説明

カードコネクタ

【課題】略L字形状を有するコンタクトを備えたカードコネクタであって、ノイズ対策をしつつ強度を確保し、更にはスタンドオフ高さの高い製品を容易に製造可能とするような構造を備えたカードコネクタを提供すること。
【解決手段】 フレーム10には、コンタクト50の一部を保持されており、垂直部52が下方に延びるとともに、水平部51がフレーム10内部に向かうように延びている。また、シェル70,100がフレーム10に取り付けられており、コンタクト50の垂直部52の少なくとも一部を覆っている。垂直部52の一部はロケータ80により保持されている。ロケータ80はシェル70,100と別体で構成されているため、スタンドオフ高さを高くしたい場合、高いシェル70,100を用いればよく、従って、スタンドオフ高さの高いカードコネクタを容易に製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードのようなカードを挿脱可能なカードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカードコネクタとしては、カード挿入・収容部を基板から所定の高さに位置させるようにして基板に搭載されるスタンドオフ付のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−324185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のカードコネクタの場合、シェルのうち、カードコネクタの側部から下側に向けて延びる部分のみがスタンドオフ部として機能しカードコネクタを支えており、強度的に弱いという問題がある。
【0005】
一方、インシュレータ(ハウジング)を大きくすることによりスタンドオフ部を構成しようとすると、大きな金型が必要となり、生産性が悪い。加えて、金型成型の限界があるため、スタンドオフ高さをある程度以上高くすることができない。また、インシュレータのみでスタンドオフ部を構成しようとすると、略L字形状を有するコンタクトの場合などにはコンタクトのうちスタンドオフ部と同方向に延びる部分(垂直部)に対するシールドが全くないことになり、ノイズ対策上問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、略L字形状を有するコンタクトを備えたカードコネクタであって、ノイズ対策をしつつ強度を確保し、更にはスタンドオフ高さの高い製品を容易に製造可能とするような構造を備えたカードコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、第1のカードコネクタとして、
水平部及び垂直部からなる略L字形状を有する複数のコンタクトと、
前記複数のコンタクトの前記垂直部が下方に延びるように且つ前記複数のコンタクトの前記水平部がフレーム内部に向かうように前記水平部の一部を保持するフレームと、
前記フレームに取り付けられ前記複数のコンタクトの前記垂直部の少なくとも一部を覆うシェルと、
該シェルと別体であり且つ該シェルに支持されたロケータであって、当該カードコネクタを基板に搭載する際の搭載面を有し且つ前記複数のコンタクトの前記垂直部の先端を前記搭載面から突出させるようにして前記垂直部の一部を保持するロケータと
を備えるカードコネクタが得られる。
【0008】
また、本発明によれば、第2のカードコネクタとして、第1のカードコネクタにおいて、
前記シェルは、前記複数のコンタクトの前記垂直部の周囲を取り囲む形状を有している、カードコネクタが得られる。
【0009】
また、本発明によれば、第3のカードコネクタとして、第2のカードコネクタにおいて、
前記シェルには、軽量化のため、複数の孔が形成されている、カードコネクタが得られる。
【0010】
また、本発明によれば、第4のカードコネクタとして、第1乃至第3のカードコネクタのいずれかにおいて、
前記ロケータは、前記搭載面から下側に向かって突出した位置決めボスを更に備えている、カードコネクタが得られる。
【0011】
また、本発明によれば、第5のカードコネクタとして、第4のカードコネクタにおいて、
前記搭載面から下側に向かって突出するように前記ロケータに取り付けられたポストであって、前記シェルと電気的に接続されたポストを更に備える、カードコネクタが得られる。
【0012】
また、本発明によれば、第6のカードコネクタとして、第4のカードコネクタにおいて、
前記シェルと一体に形成されたポストを更に備えており、当該ポストは、前記ロケータが前記シェルに支持された状態において前記ロケータの前記搭載面よりも下側に向かって突出している、カードコネクタが得られる。
【0013】
また、本発明によれば、第7のカードコネクタとして、第1乃至第6のカードコネクタのいずれかにおいて、
前記シェルは、前記フレームの後端側に取り付けられており、
当該カードコネクタは、前記フレームとは別体のフックピンであって、前記フレームの前端側に取り付けられたフックピンを更に備えている、カードコネクタが得られる。
【0014】
更には、本発明によれば、第8のカードコネクタとして、第1乃至第7のカードコネクタのいずれかにおいて、
前記フレームと前記ロケータとは別体である、カードコネクタが得られる。
【0015】
加えて、本発明によれば、水平部及び垂直部からなる略L字形状を有する複数のコンタクトと、
前記複数のコンタクトの前記垂直部が下方に延びるように且つ前記複数のコンタクトの前記水平部がフレーム内部に向かうように前記水平部の一部を保持するフレームと、
前記フレームに取り付けられ前記複数のコンタクトの前記垂直部の周囲を取り囲むように構成されたシェルと
を備えるカードコネクタが得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基板に搭載されるロケータとシェルとを別体とし、ロケータとシェルとの組み合わせによりスタンドオフ高さが決定されるように構成したことから、ノイズ対策をしつつスタンドオフ高さの高いカードコネクタを容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1及び図2に示されるように、本発明の実施の形態によるカードコネクタ1は、PCカードのようなカード2を収容し、カード2の端子(図示せず)を基板(図示せず)などに電気的に接続するためのものであり、特に、カード2を基板から離した状態で保持するスタンドオフ付のものである。なお、カード2のサイドエッジ2aにはグランドに落とされるべき電極部2bが設けられており、またカード2の挿入方向(X方向)端部近傍の上面にもグランドに落とされるべき接点部2cが形成されている。
【0018】
本実施の形態によるカードコネクタ1は、図3に示されるように、インシュレータからなるフレーム10、カード2の電極部2bと電気的に接続される一対のアースラグ20、アースラグ20と電気的に接続される一対のフックピン30、フレーム10の前端部分をカバーするシールドプレート40、フレーム10の後端側において保持される複数のコンタクト50、カード2の接点部2cと電気的に接続されるグランドプレート60、グランドプレート60と電気的に接続されるロワーシェル70、ロワーシェル70に支持されるロケータ80、ロケータ80に固定されるポスト90、グランドプレート60及びロワーシェル70と電気的に接続されるアッパーシェル100を備えている。本実施の形態においては、フレーム10及びロケータ80は絶縁材料から形成されているが、その他の構成要素、即ち、アースラグ20、フックピン30、シールドプレート40、コンタクト50、グランドプレート60、ロワーシェル70、ポスト90及びアッパーシェル100は金属から形成されている。
【0019】
図3及び図4に示されるように、フレーム10は、カード2の幅方向(Y方向)に延びるベース部11と、ベース部11の幅方向の両端からカード2の抜去方向(−X方向)に延びる一対のガイド部12と、ガイド部12の先端近傍を連結するブリッジ部13と、ベース部11の幅方向の両端から下方向(−Z方向)に向かって延びるバックスタンド14と、ブリッジ部13の幅方向の両端から下方向に向かって延びるフロントスタンド15とを有しており、ガイド部12の先端近傍にはアースラグ20を取り付けるための被取付部16が形成されている。
【0020】
図4に示されるように、ベース部11には、ベース部11をX方向において貫通する保持孔11aが形成されている。
【0021】
図3及び図4に示されるように、ガイド部12は、幅方向内側にカード2のサイドエッジ2aをガイドするガイド溝12aを有している。また、ガイド部12の後端側(即ち、ベース部11近傍)の側面上には係止凸部12bが形成され、ガイド部12の後端側の側面と下面との角部には凹部12cが形成されている。
【0022】
図3及び図4に示されるように、ブリッジ部13は、略薄板形状を有しており、ガイド溝12aの底辺部分を接続している。
【0023】
図3、図4及び図6に示されるように、バックスタンド14は、係止溝部14aと、XY平面における断面がT字状であるT字状突条部14bと、2つの係止凹部14d及び14eを備えている。T字状突条部14bは、バックスタンド14の側面上を上下方向(Z方向)に延びる突条であり、係止凹部14d、14eは幅方向において側面上に段差を設けるようにして形成された凹部である。係止凹部14dは、係止凹部14eよりも下側に位置している。
【0024】
図3に示されるように、フロントスタンド15は、フックピン30の一部を収容保持するコの字状溝15aと、アースラグ20の一部を収容する収容部15bを備えている。コの字状溝15aは、XY平面における断面がコの字状の溝であり、Z方向に延びている。コの字状溝15aの内側面上には、係止凹部(図示せず)が形成されており、フックピン30の固定に用いられる(後述)。収容部15bは、フロントスタンド15の前面15cからX方向に向かって延びる溝であり、図5に示されるように、フロントスタンド15内においてコの字状溝15aと繋がっている。なお、本実施の形態においては、コの字状溝15aの底部15dは、図5に示されるように、収容部15bの底部15eよりも下側(−Z方向)に位置している。
【0025】
図3及び図4に示されるように、被取付部16は、アースラグ20の取付時に、アースラグ20の一部が摺動する面16を下側(−Z方向)に有しており、面16の挿入方向奥側(X方向)には係止凹部16bが形成されている。また、被取付部16には、幅方向(Y方向)において被取付部16を貫通する溝であってX方向に延びるサイド溝16cが形成されている。更に、被取付部16の側面上にはYZ平面における断面がT字状の溝であるT字状溝16dが挿入方向に延びるようにして形成されている。
【0026】
図3に示されるように、アースラグ20は、平板状の主部21を備えている。主部21の挿入方向手前側(−X方向)且つ下側(−Z方向)の端部には、幅方向内側に延びた後、挿入方向奥側(X方向)に延びる第1バネ部22が設けられている。第1バネ部22の先端部23は、上側(Z方向)に向けて「くの字」状に折り曲げられている。主部21の挿入方向手前側の端部の上下方向中ほどの部分には、幅方向の内側において挿入方向に延びるようにして且つ幅方向内側に頂部を有するようにして「くの字」状に折り曲げ形成された第2バネ部24が設けられている。主部21の挿入方向奥側の端部の上側の部分には、挿入方向に延びる第1アーム部25が設けられており、第1アーム部25の先端には、幅方向外側に向かって延びた後、再び挿入方向奥側に延びる略L字状の第2アーム部26が設けられている。本実施の形態における第2アーム部26は、第2アーム部26のみが被取付部16のT字状溝16dの幅小の部分よりも細いが、第1アーム部25はT字状溝16dの幅小の部分よりも広くなるように構成されている。第2アーム部26の挿入方向奥側の先端には、フロントスタンド15の収容部15bに挿入される被挿入部27が設けられている。更には、被挿入部27には幅方向においてバネ性を有する第3バネ部28が設けられている。かかる構成を備えるアースラグ20は、挿入方向に沿うようにして第1アーム部25をT字状溝16dに挿入し、主部21の前端の部位21aがT字状溝16dの挿入方向手前側の端部16eに突き当たるまで移動させることにより、被取付部16に取り付けられる。その際、第1バネ部22の先端部23は、被取付部16の面16a上を摺動し、先端部23が係止凹部16b内に到達する。また、第2バネ部24は、サイド溝16c内を移動し、その結果、「くの字」状の頂部がガイド溝12a内に位置することとなる。第2アーム部26は、T字状溝16dの幅小の部分よりも細いので、上記のようなアースラグ20の移動により、T字状溝16dの幅小の部分内をスムーズに移動する。その結果、被挿入部27が収容部15b内に収容される。
【0027】
図3に示されるように、フックピン30は、上下方向(Z方向)に長手を有している。フックピン30の第1端部32には凸片31が設けられており、また、背面33には幅方向内側に端部を突出させた係止舌片34が形成されている。更には、フックピン30の第2端部35には、カードコネクタ1を基板に搭載する際に、基板のスルーホールに係止させられる二股係止片36が設けられている。ここで、フックピン30の第2端部35は、カードコネクタ1を基板に搭載する際に、基板上に当接する部分である。即ち、本実施の形態においてカードコネクタ1のフロント側のスタンドオフ高さはフックピン30の長さにより決まることとなっている。かかる構成を備えるフックピン30は、フロントスタンド15のコの字状溝15aに挿入し、第1端部32がコの字状溝15aの底部15dに突き当たるまで押し込むことにより、フロントスタンド15に取り付けられる。なお、このフックピン30のフロントスタンド15への取付時には、フックピン30の係止舌片34がコの字状溝15aの内側面に設けられた係止凹部(図示せず)に係止するので、フックピン30がフロントスタンド15から抜け落ちることが防止されている。また、本実施の形態においては、アースラグ20を被取付部16に取り付けた後に、フックピン30をフロントスタンド15に取り付けることにより、図5に示されるように、フックピン30の背面33とアースラグ20の第3バネ部28とが接触することとなり、それによって両者の電気的接続が図られている。このようにして、カード2の電極部2bからアースラグ20及びフックピン30を介して基板にグランドを落とす一経路が確立されている。
【0028】
図3に示されるように、シールドプレート40は、挿入方向に沿ってみた場合に、長細い筒状部を主部として有するものであり、その挿入方向先端には幅方向に突出した固定片41が設けられている。アースラグ20を被取付部16に取り付け、更にそのアースラグ20を覆うようにして、当接部42がフロントスタンド15の前面15cに当接するまでシールドプレート40をフレーム10の前端に被せた後、固定片41をフロントスタンド15の挿入方向奥側においてZ方向に折り曲げることにより、シールドプレート40はフレーム10の前端に固定される。このシールドプレート40には、シールドプレートの一部をシールドプレート40の内側に向かって折り曲げることにより形成された接触部43が設けられており、シールドプレート40をフレーム10の前端に取り付けることにより、アースラグ20の第1バネ部22と接触部43が接触し、それによって両者の電気的接続が図られることとなっている。シールドプレート40の前端には、2つのフロントタブ44が下側に(−Z方向)に向けて延びるようにして設けられており、各フロントタブ44には、バーリング加工により孔45が形成されている。この孔45付のフロントタブ44は、シールドプレート40を筐体にネジ止めすることを可能とするものである。このようなシールドプレート40の筐体に対する接続固定により、カード2の電極部2bからアースラグ20及びシールドプレート40を介して筐体にグランドを落とす経路も確立される。即ち、本実施の形態においては、グランドの強化が図られている。
【0029】
図3に示されるように、コンタクト50は、それぞれ、水平部51と垂直部52とからなる略L字形状を有している。このコンタクト50は、図3及び図4から理解されるように、水平部51をフレーム10の保持孔11aに挿通することにより、水平部51が抜去方向(−X方向)に延び且つ垂直部52が下方向(−Z方向)に延びた状態で、フレーム10に保持される。
【0030】
図3に示されるように、グランドプレート60は、XY平面と平行な平板状の主部61と、主部61の長手方向(Y方向)両端から下側に延びる側部62を有している。主部の前端側には、複数のバネ片63が形成されている。このバネ片63は、カード2がカードコネクタ1に挿入された際に、カード2の接点部2cと接続するためのものである。グランドプレート60の側部62には、前端近傍に、Y方向において側部62を貫通する被係止孔64が形成されており、側部62の前端近傍の下側の縁には固定爪65が形成されている。また、側部62の後端側下部には係止バネ部66も形成されている。グランドプレート50をフレーム10の後端に対して、上側から被せるようにして取り付けると、フレーム10のガイド部12側面の係止凸部12bが被係止孔64に係止し、且つ、係止バネ部66が係止溝部14aに係止する。その状態において、固定爪65を冶具で折り曲げてフレーム10のガイド部12の凹部12cに嵌めることにより、グランドプレート50はフレーム10上に固定されている。
【0031】
図3及び図7に示されるように、ロワーシェル70は、平板状の前面部71と、前面部71の幅方向の両端から後方(X方向)に延びる側面部72と、側面部72の後端から再び幅方向の内側に向かって延びる背面部73を有しており、XY平面において略C字状の形状を備えている。前面部71には、軽量化のため、複数の孔71aが形成されている。側面部72の上端(Z方向端部)付近には下側に向けて延びる第1スリット72aが形成されている。この第1スリット72aの幅は、バックスタンド14のT字状突条部14bの幅小の部分よりは広いが幅広の部分よりは狭い。かかる第1スリット72aの前方(−X方向)にはバネ片72cが形成されており、第1スリット72aの後方(X方向)には係止舌片72dが形成されている。一方、側部72の下端(−Z方向端部)付近には、バネ片72eが形成されており、バネ片72eの後方には上側に向けて延びる第2スリット72fが形成されている。更には、第2スリット72fの後方には係止バネ72gが形成されている。加えて、図6及び図7に示されるように、背面部73には背面バネ部73aが形成されている。このような構成を備えるロワーシェル70のフレーム10に対する取付は、上述したグランドプレート60のフレーム10への取付の後に行われる。詳しくは、グランドプレート60の取付の後、バックスタンド14のT字状突条部14bの幅小の部分をロワーシェル70の第1スリット72aに挿入し、第1スリット72aの端部72bがT字状突条部14bの端部14cに当接するまでロワーシェル70を押し込むことにより、ロワーシェル70のフレーム10に対する取付が行われる。この際、バネ片72cはグランドプレート60の側部62に接触し、これにより両者の電気的接続が図られている。また、係止舌片72dが係止凹部14dに係止することにより、ロワーシェル70のバックスタンド14への取付状態がロックされている。
【0032】
図3及び図7に示されるように、ロケータ80は、ロワーシェル70に支持される2つの被支持部81と、被支持部81間に延びる略板状の保持部82とを有している。本実施の形態における被支持部81は、ブロック状のものであり、カードコネクタ1を基板に搭載する際に基板上に位置することとなる搭載面81aを有している。被支持部81の側面上には、Z方向に延びるT字状溝81bが形成されている。本実施の形態におけるT字状溝81bは、搭載面81aから上側に向かって所定の長さにかけては、XY平面における断面がT字形状となっており、その後は、断面が長方形状となるような溝である。このT字状溝81bには、図3に示されるように、ポスト90が搭載面81a側から挿入され、搭載面81aから下側に突出した状態で被支持部81に保持される。また、被支持部81の搭載面81a上には、搭載面81aを基板へ搭載する際の位置決めに役立つ位置決めボス83と、基板へ被支持部81を固定するロケータフック84が形成されている。図3、図6及び図7などから理解されるように、位置決めボス83及びロケータフック84は、搭載面81aから下側に突出している。被支持部81の側面上には、Z方向に延びるT字状突条部85が形成されている。このT字状突条部85は、XY平面においてT字状の断面を有するものである。被支持部81の上方(Z方向側)であってT字状突条部85の後方(X方向側)には、図6及び図7に示されるように、係止凹部81cが形成されている。保持部82には、Z方向において保持部82を貫通する整列孔82aが形成されている。この整列孔82aにコンタクト50の垂直部52が挿通され、それによって、垂直部52の端部が整列孔82の配置に従って整列させられ且つ保持部82から下側に突出した状態で、垂直部52がロケータ80に保持される。また、T字状突条部85の幅小の部分をロワーシェル70の第2スリット72f内に入れることにより、ロケータ80はロワーシェル70に取付けられ、それによってロケータ80はロワーシェル70に支持される。この際、ロワーシェル70の係止バネ72gが係止凹部81cに係止することにより、ロワーシェル70によるロケータ80の支持がロックされる。なお、ロケータ80をロワーシェル70に取り付ける際、図6に示されるように、ロワーシェル70のバネ片72eを被支持部81のT字状溝81bに挿入され、先にT字状溝81b内に保持されていたポスト90と接触し、これにより、両者の電気的接続が図られている。
【0033】
図3及び図6に示されるように、アッパーシェル100は、略平板状の背面部101と、背面部101の上端から前方に延びる上面部102と、上面部102のY方向両端から下側に延びる側部103を備えている。背面部101には、アッパーシェル100の軽量化のため、複数の孔が形成されている。また、側部103には、係止舌片104が形成されている。図6から理解されるように、このアッパーシェル100の取付は、最後に行われる。即ち、グランドプレート60をフレーム10に取付け、コンタクト50及びロワーシェル70をフレーム10に取付け、更にポスト90付のロケータ80をロワーシェル70に取付けた後に、アッパーシェル100をフレーム10の後端に取付ける。この際、アッパーシェル100の係止舌片104がバックスタンド14の係止凹部14eに係止し、それによってアッパーシェル100がフレーム10に取付けられた状態がロックされる。また、ロワーシェル70の背面バネ部73aがアッパーシェル100の背面部101に接触子、それにより両者の電気的接続が図られている。このようにして、本実施の形態においては、カード2の接点部2cから、グランドプレート50、ロワーシェル70及びアッパーシェル100、並びにポスト90を介して、基板にグランドを落とす経路が形成されている。ここで、本実施の形態によるコンタクト50の垂直部52は、図1、図2及び図6から理解されるように、XY平面(上下方向に直交する平面)においてロワーシェル70及びアッパーシェル100により、周囲を囲われた状態となっている。換言すると、本実施の形態によるロワーシェル70及びアッパーシェル100は、コンタクト50の垂直部52の周囲を囲む略筒状のシールドを構成しており、従って、強固なシールド特性が得られている。
【0034】
更に、後端側のスタンドオフ高さは、ロワーシェル70とロケータ90によって決まっているが、本実施の形態によれば、ロワーシェル70とロケータ90を別体としていることから、スタンドオフ高さを高くしたい場合にはロワーシェル70のサイズを大きくすればよく、スタンドオフ高さの高い製品を製造することが容易となっている。
【0035】
以上、具体的な例を掲げて説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々変形可能である。
【0036】
例えば、上述した実施の形態においては、ポスト90はロワーシェル70と別体であり、ロケータ80に保持されるようにして構成されていたが、ポストをロワーシェルと一体に構成することとしてもよい。
【0037】
更には、上述した実施の形態において、コンタクト50の垂直部52の周囲を覆うシールドをロワーシェル70及びアッパーシェル100の組み合わせにより構成していたが、例えば、図8及び図9に示されるように、アッパーシェルを省略し、ロワーシェル70′のみで垂直部52の周囲を覆うこととしてもよい。ロワーシェル70′の場合、図8に示されるようにコンタクト50の垂直部52の背面側を覆う背面部73′を有しており、図9に示されるように前面側中央にかしめ部74を有するように、構成されており、その結果、XY平面において略長方形状の断面を有することとなっている。なお、図示された例においては、アッパーシェル100の上面部102に相当する部分をシールドするために、グランドプレート60′の主部61′も後端側まで延ばされており、コンタクト50の露出が最小限に抑えられている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態によるカードコネクタを斜め上方から見た場合の斜視図である。
【図2】図1のカードコネクタを斜め下方から見た場合の斜視図である。
【図3】図2のカードコネクタを示す分解斜視図である。
【図4】図1のカードコネクタにおけるフレームを示す斜視図である。
【図5】図2のカードコネクタにおけるV−V線に沿った部分断面図である。
【図6】図2のカードコネクタにおけるアッパーシェルの組立段階の状態を示す一部分解斜視図である。
【図7】図3に示されるコンタクト、ロワーシェル、ロケータ及びポストを示す斜視図である。
【図8】図1に示されるカードコネクタの変形例を示す斜視図である。
【図9】図8のカードコネクタを斜め下方から見た場合の斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 カードコネクタ
2 カード
2a サイドエッジ
2b 電極部
2c 接点部
10 フレーム
11 ベース部
11a 保持孔
12 ガイド部
12a ガイド溝
12b 係止凸部
12c 凹部
13 ブリッジ部
14 バックスタンド
14a 係止溝部
14b T字状突条部
14c 端部
14d 係止凹部
14e 係止凹部
15 フロントスタンド
15a コの字状溝
15b 収容部
15c 前面
15d 底部
15e 底部
16 被取付部
16a 面
16b 係止凹部
16c サイド溝
16d T字状溝
20 アースラグ
21 主部
21a 部位
22 第1バネ部
23 先端部
24 第2バネ部
25 第1アーム部
26 第2アーム部
27 被挿入部
28 第3バネ部
30 フックピン
31 凸片
32 第1端部
33 背面
34 係止舌片
35 第2端部
36 二股係止片
40 シールドプレート
41 固定片
42 当接部
43 接触部
44 フロントタブ
45 孔
50 コンタクト
51 水平部
52 垂直部
60 グランドプレート
61 主部
62 側部
63 バネ片
64 被係止孔
65 固定爪
66 係止バネ部
70 ロワーシェル
71 前面部
71a 孔
72 側面部
72a 第1スリット
72b 端部
72c バネ片
72d 係止舌片
72e バネ片
72f 第2スリット
72g 係止バネ
73 背面部
73a 背面バネ部
80 ロケータ
81 被支持部
81a 搭載面
81b T字状溝
81c 係止凹部
82 保持部
82a 整列孔
83 位置決めボス
84 ロケータフック
85 T字状突条部
90 ポスト
100 アッパーシェル
101 背面部
101a 孔
102 上面部
103 側部
104 係止舌片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平部及び垂直部からなる略L字形状を有する複数のコンタクトと、
前記複数のコンタクトの前記垂直部が下方に延びるように且つ前記複数のコンタクトの前記水平部がフレーム内部に向かうように前記水平部の一部を保持するフレームと、
前記フレームに取り付けられ前記複数のコンタクトの前記垂直部の少なくとも一部を覆うシェルと、
該シェルと別体であり且つ該シェルに支持されたロケータであって、当該カードコネクタを基板に搭載する際の搭載面を有し且つ前記複数のコンタクトの前記垂直部の先端を前記搭載面から突出させるようにして前記垂直部の一部を保持するロケータと
を備えるカードコネクタ。
【請求項2】
前記シェルは、前記複数のコンタクトの前記垂直部の周囲を取り囲む形状を有している、請求項1記載のカードコネクタ。
【請求項3】
前記シェルには、軽量化のため、複数の孔が形成されている、請求項2記載のカードコネクタ。
【請求項4】
前記ロケータは、前記搭載面から下側に向かって突出した位置決めボスを更に備えている、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のカードコネクタ。
【請求項5】
前記搭載面から下側に向かって突出するように前記ロケータに取り付けられたポストであって、前記シェルと電気的に接続されたポストを更に備える、請求項4記載のカードコネクタ。
【請求項6】
前記シェルと一体に形成されたポストを更に備えており、当該ポストは、前記ロケータが前記シェルに支持された状態において前記ロケータの前記搭載面よりも下側に向かって突出している、請求項4記載のカードコネクタ。
【請求項7】
前記シェルは、前記フレームの後端側に取り付けられており、
当該カードコネクタは、前記フレームとは別体のフックピンであって、前記フレームの前端側に取り付けられたフックピンを更に備えている、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のカードコネクタ。
【請求項8】
前記フレームと前記ロケータとは別体である、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のカードコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−205998(P2009−205998A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48874(P2008−48874)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】