説明

カードロックシステム

【課題】時刻狂いが生じていても確実に施解錠操作を可能とする。
【解決手段】ゲストカード30に対して各種情報の読み取り及び書き込みを行う情報読書部21と、現在の日時を計時する時計部24と、部屋使用期間内における最初の解錠操作時に読み取った部屋使用情報と時計部24で計時する現在時刻とを照合して予め設定された時刻狂いを判別するための時刻ズレ判別情報の範囲内であるか否かを判別し、時刻ズレ判別情報の範囲以上の時刻ズレが生じている場合に、ゲストカード30の時刻異常フラグをONにする異常フラグON信号を情報読書部21を介してゲストカード30に書込処理するとともに、ゲストカード30の使用期間カウント値に基づき時計部24によるカウント処理を開始させる電気錠制御部22とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠前の施解錠に必要なキー情報が記憶された施解錠カードを用いて錠前を施解錠する際に、施解錠カード内のキー情報の正当性を判別して正常に認証したときのみ錠前を電気的に施解錠制御するカードロックシステムに係り、特に施解錠時にカード式電気錠装置が計時する時刻に異常があった場合でも正確に滞在時間の管理が行えるカードロックシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ホテルやオフィスビル等の商業施設や公共施設の入出口、集合住宅や一般住宅のエントランスや玄関等にはカード式電気錠が広く普及している。このカード式電気錠は、各所の電気錠毎に予め割り当てられた特定の暗号や施解錠情報等の各種データが記憶されたカードを用い、このカードに記憶されている各種データ(例えば特定の暗号による施解錠データ)を読み取り、読み取った各種データを予め登録された情報と照合して正当性を判別し、正常に認証した場合のみ施解錠を行うものである。
【0003】
このようなカード式電気錠は、ピッキング等の不正な施解錠行為を防止し、且つ、鍵の複製が非常に困難なため、セキュリティー面において信頼されている。また、各カード毎の各種データをホストコンピューターで管理しているため、データ破損等の心配がなく、カードを紛失した場合においてもカードを再発行することが可能である。そして、このようなカード式電気錠を用いたシステムとしては、例えば下記特許文献1に開示される出入管理システムが知られている。
【0004】
図3(a),(b)は下記特許文献1に開示されるカードロックシステムの概略斜視図である。図3(a),(b)に示すように、例えばホテル等の各部屋のドア毎に錠装置101が設けられる。錠装置101は、螺子等の固定手段によってドア200の所定箇所に配設され、ドア200を閉めた際に解錠用ソレノイドに通電して自動的に本締めボルト102の進退を行うものである。この錠装置101には、手動式カードリーダ105と、解錠表示をする表示灯106と、鍵穴107及びサムターン108が設けられている。手動式カードリーダ105は、カード通過溝103が形成され、カード104を手動で通過溝103内を走査する形式のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭58−51593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示されるカードロックシステムを含む一般的なカードロックシステムを例えばホテルやレンタルオフィス等の使用者が所定期間使用するような場所で運用する場合、各部屋に設置された電気錠の施解錠制御と、カード式電気錠の時計機能を用いて使用者の滞在期間内における出入管理制御を同時に行っている。また、この種のカードロックシステムでは、施工時の配線処理やシステム導入費用を鑑みて、各装置が独立したスタンドアロンな構成で設置することがある。
【0007】
しかしながら、カード式電気錠がスタンドアロンな構成であるため、例えば大規模施設で運用する場合に、機器毎に設定された時刻に遅れや進みが生じていても各装置の時刻管理がされていないことが多いため、時刻が狂った状態で部屋の使用期間をチェックイン時刻からチェックアウト時刻までの間で制限すると、使用可能期間内であるにも拘わらず、錠の施解錠ができないという問題があった。
【0008】
また、カード式電気錠で時刻狂いが発生していることは、装置自体がフラグ管理しているため、実際に時刻狂いが生じているか否かを確認するには、従業員が専用端末を各部屋まで持参して装置毎にチェックしなければならず、時刻確認及び時刻修正作業が煩雑であった。
【0009】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、スタンドアロンな構成のカード式電気錠に時刻狂いが生じた場合であっても正確な使用可能時間の時刻管理を行うとともに、時刻狂いの生じた装置の確認が容易に行えるカードロックシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するために、請求項1記載のカードロックシステムは、施解錠操作時に必要な施解錠情報を記憶したゲストカードを発行するカード発行制御器と、
部屋の扉近傍に設置され施解錠操作時に前記ゲストカードに記憶する施解錠情報を読み取ってその正当性を判別し、正常に認証したときのみ錠前を電気的に施解錠制御するスタンドアロンな構成のカード式電気錠とを備えるカードロックシステムにおいて、
前記ゲストカードは、前記施解錠情報、前記部屋の使用時間を示す日時情報を含む部屋使用情報、前記日時情報に基づき設定された使用時間カウント値、前記カード式電気錠に時刻ズレが生じているときにONされる時刻異常フラグを少なくとも記憶し、
前記カード式電気錠は、
前記ゲストカードに対して各種情報の読み取り及び書き込みを行う情報読書部と、
現在の日時を計時する時計部と、
前記部屋使用時間内における最初の解錠操作時に読み取った前記部屋使用情報と前記時計部で計時する現在時刻とを照合して予め設定された時刻狂いを判別するための時刻ズレ判別情報の範囲内であるか否かを判別し、前記時刻ズレ判別情報の範囲以上の時刻ズレが生じている場合に、前記ゲストカードの前記時刻異常フラグをONにする異常フラグON信号を前記情報読取部を介して前記ゲストカードに書込処理するとともに、前記ゲストカードの使用時間カウント値に基づき前記時計部によるカウント処理を開始させる電気錠制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載のカードロックシステムは、請求項1記載のカードロックシステムにおいて、前記カード発行制御器は、前記ゲストカードに各種カード情報を書き込む書込機能と、前記ゲストカードから前記時刻異常フラグがON状態を示すフラグON情報を読み込む読込機能を有するカード発行部と、
前記部屋使用時間終了後に返却された前記ゲストカードから読み取った前記フラグON情報を前記カード発行部から入力すると、管理者にその旨を通知するための異常通知信号を表示部に出力する情報処理部と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載のカードロックシステムは、請求項1又は2記載のカードロックシステムにおいて、前記電気錠制御部は、前記時計部の計時時刻に前記時刻ズレ判別情報の範囲以上の時刻ズレが確認された場合のみ、前記ゲストカードの使用時間カウント値に基づき前記時計部によるカウント処理を開始させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のカードロックシステムによれば、カード式電気錠が計時する時刻に狂いが生じている場合であっても、使用可能期間の範囲内であれば施解錠操作可能となるため、時刻狂いにより施解錠ができないといったトラブルを防止する効果を奏することができる。また、最初の解錠操作時に時計部が計時する時刻に狂いが生じている場合に、施解錠操作で使用したゲストカードの時刻異常フラグをONにするため、部屋使用終了後に使用者から返却されたゲストカードをチェックするだけで、どの部屋のカード式電気錠に時刻狂いが発生しているかを容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るカードロックシステムの概念図である。
【図2】同システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図3】従来のカードロックシステムの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者等によりなされる実施可能な他の形態、実施例及び運用技術等はすべて本発明の範疇に含まれる。
【0016】
[システム構成]
まず、本発明に係るカードロックシステムの構成について、図1を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、本例のカードロックシステムをホテルに採用した例で説明するが、レンタルオフィス等の使用者が使用する部屋を時間によって管理するような部屋や施設であれば使用可能である。
【0017】
図1、2に示すように、本例のカードロックシステム1は、施解錠操作時に必要なゲストカード30を発行するカード発行制御器10、発行されたゲストカード30による施解錠制御が可能なカード式電気錠20とで構成される。
【0018】
(カード発行制御器)
カード発行制御器10は、例えばホテルのフロントや管理室等に配置され、使用者に対し所定期間のみ自由に部屋の入退室を可能とするゲストカード30を発行処理する。カード発行制御器10は、情報処理部11、情報記憶部12、カード発行部13、操作入力部14、表示部15とで構成される。
【0019】
ここで、カード発行制御器10で発行されるゲストカード30について説明する。本例のカードロックシステムで使用するゲストカード30とは、例えば客室の施解錠操作時に用いるカードとしてフロントからチェックイン時に受け取る施解錠用カードや清掃員がチェックアウト後の客室を清掃する際に施解錠するのに用いる管理カード等の予め決められた時間のみ該当する部屋の入退出を可能とする権限が付与されたカードである。ゲストカード30は、例えばプロセッサチップのメモリに各種データの読み書きが可能なICカード、CPU、ROM、RAM、フラッシュRAM等を含むICチップ(RFIDタグ)を搭載し非接触通信によるリード/ライトが可能な非接触ICチップ内蔵カード等の各種情報の記憶/書き換えが可能な記憶領域を有するカード状記憶媒体で構成される。ゲストカード30は、カード発行制御器10で使用者毎に設定された各種カード情報(後述する施解錠情報、部屋使用情報、使用時間カウント値)が保存された状態で発行される。また、ゲストカード30は、チェックイン手続後における最初の解錠操作のときに、カード式電気錠20に時刻狂いがあると判別されるとONとなる時刻異常フラグを記憶している。
【0020】
情報処理部11は、ホテルの客室毎に配設されるカード式電気錠20を施解錠する際に必要な施解錠情報、部屋使用情報(例えばチェックイン/アウトの間における部屋の使用時間を示す日時情報、客室番号等)、チェックイン/アウト日時に基づき設定される使用時間カウント値(チェックインからチェックアウトまでの使用可能時間を秒数に換算して設定する場合、例えば宿泊日時が1月1日の午後3時から1月2日の午前10時とした場合は、使用可能時間である19時間を秒数に換算した「68400」とする)等の各種カード情報を発行するゲストカード30に応じて作成処理し、情報記憶部12とカード発行部13にそれぞれ出力している。また、情報処理部11は、カード発行部13から時刻異常フラグがONであることを示すフラグON情報を入力すると、管理者にその旨を通知するための異常通知信号を表示部15に出力している。
【0021】
なお、使用時間カウント値は、使用者の都合によりチェックイン/チェックアウト時間が予約時刻と異なった場合は、チェックイン時刻から予約日時における最終チェックアウト時刻までの変更後の使用可能時間を使用時間カウント値として設定する。すなわち、チェックイン時刻の遅延やチェックアウト時刻の延長等の申し出があった場合は、それに応じた使用可能時間を使用時間カウント値に換算する。また、使用時間カウント値を使用可能時間に基づき設定すればよいため、秒数換算に限らず分単位でのカウント値設定も可能である。
【0022】
情報記憶部12は、例えば磁気的、光学的記憶媒体若しくはROM、RAM等の半導体メモリで構成される。情報記憶部12は、情報処理部11で作成された各種カード情報や使用者に関する情報、各カード式電気錠20における時刻異常フラグのON/OFF履歴等を記憶する他、カード発行制御器10の駆動制御や出力制御に関する各種情報等を記憶している。
【0023】
カード発行部13は、必要に応じて外部(ゲストカード30を含む)から各種情報を読み込む読込機能と、情報制御部11で作成された各種カード情報、チェックイン手続後における最初の解錠操作のときに、カード式電気錠20に時刻狂いがあると判別されるとONとなる時刻異常フラグ等の各種情報をゲストカード30に書き込む書込機能とを備えたカードリーダー/ライターで構成される。また、カード発行部13は、チェックアウト後に返却されたゲストカード30から時刻異常フラグがONを示すフラグON情報を読み取ると、この情報を情報処理部11に出力する。
【0024】
なお、図1、2では、カード発行部13がカード発行制御器10に内蔵された一体型タイプとして記載しているが、カード発行制御器とカード発行部13とが別体タイプとして構成することもできる。
【0025】
操作入力部14は、例えばテンキーや操作ボタン等で構成され、情報処理部11で作成する各種カード情報やカード発行制御器10に関する操作情報等の各種情報を入力する際に操作される。
【0026】
表示部15は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置で構成され、作成した施解錠情報や設定情報等の各種カードに書き込まれる情報、操作入力部14で入力された情報、各種設定画面等のカード発行制御器10に関する各種情報を表示している。また、表示部15は、情報処理部11から異常通知情報を入力すると、予め設定された異常通知内容(例えば「○○○号室の時が異常です。」)を表示している。
【0027】
(カード式電気錠)
カード式電気錠20は、各客室の扉近傍に設置され、情報読書部21、電気錠制御部22、記憶部23、時計部24、施解錠機構25、電源部26とで構成される。
【0028】
情報読書部21は、例えばICカードや非接触ICチップ内蔵カード等のゲストカード30に記憶された各種カード情報の読み書きを行う、例えば挿入式、非接触式等各種情報の読書機能を有するカードリーダ/ライタで構成される。本例では、ゲストカード30として非接触ICチップ内蔵カードを採用しているので、非接触式のカードリーダ/ライタで情報読書部21が構成される。
【0029】
情報読書部21は、一定周期で所定範囲内に近接するゲストカード30に対してポーリングを行っており、ゲストカード30が所定範囲内に近接した際に施解錠操作時に必要な施解錠情報の読み取りを行う。また、情報読書部21は、チェックイン手続後における最初の解錠操作のときにゲストカード30に書き込まれた部屋使用情報と使用時間カウント値を読み取り、電気錠制御部22に出力している。さらに、情報読書部21は、カード式電気錠20内の内部時計に時刻狂いがあった場合は、ゲストカード30に記憶された時刻異常フラグをONにする異常フラグON信号をゲストカード30に書き込みしている。
【0030】
電気錠制御部22は、カード式電気錠20を構成する各部の駆動制御を行っている。電気錠制御部22は、施解錠操作時にゲストカード30から読み取った施解錠情報と記憶部23に記憶された認証用施解錠情報とを照合して施解錠情報の正当性を判別し、正常と認証したときに、現在の錠前や扉の状態に応じて施解錠機構25に駆動制御信号を出力している。また、電気錠制御部22は、ゲストカード30からの使用時間カウント値を用いて時計部24におけるカウント処理(カウントアップ又はカウントダウン)の制御を行っている。
【0031】
さらに、電気錠制御部22は、チェックイン手続後における最初の解錠操作のときに、ゲストカード30からの部屋使用情報と時計部24で計時している現在時刻とを照合して記憶部23に記憶される後述する時刻ズレ判別情報の許容範囲内であるか否かを判別する時刻ズレ判別手段23aを備え、時計部24の計時時刻が時刻ズレ判別情報の時刻範囲以上のズレがあると判別すると、時刻異常フラグをONにする異常フラグON信号を情報読書部21を介してゲストカード30に書込制御している。
【0032】
記憶部23は、例えば磁気的、光学的記憶媒体若しくはROM、RAM等の半導体メモリで構成される。記憶部23は、カード式電気錠20を構成している各機器の機器情報、情報読書部21で読み込んだゲストカード30の各種カード情報、読み取った施解錠情報が錠前を施解錠する正当な情報であるか否かを判別するための認証用施解錠情報、時計部24での計時時刻に時刻狂いが生じているか否かを判別するための許容時間範囲を設定した時刻ズレ判別情報、モニタ情報としての状態信号(扉の開閉状態信号や錠前の施解錠状態信号、施解錠操作履歴)等の施解錠制御に関する各種データを記憶している。
【0033】
時計部24は、RTC(RealTimeClock :時計回路)で構成されており、現在の日時を計時している。また、時計部24は、電気錠制御部22の制御により、ゲストカード30からの使用時間カウント値のカウント処理(カウントアップ又はカウントダウン)を開始する。
【0034】
施解錠機構25は、例えばモータやソレノイド等の駆動装置と錠前で構成され、電気錠制御部22から入力される駆動制御信号により錠前を施錠または解錠するべく駆動し、扉枠の係止穴に対してデッドボルトを突出(施錠時)又は引き込む(解錠時)ことにより錠前が施解錠される。
【0035】
電源部26は、例えばボタン電池や乾電池等の電池が着脱交換可能な電源ユニットで構成され、扉の所定箇所若しくは扉近傍に設けられる。電源部26は、電気錠制御部22の制御により、カード式電気錠20の各部に必要な駆動電源を供給している。
【0036】
[処理動作]
次に、上述したカードロックシステム1における処理動作について説明する。ここでは、ホテルを利用する宿泊客がチェックインしてからチェックアウトするまで間における処理動作例について説明する。
【0037】
宿泊客は、フロントに出向いてチェックイン手続を行い、宿泊客が宿泊する部屋の施解錠時に使用するゲストカード30を受け取る。このゲストカード30には、予約した部屋の施解錠情報、宿泊期間を示す部屋使用情報、部屋使用情報に基づき設定された使用時間カウント値等の各種カード情報が記憶されている。そして、宿泊客は、ゲストカード30を宿泊する部屋に設置されるカード式電気錠20の所定範囲に近接させ、記憶される各種カード情報を読み取らせる。
【0038】
カード式電気錠20は、ゲストカード30から読み取った施解錠情報と記憶部23に記憶した認証用施解錠情報とを照合して施解錠情報の正当性を判別し、正常と認証したときに、現在の錠前や扉の状態に応じて錠前を施解錠制御する。また、これと同時に、ゲストカード30からの部屋使用情報と時計部24で計時している現在時刻とを照合して時計部24の計時時刻が時刻ズレ判別情報の許容範囲内であるか否かの判別を行うとともに、使用時間カウント値のカウント処理に基づく制御を開始する。
【0039】
なお、時計部24の計時時刻が時刻ズレ判別情報の範囲を超えている場合(すなわち、カード式電気錠20内の計時時刻に狂いが確認された場合)は、異常フラグON信号を情報読書部21を介してゲストカード30に書込制御して、ゲストカード30の時刻異常フラグをONにする。これにより、ゲストカード30からの使用時間カウント値に基づくカウント処理をするため、時計部24の計時時刻に狂いがあった場合であっても、使用時間カウント値の範囲内(すなわち使用可能期間内)であれば、使用者はその部屋の施解錠操作を自由に行うことができる。
【0040】
また、宿泊客のチェックアウト手続終了後に、返却されたゲストカード30を読み取って時刻異常フラグがONされているが否かを確認し、フラグがONされていた場合は、該当する部屋まで出向いて専用のデータ設定器を用いて時刻の再設定を行う。
【0041】
以上説明したように、上述したカードロックシステムでは、少なくとも施解錠操作時に必要な施解錠情報、部屋の使用時間の日時情報を含む部屋使用情報、使用者が使用する部屋の使用時間に基づき設定した使用時間カウント値を予め記憶させたゲストカード30を使用者に渡し、使用予定の部屋まで出向く。カード式電気錠20は、チェックイン後の最初の解錠操作時にゲストカード30から施解錠情報を読み取ってその正当性を判別する。また、カード式電気錠20は、これと同時に、部屋使用情報を時計部24で計時している現在時刻とを照合し、時計部24の計時時刻の時刻ズレが時刻ズレ判別情報の範囲内であるか否かを判別して、時計部24の計時時刻に所定のズレが生じている場合に、ゲストカード30の時刻異常フラグをONにする。さらに、カード式電気錠20は、使用時間カウント値を読み取った時点からカウント処理を開始する。そして、使用者のチェックアウト後に返却されたゲストカードの時刻異常フラグがONになっているか否かをカード発行制御器10にて読み取って確認する。
【0042】
これにより、カード式電気錠20が計時する時刻に狂いが生じている場合であっても、使用可能期間の範囲内であれば施解錠操作可能となるため、時刻狂いにより施解錠ができないといったトラブルを防止する効果を奏することができる。また、時計部24が計時する時刻に狂いが生じていた場合に、ゲストカード30の時刻異常フラグをONにするため、使用者がチェックアウト手続終了後に使用者から返却されたゲストカード30をチェックするだけで、どの部屋のカード式電気錠20に時刻狂いが発生しているかを容易に確認することができる。
【0043】
ところで、上述した形態において、ゲストカード30から時刻異常フラグがONになっているいないに拘わらず、チェックイン手続後における最初の解錠操作時に使用時間に応じた使用時間カウント値によるカウント制御によって客室使用時間の制限を行う処理内容で説明したが、これに限定されることはない。
【0044】
上述した形態における他の制御例としては、例えば電気錠制御部22においてチェックイン手続後の最初の解錠操作時に取得した部屋使用情報と時計部24の計時時刻とを照合して時計部24の計時時刻に時刻ズレ判別情報の範囲以上の時刻ズレが確認された場合のみ、使用時間カウント値を使用してカウント処理する構成でもよい。この場合、時計部24の時刻の時刻狂いが時刻ズレ判別情報の範囲内であった場合は、通常の管理形態としてカード式電気錠20で計時する時刻に従って部屋使用情報の宿泊日時の範囲でゲストカード30を使用可能に制御する。
【0045】
また、本システムでは、滞在期間内における通常のチェックイン/チェックアウト時間による使用可能期間の管理と、使用時間カウント値によるカウント制御とを併用することも可能である。このように使用可能期間の管理形態を併用することで、チェックイン後に何らかの要因で計時時刻に狂いが発生した場合であっても、部屋の使用可能期間を正確に管理することができる。
【符号の説明】
【0046】
1…カードロックシステム
10…カード発行制御器
11…情報処理部
12…情報記憶部
13…カード発行部
14…操作入力部
15…表示部
20…カード式電気錠
21…情報読書部
22…電気錠制御部(22a…時刻ズレ判別手段)
23…記憶部
24…時計部
25…施解錠機構
26…電源部
30…ゲストカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施解錠操作時に必要な施解錠情報を記憶したゲストカードを発行するカード発行制御器と、
部屋の扉近傍に設置され施解錠操作時に前記ゲストカードに記憶する施解錠情報を読み取ってその正当性を判別し、正常に認証したときのみ錠前を電気的に施解錠制御するスタンドアロンな構成のカード式電気錠とを備えるカードロックシステムにおいて、
前記ゲストカードは、前記施解錠情報、前記部屋の使用時間を示す日時情報を含む部屋使用情報、前記日時情報に基づき設定された使用時間カウント値、前記カード式電気錠に時刻ズレが生じているときにONされる時刻異常フラグを少なくとも記憶し、
前記カード式電気錠は、
前記ゲストカードに対して各種情報の読み取り及び書き込みを行う情報読書部と、
現在の日時を計時する時計部と、
前記部屋使用時間内における最初の解錠操作時に読み取った前記部屋使用情報と前記時計部で計時する現在時刻とを照合して予め設定された時刻狂いを判別するための時刻ズレ判別情報の範囲内であるか否かを判別し、前記時刻ズレ判別情報の範囲以上の時刻ズレが生じている場合に、前記ゲストカードの前記時刻異常フラグをONにする異常フラグON信号を前記情報読取部を介して前記ゲストカードに書込処理するとともに、前記ゲストカードの使用時間カウント値に基づき前記時計部によるカウント処理を開始させる電気錠制御部と、
を備えたことを特徴とするカードロックシステム。
【請求項2】
前記カード発行制御器は、前記ゲストカードに各種カード情報を書き込む書込機能と、前記ゲストカードから前記時刻異常フラグがON状態を示すフラグON情報を読み込む読込機能を有するカード発行部と、
前記部屋使用時間終了後に返却された前記ゲストカードから読み取った前記フラグON情報を前記カード発行部から入力すると、管理者にその旨を通知するための異常通知信号を表示部に出力する情報処理部と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載のカードロックシステム。
【請求項3】
前記電気錠制御部は、前記時計部の計時時刻に前記時刻ズレ判別情報の範囲以上の時刻ズレが確認された場合のみ、前記ゲストカードの使用時間カウント値に基づき前記時計部によるカウント処理を開始させることを特徴とする請求項1又は2記載のカードロックシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−190615(P2011−190615A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57759(P2010−57759)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)
【Fターム(参考)】