説明

カーボンナノチューブ生成炉

【課題】純度及び安定性の高い高機能のカーボンナノチューブを低コストで効率よく量産することができる合成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】還元雰囲気で縦型の加熱炉容器11と、この加熱炉容器11の内部に充填された金属ボール12と、加熱炉容器11の外側に配置された加熱ヒータ13と、前記加熱炉容器11の内部に配置され,金属ボール12を受け持つとともに、金属粉末触媒及びガスが通り抜ける連通孔が形成された棚板14と、金属ボール12を攪拌する攪拌羽根16と、金属粉末触媒と原料である炭化水素を投入できる投入手段を具備したことを特徴するカーボンナノチューブ生成炉。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有用性の高い繊維状のナノカーボンを効率的に製造するカーボンナノチューブ生成炉に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブの生成法には、例えばアーク放電法、レーザー蒸着法、化学気相成長法(CVD法)が挙げられる。
アーク放電法は、正負のグラファイト電極間にアーク放電を起こすことでグラファイトが蒸発し、陰極先端に凝縮したカーボンの堆積物の中にカーボンナノチューブが生成される方法である(例えば、特許文献1参照)。レーザー蒸着法は、高温に過熱した不活性ガス中に金属触媒を混合したグラファイト試料を入れ、レーザー照射することによりカーボンナノチューブを生成する方法である(例えば、特許文献2参照)。
一般に、上記アーク放電法やレーザー蒸発法では結晶性の良いカーボンナノチューブが生成できるが、生成するカーボンナノチューブの量が少なく大量生成に難しいと言われている。
【0003】
CVD法には、反応炉の中に配置した基板にカーボンナノチューブを生成させる気相成長基板法(例えば、特許文献3参照)と、触媒金属と炭素源を一緒に高温の炉に流動させカーボンナノチューブを生成する流動気相法(例えば、特許文献4参照)の二つの方法がある。
【0004】
気相成長基板法について、図4を参照して説明する。図中の符番1は、内部に触媒2を担持する触媒担持基板3が配置された反応管を示す。反応管1の外周外側部には電気ヒータ4が配置されている。こうした構成の反応管1内に、該反応管1の一方側から原料(炭化水素)5を流し、反応管1の他方側から排気するようにすると、反応管1内部で炭化水素ガス6が発生し、カーボンナノチューブ7が形成される。
【0005】
次に、流動気相法について、図5を参照して説明する。但し、図4と同部材は同符番を付して説明を省略する。図5では、反応管1の一方側から原料である炭化水素5とともにキャリアガス8を流すことを特徴とする。これにより、電気ヒータ4が配置された部位に相当する反応管1内で炭化水素ガス6が発生し、カーボンナノチューブ7が形成される。
【0006】
しかし、上記気相成長基板法は、バッジ処理であるので大量生産が難しい。また、流動気相法は、温度の均一性が低く結晶性の良いカーボンナノチューブを生成するのが難しいとされている。さらに、流動気相法の発展型として、高温の炉の中に、触媒兼用流動材で流動層を形成し、炭素原料を供給して繊維状のナノカーボンを生成する方法も提案されている。しかし、炉内の温度の均一性が低く結晶性の良いカーボンナノチューブを生成するのが難しいと考えられる。
【0007】
しかして、純度及び安定性の高いカーボンナノチューブを低コストで効率よく量産することができるようになれば、カーボンナノチューブの特性を生かしたナノテクノロジー製品を低コストで大量に供給することが可能になる。
【特許文献1】特開2000−95509号公報
【特許文献2】特開平10−273308号公報
【特許文献3】特開2000−86217号公報
【特許文献4】特開2003−342840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこうした事情を考慮してなされたもので、純度及び安定性の高い高機能のカーボンナノチューブを低コストで効率よく量産することができるナノカーボンチューブ生成炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法は、還元雰囲気で縦型の加熱炉容器と、この加熱炉容器の内部に充填された金属ボールと、前記加熱炉容器の外側に配置された加熱ヒータと、前記加熱炉容器の内部に配置され,前記金属ボールを受け持つとともに、金属粉末触媒及びガスが通り抜ける連通孔が形成された棚板と、前記金属ボールを攪拌する攪拌羽根と、金属粉末触媒と原料である炭化水素又は有機液体を投入する投入手段を具備することを特徴する。
【0010】
また、本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法は、還元雰囲気で縦型の加熱炉容器と、この加熱炉容器の内部に充填された金属ボールと、前記加熱炉容器の外側に配置された加熱ヒータと、前記加熱炉容器の内部に配置され,前記金属ボールを受け持つとともに、金属粉末触媒及びガスが通り抜ける連通孔が形成された複数の棚板と、前記加熱炉容器を振動するバイブレータと、前記加熱炉容器を支持するバネと、金属粉末触媒及び原料である炭化水素又は有機液体を投入する投入手段を具備することを特徴とする。
【0011】
更に、本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法は、還元雰囲気で縦型の加熱炉容器と、この加熱炉容器の内部に充填された金属ボールと、前記加熱炉容器の外側に配置された加熱ヒータと、前記加熱炉容器の内部に配置され,前記金属ボールを受け持つとともに、金属粉末触媒及びガスが通り抜ける連通孔が形成された複数の棚板と、前記加熱炉容器を加振する加振機と、金属粉末触媒及び原料である炭化水素又は有機液体を投入する投入手段を具備し、加熱炉容器上部は回転自在に支持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、純度及び安定性の高い高機能のカーボンナノチューブを低コストでかつ効率よく量産可能なナノカーボンチューブ生成炉を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明のカーボンナノチューブ生成炉について更に詳しく説明する。
(1) 本発明のカーボンナノチューブ生成炉は、上述したように、縦型の加熱炉容器と、金属ボールと、加熱ヒータと、棚板と、攪拌羽根と、金属粉末触媒と原料である炭化水素又は有機液体を投入できる投入手段を備えている。こうした構成の生成炉によれば、金属ボールが十分に温められて蓄熱され、触媒と原料が一緒に攪拌されるため温度が均一になり、滞留時間も必要時間を適当に確保できる。従って、純度及び安定性の高い高機能のカーボンナノチューブを低コストで効率よく量産することができる。
【0014】
(2) 本発明のカーボンナノチューブ生成炉は、上述したように、縦型の加熱炉容器と、金属ボールと、加熱ヒータと、複数の棚板と、バイブレータと、バネと、金属粉末触媒及び原料である炭化水素又は有機液体を投入する投入手段を備えている。バネは、バイブレータで加熱炉容器を容易に振動できるように、加熱炉容器を柔らかく支持することが好ましい。こうした構成の生成炉によれば、上記(1)と同様な効果を有する。
【0015】
(3) 本発明のカーボンナノチューブ生成炉は、上述したように、縦型の加熱炉容器と、金属ボールと、加熱ヒータと、複数の棚板と、加振機と、金属粉末触媒及び原料である炭化水素又は有機液体を投入する投入手段を備え、加熱炉容器上部は回転自在に支持されている。こうした構成の生成炉によれば、上記(1)と同様な効果を有する。
【0016】
(4) 上記(1)〜(3)の発明において、棚板には、金属粉末触媒及びガスが通り抜ける程度の大きさの貫通孔が形成されていることが好ましい。また、コスト等の点から金属ボールはステンレス製で、かつ触媒用の金属粉末はニッケル製であることが好ましいが、これらに限定されることはない。
【0017】
次に、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照して説明する。なお、本実施形態は下記に述べることに限定されない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態によるカーボンナノチューブ生成炉の概略図である。図中の符番11は、ステンレス製の金属ボール12を充填した縦型の加熱炉容器を示す。ここで、金属ボール12の材質としては、ステンレスの他、鉄、ニッケル、クロム、アルミナ、ニッケルなどが挙げられるが、ステンレスがコスト等の点で最も好ましい。加熱炉容器11の外面側には加熱ヒータ13が組み込まれ、炉内の温度を800℃〜1000℃程度まで加熱できるようになっている。
【0018】
加熱炉容器11の内部に充填した金属ボール12は、複数の貫通孔14aが形成された棚板14によって受け持たれている。貫通孔14aの大きさは、触媒及びガスが通り抜ける程度の大きさである。加熱炉容器11の内部には、主軸15で回転駆動される攪拌羽根16が配置され、この攪拌羽根16により金属ボール12が攪拌される。
【0019】
加熱炉容器11の底部側には、触媒17とカーボンナノチューブ18との合体生成物19が外部に取り出されるロータリーバルブ20が設けられている。また、加熱炉容器11の下部には、炭化水素(例えばエタノール)を導入するための原料ノズル21、及び還元ガス(例えばHガス、Hガスを含む不活性ガスもしくはCOガス)を導入するための還元ガスノズル22が連結されている。ここで、原料ノズル21は炭化水素を加熱炉容器内に投入する投入手段を意味し、還元ガスノズル22は還元ガスを加熱炉容器内に投入する投入手段を意味している。
【0020】
加熱炉容器21の上部には排気ガスを排出するための排気ノズル23、及びライン24よりニッケル製の触媒(Ni粉末)17を加熱炉容器11内に導入するための触媒ノズル25が連結されている。触媒ノズル25は、触媒を加熱炉容器内に投入する投入手段を意味している。ライン24には、触媒活性化装置26及び触媒分離装置27が設けられている。ここで、触媒分離分別装置27は、カーボンナノチューブ28と触媒27とに分別されるように構成している。
【0021】
このように構成されたカーボンナノチューブ生成炉における動作は、次のとおりである。
まず、加熱炉容器11内に、内部の金属ボール12まで十分に加熱された状態において、上部より金属粉末(Ni粉末)の触媒17を触媒ノズル25にて投入する。触媒17は、加熱されて金属ボール12の隙間を通って徐々に落下する。棚板14には触媒17及びガスが通り抜ける程度の連通孔14aが形成されているので、触媒17はこの連通孔14aから下方に落下する。
【0022】
一方、加熱炉容器11の下部より、原料である炭化水素を原料ノズル21にて、また還元ガスを還元ガスノズル22にて夫々注入し、炉内で熱分解してガスとなり棚板14の貫通孔14aから上昇する。ここで、触媒17と炉内で発生した熱分解ガスが接触反応して、触媒17の表面にカーボンナノチューブ18が成長して下部に移動落下する。
【0023】
次に、触媒17とカーボンナノチューブ18との合体生成物19は、ロータリーバルブ20と外気を遮断した冷却排出手段(図示せず)を介して外部に取り出される。触媒17とカーボンナノチューブ18との合体生成物19は触媒分離分別装置28に送られて、分離され、更にカーボンナノチューブ18と触媒17に分別される。触媒17は、触媒活性化装置26を介して再利用される。なお、加熱炉容器11内で発生する熱分解ガスは、上部の排気ノズル23より排気される。
【0024】
第1の実施形態に係るカーボンナノチューブ生成炉は、上述したように、還元雰囲気で縦型の加熱炉容器11と、この加熱炉容器11の内部に充填されたステンレス製の金属ボール12と、加熱炉容器11の外側に配置された加熱ヒータ13と、加熱炉容器内部に配置され,金属ボール12を受け持つとともに、Ni製の触媒17及びガスが通り抜ける連通孔14aが形成された棚板14と、金属ボール12を攪拌する攪拌羽根16と、触媒ノズル25と、原料ノズル21と、還元ガスノズル22を具備した構成となっている。
【0025】
こうした構成の生成炉によれば、金属ボール12が十分に温められ蓄熱され、触媒17と炭化水素ガスと一緒に攪拌されるため温度が均一になり、滞留時間も必要時間を適当に確保できる。従って、純度及び安定性の高い高機能のカーボンナノチューブ18を低コストで効率よく量産することができる。なお、上記生成炉では、金属ホール12はステンレス製で、かつ触媒7がニッケル製である場合が、コストの上でかつ試験結果からも最も好ましいことが分かった。
【0026】
(第2の実施形態)
図2は、本発明に係るカーボンナノチューブ生成炉の概略図である。但し、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。本実施形態は、第1の実施形態の場合と比べ、回転羽根を用いることなく、バネで支持された加熱炉容器1をバイブレータにより振動することを特徴としている。
【0027】
図中の符番31は、加熱炉容器11の上部に配置されたバイブレータを示す。加熱炉容器11は、複数のバネ32により柔らかく支持され、バイブレータ31により加熱炉容器全体が振動するようになっている。加熱炉容器11内には、複数の棚板14が配置されている。各棚板14には、触媒17及びガスが通り抜けられるように複数の貫通孔14aが形成されている。
【0028】
このように構成されたカーボンナノチューブ生成炉における動作は、次のとおりである。
まず、加熱炉容器11内に、内部の金属ボール12まで十分に加熱された状態において、バイブレータ31により加熱炉容器11全体を振動させる。加熱炉容器11は複数のバネ32により柔らかく支持されているので、振動しやすい。この状態で、上部より金属粉末(例えばNi)の触媒17を触媒ノズル25にて投入する。触媒17は、加熱されて金属ボール12の隙間を通って徐々に落下する。各棚板14には触媒17及びガスが通り抜ける程度の連通孔14aが形成されているので、触媒17はこの連通孔14aから下方に順次落下する。
【0029】
一方、加熱炉容器11の下部より、原料である炭化水素(例えばエタノール)を原料ノズル21にて、また還元ガス(例えばHガス、Hガスを含む不活性ガスもしくはCOガス)を還元ガスノズル22にて夫々注入し、炉内で熱分解してガスとなり棚板14の貫通孔14aから上昇する。ここで、触媒17と炉内で発生した熱分解ガスが接触反応して、触媒17の表面にカーボンナノチューブ18が成長して下部に移動落下する。
【0030】
触媒17とカーボンナノチューブ18との合体生成物19は、ロータリーバルブ20を介して十分冷却して外部に取り出される。触媒17とカーボンナノチューブ18との合体生成物19は触媒分離分別装置27に送られて、分離され、更にカーボンナノチューブ18と触媒17に分別される。触媒17は、触媒活性化装置26を介して再利用される。なお、加熱炉容器11内で発生する熱分解ガスは、上部の排気ノズル23より排気される。
【0031】
第2の実施形態に係るカーボンナノチューブ生成炉は、上述したように、加熱炉容器11の上部にバイブレータ31が配置され、かつ複数のバネ32により加熱炉容器11が柔らかく支持された構成になっている。従って、第1の実施形態と同様に、金属ボール12が十分に温められ蓄熱され、触媒17と炭化水素ガスと一緒に攪拌されるため温度が均一になり、滞留時間も必要時間を適当に確保できることから、純度及び安定性の高い高機能のカーボンナノチューブを低コストで効率よく量産することができる。
【0032】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態によるカーボンナノチューブ生成炉の概略図である。本実施形態は、第1の実施形態の場合と比べ、回転羽根を用いることなく、リンク機構とモータからなる加振機で加熱炉容器を振動することを特徴としている。但し、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。
【0033】
図中の符番41は、リンク機構42とモータ43を備えた加振機を示す。リンク機構42の一端側は加熱炉容器11の底部側に連結されている。加振機41により加熱炉容器全体を振動させ、内部の金属ボール12も攪拌される。加熱炉容器11は、振り子振動の支点44で回転自在に支持され、加熱炉容器11が支点44を中心に振動しやすい構造となっている。なお、図3中の符番45は振動モードを示す。加熱炉容器11内には、複数の棚板14が配置されている。各棚板14には、触媒及びガスが通り抜けられるように複数の貫通孔14aが形成されている。
【0034】
このように構成されたカーボンナノチューブ生成炉における動作は、次のとおりである。
まず、加熱炉容器11内に、内部の金属ボール12まで十分に加熱された状態において、加振機41により加熱炉容器11全体を振動させ、内部の金属ボール12も攪拌される。加熱炉容器41は振り子振動の支点44で回転自在に支持されているので、加熱炉容器11が支点44を中心に振動しやすい。この状態で、上部より金属粉末(例えばNi)の触媒17を触媒ノズル25にて投入する。触媒17は、加熱されて金属ボール12の隙間を通って徐々に落下する。各棚板14には触媒17及びガスが通り抜ける程度の連通孔14aが形成されているので、触媒17はこの連通孔14aから下方に順次落下する。
【0035】
一方、加熱炉容器11の下部より、原料である炭化水素(例えばエタノール)を原料ノズル21にて、また還元ガス(例えばHガス、Hガスを含む不活性ガスもしくはCOガス)を還元ガスノズル22にて夫々注入し、炉内で熱分解してガスとなり棚板14の貫通孔14aから上昇する。ここで、触媒17と炉内で発生した熱分解ガスが接触反応して、触媒17の表面にカーボンナノチューブ18が成長して下部に移動落下する。
【0036】
触媒17とカーボンナノチューブ18との合体生成物19は、ロータリーバルブ20を介して十分冷却して外部に取り出される。触媒17とカーボンナノチューブ18との合体生成物19は触媒分離分別装置27に送られて、分離され、更にカーボンナノチューブ18と触媒17に分別される。触媒17は、触媒活性化装置26を介して再利用される。なお、加熱炉容器11内で発生する熱分解ガスは、上部の排気ノズル23より排気される。
【0037】
第3の実施形態に係るカーボンナノチューブ生成炉は、上述したように、加熱炉容器11の下部にリンク機構42とモータ43を備えた加振機41が配置され、かつ振り子振動の支点44で加熱炉容器11が回転自在に支持されているので、加熱炉容器11が支点44を中心に振動しやすい。従って、第1の実施形態と同様に、金属ボール12が十分に温められ蓄熱され、触媒17と炭化水素ガスと一緒に攪拌されるため温度が均一になり、滞留時間も必要時間を適当に確保できることから、純度及び安定性の高い高機能のカーボンナノチューブを低コストで効率よく量産することができる。
【0038】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。具体的な変形例は以下のとおりである。
【0039】
1)上記実施形態では、炭化水素を加熱炉容器の下から供給しかつ排気ガスを加熱炉容器の上から排出する場合について述べたが、炭化水素を加熱炉容器の上から供給しかつ活排気ガスを加熱炉容器の下から排出する場合でもよい。但し、炭化水素を加熱炉容器の下から供給する場合の方が上から供給する場合に比べ、ガスの流れがよい。また、原料を加熱炉容器の上から供給する場合、炭化水素の代わりに有機液体を用いてもよい。
2)上記実施形態では、金属粉末触媒と炭化水素と還元ガスを加熱炉容器に供給する場合について述べたが、これに限らず、金属粉末触媒と炭化水素のみを加熱炉容器に供給する場合もある。この理由は、還元ガスは常に加熱炉容器に入れて還元雰囲気にする場合があるからである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すカーボンナノチューブ生成炉の概略図。
【図2】本発明の第2の実施形態を示すカーボンナノチューブ生成炉の概略図
【図3】本発明の第3の実施形態を示すカーボンナノチューブ生成炉の概略図
【図4】従来のCVD法によるナノカーボン製造方法の説明図。
【図5】従来の基板法によるナノカーボン製造方法の説明図。
【符号の説明】
【0041】
11…加熱炉容器、12…金属ボール、13…加熱ヒータ、14…棚板、14a…貫通孔、16…攪拌羽根、17…触媒、18…カーボンナノチューブ、19…触媒とカーボンナノチューブの合体生成物、20…ロータリーバルブ、21…原料ノズル、22…還元ガスノズル、23…排気ノズル、25…触媒ノズル、26…触媒活性化装置、27…触媒分離分別装置、31…バイブレータ、32…バネ、41…加振機、42…リンク機構、43…モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元雰囲気で縦型の加熱炉容器と、この加熱炉容器の内部に充填された金属ボールと、前記加熱炉容器の外側に配置された加熱ヒータと、前記加熱炉容器の内部に配置され,前記金属ボールを受け持つとともに、金属粉末触媒及びガスが通り抜ける連通孔が形成された棚板と、前記金属ボールを攪拌する攪拌羽根と、金属粉末触媒と原料である炭化水素又は有機液体を投入する投入手段を具備することを特徴するカーボンナノチューブ生成炉。
【請求項2】
還元雰囲気で縦型の加熱炉容器と、この加熱炉容器の内部に充填された金属ボールと、前記加熱炉容器の外側に配置された加熱ヒータと、前記加熱炉容器の内部に配置され,前記金属ボールを受け持つとともに、金属粉末触媒及びガスが通り抜ける連通孔が形成された複数の棚板と、前記加熱炉容器を振動するバイブレータと、前記加熱炉容器を支持するバネと、金属粉末触媒及び原料である炭化水素又は有機液体を投入する投入手段を具備することを特徴とするカーボンナノチューブ生成炉。
【請求項3】
還元雰囲気で縦型の加熱炉容器と、この加熱炉容器の内部に充填された金属ボールと、前記加熱炉容器の外側に配置された加熱ヒータと、前記加熱炉容器の内部に配置され,前記金属ボールを受け持つとともに、金属粉末触媒及びガスが通り抜ける連通孔が形成された複数の棚板と、前記加熱炉容器を加振する加振機と、金属粉末触媒及び原料である炭化水素又は有機液体を投入する投入手段を具備し、加熱炉容器上部は回転自在に支持されていることを特徴とするカーボンナノチューブ生成炉。
【請求項4】
金属ボールはステンレス製で、かつ触媒用の金属粉末はニッケル製であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のカーボンナノチューブ生成炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−120413(P2009−120413A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293585(P2007−293585)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】