説明

カーテン

【課題】例えば保温、遮音、遮光、遮熱等の様々な機能がカーテンに求められるとき、それらの機能を有する所定の膜状材の選択交換で着脱式に簡単に変更でき、また、簡単にクリーニングできるようにする。
【解決手段】室外側に配置する裏生地材1Aと、室内側に配置する表生地材1Bとで内外で二重になっているカーテン本体1と、このカーテン本体1の裏生地材1A、表生地材1B相互間の間隙に設けた着脱手段3によってカーテン本体1内に着脱自在に装入配置する膜状材2とから成る。着脱手段3は、裏生地材1A、表生地材1B相互の縫合部位に一体状に縫合して両生地材1A,1B相互間に配した係止支持帯部4と、膜状材2の上縁部に設けて、係止支持帯部4面に接合する止着片5とから成る。係止支持帯部4は、レース生地材、不織布から成り、止着片5は雄面ファスナーを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる二重カーテン例えば室内への外光を遮断するように表地の裏面に遮光性ある裏地を配した遮光カーテンにおいて、それらの表裏の生地部材の間に保温、遮音、遮光、遮熱性等がある各種の素材から成る膜状材を着脱自在に介在させることで、所定の機能を付与できるようにしたトリプル構造となるカーテンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一般家屋、ビルその他の建築物等には、開口部分である窓、出入口その他に室内外を仕切り、また室内等を適当に区画するように各種のカーテン類が取り付けられる。カーテン自体は、使用場所、使用目的等に対応して素通しタイプ、遮光タイプ、遮音タイプその他のタイプ・構成のもの、また室内装飾を兼ねて各種のもの等が使用され、必要に応じて二重、三重に重ねて設置されることもある。
【0003】
例えば特許文献1に示す二重カーテンが提案されており、これはレースカーテンの如き透光性のカーテンと非透光性のカーテンとが前後に重なり合って上端で結合されていて、室内側の非透光性カーテンの裾部が昇降コードによって上げ下げ自在に構成されているものである。これによると、昇降コードによる非透光性カーテン裾部の上げ下げによって透光性あるカーテン部分が露出されるようにして、室内側に外光を採り入れるようにすることができる。
【0004】
このようにカーテンは、異なる性能・作用等がある生地素材を表裏・内外で二重にすることで、二重カーテンとして構成されるのであり、その場合、室内側で要求される様々な仕様に応じて保温、遮音、遮光、遮熱性等がある各種の素材から成る生地材を室内側に配される表地として使用する。
【特許文献1】特開2000−201802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただ、このような保温等の仕様に応じて採用される裏地の生地材は、一般的なカーテン生地に比較して柔軟性に欠け、いわゆるゴワゴワした感触のものが殆どであり、例えば汚染・汚損した場合にクリーニングをするとしても簡単には洗浄できず、その手間は非常に面倒である。そればかりでなく、例えば室内側の事情で一時的にでも、保温、遮音、遮光、遮熱等に対する要求が生じると、それに対応した機能があるカーテンに交換したり、また、機能が異なる複数のカーテンを予め用意しておいて、それを一時的に選択して張り巡らしたりする等の対処が必要となる。
【0006】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、その目的は例えば保温、遮音、遮光、遮熱等の室内側で一時的にでも要請されるカーテンに求められる様々な機能をその膜状材の選択交換で着脱式に簡単に変更でき、また、汚染・汚損時でも簡単にクリーニングが可能な、いわゆるトリプル構造となるカーテンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、室外側に配置される裏生地材1Aと、同じく室内側に配置される表生地材1Bとで内外で二重になっているカーテン本体1と、このカーテン本体1の裏生地材1A、表生地材1B相互間の間隙に設けた着脱手段3によってカーテン本体1内に着脱自在に装入配置される膜状材2とから成ることを特徴とする。
着脱手段3は、裏生地材1A、表生地材1B相互の縫合部位に一体状に縫合されることで両生地材1A,1B相互間に配された係止支持帯部4と、膜状材2の上縁部に設けられて、係止支持帯部4面に接合する止着片5とから成るものとすることができる。
係止支持帯部4は、レース生地材、不織布から成り、止着片5は雄面ファスナーを備えることができる。
【0008】
以上のように構成された本発明に係るカーテンにあって、カーテン本体1内に設けた着脱手段3によって膜状材2をカーテン本体1における裏生地材1A、表生地材1B相互間の間隙内に装入配置させる。この装入配置によって、カーテン本体1には膜状材2が有する機能、例えば保温性、遮音性、遮光性、遮熱性等の所定の機能を付加させる。
カーテン本体1の上部に配した係止支持帯部4と、膜状材2の上縁部に設けた止着片5とから成る着脱手段3は、膜状材2をカーテン本体1内に着脱自在に装入配置させることで、それぞれの膜状材2が有する機能の選択、交換等を可能にさせ、更にはその取り外しで裏生地材1A、表生地材1Bのみのカーテン本体1のクリーニング等を容易にさせる。 レース生地材、不織布から成る係止支持帯部4は、雄面ファスナーを備える止着片5を接合させ、その接合は強固、安定的であり、膜状材2をカーテン本体1内に確実に支持させ、いわゆるトリプルカーテンを構成させ、カーテン本体1が本来備えている、すなわち表生地材1B自体の体裁性を損なわせない。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上説明したように構成されているため、例えば一般家屋等の窓等の開口部において、例えば室内側で外部とは異なる保温、遮音、遮光、遮熱等が要求される場合、その開口部に取り付けられるカーテンにおいて一時的にでもそれらの要請に対応できる。すなわち、各機能が備えられている膜状材2を選択し、この選択された膜状材2をカーテン本体1内に着脱手段3によって装入配置すればよく、しかも様々な機能を備えた膜状材2の選択交換で着脱式に簡単に変更できる。また、カーテン本体1が汚染・汚損された場合、クリーニング処理が困難な膜状材2であってもその取り外しによってカーテン本体1自体を簡単にクリーニングできる。
【0010】
すなわち、これは本発明において、裏生地材1Aと表生地材1Bとで内外で二重になっているカーテン本体1と、このカーテン本体1の裏生地材1A、表生地材1B相互間の間隙に設けた着脱手段3によってカーテン本体1内に着脱自在に装入配置される膜状材2とから成るからであり、膜状材2の適宜な選択によるカーテン本体1に対する所定の機能の付与、カーテン本体1自体が有する良好な体裁性の維持、クリーニングの容易化等を得ることができる。
【0011】
また、着脱手段3における係止支持帯部4は、レース生地材、不織布から成るものとし、止着片5を雄面ファスナーを備えたものとすることで、膜状材2は、止着片5が係止支持帯部4に面ファスナーにおける雌雄面の接合作用と同様な面接合力で接合できるから、膜状材2自体が、重量的に嵩張るものとなっていてもカーテン本体1内に確実、安定的に支持できる。
【0012】
係止支持帯部4としてレース生地材、不織布等とすることで、これらはカーテン本体1の上辺部分の全域に設けられるとしても係止支持帯部4を安価に形成でき、膜状材2を装入配置するときの係止支持帯部4に対する止着片5の面接合位置を制限させずに自由に行うことができ、使い勝手にも優れる。また、係止支持帯部4は、裏生地材1A、表生地材1B相互の縫合部位に一体状に縫合されるに際し、レース生地材、不織布等であれば容易に行うことができ、この点でも便利である。
【0013】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図面を参照して本発明を実施するための最良の一形態を説明する。図において示される符号1は例えば家屋・マンション等の建築構造物における開口部の窓等に取り付けられるカーテン本体である。このカーテン本体1は、例えば室外側に配置されるやや肉厚の裏生地材1Aと、同じく室内側に配置される表生地材1Bとが、相互間に所定の空隙部分を形成することで内外で二重になった状態で、例えばそれぞれの上辺部分を一体縫製する等によって一体にすることで形成されている。また、カーテン本体1の上縁には、カーテンレール等におけるカーテンランナーに連繋させてカーテン本体1を吊り下げるためのカーテンフックを係止させるプリーツ(ドレープ)が形成されている。
【0015】
裏生地材1Aは例えば遮光性に優れた遮光性生地材にて形成され、表生地材1Bは室内側に露出されることから表面では例えば無模様としたり、装飾性が豊かな各種の模様等が表現されていたりしており、両生地材1A,1Bそれぞれはクリーニングが容易な、例えば柔軟性ある素材によって形成されていることが望ましい。もとより、表生地材1Bとして、遮光性、遮音性、保温・断熱性、遮熱性等のそれぞれに要求される機能性・特殊用途に対応した素材とされることで、裏生地材1Aとのコンビネーションによって所定機能のカーテン本体1として形成されることもある。
【0016】
このカーテン本体1における裏生地材1A、表生地材1B相互間の間隙内には、カーテン自体に付加する所望の目的に対応した機能性を備えたいわば第3のカーテン生地素材となる膜状材(スクリーン材)2が着脱手段3によって着脱自在に装入配置されることで、いわば三重カーテンとなって形成される。この膜状材2は、上述したように遮光性、遮音性、保温・断熱性、遮熱性等のそれぞれの機能性・特殊用途に対応した素材によって形成されており、例えばクリーニング時にはカーテン本体1から膜状材2を取り外すとするから、クリーニング時の洗浄方法その他を考慮することなく所定の機能性等に対応した素材の選定を可能にする。
【0017】
例えば遮光性、遮音性、保温・断熱性、遮熱性等を考慮して相当に肉厚な布地によるものとしたり、遮音性、保温・断熱性、遮熱性等を考慮して塩化ビニール樹脂等の合成樹脂製シート材、所定量の空気を封入した多数の小突部を配列して成り、通常は各種物品保護のための緩衝用として使用されている二重シート材、保温・断熱性、遮熱性等を考慮して例えばアルミニウムコーティング処理が表面に施された布地等である。いずれにしても、膜状材2の素材は特に限定されず、場合によっては剛性ある素材によることもあり、所望の目的に対応した機能性を備えた素材から選択使用される。ただ、開口部を開放する等の場合に例えば横引きされるときのカーテン本体1の横引き折り畳みを阻害しないような素材が一般的には考慮される。
【0018】
この膜状材2をカーテン本体1内に着脱自在に装入配置させる着脱手段3は、カーテン本体1に取り付けたレース生地製、不織布製の係止支持帯部4と、膜状材2の上縁部に取り付けられ、係止支持帯部4に面接合係止する雄面ファスナー材製の止着片5とから成る。尚、着脱手段3をカーテン本体1外側面に設けることで、膜状材2をカーテン本体1と重ねて使用することも可能である。
【0019】
係止支持帯部4は、雄面ファスナーが接合される雌面ファスナーの機能を備えている雌面態様に形成されていれば足り、上述のようにレース生地、不織布に限定されず、雌面ファスナー自体であっても差し支えない。すなわち、係止支持帯部4は、雄面ファスナー部分におけるいわゆる無数の小さいフックが、この雄面ファスナー自体が押圧されることでレース生地材、不織布等に存する粗面、空隙・穴、凹部等に係止し、係止支持帯部4からは容易に離反・抜脱されない程度の止着保持性を有すれば足りる。尚、この係止支持帯部4は所定のレース生地材、不織布等を利用することで、例えば雄面ファスナー材に係止する雌面ファスナー材に比し安価に形成できる利点を備えている。
【0020】
また、この係止支持帯部4は、カーテン本体1における裏生地材1A、表生地材1Bの上辺部を縫合するときの両者間に挟み込むようにし、例えば係止支持帯部4自体の下縁部を縫合部分から下方に向けて露出させるように突出させてある。そして、図示のように、この係止支持帯部4自体は、カーテン本体1における上縁部分の全域に渡って配置されており、カーテン本体1における上縁部分のいずれの部位にも止着片5が接合できるようにしてある。
【0021】
一方、止着片5は、膜状材2における上縁部に所定間隔を隔てて、上縁部から上方に突出するように複数にして例えば縫着、接着その他によって配列固定してあり、止着片5自体は所定幅員の帯状・リボン状に形成されており、表裏のいずれかの側面を面ファスナーにおける無数のフックを備えた雄面となるように形成してある。
【0022】
この止着片5における雄面ファスナーは、膜状材2に止着片5が部分的にでも重ねられて縫合等されるとき、その露出面全域に形成されていることで係止支持帯部4に対して広い面積で接合でき、連結安定性を向上し得る。
【0023】
尚、図示例にあっての係止支持帯部4は、裏生地材1A、表生地材1B等の縫合部分において、例えば上縁部が折り返されている場合、その折返し部分の空隙に配置露出されていてもよく、場合によっては裏生地材1A、表生地材1B相互間の間隙内に係止支持帯部4を配さずに、室内側の表生地材1B面あるいは室外側の裏生地材1A面に重ねて膜状材2が配されるように、表生地材1B面あるいは裏生地材1A面に配してもよい。
【0024】
また、図中符号6は止着用面ファスナーであり、カーテン本体1内部に装入配置された膜状材2が、例えばその左右縁部、下縁部その他の所定部位をカーテン本体1の表生地材1A面、裏生地材1B面の少なくともいずれか一方に止着させるもので、装入配置したときの取付安定性を向上させるように配慮してある。尚、止着用面ファスナー6によるカーテン本体1との面接合は、上記の着脱手段3の構成と同様にすることも可能である。
【0025】
本実施の形態において、着脱手段3は雌雄の面ファスナー態様による構成として説明したが、場合によっては雌雄のボタン、フック形状物に対するループの係止その他の係合構造によっても可能である。
【0026】
次にこれの使用の一例を説明すると、カーテン本体1におけるプリーツ、カーテンフックによってカーテンレールに連繋することで、家屋における開口部その他の所定位置に取り付けるのであり、開口部における所望の例えば遮光性、遮音性、保温・断熱性、遮熱性等のそれぞれに応じてその要求にそう機能を備えた膜状材2を選択し、着脱手段3によってカーテン本体1内に装入配置する。こうすることで、カーテン本体1に対して遮光性、遮音性、保温・断熱性、遮熱性等を付与でき、また、膜状材2の交換によって他の機能を付与するものとする。
【0027】
また、長期間の使用でカーテン本体1が汚染、汚損された場合のクリーニング時では、着脱手段3によって膜状材2をカーテン本体1から取り外し、カーテン本体1をクリーニングすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明を実施するための最良の形態を示す一部切欠斜視図である。
【図2】同じく断面図である。
【図3】同じくカーテン本体内部に装入配置される膜状材の斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1…カーテン本体 1A…裏生地材
1B…表生地材 2…膜状材
3…着脱手段 4…係止支持帯部
5…止着片 6…止着用面ファスナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外側に配置される裏生地材と、同じく室内側に配置される表生地材とで内外で二重になっているカーテン本体と、このカーテン本体の裏生地材、表生地材相互間の間隙に設けた着脱手段によってカーテン本体内に着脱自在に装入配置される膜状材とから成ることを特徴とするカーテン。
【請求項2】
着脱手段は、裏生地材、表生地材相互の縫合部位に一体状に縫合されることで両生地材相互間に配された係止支持帯部と、膜状材の上縁部に設けられて、係止支持帯部面に接合する止着片とから成る請求項1に記載のカーテン。
【請求項3】
係止支持帯部は、レース生地材、不織布から成り、止着片は雄面ファスナーを備える請求項2に記載のカーテン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−285105(P2009−285105A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140243(P2008−140243)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(506284038)穂高インテリア株式会社 (2)
【Fターム(参考)】