説明

カーボンナノチューブ分散液及びその製造方法、並びに印刷用カーボンナノチューブペースト及び電子放出源

【課題】凝集しやすいサブミクロン程度のカーボンナノチューブの微粒子を分散液中に安定且つ均一に分散させたカーボンナノチューブ分散液を提供する。
【解決手段】カーボンナノチューブ、塩基櫛型ブロックコポリマー及び有機溶剤を含むカーボンナノチューブ分散液であって、前記カーボンナノチューブ1重量部に対して前記塩基櫛型ブロックコポリマーを0.05〜3重量部含み、前記塩基櫛型ブロックコポリマーの主鎖がポリエチレンイミンであることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ分散液及びその製造方法、並びに印刷用カーボンナノチューブペースト及び電子放出源に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(CNT)は、電子源、導電膜及び電池等における幅広い応用が考えられており、それら応用のためには、充分な量のカーボンナノチューブのナノ微粒子を均一に分散させたカーボンナノチューブ分散液が必要とされている。
アーク放電法や化学気相成長法(CVD法)により作製されるカーボンナノチューブは、大きな膜又は粒子の形態で生成する。そのため、デバイス等に用いるためには、カーボンナノチューブの膜又は粒子をサブミクロン程度のサイズまで微粒子化してカーボンナノチューブ分散液を調製しなければならない。
しかしながら、サブミクロン程度のサイズまで微粒子化したカーボンナノチューブは凝集しやすく、超音波等を使用しても、安定に分散させることができないという問題があった。
【0003】
カーボンナノチューブの分散・精製方法としては、界面活性剤を含む溶剤に、カーボンナノチューブを含む粗生成物を超音波照射により分散させて、カラム・クロマトグラフィー、フィルター濾過、超遠心分離又は帯電分離等によりカーボンナノチューブを精製する方法がある(例えば、特許文献1参照)。また、双極性非プロトン溶剤を含む有機溶剤に、カーボンナノチューブやカーボンナノファイバー等の微粒子を超音波照射又は撹拌により分散させて、遠心分離法又は濾過法によりカーボンナノチューブの微粒子を精製する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平6−228824号公報
【特許文献2】特開2002−255528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、一回の精製で得られるカーボンナノチューブが少量であるという問題があった。
また、特許文献2の方法では、有機溶剤におけるカーボンナノチューブの微粒子の分散が不安定なため、カーボンナノチューブの微粒子を選別した後にスラリー化して基板等に塗布する際に、カーボンナノチューブの微粒子が再凝集してしまい、平坦なカーボンナノチューブ膜が得られなかった。そのため、このようなカーボンナノチューブ膜を電子放出源として用いる表示発光素子を製造する場合、絶縁膜を厚くしなければ、ゲート電極とカソード電極との間に短絡が生じ、表示発光素子として機能せず、また絶縁膜を厚くしても、その電子放出開始電圧が高くなるなど、デバイスとしての性能(例えば、発光均一性)が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、凝集しやすいサブミクロン程度のカーボンナノチューブの微粒子を分散液中に安定且つ均一に分散させたカーボンナノチューブ分散液及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、平坦なカーボンナノチューブ膜を得ることのできる印刷用カーボンナノチューブペーストを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、ゲート電極とカソード電極との間に短絡が生じることなく、良好な発光均一性を与える電子放出源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カーボンナノチューブ、塩基櫛型ブロックコポリマー及び有機溶剤を含むカーボンナノチューブ分散液であって、前記カーボンナノチューブ1重量部に対して前記塩基櫛型ブロックコポリマーを0.05〜3重量部含み、前記塩基櫛型ブロックコポリマーの主鎖がポリエチレンイミンであることを特徴とする。
また、本発明は、前記カーボンナノチューブ分散液の製造方法であって、カーボンナノチューブと、前記カーボンナノチューブ1重量部に対して0.05〜3重量部の、主鎖がポリエチレンイミンである塩基櫛型ブロックコポリマーと、有機溶剤とを混合して混合液を調製する工程、前記混合液に超音波を照射する工程、及びボールミルを用いて前記混合液中の前記カーボンナノチューブを粉砕し、分散させる工程を含むことを特徴とする。
また、本発明は、前記カーボンナノチューブ分散液から得られる印刷用カーボンナノチューブペーストであって、前記カーボンナノチューブ分散液を遠心分離して上澄み液を除去した後、上澄み液が除去されたカーボンナノチューブ分散液に、エチルセルロース樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂及びそれらの混合物からなる群から選択される樹脂を添加して混合することにより得られることを特徴とする。
さらに、本発明は、前記印刷用カーボンナノチューブペーストから得られる電子放出源であって、前記印刷用カーボンナノチューブペーストを電極上に印刷して乾燥させた後、焼成することにより得られることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、凝集しやすいカーボンナノチューブの微粒子を分散液中に安定且つ均一に分散させたカーボンナノチューブ分散液を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のカーボンナノチューブ分散液は、カーボンナノチューブ、塩基櫛型ブロックコポリマー及び有機溶剤を含む。
【0010】
[カーボンナノチューブ]
本発明のカーボンナノチューブ分散液において、カーボンナノチューブは互いに絡まりあい、サブミクロン、好ましくは0.1〜0.6μmの粒径を有する微粒子を形成している。
本発明におけるカーボンナノチューブは、特に限定されることはなく、単層構造であるシングルウォールカーボンナノチューブ、多相構造であるマルチウォールカーボンナノチューブ等を使用することができる。中でも、カーボンナノチューブは、その直径が小さいほど、電界集中がかかり易く、電子放出が容易であることから、電子放出源用としては、シングルウォールカーボンナノチューブ及びダブルウォールカーボンナノチューブを使用することが好ましい。カーボンナノチューブの直径は、1〜10nmが好ましく、2〜5nmがより好ましい。カーボンナノチューブの直径が1nm未満であると、電子放出による劣化が大きく、寿命が短くなる傾向にある。
また、カーボンナノチューブの長さは、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは3〜10μmである。カーボンナノチューブの長さが0.1μm未満であると、起毛する確立が少なくなり、電子放出数が少なくなる傾向にあり、また20μmを超えると、電子放出するカーボンナノチューブ端部が少なくなり、十分な電子放出が得られなくなってしまう傾向にある。
【0011】
本発明におけるカーボンナノチューブは、アーク放電や化学気相成長法(CVD法)により作製することができる。中でも、CVD法により作製したカーボンナノチューブは、分散効率に優れるのでより好ましい。このような方法を用いて作製されるカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ同士が絡まった膜又は粒子(粒径:30〜100μm)の形態である。この膜又は粒子には、カーボンナノチューブに加えて、カーボンナノチューブと同時に生成したアモルファスカーボンや、触媒として用いた鉄及びニッケル等の微粒子が含まれる。この不純物としての触媒は、膜又は粒子に、硫酸、塩酸、硝酸及び過酸化水素水等による酸処理を施すことで取り除くことができる。また、アーク放電により作製されたカーボンナノチューブは耐熱度が高いので、500〜800℃で熱処理を行うことによりアモルファスカーボンを除去することもできる。
このようにして得られたカーボンナノチューブの膜又は粒子を、所定の方法を用いて粉砕することにより、サブミクロン程度の粒径を有するカーボンナノチューブの微粒子とすることができる。
【0012】
[塩基櫛型ブロックコポリマー]
本発明における塩基櫛型ブロックコポリマーは、本発明のカーボンナノチューブ分散液において分散剤として作用するものであり、カーボンナノチューブに対して親和性のあるポリエチレンイミンを主鎖に有している。このような塩基櫛型ブロックコポリマーは、下記式により表すことができる。
【0013】
【化1】

【0014】
式中、側鎖Rは溶媒に対して親和性のある官能基であり、nは5〜30である。
主鎖のポリエチレンイミンは、炭素数2個を隔ててN原子が結合しており、カーボンナノチューブに吸着するN原子を多数含有している。また、側鎖Rの、溶媒に対して親和性のある官能基は、親水性及び疎水性のいずれであってもよく、あたかも櫛の歯のようにして主鎖に結合されている。中でも、側鎖Rは、カプロラクトン、バレロラクトン及びラウリン酸から選択されることが好ましい。このような側鎖Rであれば、立体障害として機能し、カーボンナノチューブの微粒子の凝集をより効果的に抑制することができる。
また、このような塩基櫛型ブロックコポリマーとしては、アビシア(株)製のソルスパース37500などの市販品を使用することもできる。
本発明における塩基櫛型ブロックコポリマーは、櫛形構造の背に当たる主鎖に多数のアミノ基が存在し、このアミノ基がアンカー部としてカーボンナノチューブに吸着する。これにより、隣接するカーボンナノチューブ同士がくっつかなくなり、凝集しやすいカーボンナノチューブの微粒子を安定且つ均一に分散させることができる。
【0015】
本発明における塩基櫛型ブロックコポリマーは、分散液中に多く含まれていても過飽和にならない限りは分散状態に影響を及ぼすことはない。しかし、塩基櫛型ブロックコポリマーは、表示発光素子の製造において、焼成工程で充分に燃焼しないで残留すると、カーボンナノチューブの仕事関数に影響を与えてしまい、電子放出特性が劣化してしまう。そのため、本発明における塩基櫛型ブロックコポリマーの添加量は、カーボンナノチューブ1重量部に対して0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。この範囲であれば、表示発光素子の製造における焼成工程で塩基櫛型ブロックコポリマーが残留しないと共に、カーボンナノチューブの微粒子を分散液中に安定且つ均一に分散させることができる。塩基櫛型ブロックコポリマーの添加量が0.05重量部未満であると、カーボンナノチューブに対する相対量が少ないため、カーボンナノチューブの微粒子を充分に吸着して安定且つ均一に分散させる効果が少なくなる。すなわち、カーボンナノチューブの微粒子が再凝集してしまい、ジルコニアボールによる粉砕効果を妨げ、カーボンナノチューブ粒子の粒径が小さくならない。一方、塩基櫛型ブロックコポリマーの添加量が3重量部を超えると、塩基櫛型ブロックコポリマーを取り除く際に、塩基櫛型ブロックコポリマーが残留しないように高温長時間の焼成を行う必要があり、それによりカーボンナノチューブの焼失が起こってしまう。
【0016】
[有機溶剤]
本発明における有機溶剤は、水酸基を有し、炭素数が4以上の有機溶剤であることが好ましく、炭素数が8以上のものがより好ましい。このような有機溶剤は、分子量が大きいので、分散液中でカーボンナノチューブの微粒子を広い間隔で保持し、分散を良好に維持することができる。
有機溶剤としては、例えば、ブチルカルビトール(BC)、ブチルカルビトールアセテート、n−メチルピロリドン、ベンジルアルコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサノール、テルピネオール及びアビエチノール等を挙げることができる。中でも、カーボンナノチューブの微粒子の分散性、塩基櫛型ブロックコポリマーの溶解性、及び印刷形成特性に優れるテルピネオールが最も好ましい。
【0017】
本発明における有機溶剤は、高粘度であるために、カーボンナノチューブに対して10倍以上の重量比で添加しないと、カーボンナノチューブの微粒子の粉砕効率が低下することがある。そのため、本発明における有機溶剤の添加量は、カーボンナノチューブ1重量部に対して10〜200重量部であることが好ましく、30〜100重量部であることがより好ましい。有機溶剤の添加量が10重量部未満であると、カーボンナノチューブ粒子の粉砕時に、分散液の粘度が上昇してジルコニアボールによる粉砕効率が低下する傾向にある。一方、有機溶剤の添加量が200重量部を超えると、分散液の体積が大きくなるため、ジルコニアボールとカーボンナノチューブ粒子との衝突確立が低くなり、ジルコニアボールによる粉砕効率が低下してしまう傾向にある。
【0018】
[カーボンナノチューブ分散液の製造方法]
本発明のカーボンナノチューブ分散液は、上記成分を混合して混合液を調製し、前記混合液に超音波を照射し、ボールミルを用いて混合液中のカーボンナノチューブを粉砕して分散させることにより製造される。
このような製造方法により、凝集しやすいカーボンナノチューブの微粒子を分散液中に安定且つ均一に分散させたカーボンナノチューブ分散液を得ることができる。
【0019】
ここで、超音波としては、周波数が20kHz、出力が300〜600Wのものを用い、10〜15分間混合液に照射することが好ましい。このような条件下の超音波を照射すれば、カーボンナノチューブ同士の絡み合いをほぐし、後の粉砕工程におけるカーボンナノチューブの粉砕が良好となる。
また、粉砕時間は、特に制限されることなく、カーボンナノチューブの量や使用するボールミルの性能等にあわせて適宜調整すればよい。
さらに、ボールミルも、特に制限されることはなく、カーボンナノチューブの量にあわせて、ボールミルの内容積及び粉砕用ボールの添加量等を適宜調整すればよい。例えば、内容積500ccのボールミルを用いて20gのカーボンナノチューブを粉砕して分散させる場合、粉砕用ボールの添加量は20〜400gであることが好ましい。粉砕用ボールの添加量が20g未満であると、粉砕用ボールが少なすぎてしまい、粉砕効率が低下する傾向にある。一方、400gを超えると、粉砕用ボールの運動が妨げられてしまい、粉砕効率が低下する傾向にある。
【0020】
中でも、前記ボールミルとして、直径が1.0〜5.0mmの粉砕用ボールが充填された遊星型ボールミルを用いれば、カーボンナノチューブ粒子を効果的に粉砕することができる。この場合、ジルコニアボールの直径が1.0mm未満であると、カーボンナノチューブ粒子に与えるエネルギーが小さすぎ、粉砕効率が低下する傾向にある。一方、ジルコニアボールの直径が5.0mmを超えると、カーボンナノチューブ粒子がボールとボールの隙間に入り込み、カーボンナノチューブ粒子がボールと衝突して粉砕する確率が低下する傾向にある。
【0021】
また、上記遊星型ボールミルは、実験レベルの少量粉砕には適しているものの、大量粉砕する場合には、微粒子化に時間がかかりすぎてしまう。そのため、大量粉砕する場合には、前記ボールミルとして、直径が0.03〜0.5mmの粉砕用ボールが充填された循環式ビーズミルを用いることが好ましい。このような循環式ビーズミルは、数千回転の高速及び小さなビーズによって粉砕対象にエネルギーを与えることができるため、カーボンナノチューブ粒子を効率よく粉砕することができる。この場合、ジルコニアボールの直径が0.03mm未満であると、カーボンナノチューブに与えるエネルギーが小さすぎ、粉砕効率が低下する傾向にある。一方、ジルコニアボールの直径が0.5mmを超えると、カーボンナノチューブがボールとボールの隙間に入り込み、カーボンナノチューブがボールと衝突して粉砕する確率が低下する傾向にある。
【0022】
[印刷用カーボンナノチューブペースト]
本発明の印刷用カーボンナノチューブペーストは、本発明のカーボンナノチューブ分散液を遠心分離した後に上澄み液を適量除去し、上澄み液が除去されたカーボンナノチューブ分散液に、エチルセルロース樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂及びそれらの混合物からなる群から選択される樹脂を添加して混合することによって製造される。このようにして得られた本発明の印刷用カーボンナノチューブペーストは、平坦なカーボンナノチューブ膜を提供することができる。ここで添加される樹脂は、ペーストにして成膜する際に粘度をあげてパターン形成するため、またカーボンナノチューブを基板に接着するために添加される。樹脂の添加量は、カーボンナノチューブ1重量部に対して0を超え、3重量部以下であることが好ましく、0.5〜2重量部であることがより好ましい。樹脂の添加量が3重量部を超えると、粘度が高くなりすぎてしまい、一般的な印刷法での成膜が困難になる傾向にある。
【0023】
また、印刷膜の密着力を向上させる観点から、上記樹脂と共に、銀、ニッケル及び鉄等の微粒子パウダーや、鉛、ビスマス及び亜鉛の少なくとも1つ以上を含む低融点ガラス微粒子を添加してもよい。微粒子パウダー及び低融点ガラス微粒子の添加量は、カーボンナノチューブ1重量部に対して、0.5〜1.5重量部であることが好ましい。微粒子パウダー及び低融点ガラス微粒子の添加量が0.5重量部未満であると、印刷膜の密着力を向上させるという効果が得られず、また1.5重量%を超えると、ガラスがカーボンナノチューブの起毛を抑制し、十分な電子放出が得られなくなってしまう傾向にある。
混合方法は、特に制限されることはなく、例えば、乳鉢等を用いて混合すればよい。また、カーボンナノチューブの微粒子と樹脂との分散性を向上させるために、3本ロールミルを用いてさらに混合してもよい。
【0024】
[電子放出源]
本発明の電子放出源は、上記印刷用カーボンナノチューブペーストを電極上に印刷して乾燥させた後、焼成することにより得ることができる。このようにして得られた本発明の電子放出源は、ゲート電極とカソード電極との間に短絡が生じることなく、良好な発光均一性を与えることができる。
本発明の電子放出源を備えた表示発光素子の構成及び製造方法について、図1を基にして説明する。
図1は、本発明の電子放出源を備えた表示発光素子の断面図である。図1において、表示発光素子は、カソードパネル11、アノードパネル12、アノード電源9及び駆動電源10から構成されている。さらに、カソードパネル11は、ガラス基板1と、ガラス基板1上に形成されたカソード電極2と、カソード電極2上に形成された電子放出源3と、電子放出源3上の所定の位置に形成された絶縁層4と、絶縁層4上に形成されたゲート電極5とから構成されている。アノードパネル12は、ガラス基板6と、ガラス基板6上に形成されたアノード電極7と、アノード電極7上に形成された蛍光体層8とから構成され、アノードパネル12の蛍光体層8とカソードパネル11の電子放出源3とが対向するようにして配置されている。さらに、アノード電源9は、アノード電極7とカソード電極2との間に電気的に接続され、また駆動電源10は、ゲート電極5とカソード電極2との間に電気的に接続されている。
【0025】
カソードパネル11の製造方法に関し、まず、ソーダガラス又はホワイトガラス等からなるガラス基板1上に、ITO(Indium Tin Oxide)、銀又はアルミニウム等からなるカソード電極2を、印刷法、真空蒸着法又はスパッタ法等により形成する。
次に、本発明の印刷用カーボンナノチューブペーストを用いて、カソード電極2上にカーボンナノチューブ膜を印刷法によりパターン形成する。そして、カーボンナノチューブ膜を120℃の大気雰囲気中で乾燥させた後、350〜400℃の大気雰囲気中で0.5〜2時間焼成する。これにより、ペースト中の塩基櫛型ブロックコポリマー、有機溶剤及び樹脂が燃焼して電子放出源3となる。ここで、本発明の印刷用カーボンナノチューブペーストをカソード電極2上に印刷する際、カーボンナノチューブ膜の厚さは、2〜5μmであることが好ましい。カーボンナノチューブ膜の厚さが2μm未満であると、後のドライエッチング工程において電子放出源3がダメージを受け、電子放出源3の充分な厚さを保持することができない傾向にある。一方、カーボンナノチューブ膜の厚さが5μmを超えると、電子放出源3に大きな段差が生じ、次工程において電子放出源3上に均一な絶縁層4を形成することができなくなる傾向にある。
【0026】
次に、電子放出源3上にシリコンポリマー等からなる絶縁層4を印刷法又はスピンコート法等により形成し、絶縁層4上に銀又はアルミニウム等からなるゲート電極5を真空蒸着法又は印刷法等により形成する。
続けて、フォトリソ技術により、ゲート電極5上にレジスト膜をスピンコート法等により塗布し、マスク露光によりゲート電極パターン及びゲート孔パターンを形成する。そして、ドライエッチング法又はウエットエッチング法により、ゲート電極5及び絶縁層4に、直径5〜10μmの微小な開口部を作り、電子放出源3を露出させる。さらに、露出させた電子放出源3にCO、YAG又はエキシマ等のレーザーを照射することによりカーボンナノチューブを起毛させる。このようにして、カソードパネル11を製造することができる。
【0027】
アノードパネル12の製造方法に関して、まず、ソーダガラス又はホワイトガラス等からなるガラス基板6上に、ITO又はSnO等からなるアノード電極7を、印刷法、真空蒸着法又はスパッタ法等により形成する。
次に、アノード電極7上に蛍光体であるZnO等などからなる微粒子ペーストを印刷法等により塗布する。塗布した微粒子ペーストを430〜470℃の大気雰囲気中で30分焼成することにより蛍光体層8を形成する。このようにして、アノードパネル12を製造することができる。
上記のようにして得られたカソードパネル11及びアノードパネル12を用いて、公知の方法により表示発光素子を製造することができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例により本発明の詳細を説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1では、カーボンナノチューブ1重量部に対する塩基櫛型ブロックコポリマーの添加量を、0.05重量部、0.1重量部、0.3重量部、0.5重量部、1重量部及び3重量部と変化させて、カーボンナノチューブ分散液におけるカーボンナノチューブ粒子の分散度合を評価した。
カーボンナノチューブとしては、CVD法により作製されたダブルウォールカーボンナノチューブ(直径10nm以下、長さ10〜20μm)を、硫酸と硝酸との体積比を1対1で混合した液に5分間浸漬させて、純度90%以上に精製したものを用いた。また、有機溶剤としてはテルピネオール、塩基櫛型ブロックコポリマーとしてはソルスパース37500を用いた。
1gのカーボンナノチューブと、50gのテルピネオールと、0.05g〜3gの塩基櫛型ブロックコポリマーとを混合して混合液を調製し、その混合液を20kHzの超音波を用いて10分間、室温(25℃)で処理した。その後、混合液を直径3mmのジルコニアボール50gと共にジルコニア容器に移し、遊星型ボールミルで1時間、室温(25℃)で粉砕処理することによってカーボンナノチューブ分散液を調製した。
調製したカーボンナノチューブ分散液を1時間放置してから該分散液を5g抜き取り、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920)を用いてカーボンナノチューブ粒子の平均粒径の測定を行った。その結果を図2に示す。
【0029】
[比較例1]
比較例1では、カーボンナノチューブ1重量部に対する塩基櫛型ブロックコポリマーの添加量を、0.005重量部、0.008重量部、0.01重量部、5重量部、10重量部及び20重量部と変化させて、カーボンナノチューブ分散液におけるカーボンナノチューブ粒子の分散度合を評価した。
カーボンナノチューブ、有機溶剤及び塩基櫛型ブロックコポリマーは実施例1と同じものを用い、0.005〜0.01g及び5〜20gの塩基櫛型ブロックコポリマーを用いること以外は実施例1と同様の方法でカーボンナノチューブ分散液を調製した。
さらに、実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ粒子の平均粒径の測定を行った。その結果を図2に示す。
【0030】
図2に示されるように、塩基櫛型ブロックコポリマーの添加量がカーボンナノチューブ1重量部に対して0.05〜3重量部及び5〜20重量部のカーボンナノチューブ分散液では、カーボンナノチューブ粒子の粒径が小さくなっている。従って、塩基櫛型ブロックコポリマーの添加量がカーボンナノチューブ1重量部に対して0.05〜3重量部及び5〜20重量部のカーボンナノチューブ分散液では、カーボンナノチューブ粒子が安定且つ均一に分散していると考えられる。
しかしながら、塩基櫛型ブロックコポリマーの添加量がカーボンナノチューブ1重量部に対して5〜20重量部のカーボンナノチューブ分散液は、塩基櫛型ブロックコポリマーの添加量が多すぎ、焼成工程で燃焼しないで電子放出源に残留してしまう。さらに、塩基櫛型ブロックコポリマーの添加量がカーボンナノチューブ1重量部に対して0.005〜0.01重量部のカーボンナノチューブ分散液では、カーボンナノチューブ粒子の粒径が大きくなっていることから、カーボンナノチューブ粒子が凝集していると考えられる。
従って、塩基櫛型ブロックコポリマーの添加量がカーボンナノチューブ1重量部に対して0.05〜3重量部のカーボンナノチューブ分散液では、表示発光素子の製造における焼成工程で塩基櫛型ブロックコポリマーが残留しないと共に、カーボンナノチューブの微粒子を分散液中に安定且つ均一に分散させることができる。
なお、実施例1及び比較例1では、カーボンナノチューブ分散液におけるカーボンナノチューブ粒子の分散度合について評価するために、カーボンナノチューブ粒子をミクロン程度の粒径までしか粉砕しなかったが、塩基櫛型ブロックコポリマーの添加量がカーボンナノチューブ1重量部に対して0.05〜20重量部のカーボンナノチューブ分散液であれば、遊星型ボールミルでの粉砕時間を5時間程度とすることにより、カーボンナノチューブ粒子をサブミクロン程度の粒径まで粉砕することができる。
【0031】
[実施例2]
実施例2では、カーボンナノチューブ1重量部に対する有機溶媒の添加量を、5重量部、8重量部、10重量部、30重量部、50重量部、80重量部、100重量部、150重量部、200重量部、300及び500重量部と変化させて、カーボンナノチューブ分散液におけるカーボンナノチューブ粒子の粉砕効率を評価した。
カーボンナノチューブ、有機溶剤及び塩基櫛型ブロックコポリマーは、実施例1と同じものを用いた。
1gのカーボンナノチューブと、1gの塩基櫛型ブロックコポリマーと、5g〜500gのテルピネオールとを混合した以外は、実施例1と同様の方法でカーボンナノチューブ分散液を調製した。
さらに、実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ粒子の平均粒径の測定を行った。その結果を図3に示す。
【0032】
図3に示されるように、有機溶媒の添加量がカーボンナノチューブ1重量部に対して10〜200重量部のカーボンナノチューブ分散液では、カーボンナノチューブ粒子の粒径が小さくなっている。従って、有機溶媒の添加量がカーボンナノチューブ1重量部に対して10〜200重量部のカーボンナノチューブ分散液では、カーボンナノチューブ粒子の粉砕効率が優れていると考えられる。
一方、有機溶媒の添加量がカーボンナノチューブ1重量部に対して5〜8重量部及び300〜500重量部のカーボンナノチューブ分散液では、カーボンナノチューブ粒子の粒径が大きくなっている。従って、有機溶媒の添加量がカーボンナノチューブ1重量部に対して5〜8重量部及び300〜500重量部のカーボンナノチューブ分散液では、カーボンナノチューブ粒子の粉砕効率が低下していると考えられる。
なお、実施例2では、カーボンナノチューブ分散液におけるカーボンナノチューブ粒子の粉砕効率を評価するために、カーボンナノチューブ粒子をミクロン程度の粒径までしか粉砕しなかったが、遊星型ボールミルでの粉砕時間を5時間程度とすることにより、いずれの分散液においてもカーボンナノチューブ粒子をサブミクロン程度の粒径まで粉砕することができる。
【0033】
[実施例3]
実施例3では、ジルコニアボールの直径を0.5mm、0.75mm、1.0mm、1.5mm、3.0mm、5.0mm、8.0mm及び10mmと変化させて、カーボンナノチューブ分散液におけるカーボンナノチューブ粒子の粉砕効率を評価した。
カーボンナノチューブ、有機溶剤及び塩基櫛型ブロックコポリマーは、実施例1と同じものを用いた。
1gのカーボンナノチューブと、1gの塩基櫛型ブロックコポリマーと、50gのテルピネオールとを混合して混合液を調製し、その混合液を20kHzの超音波を用いて10分間、室温(25℃)で処理した。その後、混合液を直径0.5〜10mmのジルコニアボール50gと共にジルコニア容器に移し、遊星型ボールミルで1時間、室温(25℃)で粉砕処理することによってカーボンナノチューブ分散液を調製した。
さらに、実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ粒子の平均粒径の測定を行った。その結果を図4に示す。
【0034】
図4に示されるように、直径1.0〜5.0mmのジルコニアボールを用いて粉砕したカーボンナノチューブ分散液では、カーボンナノチューブ粒子の粒径が小さくなっている。従って、直径1.0〜5.0mmのジルコニアボールを用いて粉砕したカーボンナノチューブ分散液では、カーボンナノチューブ粒子の粉砕効率が優れていると考えられる。
一方、直径が0.5〜0.75mm及び8.0〜10mmのジルコニアボールを用いて粉砕したカーボンナノチューブ分散液では、カーボンナノチューブ粒子の粒径が大きくなっている。従って、直径が0.5〜0.75mm及び8.0〜10mmのジルコニアボールを用いて粉砕したカーボンナノチューブ分散液では、カーボンナノチューブ粒子の粉砕効率が低下していると考えられる。
なお、実施例3では、カーボンナノチューブ分散液におけるカーボンナノチューブ粒子の粉砕効率を評価するために、カーボンナノチューブ粒子をミクロン程度の粒径までしか粉砕しなかったが、遊星型ボールミルでの粉砕時間を5時間程度とすることにより、いずれの分散液においてもカーボンナノチューブ粒子をサブミクロン程度の粒径まで粉砕することができる。
【0035】
[実施例4]
実施例4では、数百g単位の大量粉砕を行うために、工業用途に用いられる循環式ビーズミルを用いて粉砕処理を行った。
カーボンナノチューブ、有機溶剤及び塩基櫛型ブロックコポリマーは、実施例1と同じものを用いた。
20gのカーボンナノチューブと、20gの塩基櫛型ブロックコポリマーと、1kgのテルピネオールとを混合して混合液を調製し、その混合液を20kHzの超音波を用いて10分間、室温(25℃)で処理した。その後、混合液を直径0.5mmのジルコニアボール400gと共にジルコニア容器に移し、循環式ビーズミルで粉砕処理した。
その結果、平均粒径0.5μmのカーボンナノチューブの微粒子が安定且つ均一に分散したカーボンナノチューブ分散液を得るために、遊星型ボールミルを用いると約5時間かかるところ、循環式ビーズミルを用いると約1時間で達成することができた。
【0036】
[実施例5]
実施例5では、本発明のカーボンナノチューブ分散液を用いて印刷用カーボンナノチューブペーストを作製し、その印刷用カーボンナノチューブペーストから得られるカーボンナノチューブ膜の表面状態を評価した。
カーボンナノチューブ、有機溶剤及び塩基櫛型ブロックコポリマーは、実施例1と同じものを用いた。
10gのカーボンナノチューブと、5gの塩基櫛型ブロックコポリマーと、300gのテルピネオールとを混合して混合液を調製し、その混合液を20kHzの超音波を用いて10分間、室温(25℃)で処理した。その後、混合液を直径3mmのジルコニアボール200gと共にジルコニア容器に移し、遊星型ボールミルで5時間、室温(25℃)で粉砕処理することによってカーボンナノチューブ分散液を調製した。このようにして得られたカーボンナノチューブ分散液のカーボンナノチューブ粒子の粒径は、0.54μm程度であった。
【0037】
このカーボンナノチューブ分散液を、開口5μmのフィルターでろ過し、不純物であるゴミや大きな粒径のものを取り除いた後、容器に移して遠心分離機に配置し、15000回転/分で約1時間処理した。これにより、容器内では、沈降したカーボンナノチューブと、テルピネオールの上澄み液とに分離する。この上澄み液を適量除去し、上澄み液が除去されたカーボンナノチューブを取り出すことにより、約10%のカーボンナノチューブの微粒子を含むスラリーを得た。
次に、得られたカーボンナノチューブの微粒子を含むスラリーに、カーボンナノチューブと同量(10g)のエチルセルロース樹脂を添加し、自動乳鉢で2時間混合することにより印刷用カーボンナノチューブペーストを得た。
得られた印刷用カーボンナノチューブペーストの粘度は、ブルックフィールドB型粘度計(25℃、10rpm、1分値)で測定した結果、100Pa・sであった。さらに、印刷用カーボンナノチューブペースト中のカーボンナノチューブの微粒子の分散性を向上させるために、3本ロールミルを用い、ギャップを5μmに調節し、100回転/分で5回通した。このようにして得られた印刷用カーボンナノチューブペーストを、ブルックフィールドB型粘度計(条件は上記と同じ)で再度測定した結果、115Pa・sであった。
この印刷用カーボンナノチューブペーストを、印刷機(ニューロング精密工業(株)製、LS560)を用いて、ITOを成膜したソーダライムガラス上に2mm角のパターンに印刷した。得られたカーボンナノチューブ膜を、表面粗さ計(アルバック(株)製、DEKTAK3030)を用いて表面状態を評価した。
その結果、平均膜厚4.2μmに対して表面粗さ係数Raが0.10μmという平坦なカーボンナノチューブ膜を得ることができた。
【0038】
[実施例6]
実施例6では、実施例5で調製した印刷用カーボンナノチューブペーストを用いて電子放出源3を作製し、その電子放出特性を評価した。
ソーダガラスからなるガラス基板3上に、ITOをスパッタ法により0.2μmの厚さで成膜してカソード電極2を形成させた。得られたカソード電極2上に、印刷用カーボンナノチューブペーストを印刷法により塗布し、カーボンナノチューブ膜を形成させた。そのカーボンナノチューブ膜を、大気中、430℃で1時間焼成することにより、エチルセルロース樹脂、テルピネオール及び塩基櫛型ブロックコポリマーを燃焼させて電子放出源3を形成させた。この電子放出源3の厚さは、表面粗さ計(アルバック(株)製、DEKTAK3030)を用いて測定した結果、平均3.0μmであった。
次に、電子放出源3上にシリコンポリマーをスパッタ法により塗布し、350℃で熱硬化させることにより絶縁層4を形成させた。この絶縁層4の厚さは、平均5μmであった。さらに、絶縁層4上にアルミ膜をスパッタ法により成膜してゲート電極5を形成させた。
次に、ゲート電極5上にレジスト膜をスピンコート法により塗布し、マスク露光によりゲート電極パターン及びゲート孔パターンを形成させた。そして、ドライエッチング法により、ゲート電極5及び絶縁層4に、直径10μmの微小な開口部を作り、電子放出源3を露出させた。露出させた電子放出源3にYAGレーザーを照射することによりカーボンナノチューブを起毛させ、カソードパネル11を得た。
【0039】
続いて、ソーダガラスからなる別のガラス基板上6に、ITOをスパッタ法により0.2μmの厚さで成膜してアノード電極9を形成させた。得られたアノード電極9上に、ZnOの微粒子ペーストを印刷法により塗布し、それを480℃で30分間焼成することにより蛍光体層8を形成させ、アノードパネル12を得た。
カソードパネル11の電子放出源3とアノードパネル12の蛍光体層8とが対向すると共に、それらの間が5mmとなるように配置させた。アノード電極7にアノード電源9から500Vの電圧を供給し、ゲート電極5とカソード電極2との間に駆動電源から50〜100Vの電圧を供給することにより、電子放出源3の電子放出特性を評価した。
その結果、ゲート電極とカソード電極との間に短絡が生じることなく、均一な発光が観察された。
【0040】
以上のことからわかるように、本発明のカーボンナノチューブ分散液は、凝集しやすいカーボンナノチューブの微粒子を分散液中に安定且つ均一に分散させることができる。また、本発明の印刷用カーボンナノチューブペーストは、平坦なカーボンナノチューブ膜を与えることができる。さらに、本発明の電子放出源は、ゲート電極とカソード電極との間に短絡が生じることなく、良好な発光均一性を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の電子放出源を備えた表示発光素子の断面図である。
【図2】カーボンナノチューブ(CNT)に対する塩基櫛型ブロックコポリマーの添加量とカーボンナノチューブ粒子の粒径との関係を示すグラフである。
【図3】カーボンナノチューブに対するテルピネオールの添加量とカーボンナノチューブ粒子の粒径との関係を示すグラフである。
【図4】ジルコニアボールの直径とカーボンナノチューブ粒子の粒径との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0042】
1 ガラス基板、2 カソード電極、3 電子放出源、4 絶縁層、5 ゲート電極、6 ガラス基板、7 アノード電極、8 蛍光体層、9 アノード電極、10 駆動電極、11 カソードパネル、12 アノードパネル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブ、塩基櫛型ブロックコポリマー及び有機溶剤を含むカーボンナノチューブ分散液であって、
前記カーボンナノチューブ1重量部に対して前記塩基櫛型ブロックコポリマーを0.05〜3重量部含み、前記塩基櫛型ブロックコポリマーの主鎖がポリエチレンイミンであることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液。
【請求項2】
前記有機溶剤が、水酸基を有し、炭素数が4以上の有機溶剤であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項3】
前記有機溶剤が、テルピネオールであることを特徴とする請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブ1重量部に対して前記有機溶剤を10〜200重量部含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項5】
カーボンナノチューブと、前記カーボンナノチューブ1重量部に対して0.05〜3重量部の、主鎖がポリエチレンイミンである塩基櫛型ブロックコポリマーと、有機溶剤とを混合して混合液を調製する工程、
前記混合液に超音波を照射する工程、及び
ボールミルを用いて前記混合液中の前記カーボンナノチューブを粉砕し、分散させる工程
を含むことを特徴とするカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項6】
前記ボールミルが、直径1.0〜5.0mmの粉砕用ボールが充填された遊星型ボールミルであることを特徴とする請求項5に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項7】
前記ボールミルが、直径0.03〜0.5mmの粉砕用ボールが充填された循環式ビーズミルであることを特徴とする請求項5に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ分散液を遠心分離して上澄み液を除去した後、上澄み液が除去されたカーボンナノチューブ分散液に、エチルセルロース樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂及びそれらの混合物からなる群から選択される樹脂を添加して混合することにより得られることを特徴とする印刷用カーボンナノチューブペースト。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷用カーボンナノチューブペーストを電極上に印刷して乾燥させた後、焼成することにより得られることを特徴とする電子放出源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−56136(P2007−56136A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243066(P2005−243066)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「地球温暖化防止新技術プログラム カーボンナノチューブFEDプロジェクト」委託契約、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】