説明

ガスタービンのシール装置

【課題】
構成部材間の熱伸び量に偏差が生じた場合にも柔軟に対応し良好なシール性能を維持することができるガスタービンのシール装置を提供する。
【解決手段】
相隣接する構成部材21a−1,21a−2の互いの対向端面に設けられたシール溝32b−1,32b−2に架け渡されて構成部材21a−1,21a−2間の間隙をシールするガスタービンのシール装置33において、前記シール装置が耐熱性の多孔質金属で形成され、その表面が耐酸化性コーティングされていることを特徴とするシール装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンに用いられるシール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧縮空気を燃料とともに燃焼して得た燃焼ガスによって回転動力を得るガスタービンの
タービンは、部材の熱変形による応力集中を緩和し、かつ部品の点検・保守・交換を容易とできるように、複数に分割された部材により構成されている。
【0003】
このようなガスタービンにおいては、部材の冷却用に、および前記部材間の隙間から高温の作動流体が作動領域以外に漏れ出すことがないように、その部材の外側に高圧で低温な流体が供給されている。一般にガスタービンにおいては、このような低温の流体は圧縮機から抽気されるものである。むやみにこの抽気流体の供給量を増やすと、部材間の隙間から作動領域側への抽気流体のリーク量が増加し、タービンを駆動する高温の作動流体の温度低下や抽気流体が混入するときに発生する混合損失を招き、ガスタービン全体の効率低下につながる。
【0004】
そのため、相隣接する構成部材の間にはシール構造が設けてあり、静止する部材同士の場合は一般的に、お互いに対向する面に設けられたシール溝にシールプレートを挿入することによって連結し、抽気流体のリークを抑制する手法が採られている(特許文献1等参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−212904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来技術では、薄板状のシールプレートを複数枚積層し、各シールプレートがシール溝の溝深さ方向に適当に移動して全体的なシール溝深さ方向の幅を拡大することによってシール性能を向上させている。しかしながら、隣接する構成部材間にはタービンの半径方向の熱伸び量に偏差が生じ、それによってシール溝のタービンの半径方向位置にずれが生じることがある。シール溝のタービン半径方向位置にずれが生じると、隣接する構成部材間を橋架するようにシール溝に挿入されたシールプレートに傾斜が生じ、シール溝壁面との接触状態が面接触から線接触に変化し、シール性能が低下する。また、半径方向位置及びタービンの軸方向位置に同時にずれが生じ、シールプレートがシール溝内においてプレート面内で回転した場合には、シールプレートとシール溝との接触状態が点接触、或いは非接触状態ともなり得る。こうした現象は、特に上記従来技術のように複数のシールプレートを単に重ね合わせた場合、全体に剛性が高まって弾性変形し難くなるため一層起こり易くなる。
【0007】
本発明は、こうした事情に鑑みなされたもので、構成部材間の熱伸び量に偏差が生じた場合にもシール装置とシール溝壁面との面接触を保ち、良好なシール性能を維持することができるガスタービンのシール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、相隣接する構成部材の互いの対向端面に設けられたシール溝に架け渡されて前記構成部材間の間隙をシールするガスタービンのシール装置であって、板状の多孔質金属で構成されていることを特徴とするガスタービンのシール装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシール装置によれば、ガスタービンを構成する構成部材間の熱伸び量に偏差が生じた場合にもシール装置とシール溝壁面との面接触を保ち、隣接する構成部材間の間隙からの冷却空気の漏洩の発生を抑制し良好なシール性能を維持することができる。よって、ガスタービンの信頼性及び効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図を用いて、本発明の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の一実施の形態に係るガスタービンの構成例を示すシステム構成図である。図1に図示したガスタービン1は、大気から空気を吸い込んで圧縮し、主として燃焼用の圧縮空気を生成する圧縮機2と、この圧縮機2からの圧縮空気と燃料供給流路(図示せず)から供給された燃料とを燃焼して高温の燃焼ガスを生成する燃焼器3と、この燃焼器3からの燃焼ガスにより軸動力を得るタービン4と、このタービン4の駆動力によって発電する発電機5を備えている。圧縮機2,タービン4、および発電機5は連結しており、タービン4で得られた軸動力は、圧縮機2及び発電機5の駆動力として用いられる。図1に図示した本実施例では、発電機5を圧縮機2に連結しているが、タービン4に連結する構成としても良い。タービン4は一軸式のものでも良いし、互いに独立して回転する低圧タービン及び高圧タービンを有する二軸式のものでも良い。また負荷機器として発電機5を用いた場合を例に挙げているが、得られた軸動力でポンプや他の圧縮機等を駆動する場合もある。
【0012】
上記ガスタービン1のタービン4は、部材の熱変形による応力集中を緩和し、かつ部品の点検・保守・交換を容易とできるように、静翼体セグメント等の複数に分割された構成部材(セグメント)により構成されている。これらの構成部材は、高温の作動流体にさらされて溶けたり、酸化あるいは熱応力による亀裂が入ったりすることのないように、圧縮機2から抽気した低温の冷却流体によって許容温度以下にまで冷却されている。
【0013】
ガスタービン1の運転状態の一例では、燃焼器3で発生する高温高圧の作動ガス(燃焼ガス)は、タービン4へ流入する時点において、圧力が1.2MPa程度、温度が1200℃程度である。その後、タービン内部で膨張仕事をしながら圧力及び温度を低下させ、600℃程度で最終段動翼を通過して放出される。従って、タービンのガスパス内、特にタービン各段の翼は、高温の作動ガスに晒されるため、圧縮機2から抽気した一部の高圧空気を冷却空気としてタービンの高温箇所に供給し冷却する。
【0014】
図1に図示したガスタービン1では、圧縮機2から抽気した冷却空気の一部を供給する流路として、静翼冷却空気流路6a1,静翼冷却空気流路6a2,動翼冷却空気流路6bを備える。冷却空気流路6a1,6a2,6bを介して冷却空気の一部をタービン被冷却部に供給し、材料の許容温度以下にメタル温度を減温する。
【0015】
次に、図2を用いて、ガスタービン1の構成のうち本発明に係る要部の構成について説明する。
【0016】
図2は、タービン4の高圧部近傍の内部構造を表す断面図である。図2に示すように、
静翼冷却空気流路6a1は、圧縮機2から抽気した冷却空気の一部をタービン4の第二段静翼11aに供給する。静翼冷却空気流路6a2は、圧縮機2から抽気した冷却空気の一部をタービン4の第一段静翼10aに供給する。また圧縮機2から抽気した冷却空気の一部は、動翼冷却空気流路6bを経てタービン4の第一及び二段動翼10b,11bにもそれぞれ供給されている。圧縮機2から抽気した冷却空気の一部は、冷却空気流路6a1,6a2,6bを経てタービン被冷却部に供給され、材料の許容温度以下にメタル温度を減温する。このとき、圧縮機2から抽気する冷却空気には、各翼のガスパス圧力に応じた圧力を選定しており、例えば、静翼冷却空気流路6a2及び動翼冷却空気流路6bには圧縮機最終段近傍の抽気空気、冷却空気流路6a1には圧縮機中圧段の抽気空気を用いる。被冷却部を冷却した空気は、翼のフィルム冷却、或いは翼後縁からの噴出し等として、タービンのガスパス9中に排出され、作動ガスと混合されて大気に放出される。
【0017】
静翼冷却空気流路6a1を通過してケーシング12に設けた導入孔(図示せず)を介して供給された冷却空気は、第二段静翼供給チャンバー13を経て、ケーシング12の内周側にて周方向に環状に配置された第二段静翼体21に供給される。第二段静翼体21に供給された冷却空気の一部は、第二段静翼体21の翼内冷却パス(図示せず)を通過するときに熱交換して第二段静翼11aを冷却するとともに、温度上昇して翼の噴出孔(図示せず)からガスパス9に放出される。一方、第二段静翼体21に供給された冷却空気の他の一部は、翼内冷却パスを経て第二段静翼体21の内周側に周方向に環状配置されたダイアフラム15のチャンバー14に供給され、ダイアフラム15に設けられた孔(図示せず)からタービンロータの第一段ホイール19a,スペーサ22及びダイアフラム15で形成される第一段動翼後側ホイールスペース16aに供給される。その後、冷却空気は、ダイアフラム15とスペーサ22との間で協働するシールフィン24によって、第二段ホイール19b,スペーサ22及びダイアフラム15で形成される第二段動翼前側ホイールスペース16bに分岐され、ホイールスペース16a,16bへの作動ガスの侵入を抑制するためのシール空気として使用される。
【0018】
ここで、詳細は後述するが、静翼や動翼のダイアフラム、また後述する静翼体セグメント等といったタービン周方向に環状に配置したセグメント構造をなす構成部材は、熱伸び量を考慮して周方向に隣接する構成部材(セグメント)間に間隙を設けている(後の図4も参照)。これらの間隙は、定格運転時においてもゼロにならないように設計されている。したがって、冷却空気流路6a1,6a2,6b等はこうした構成部材間の周方向間隙を介してガスパスに連通し一部の冷却空気がガスパス9中に漏洩し得るので、このような構成部材間の間隙により形成される冷却空気流路とガスパスとの連通路に後述するようなシール装置を設ける。
【0019】
図3は本発明の一実施例に係るシール装置を適用した静翼体を表した概念図である。図3に示すように、第二段静翼体21の静翼体セグメント21aにおける外径側エンドウォール31aの作動ガス流れ方向上流側には概ねタービン半径方向に直線状に延びるシール溝32aが、外径側エンドウォール31aの内周側には概ねタービン軸方向に直線状に延びるシール溝32bが設けられている。また、静翼体セグメント21aの内径側エンドウォール31bにも概ねタービン軸方向に直線状に延びるシール溝32cが設けられている。
【0020】
図4は相隣接する構成部材である静翼体セグメント21a−1,21a−2をタービン径方向外側から見た図である。図4では代表的に2つの静翼体セグメント21a−1,21a−2を示しているが、第二段静翼体21はさらに多数の静翼体セグメントが環状に配置されている。静翼体セグメント21a−1,21a−2は、互いの間に周方向間隙δcを持たせて組み立てられている。したがって、静翼体セグメント21a−1の外径側エンドウォール31a−1と静翼体セグメント21a−2の外径側エンドウォール31a−2とは対向しており、相隣接するエンドウォール31a−1,31a−2の互いの対向端面には、シール溝32b−1,32b−2が設けられている。これら対向するシール溝32b−1,32b−2には、エンドウォール31a−1,31a−2の間の周方向間隙を塞ぐように、シール装置33が架け渡されて装着されている。これによって、静翼体セグメント21a−1,21a−2間の間隙が遮断され、構成部材間の間隙δcがシールされるようになっている。
【0021】
図5は本実施例に係るシール装置の詳細構造を表すタービン軸方向からみた断面図である。本実施の形態に係るシール装置33aは、相隣接するエンドウォール31a−1,31a−2の互いの対向端面に同一の半径方向位置となるようそれぞれ形成されたシール溝32b−1,32b−2間に架け渡され、構成部材間の間隙により形成される第二段静翼供給チャンバー13とガスパス9の連通路を遮断する。シール装置33aは、シール溝の溝深さ方向(図5中の左右方向)の寸法が隣接する構成部材(静翼体セグメント21a−1,21a−2)間の間隙寸法δcよりも大きいシールプレート40aが、その表面を耐酸化性コーティング層41で被われることにより形成されている。
【0022】
ここで、シールプレート40aは、ガスタービンの高温部にも使用可能な耐熱性を有する耐熱性金属の多孔質体が平たんな板状に形成されたものや、重層構造を有するよう複数枚の薄い耐熱性金属の多孔質シートを積層して溶着し、平たんな板状に形成したものなどであり、多孔質材であるため応力を加えたときに緻密材に比べて大きく変形することができ、かつ塑性変形を起こさずに元の形状に復元できる可撓特性を有する。
【0023】
図6を用いて、ガスタービン運転中の本実施の形態に係るシール装置の作用を説明する。ガスタービンの運転とともに作動ガスや冷却空気からの流入熱によって各部材は温度上昇する。その結果、静翼体セグメント21a−1,21a−2に熱伸び量の偏差が生じ、図6に示したようにシール溝32b−1,32b−2に半径方向のずれδrが発生することになる。
【0024】
ここで図8に図示したように従来のシール装置33cでは剛性が高いため、上記のようなずれが生じると、シールプレートとシール溝32b−1,32b−2の内壁面とのプレート接触面23a,23bとシールプレートとの接触状態が面接触から線接触に変化し、シール性能を低下させる。また、半径方向のずれδrも周方向位置によっては異なる値を持つため、シール溝32b−1,32b−2は三次元的に複雑にねじれ、接触状態は線接触から点接触に変化し、シール性能を大きく低下させる場合もある。また、シール溝の位置ずれが大きい場合に、シール溝端面のエッジ部でシール板が干渉して、シール板に必要以上の応力が発生し、シール板の信頼性を低下させる可能性がある。
【0025】
一方、図6に図示するように本実施例に係るシール装置33aを用いると、シール溝内部に装着されたシール装置33aは、高圧ガス(冷却空気)によってシール溝32b−1の内壁面23a,シール溝32b−2の内壁面23bに対して押圧されて拘束されており、また可撓特性を有するため、シール溝32b−2の形状に倣って変形する。
【0026】
シール装置33aは、シール溝32b−1,32b−2に半径方向のずれδrが発生した場合に、静翼体セグメント21a−1,21a−2の間隙δcの間で塑性変形を起こさず大きく変形することができる。したがって、シール溝32b−1,32b−2の内壁面とシールプレート40aとの接触面23a,23bを常に面接触状態に維持する。また、シール溝の位置ずれが大きい場合に、シール溝端面のエッジ部でシール板が干渉しても、可撓特性を有するため柔軟に対応できるので、シール板の信頼性を高めることができる。
【0027】
以上のように本実施例によれば、隣接する構成部材(静翼体セグメント21a−1,21a−2等)に熱伸び量の偏差が生じても、シール溝32b−1,32b−2の内壁面とシール装置33aとの接触状態を常に面接触状態に保つことができるので、隣接する構成部材間の間隙からの冷却空気の漏洩の発生を効果的に抑制し良好なシール性能を維持することができる。よって、ガスタービンの信頼性及び効率を高めることができる。
【0028】
また、シールプレート40aは耐熱性の多孔質金属で構成することで、耐熱性,可撓特性を有しながらプレート自身で形状を安定的に保ち、加工および製作が容易であるという利点を有する。
【0029】
なお、シールプレート40aは、高温の作動ガスに曝されるが、その表面に耐酸化性コーティングを施すことで、酸化を抑制できる。また、コーティングを施すことで、シールプレート40の表面粗さを小さくすることができ、シールプレートとシール溝との接触面積を大きくして、より高いシール性能を得ることができる。
【実施例2】
【0030】
次に本発明の他の実施の形態について説明する。
【0031】
本実施例は、図1乃至図5に示した第1実施例とは基本構成が共通しているので、共通の構成については説明を省略し、相違する部分についてのみ図7に基づいて説明する。
【0032】
本実施例に係るシール装置33bは、熱膨張性を持つシールプレート40bが、その表面を耐酸化性コーティング層41で被われることにより形成されている。このシールプレート40bは、静翼体セグメント21a−1,21a−2からの入熱により熱膨張した際、プレートが挿入されているシール溝32b−1,32b−2の形状に拠って変形し、シール溝内の空間を充塞するような寸法に形成されている。また、このシールプレート40bは、実施例1のシールプレート40aと同様に耐熱性金属の多孔質体が平たんな板状に形成されたものや、複数の薄い耐熱性金属の多孔質シートを溶着して、平たんな板状に形成したものであり、力を加えたときに緻密材に比べて大きく変形することができ、かつ塑性変形を起こさずに元の形状に復元できる可撓特性を有する。
【0033】
図7を用いて、ガスタービン運転中の本実施の形態に係るシール装置の作用を説明する。ガスタービンの運転とともに作動ガスや冷却空気からの流入熱によって各部材は温度上昇する。その結果、静翼体セグメント21a−1,21a−2に熱伸び量の偏差が生じ、図7に示したようにシール溝32b−1,32b−2に半径方向のずれδrが発生することになる。
【0034】
ここで、多孔質体で構成されるシールプレート40bは、可撓特性を有すため塑性変形を起こさず、シール溝32b−2に沿って大きく変形する。また、シールプレート40bは静翼体セグメント21a−1,21a−2からの入熱により熱膨張し、シール溝32b−1,32b−2の形状に倣って変形し、シール溝内の空間を充塞してシール溝の内壁面を押圧する。従って、シール溝32b−1,32b−2に半径方向のずれδrが発生した場合においても、シール溝32b−1,32b−2の内壁面とのプレート接触面23a,23b,24a,24b,25a,25bを常に面接触状態に維持できるので、シール面積が増大し、シール性能を著しく向上することができる。
【0035】
以上のように本実施形態によれば、隣接する構成部材(静翼体セグメント21a−1,21a−2等)に熱伸び量の偏差が生じても、シール溝32b−1,32b−2の内壁面全体とシール装置33bとの接触状態を常に面接触状態に保つことができるので、隣接する構成部材間の間隙からの冷却空気の漏洩の発生を効果的に抑制し良好なシール性能を維持することができる。よって、ガスタービンの信頼性及び効率を高めることができる。
【0036】
また本実施例においても、シールプレート40bを耐熱性の多孔質金属で構成することで、実施例1と同様に耐熱性,可撓特性を有しながらプレート自身で形状を安定して保ち、加工が容易であるという利点を有する。さらに、シールプレート40bは、高温の作動ガスに曝されるが、その表面に耐酸化性コーティングを施すことで酸化を抑制でき、コーティングを施すことで、シールプレート40bの表面粗さを小さくしてシールプレートとシール溝との接触面積を大きくし、より高いシール性能を得ることができる。
【0037】
以上、本発明の実施の形態では、第二段静翼体の外径側エンドウォールについて本発明を適用した例を説明したが、当該部分のみならず、例えば、内径側エンドウォールや他の段落の静翼セグメント,動翼のシュラウドや静翼ダイアフラム等といった、間隙を介して複数の構成部材が隣接し構成部材間の間隙から冷却空気がリークし得る他の箇所にも本発明は適用可能である。これらの場合も同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0038】
また、本発明の構造は低温流体が空気にかかわらず、蒸気,窒素などの様々な冷却媒体に適用可能であり、かつ同様の適用効果がある。またガスタービンの高温部のみならず、複数の部材を連結して高温流体と低温流体を遮断しかつ連結部が冷却を要する構造であれば、本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
ガスタービンの高温部をはじめ、複数の部材を連結して高温流体と低温流体を遮断しかつ連結部が冷却を要する構造であれば適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態に係るシール装置であるガスタービンの一構成例を示す概念図である。
【図2】タービン部の高圧部近傍の内部構造を表す断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るシール装置を適用した静翼体を抽出して表した概念図である。
【図4】相隣接する構成部材である静翼体セグメントをタービン径方向外側から見た図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るシール装置の詳細構造を表す径方向断面図である。
【図6】ガスタービン運転中の本発明の一実施の形態に係るシール装置の作用説明図である。
【図7】ガスタービン運転中の本発明の別の実施の形態に係るシール装置の作用説明図である。
【図8】ガスタービン運転中の従来のシール装置の作用説明図である。
【符号の説明】
【0041】
13 第二段静翼供給チャンバー
21a−1,21a−2 静翼体セグメント
32b−1,32b−2 シール溝
33a,b,c シール装置
40a,b 多孔質シールプレート
41 耐酸化コーティング層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相隣接する構成部材の互いの対向端面に設けられたシール溝に架け渡されて前記構成部材間の間隙をシールするガスタービンのシール装置であって、
板状の多孔質金属で構成されていることを特徴とするガスタービンのシール装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載のガスタービンのシール装置であって、
表面に耐酸化性コーティング層を有することを特徴とするガスタービンのシール装置。
【請求項3】
前記請求項2に記載のガスタービンのシール装置であって、
前記多孔質金属は、熱膨張性を有し、熱膨張により前記シール溝内の空間を充塞するよう形成されていることを特徴とするガスタービンのシール装置。
【請求項4】
相隣接する構成部材の互いの対向端面に設けられたシール溝に架け渡されて前記構成部材間の間隙をシールするガスタービンのシールプレートであって、
複数枚の多孔質金属シートを積層し、溶着して構成されていることを特徴とするガスタービンのシールプレート。
【請求項5】
タービンの周方向に環状に配置された相隣接する静翼体セグメントの互いの対向端面に設けられたシール溝に架け渡されて前記静翼セグメント間の間隙をシールするガスタービンのシールプレートであって、
多孔質金属で構成され、その表面に耐酸化性コーティング層を有することを特徴とするガスタービンのシールプレート。
【請求項6】
複数の構成部材と、相隣接する前記構成部材の互いの対向端面に設けられたシール溝に架け渡されて前記構成部材間の間隙をシールするシール装置とを有するガスタービン設備であって、
前記シール装置は、板状の多孔質金属で構成され、その表面に耐酸化性コーティング層を有することを特徴とするガスタービン設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−79560(P2009−79560A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250412(P2007−250412)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】