説明

カード後処理方法及び該カード後処理方法で後処理されたカード

【課題】荒れのない良好な側面を有するカードを作製することが出来るカード後処理方法を提供すること。
【解決手段】樹脂材料で構成されるカードと主走査をするレーザ光の光路とを相対的に副走査方向に移動させながら、前記カードの厚み方向に平行な少なくとも1つの側面に前記レーザ光の照射ビームのピッチを該照射ビームの直径の20〜50%の長さにして、前記側面に沿って厚さ方向又は辺方向に副走査をして照射するようにした、前記側面の荒れを緩和する側面改良工程を有することを特徴とするカード後処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカード、クレジットカード、プリペイドカード等の初期加工された側面にレーザ光を照射するカード後処理方法及び該カード後処理方法で後処理されたカードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカード、クレジットカード、プリペイドカード等が多くの分野で利用されるようになるに伴い、カードに対する品質の要求、例えば、切断加工されたり成形加工されたりしたカード側面に対する品質の要求が益々厳しくなってきている。
【0003】
一般に、上述したカードには顔写真や文字が形成されていることが多く、カード切断面が荒れていると、顔写真画像を形成したり文字を印刷する時に、カード切断面から離脱した切りカスがカード上の顔写真や文字の部分に付着して白抜けを起こして、重大な品質不良になってしまう。
【0004】
また、カードの読み取り、書き込み装置内に切りカスが堆積すると、読み取り、書き込みエラーを起こしてしまう恐れもある。
【0005】
このような問題に対処するために、カード切断面の品質を向上させる以下のような技術が提案されている。
【0006】
(1)パンチ、ダイからなるカード打ち抜き装置において、パンチの4隅の山部から山部間の谷部に向かってシャー角を設けて、山部から谷部へと順次切断することにより、切れ味を向上させて良好な切断面を得ようとするものである(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
(2)パンチ、ダイからなるカード打ち抜き装置において、ダイの4隅の山部から山部間の谷部に向かってシャー角を設けて、山部から谷部へと順次切断することにより、切れ味を向上させて良好な切断面を得ようとするものである(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
(3)磁気カードの磁気情報の読み込み書き込みを行う磁気カードリーダライタにおいて、カード挿入口にバリ取り機構を設け、磁気カードの両側縁に突出したバリを取り除こうとするものである(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
また、レーザ光を用いて樹脂成型品の金型接合部やゲート部のバリを除去する手段が開示されている(例えば、特許文献4、5参照)。
【特許文献1】特開平7−328999号公報
【特許文献2】特開平7−329000号公報
【特許文献3】実開平5−4340号公報
【特許文献4】特開2004−126377号公報
【特許文献5】特開2004−153180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1又は2に記載された技術では、カードを4隅から打ち抜くために、R形状の4隅に発生しやすいササクレ、バリ、ヒゲ等はある程度抑制出来るが、薄手のシート材料の場合には切断面が引きちぎられた状態になりやすく、また、厚手の材料を打ち抜く場合には切断抵抗が大きくなり、切断面がギザギザの荒れた状態になりやすいという欠点がある。
【0011】
また、接着剤を介して積層されたICカードのように機械的強度の異なる複数の積層材料の打ち抜きにおいては、接着剤が引き延ばされながら切断され、引き延ばされた切断片がICカードの切断面に付着してしまい、有効な打開策とはし難い。
【0012】
特に、ICカード等は、携帯時に曲げられても折れないように、接着剤は硬化した段階でもある程度の弾性を有するものを使用するため、益々、引き延ばされた接着剤のカスの発生が多くなる傾向にある。
【0013】
また、シャー角形状の頂点にあたる4辺中央部においては大きく破断され、破断された部分がそれまでに切断された部分とは同一直線上になく凸形状になりやすい。
【0014】
前述したように、カードには顔写真や文字等の画像を形成する場合が多く、画像形成時に切断片、ササクレ、バリ、ヒゲ等が切断面から分離して顔写真や文字の部分に付着すると、重大な欠陥になってしまう。
【0015】
また、カード読み取り機や書き込み機等においても、繰り返して読み取りや書き込みが行われるため、切断片、ササクレ、バリ、ヒゲ等が装置内に蓄積されて、読み取りエラー、書き込みエラー、或いは、カード搬送不良を起こしてしまう恐れがある。
【0016】
特許文献3に記載された方法は、バリ等を除去するためには簡便な方法であるが、バリ取り刃の寿命管理が難しく、又、前述した接着剤を介して積層されたICカードの場合には、接着剤の粘性のため、刃先周辺に接着剤が付着、堆積して、バリ取りが正常に出来なくなる恐れがある。
【0017】
特許文献4、5に記載された方法では、レーザ光をカードの切断面に照射することにより、細かなバリ、ヒゲ等は容易に除去することが出来るが、例えば、カードの基体となる樹脂シートや、接着剤等からなる比較的大きな切りカス、ササクレ等を除去しようとすると、長時間、又は、高出力のレーザ光を照射する必要が生じてくる。
【0018】
カードに長時間、又は、高出力のレーザ光を照射した場合、切断面の形状が変化したり、カード寸法が小さくなってしまう等の不具合が生じてしまうと共に、エネルギの消費が大きくコスト的にも難点が出てくる。
【0019】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、荒れのない手触り感の良い項品質の側面を有するカードを作製することが出来るカード後処理方法及び該カード後処理方法で後処理されたカードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者等は、カード側面の品質向上のために鋭意検討してきたが、カードを形成するための切断装置に改良を加えても限界があるものと考え、カード側面である切断面に適度な強度で適切なエネルギ効率を有するレーザ光を照射することにより切断面の品質を向上することが可能であるという知見を得た。
【0021】
即ち、荒れのない良好な切断面を得るには、切断面に付着した大きな切りカス、バリ等までも除去するのではなく、適度な強度を有するレーザ光を照射しこれらを溶融して切断面に固着させて切断面から離脱しないようすることが有効な方法であると考え、本発明に至った。
【0022】
本発明の目的は、下記の構成により達成することが出来る。
1.樹脂材料で構成されるカードと主走査をするレーザ光の光路とを相対的に副走査方向に移動させながら、前記カードの厚み方向に平行な少なくとも1つの側面に前記レーザ光の照射ビームのピッチを該照射ビームの直径の20〜50%の長さにして、前記側面に沿って厚さ方向又は辺方向に副走査をして照射するようにした、前記側面の荒れを緩和する側面改良工程を有することを特徴とするカード後処理方法。
2.前記レーザ光の照射ビームの照射方向は前記側面に直角であることを特徴とする1項に記載のカード後処理方法。
3.前記レーザ光の照射ビームの出力波長は前記樹脂材料の吸収波長帯域に応じて選択されることを特徴とする1又は2項に記載のカード後処理方法。
4.前記レーザ光の単位面積当たりの照射エネルギ密度は0.05〜0.20J/s・mm2であることを特徴とする1〜3項のいずれか1項に記載のカード後処理方法。
5.前記カードは接着剤を介してシートが積層されたものであることを特徴とする1〜4項のいずれか1項に記載のカード後処理方法。
6.前記側面改良工程の前に前記カードの側面を清掃する前清掃工程を設けることを特徴とする1〜5項の何れか1項に記載のカード後処理方法。
7.前記側面改良工程の後に前記カードの側面を清掃する後清掃工程を設けることを特徴とする1〜5項の何れか1項に記載のカード後処理方法。
8.1〜7項のいずれか1項に記載のカード後処理方法で後処理されたことを特徴とするカード。
【発明の効果】
【0023】
切断、又は、樹脂成形等により成形されたカードの側面にレーザ光を効率良く照射して、側面の荒れを緩和する側面改良工程を設けることにより、側面が荒れていたり、或いは、切りカスが付着していても、荒れた面を溶融して平滑化したり、或いは、切りカスを溶融して側面に固着することにより、側面から切りカス等が剥離しないようにすることにより、側面の荒れを緩和することが可能になる。
【0024】
なお、細かなササクレ、バリ、ヒゲ等は、レーザ光で昇華して除去することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係わるカード後処理方法の実施の形態の一例を図を参照しながら説明する。
【0026】
以下に述べる実施の形態では、対象とするカードはICカードであるが、これに限定されるものではなく、例えば、クレジットカード、プリペイドカード等であっても良い。
【0027】
また、本実施の形態では、対象とするカードは切断により成形されるものであるが、これに限定されることなく、樹脂成形等で成形されるものであっても良い。
【0028】
なお、以下の実施の形態における断定的な説明は、ベストモードを示すものであって、本発明の用語の意義や技術的範囲を限定するものではない。
【0029】
先ず、本実施の形態の対象となるICカード(以下、単にカードともいう)、及び、複数のカードが形成され、個々のカードに打ち抜かれる前のICカードシート(以下、単にシートともいう)の概要を図1を用いて説明する。
【0030】
図1(a)はシートの分解斜視図、図1(b)はICモジュールの拡大斜視図、図1(c)はシートよりカードを打ち抜いた状態を示す斜視図である。
【0031】
図1(a)において、Sはカード用のシートを示す。シートSは、複数のICモジュール301を整列配置・貼着したコアシート302、コアシート302の上側に接着される第1のシート303と、コアシート302の下側に接着される第2のシート304等から構成されている。303Aは第1のシート303に印刷等により形成されたカード用の図柄を示す。
【0032】
図1(b)において、ICモジュール301は、ICチップ301Aとループアンテナ301Bとを有している。
【0033】
図1(c)において、CはシートSより図柄303Aに合わせて、カード打ち抜き装置により打ち抜かれたカードを示す。
【0034】
なお、カードの打ち抜きには、周知の技術を用いることが可能であり、例えば、特開平8−244000号公報、特開平10−166300号公報等に記載の技術を用いることが出来る。
【0035】
ここで、コアシート302、第1のシート303、第2のシート304、これらのシートを接着する接着剤について説明する。
(コアシート302)
コアシート302は絶縁性のシートであり、適用可能な樹脂としては、一般用ポリスチレン樹脂、耐衝撃用ポリスチレン樹脂、ポリエステル,ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、セルローストリアセテート,セルロールジアセテート等のセルロース系樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリル酸エチル樹脂、ポリエチルメタクリレート樹脂、酢酸ビニル樹脂等、従来からインレットシートに使用される公知の樹脂が挙げられる。
(第2のシート304)
第2のシート304は、この上に設けた画像を記録するための受像層304Aで形成される画像を引き立たせるために、白色の顔料を混入させ、気泡をハニカム構造に折り込んだ例えばポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリプロピレン(PP)等で成形されることが好ましく、特に、2軸延伸された樹脂、具体的には2軸延伸ポリエステルフィルムであることが、薄くても強度があるので好ましいが、本発明はこれに限られない。
(受像層304A)
受像層304Aは画像を受容しうる層のことであり、昇華染料や拡散染料がサーマルヘッドで加熱されて熱拡散する時に、染料をトラップして定着させる素材で構成されているのが好ましく、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等のような高分子材料が良好な受像層の素材として知られている。
(保護層304B)
受像層304Aの上(図1では下側)には記録された画像を保護するために保護層304Bを設けることが好ましく、保護層は透明で保護効果があれば特に制限がないが、特にアクリル酸エステル、アクリルアミド等の活性光線硬化樹脂が好ましい。
(第1のシート303)
第1のシート303は、本来の要求機能としては何でも良いが、ICカードに加圧加熱した時に、上、下の素材構成が対称であった方が反りが小さく、平坦な面が得られるので第2のシート304と同一の構成であることが好ましい。
(筆記層303B)
第1のシート303上に設けた筆記層303Bは、例えばポリエステルエマルジョンに炭酸カルシウム、シリカ微粒子等を拡散したものが好ましく、表面支持体の受像層と同様に、溶剤で溶かして、グラビアコータ等で塗布してから、乾燥させ、溶剤を気化させて形成することが好ましい。
【0036】
筆記層303Bの厚さは、受像層304Aとほぼ同じ程度にすることが好ましく、また、筆記性を良くするために筆記層表面には細かい凹凸面を有するのがより好ましい。
(接着剤)
接着剤は湿気反応型ホットメルト接着剤であり、樹脂を溶融させて接着した後、湿気を吸収して樹脂が硬化するタイプの接着剤である。その特徴として、通常のホットメルトと比較して硬化反応を有する上、それに要するだけ接着可能時間が長く、かつ接着後に軟化温度が高くなるため耐久性に富み、低温での加工に適していることが挙げられる。湿気反応型ホットメルト接着剤の1例として、分子末端にイソシアネート基含有ウレタンポリマーを主成分とし、このイソシアネート基が水分と反応して架橋構造を形成するものがある。
【0037】
本発明に使用できる湿気反応型ホットメルト接着剤としては住友スリーエム社製TE030、TE100、日立化成ポリマー社製ハイボン4820、カネボウエヌエスシー社製ボンドマスター170シリーズ、Henkel社製Macroplast QR 3460等が挙げられる。
【0038】
次に、上述したようなカードCを得るためのカード後処理方法の実施の形態の一例を図2を用いて説明する。
【0039】
図2はカード後処理方法の各工程の概略図である。
【0040】
1は、上記各工程の前にあるカード打ち抜き工程であり、例えば、前述した特開平8−244000号公報、特開平10−166300号公報等に記載の技術を用いることによりカードCが打ち抜かれる。
【0041】
打ち抜かれたカードCは、例えば、先端に吸盤を有するピックアンドプレイス等の周知の移載手段2を用いてカードストック工程3の一時保管箱30内に順次ストックされる。
【0042】
一時保管箱30に保管されたカードCは、1枚又は複数枚毎に移載手段4により前清掃工程5に移送され、前清掃テーブル50上に載置される。
【0043】
載置完了後、前清掃ブラシ51は回転を開始するとともにカードCの側面である切断面CSに接触しながら上昇し、切断面CSに付着している剥離しやすい切りカス等の除去を行う。
【0044】
清掃完了後、前清掃テーブル50を90°ずつ回転し、残りの3辺の切断面CSの清掃を行う。
【0045】
なお、前清掃ブラシ51により除去された切りカス等が飛散しないように吸引手段52を前清掃ブラシ51の近傍に設けて吸引することが好ましい。
【0046】
カードCの4辺の清掃が完了すると、カードCは移載手段6により側面改良工程7に搬送され、側面改良テーブル70上に載置される。
【0047】
載置完了後、カードCの1辺の切断面CSにレーザ照射手段71からレーザ光を照射する。
【0048】
レーザ光の発振器としては特に限定されないが、例えば、CO2レーザ/短波長:9.3μm(キーエンス社製のML−G3900シリーズ)等を使用することが可能である。
【0049】
レーザ光はレーザ照射手段71内のガルバノメータ(参照符号なし)等の主走査手段により、カードCの各辺の長さをカバーするようにカードCの辺方向に往復走査し、この往復走査に同期して、カードCは所定速度で上昇し、全てのカードCの側面を構成する例えば切断面全域にレーザ光が照射される。即ち、往復するレーザ光のビームのスポット径Dの20〜50%のピッチpにしてレーザビームのスポットが重なるべく副走査されるように、レーザ光の主走査周期、カードCの副走査としての上昇速度が設定されている。
【0050】
上記のCO2レーザ光は樹脂材料例えばPETであれば図5のグラフに示すように、吸収スペクトルの領域が知られているので、その吸収率の高い(透過率の低い)波長領域5〜12μm内の波長のレーザ光を使用して効率の良い照射を行うことができる。本実施の形態例においては前述のように9.3μmのものを用いている。
【0051】
レーザ光の主走査速度はカードCの辺方向に例えば長辺方向であれば88mmに設定してあり、スキャン速度は4000〜12000mm/sであり、例えば8000mm/sに設定した。
【0052】
また、カードCがその厚み方向に移動する副走査速度を4.5mm/sにしてあり、スキャン回数は91回/sであるので、カード厚み方向の走査ピッチp(副走査ピッチ)は0.05mm=50μmとなり、レーザビームの径Dが150μmであるので、図6の模式図に示すように、p=(50/150)D=0.33Dとなり、この割合33%がレーザビームの照射ピッチと呼ばれることがある。即ち、レーザビームの照射ピッチはこのような割合(%)で定義される。
【0053】
この照射ピッチPは上記移動速度やビーム径等を変化させることによっていろいろに変えることが出来る。
【0054】
そして単位時間当たりのレーザ照射面積は396mm2であり、一方、本実施の形態例に用いる前記CO2レーザ装置は30Wでありその出力は70〜100%で用いられるが、90%の27Wで使うと単位照射面積当たりのエネルギ密度は0.07J/s・mm2となる。
【0055】
上記レーザのスキャン速度(主走査速度)やカードCの速度(副走査速度)を変化させてエネルギ密度は0.05〜0.20J/s・mm2にしてテストした結果は良好で安定していた。
【0056】
また、このビームスポットの照射ピッチpを変化させてバリ、ひげの脱落状況、手触り感、加工能力等を検証した結果を表1に示す。この結果、レーザビームの照射ピッチpは、20〜50%のものが手触り感、加工能力共に良好であり、更にバリやひげの脱落もなく良好な側面を有するカードが得られることが確認できた。
【0057】
【表1】

【0058】
更に照射方向を側面(切断面)と平行或いは直角方向に変化させて、その手触り感を検証した結果を表2に示す。同じレーザービームの照射ピッチを用いてテストした結果でも側面に垂直に当てる方が平行に当てるより遙かに良好な手触り感が得られることが分かる。
【0059】
【表2】

【0060】
カードCを上昇するための昇降手段72は、例えば、ステッピングモータ、サーボモータ等(参照符号なし)により回転するカム73等により構成することが出来る。
【0061】
なお、副走査としてカードCを昇降する代わりにレーザ照射手段71を昇降することにより、レーザ光の光路LPを上下方向に移動させても良い。
【0062】
レーザ光照射完了後、側面改良テーブル70が90°ずつ回転し、残りの3辺の側面(切断面)CSにレーザ光が照射される。
【0063】
4辺の側面(切断面)CSのレーザ照射が完了すると、カードCは移載手段8により後清掃工程9に移送され、後清掃テーブル90上に載置される。
【0064】
載置完了後、粘着ローラからなる後清掃ローラ91は回転を開始するとともに上昇しながら、カードCの側面(切断面)CSに接触して、レーザ光により炭化した部分や、側面(切断面)CSに溶着しているが剥離しやすい切りカス等の除去を行う。
【0065】
清掃完了後、後清掃テーブル90を90°ずつ回転し、残りの3辺の側面(切断面)CSの清掃を行う。
【0066】
なお、粘着ローラとしては、粘着性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ブチルゴムを主成分とした合成ゴムからなる粘着ゴムローラを使用することが出来る。
【0067】
側面(切断面)CSの清掃完了後、カードCは移載手段10により回収工程11の回収箱12に回収される。
【0068】
以上説明した側面改良工程を有するカード後処理方法により、図3(a)に示すように、カードCの荒れた側面(切断面)CSにレーザ光を照射することにより、図3(b)に示すように、側面(切断面)CSの荒れが緩和されるとともに、切りカス等は溶融して側面(切断面)CSに固着させることが出来る。
【0069】
この結果、例えば、カード上に顔画像を形成する顔画像形成装置において、側面(切断面)CSから切りカスが剥がれて、顔画像形成時に顔画像形成部分に付着して白抜けを起こしたり、或いは、データ読み取り書き込み装置において、切りカス等が装置内に蓄積して、読み取り書き込みエラーの発生してしまうことを防止出来る。
【0070】
また、本実施の形態のように、側面改良工程7の前に前清掃工程5を設けて、側面(切断面)CSをあらかじめ清掃することにより、剥がれやすい切りカス、ササクレ、バリ、ヒゲ等を除去することが出来るため、レーザ光が照射された時に不安定な状態で切りカス、ササクレ、バリ、ヒゲ等が溶融する危険性を軽減できる。
【0071】
更に、側面改良工程7の後に後清掃工程9を設けて、レーザ光が照射された側面(切断面)CSを清掃することにより、不安定に付着していたり、或いは、炭化している切りカス等を除去することが出来る。
【0072】
なお、切りカス等の中でも細かいものは、前清掃工程5で除去されるか,或いは、レーザ光により昇華して除去される。
【0073】
本実施の形態においては、側面(切断面)CSの厚さ方向にみた全幅にレーザ光を照射したが、これに拘束されることなく、側面(切断面)CSの厚さ方向にみた所定幅にレーザ光を照射しても良い。
【0074】
例えば、カードCの断面図である図4に示すように、切断時に切りカスが発生しやすい接着剤層AD及び接着剤層ADに挟まれたコアシート302の幅にのみレーザ光を照射しても良く、これにより、切りカスを効率よく溶融、固着することが出来る。加えて、カードCの寸法等に関係する部材である第1のシート303、第2のシート304にはレーザ光が照射されないため、寸法の変化等を生じることがなく初期の寸法精度を維持することが出来る。
【0075】
また、本実施の形態においては、カードCの4つの側面にレーザ光を照射したが、これに限定されることなく、少なくとも1つの側面にレーザ光を照射しても良い。例えば、前述した顔画像形成装置、カードの読み取り、書き込み装置等において切りカスが発生しやすい側面にのみにレーザ光を照射しても良く、これにより、カードの生産効率を向上させるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】ICカードシート、及び、ICカードの模式図である。
【図2】カード後処理方法の各工程の概略図である。
【図3】カードCの切断面CSを正面から見た概略拡大図である。
【図4】カードCの断面図である。
【図5】PET材料の吸収スペクトル領域とレーザの照射波長の範囲を示すグラフである。
【図6】副走査方向のレーザ照射ビーム径と照射ピッチの関係を示す模式図である。
【符号の説明】
【0077】
1 カード打ち抜き工程
2、4、6、8、10 移載手段
3 カードストック工程
5 前清掃工程
7 側面改良工程
9 後清掃工程
11 回収工程
12 回収箱
30 一時保管箱
50 前清掃テーブル
51 前清掃ブラシ
52 吸引手段
70 側面改良テーブル
71 レーザ照射手段
72 昇降手段
73 カム
90 後清掃テーブル
91 後清掃ローラ
301 ICモジュール
301A ICチップ
301B ループアンテナ
302 コアシート
303 第1のシート
303A 図柄
303B 筆記層
304 第2のシート
304A 受像層
304B 保護層
AD 接着剤層
C ICカード
CS 側面(切断面)
LP 光路
D 照射ビームの直径
p 照射ビームのピッチ
S ICカードシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料で構成されるカードと主走査をするレーザ光の光路とを相対的に副走査方向に移動させながら、前記カードの厚み方向に平行な少なくとも1つの側面に前記レーザ光の照射ビームのピッチを該照射ビームの直径の20〜50%の長さにして、前記側面に沿って厚さ方向又は辺方向に副走査をして照射するようにした、前記側面の荒れを緩和する側面改良工程を有することを特徴とするカード後処理方法。
【請求項2】
前記レーザ光の照射ビームの照射方向は前記側面に直角であることを特徴とする請求項1に記載のカード後処理方法。
【請求項3】
前記レーザ光の照射ビームの出力波長は前記樹脂材料の吸収波長帯域に応じて選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載のカード後処理方法。
【請求項4】
前記レーザ光の単位面積当たりの照射エネルギ密度は0.05〜0.20J/s・mm2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカード後処理方法。
【請求項5】
前記カードは接着剤を介してシートが積層されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカード後処理方法。
【請求項6】
前記側面改良工程の前に前記カードの側面を清掃する前清掃工程を設けることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のカード後処理方法。
【請求項7】
前記側面改良工程の後に前記カードの側面を清掃する後清掃工程を設けることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のカード後処理方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のカード後処理方法で後処理されたことを特徴とするカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−245542(P2007−245542A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72480(P2006−72480)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】