説明

カード用コネクタ装置

【課題】本来収容されるべきカードよりも幅寸法の小さい前端部を有する別のカードが誤って収容されることを防止できるカード用コネクタ装置の提供。
【解決手段】第1,第2カード収容部7,9を仕切る中板部4に、第1カード挿入口6側から第1カード収容部7の前端側に延ばされ第1カード収容部7内方へ傾けられてなる片持ちばね部21を形成し、片持ちばね部21の自由端に、第1カード収容部7内において幅方向に延ばされてなる阻止部22を形成し、第1カード挿入口6への第1カード30の挿入時に阻止部22が退避して第1カード30の収容が許可され、第1カード挿入口6への第2カード40の挿入時に阻止部22が第2カード40の前端部に当接し第2カード40の収容が阻止されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコン等の電子機器に設けられ、カードが挿入されるカード挿入口と、このカード挿入口と連続する空間であってカード挿入口から挿入されたカードが収容されるカード収容部とを備えるカード用コネクタ装置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカード用コネクタ装置には、例えば特許文献1に示されるものがある。この特許文献1に示されるカード用コネクタ装置は、カードが挿入されるカード挿入口と、このカード挿入口と連続する空間であってカード挿入口から挿入されたカードが収容されるカード収容部とを有するケースを備えている。カード収容部内には、このカード収容部に本来収容されるべきカードよりも厚さ寸法の小さい別のカードがカード挿入口に挿入されたとき、カード収容部への別のカードの収容を阻止する阻止構造部が設けられている。
【0003】
このように構成された従来のカード用コネクタ装置は、カード収容部に収容されるべきカードよりも厚さ寸法が小さいカードがカード挿入口から挿入されたときに、そのカードがカード収容部に収容されるのを阻止部材によって阻止する。これにより、カード収容部に本来収容されるべきカードよりも厚さ寸法の小さいカードがカード収容部に誤って収容されることを防止することができる。
【特許文献1】特開2004−39306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来のカード用コネクタ装置は、カード収容部に本来収容されるべきカードよりも幅寸法が小さい前端部を有する別のカードについては、カード収容部への収容を阻止することができない。このため、別のカードが誤って収容された場合、別のカードの端子やコネクタ装置の端子が損傷するおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の実状を考慮してなされたものであり、その目的は、カード収容部に本来収容されるべきカードよりも幅寸法の小さい前端部を有する別のカードが誤って収容されることを防止することができるカード用コネクタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔1〕 本発明は、前述の目的を達成するために、カードが挿入されるカード挿入口と、このカード挿入口と連続する空間であって前記カード挿入口から挿入された前記カードが収容されるカード収容部とを有するケースを備えるカード用コネクタ装置装置であって、前記カードが前記カード挿入口に挿入されたときに前記カード収容部への前記カードの収容を許可し、前記カードよりも幅寸法の小さい前端部を有する別のカードが前記カード挿入口に挿入されたときに前記カード収容部への前記別のカードの収容を阻止する阻止構造部を備え、この阻止構造部が、前記カードが前記カード収容部に収容された状態において前記カードの表面に対向する前記ケースの板部、および前記カードの裏面に対向する前記ケースの板部の少なくとも一方に設けられ、前記カード挿入口に挿入された前記カードの前端部により押し退けられる片持ちばね部と、この片持ちばね部に設けられ、前記カードがカード挿入口に挿入されたときに前記カードの前端部により前記片持ちばね部が押し退けられることに伴って前記カードの端部に当接しない位置に退避し、前記別のカードが前記カード挿入口に挿入されたときに前記別のカードの前端部に当接して前記別のカードの挿入方向への移動を阻止する阻止部とを有することを特徴とする。
【0007】
このように構成した本発明では、カード収容部に本来収容されるべきカードがカード挿入口に挿入された場合、カードの前端部が阻止構造部の片持ちばね部を押し退けつつカード収容部内を移動し、これに伴って阻止構造部の阻止部がカードの前端部に当接しない位置に退避する。これにより、カード収容部へのカードの収容が許可される。
【0008】
また、幅寸法の小さな別のカードがカード挿入口に挿入された場合、別のカードの前端部が片持ちばね部を押し退けずにカード収容部内を移動し、阻止部に当接する。これにより、別のカードの挿入方向への移動が阻止され、カード収容部に対する別のカードの収容が阻止される。この結果、カード収容部に本来収容されるべきカードよりも幅寸法の小さい前端部を有する別のカードが誤って収容されることを防止することができる。
【0009】
〔2〕 本発明は、〔1〕記載の発明において、前記少なくとも一方の板部が可撓性を有し、この板部に前記阻止構造部が形成され、前記片持ちばね部が、前記カード収容部の前記カード挿入口側から前記カード収容部の前端側へ延ばされ、前記カード収容部の内方へ傾けられてなり、前記阻止部が、前記片持ちばね部の自由端に形成され、前記カード収容部内において前記カード収容部の幅方向に延ばされてなることを特徴とする。
【0010】
このように構成した本発明では、阻止構造部が板部に形成されているので、阻止部材と板部が1つの部材となっている。これにより、カード収容部への別のカードの収容の阻止を、部品点数を増加させずに実現できる。
【0011】
〔3〕 本発明は、〔2〕記載の発明において、前記阻止部における前記カード収容部の前端側の縁部が、前記カード収容部の前端方向に膨らむ円弧状に形成されたことを特徴とする。
【0012】
このように構成した本発明では、カード収容部に収容されたカードを抜取る際に、阻止部におけるカード収容部の前端側の縁部にカードが引っ掛かることを防止できる。
【0013】
〔4〕 本発明は、〔2〕記載の発明において、前記阻止構造部が前記カード収容部の幅方向に複数設けられたことを特徴とする。
【0014】
このように構成した本発明では、複数の阻止構造部のいずれによってカード収容部への別のカードの収容を阻止するようにすることができる。これにより、カード収容部に対する別のカードの収容の阻止の確実性を向上させることができる。
【0015】
〔5〕 本発明は、〔2〕記載の発明において、前記阻止構造部が2つ設けられ、これら2つの阻止構造部が、線対称になるよう形成され、前記2つの阻止構造部のそれぞれの前記片持ちばね部が、前記少なくとも一方の板部の両側部のそれぞれに形成され、前記2つの阻止構造部のそれぞれの前記阻止部が、互いに向き合うよう形成され、前記2つの阻止構造部よりも前記カード挿入口側に位置する前記少なくとも一方の板部の部分と、前記2つの阻止構造部よりも前記カード収容部の前端側に位置する前記少なくとも一方の板部の部分とを結合する結合部が、前記2つの阻止構造部の間に配置されたことを特徴とする。
【0016】
このように構成した本発明では、2つの阻止構造部の少なくとも一方によってカード収容部への別のカードの収容を阻止するようにすることができるので、カード収容部への別のカードの収容の阻止の確実性を向上させることができる。また、阻止構造部が設けられる板部において、阻止構造部よりもカード挿入口側に位置する板部の部分と、阻止構造部よりもカード収容部の前端側に位置する板部の部分とを結合する結合部を、2つの阻止構造部の間に配置してあるので、板部の歪みに対する強度を向上させることができ、カードの挿入や抜取り時に板部にカードが引っ掛かることを防止できる。
【0017】
〔6〕 本発明は、第1カードが挿入される第1カード挿入口と、この第1カード挿入口と連続する空間であって前記第1カード挿入口から挿入された前記第1カードが収容される第1カード収容部と、前記第1カードよりも幅寸法の小さい前端部を有する第2カードが挿入される第2カード挿入口と、この第2カード挿入口と連続する空間であって前記第2カード挿入口から挿入された前記第2カードが収容される第2カード収容部とを有するケースを備えるカード用コネクタ装置装置であって、前記第1カードが前記第1カード挿入口に挿入されたときに前記第1カード収容部への前記第1カードの収容を許可し、前記第2カードが前記第2カード挿入口に挿入されたときに前記第1カード収容部への前記第2カードの収容を阻止する阻止構造部を備え、この阻止構造部が、前記第1カードが前記第1カード収容部に収容された状態において前記第1カードの表面に対向する前記ケースの板部、および前記第1カードの裏面に対向する前記ケースの板部の少なくとも一方に設けられ、前記第1カード挿入口に挿入された前記第1カードの前端部により押し退けられる片持ちばね部と、この片持ちばね部に設けられ、前記第1カードが前記第1カード挿入口に挿入されたときに前記第1カードの前端部により前記片持ちばね部が押し退けられることに伴って前記第1カードの前端部に当接しない位置に退避し、前記第2カードが前記第1カード挿入口に挿入されたときに前記第2カードの前端部に当接して前記第2カードの挿入方向への移動を阻止する阻止部とを有することを特徴とする。
【0018】
このように構成した本発明では、第1カードが第1カード挿入口に挿入された場合、第1カードの前端部が阻止構造部の片持ちばね部を押し退けつつカード収容部内を移動し、これに伴って阻止構造部の阻止部が第1カードの前端部に当接しない位置に退避する。これにより、第1カード収容部への第1カードの収容が許可される。
【0019】
また、第2カードが第1カード挿入口に挿入された場合、第2カードの前端部が片持ちばね部を押し退けずに第1カード収納部内を移動し、阻止部に当接する。これにより、第2カードの挿入方向への移動が阻止され、第1カード収容部にへの第2カードの収容が阻止される。この結果、第1カード収容部に第2カードが誤って収容されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
前述したように、本発明によれば、カード収容部に本来収容されるべきカードよりも幅寸法の小さい前端部を有する別のカードが誤って収容されることを防止することができる。これにより、別のカードが誤って収容されたことによる別のカードの端子やコネクタ装置の端子の損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明のカード用コネクタ装置の一実施形態について説明する。
【0022】
<1> 本実施形態の構成を図1〜8を用いて説明する。
【0023】
図1は、本実施形態の平面図、図2は、図1のA−A断面図、図3は、図1のB方向矢視図、図4は、図1のC方向矢視図、図5は、図1に示す実施形態の下板部を取除いた状態を示す裏面図、図6は、図1に示す実施形態の上板部を取除いた状態を示す平面図、図7は、図2に示す第1カード収容部に収容される第1カードの斜視図、図8は、図2に示す第2カード収容部に収容される第2カードの斜視図である。
【0024】
本実施形態は、パソコン等の電子機器に設けられるカード用コネクタ装置であり、例えば図1に示すカード用コネクタ装置1である。なお、以下の説明では、図1の上側をカード用コネクタ装置1の前側とし、同図1の左側をカード用コネクタ装置1の左側としてある。
【0025】
図1に示すように、本実施形態は、平面視形状がほぼ矩形に形成されるケース2を備えている。このケース2は、上板部3、中板部4および下板部5を有する。ケース2の下板部5と中板部4の間には、図2,3に示すように、ケース2の後端において開口し第1カード30(図7参照)が挿入される第1カード挿入口6と、第1カード挿入口6と連続する空間であって第1カード挿入口6から挿入された第1カード30が収容される第1カード収容部7とが形成されている。
【0026】
ケース2の上板部3と中板部4の間には、ケース2の後端において開口し第2カード40(図8参照)が挿入される第2カード挿入口8と、第2カード挿入口8と連続する空間であって第2カード挿入口8から挿入された第2カード40が収容される第2カード収容部9とが形成されている。
【0027】
図2に示すように、第1カード収容部7内の前端部には、第1カード収容部7に収容される第1カード30の端子と接触する第1カード用端子10が配列されている。また、第2カード収容部9内の前端部には、第2カード収容部9に収容される第2カード40の端子と接触する第2カード用端子11が配列されている。また、ケース2の前端面には、図2,4に示すように、基板12が取付けられている。この基板12には、第1カード用端子10と第2カード用端子11が貫通した状態で半田付けされている。基板12を貫通した第1カード用端子10および第2カード用端子11のそれぞれの端部10a,11aは、パソコン等の電子機器に接続される。
【0028】
また、本実施形態は、図5に示すように、第1カード収容部7に収容された第1カード30を第1カード収容部7から押出す第1排出機構部13を備えている。また、図6に示すように、第2カード収容部9に収容された第2カード40を第2カード収容部9から押出す第2排出機構部14を備えている。
【0029】
第1排出機構部13は、ケース2の側方においてケース2の後端よりも後方へ突出し前後方向に押圧操作される操作部13aと、ケース2の側方にスライド可能に設けられ操作部13aの押圧操作によりスライドするスライド部材13bと、このスライド部材を後方向へ付勢するコイルばね13cと、ケース2内に回動可能に設けられスライド部材13bの前方向へのスライドに連動して回動し、第1カード30を第1カード収容部7から押出す回動部材13dとを備えている。
【0030】
第2排出機構部14も第1排出機構部13と同様に構成されており、ケース2の側方においてケース2の後端よりも後方へ突出し前後方向に押圧操作される操作部14aと、ケース2の側方にスライド可能に設けられ操作部14aの押圧操作によりスライドするスライド部材14bと、このスライド部材14bを後方向に付勢するコイルばね14cと、ケース2内に回動可能に設けられスライド部材14bの前方向へのスライドに連動して回動し、第1カード30を第1カード収容部7から押出す回動部材14eとを備えている。
【0031】
なお、図7に示すように、第1カード30は、平面視形状が矩形に形成され、幅寸法W1に設定されたカードである。第1カード30の前端部には、図示しないが、第1カード収容部7内に配列される第1カード用端子10との接触が可能に配列される端子が設けられている。
【0032】
また、図8に示すように、第2カード40は、第1カード30よりも小さい幅寸法の前端部を有するカードであり、例えば平面視形状が矩形に形成され、幅寸法W2に設定されたカードである。第2カード40の前端部には、図示しないが、第2カード収容部9内に配列される第2カード用端子11との接触が可能に配列される端子が設けられている。
【0033】
特に、本実施形態は、第1カード30が第1カード挿入口6に挿入されたときに第1カード収容部7への第1カード30の収容を許可し、第2カード40が第1カード挿入口6に挿入されたときに第1カード収容部への第2カード40の収容を阻止する阻止構造部20を備えている。
【0034】
この阻止構造部20は、第1カード30が第1カード収容部7に収容された状態において第1カード30の表面(上面)に対向するケース2の中板部4、および第1カード30の裏面(下面)に対向するケース2の下板部5の少なくとも一方、例えば中板部4に設けられている。また、第1カード30が第1カード挿入口6に挿入されたときに、第1カード30の前端部により押し退けられる片持ちばね部21を備えている。さらに、片持ちばね部21に設けられ、第1カード30が第1カード挿入口6から挿入されたときに、第1カード30の前端部により片持ちばね部21が押し退けられることに伴って第1カード30の前端部に当接しない位置に退避し、第2カード40が第1カード挿入口6に挿入されたときに、第2カード40の前端部に当接して第2カード40の挿入方向への移動を阻止する阻止部22を備えている。
【0035】
中板部4は、金属板を成形してなり、可撓性を有する。阻止構造部20は、中板部4に形成されている。片持ちばね部21は、図2に示すように、第1カード収容部7の第1カード挿入口6側から前側へ延ばされ、第1カード収容部7の内方へ傾けられてなる。阻止部22は、図3に示すように、片持ちばね部21の自由端に形成され、第1カード収容部7内において第1カード収容部7の幅方向に延ばされてなる。
【0036】
また、阻止構造部20は、第1カード収容部7の幅方向に複数、例えば2つ設けられている。これら2つの阻止構造部20は、図5,6に示すように線対称になるよう形成されている。2つの阻止構造部20のそれぞれの片持ちばね部21は、中板部4の両側部のそれぞれに形成されており、2つの阻止構造部20のそれぞれの阻止部22は、互いに向き合うよう形成されている。
【0037】
また、図5,6に示すように、阻止部22における第1カード収容部7の前端側の縁部22aは、第1カード収容部7の前端方向に膨らむ円弧状に形成されている。
【0038】
また、中板部4は、2つの阻止構造部20よりも第1カード挿入口6側に位置する中板部4の部分4aと、2つの阻止構造部20よりも第1カード収容部7の前端側に位置する中板部4の部分4bとを結合する結合部として、阻止構造部20の左側方に形成される左結合部4cと、阻止構造部20の右側方に形成される右結合部4dと、2つの阻止構造部20の間に形成される中央結合部4eをと有する。
【0039】
また、第1カード挿入口6の左側端から阻止部22の右側端までの寸法Wl、および、第1カード挿入口6の右側端から阻止部22の左側端までの寸法Wrは、それぞれ第2カード40の幅寸法W2よりも小さく設定されており、片持ちばね部21間の間隔寸法Wsは、第2カード40の幅寸法W2よりも大きく設定されている(図3参照)。
【0040】
<2> 本実施形態の作用を図を用いて説明する。
【0041】
[第1カード挿入口6に第1カード30が挿入された場合]
第1カード挿入口6に第1カード30が挿入された場合の阻止構造部20の作用について、図9〜18を用いて説明する。
【0042】
図9は、第1カード挿入口に第1カードの前端部が挿入された状態を示す平面図、図10は、図9のD−D断面図、図11は、図9のE方向矢視図、図12は、図9に示す状態において下板部を取除いた状態を示す裏面図、図13は、図9に示す状態において上板部を取除いた状態を示す平面図、図14は、第1カード収容部に対する第1カードの収容が完了した状態を示す平面図、図15は、図14のF−F断面図、図16は、図14に示す状態から下板部を取除いた状態を示す裏面図、図17は、図14に示す状態から上板部を取除いた状態を示す平面図である。
【0043】
図9〜11に示すように第1カード30が第1カード挿入口6に挿入されると、図11,13に示すように第1カード30の幅寸法W1が2つの片持ちばね部21間の間隔寸法Wsよりも大きいので、第1カード30は2つ片持ちばね部21を、図10に示すように押し退けつつ、第1カード収容部7内を移動し、これに伴って阻止部22は第1カード30の前端部に当接しない位置に退避する。これにより、第1カード収容部7への第1カード30の収容が許可される。
【0044】
この状態で、第1カード30がさらに前方向へ押し込まれると、図15〜17に示すように第1カード30は第1カード収容部7に収容される。これにより、第1カード30の端子(不図示)が第1カード用端子10に接触して、パソコン等の電子機器との間で信号の授受が可能な状態となる。
【0045】
[第1カード挿入口6の中央に第2カード40が挿入された場合]
第1カード挿入口6の中央に第2カード40が挿入された場合の阻止構造部20の作用について、図18〜22を用いて説明する。
【0046】
図18は、第1カード挿入口の中央に第2カードの前端部が挿入された状態を示す平面図、図19は、図18のG−G断面図、図20は、図18のH方向矢視図、図21は、図18に示す状態において下板部を取除いた状態を示す裏面図、図22は、図18に示す状態において上板部を取除いた状態を示す平面図である。
【0047】
図18〜22に示すように第2カード40が第1カード挿入口6の中央に挿入されると、図20〜22に示すように片持ちばね部21間の間隔寸法Wsが第2カード40の幅寸法W2よりも大きいので、図19に示すように第2カード40は左右の片持ちばね部21のいずれにも接触せずに前方向へ移動する。
【0048】
この状態では、第2カード40が左右の片持ちばね部21のいずれも押し退けていない。このため、左右の阻止部22の両方が第2カード40の前端部に当接して、第2カード40の前方向への移動を阻止する。これにより、第1カード収容部7への第2カード40の収容が阻止される。
【0049】
[第1カード挿入口6の側端に沿って第2カード40が挿入された場合]
第1カード挿入口6の側端、例えば左側端に沿って第2カード40が挿入された場合の阻止構造部20の作用について、図23〜27を用いて説明する。
【0050】
図23は、第1カード挿入口の左側端に沿って第2カードの前端部が挿入された状態を示す平面図、図24は、図23のI−I断面図、図25は、図22のJ方向矢視図、図26は、図22に示す状態において下板部を取除いた状態を示す裏面図、図27は、図22に示す状態において上板部を取除いた状態を示す平面図である。
【0051】
図23〜25に示すように第2カード40が第2カード挿入口8の左側端に沿って挿入されると、図25〜27に示すように第2カード40の幅寸法W2が第1カード挿入口6の左側端から阻止部22の右側端までの寸法Wlよりも大きいので、第2カード40は左側の片持ちばね部21を押し退けつつ、右側の片持ちばね部21には接触せずに、第1カード収容部7内を移動する。
【0052】
この状態では、図19に示すように右側の片持ちばね部21が第2カード40の前端部により押し退けられないため、右側の阻止部22が第2カード40の前端部に当接して、第2カード40の前方向への移動を阻止する。これにより、第1カード収容部7への第2カード40の収容が阻止される。
【0053】
なお、第1カード挿入口6の右側端に沿って第2カード40が挿入された場合には、右側の阻止部22によって、第1カード収容部7への第2カード40の収容が阻止される。
【0054】
また、第1カード30よりも幅寸法が小さい前端部を有する第2カードには、第2カード40以外に、幅寸法W1の本体51から突出する幅寸法W2の左前端部52を有する第2カード50があるが、この第2カード50についても、第1カード挿入口6の左側端に沿って第2カード40が挿入された場合と同様に、左側の阻止部22によって第1カード収容部7への収容が阻止される。
【0055】
本実施形態によれば次の効果を得られる。
【0056】
本実施形態は、2つの阻止構造部20の少なくとも一方によって、第1カード収容部7への第2カード40の収容を阻止することができる。これにより、第1カード収容部7に第2カード40が誤って収容されることを防止することができる。したがって、第2カード40が誤って第1カード収容部7に収容されたことによる第2カード40の端子や第1カード用端子10の損傷を防止することができる。
【0057】
また、本実施形態では、可撓性を有する中板部4に阻止構造部20が形成されているので中板部4と阻止構造部20が1つの部材となっている。これにより、第1カード収容部7への第2カード40の収容の阻止を、部品点数を増加させずに実現できる。
【0058】
また、本実施形態では、阻止部22における第1カード収容部7の前端側の縁部が、第1カード収容部7の前端方向に膨らむ円弧状に形成されている。これにより、第1カード収容部7に収容された第1カード30を抜取る際に、第1カード30が阻止部22に引っ掛かることを防止できる。
【0059】
また、本実施形態は、阻止構造部20が第1カード収容部7の幅方向に複数、すなわち2つ設けられている。これにより、2つの阻止構造部20の少なくとも一方によって、第1カード収容部7への第2カード40の収容を阻止することができる。この結果、第1カード収容部7への第2カード40の収容の阻止の確実性を向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態では、2つの阻止構造部20よりも第1カード挿入口6側に位置する中板部4の部分と、2つの阻止構造部20よりも第1カード収容部7の前端側に位置する中板部4の部分とが、2つの阻止構造部の間に配置される中央結合部4eにより結合されている。これにより、中板部4の歪みに対する強度を向上させることができ、第1カード挿入口6に対する第1カード30の挿入および抜取り時や、第2カード挿入口8に対する第2カード40の挿入および抜取り時に、第1,第2カード30,40が中板部4に引っ掛かることを防止することができる。
【0061】
なお、本実施形態は、第1カード挿入口6および第1カード収容部7と、第2カード挿入口8と第2カード挿入口8とを備えているが、本発明は、これに限るものではなく、第1カード挿入口6および第1カード収容部7のみを備えるものであってもよい。
【0062】
また、本実施形態は、阻止構造部20と中板部4とが1つの部材となっている例であるが、本発明はこれに限るものではなく、阻止構造部と中板部4を別の部品にして阻止構造部を中板部4に固定してもよい。
【0063】
また、本実施形態は、阻止構造部20を中板部4に設けた例であるが、本発明はこれに限るものではなく、下板部5に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明のカード用コネクタ装置の一実施形態の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB方向矢視図である。
【図4】図1のC方向矢視図である。
【図5】図1に示す実施形態の下板部を取除いた状態を示す裏面図である。
【図6】図1に示す実施形態の上板部を取除いた状態を示す平面図である。
【図7】図2に示す第1カード収容部に収容される第1カードの斜視図である。
【図8】図2に示す第2カード収容部に収容される第2カードの斜視図である。
【図9】第1カード挿入口に第1カードの前端部が挿入された状態を示す平面図である。
【図10】図9のD−D断面図である。
【図11】図9のE方向矢視図である。
【図12】図9に示す状態において下板部を取除いた状態を示す裏面図である。
【図13】図9に示す状態において上板部を取除いた状態を示す平面図である。
【図14】第1カード収容部に対する第1カードの収容が完了した状態を示す平面図である。
【図15】図14のF−F断面図である。
【図16】図14に示す状態において下板部を取除いた状態を示す裏面図である。
【図17】図14に示す状態において上板部を取除いた状態を示す平面図である。
【図18】第1カード挿入口の中央に第2カードの前端部が挿入された状態を示す平面図である。
【図19】図18のG−G断面図である。
【図20】図18のH方向矢視図である。
【図21】図18に示す状態において下板部を取除いた状態を示す裏面図である。
【図22】図18に示す状態において上板部を取除いた状態を示す平面図である。
【図23】第1カード挿入口の左側端に沿って第2カードの前端部が挿入された状態を示す平面図である。
【図24】図22のI−I断面図である。
【図25】図22のJ方向矢視図である。
【図26】図22に示す状態において下板部を取除いた状態を示す裏面図である。
【図27】図22に示す状態において上板部を取除いた状態を示す平面図である。
【図28】第1カード収容部への収容を阻止される第2カードの別の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 カード用コネクタ装置
2 ケース
3 上板部
4 中板部
5 下板部
6 第1カード挿入口
7 第1カード収容部
8 第2カード挿入口
9 第2カード収容部
10 第1カード用端子
11 第2カード用端子
20 阻止構造部
21 片持ちばね部
22 阻止部
30 第1カード
40 第2カード
50 第2カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードが挿入されるカード挿入口と、このカード挿入口と連続する空間であって前記カード挿入口から挿入された前記カードが収容されるカード収容部とを有するケースを備えるカード用コネクタ装置装置であって、
前記カードが前記カード挿入口に挿入されたときに前記カード収容部への前記カードの収容を許可し、前記カードよりも幅寸法の小さい前端部を有する別のカードが前記カード挿入口に挿入されたときに前記カード収容部への前記別のカードの収容を阻止する阻止構造部を備え、
この阻止構造部が、前記カードが前記カード収容部に収容された状態において前記カードの表面に対向する前記ケースの板部、および前記カードの裏面に対向する前記ケースの板部の少なくとも一方に設けられ、
前記カード挿入口に挿入された前記カードの前端部により押し退けられる片持ちばね部と、
この片持ちばね部に設けられ、前記カードがカード挿入口に挿入されたときに前記カードの前端部により前記片持ちばね部が押し退けられることに伴って前記カードの端部に当接しない位置に退避し、前記別のカードが前記カード挿入口に挿入されたときに前記別のカードの前端部に当接して前記別のカードの挿入方向への移動を阻止する阻止部とを有することを特徴とするカード用コネクタ装置。
【請求項2】
請求項1記載の発明において、
前記少なくとも一方の板部が可撓性を有し、この板部に前記阻止構造部が形成され、
前記片持ちばね部が、前記カード収容部の前記カード挿入口側から前記カード収容部の前端側へ延ばされ、前記カード収容部の内方へ傾けられてなり、
前記阻止部が、前記片持ちばね部の自由端に形成され、前記カード収容部内において前記カード収容部の幅方向に延ばされてなることを特徴とするカード用コネクタ装置。
【請求項3】
請求項2記載の発明において、
前記阻止部における前記カード収容部の前端側の縁部が、前記カード収容部の前端方向に膨らむ円弧状に形成されたことを特徴とするカード用コネクタ装置。
【請求項4】
請求項2記載の発明において、
前記阻止構造部が前記カード収容部の幅方向に複数設けられたことを特徴とするカード用コネクタ装置。
【請求項5】
請求項2記載の発明において、
前記阻止構造部が2つ設けられ、
これら2つの阻止構造部が、線対称になるよう形成され、
前記2つの阻止構造部のそれぞれの前記片持ちばね部が、前記少なくとも一方の板部の両側部のそれぞれに形成され、
前記2つの阻止構造部のそれぞれの前記阻止部が、互いに向き合うよう形成され、
前記2つの阻止構造部よりも前記カード挿入口側に位置する前記少なくとも一方の板部の部分と、前記2つの阻止構造部よりも前記カード収容部の前端側に位置する前記少なくとも一方の板部の部分とを結合する結合部が、前記2つの阻止構造部の間に配置されたことを特徴とするカード用コネクタ装置。
【請求項6】
第1カードが挿入される第1カード挿入口と、この第1カード挿入口と連続する空間であって前記第1カード挿入口から挿入された前記第1カードが収容される第1カード収容部と、前記第1カードよりも幅寸法の小さい前端部を有する第2カードが挿入される第2カード挿入口と、この第2カード挿入口と連続する空間であって前記第2カード挿入口から挿入された前記第2カードが収容される第2カード収容部とを有するケースを備えるカード用コネクタ装置装置であって、
前記第1カードが前記第1カード挿入口に挿入されたときに前記第1カード収容部への前記第1カードの収容を許可し、前記第2カードが前記第2カード挿入口に挿入されたときに前記第1カード収容部への前記第2カードの収容を阻止する阻止構造部を備え、
この阻止構造部が、前記第1カードが前記第1カード収容部に収容された状態において前記第1カードの表面に対向する前記ケースの板部、および前記第1カードの裏面に対向する前記ケースの板部の少なくとも一方に設けられ、
前記第1カード挿入口に挿入された前記第1カードの前端部により押し退けられる片持ちばね部と、
この片持ちばね部に設けられ、前記第1カードが前記第1カード挿入口に挿入されたときに前記第1カードの前端部により前記片持ちばね部が押し退けられることに伴って前記第1カードの前端部に当接しない位置に退避し、前記第2カードが前記第1カード挿入口に挿入されたときに前記第2カードの前端部に当接して前記第2カードの挿入方向への移動を阻止する阻止部とを有することを特徴とするカード用コネクタ装置装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2006−54122(P2006−54122A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235376(P2004−235376)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】