説明

ガスクロマトグラフ装置及びその分析方法

【課題】吸着燃焼式ガスセンサの吸着期間が十分に得られて分解能の向上を図る。
【解決手段】サンプルガスの各成分を分離ガスに分離するカラム10と、その分離ガスを低温駆動時に吸着し且つ高温駆動時に当該吸着した分離ガスを燃焼する触媒を有する吸着燃焼式ガスセンサ11と、低温駆動と高温駆動とを交互に繰り返すように吸着燃焼式ガスセンサ11の駆動を制御する駆動制御手段20aと、高温駆動時に吸着燃焼式ガスセンサ11が出力したセンサ出力に基づいて分離ガスを分析する分析手段20bと、を有し、吸着燃焼式ガスセンサ11にサンプルガスをキャリアガスで流すガスクロマトグラフ装置において、分離ガスを任意の所定量に分割した定量ガスを周期的に吸着燃焼式ガスセンサ11に流し且つ該定量ガスが吸着燃焼式ガスセンサ11に停滞するように、流路におけるキャリアガスの流れを調整するキャリアガス調整手段8を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着燃焼式ガスセンサを用いたガスクロマトグラフ装置及びその分析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスクロマトグラフ装置は、適当な充填物が均一に詰まったカラム内で、ガス試料、気化した液体、固体試料等のサンプルガスをキャリアガスで展開させ、試料を化学変化させることなくガス状で通過させて各成分を分離し、個々の化合物の存在量を調べることを可能にする装置である。
【0003】
このようなガスクロマトグラフ装置としては、特許文献1に示すガス分析計が知られている。該ガス分析計では、サンプルガスが半導体ガスセンサに接触することによって半導体ガスセンサから出力される信号におけるピーク位置に基づいてサンプルガスにおける特定の成分を検出している。
【0004】
また、ガスクロマトグラフ装置において、導入するサンプルガスは所定流量のキャリアガスによりカラム内を通過させるので、カラム内を通過する流速はガス種によって異なり、カラムから排出されるガスは時間軸上に分離されるため、サンプルガスを導入してからガスセンサで検出されるまでの時間によりガス種を判別できる。そして、その検出レベルによりガス濃度を定量できる。
【0005】
しかしながら、ガス種に対し高精度な検出は時間軸に対して高分解能な測定が必要であり、ガス濃度に対して高精度な検出を行うには、検出レベルの高精度、高感度化が必要であるが、従来のガスクロマトグラフ装置が用いていた半導体式、接触燃焼式等のガスセンサでは、検出精度を上げることが困難であった。特に、低濃度の揮発性有機化合物(VOC)ガスを分析する場合、より高感度な検出を行う必要があった。そこで、本出願人が過去に提案してきた高感度な検出が可能な吸着燃焼式ガスセンサを有効に用いることができないかを鋭意検討した。
【0006】
吸着燃焼式ガスセンサは、特許文献2に示すように、間欠的に駆動されると、その電源断時にサンプルガスを感応素子部に吸着させ、その後の通電により吸着したサンプルガスを燃焼させ、このときの感応素子部と補償素子部との熱的バランスを示すセンサ出力を出力する。即ち、吸着燃焼式ガスセンサと接触燃焼式ガスセンサとは、感応物質等の構成及び駆動方法が異なるものであり、吸着燃焼式ガスセンサの方が半導体式や接触燃焼式ガスセンサよりも高感度の検出が可能である。そして、ガス検知装置は、そのセンサ出力のピーク値と被検知ガスに対応するピーク値データとを比較し、この比較結果に基づき被検知ガスを検知している。
【特許文献1】特開2003−302274号公報
【特許文献2】特開2004−69465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、吸着燃焼式ガスセンサを用いる場合、電源断の時間に相当する吸着時間の長さに応じてその感度(吸着量)が増加することから、サンプルガスをキャリアガスで流して測定を行うには、十分な吸着期間を得ることが困難であり、時間軸に対する分解能が低下するという問題が生じる。また、吸着燃焼式ガスセンサは吸着時間を短くすると、ガス感度が低下するという問題があった。
【0008】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、吸着燃焼式ガスセンサの吸着期間が十分に得られ、時間軸に対する分解能の向上を図ることができるガスクロマトグラフ装置及びその分析方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載のガスクロマトグラフ装置は、図1の基本構成図に示すように、サンプルガスを流す流路から内部に展開される前記サンプルガスの各成分を分離ガスに分離するカラム10と、前記カラム10からの分離ガスを低温駆動時に吸着し且つ高温駆動時に当該吸着した分離ガスを燃焼する触媒を有する吸着燃焼式ガスセンサ11と、前記低温駆動と前記高温駆動とを周期的に繰り返すように前記吸着燃焼式ガスセンサ11の駆動を制御する駆動制御手段20aと、前記高温駆動時に前記吸着燃焼式ガスセンサ11が出力したセンサ出力に基づいて前記分離ガスを分析する分析手段20bと、を有し、前記流路に前記カラム10と前記吸着燃焼式ガスセンサ11を流れ方向に向かって順次設け、前記吸着燃焼式ガスセンサ11に前記サンプルガスをキャリアガスで流して前記サンプルガスの成分を分析するガスクロマトグラフ装置において、前記分離ガスを任意の所定量に分割した定量ガスを周期的に前記吸着燃焼式ガスセンサ11に流し且つ該定量ガスが前記吸着燃焼式ガスセンサ11に停滞するように、前記流路における前記キャリアガスの流れを調整するキャリアガス調整手段8を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1に記載のガスクロマトグラフ装置において、前記キャリアガス調整手段8が、前記低温駆動と前記高温駆動とからなる1周期内の所定期間毎に、前記定量ガスを前記吸着燃焼式ガスセンサ11に流すように、前記キャリアガスの流れを調整する手段であることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1に記載のガスクロマトグラフ装置において、前記分析手段20bが、前記高温駆動内における検出期間に、前記吸着燃焼式ガスセンサ11が出力したセンサ出力に基づいて前記分離ガスを分析する手段であり、前記キャリアガス調整手段8が、少なくとも前記検出期間に該定量ガスが前記吸着燃焼式ガスセンサ11に停滞するように、前記流路における前記キャリアガスの流れを調整する手段であることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項4記載のガスクロマトグラフ装置は、図2の基本構成図に示すように、サンプルガスを流す流路から内部に展開される前記サンプルガスの各成分を分離ガスに分離するカラム10と、前記カラム10からの分離ガスを低温駆動時に吸着し且つ高温駆動時に当該吸着した分離ガスを燃焼する触媒を有する吸着燃焼式ガスセンサ11と、前記低温駆動と前記高温駆動とを周期的に繰り返すように前記吸着燃焼式ガスセンサ11の駆動を制御する駆動制御手段20aと、を有し、前記流路に前記カラム10と前記吸着燃焼式ガスセンサ11を流れ方向に向かって順次設け、前記吸着燃焼式ガスセンサ11に前記サンプルガスをキャリアガスで流して前記サンプルガスの成分を分析するガスクロマトグラフ装置において、前記分離ガスを任意の所定量に分割した定量ガスを前記吸着燃焼式ガスセンサ11に流し且つ該定量ガスが前記吸着燃焼式ガスセンサ11に停滞するように、前記流路における前記キャリアガスの流れを調整するキャリアガス調整手段8と、前記吸着燃焼式ガスセンサ11が出力したセンサ出力に基づいて、前記定量ガスの濃度が予め定められてた分析条件を満たすか否かを判定する判定手段20cと、前記判定手段20cによる分析条件を満たすとの判定に応じて、当該センサ出力に基づいて前記分離ガスを分析する第1分析手段20dと、前記判定手段20cによる分析条件を満たしていないとの判定に応じて、前記定量ガスを前記吸着燃焼式ガスセンサ11に流すのを停止するように、前記キャリアガス調整手段8による調整を停止させる調整停止手段20eと、前記調整制御手段の制御によって前記定量ガスの流れが停止している間に、前記吸着燃焼式ガスセンサ11が出力した複数の停止中センサ出力に基づいて前記分離ガスを分析する第2分析手段20fと、を有することを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、図1又は図2の基本構成図に示すように、請求項1〜4の何れか1項に記載のガスクロマトグラフ装置において、前記サンプルガスの流れに対して前記キャリアガス調整手段8よりも上流側となるように前記流路に設けられ且つ前記流路内の圧力を一定にする圧力調整手段7を有することを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、図1又は2の基本構成図に示すように、請求項1〜5の何れか1項に記載のガスクロマトグラフ装置において、前記流路内を流れるサンプルガスを低温により吸着して濃縮し且つ前記キャリアガス調整手段8によってキャリアガスを前記流路内に流通させるときに高温により前記流路に前記濃縮したサンプルガスを前記カラム10へ放出する濃縮手段9を有することを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項7記載のガスクロマトグラフ装置の分析方法は、図1の基本構成図に示すように、サンプルガスを流す流路から内部に展開される前記サンプルガスの各成分を分離ガスに分離するカラム10と、前記カラム10からの分離ガスを低温駆動時に吸着し且つ高温駆動時に当該吸着した分離ガスを燃焼する触媒を有する吸着燃焼式ガスセンサ11と、前記低温駆動と前記高温駆動とを周期的に繰り返すように前記吸着燃焼式ガスセンサ11の駆動を制御する駆動制御手段20aと、前記高温駆動時に前記吸着燃焼式ガスセンサ11が出力したセンサ出力に基づいて前記分離ガスを分析する分析手段20bと、前記流路に設けられ且つ前記流路を流れる前記キャリアガスの流れを調整するキャリアガス調整手段8と、を有し、前記流路に前記カラム10と前記吸着燃焼式ガスセンサ11を流れ方向に向かって順次設けて、前記吸着燃焼式ガスセンサ11に前記サンプルガスをキャリアガスで流すガスクロマトグラフ装置の分析方法であって、前記キャリアガス調整手段8によってキャリアガスを流して、前記分離ガスを任意の所定量に分割した定量ガスを周期的に前記吸着燃焼式ガスセンサ11に流す工程と、前記キャリアガス調整手段8によってキャリアガスの流れを止めて、前記吸着燃焼式ガスセンサ11に前記定量ガスを停滞させる工程と、前記吸着燃焼式ガスセンサ11が前記定量ガスを吸着して燃焼したときのセンサ出力に基づいて、前記分析手段20bが前記分離ガスの分析する工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項8記載のガスクロマトグラフ装置の分析方法は、図2の基本構成図に示すように、サンプルガスを流す流路から内部に展開される前記サンプルガスの各成分を分離ガスに分離するカラム10と、前記カラム10からの分離ガスを低温駆動時に吸着し且つ高温駆動時に当該吸着した分離ガスを燃焼する触媒を有する吸着燃焼式ガスセンサ11と、前記低温駆動と前記高温駆動とを周期的に繰り返すように前記吸着燃焼式ガスセンサ11の駆動を制御する駆動制御手段20aと、前記流路に設けられ且つ前記流路を流れる前記キャリアガスの流れを調整するキャリアガス調整手段8と、を有し、前記流路に前記カラム10と前記吸着燃焼式ガスセンサ11を流れ方向に向かって順次設けて、前記吸着燃焼式ガスセンサ11に前記サンプルガスをキャリアガスで流すガスクロマトグラフ装置の分析方法であって、前記キャリアガス調整手段8によってキャリアガスを流して、前記分離ガスを任意の所定量に分割した定量ガスを前記吸着燃焼式ガスセンサ11に流す工程と、前記キャリアガス調整手段8によってキャリアガスの流れを止めて、前記吸着燃焼式ガスセンサ11に前記定量ガスを停滞させる工程と、前記吸着燃焼式ガスセンサ11が出力したセンサ出力に基づいて、前記定量ガスの濃度が予め定められた分析条件を満たすか否かを判定する工程と、前記分析条件を満たすとの判定に応じて、当該センサ出力に基づいて前記分離ガスを分析する工程と、前記分析条件を満たしていないとの判定に応じて、前記定量ガスを前記吸着燃焼式ガスセンサ11に流すのを停止するように、前記キャリアガス調整手段8による調整を停止させる工程と、前記定量ガスの流れが停止している間に、前記吸着燃焼式ガスセンサ11が出力した複数の停止中センサ出力に基づいて前記分離ガスを分析する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように請求項1,7に記載した本発明によれば、高温駆動及び低温駆動を周期的に切り換えて駆動する吸着燃焼式ガスセンサを用いてサンプルガスを分析するに当たり、分離ガスを任意の所定量に分割した定量ガスを周期的に吸着燃焼式ガスセンサに流して滞留させるように、流路を流れるキャリアガスの流れをキャリアガス調整手段によって調整するようにしたことから、吸着燃焼式ガスセンサは分離ガスを停止又は減速しての測定となり、サンプルガスをキャリアガスで流して測定を行う構成でも、吸着燃焼式ガスセンサのヒータ温度等が安定するため、高精度の検出を可能とすることができる。また、吸着燃焼式ガスセンサに定量ガスを停滞させることから、吸着燃焼式ガスセンサのセンサ出力のサンプリング回数を多くすることができるため、感度に対する分解能の低下を防止してセンサ出力の平均精度を向上することができる。さらに、キャリアガス調整手段によるキャリアガスの送出量を調整することで、時間軸(所定の測定期間)に対する分解能を向上させることができる。従って、吸着燃焼式ガスセンサを用いても、吸着燃焼式ガスセンサの吸着期間が十分に得られ、時間軸に対する分解能の向上を図ることができるため、低濃度の揮発性有機化合物ガス等をより高精度で分析することができる。
【0018】
請求項2に記載した本発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、吸着燃焼式ガスセンサの低温駆動と高温駆動とからなる1周期内の所定期間毎に、定量ガスを吸着燃焼式ガスセンサに流すように、キャリアガスの流れを調整するようにしたことから、測定精度を低下させることなく、時間軸(所定の測定期間)に対する分解能をより一層向上させることができる。
【0019】
請求項3に記載した本発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、吸着燃焼式ガスセンサの高温駆動における検出期間に、定量ガスが吸着燃焼式ガスセンサに停滞するように、キャリアガスの流れを調整するようにしたことから、検出期間中は定量ガスを確実に滞留させることができるため、より一層高精度の検出を可能とすることができる。
【0020】
以上説明したように請求項4,8に記載した本発明によれば、高温駆動及び低温駆動を周期的に切り換えて駆動する吸着燃焼式ガスセンサを用いてサンプルガスを分析するに当たり、分離ガスを任意の所定量に分割した定量ガスを周期的に吸着燃焼式ガスセンサに流して滞留させるように、流路を流れるキャリアガスの流れをキャリアガス調整手段によって調整し、その検出した濃度が分析条件を満たしていると、そのセンサ出力に基づいて分析を行い、また、分析条件を満たしていないと、吸着燃焼式ガスセンサに対する定量ガスの流通を停止し、複数の停止中センサ出力に基づいて分離ガスを分析するようにしたことから、吸着燃焼式ガスセンサに流した定量ガスの濃度に適した分析を行うことができるため、高精度の検出を可能とすることができる。また、吸着燃焼式ガスセンサに定量ガスを停滞させることから、吸着燃焼式ガスセンサのセンサ出力のサンプリング回数を多くすることができるため、感度に対する分解能の低下を防止してセンサ出力の平均精度を向上することができる。さらに、キャリアガス調整手段によるキャリアガスの送出量を調整することで、時間軸(所定の測定期間)に対する分解能を向上させることができる。従って、吸着燃焼式ガスセンサを用いても、吸着燃焼式ガスセンサの吸着期間が十分に得られ、時間軸に対する分解能の向上を図ることができるため、低濃度の揮発性有機化合物ガス等をより高精度で分析することができる。
【0021】
請求項5に記載した本発明によれば、請求項1〜4の何れか1項に記載の発明の効果に加え、キャリアガス調整手段の上流に流路内の圧力を一定にする圧力調整手段を設けるようにしたことから、キャリアガスの圧力を安定させることができるため、キャリアガス調整手段によって必要量のキャリアガスをカラムへ送出することができる。従って、キャリアガスの送出量を正確に調整できるため、時間軸に対する分解能を向上させることができる。
【0022】
請求項6に記載した本発明のガスクロマトグラフ装置によれば、請求項1〜5の何れか1項に記載の発明の効果に加え、濃縮手段によって流路内を流れるサンプルガスを低温状態の時に吸着して濃縮し、高温状態のときに脱離した前記濃縮したサンプルガスを、キャリアガス調整手段によってキャリアガスを流路内に流通させて流路に放出するようにしたことから、少量のキャリアガスでサンプルガスをカラムへ流通させることができるため、時間軸に対する分解能のより一層の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係るガスクロマトグラフ装置の一実施形態を、図1〜図9の図面を参照して以下に説明する。
【0024】
図3において、ガスクロマトグラフ装置1は、流路2と、複数(図3中では4つ)の三方弁3と、活性炭フィルタ4と、ポンプ5と、ガススクラバー6と、圧力調整手段としてのレギュレータ7と、キャリアガス調整手段としてのインジェクタ8と、濃縮手段9と、カラム10と、吸着燃焼式ガスセンサ(ガスセンサ)11と、制御部20と、を有している。
【0025】
流路2は、その一端はサンプルガスを導入する導入口に連なり、他端はサンプルガスを排出する排気口に連なるように構成している。そして、流路2は、複数の三方弁3により複数の経路が選択可能になっており、導入口側から排気口に向かって、活性炭フィルタ4、ポンプ5、ガススクラバー6、レギュレータ7、インジェクタ8、濃縮手段9、カラム10、吸着燃焼式ガスセンサ(ガスセンサ)11を流れ方向に向かって順次設けている。
【0026】
なお、サンプルガスは、可燃性ガスであり、より詳細には、吸着性を有するガスである。そして、サンプルガスの一例としては、脂肪族炭化水素(含む環状)、芳香族炭化水素、アルコール類、ケトン類、アルデヒド類、エステル類、テルペン類等が挙げられる。
【0027】
三方弁3は、流路2の一部をバイパスさせるための制御弁であり、制御部20の制御により経路a又は経路bに切り替える。本実施形態では、複数の三方弁3として、図3に示す三方弁3−1〜4を用いている。そして、三方弁3−1は、経路aをガス導入口及び活性炭フィルタ4の一方側に連なる流路2に接続し、経路bを活性炭フィルタ4の他方側に連なる流路2に接続し、分岐経路cを三方弁3−2の分岐経路cに連なる流路2に接続している。三方弁3−2は、経路aを濃縮手段9の一方側及び三方弁3−4の経路bに連なる流路2に接続し、経路bをポンプ5及び三方弁3−3の経路aに連なる流路2に接続し、分岐経路cを三方弁3−1の分岐経路cに連なる流路2に接続している。
【0028】
三方弁3−3は、経路aをポンプ5及び三方弁3−3の経路aに連なる流路2に接続し、経路bをインジェクタ8及び三方弁3−4の経路aに連なる流路2に接続し、分岐経路cを濃縮手段9の他方側に連なる流路2に接続している。三方弁3−4は、経路aをインジェクタ8及び三方弁3−3の経路bに連なる流路2に接続し、経路bを濃縮手段9の一方側及び三方弁3−2の経路aに連なる流路2に接続し、分岐経路cをカラム10の一方側に連なる流路2に接続している。
【0029】
活性炭フィルタ4は、三方弁3−1が経路bに切り替えられているときに、ガス導入口から吸気したサンプルガスを浄化するフィルタが用いられる。なお、活性炭フィルタ4は、ガスセンサ11の検出に影響を与えない(VOCガスを含まない)キャリアガスを用いる場合は、ガスクロマトグラフ装置1の構成から削除することもできる。また、活性炭フィルタ4の代わりに、他の吸着材や浄化機構に代替えすることもできる。
【0030】
ポンプ5は、制御部20によって駆動が制御され、その駆動による圧力の働きによって流路2にサンプルガス又はキャリアガスを流通させる装置であり、例えば往復ポンプ・回転ポンプ・遠心ポンプ(渦巻ポンプ)・軸流ポンプ等の各種構造のものを用いることができる。なお、ポンプ5の配置については、流路2に各ガスを流通させることができれば、その配置は任意に設定することができる。
【0031】
ガススクラバー6は、キャリアガス中の水分と流路2内等の残留ガスを除去する装置であり、より詳細には、そのガス成分を活性炭あるいはシリカゲルに吸収(吸着)して、きれいなガスとして排出する装置等が用いられる。
【0032】
レギュレータ7は、流路2内を流通させるサンプルガス及びキャリアガスの圧力を一定範囲内に安定させるために圧力調整器等が用いられる。なお、レギュレータ7は、ガスクロマトグラフ装置1の構成から削除することもできるが、より高精度の測定を行う場合はレギュレータ7を用いることが好ましい。
【0033】
インジェクタ8は、サンプルガス、キャリアガスの流路2内における流通を遮断又は流量(流速)の調整を行うために、レギュレータ7の排気口側の流路2に設けられ、図示しないが、電磁弁とその駆動回路とを有している。そして、制御部20によって電磁弁を閉じると流路2を遮断し、電磁弁を開くと流路2内を各ガスが流通する構成となっている。このインジェクタ8の駆動により、ガスセンサ11に流すガスの速度が減速するように、流路2を流れる前記キャリアガスの流速を調整することが可能な構成となっている。なお、キャリアガス調整手段としては、フローコントローラやポンプ等の動作を制御することで代替えするなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0034】
濃縮手段9は、濃縮管91と、ヒータ92と、を有している。濃縮管91は、公知であるように内部に捕集剤を封入しており、流路2の一部として流路2に組み込まれることで、その内部をサンプルガス、キャリアガスが流れる構成となっている。捕集剤は、サンプルガスを吸着する部材を用いている。ヒータ92は、制御部20によって低温駆動/高温駆動が切り替えられて制御され、高温駆動されることで濃縮管91を加熱する。なお、低温駆動とは、例えばヒータ92に通電しない状態、低い電圧を印加する状態等を任意に設定することができる。
【0035】
このように構成した濃縮手段9は、ヒータ92の低温駆動時に濃縮管91内を流れるサンプルガスを捕集剤(図示せず)に吸着する。そして、少量のキャリアガスが濃縮管91を流れたときにヒータ92が高温駆動されると、濃縮管91内の捕集剤に吸着したサンプルガスを流路2に放出する。これにより、少量のキャリアガスで濃縮されたサンプルガスをカラム10に流通させることができる。
【0036】
カラム10は、公知であるガスクロマトグラフの分離カラム等が用いられる。カラム10は、制御部20によって駆動が制御されるヒータ10aによって予め定められた高温、低温に切り替えられ、高温に維持されることで、流路2から導入されたサンプルガスをその種類(測定対象成分)により時間軸上(所定の測定期間)で分離して送出する。
【0037】
ガスセンサ11は、上述した特許文献2等で知られている吸着燃焼式ガスセンサであり、図4に示すように、サンプルガス中の被検物質に感応(燃焼)する感応素子部Rsと、被検物質に感応しない補償素子部Rrとを有し、感応素子部Rsと感応素子部Rsを同一のチップC上に構成している。
【0038】
感応素子部Rsは、Pt(白金)ヒータ11a及びPd/γAL23触媒層11bを有している。補償素子部Rrは、Ptヒータ11c及びγAL23触媒層11dを有している。Ptヒータ11a,cは、図示しないが、固定抵抗及び可変抵抗とともにブリッジ回路を構成しており、制御部20によって駆動パルスが所定のインターバルで間欠的に供給される構成となっている。
【0039】
ガスセンサ11は、制御部20によってPtヒータ11a,cが所定の時間だけ低温駆動されると、雰囲気中のサンプルガスを吸着する。次に低温駆動から高温駆動に切り替えられると、吸着したサンプルガスを燃焼する。このときのガスセンサ11の温度上昇はガスセンサ11に供給されるエネルギーに依存し、サンプルガスのない雰囲気中で感応素子部Rsと補償素子部Rrに同一の電圧で駆動すれば、所定温度に達する時間は等しくなる。また、サンプルガス中で同様に駆動を行えば、吸着したサンプルガスが燃焼する感応素子部Rsだけその燃焼エネルギーにより早く所定温度に達する。これにより、感応素子部Rsと補償素子部Rrのそれぞれにガス濃度に応じた温度差が発生し、Ptヒータ11a,cの抵抗値に差が生じるため、ガスセンサ11はこの抵抗値の差によりガス濃度を示すセンサ出力を制御部20に出力する。
【0040】
制御部20は、図示しないが、CPU(中央処理装置)、ROM(読み出し専用メモリー)、及びRAM(随時書き込み読み出しメモリー)を含むマイクロプロセッサユニット等で構成されている。そして、制御部20は、図3に示すように、三方弁3−1〜4、ポンプ5、インジェクタ8、ヒータ10a,92の各々に電気的に接続されており、各々の制御を行っている。
【0041】
制御部20は、図1に示す請求項中の駆動制御手段20a及び分析手段20bとしてCPU等のコンピュータを機能させるためのプログラムをROM等に記憶しており、そのプログラムを実行することで、各種処理を行う。また、制御部20は、ガスセンサ11に電気的に接続されており、ガスセンサ11からのセンサ出力を所定のサンプリング間隔で取得し、それらのセンサ出力に基づいてサンプルガスをカラム10で分離した各分離ガスの濃度を算出することで、サンプルガスを分析する。
【0042】
制御部20は、図5に示すように、低温駆動される吸着期間C1と該吸着期間C1よりも短く且つ高温駆動される短い燃焼期間C2とからなる駆動周期Cとなるように、低温駆動/高温駆動を周期的に切り換えてガスセンサ11を駆動させる。なお、センサ駆動に対する駆動周期Cは、例えば燃焼期間C2の後に吸着期間C1とするなど任意に設定することができる。
【0043】
制御部20は、燃焼期間C2における所定の検出期間D1〜D5を検出時間Tとしており、検出時間Tは燃焼期間C2よりも短い時間となっている。そして、本実施形態において検出期間D1〜D5は、燃焼期間C2における初期期間(立ち上がりからの任意の期間)となっている。なお、検出時間Tは、燃焼期間C2と同一の時間とするなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0044】
制御部20は、請求項中のキャリアガス調整手段であるインジェクタ8を制御して、流路2におけるキャリアガス等の流通を制御している。そして、通常の検出動作では、図5中の流通パターンP1,P2に示すように、ガスセンサ11の駆動における駆動周期C内の所定期間毎に、定量ガスGをガスセンサ11に流すように、キャリアガスの流れを調整している。さらに、少なくとも前記検出期間Tに該定量ガスGが前記吸着燃焼式ガスセンサ11に停滞するように、前記流路2における前記キャリアガスの流れを調整している(止めている)。
【0045】
流通パターンP1は、定量ガスGが多い、つまりガスセンサ11に対するキャリアガスの流量が多いため、時間軸上の分解能は低くなる。また、流通パターンP2は、定量ガスGが流通パターンP1よりも少ない、つまりガスセンサ11に対するキャリアガスの流量が少ないため、時間軸上の分解能は高くなる。
【0046】
また、複数サンプルの検出動作では、図5中の流通パターンP3,P4に示すように、複数回分(図5中では4回分)の駆動周期Cに対して1回の定量ガスGが流れるように、キャリアガスの流れを調整している。そして、流通パターンP3は、検出期間D2に対応した吸着期間C1に定量ガスGが流通するため、検出期間D3〜D5が有効な検出結果となる。また、流通パターンP4は、検出期間D2に対応した吸着期間C1に定量ガスG(キャリアガス)が流通しないように、ガスセンサ11の高温駆動期間中において、検出期間D1が終了後にキャリアガスを流通させている。これにより、検出期間D2〜D5が有効な検出結果となる。
【0047】
このように定量ガスGは、カラム10内に導入した分析対象のキャリアガスを時間軸上における分解能等に基づいて分割した所定量のガスとなっている。即ち、所定量を大きくすれば、ガスセンサ11に導入するガス量が多くなり、また、所定量を小さくすれば、ガスセンサ11に導入するガス量は少なくなる。従って、この定量ガスによって測定回数(判定回数)、即ち、時間軸上(所定の測定期間)における分解能が決定される。
【0048】
次に、上述した制御部20が実行する本発明に係る処理概要の一例を、図6のフローチャート及び以下の表1を参照して以下に説明する。
【0049】
【表1】

【0050】
図6に示すステップS1において、三方弁3−1〜4の各々を経路bに切り替えさせ、ヒータ92,10aを高温駆動させ、インジェクタ8を全開させ、そして、ポンプ5を作動させることで(状態1)、活性炭フィルタ4で浄化されたエアを流路2全体に流通させて流路2をパージし、その後ステップS2に進む。
【0051】
ステップS2において、三方弁3−1〜4の各々を経路bの状態のままで、ヒータ92,10aを低温駆動させ、インジェクタ8を全閉させ、そして、ポンプ5を停止させることで(状態2)、流路2内の前記エアの流通を停止して濃縮管91を冷却し、その後ステップS3に進む。
【0052】
ステップS3において、まず、三方弁3−1〜4の各々を経路bから経路aに切り替えさせ、ヒータ92,10aの低温駆動を維持させ、インジェクタ8を全開させ、そして、ポンプ5を作動させることで(状態3)、流路2の導入口からサンプルガスを導入して濃縮管91に導入する。そして、一定時間が経過して所定量のサンプルガスが導入されると、三方弁3−1〜4の各々の経路aに維持させ、ヒータ92,10aの低温駆動を維持させ、インジェクタ8を全閉させ、そして、ポンプ5を停止させることで(状態4)、サンプルガスを濃縮管91に捕集し、その後ステップS4に進む。
【0053】
ステップS4において、三方弁3−1〜4の各々を経路aから経路bに切り替えさせ、ヒータ92,10aを低温駆動から高温駆動に切り替えて駆動させた後に、インジェクタ8を全開させ、そして、ポンプ5を作動させることで(状態5)、濃縮管91から流路2に放出した濃縮ガスを、流路2の構成で流通しているキャリアガスによって濃縮管91の濃縮したキャリアガス(濃縮ガス)をカラム10に向けて送出し、その後ステップS5に進む。
【0054】
ステップS5において、濃縮ガスがカラム10から送出される前に、三方弁3−1〜4の各々の経路bに維持させ、ヒータ92,10aの高温駆動を維持させ、インジェクタ8を全閉させ、そして、ポンプ5を作動させることで(状態6)、流路2構成でのサンプルガスの流通を停止し、その後ステップS6に進む。
【0055】
ステップS6において、三方弁3−1〜4の各々の経路bに維持させ、ヒータ92,10aの高温駆動を維持させ、インジェクタ8を全開又はPWM(Puls Width Modulation)制御による開閉させ、そして、ポンプ5を作動させることで(状態7)、流路2構成でカラム10から所定量に分割した定量ガス(キャリアガス)をガスセンサ11に送出し、その後ステップS7に進む。
【0056】
また、本実施形態では、インジェクタ8の上流側にレギュレータ7があり、圧力が一定であることから、インジェクタ8の開時間を制御部20でコントロールすることにより、必要量のキャリアガスを流すようにしている。そして、デューティー制御により、インジェクタ8の流路2に対する開き具合を制御し、さらに制御時間をコントロールすることで、より微量のキャリアガスを流通できる。
【0057】
ステップS7において、三方弁3−1〜4の各々の経路bに維持させ、ヒータ92,10aの高温駆動を維持させ、インジェクタ8を全閉させ、そして、ポンプ5を作動させることで(状態6)、カラム10からガスセンサ11へのキャリアガス(分離ガス)の送出を停止し、その後ステップS8に進む。
【0058】
ステップS8において、上述した状態6を維持した状態で、ガスセンサ11を低温駆動と高温駆動とで交互に駆動させ、高温駆動時のガスセンサ11からセンサ出力が取得され、該センサ出力を予め定められたガス濃度算出プログラムに代入されてガス濃度が検出されてその結果が内蔵メモリ等に記憶され、内蔵メモリ等の検出カウンタがインクリメントされ、その後、ステップS9に進む。なお、センサ出力の取得方法については、所定時間毎でサンプリングした平均値、1回で取得したセンサ出力値など種々異なる方法を用いることができる。
【0059】
ステップS9において、前記検出カウンタの値と予め定められた判定回数との比較結果に基づいて、所定回数検出完了したか否かが判定される。所定回数検出完了していないと判定された場合(S9でNo)、ステップS6に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、所定回数検出完了したと判定された場合(S9でYes)、ステップS10に進む。
【0060】
ステップS10において、作業者等が予め選択した選択結果等に基づいて、連続測定を行うか否かが判定される。連続測定であると判定された場合(S10でYes)、ステップS1に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、連続測定ではないと判定された場合(S10でNo)、処理が終了される。
【0061】
次に、上述した本発明のガスクロマトグラフ装置1の動作(作用)の一例を以下に説明する。
【0062】
ガスクロマトグラフ装置1は、上記状態1で流路2内をパージすると、上記状態2に遷移して濃縮管91を冷却し、上記状態3に遷移してサンプルガスを濃縮管91に導入する。そして、一定時間経過して所定量のサンプルガスを濃縮管91に導入した後に、状態4に遷移することで、濃縮管91にサンプルガスを捕集する。
【0063】
そして、ヒータ92,10aを高温駆動状態にしてから状態5に遷移して、流路2内にキャリアガスを流通させることで、濃縮管91が放出したサンプルガス(濃縮ガス)をカラム10に送出する。そして、濃縮ガスがカラム10から送出される前に上記状態6に遷移して、キャリアガスの流通を停止する。そして、上記状態7に遷移することで、インジェクタ8の動作によってカラム10からガスセンサ11へ所定量の分離ガスを送出し、その後上記状態6に遷移することで、カラム10からガスセンサ11への分離ガスの導入を停止する。
【0064】
ガスセンサ11が低温駆動及び高温駆動で周期的に駆動し、上記状態6を維持したまま、ガスセンサ11からのセンサ出力をサンプリングし、そのセンサ出力と濃度算出プログラムに基づいて、分離ガスの濃度を検出する。つまり、サンプルガスをその種類(測定対象成分)により時間軸上でカラム10が分離して送出した各分離ガスの濃度を算出し、そのセンサ出力のピーク値と被検知ガスに対応するピーク値データとを比較し、これらの結果に基づきサンプリングガスの成分等を分析している。
【0065】
以上説明した本発明のガスクロマトグラフ装置1によれば、高温駆動及び低温駆動を周期的に切り換えて駆動する吸着燃焼式ガスセンサ11を用いてサンプルガスを分析するに当たり、分離ガスを任意の所定量に分割した定量ガスを周期的に吸着燃焼式ガスセンサ11に流して滞留させるように、流路を流れるキャリアガスの流れをインジェクタ(キャリアガス調整手段)8によって調整するようにしたことから、吸着燃焼式ガスセンサ11は分離ガスを停止しての測定となり、サンプルガスをキャリアガスで流して測定を行う構成でも、吸着燃焼式ガスセンサ11のヒータ温度等が安定するため、高精度の検出を可能とすることができる。また、吸着燃焼式ガスセンサ11に分離ガスを停滞させることから、吸着燃焼式ガスセンサ11のセンサ出力のサンプリング回数を多くすることができるため、分解能の低下を防止してセンサ出力の平均精度を向上することができる。さらに、インジェクタ8によるキャリアガスの送出量を調整することで、時間軸に対する分解能を向上させることができる。従って、吸着燃焼式ガスセンサ11を用いても、吸着燃焼式ガスセンサ11の吸着期間が十分に得られ、時間軸に対する分解能の向上を図ることができるため、低濃度の揮発性有機化合物ガス等をより高精度で分析することができる。
【0066】
また、吸着燃焼式ガスセンサ11の低温駆動と高温駆動とからなる1周期内の駆動期間C毎に、定量ガスを吸着燃焼式ガスセンサ11に流すように、キャリアガスの流れを調整するようにしたことから、測定精度を低下させることなく、時間軸(所定の測定期間)に対する分解能をより一層向上させることができる。
【0067】
さらに、吸着燃焼式ガスセンサ11の高温駆動における検出期間に、定量ガスが吸着燃焼式ガスセンサ11に停滞するように、キャリアガスの流れを調整するようにしたことから、検出期間中は定量ガスを確実に滞留させることができるため、より一層高精度の検出を可能とすることができる。
【0068】
また、インジェクタ8の上流に流路内の圧力を一定にするレギュレータ7を設けるようにしたことから、キャリアガスの圧力を安定させることができるため、インジェクタ8によって必要量のキャリアガスをカラム10へ送出することができる。従って、キャリアガスの送出量を正確に調整できるため、時間軸に対する分解能を向上させることができる。
【0069】
濃縮手段9によって流路内を流れるサンプルガスを低温の前記捕集剤により吸着して濃縮し、インジェクタ8によってキャリアガスを流路2内に流通させるときに高温の前記捕集剤から濃縮したサンプルガスをカラム10へ放出するようにしたことから、少量のキャリアガスでサンプルガスをカラム10に流通させることができるため、時間軸に対する分解能のより一層の向上を図ることができる。
【0070】
また、吸着燃焼式ガスセンサ11の高温駆動の駆動時間よりも長い停止時間にわたってキャリアガスの流れを停止することで、吸着燃焼式ガスセンサ11が出力したセンサ出力をより正確に分析することができるため、より一層の分析精度の向上を図ることができる。
【0071】
次に、上述した実施形態では、ガスクロマトグラフ装置1が所定の流通パターンでガスセンサ11に定量ガスを流通させる場合について説明したが、例えば、検出期間に検出したキャリアガスの濃度等に応じて流通パターンを変化させる実施形態とすることも可能であり、その一例を以下に説明する。なお、ガスクロマトグラフ装置1の構成は、上述した図3に示す同一の構成であることを前提とし、詳細な説明は省略する。
【0072】
ガスクロマトグラフ装置1は、図2に示す請求項中の駆動制御手段20a、判定手段20c、第1分析手段20d、調整停止手段20e、第2分析手段20f等の各種手段としてCPU等のコンピュータを機能させるためのプログラムをROM等に記憶しており、そのプログラムを実行することで、各種処理を行う。そして、制御部20が実行する本発明に係る処理概要の一例を、図7のフローチャート及び上述した表1を参照して以下に説明する。
【0073】
図7に示すステップS1において、三方弁3−1〜4の各々を経路bに切り替えさせ、ヒータ92,10aを高温駆動させ、インジェクタ8を全開させ、そして、ポンプ5を作動させることで(状態1)、活性炭フィルタ4で浄化されたエアを流路2全体に流通させて流路2をパージし、その後ステップS2に進む。
【0074】
ステップS2において、三方弁3−1〜4の各々を経路bの状態のままで、ヒータ92,10aを低温駆動させ、インジェクタ8を全閉させ、そして、ポンプ5を停止させることで(状態2)、流路2内の前記エアの流通を停止して濃縮管91を冷却し、その後ステップS3に進む。
【0075】
ステップS3において、まず、三方弁3−1〜4の各々を経路bから経路aに切り替えさせ、ヒータ92,10aの低温駆動を維持させ、インジェクタ8を全開させ、そして、ポンプ5を作動させることで(状態3)、流路2の導入口からサンプルガスを導入して濃縮管91に導入する。そして、一定時間が経過して所定量のサンプルガスが導入されると、三方弁3−1〜4の各々の経路aに維持させ、ヒータ92,10aの低温駆動を維持させ、インジェクタ8を全閉させ、そして、ポンプ5を停止させることで(状態4)、サンプルガスを濃縮管91に捕集し、その後ステップS4に進む。
【0076】
ステップS4において、三方弁3−1〜4の各々を経路aから経路bに切り替えさせ、ヒータ92,10aを低温駆動から高温駆動に切り替えて駆動させた後に、インジェクタ8を全開させ、そして、ポンプ5を作動させることで(状態5)、濃縮管91から流路2に放出した濃縮ガスを、流路2の構成で流通しているキャリアガスによって濃縮管91の濃縮したキャリアガス(濃縮ガス)をカラム10に向けて送出し、その後ステップS5に進む。
【0077】
ステップS5において、濃縮ガスがカラム10から送出される前に、三方弁3−1〜4の各々の経路bに維持させ、ヒータ92,10aの高温駆動を維持させ、インジェクタ8を全閉させ、そして、ポンプ5を作動させることで(状態6)、流路2構成でのサンプルガスの流通を停止し、その後ステップS6に進む。
【0078】
ステップS6において、三方弁3−1〜4の各々の経路bに維持させ、ヒータ92,10aの高温駆動を維持させ、インジェクタ8を全開又はPWM(Puls Width Modulation)制御による開閉させ、そして、ポンプ5を作動させることで(状態7)、流路2構成でカラム10から所定量に分割した定量ガス(キャリアガス)をガスセンサ11に送出し、その後ステップS7に進む。
【0079】
また、本実施形態では、インジェクタ8の上流側にレギュレータ7があり、圧力が一定であることから、インジェクタ8の開時間を制御部20でコントロールすることにより、必要量のキャリアガスを流すようにしている。そして、デューティー制御により、インジェクタ8の流路2に対する開き具合を制御し、さらに制御時間をコントロールすることで、より微量のキャリアガスを流通できる。
【0080】
ステップS7において、三方弁3−1〜4の各々の経路bに維持させ、ヒータ92,10aの高温駆動を維持させ、インジェクタ8を全閉させ、そして、ポンプ5を作動させることで(状態6)、カラム10からガスセンサ11へのキャリアガス(分離ガス)の送出を停止し、その後ステップS8に進む。
【0081】
ステップS8(第1分析手段)において、上述した状態6を維持した状態で、ガスセンサ11を低温駆動と高温駆動とで交互に駆動させ、高温駆動時のガスセンサ11からセンサ出力が取得され、該センサ出力を予め定められたガス濃度算出プログラムに代入されてガス濃度が検出されてその結果が内蔵メモリ等に記憶され、その後、ステップS11に進む。
【0082】
ステップS11(判定手段、調整停止手段)において、検出したガス濃度が予め定められた分析条件を満たすか否かが判定される。分析条件を満たさないと判定された場合(S11でNo)、ステップS12(第2分析手段)において、定量ガスの流れが停止している間に、前記吸着燃焼式ガスセンサ11が出力した複数の停止中センサ出力に基づいて前記分離ガスの平均ガス濃度が検出され、その後ステップS11に戻り、一連の処理が繰り返される。なお、ステップS12では、複数の停止中のセンサ出力から平均ガス濃度を検出する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、最新のセンサ出力に基づいてガス濃度を検出するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0083】
また、ステップS11で分析条件を満たしていると判定された場合(S11でYes)、内蔵メモリ等の検出カウンタがインクリメントされ、ステップS9において、前記検出カウンタの値と予め定められた判定回数との比較結果に基づいて、所定回数検出完了したか否かが判定される。所定回数検出完了していないと判定された場合(S9でNo)、ステップS6に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、所定回数検出完了したと判定された場合(S9でYes)、ステップS10に進む。
【0084】
ステップS10において、作業者等が予め選択した選択結果等に基づいて、連続測定を行うか否かが判定される。連続測定であると判定された場合(S10でYes)、ステップS1に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、連続測定ではないと判定された場合(S10でNo)、処理が終了される。
【0085】
次に、上述した本発明のガスクロマトグラフ装置1の動作(作用)の一例を、図8に示すタイミングチャートを参照して以下に説明する。
【0086】
ガスクロマトグラフ装置1は、インジェクタ8を調整して高濃度の定量ガスG1をガスセンサ11に流通させた後に滞留させると、検出期間D11でガスセンサ11から定量ガスG1に対応したセンサ出力を取得し、その濃度を検出する。そして、その濃度が分析条件を満たしていると、インジェクタ8を調整して次の定量ガスG2をガスセンサ11に流通させた後に滞留させる。
【0087】
そして、その定量ガスG2が低濃度であった場合、検出期間D12でガスセンサ11から定量ガスG2に対応したセンサ出力を取得してその濃度を検出すると、判定条件を満たさないことになる。よって、ガスセンサ11への定量ガスG2の流通を停止する。そして、検出期間D13で再度ガスセンサ11からセンサ出力を取得して濃度を検出し、定量ガスG2に対応して検出した複数の濃度を平均化し、それが分析条件(復帰条件)を満たさない場合、定量ガスG2をガスセンサ11に滞留した状態で、濃度の検出を継続する。そして、図8では検出期間D16で検出した濃度によって分析条件(復帰条件)を満たしたため、そこから、所定時間毎に定量ガスをガスセンサ11に流通させて滞留させる通常の検出動作を再開する。
【0088】
以上説明した本発明のガスクロマトグラフ装置1によれば、高温駆動及び低温駆動を周期的に切り換えて駆動する吸着燃焼式ガスセンサ11を用いてサンプルガスを分析するに当たり、分離ガスを任意の所定量に分割した定量ガスを周期的に吸着燃焼式ガスセンサ11に流して滞留させるように、流路2を流れるキャリアガスの流れをインジェクタ(キャリアガス調整手段)8によって調整し、その検出した濃度が分析条件を満たしていると、そのセンサ出力に基づいて分析を行い、また、分析条件を満たしていないと、吸着燃焼式ガスセンサ11に対する定量ガスの流通を停止し、複数の停止中センサ出力に基づいて分離ガスを分析するようにしたことから、吸着燃焼式ガスセンサ11に流した定量ガスの濃度に適した分析を行うことができるため、高精度の検出を可能とすることができる。また、吸着燃焼式ガスセンサ11に定量ガスを停滞させることから、吸着燃焼式ガスセンサ11のセンサ出力のサンプリング回数を多くすることができるため、感度に対する分解能の低下を防止してセンサ出力の平均精度を向上することができる。さらに、インジェクタ8によるキャリアガスの送出量を調整することで、時間軸(所定の測定期間)に対する分解能を向上させることができる。従って、吸着燃焼式ガスセンサ11を用いても、吸着燃焼式ガスセンサ11の吸着期間が十分に得られ、時間軸に対する分解能の向上を図ることができるため、低濃度の揮発性有機化合物ガス等をより高精度で分析することができる。
【0089】
なお、上述した実施形態では、ガスクロマトグラフ装置1は、図2に示すように、流路2と複数の三方弁3と活性炭フィルタ4とポンプ5とガススクラバー6とレギュレータ7とインジェクタ8と濃縮手段9とカラム10と吸着燃焼式ガスセンサ11と制御部20とを有する構成について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば図9に示すような構成とするなど種々異なる実施形態とすることもできる。
【0090】
図9において、ガスクロマトグラフ装置1は、流路2と三方弁3と活性炭フィルタ4とポンプ5とレギュレータ7とインジェクタ8とカラム10と吸着燃焼式ガスセンサ11と有している。なお、上記制御部20は簡単化するために、図9中から省略している。また、図9の構成からレギュレータ7を削除することもできる。これらの構成としても、上述した実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
【0091】
また、上述した実施形態では、吸着燃焼式ガスセンサ11は定量ガス(分離ガス)を停止した状態で測定する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えばインジェクタ8の開閉をPWM制御等により分岐ガスを減速させて測定しても、上述した実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
【0092】
このように上述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明のガスクロマトグラフ装置の基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明のガスクロマトグラフ装置の他の基本構成を示す構成図である。
【図3】本発明に係るガスクロマトグラフ装置の概略構成を示すシステム構成図である。
【図4】図3中の吸着燃焼式ガスセンサの構成例を説明するための図であり、(a)は断面図、(b)は上面図をそれぞれ示している。
【図5】駆動周期と検出期間と流通パターンの関係を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】図3中の制御部が実行する本発明に係る処理概要の一例を示すフローチャートである。
【図7】図3中の制御部が実行する本発明に係る処理概要の他の一例を示すフローチャートである。
【図8】検出期間と流通との関係を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】本発明に係るガスクロマトグラフ装置の他の概略構成を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
【0094】
1 ガスクロマトグラフ装置
2 流路
3 三方弁
4 活性炭フィルタ
5 ポンプ
6 ガススクラバー
7 レギュレータ
8 インジェクタ
9 濃縮手段
10 カラム
11 吸着燃焼式ガスセンサ(ガスセンサ)
20 制御部
20a 駆動制御手段
20b 分析手段
20c 判定手段
20d 第1分析手段
20e 調整停止手段
20f 第2分析手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルガスを流す流路から内部に展開される前記サンプルガスの各成分を分離ガスに分離するカラムと、前記カラムからの分離ガスを低温駆動時に吸着し且つ高温駆動時に当該吸着した分離ガスを燃焼する触媒を有する吸着燃焼式ガスセンサと、前記低温駆動と前記高温駆動とを周期的に繰り返すように前記吸着燃焼式ガスセンサの駆動を制御する駆動制御手段と、前記高温駆動時に前記吸着燃焼式ガスセンサが出力したセンサ出力に基づいて前記分離ガスを分析する分析手段と、を有し、前記流路に前記カラムと前記吸着燃焼式ガスセンサを流れ方向に向かって順次設け、前記吸着燃焼式ガスセンサに前記サンプルガスをキャリアガスで流して前記サンプルガスの成分を分析するガスクロマトグラフ装置において、
前記分離ガスを任意の所定量に分割した定量ガスを周期的に前記吸着燃焼式ガスセンサに流し且つ該定量ガスが前記吸着燃焼式ガスセンサに停滞するように、前記流路における前記キャリアガスの流れを調整するキャリアガス調整手段を有することを特徴とするガスクロマトグラフ装置。
【請求項2】
前記キャリアガス調整手段が、前記低温駆動と前記高温駆動とからなる駆動周期内の所定期間毎に、前記定量ガスを前記吸着燃焼式ガスセンサに流すように、前記キャリアガスの流れを調整する手段であることを特徴とする請求項1に記載のガスクロマトグラフ装置。
【請求項3】
前記分析手段が、前記高温駆動内における検出期間に、前記吸着燃焼式ガスセンサが出力したセンサ出力に基づいて前記分離ガスを分析する手段であり、
前記キャリアガス調整手段が、少なくとも前記検出期間に該定量ガスが前記吸着燃焼式ガスセンサに停滞するように、前記流路における前記キャリアガスの流れを調整する手段であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスクロマトグラフ装置。
【請求項4】
サンプルガスを流す流路から内部に展開される前記サンプルガスの各成分を分離ガスに分離するカラムと、前記カラムからの分離ガスを低温駆動時に吸着し且つ高温駆動時に当該吸着した分離ガスを燃焼する触媒を有する吸着燃焼式ガスセンサと、前記低温駆動と前記高温駆動とを周期的に繰り返すように前記吸着燃焼式ガスセンサの駆動を制御する駆動制御手段と、を有し、前記流路に前記カラムと前記吸着燃焼式ガスセンサを流れ方向に向かって順次設け、前記吸着燃焼式ガスセンサに前記サンプルガスをキャリアガスで流して前記サンプルガスの成分を分析するガスクロマトグラフ装置において、
前記分離ガスを任意の所定量に分割した定量ガスを前記吸着燃焼式ガスセンサに流し且つ該定量ガスが前記吸着燃焼式ガスセンサに停滞するように、前記流路における前記キャリアガスの流れを調整するキャリアガス調整手段と、
前記吸着燃焼式ガスセンサが出力したセンサ出力に基づいて、前記定量ガスの濃度が予め定められてた分析条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による分析条件を満たすとの判定に応じて、当該センサ出力に基づいて前記分離ガスを分析する第1分析手段と、
前記判定手段による分析条件を満たしていないとの判定に応じて、前記定量ガスを前記吸着燃焼式ガスセンサに流すのを停止するように、前記キャリアガス調整手段による調整を停止させる調整停止手段と、
前記調整制御手段の制御によって前記定量ガスの流れが停止している間に、前記吸着燃焼式ガスセンサが出力した複数の停止中センサ出力に基づいて前記分離ガスを分析する第2分析手段と、
を有することを特徴とするガスクロマトグラフ装置。
【請求項5】
前記サンプルガスの流れに対して前記キャリアガス調整手段よりも上流側となるように前記流路に設けられ且つ前記流路内の圧力を一定にする圧力調整手段を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のガスクロマトグラフ装置。
【請求項6】
前記流路内を流れるサンプルガスを低温により吸着して濃縮し且つ前記キャリアガス調整手段によってキャリアガスを前記流路内に流通させるときに高温により前記流路に前記濃縮したサンプルガスを前記カラムへ放出する濃縮手段を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のガスクロマトグラフ装置。
【請求項7】
サンプルガスを流す流路から内部に展開される前記サンプルガスの各成分を分離ガスに分離するカラムと、前記カラムからの分離ガスを低温駆動時に吸着し且つ高温駆動時に当該吸着した分離ガスを燃焼する触媒を有する吸着燃焼式ガスセンサと、前記低温駆動と前記高温駆動とを周期的に繰り返すように前記吸着燃焼式ガスセンサの駆動を制御する駆動制御手段と、前記高温駆動時に前記吸着燃焼式ガスセンサが出力したセンサ出力に基づいて前記分離ガスを分析する分析手段と、前記流路に設けられ且つ前記流路を流れる前記キャリアガスの流れを調整するキャリアガス調整手段と、を有し、前記流路に前記カラムと前記吸着燃焼式ガスセンサを流れ方向に向かって順次設けて、前記吸着燃焼式ガスセンサに前記サンプルガスをキャリアガスで流すガスクロマトグラフ装置の分析方法であって、
前記キャリアガス調整手段によってキャリアガスを流して、前記分離ガスを任意の所定量に分割した定量ガスを周期的に前記吸着燃焼式ガスセンサに流す工程と、
前記キャリアガス調整手段によってキャリアガスの流れを止めて、前記吸着燃焼式ガスセンサに前記定量ガスを停滞させる工程と、
前記吸着燃焼式ガスセンサが前記定量ガスを吸着して燃焼したときのセンサ出力に基づいて、前記分析手段が前記分離ガスの分析する工程と、
を有することを特徴とするガスクロマトグラフ装置の分析方法。
【請求項8】
サンプルガスを流す流路から内部に展開される前記サンプルガスの各成分を分離ガスに分離するカラムと、前記カラムからの分離ガスを低温駆動時に吸着し且つ高温駆動時に当該吸着した分離ガスを燃焼する触媒を有する吸着燃焼式ガスセンサと、前記低温駆動と前記高温駆動とを周期的に繰り返すように前記吸着燃焼式ガスセンサの駆動を制御する駆動制御手段と、前記流路に設けられ且つ前記流路を流れる前記キャリアガスの流れを調整するキャリアガス調整手段と、を有し、前記流路に前記カラムと前記吸着燃焼式ガスセンサを流れ方向に向かって順次設けて、前記吸着燃焼式ガスセンサに前記サンプルガスをキャリアガスで流すガスクロマトグラフ装置の分析方法であって、
前記キャリアガス調整手段によってキャリアガスを流して、前記分離ガスを任意の所定量に分割した定量ガスを前記吸着燃焼式ガスセンサに流す工程と、
前記キャリアガス調整手段によってキャリアガスの流れを止めて、前記吸着燃焼式ガスセンサに前記定量ガスを停滞させる工程と、
前記吸着燃焼式ガスセンサが出力したセンサ出力に基づいて、前記定量ガスの濃度が予め定められた分析条件を満たすか否かを判定する工程と、
前記分析条件を満たすとの判定に応じて、当該センサ出力に基づいて前記分離ガスを分析する工程と、
前記分析条件を満たしていないとの判定に応じて、前記定量ガスを前記吸着燃焼式ガスセンサに流すのを停止するように、前記キャリアガス調整手段による調整を停止させる工程と、
前記定量ガスの流れが停止している間に、前記吸着燃焼式ガスセンサが出力した複数の停止中センサ出力に基づいて前記分離ガスを分析する工程と、
を有することを特徴とするガスクロマトグラフ装置の分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−236583(P2009−236583A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81069(P2008−81069)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】