説明

カーブベルトコンベヤ

【課題】 無端状カーブベルトの表面に突条等の突起物を設けることなく、ベルト表面に付着した油の影響を回避して、無端状カーブベルトが駆動部から外れるのを防止できるカーブベルトコンベヤを提供する.
【解決手段】 平面円弧形状をなした無端状カーブベルト3を、平面円弧形状をしたフレーム1の周方向両側に配置した折り返し部材2,2’に亘って巻装し、無端状カーブベルトの外周部を駆動機構4,4’により径方向外方へ付勢しながら周方向へ回動するカーブベルトコンベヤにおいて、前記無端状カーブベルト3の外周に沿って掛け止め孔8を一定間隔をおいて開設し、その掛け止め孔8に嵌脱する係合突起10を外周面に備えた回転筒9を、前記フレーム両側の折り返し部材を取り付けた軸上、及び/又はフレーム内に遊転自在に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカーブベルトコンベヤに関し、詳しくはカーブベルトの外周部を上下のローラで挟持して径方向外方へ付勢しながら駆動回転するカーブベルトコンベヤにおいて、カーブベルトが中心側に移動するのを防止する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
旧来のカーブベルトコンベヤは、平面視円弧形状に形成した無端状カーブベルトの外周に沿って引掛け用桟、ビード等を一体的に取り付け、この引掛け用桟、ビード等をフレーム側に配置したローラなどに係着して、該無端状カーブベルトが中心側へ移動しないように構成されている。
しかし、円弧形状の無端状カーブベルトの表面に引掛け用桟やビード等を固着することは容易でなく、固着された引掛け用桟、ビード等は長期使用において剥離、損傷すると言った問題点を有している。
【0003】
そこで、無端状カーブベルトの外周に引掛け用桟やビード等がなくとも、無端状カーブベルトの外周縁を上下のローラ(駆動ローラとピンチローラ)で挟持して径方向外側へ付勢しながら周方向へ回転する駆動機構を備えたカーブベルトコンベヤが開発提案された(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1記載のカーブベルトコンベヤは、無端状カーブベルトの表面に引掛け用桟やビード等を備えていないため、無端状カーブベルトの製作が容易で、安価に製作できると共に、引掛け用桟やビード等の突起物が存在しない為、ベルトの着脱交換も容易に行うことができるという利点を有する。
しかし、その反面、油、水、粉等が無端状カーブベルトの表面に付着した場合、その油、水などが該ベルトを挟持する上下のローラに付着した時、無端状カーブベルトを径方向外側方向へ付勢する摩擦力が低下し、それによって無端状カーブベルトが円弧中心側に移動し、上下のローラ間から無端状カーブベルトの外周が外れ、カーブベルトコンベヤとして機能しなくなるという問題点を有する。
【0005】
このような問題点を解決するものとして、特許文献2が提案されている。
特許文献2に記載のものは、平面視円弧形状をしたカーブベルトの表面に、小さな突条(遮蔽部)を突出形成し、これによってカーブベルトの表面における被搬送物が載置される部分とベルト駆動部が接触する部分とを区画し、ベルト表面に付着した油、水、粉等の異物がベルト駆動部に影響を及ぼさないようにしている。
【0006】
しかしながら、無端状カーブベルトの表面に突条(遮蔽部)を突出形成することは、旧来の無端状カーブベルトにおける引掛け用桟やビード等と同様、製作が難しく、時間がかかり、コスト高になる。しかも、突条(遮蔽部)があっても油等の異物の影響は100%無いとはいえない。
何故ならば、油を使用している環境下では、空気自体に油が混じっていて、長時間のうちにはベルト駆動部(駆動ローラ、ピンチローラ)付近にもこの油が付着し、突条(遮蔽部)の効果はなくなる。叉、突条は付着した油などで取付(溶着)強度が劣化し、剥がれ易くなるという問題を有する。
【0007】
【特許文献1】特開平11−59837号公報
【特許文献2】特開2001−187618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、無端状カーブベルトの表面に突条等の突起物を設けることなく、ベルト表面に付着した油の影響を回避して、無端状カーブベルトが駆動部から外れるのを防止できるカーブベルトコンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する為に本発明が講じた技術的手段は、平面円弧形状をなした無端状カーブベルトを、平面円弧形状をしたフレームの周方向両側に配置した折り返し部材に亘って巻装し、無端状カーブベルトの外周部を駆動機構により径方向外方へ付勢しながら周方向へ回動するカーブベルトコンベヤにおいて、前記無端状カーブベルトの外周に沿って掛け止め孔を一定間隔をおいて開設し、その掛け止め孔に嵌脱する係合突起を外周面に備えた回転筒を、前記フレーム両側の折り返し部材を取り付けた軸上、及び/又はフレーム内に遊転自在に配置したことを特徴とする(請求項1)。
上記無端状カーブベルトの外周に沿って形成する掛け止め孔の形状は、真円形状、楕円形状、角孔形状(四角形、六角形等)等、何れでもよく、その孔の大きさは回転筒の外周面に形成された係合突起の外径の約1.5倍〜2倍位が好適である。
叉、上記掛け止め孔の孔列は、1列に限らず複数列でもよく、その場合は回転筒の係合突起の列も対応する列数とする。
上記折り返し部材は、軸に小径ローラを嵌装したローラタイプ、或いは平板からなるナイフエッジタイプの何れでもよい。
更に、ローラタイプは、短円筒状に構成した小径ローラを無端状カーブベルトのベルト幅に合わせて多数を軸上に取り付けて長軸状に構成されている。
【0010】
上記手段によれば、駆動機構の作用で径方向外方へ付勢されながら回動する無端状カーブベルトは、その外周に沿って形成した掛け止め孔がフレームの両側に配置した折り返し部材を取り付けた軸上とフレーム内に配置した回転筒外周の係合突起、叉はフレーム内に配置した回転筒外周の係合突起に嵌合し、無端状カーブベルトが中心側に移動するのが防止される。それにより、仮に無端状カーブベルトを挟持する上下ローラの接触部分に油や水、粉等が付着し外方への付勢力(摩擦)が低下して中心側へ滑り移動しようとした時、前記掛け止め孔と係合突起が機能し、無端状カーブベルトが外れるのを防止できる。尚、通常の駆動時は無端状カーブベルトの外周が上下ローラの挟持作用で外方へ付勢されているため、前記掛け止め孔には常時負荷が掛かっているわけではないので、ベルトは破れにくい。
【0011】
前記回転筒を支持する折り返し部材は、フレームに対し固定してもよいが、フレームに対し軸芯と直交する方向へ弾発出没自在な付勢手段で支持してもよい(請求項2)。付勢手段としては、圧縮コイルバネが挙げられる。
上記手段によれば、折り返し部材(テールローラ、又はナイフエッジ)は付勢手段によりフレームに対し弾発出没自在に支持される。それにより、無端状カーブベルトに製作上の寸法誤差があっても前記折り返し部材が弾発出没動してこれを吸収し、且つ無端状カーブベルトの弛みを吸収する。
【0012】
更に、前記付勢手段は、フレーム両側の折り返し部材の両側支持部の何れか一方に設けてもよいが、両側の折り返し部材の内・外側部の合計4箇所に設けると好適である(請求項3)。
上記手段によれば、フレーム両側の折り返し部材の内・外側部の合計4箇所で折り返し部材が弾発出没動を行う為、無端状カーブベルトの寸法誤差等を吸収してより安定したベルト走行を維持する。
【0013】
また、前記折り返し部材がテールローラで、そのテールローラの軸上に配置した回転筒は、テールローラ軸に取り付けられたテールローラと接触しないように縁切りされ、且つテールローラ軸の軸芯に沿って僅かに移動し得る遊びを有して取り付けられている(請求項4)。
上記テールローラ軸に回転自在に嵌装されたテールローラは、無端状カーブベルトの内周側と外周側の周速度に応じて、それぞれの位置の周速度で回転する。従って、個々に独立して回転するテールローラの回転が、回転筒の回転に影響しないようにスリーブやリングで接触しないように仕切られている。それにより、無端状カーブベルトの掛け止め孔に対して回転筒の係合突起は確実に嵌合する。
【0014】
更に、折り返し部材を、ナイフエッジとそのナイフエッジの下側に配置したローラで構成し、カーブベルトの掛け止め孔に嵌脱する係合突起を外周面に備えた回転筒を、フレーム内に配置してもよい(請求項5)。叉、フレーム内に配置する場合は、無端状カーブベルトの上側に回転筒と対応させて受筒を配置してもよく、その場合、該受筒は無端状カーブベルトの外周側を被覆するカバーに取り付けてもよい。
上記手段によれば、フレームの両側がナイフエッジで構成されたカーブベルトコンベヤにおいても、テールローラを供えたカーブベルトコンベヤと同様、無端状カーブベルトが中心側に移動するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のカーブベルトコンベヤは請求項1記載の構成により、無端状カーブベルトが円弧中心側へ移動し、駆動プーリからベルトが外れるのを防止することができる。そして、その構成は無端状カーブベルトに対する比較的簡単な孔加工ででき、ベルト表面に突起物等が存在しない為、無端状カーブベルトの取外し、及びベルトの洗浄を容易に行うことができる。しかも、回転筒をフレーム両側とフレーム内の両方に配置した場合は、掛け止め孔と係合突起の引っ掛け箇所が増える為、より一層無端状カーブベルトが外れるのを確実に防止できる。
叉、請求項2、3記載の構成により、折り返し部材(テールローラ、ナイフエッジ)はフレームに対し弾発出没するため、無端状カーブベルトに製作上の寸法誤差があっても前記テールローラ軸が弾発出没動してこれを吸収し、且つ無端状カーブベルトの弛みを吸収して、安定したベルト走行が維持される。
更に、請求項4記載の構成により、周速度の異なるテールローラの回転の影響を受けずに該回転筒は無端状カーブベルトとの対応位置による正常な回転を行い、掛け止め孔と係合突起の安定した噛み合いを保持することができる。
また、請求項5記載の構成により、フレームの両側にナイフエッジを備えたカーブベルトコンベヤにおいても、無端状カーブベルトが外れるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面に基づき説明する。
図1は本発明に係るベルト外れ防止手段を備えたカーブベルトコンベヤAを示し、該カーブベルトコンベヤAは、平面略扇形状をした平板状のフレーム1の周方向両側部にテールローラ2,2’が平面視90°の開き角度をおいて回転自在に架設され、その両テールローラ2,2’に亘って無端状カーブベルト3が巻装されて平面視略円弧形状の搬送路が構成されている。そして、前記フレーム1における周方向の中程位置には前記無端状カーブベルト3の外周部を上下より挟持する上下一対の駆動プーリ4aとピンチローラ4bとからなる駆動部4,4’が配置され、その駆動部4,4’における駆動プーリ4aを駆動回転する駆動モータ5aとギヤボックス5bからなる駆動機構5が前記フレーム1の外周縁に沿って設置されている。
【0017】
フレーム1の周方向両側部に架設されるテールローラ2,2’は、短円筒状に形成した多数の小ローラ2aを、無端状カーブベルト3のベルト幅に対応してテールローラ軸2bの外側に回転自在に嵌装することにより、軸長に亘って同径の長軸状ローラとして構成されている。
そして、小ローラ2aを回転自在に支持した周方向両側のテールローラ軸2bは、それぞれフレーム1の両側部における内周部と外周部に設けた、フレーム1に対した弾発出没自在な軸受け部材6a,6b及び7a,7bの間に亘って水平に架設支持され、両テールローラ軸2bの軸芯相互は平面視90°の開き角で配置される。尚、上記両テールローラ軸2bの外径の延長線が交差する箇所に無端状カーブベルト3の旋回中心Oが位置するように設定してある。
【0018】
上記テールローラ軸2bに沿って並列嵌装される小ローラ2aは、個々の小ローラが独立して回転するように構成されている。即ち、カーブベルトコンベヤは、無端状カーブベルト3の内周側と外周側とで周速度が異なるが、上記したように無端状カーブベルト3の両端部を支持するテールローラ2,2’を、テールローラ軸2b上に多数の小ローラ2aを並列して構成することにより、それぞれの小ローラ2aがそれぞれの位置の周速度で回転するように構成されている。叉、上記小ローラ2aは、外径を十分に小さいローラで構成しているので、該カーブベルトコンベヤAの始端部及び終端部に接続される他のコンベヤとの接続部に生じる段差(隙間)を小さく抑えることができる。
【0019】
上記テールローラ2,2’間に巻装される無端状カーブベルト3は、略切頭円錐形をなしたドーナツ状のシートとして構成され、これを扁平に折畳んで平面扇形状態として、前記フレーム1の中心側から、外周部となる大径側を嵌装する。それにより、平面視略扇状の円弧形となる搬送路が構成される。尚、この無端状カーブベルト3としては、その肉厚内に、ベルト幅方向に向かって強靭な線材(芯材)を放射状に内設し、ベルト幅方向と回転方向とを均等に圧縮強度を増大したものを使用するのが好ましい。
そして、テールローラ2,2’間に巻装された無端状カーブベルト3の往路側3aの略全面は、該テールローラ2,2’を支持する平板状のフレーム1で下側から支承されるように構成されている。尚、フレーム1の周方向の両端縁は、前記テールローラ2,2’の近傍まで延びている。
【0020】
上記無端状カーブベルト3を駆動回転する駆動部4,4’は、該無端状カーブベルト3の外周よりの往路側3aと復路側3bの間に配置した駆動プーリ4aと、前記駆動プーリ4aと対応させて復路側3bのベルト下側、及び往路側3aのベルト上側に配置した遊転自在なピンチローラ4bとで構成され、駆動部4は復路側ベルト3bの外周部を駆動プーリ4aとピンチローラ4bとで挟持し、駆動部4’は往路側ベルト3aの外周部を駆動プーリ4aとピンチローラ4bとで挟持し、駆動部4,4’の各駆動プーリ4aの駆動回転により無端状カーブベルト3が回転される。そして、上記した駆動プーリ4aとピンチローラ4bの軸芯は同一線上に一致させ、そうした駆動部4,4’を、無端状カーブベルト3の旋回中心Oから該カーブベルト3の外周に向けて延びる基準線Lに対して角度θだけ傾斜して交差するように配置されている。更に、駆動部4,4’はフレーム1の周方向の中心と旋回中心Oを結ぶ中心線O’を挟んで左右対称の位置に配置されている。
この駆動部4,4’における駆動プーリ4aとピンチローラ4bの軸芯が基準線Lに対して角度θ傾いていることで、接触回転する無端状カーブベルト3を径方向外方に付勢しながら回転する。それにより、無端状カーブベルト3は、ベルトの外周部に引掛け用桟、ビード類がなくとも、中心方向に移動することなく無端回転する。
【0021】
叉、駆動部の設置数は図示の二組に限らず、一組でも或いは三組以上でもよいものである。但し、中心線上に一組設置する場合は、駆動プーリ4aとピンチローラ4bの何れか一方叉は両方の軸芯を中心線O’に対して角度θ傾けて配置する。
更に、図示する二組の駆動部4,4’における各駆動プーリ4aは、単一の駆動機構5で駆動回転するように構成されているが、それぞれ独立した駆動機構で駆動するように構成してもよい。その場合、両者の回転は同期させる必要がある。即ち、無端状カーブベルト3を無端回転する駆動部の構成は、駆動プーリとピンチローラとでベルトを挟持し、ベルトを径方向外方へ付勢しながら回転するものであればよい。
【0022】
上記構成により無端状カーブベルト3は、該カーブベルト3の外周部を挟持して回転する二組の駆動部4,4’の作動によって径方向外方に付勢されながら無端回転し、被搬送物を無端状カーブベルト3の円弧形状に沿って搬送する。
しかし、前記無端状カーブベルト3の表面に油、水、粉等が付着して前記駆動部4,4’の駆動プーリ4aとピンチローラ4bによる挟持摩擦力が低下した場合、径方向外方への付勢力が低下し、無端状カーブベルト3は円弧中心側へ移動し、駆動部4,4’から無端状カーブベルト3が外れる場合がある。
本発明は、この無端状カーブベルト3が駆動部4,4’から外れるのを防止する手段を、無端状カーブベルト3とフレーム1に設けたものである。
【0023】
以下、そのベルト外れ防止手段を図面に基づき説明する。
ベルト外れ防止手段は、フレーム1に巻装された無端状カーブベルト3の外周に沿って一定間隔をおいて開設した掛け止め孔8と、その掛け止め孔8に嵌脱する係合突起10を外周面に備えた回転筒9とからなり、該回転筒9はフレーム1の周方向両側のテールローラ2,2’を取り付けたテールローラ軸2bに遊転自在に配置されて構成されている。
【0024】
上記掛け止め孔8は、無端状カーブベルト3における被搬送物載置領域より外側の領域に形成され、その掛け止め孔8の大きさは回転筒9の外周面に形成される係合突起10の外径の約1.5倍〜2倍位が好適である。叉、孔形状は真円形状に限らず、周方向に長い楕円形(トラック形状)としてもよい。
更に、掛け止め孔8の列は一列に限定されず、図6に示すように外周に沿って複数列形成してもよく、その場合は当然のことながら回転筒の外周面に形成する係合突起も複数列とする。尚、その詳細は後述する。
【0025】
上記掛け止め孔8に嵌入係合する係合突起10は、テールローラ2,2’を支持するテールローラ軸2bに遊転自在に嵌合装着される回転筒9の外周面に形成され、且つその回転筒9は隣接するテールローラ2,2’を構成する小ローラ2aの回転が影響しないように該回転筒9の軸方向両側にスリーブ11,11’が配置され、小ローラ2aと縁切りされている。前記スリーブ11,11’はテールローラ軸2bに固定されている。尚、縁切りする為のスリーブ11,11’に替えて、スナップリング等で縁切りしてもよいものである。叉、前記スリーブ11,11’は回転筒9が軸方向に沿って多少スライドできる余裕(S)を有するように配置する。更に、係合突起10の高さは、少なくとも該突起10の先端が無端状カーブベルト3の表面より突出する高さとする。
【0026】
上記構成とした回転筒9は、フレーム1に架設されたテールローラ軸2bに遊転自在に嵌合装着されるが、該テールローラ軸2bはフレーム1に対して弾発出没自在に取り付けた軸受け部材6a,6b及び7a,7bの間に亘って水平に架設支持されている。
軸受け部材6a,6b及び7a,7bは、テールローラ軸2bの軸方向側部に形成された扁平軸部12を嵌着保持する断面コ字形の軸受部13を軸杆14の端部に一体的に備え、扁平軸部12を軸受部13に嵌合し、両部材をピン15で枢着することで、テールローラ軸2bは軸受け部材6a,6b、及び7a,7bの間に架設される。
そして、各軸受け部材6a,6b、7a,7bの軸杆14はフレーム1に固着したガイドブロック16に嵌合挿通すると共に、ガイドブロック16の端面と軸受部13の底部との間に圧縮コイルバネ17が装着されている。
それにより、テールローラ2叉はテールローラ2’と回転筒9を取り付けたテールローラ軸2bは、ガイドブロック16に対して軸方向にスライドする軸受け部材6a,6b、7a,7bを介してフレーム1の端部に対して出没動自在となり、無端状カーブベルト3の製作上の寸法誤差を吸収し、且つベルトの弛みを吸収して安定したベルト走行を維持する。
【0027】
図6は、上記したベルト外れ防止手段を構成する無端状カーブベルト3に形成する掛け止め孔8と、該掛け止め孔8に嵌脱する係合突起10の組合せを複数列(図示は二列)設けた形態を示し、無端状カーブベルト3の外周に沿って開設する内側列の掛け止め孔18と外側列の掛け止め孔18’は、交互に位置するように配置されている。そして、この二列の掛け止め孔18,18’と嵌脱する係合突起20,20’は回転筒19の外周面に交互に配置されて形成されている。叉、係合突起20,20’を突出形成する回転筒19は、テーパ筒に形成し、大径側を径方向外側に向けてテールローラ軸2bに嵌合装着されている。
このように、無端状カーブベルト3側に複数列の掛け止め孔18,18’を形成し、他方、テールローラ軸2b側の回転筒19に複数列の係合突起20,20’を形成した場合は、前示実施例に比べてより一層無端状カーブベルト3が外れにくくなる。尚、図6において、前示実施例と同一部材は同一の符号を付し、説明は省略する。
【0028】
図7は上記したベルト外れ防止手段における係合突起を備えた回転筒を、フレーム1両側のテールローラ2,2’部分以外にフレーム1の内部に配置した形態を示す。
フレーム1の内部に配置する形態としては、図7(b)に示すように無端状カーブベルト3の往路側ベルト3aの上側に配置する形態と、図7(c)に示すように無端状カーブベルト3の往路側ベルト3aの下側に配置する形態が挙げられる。
そして、図7(b)の場合、係合突起22を突設した回転筒21は、無端状カーブベルト3を回転する駆動部4,4’を被覆保護するカバー23の内側に取付板24を介して片支持構造で取り付けられている。叉、フレーム1には前記回転筒21と対応する部分に開口25が形成され、これにより該回転筒21の係合突起22が無端状カーブベルト3の掛け止め孔8に嵌入するようになっている。
上記構成により、カバー23を上方に回動することで回転筒21も一緒に無端状カーブベルト3から離れ、該ベルト3の着脱が可能となる。
【0029】
図7(c)は、図7(b)に示したと同様の回転筒21を無端状カーブベルト3の往路側ベルト3aの下側に配置したもので、該ベルトが浮いて掛け止め孔8と係合突起22との嵌合が不安定にならないように、往路側ベルト3aの上側に押え用回転筒26が前記カバー23の内側に取付板24を介して片支持構造で遊転自在に支持されている。そして、この押え用回転筒26の外周面には、無端状カーブベルト3の掛け止め孔8を貫通して突出する係合突起22が嵌入する周溝27が形成されている。叉、回転筒21はフレーム1の下側に取付板24’を介して片支持構造で遊転自在に支持されている。
従って、無端状カーブベルト3は係合突起22を突設した回転筒21と周溝27を形成した押え用回転筒26で挟まれ、更に外れにくく支持される。
尚、上記したベルト外れ防止手段はフレーム1における無端状カーブベルトの掛け止め孔列が走行する軌跡上に1個または複数個配置してもよい。
【0030】
図8は、前示実施例におけるフレーム1の周方向両側に水平に架設支持されるテールローラの支持構造の変形例を示し、図8(a)は一方のテールローラ2をフレーム1に対して移動不能に固定し、他方のテールローラ2’の一方端(内周側)を前記した圧縮コイルバネ内蔵の可動支持構造とし、他方端(外周側)を固定構造としたもので、一方のテールローラ2’の内周側の弾発出没動でベルトの寸法誤差等を吸収する。
叉、図8(b)は、一方のテールローラ2をフレーム1に対して移動不能に固定し、他方のテールローラ2’の両側端部(内・外周側)を前記した圧縮コイルバネ内蔵の可動支持構造としたもので、一方のテールローラ2’の弾発出没動でベルトの寸法誤差等を吸収する。
尚、テールローラ2,2’の支持構造は、図示の形態に限定されず、テールローラ2,2’のそれぞれ片側端を前記した圧縮コイルバネ内蔵の可動支持構造としてもよいものである。
【0031】
上記の構成により、通常のベルト走行は駆動プーリ4aとピンチローラ4bによる挟持回転で無端状カーブベルト3は径方向外側へ付勢されながら回転し、安定した走行が維持される。そして、無端状カーブベルト3に油等が付着し、前記駆動プーリ4aとピンチローラ4bとによる挟持摩擦力が低下し、無端状カーブベルトが中心側へ滑り移動しようとした時、掛け止め孔8と係合突起10(ベルト外れ防止手段)が機能し、無端状カーブベルトが外れるのを防止する。しかして、常時は前記掛け止め孔に負荷が掛かっていないので、ベルトは破れにくい。そして、無端状カーブベルト3が中心側に滑り移動しようとすると、無端状カーブベルト3に弛みが生じ、係合突起10から掛け止め孔8が外れようとするが、係合突起10を有した回転筒が取り付けられたテールローラ2,2’はフレーム1に対して圧縮コイルバネ17で弾発出没動可能に支持されているため、前記弛みをうめるように移動し、掛け止め孔8と係合突起10の係着状態を保持する。それにより、無端状カーブベルト3が外れるのを防止できる。
【0032】
図9乃至図10は、フレーム両側の折り返し部材をナイフエッジで構成したカーブベルトコンベヤを示し、ベルト外れ防止手段における係合突起を備えた回転筒を、フレーム内に配置したものである。尚、前示実施例と同一の部材については同一の符号を付し、説明を省略する。
この場合、ナイフエッジ28,28’を構成する平板は、フレーム1に固定し、そのナイフエッジの下側に、小径の回転ローラ30,30’を嵌装した軸29,29’が、前示実施例のテールローラと同様、軸29の両側部を支持する軸部材31が圧縮コイルバネ32内蔵の可動支持構造で支持されている。
また、回転ローラ30を嵌装した軸29の支持は、テールローラタイプと同様、図8(a)、(b)に示す構成としてもよいものである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係るカーブベルトコンベヤは、食品加工業界等、生産ラインのベルトコンベヤに油や水、粉等が付着し易い環境下での使用に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るカーブベルトコンベヤの一例を示す平面図。
【図2】(a)は要部の一部拡大平面図、(b)は回転筒を示す斜視図。
【図3】図2(a)の一部切欠正面図。
【図4】無端状カーブベルトの中心方向への移動に伴う回転筒のスライドを示す拡大断面図。
【図5】図3の(5)−(5)線に沿える拡大断面図。
【図6】掛け止め孔列を複数列(二列)設けた実施例を示し、(a)は一部切欠平面図、(b)は同一部切欠正面図。
【図7】掛け止め孔と係合突起によるベルト外れ防止手段を、フレーム両側部以外にフレームの内部に配置した形態を示し、(a)は配置例を示す平面図、(b)は無端状カーブベルトの上側に設けた実施例を示す一部切欠断面図、(c)は無端状カーブベルトの上下側に設けた実施例を示す一部切欠断面図。
【図8】テールローラの支持構造の変形例を示し、(a)は一方のテールローラの内周側のみを可動支持構造とした説明図、(b)は一方のテールローラの内・外周側を可動支持構造とした説明図。
【図9】フレーム両側の折り返し部材がナイフエッジであるカーブベルトコンベヤを示す平面図。
【図10】図9の要部を示す拡大断面図。
【符号の説明】
【0035】
A…カーブベルトコンベヤ 1…フレーム
2,2’…折り返し部材(テールローラ) 3…無端状カーブベルト
4,4’…駆動部 6a,6b、7a,7b…軸受け部材
8…掛け止め孔 9…回転筒
10…係合突起 17…圧縮コイルバネ(付勢手段)
28,28’…折り返し部材(ナイフエッジ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面円弧形状をなした無端状カーブベルトを、平面円弧形状をしたフレームの周方向両側に配置した折り返し部材に亘って巻装し、無端状カーブベルトの外周部を駆動機構により径方向外方へ付勢しながら周方向へ回動するカーブベルトコンベヤにおいて、
前記無端状カーブベルトの外周に沿って掛け止め孔を一定間隔をおいて開設し、その掛け止め孔に嵌脱する係合突起を外周面に備えた回転筒を、前記フレーム両側の折り返し部材を取り付けた軸上、及び/又はフレーム内に遊転自在に配置したことを特徴とするカーブベルトコンベヤ。
【請求項2】
前記折り返し部材は、フレームに対し軸芯と直交する方向へ弾発出没自在な付勢手段で支持されていることを特徴とするカーブベルトコンベヤ。
【請求項3】
前記付勢手段は、両側の折り返し部材の両側支持部に設けられていることを特徴とする請求項2記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項4】
前記折り返し部材がテールローラで、そのテールローラの軸上に配置した回転筒は、テールローラ軸に取り付けられたテールローラと接触しないように縁切りされ、且つテールローラ軸の軸芯に沿って僅かに移動し得る遊びを有していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項5】
前記折り返し部材がナイフエッジと、そのナイフエッジの下側に配置したローラで構成され、カーブベルトの掛け止め孔に嵌脱する係合突起を外周面に備えた回転筒は、フレーム内に配置したことを特徴とする請求項1記載のカーブベルトコンベヤ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−151559(P2006−151559A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−342509(P2004−342509)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(391019289)マルヤス機械株式会社 (32)
【Fターム(参考)】