75mmol)、ジエチルアセチレンジカルボン酸(12.8g,75mmol)、炭酸カリウム(20.7g,150mmol)及びエタノール(200ml)を入れ、得られたスラリーを還流で5時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、水(400ml)で希釈し、2M塩酸で注意深く酸性化した。混合物を2時間撹拌し、次いで、得られた浮遊固形物を濾過により収集し、水(3×50ml)で洗浄し、減圧下で乾燥して、11.4gの5-クロロ-1-(2-フルオロ-フェニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチルエステル[U1]を得た。1H NMR (300MHz.,DMSO):δ 1.29 (3H,t),4.25 (2H,q),5.92 (1H,s),7.34-7.60 84H,m),11.90 (1H,s,br)。LCMS(方法A):RT = 1.75分,(M+H)+= 251。
【0178】
N,N-ジメチルホルムアミド(4.6ml,59mmol)を、室温下で、POCl3(55ml)中[U1](12.4g,50mmol)の撹拌溶液に滴下で加えた。混合物を4時間還流に加熱したところ、LCMSは、完全な変換を示した。混合物を室温に冷却し、得られたシロップを氷/水(約1l)に滴下で加えた。混合物を2時間撹拌したところ、自由流動性懸濁物を得た。得られた固形物を濾過により収集し、水で洗浄し、減圧下で乾燥させて、5-クロロ-1-(2-フルオロ-フェニル)-4-ホルミル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチルエステル[V1]を得た(15.01g,102%)。1H NMR (300MHz.,CDCl3):δ 1.44 (3H,t),4.50 (2H,q),7.28-7.38 (2H,m),7.50 (1H,t),7.55-7.63 (1H,m),10.55 (1H,s)。LCMS(方法A):RT = 2.43分 (M+H)+ 297。
【0179】
2M水酸化ナトリウム溶液(50ml)を、THF(250ml)に溶解した[V1]の撹拌溶液に加えた。メタノール(30ml)を加えて均質な溶液を得た。2時間後、LCMSは反応の完了を示した。混合物を水(250ml)で希釈し、酢酸エチル(250ml)で抽出した。有機相を、1M水酸化ナトリウム溶液(100ml)で抽出した。併せた水性抽出物を、4M塩酸で酸性化し、酢酸エチル(2×250ml)で抽出した。有機相をMgSO4で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して、10.15gの5-クロロ-1-(2-フルオロ-フェニル)-4-ホルミル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸[W1]を得た。1H NMR (300MHz.,DMSO):δ 7.49 (1H,t),7.61 (1H,t),7.71-7.79 (2H,m),10.36 (1H,s)。LCMS(方法A):RT = 1.73分,(M+H)+ 269/271。
【0180】
塩化オキサリル(0.19ml,2.2mmol)を、数滴のDMFを含有するジクロロメタン(3ml)中[W1](300mg,1.1mmol)の撹拌溶液に加え、2.5時間後に溶媒を減圧下で除去した。残留物をジクロロメタン(3ml)に溶解し、ジクロロメタン(3ml)中(R)-1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチルアミン(250mg,1.3mmol)及びトリエチルアミン(0.5ml)の撹拌溶液に滴下で加えた。反応混合物を一晩撹拌し、そこにNH4Cl(水溶液)(10ml)及びジクロロメタン(10ml)を加えた。有機層を相分離し、蒸発させて、540mgの粗生成物を得た。この生成物をクロマトグラフィー(予め充填されたシリカカラム(prepacked silica colon),10g,EtOAc:ヘプタン,1:3)により精製して、250mgの5-クロロ-1-(2-フルオロ-フェニル)-4-ホルミル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸[(R)-1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-アミド[Y1]を得た。
1H-NMR (DMSO):δ 1.51 (3H,d),5.25 (1H,q),7.45-7.84 (8H,m),9.35 (1H,d),10.35 (1H,s) ppm。UPLCMS(方法F) RT= 1.32、(M+1)+=440.0。
【0181】
[Y1](50mg,0.11mmol)、4-クロロフェニルボロン酸(23mg,0.15mmol)、Pd(PPh3)4(10mg)、2M炭酸ナトリウム溶液(0.1ml)、エタノール(0.23ml)及びDME(0.6ml)を混合し、フラスコをアルゴンで洗い流した。反応物をm.v.中で10分間150℃にて加熱した。反応物に1M NaOH(水溶液)(10ml)を加え、続いてジクロロメタン(2×10ml)で抽出した。併せた有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で溶媒を除去して、粗製の[Y1]を得た。この生成物を、クロマトグラフィー(シリカ,EtOAc:ヘプタン,4:1〜1:1)により精製して、完全には純粋でない34mgの物質を得た。これを更なる精製をせずに使用した。UPLC/MS(方法F):Rt = 1.42分,(M+1)+= 516.0。
【0182】
[Y1](34mg,0.07mmol)、炭酸アンモニウム(57mg,0.6mmol)及びシアン化カリウム(21mg,0.33mmol)をエタノール(1ml)及び水(1ml)中で混合し、還流に一晩加熱した。反応混合物を水(10ml)中に注ぎ、1M HClでpHをpH=5に調整した後、EtOAc(2×10ml)で抽出した。有機相を併せ、MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、34.6mgの粗生成物を得た。この粗製物質を分取LCMS(方法E)により精製し、2.79mgの純粋な[7.01]を得た。
1H NMR (DMSO)):δ 1.50 (3H,d),5.23 (1H,q),5.29 (1H,d),7.20-7.39 (4H,m),7.43-7.58 (3H,m),7.60-7.74 (5H,m),8.03 (1H,d),8.95 (1H,d),10.49 (1H,s)。UPLCMS(方法F) RT= 1.21,(M+1)+= 586.0。
【0183】
生物学的データ:
化合物を、下記の機能的カンナビノイド受容体-1アッセイで試験し、CB1受容体アゴニストとの拮抗についてのIC50値を評価した。化合物を3つのクラスに群分けした:
A:0.5μMより低いIC50
B:0.5μM〜5μMのIC50
C:5μMより高いIC50値。
【0184】
表1、2、3及び4は、上記のように合成した本発明の化合物についての結果を示す。
【表8】

【0185】
【表9】

【0186】
【表10】

【0187】
【表11】

【0188】
【表12】

【0189】
【表13】

【0190】
生物学的評価
トランスフェクション及び細胞培養−ヒトCB1(カンナビノイド受容体-1)受容体をコードするcDNA(GenBankアクセッション番号NM_016083)を、ヒト脂肪組織cDNAライブラリーからクローニングし、真核発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)にクローニングした。
【0191】
リポフェクタミンを製造業者の指示に従って用い、ヒトCB1受容体のコード配列を含有するプラスミドをCHO-K1細胞にトランスフェクトすることにより、組換えヒトCB1受容体を安定的に発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO-K1)を作製した。600μg/ml G418(Life technology)の存在下で、耐性クローンを選択した。安定的にトランスフェクトしたCHO-K1細胞を、10%胎仔ウシ血清(Invitrogen)、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン(Life Technology)及び600μg/ml G418を補ったHam's F-12培養培地(Invitrogen)で維持した。
【0192】
カンナビノイド受容体-1機能アッセイ
本発明の上記実施例の化合物の機能的活性を、ヒトCB1受容体を発現するCHO-K1細胞(トランスフェクション及び細胞培養に記載)から調製した膜への、CP55940により誘導される[35S]GTPγSの結合を阻害する能力を測定することにより、インビトロで評価した。CP55940は、周知の非選択性CB1及びCB2受容体アゴニストである(例えば、Felderら,1995,Molecular Pharmacology,(48)443-50)。膜は標準手順で調製した。簡潔には、細胞を、10mM EDTAを用いて採集し、遠心分離により回収した。ペレット化した細胞を、氷冷20mM Hepes(pH7.4)、10mM EDTA及びプロテアーゼ阻害剤(Complete protease inhibitor cocktail tablet、Roche)中でUltra Turrax Homogenizerを用いてホモジナイズした。ホモジネートを、14000rpmで45分間4℃にて遠心分離した。得られたペレットを同じ緩衝液であるが0.1mM EDTAのみを含むものに再懸濁し、14000rpmで45分間4℃にて再び遠心分離した。得られたペレット(膜)を、20mM Hepes(pH7.4)、0.1mM EDTA、2mM MgCl2及びプロテアーゼ阻害剤に再懸濁し、タンパク質濃度をMicro BCA Protein Assay Reagent Kit(Pierce Biotechnology)により製造業者の指示に従って決定した。[35S]GTPγS SPA(Scintillation Proximity Assay)結合アッセイを、ヒトCB1受容体を発現するCHO-K1細胞から調製した5μg/ウェルの膜を1nM [35S]GTPγS(Perkin Elmer - NEG 030H)と、3nMのCP55940及び種々の濃度の試験化合物の存在下で、室温にて1時間、96ウェルマイクロタイタープレートにおいてインキュベートすることにより行った。次いで、0.4mg/ウェルのSPAビーズ(PVT-WGA;RPNQ0001 Amersham Pharmacia Biotech)を加え、インキュベーションを更に30分間、軌道振盪機で継続した。アッセイ緩衝液は、50mM HEPES(pH7.5)、50mM NaCl、2.5mM MgCl2、0.1% BSA、1μM GDP及び100μg/mlサポニンを含有していた。マイクロタイタープレートを1500rpmで5分間遠心分離し、放射活性を、Topcounter(PerkinElmer Life Sciences)を用いて直ちに読み取った。データを分析し、IC50値を、非線形回帰により、Prismソフトウェア(GraphPad Software,San Diego)を用いて決定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
Xは、結合手、又は-C(R10)(R11)-*、-C(R10)(R11)-O-*、-C(R10)(R11)CH2-*、-C(R10)(R11)CH2-O-*、-CH2C(R10)(R11)-*、-CH2C(R10)(R11)-O-*及び-CH2-O-C(R10)(R11)-*から選択される二価基(式中、アスタリスクを付した結合手がピラゾール環に結合する)であり;
Zは、以下の式(1)〜(26):
【化2】

(式中、Rは、C1〜C6アルキル;R5で環置換されていてもよいフェニル若しくはベンジル;又は3〜6の環原子を有する単環式非芳香族炭素環である)の基からなる群より選択される基であり;
R3は、水素、(C1〜C3)アルキル又は(C1〜C3)フルオロアルキルであり;
R4は、式-(Alk1)p-(Q1)r-(L)s-Q2の基
(式中、
p、r及びsは、独立して0又は1であるが、但し、p、r及びsのうちの少なくとも1つは1であり;
Alk1は、(a)1つの炭素で、R10及び/又はR11により或いは1又は2個の任意置換基により置換されていてもよく、及び/又は(b)-O-、-S-、-CO-、-SO-、-SO2-若しくは-NR9-結合を含んでいてもよい、二価の(C1〜C4)アルキレン基であり;
Lは、いずれの向きでの式-(Alk2)n-(W)m-の二価基
(式中、
n及びmは、独立して0又は1であり;
Alk2は、-C(R10)(R11)-であり;そして
Wは、-CO-、-SO2-、-O-、-NR9-又は-SO-であるが;但し、W及び/又はAlk2がヘテロ原子に結合しているとき、Wは-O-でも-NR9-でも-SO-でもない)であり;
Q1は、3〜6の環原子を有する単環式炭素環、7〜10の環原子を有する二環式炭素環系、4〜6の環原子を有する単環式複素環又は8〜10の環原子を有する二環式複素環系であり、前記環又は環系はいずれも置換されていてもよく;
Q2は、(a)-(L)s-Q2中のsが0又は1である場合、3〜6の環原子を有する単環式炭素環、7〜10の環原子を有する二環式炭素環系、4〜6の環原子を有する単環式複素環若しくは8〜10の環原子を有する二環式炭素環系であり、前記環又は環系はいずれも置換されていてもよく;又は(b)-(L)s-Q2中のsが0である場合のみ、水素である)であるか;
或いはR3及びR4は、それらが結合する窒素と一緒になって、式-(L)s-Q2(式中、s、L及びQ2は、上記で定義したとおりである)の基により、又はヒドロキシ、メトキシ、-NH2-又はモノ-若しくはジ-(C1〜C3)アルキルアミノから選択される任意置換基により置換されていてもよい4〜7の環原子を有する環状アミノ環を形成し;
R5、R6、R7及びR8は、各々独立して、水素、-F、-Cl、-Br、-CN、(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)フルオロアルキル、シクロプロピル及び-OR9から選択され;
R9は、水素、(C1〜C3)アルキル、(C1〜C3)フルオロアルキル又は(C3〜C6)シクロアルキルであり;そして
R10は、水素、(C1〜C3)アルキル、ヒドロキシル又はNH2であり、R11は、水素又は(C1〜C3)アルキルであるか;或いはR10及びR11は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、(C3〜C5)シクロアルキル環を形成する)
の化合物、又はその塩、水和物、溶媒和物若しくはN-オキシド。
【請求項2】
-X-が、-CH2-、-CH2O-*又は-CH2OCH2-*(式中、アスタリスクを付した結合手がピラゾール環に結合する)である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R5、R6、R7及びR8が、独立して、水素、-F及び-Clから選択される請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R3が水素であり、基R4においてp及びsが0でありrが1である請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
R3が水素であり、基R4においてp及びrが1である請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
R4においてAlk1が-CH2-である請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
R4においてQ1が置換されていてもよい二価フェニル基である請求項4〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
R4においてQ2が水素又は置換されていてもよいフェニルである請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
環Q1及び/又は環Q2において1又は2個の任意環置換基が存在し、前記任意環置換基が、-F、-Cl、-Br、-CN、-CF3、-CH3、シクロプロピル及び-OCH3から選択される請求項4〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
環Q1及びQ2の一方又は両方が置換されていない請求項4〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
式(I)における基-C(=O)NR3R4が、以下の(A)〜(R)及び(X1)〜(X12):
【化3】

【化4】

(式中、
R10及びR11は、請求項1で定義したとおりであり;
R12は、水素、-CH3、-OH、-CN及び-COOHから選択され;
R13は、水素、-F、-CF3、-OCF3、-Br、-Cl、-OCH3、-CH3及び-CNから選択され;
R14は、水素、-F、-CF3、-OCF3、-Br、-Cl、-OCH3、-CH3、-CN及び-OHから選択され;
R15及びR16は、独立して、水素及び(C1〜C6)アルキルから選択されるか、又はR15及びR16は、それらが結合する窒素と一緒になって4〜7の環原子を有する環状アミノ環を形成し;
R17は、水素、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルキルC(=O)-、(C1〜C6)アルキルSO2-、ベンジルオキシカルボニル-及び-C(=O)OCH3から選択され;
R18は、水素、-F及び-CNから選択され;
R19は、水素、F、-CF3、-OCF3、-Br、-Cl、-OCH3、-CH3及び-CNから選択され;そして
R20は、水素、F、-CF3、-OCF3、-Br、-Cl、-OCH3、-CH3、-CN及び-OHから選択される)
からなる群より選択される請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物を、1又はそれより多い医薬的に許容される担体又は賦形剤とともに含む医薬組成物。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物の、CB1受容体シグナル伝達活性により媒介される疾患又は状態の治療のための使用。
【請求項14】
肥満、過体重の治療、肥満及び過体重に直接又は間接的に関連する疾患及び状態の治療のための請求項13に記載の使用。
【請求項15】
肥満及び過体重に直接又は間接的に関連する疾患が、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、心血管疾患、代謝性機能不全、代謝性疾患若しくは障害又は肝疾患である請求項14に記載の使用。
【請求項16】
摂食障害、嗜癖障害、精神障害、神経障害、性的機能不全、生殖機能不全、肝疾患又は線維症関連疾患の治療のための請求項13に記載の使用。
【請求項17】
CB1受容体シグナル伝達活性により媒介される疾患又は状態に罹患した対象に、請求項1〜11のいずれか1項に記載される化合物の有効量を投与することを含む、前記疾患又は状態を治療する方法。
【請求項18】
肥満、過体重、肥満及び過体重に直接又は間接的に関連する疾患及び状態に罹患した対象に、請求項1〜11のいずれか1項に記載される化合物の有効量を投与することを含む、前記疾患又は状態を治療するための請求項17に記載の方法。
【請求項19】
肥満及び過体重に直接又は間接的に関連する疾患が、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、心血管疾患、代謝性機能不全、代謝性疾患若しくは障害又は肝疾患である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
摂食障害、嗜癖障害、精神障害、神経障害、性的機能不全、生殖機能不全、肝疾患又は線維症関連疾患の治療のための請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2011−506410(P2011−506410A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537504(P2010−537504)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【国際出願番号】PCT/GB2008/004051
【国際公開番号】WO2009/074782
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(506312478)7ティーエム ファーマ エイ/エス (12)
【氏名又は名称原語表記】7TM PHARMA A/S
【住所又は居所原語表記】Fremtidsvej 3,DK−2970 Hoersholm,DENMARK
【Fターム(参考)】