説明

カード印刷装置

【課題】 操作性の向上が図られたカード印刷装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係るカード印刷装置1においては、磁気読み/書き部7より上流側に位置する磁気センサ61によって、磁気ストライプTの有無が検出される。そのため、カードSが磁気読み/書き部7に搬送される前に、磁気センサ61の検出信号から、搬入されたカードSのどちらの面が磁気ストライプ面S1であるかを判別することができる。従って、カードSを装置1内に搬入する際における印画面の向きを予め規定しておくことで、搬入されたカードSが規格カードと規格外カードのどちらであるかを、磁気センサ61によって判別することができる。すなわち、このカード印刷装置1では、従来のカード印刷装置では必要であったこのような判別をパネル操作でおこなう必要がなくなった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気カードの表面に画像を印刷するカード印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、データ記録用の磁気ストライプを有するカード、いわゆる磁気カードが様々な用途で利用されている。また、このような磁気カードの表面に画像を印刷する工程と、磁気ストライプに所定のデータを記録する工程とを備えた磁気カード用のカード印刷装置は、通常、磁気ストライプにデータを記録するための磁気ヘッドを有している。この磁気ヘッドは、搬送される磁気カードの面のうち、磁気ストライプが実際にある面、又は、磁気ストライプがあるとみなすことができる面(以下、これらの面を磁気ストライプ面と称す。)に対向するように配置される。なお、このような印刷装置は、例えば、下記特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−76307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のカード印刷装置には次のような課題が存在している。すなわち、磁気カードには、磁気ストライプ面と画像が印刷される面(以下、印画面と称す。)とが異なる規格カードの他に、磁気ストライプ面と印画面とが同一面である規格外カードがある。そのため、印画面が上向きの状態で磁気カードが印刷装置内に搬入された場合、規格カードでは磁気ストライプ面が下向きの状態で搬送されるのに対し、規格外カードでは磁気ストライプ面が上向きの状態で搬送される。
【0005】
従って、規格カードと規格外カードとを同じ設定のまま印刷装置に搬入した場合、どちらかの磁気カードにおいては磁気ストライプと磁気ヘッドとが対向しない事態が生じてしまい、書き込みエラーとなってしまう。そのため、搬入するカードの種類を変更する場合には、搬入されるカードの磁気ストライプと磁気ヘッドとが対向するように、カード印刷装置の設定を変更する必要があった。従来では、この設定の変更をするために、作業者がオペレーションパネルの操作をおこなっていた。つまり、従来のカード印刷装置は、搬入する磁気カードの種類を変更するたびに面倒なパネル操作が必要であったため、作業者にとっては非常に操作性の悪いものとなっていた。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、操作性の向上が図られたカード印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るカード印刷装置は、搬送される磁気カードの磁気ストライプに対向する磁気ヘッドを有し、磁気ストライプからデータを読み取る処理、及び、磁気ストライプにデータを書き込む処理のうち、少なくとも一方の処理をおこなうデータ処理部と、データ処理部よりも上流側において、搬送される磁気カードの表面に対向して配置されると共に、磁気ストライプの有無を検出する磁気センサと、を備えることを特徴とする。
【0008】
このカード印刷装置においては、データ処理部より上流側に位置する磁気センサによって、磁気ストライプの有無が検出される。そのため、磁気カードがデータ処理部に搬送される前に、磁気センサの検出信号から、搬入された磁気カードのどちらの面が磁気ストライプ面であるかを判別することができる。従って、磁気カードを装置内に搬入する際における印画面の向きを予め規定しておくことで、搬入された磁気カードが規格カードと規格外カードのどちらであるかを、磁気センサによって判別することができる。すなわち、このカード印刷装置では、従来のカード印刷装置では必要であったこのような判別をパネル操作でおこなう必要がなくなった。
【0009】
また、データ処理部よりも上流側に位置し、磁気センサによって検出された磁気ストライプの有無に基づいて、搬送される磁気カードを選択的に反転させる反転部をさらに備えることが好ましい。この場合、規格カード若しくは規格外カードに応じて、磁気カードを選択的に反転させるので、データ処理部の磁気ヘッドがカード搬送路の片側にしかない場合であっても、磁気ヘッドと磁気ストライプとを対向させることができる。
【0010】
また、データ処理部と反転部とが鉛直方向に沿って並んでおり、水平状態で磁気カードを保持した反転部は、磁気センサによって検出された磁気ストライプの有無に基づいて、正転方向又は逆転方向に回転して磁気カードを立ち上げると共に、立ち上げられた磁気カードをデータ処理部に送り込むことが好ましい。この場合、反転部の正転又は逆転に伴って磁気カードの表裏反転がおこなわれ、反転部が90度の回転ですむため、磁気カードの表裏反転に伴う遅延が抑制される。
【0011】
また、磁気カードの表面に対して直交する方向に磁気センサを進退させる変位手段をさらに備えることが好ましい。この場合、変位手段によって、磁気センサを磁気カードに接近させることができ、磁気センサの感度の向上が図られる。また、磁気ストライプにデータが記録されている磁気カードを装置内に搬入する場合、変位手段によって磁気センサを磁気カードから離間させることができ、磁気ストライプに記録されたデータが磁気センサによって消去される事態を回避することができる。さらに、磁気ストライプを検出する際に、磁気センサが磁気カードの回転範囲内にある場合であっても、磁気カードを回転する際に、磁気センサが変位手段によって磁気カードから離間されて後退することで、磁気センサと磁気カードとが接触する事態が回避される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カード印刷装置における操作性の向上が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明に係るカード印刷装置を実施するにあたり最良と思われる形態について詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
【0014】
図1に示すように、中間転写型熱転写印刷装置(カード印刷装置)1は、カードプリンタとも呼ばれ、印刷画像を厚さ約20μm程度の透明なフィルムFに一旦転写した後、このフィルムFから記録媒体Sに再転写する装置である。記録媒体Sは、片方の表面に磁気ストライプが設けられた磁気カードであり、例えばプラスチック製のキャッシュカード、クレジットカード、プリペードカード、ICカードなどである。このような熱転写印刷装置1は、カードSを発行する際に利用され、高品位な画像をカードSの表面に印刷することができる。従って、セキュリティを高める目的で顔写真の入ったカードSの発行をも可能にする。なお、熱転写印刷装置1は、規格カード(磁気ストライプ面と印画面とが異なるカード)及び規格外カード(磁気ストライプ面と印画面とが同じカード)のいずれのカードSにも対応している。
【0015】
このような熱転写印刷装置1は、印刷予定のカードSを積層状態でセッティングするためのストック部2を有する。カードSは、印画面が上になるように、ストック部2にセッティングされる。そして、カードSは、送出し爪3の進退運動によってストック部2の一番下から一枚ずつ繰り出され、ストック部2から繰り出されたカードSは、反転部4内に一旦装填される。
【0016】
反転部4にカードSが装填されると、反転部4はカードSを保持した状態で正転方向(カードSの前端が下がる方向)又は逆転方向(カードSの後端が下がる方向)に90度回転して、カードSを立ち上げる。立ち上げられたカードSは、反転部4に設けられたローラ対6A,6Bによって上昇されると共に、反転部4の上方に位置する磁気読み/書き部(データ処理部)7内に送り込まれる。この磁気読み/書き部7では、カードSの磁気ストライプTに対する所定データの書き込み処理及び読み取り処理がおこなわれる。
【0017】
カードSは、必要に応じて、反転部4により下降され、反転部4の下方に位置する非接触IC読み/書き部8内に送り込まれる。この非接触IC読み/書き部8では、カードSのICに対する所定データの書き込み処理及び読み取り処理がおこなわれる。なお、磁気読み/書き部7又は非接触IC読み/書き部8で不適切と判断されたカードSは、反転部4の回転後、送りローラ6によってイジェクトボックス9内に排出される。
【0018】
カードSは、反転部4から送り出されると、着脱自在なクリーニングローラ10を通過した後、ガイド溝12で両側を支持されながら、搬送ローラ11によって画像印刷される直前まで移動される。
【0019】
次に、カードSへの画像転写を可能にするために、この熱転写印刷装置1は、フィルムFに画像を熱転写する記録部(一次転写部)Aと、フィルムFに転写された画像とカードSとを対向させて、カードSに画像を熱転写する再転写部(二次転写部)Bと、画像転写後のカードSの反りを矯正する反り矯正部Cとを備えている。
【0020】
さらに、この熱転写印刷装置1は、抜き差しにより交換可能なフィルムカートリッジ13とリボンカートリッジ14とを有している。このフィルムカートリッジ13では、フィルムFが上下一対のボビン15,16に巻かれ、リボンカートリッジ14では、カラーインクリボンRが上下一対のボビン17,18に巻かれている。そして、リボンカートリッジ14内のカラーインクリボンRには、溶融性又は昇華性のイエロー・マゼンタ・シアンの3色(またはブラックを加えた4色)のインクを1フレームとして周期的にインクが塗布されている。
【0021】
ここで、前述した記録部Aでは、プラテンローラ(通称「プラテン」)20の略半周にフィルムFが巻き付けられ、サーマルヘッド21によって、プラテンローラ20上のフィルムFにカラーインクリボンRが押し当てられる。そして、フィルムFとカラーインクリボンRとを同期させながら下方に送ることで、加熱状態のサーマルヘッド21によって、カラーインクリボンRの第1色目(シアン)がフィルムF上に熱転写される。
【0022】
次に、ラック・ピニオン駆動機構22によってサーマルヘッド21を後退させて、フィルムFとカラーインクリボンRとを離間させた状態で、プラテンローラ20を逆転させながらフィルムFを上昇させて元の位置に復帰させる。その後、前述の転写動作を繰り返しながら、フィルムF上にマゼンタ、イエロー、ブラックの順に色を重層させて、所望のカラー画像をフィルムF上に作り出す。
【0023】
その後、プラテンローラ20の回転によってフィルムF上の記録画像をヒートローラ23の手前まで移動させる。このとき、カードSの先端は、フィルムF上の記録画像の先端と位置合わせされ、カードSとフィルムFとは、重ね合わされた状態で再転写部Bに送り込まれる。
【0024】
この再転写部Bにおいて、位置合わせされたカードSとフィルムFとは、重ね合わされた状態でヒートローラ23と押圧ローラ24とで挟み込まれ、160〜200°Cに加熱されたヒートローラ23と押圧ローラ24との協働により、カードSとフィルムFとを加圧搬送させながら、フィルムF上の記録画像をカードSの表面に徐々に転写させる。このとき、フィルムFは、カードSから剥離しながらボビン16に巻き取られていく。また、ヒートローラ23によって加熱されたカードSには反りが発生するので、カードSは、反り矯正部Cに送り込まれて加圧処理された後、真っ直ぐな状態で装置1外に排出される。
【0025】
次に、上述した反転部4及び磁気読み/書き部7について詳細に説明する。
【0026】
まず、磁気読み/書き部7について、図2を参照しつつ説明する。図2に示すように、磁気読み/書き部7は、カードSを鉛直方向(図のZ方向)に案内する1対のガイドプレート(前ガイドプレート31及び後ガイドプレート32)と、1対のガイドプレート31,32の間に形成されたカードSの搬送路Vを挟むように対峙し、搬送路Vに沿って並設された3対の搬送ローラ対33,34,35と、前ガイドプレート31に設けられた磁気ヘッド36と、後ガイドプレート32に設けられたICリーダライタ37とで構成されている。
【0027】
また、駆動プーリ38と前ガイドプレート側の3つのローラ33A,34A,35Aとは、互いに同期して回転する。すなわち、3対の搬送ローラ対33,34,35のうち、中段の搬送ローラ対34の前ガイドプレート側ローラ34Aには、同期ベルトB1を介して駆動プーリ38が連結されている。さらに、ローラ34Aは、同期ベルトB2を介して上段の搬送ローラ対33の前ガイドプレート側ローラ33Aと、ベルトB3を介して下段の搬送ローラ対35の前ガイドプレート側ローラ35Aと接続されている。なお、駆動プーリ38は、図示していない制御部によって、その回転方向及び回転タイミングが制御される。そのため、駆動プーリ38を制御部が制御することで、3つのローラ33A,34A,35Aが協働して、搬送路Vの内部にカードSを導いたり、搬送路VからカードSを排出したりすることができる。
【0028】
磁気ヘッド36は、カードSの磁気ストライプTにデータを書き込むことができ、また、磁気ストライプTからデータを読み取ることができるものである。この磁気ヘッド36は、中段の搬送ローラ対34と下段の搬送ローラ対35との間に位置し、ガイドプレート31,32の間に形成された搬送路Vを臨むように前ガイドプレート31に設けられている。また、磁気ヘッド36は、搬送路Vを通過するカードSの磁気ストライプ面S1が前ガイドプレート31側を向いている場合に、その磁気ストライプ面S1の磁気ストライプTが対向するように配置されている。
【0029】
ICリーダライタ37は、カードSの表面に形成されたICチップ(図示せず)に接触して、ICチップにデータを書き込んだり、ICチップからデータを読み込んだりするものである。ICリーダライタ37は、ガイドプレート31,32の間に形成された搬送路Vを臨むように後ガイドプレート32に取り付けられており、中段の搬送ローラ対34と上段の搬送ローラ対33との間に位置している。なお、ICリーダライタ37は、カードSが搬送路Vを通過する際に、カードSのICチップに接触する。
【0030】
次に、反転部4について、図2〜図4を参照しつつ説明する。
【0031】
反転部4は、カードSの搬送路に沿って配置されると共に、カードSを左右両側から挟んで保持するホルダ41と、カードSを表裏両側から挟みつつ搬送するローラ対6A,6Bと、ホルダ41及びローラ対6A,6Bを一体的に回転する回動軸44とによって構成されている。
【0032】
ホルダ41は、図3に示すように、カードSの搬送路に沿って平行に延在する2本のガイドバー45A,45Bと、これら2本のガイドバー45A,45Bを外側から保持する略長方形平板状の2枚の保持プレート46A,46Bと、保持プレート46A,46Bの間に架けられた2本の連結バー47,48とによって構成されている。
【0033】
1対のガイドバー45A,45Bのそれぞれには、互いに対向する側にガイド溝49A,49Bが形成されており、搬送されるカードSの左右の端部がこのガイド溝49A,49Bによって案内されることで、カードSがガイドバー45A,45Bに沿って移動する。1対の保持プレート46A,46Bには対応する位置に2対の軸受け部50が形成されている。そして、保持プレート46Aと保持プレート46Bとは、この軸受け部50に軸支され、保持プレート46A,46Bの対向方向(X方向)に延在する2本の連結バー47,48によって互いに連結されている。また、各保持プレート46A,46B中央の上下の端面には、保持プレート46A,46Bの対向方向(X方向)に延在するローラ対6A,6Bを軸支するローラ受け部51が突設されている。
【0034】
ローラ対6A,6Bは、上述した保持プレート46A,46Bのローラ受け部51に回転自在に軸支されている。ここで、ローラ対6A,6Bのうち、上側に位置する送りローラ6Aの軸42にはモータM1が連結されており、モータM1は、制御部52によって制御されている。そのため、送りローラ6Aを制御部52が制御することで、ローラ対6A,6BでカードSを搬送させたり、ローラ対6A,6BでカードSを挟持した状態に保持させたりすることができる。
【0035】
また、一方の保持プレート46Aの中央には、保持プレート46A,46Bの対向方向(X方向)に沿って外側に延びる回動軸44の先端が固定されている。この回動軸44にはモータM2が連結されており、モータM2は、モータM1を制御する制御部と同じ制御部52によって制御される。制御部52が回動軸44を回動させると、ホルダ41とこのホルダ41に軸支されているローラ対6A,6Bとが、回動軸44を中心に一体的に回転する。
【0036】
つまり、制御部52がモータM1及びM2を制御することで、反転部4に搬入されてきたカードSをローラ対6A,6B及びホルダ41で保持すると共に、保持したカードSを立ち上げて、上方の磁気読み/書き部7の搬送路Vに送り込むことができる。なお、反転部4がカードSを立ち上げる際には、反転部4は、正転方向(図2の矢印P方向)、又は逆転方向(図2の矢印Q方向)にホルダ41を回転させる。
【0037】
より具体的には、制御部52は、カードSが反転部4内の所定位置まで搬送されたタイミングで、送りローラ6Aの回転を停止させると共に、回動軸44を回転させて、ホルダ41を正転方向又は逆転方向に回転させる。そして、回動軸44が90度回転してホルダに保持されたカードSが立ち上がったら、制御部52は、カードSが上昇する方向に送りローラ6Aを回転させて、カードSを磁気読み/書き部7の搬送路Vに送り込む。なお、反転部4内におけるカードSの位置検出には、カードSの前端Saの位置及び後端Sbの位置において対向する2対のフォトセンサ53,54が用いられる。
【0038】
また、制御部52がモータM1及びM2を制御することで、磁気読み/書き部7の搬送路Vから送られてきたカードSをローラ対6A,6B及びホルダ41で保持すると共に、保持したカードSを水平状態に倒して、反転部4に水平に並ぶクリーニングローラ10に送り出すことができる。
【0039】
より具体的には、制御部52は、磁気読み/書き部7の搬送路Vから送られてきたカードSを、ホルダ41で受けると共に、カードSをホルダ41に導入する方向に送りローラ6Aを回転させる。そして、カードSがホルダ41内に導入されると、制御部52は、送りローラ6Aの回転を停止すると共に、磁気読み/書き部7に送り込む際に回転させた方向とは反対の方向に回動軸44を回転させる。そして、回動軸44が90度回転して、ホルダ41に保持されたカードSが水平状態に戻ったのち、カードSをクリーニングローラ10に送り出す方向に送りローラ6Aを回転させる。このように、制御部52が、磁気読み/書き部7に送り込む際に回転させた方向とは反対の方向に回動軸44を回転させることで、反転部4に搬入されたときと同じ向き、すなわち、上面が印画面である向きで、カードSが反転部4の下流に送られる。
【0040】
次に、上述した反転部4において、水平状態で搬送されてくるカードSの磁気ストライプTを検出する磁気ストライプ検出器60について説明する。
【0041】
磁気ストライプ検出器60は、図2及び図3に示すように、磁気センサ61とソレノイド(変位手段)62とによって構成されている。ソレノイド62は、反転部4に搬入されるカードSの上方に位置し、カードSの表面に垂直な方向(Z方向)に延在する。このソレノイド62は、モータM1及びモータM2を制御する制御部と同じ制御部52によって制御される。そして、ソレノイド62は、制御部52の指示に基づいて、その延在方向(Z方向)に沿ってシャフト63を進退させる。磁気センサ61は、このソレノイド62のシャフト63の先端部63aに取り付けられており、カードSが反転部4に搬入された際にカードSの上面に近接するように配置されている。なお、磁気センサ61の感度を向上させる場合には、磁気センサ61がカードSに対してさらに接近するように、ソレノイド62を駆動させて磁気センサ61を鉛直下向きに移動させる。
【0042】
磁気ストライプ検出器60は、図4に示すように、カードSが反転部4によって保持されたときに、磁気センサ61がカードSの磁気ストライプTの前端部Taに対向するように配置されている。そして、磁気センサ61は、カードSが反転部4によって水平に保持された状態で、カードSの上面に磁気ストライプTが有るか無いかを検出する。
【0043】
より具体的に説明すると、磁気センサ61は、所定の磁場強度よりも大きい磁場強度を検出した場合には、カードSの上面に磁気ストライプTがあると認識し、「磁気ストライプあり」の信号を制御部52に送る。一方、磁気センサ61は、所定の磁場強度よりも大きい磁場強度を検出しなかった場合には、カードSの上面に磁気ストライプTがないと認識し、「磁気ストライプなし」の信号を制御部52に送る。
【0044】
なお、カードSが、フィルムなどで磁気ストライプTがコーティングされているカードや、磁気ストライプTが内部に埋没しているカードのように、表面に磁気ストライプTが露出していないカードであっても、磁気センサ61の感度を調整することにより、磁気センサ61に、磁気ストライプTが実質的に存在している面を磁気ストライプ面Tと認識させることができる。
【0045】
そして、制御部52が、磁気センサ61から「磁気ストライプあり」の信号を受け取った場合には、制御部52は、ホルダ41を正転方向(図2の矢印P方向)に90度回転させて、カードSを立ち上げる。次に、送りローラ6Aを回転させて、カードSを磁気読み/書き部7に送り込む。このとき、カードSの磁気ストライプ面は磁気読み/書き部7の前ガイドプレート31に対向しているため、磁気ヘッド36と磁気ストライプTとが対向する。すなわち、磁気ストライプ面S1が上向きとなって搬送される規格外カードが反転部4に送られてきた場合、反転部4は、カードSを正転方向に回転させて、磁気ヘッド36と磁気ストライプとを対向させる。それにより、磁気ヘッド36は磁気ストライプTに対して所定の書き込み処理や読み込み処理を施すことができる。
【0046】
一方、制御部52が、磁気センサ61から「磁気ストライプなし」の信号を受け取った場合には、制御部52は、ホルダ41を逆転方向(図2の矢印Q方向)に90度回転させて、カードSを立ち上げる。次に、送りローラ6Aを回転させて、カードSを磁気読み/書き部7に送り込む。このとき、カードSの磁気ストライプ面S1は磁気読み/書き部7の前ガイドプレート31に対向しているため、磁気ヘッド36と磁気ストライプTとが対向する。すなわち、磁気ストライプ面S1が下向きとなって搬送される規格カードが反転部4に送られてきた場合、反転部4はカードSを逆転方向に回転させて、磁気ヘッド36と磁気ストライプとを対向させる。それにより、磁気ヘッド36は磁気ストライプTに対して所定の書き込み処理や読み込み処理を施すことができる。
【0047】
なお、ホルダ41を逆転方向に回転させる際、制御部52は、ホルダ41を回転させる前に、磁気ストライプ検出器60のソレノイド62を駆動させて、カードSの表面に近接している磁気センサ61を鉛直上方に引き上げ、カードSの回転範囲W外まで磁気センサ61を退避させる。それにより、磁気センサ61とカードSとが接触する事態が回避される。
【0048】
以上で詳細に説明したように、中間転写型熱転写印刷装置1においては、磁気読み/書き部7より上流側の反転部4に配置された磁気センサ61によって、カードSの上面の磁気ストライプTの有無が検出される。そのため、カードSが磁気読み/書き部7に搬送される前に、磁気センサ61の検出信号から、搬入されたカードSが規格カード及び規格外カードのどちらであるかが判別されるため、このような判別をパネル操作でおこなう必要がない。つまり、カードの種類を規格カードと規格外カードとの間で変更する際に、面倒なパネル操作が必要であった従来のカード印刷装置に比べて、カード印刷装置1は操作性の向上が図られている。
【0049】
また、反転部4は、規格外カード若しくは規格カードに応じて、カードSを正転方向又は逆転方向に回転させて、磁気ヘッド36と磁気ストライプとを対向させるため、磁気読み/書き部7の磁気ヘッド36は搬送路Vの片側に一つだけあればよい。さらに、反転部4が、規格外カード及び規格カードのどちらを反転させる場合でも、90度の回転ですむため、カードSの反転に伴う遅延が抑制される。
【0050】
なお、磁気ストライプTにデータが記録されているカードSをカード印刷装置1に搬入する場合には、磁気ストライプ検出器60のソレノイド62を駆動させて、カードSの表面に近接している磁気センサ61を鉛直上方に引き上げる。それにより、磁気ストライプTに記録されたデータが磁気センサ61によって消去される事態が回避される。
【0051】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、磁気センサの位置は、磁気読み/書き部7よりも上流側であれば、例えば、ストック部と反転部との間のカード搬送路の位置であってもよい。また、磁気ヘッドは、カードの磁気ストライプからデータを読み取る処理、及び、カードの磁気ストライプにデータを書き込む処理のうち、一方の処理のみをおこなうものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係る中間転写型熱転写印刷装置を示す側面図である。
【図2】図1の中間転写型熱転写印刷装置の要部拡大図である。
【図3】図1の中間転写型熱転写印刷装置の反転部を示した斜視図である。
【図4】図1の中間転写型熱転写印刷装置の反転部を示した平面図である。
【符号の説明】
【0053】
1…中間転写型熱転写印刷装置(カード印刷装置)、4…反転部、7…磁気読み/書き部(データ処理部)、36…磁気ヘッド、61…磁気センサ、62…ソレノイド(変位手段)S…カード(磁気カード)、T…磁気ストライプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される磁気カードの磁気ストライプに対向する磁気ヘッドを有し、前記磁気ストライプからデータを読み取る処理、及び、前記磁気ストライプにデータを書き込む処理のうち、少なくとも一方の処理をおこなうデータ処理部と、
前記データ処理部よりも上流側において、搬送される前記磁気カードの表面に対向して配置されると共に、前記磁気ストライプの有無を検出する磁気センサと、
を備えることを特徴とするカード印刷装置。
【請求項2】
前記データ処理部よりも上流側に位置し、前記磁気センサによって検出された前記磁気ストライプの有無に基づいて、搬送される前記磁気カードを選択的に反転させる反転部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のカード印刷装置。
【請求項3】
前記データ処理部と前記反転部とが鉛直方向に沿って並んでおり、
水平状態で前記磁気カードを保持した前記反転部は、前記磁気センサによって検出された前記磁気ストライプの有無に基づいて、正転方向又は逆転方向に回転して前記磁気カードを立ち上げると共に、立ち上げられた前記磁気カードを前記データ処理部に送り込むことを特徴とする請求項2に記載のカード印刷装置。
【請求項4】
前記磁気カードの表面に対して直交する方向に前記磁気センサを進退させる変位手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のカード印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−190396(P2006−190396A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−1669(P2005−1669)
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】