説明

ガスタービンを用いたエネルギー供給システム、エネルギー供給方法、エネルギー供給システムの改造方法

【課題】エネルギー効率及びエネルギー供給効率を向上させることができるエネルギー供給システム、エネルギー供給方法、エネルギー供給システムの改造方法を提供する。
【解決手段】燃料を燃焼させて燃焼ガスを生じさせる燃焼器12と、この燃焼ガスにより回転動力を得るガスタービン10と、このガスタービン10の排出ガスによって熱媒体を加熱する排熱回収ボイラ30と、この排熱回収ボイラ30によって加熱された熱媒体を更に加熱する熱交換器54と、この熱交換器54が加熱した熱媒体を圧縮する多段圧縮機53と、排熱回収ボイラ30が加熱した一部の熱媒体で圧縮機53a,53bを駆動する蒸気タービン51と、圧縮機53a,53bを連絡する配管60を流通する熱媒体で燃料を加熱する熱交換器45と、蒸気タービン51を駆動した蒸気及び多段圧縮機53で圧縮した蒸気を熱利用施設1に供給する蒸気供給系統70とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンを用いて熱利用施設に熱エネルギーを供給するエネルギー供給システム、エネルギー供給方法、及び既設の設備を利用したエネルギー供給システムの改造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
システムのエネルギー効率の向上を狙ったものの1つとしてコジェネレーションシステムにヒートポンプを利用したものがある。ヒートポンプとは大気の熱や排熱等を圧縮機等を利用して効率良く汲み上げるものである。この種の技術として、例えば、ヒートポンプで生成した温水や冷水等の液体状態の熱媒体をシステム内の洗浄水や冷却水等として利用する技術がある(特許文献1等参照)。
【0003】
【特許文献1】特公平7−4212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、熱利用施設に熱エネルギーを供給する場合、温水や冷水を熱媒体としても媒体重量当りに搬送できるエネルギー量を十分に確保することは難しい。そのため、上記のような技術を適用して、ヒートポンプを利用して得た液体状の熱媒体を熱利用施設に供給する構成を採ったとしても、エネルギー供給システムの設置場所が熱利用施設に近い範囲に限定されてしまう。
【0005】
本発明は、エネルギー効率及びエネルギー供給効率を向上させることができるエネルギー供給システム、エネルギー供給方法、エネルギー供給システムの改造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、上記目的を達成するために、燃料を燃焼させて燃焼ガスを生じさせる燃焼器と、この燃焼器からの燃焼ガスにより回転動力を得るガスタービンと、このガスタービンの排出ガスによって熱媒体を加熱する排熱回収ボイラと、この排熱回収ボイラによって加熱された熱媒体を廃熱又は周囲環境から得られる熱により加熱する第1熱交換器と、この第1熱交換器によって加熱された熱媒体を圧縮する複数の圧縮手段と、前記排熱回収ボイラによって加熱された熱媒体の一部から得た膨張仕事を回転動力にかえて前記複数の圧縮手段を駆動する蒸気タービンと、前記複数の圧縮手段の間を連絡する熱媒体流路を流通する熱媒体により前記燃焼器に供給される燃料を加熱する第2熱交換器と、前記蒸気タービンを駆動した熱媒体及び前記複数の圧縮手段で圧縮した熱媒体を気体の状態で熱利用施設に熱源として供給する蒸気供給系統とを備えるものとする。
【0007】
(2)また、本発明は、上記目的を達成するために、燃料を燃焼させて燃焼ガスを生じさせる燃焼器と、この燃焼器からの燃焼ガスにより回転動力を得るガスタービンと、このガスタービンの排出ガスによって熱媒体を加熱する排熱回収ボイラと、この排熱回収ボイラによって加熱された熱媒体を廃熱又は周囲環境から得られる熱により加熱する第1熱交換器と、この第1熱交換器によって加熱された熱媒体を圧縮する複数の圧縮手段と、前記排熱回収ボイラによって加熱された熱媒体の一部から得た膨張仕事を回転動力にかえて前記複数の圧縮手段を駆動する蒸気タービンと、前記複数の圧縮手段の間を連絡する熱媒体流路を流通する熱媒体により前記燃焼器に供給される燃料を加熱する第2熱交換器と、前記蒸気タービンを駆動した熱媒体及び前記複数の圧縮手段で圧縮した熱媒体を気体の状態で熱利用施設に熱源として供給する蒸気供給系統と、前記熱利用施設で熱利用されて凝縮された熱媒体を前記排熱回収ボイラに循環させる循環ポンプとを備えるものとする。
【0008】
(3)上記(1)又は(2)は、好ましくは、更に、前記熱媒体流路の少なくとも1カ所に、前記排熱回収ボイラで加熱した熱媒体を直接噴霧して前記熱媒体流路を流通する熱媒体の温度を減温する熱媒体噴霧部を備えるものとする。
【0009】
(4)上記(1)から(3)いずれかは、好ましくは、更に、前記燃焼器の燃料流通方向上流側に設けられ、前記複数の圧縮手段を流通する圧縮途中の熱媒体を燃料中に直接注入して燃料を加熱する熱媒体注入部を備えるものとする。
【0010】
(5)上記(4)は、好ましくは、前記熱媒体注入部は前記燃焼器の燃料流通方向上流側かつ前記第2熱交換器の燃料流通方向下流側に設けられているものとする。
【0011】
(6)本発明は、上記目的を達成するために、燃焼器で燃料を燃焼させて得た燃焼ガスによりガスタービンを駆動し、このガスタービンの排出ガスによって排熱回収ボイラで熱媒体を加熱し、この排熱回収ボイラによって加熱された熱媒体を廃熱又は周囲環境から得られる熱により第1熱交換器で加熱し、この第1熱交換器によって加熱された熱媒体を複数の圧縮手段で圧縮し、前記排熱回収ボイラによって加熱された熱媒体の一部から得た膨張仕事を回転動力にかえて前記複数の圧縮手段を駆動する蒸気タービンを駆動し、前記複数の圧縮手段の間を連絡する熱媒体流路を流通する熱媒体により前記燃焼器に供給される燃料を第2熱交換器で加熱し、前記蒸気タービンを駆動した熱媒体及び前記複数の圧縮手段で圧縮した熱媒体を気体の状態で熱利用施設に熱源として供給するものとする。
【0012】
(7)本発明は、上記目的を達成するために、燃焼器で燃料を燃焼させて得た燃焼ガスにより回転動力を得る既設のガスタービンに、このガスタービンの排出ガスによって熱媒体を加熱する排熱回収ボイラと、この排熱回収ボイラによって加熱された熱媒体を廃熱又は周囲環境から得られる熱により加熱する第1熱交換器と、この第1熱交換器によって加熱された熱媒体を圧縮する複数の圧縮手段と、前記排熱回収ボイラによって加熱された熱媒体の一部から得た膨張仕事を回転動力にかえて前記複数の圧縮手段を駆動する蒸気タービンと、前記複数の圧縮手段の間を連絡する熱媒体流路を流通する熱媒体により前記燃焼器に供給される燃料を加熱する第2熱交換器と、前記蒸気タービンを駆動した熱媒体及び前記複数の圧縮手段で圧縮した熱媒体を気体の状態で熱利用施設に熱源として供給する蒸気供給系統とを追設するものとする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、エネルギー効率及びエネルギー供給効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0015】
図1は本発明の第1の実施の形態に係るエネルギー供給システムの全体構成を表すシステムフロー図である。
【0016】
図1に示すように、本エネルギー供給システムは、燃焼エネルギーを駆動力に変換する原動機であるガスタービン10と、ガスタービン10から排出される燃焼ガス(排出ガス)を加熱源とする排熱回収ボイラ30と、排熱回収ボイラ30から供給される蒸気で駆動するヒートポンプ50と、ヒートポンプ50で生成した蒸気を熱利用施設1に供給する蒸気供給系統70と、熱利用施設1で熱源として利用され凝縮した熱媒体が流通する配管44と、配管44内の熱媒体を排熱回収ボイラ30へ循環供給する循環ポンプ35とを備えている。
【0017】
ガスタービン10は、大気Aを吸い込んで圧縮する圧縮機11と、燃料Bを流通する燃料配管15と、燃料配管15に設けられ、燃料Bをヒートポンプ50からの熱(後述する)で加熱する熱交換器45と、熱交換器45によって加熱された燃料Bを圧縮機11からの圧縮空気とともに燃焼させて高温・高圧の燃焼ガスを生じさせる燃焼器12と、燃焼器12からの燃焼ガスにより回転動力を得るタービン13とを備えている。燃焼器12で燃焼させる燃料には、天然ガスの他に、天然ガスを主成分とする都市ガス、ジメチルエーテルのような合成ガス、或いは灯油や軽油、A重油等も用いることができる。また、本実施の形態では、タービン13と同軸上に回転軸をもって発電機14が連結されており、この発電機14によってタービン13の回転動力を電気エネルギーに変換する場合の構成を図示しているが、ガスタービン10には、発電機14に代えて、ポンプ等の他の負荷機器が連結される場合もある。
【0018】
排熱回収ボイラ30は、熱源であるガスタービン10からの燃焼ガス(排出ガス)の流通方向下流側から上流側に向かって順に、熱利用施設1から供給される熱媒体を加熱する低圧側の熱交換器31と、この加熱された熱媒体の一部がヒートポンプ50へ分岐する分岐部36と、分岐部36で分岐した熱媒体が流通する配管37と、配管37を流通する熱媒体を圧送する高圧ポンプ39と、熱交換器31で加熱した熱媒体をさらに加熱して蒸気にする高圧側の熱交換器34とを備えている。また、排熱回収ボイラ30の排出ガス流通方向の下流側には、排熱回収ボイラ30内で熱交換を終えた排出ガスを大気中へ放出する煙突43が備えられている。
【0019】
熱利用施設1で熱源として利用されて凝縮した熱媒体が流通する配管44は、熱媒体流通方向下流側において、排熱回収ボイラ30内の熱交換器31と接続している。熱交換器31は熱媒体流通方向の下流側で分岐部36と接続している。この分岐部36は、熱媒体流通方向の下流側において、ヒートポンプ50と連結された配管38、及び排熱回収ボイラ30内の熱交換器34と連結された配管37が接続している。配管37は、高圧ポンプ39を介して熱交換器34と接続しており、熱交換器31が加熱した熱媒体を熱交換器34に供給している。熱交換器34は、排熱回収ボイラ30内における排出ガス流通方向の上流側に設けられており、熱媒体流通方向の下流側において、ヒートポンプ50へ繋がる配管42と接続している。
【0020】
ヒートポンプ50は、排熱回収ボイラ30から配管42を介して供給される熱媒体(蒸気)によって駆動する蒸気タービン51と、同じく排熱回収ボイラ30から配管38を介して供給される熱媒体(高温水)によって駆動する二相流膨張タービン52と、二相流膨張タービン52を流通した熱媒体(高温水及び蒸気)を外部の熱(例えば、熱利用施設1の排水や大気等の熱)を利用して加熱することで気体の状態(蒸気)にする熱交換器(蒸発器)54と、熱交換器54によって加熱された熱媒体(蒸気)を圧縮する多段圧縮機53とを備えている。
【0021】
多段圧縮機53は、本実施の形態では2段の圧縮機から構成されており、低圧側の圧縮機第一段53aと高圧側の圧縮機第二段53bを有している(以下、適宜、単に圧縮機53a、圧縮機53bとも表記する。)。圧縮機第一段53aの熱媒体流通方向の下流側には、これら圧縮機53a,53bの間を熱媒体が流通可能なように圧縮機53a,53bを連絡する配管60が設けられている。この配管60の圧縮機第二段53bまでの経路には前述の熱交換器45が設けられており、配管60は熱交換器45内部を通過するように配されている。このようにして熱交換器45中でガスタービン10の燃料は配管60中を流通する熱媒体を熱源として加熱される。なお、熱交換器54によって気体の状態となった熱媒体(蒸気)を圧縮する圧縮手段は、図に示したような2段の圧縮機から成る多段圧縮機53のみに限られず、少なくとも2段の圧縮手段から構成されるものであれば良い。これは、2段の圧縮手段の間にガスタービン10の燃料Bと熱交換できる熱交換器を少なくとも1器設置することによって、圧縮途中の熱媒体を燃料加熱等の熱源として利用できれば良いからである。従って、例えば、単段圧縮機を2機以上備えて単段圧縮機の間に熱交換器45を設けたり、2段以上の圧縮段を有する多段圧縮機の圧縮段の間に熱交換器45を設けたり、又は、複数の多段圧縮機を備えて多段圧縮機の間に熱交換器45を設けたりする等しても勿論良い。
【0022】
蒸気タービン51、多段圧縮機53、及び二相流膨張タービン52は同軸上に設けられており、多段圧縮機53は蒸気タービン51及び二相流膨張タービン52の回転動力によって駆動されている。二相流膨張タービン52は、熱媒体流通方向の上流側で配管38を介して排熱回収ボイラ30と接続しており、これと反対の下流側では熱交換器54と接続している。
【0023】
熱交換器54は、内部に例えば熱利用施設1の排水や大気等を通す配管83を有しており、この配管83内を流通する熱源によって熱媒体を加熱している。また、熱媒体流通方向の下流側では多段圧縮機53の圧縮機第一段53aと接続している。圧縮機第一段53aは配管60を介して圧縮機第二段53bと接続しており、この配管60には熱交換器45が設けられている。また、蒸気タービン51は、熱媒体流通方向の上流側において配管42を介して排熱回収ボイラ30と接続している。
【0024】
蒸気供給系統70は、蒸気タービン51の出口と接続されている配管71と、圧縮機第二段53bの出口と接続されている配管72と、これら配管71,72の下流側に接続されている合流器73と、合流器73と熱利用施設1を接続する配管74とを備えている。本実施の形態では、蒸気タービン51を駆動した蒸気、及び、二相流膨張タービン52や熱交換器54で生成された後に多段圧縮機53(圧縮機第一段53a及び圧縮機第二段53b)によって圧縮された蒸気は、それぞれ配管71,72を流通した後に合流器73で合流し、配管74を流通して熱利用施設1に供給されている。
【0025】
なお、本システムを構築する場合、勿論、システム全体を新たに構築しても良いが、既設のガスタービンや排熱回収ボイラ等が存在する場合、それら既存設備に適宜改造を施しても本システムは構築可能である。
【0026】
例えば、ガスタービン10が既に存在している場合、ガスタービン10に排熱回収ボイラ30を取り付け、ガスタービン10の排出ガスにより熱媒体を加熱して蒸気を生成するようになす。そしてヒートポンプ50を追設して排熱回収ボイラ30に接続し、排熱回収ボイラ30からの蒸気で蒸気タービン51が駆動するとともに、排熱回収ボイラ30で加熱した熱媒体が熱交換器54によって加熱されて蒸気を生成されるようにする。また、多段圧縮機53を流通する熱媒体によってガスタービン10の燃料を加熱できるように熱交換器45を追設する。次に、ヒートポンプ50と熱利用施設1とを蒸気供給系統70で接続し、蒸気タービン51で膨張仕事をした蒸気と熱交換器54で生成した蒸気とが熱利用施設1に供給されるように構成し、熱利用施設1で熱利用されて凝縮した熱媒体が循環ポンプ35によって排熱回収ボイラ30に循環されるように構成する。
【0027】
また、排熱回収ボイラ30(或いは他の排熱回収ボイラ)が既に存在する場合は、既存の排熱回収ボイラに熱媒体を流通させるようになし、上記と同じ要領で、ヒートポンプ50、熱交換器45、蒸気供給系統70、循環ポンプ35等を設ければ良い。
【0028】
次に本実施の形態のエネルギー供給システムの動作を説明する。
【0029】
大気Aが圧縮機11に吸い込まれると、吸い込まれた空気は圧縮機11によって圧縮されて設定圧力(例えば0.8[MPa]程度)に加圧されるとともに設定温度(例えば260[℃]程度)まで加熱される。一方、燃料Bが燃料配管15を介して熱交換器45内に流通されると、ヒートポンプ50内の圧縮機第一段53aによって圧縮加熱された熱媒体によって、燃料Bは配管60を介して加熱される。熱交換器45は、このように燃料Bを加熱することによって、常温の同量の燃料を用いる場合と比較して、燃焼器12への入熱量を増加することができる。
【0030】
このように加熱された大気A及び燃料Bは、共に燃焼器12に供給された後に燃焼され、高温・高圧の燃焼ガスとなってタービン13に供給される。この燃焼ガスの膨張仕事等によりタービン13には回転動力が与えられ、この回転動力を伝達された発電機14は電気エネルギーを発生する。タービン13を回転させた後の燃焼ガス(排出ガス)は、続いて、熱利用施設1から供給される熱媒体を加熱するための熱源として排熱回収ボイラ30に導かれる。燃焼ガス(排出ガス)の温度はタービン13の出口付近では高温(例えば640[℃]程度)であるが、排熱回収ボイラ30内の熱交換器34,31を順次通過しながら、循環ポンプ35によって供給される熱媒体と熱交換するため、煙突43から排出されるまでには温度が低減される。
【0031】
排熱回収ボイラ30には、燃焼ガス流れ方向の下流側に配管44が接続されており、この配管44を介して熱利用施設1で熱源として利用されて凝縮した所定温度(例えば60[℃]程度)の熱媒体が供給されている。この熱媒体は排熱回収ボイラ30に至るまでに循環ポンプ35によって設定圧力(例えば0.6[MPa]程度)まで加圧されている。排熱回収ボイラ30内に供給されたこの熱媒体は、低圧側熱交換器31に供給されてガスタービン13の燃焼ガス(排出ガス)によって設定温度(例えば120[℃]程度)まで昇温されて高温水となる一方で、この熱交換器31による圧力損失を受けて所定圧力(例えば0.5[MPa]程度)まで減圧された状態で分岐部36へ供給される。そして、この熱媒体は分岐部36で配管37、配管38に分流する。
【0032】
配管37に導かれた熱媒体は、高圧ポンプ39で設定圧力(例えば7.4[MPa]程
度)まで昇圧されて、高圧側熱交換器34に導かれる。高圧側熱交換器34に導かれた熱媒体は、設定された温度及び圧力(例えば500[℃]程度、7.0[MPa]程度)に昇温昇圧され過熱蒸気となり、配管42を介してヒートポンプ50の動力源である蒸気タービン51に供給される。
【0033】
高圧側熱交換器34を出た設定圧力(例えば7.0[MPa]程度)の熱媒体(過熱蒸気)は蒸気タービン51で膨張仕事をする。このとき、この熱媒体は熱利用施設1で熱源として用いられる際の設定圧力(例えば0.4[MPa]程度)まで減圧される。蒸気タービン51で得られた回転動力は、二層流膨張タービン52及び多段圧縮機53に伝達されて、それらを駆動する。
【0034】
他方、配管38に導かれた熱媒体はヒートポンプ50内の二相流膨張タービン52に供給される。この熱媒体は低圧側熱交換器31を出たところでは飽和蒸気に近い高温水(例えば120[℃]、0.5[MPa]程度)となっている。二相流膨張タービン52における熱媒体は、膨張過程で所定割合が蒸発して二相流を成し、タービン52を駆動して減温・減圧(例えば60[℃]、0.02[MPa]程度)される。ここで、蒸気相と分離した液相はタービン52を出て熱交換器54内の配管83を流れる熱利用施設1の排熱(例えば60〜80[℃]程度)により加熱されて蒸発し、蒸気相と共に多段圧縮機53内の圧縮機第一段53aに供給される。なお、この配管83を流通する熱源は、熱利用施設1の排熱、大気熱等の周囲環境から得られる熱等を利用しても勿論良い。
【0035】
低圧側の圧縮機第一段53aに供給された熱媒体(蒸気)は、この圧縮機53aによって加圧されることで加熱され、配管60に導かれる。加熱された熱媒体は、下流に設けられた熱交換器45内を通過する際、燃焼器12に供給される前の燃料Bと熱交換して減温する。このように圧縮機53aで昇圧した熱媒体の温度を減温すると気体密度が高くなる。一般的に気体密度が高いほど加圧する際の圧縮動力は少なくて済むので、このように熱媒体を減温すると、熱媒体が高圧側の圧縮機第二段53bで圧縮される際に少ない圧縮動力で所定圧力まで加圧することが可能となる。このように本実施の形態では、各圧縮機53a,53bの中間で熱交換器45を用いて熱媒体を冷却して気体密度を増加させることによって、圧縮時に必要な圧縮動力を低減して効率低下を抑制している。
【0036】
圧縮機第二段53bによって設定圧力(例えば0.4[MPa]程度)まで加圧された蒸気は熱源として熱利用施設に供給されるために配管72を介して合流器73に流通される。この合流器73では蒸気タービン51を駆動した蒸気も配管71によって供給されており、排熱回収ボイラ30内の分岐部36で分流した熱媒体がここで再び合流する。合流した熱媒体は配管74を介して加熱源(140[℃]程度)として熱利用施設1に供給される。
【0037】
熱利用施設1内で熱を放出して凝縮した熱媒体(例えば60[℃]程度)は熱利用施設1から排出され、適宜浄化された後に配管44に戻り、再び循環ポンプ35によって排熱回収ボイラ30に循環供給される。
【0038】
次に本実施の形態における作用効果について説明する。
【0039】
本実施の形態は、熱利用施設1へ蒸気(気体)の状態の熱媒体を供給することにより、熱媒体を液体の状態のまま供給する場合に比べ、媒体重量当りに搬送できるエネルギー量を飛躍的に向上させることができる。したがって、熱を輸送する動力を小さくできるのでエネルギー供給効率が向上し、本システムを熱利用施設1と近い場所に設置する必要がなくなり、離れた場所にも設置することが可能となる。また、熱利用施設1に供給する蒸気を生成するためにヒートポンプ50を利用することにより、排熱回収ボイラ50の熱エネルギー、言い換えればガスタービン10に投入する燃料エネルギーに加えて、熱利用施設1等から出る排熱や周囲環境の熱エネルギーをも系内に取り込むことができるので、エネルギー効率も飛躍的に向上させることができる。
【0040】
ここで、ヒートポンプ50の性能を示すエネルギー消費効率(COP)は、多段圧縮機53の駆動に用いられる動力と熱交換器54で熱媒体に与えられる熱量との比で定義される。そして、このCOP値をパラメータとして、燃焼器12に投入された燃料Bのエネルギーを分母とし、発電機14によって得られる発電量と熱利用施設1に配管74を介して供給される熱媒体の熱量の合計を分子としたものを総合効率と定義する。
【0041】
このとき、例えば、本システム各所の熱媒体や排出ガスの圧力及び温度が上記動作説明の括弧書きのような値を示すとすると、本システムの総合効率は、COP値が1.7を超えると100%を超え、COP値を5まで向上させると128%になる。これは、燃焼器12に投入される燃料Bのエネルギーとは別に、熱交換器54で外部からの熱エネルギー(排熱や大気熱等)をヒートポンプ50によって取り込んでいるからである。また、本システム内の熱媒体を循環させる循環ポンプ35や、排熱回収ボイラ30で熱媒体を昇圧する高圧ポンプ39で用いる動力なども熱媒体の加熱に寄与している。
【0042】
また、一般的なコジェネレーションシステムの総合効率は80%程度であるが、これと比較して本実施形態のシステムの総合効率は上記のように極めて高く、COP値を4程度まで向上し、総合効率を125%まで高めることができる。また、計算上、総合効率80%程度の一般的なコジェネレーションシステムと比較して、本システムは地球温暖化に影響するCOの発生量を36%程度も削減することが可能である。本システムにおける熱的損失は、排熱回収ボイラ30から煙突43によって大気放出される排出ガスCと圧縮機11に吸い込まれる大気Aとの温度差分の熱量である。したがって、この熱損失よりも大きな熱量を熱交換器54で外部から取り込めば本システムの総合効率は100%を超える。
【0043】
またさらに、本実施の形態は上記のように、圧縮機53a、53bを連絡する配管60を流通する熱媒体によって、燃焼器12に供給される燃料Bを加熱する熱交換器45を備えている。この熱交換器45でガスタービン10の燃料Bを加熱することによって、常温の同量の燃料を用いた場合と比較して、燃焼器12への入熱量を増やすことができる。これにより燃料の量を削減しても同条件の燃焼を達成することが可能となるので、エネルギー効率を向上させることができる。
【0044】
また、本システムに用いる燃料として多種の燃料が利用できることは前述したが、加圧すると液化してしまうジメチルエーテル等は、配管内で加熱することにより微粒化特性を良くする必要がある。また、重油のような液体燃料についても、加熱することにより粘性を下げ微粒化特性を良くする必要がある。本実施の形態のシステムは、このような加熱を要する燃料を用いる場合にも、ヒートポンプ50内の多段圧縮機53で発生する余分な熱を熱交換器45で燃料加熱に利用することが可能であり、エネルギー効率の良いシステムを構築することができる。
【0045】
またさらに、燃料を加熱する場合には、一般に発火の危険性等を考慮しなければならないが、本実施の形態における加熱媒体は蒸気であり、万が一配管が破損等した場合に燃料中に蒸気が漏れるようなことがあっても、発火する危険性は低く、安全なシステムを提供することができる。
【0046】
ところで、本発明は、このように熱交換器45によって燃料Bが加熱されて上記のような効果が得られる一方で、燃料Bと熱交換して熱媒体が多段圧縮機53の中間で冷却されることによって、圧縮機第二段53bの圧縮動力を低減できるという効果も更に得ることができる。以下、この効果について説明する。
【0047】
例えば、圧縮機53a及び圧縮機53bによって、0.01[MPa]の蒸気を0.4[MPa]まで圧縮する場合を考える。この場合、圧縮機53a,53bの間において熱媒体の中間冷却を行わなければ、圧縮機の圧縮効率を100%と仮定しても媒体温度(蒸気温度)は490[℃]程度にまで達してしまう。また、圧縮効率を85%程度とすると蒸気温度は約550[℃]にも達する。ここで、後者の例で考えると、0.01[MPa]の飽和蒸気(熱媒体)を所定圧力0.4[MPa]まで加圧する際に必要となる圧縮機53a,53bの動力は、蒸気の飽和温度(46[℃])と加圧後の所定圧力到達時の温度(約550[℃])の温度差に相当するエネルギーが必要となってしまい、エネルギー効率が非常に悪くなってしまう。
【0048】
これに対して、圧縮53a,53b間に熱交換器45を設けて熱媒体の中間冷却を行うと、燃料Bによる冷却によって熱媒体の密度を増加することができる。一般に、気体密度が高いほど加圧する際の圧縮機の圧縮動力は少なくて済むので、この熱媒体を高圧側の圧縮機第二段53bで圧縮する際、少ない圧縮動力で所定圧力まで加圧することが可能となる。このように本実施の形態では、圧縮機53a,53bの中間で熱交換器45を用いて熱媒体を冷却して気体密度を増加させることによって、圧縮時に必要な圧縮動力を低減してエネルギー効率の低下を抑制することができる。
【0049】
また、本実施の形態では、蒸気タービン51で得られた動力を電力に変換することなく、ヒートポンプ50の多段圧縮機53や二相流膨張タービン52の駆動力に用いるので、電力変換に伴うエネルギー損失もない。また、蒸気タービン51で膨張仕事をした後の蒸気とヒートポンプ50で生成した蒸気とを混合して共通の配管74で熱利用施設1に輸送することで、無駄なくより多くの熱媒体を熱利用施設1に供給することができる。これらの点も本システムの大きなメリットである。
【0050】
さらには、利用されることのない排熱を大気に放出するガスタービン等の原動機設備、或いは排熱回収ボイラ設備等が既に存在している場合、そうした既存の設備を改造して容易にシステムを構築することができることも、本システムの大きなメリットである。
【0051】
次に本発明の第2の実施の形態を図面を用いて説明する。
図2は本発明の第2の実施の形態に係るエネルギー供給システムの全体構成を表すシステムフロー図である。図中、図1と同じ部分には同じ符号を付し説明は省略する。
【0052】
図2に示すように、本実施の形態が第1の実施の形態と相違する点は、配管60Aにおける熱交換器45の出口から圧縮機第二段53bの入口までの間に混合器82を設けるとともに、排熱回収ボイラ30の低圧側熱交換器31の出口から二相流膨張タービン52の入口を接続する配管38Aに分岐部80を設けて、分岐部80から分流した熱媒体を配管81を介して混合器82内に噴霧することによって、配管60A内の熱媒体を減温できるようにした点である。なお、その他については、前述した第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0053】
ヒートポンプ50Aは、第1の実施の形態のヒートポンプ50の構成に加えて、更に、配管38Aを流通する熱媒体(高温水)を分流する分岐部80と、この分岐部80から熱媒体の一部が流通する配管81と、配管81から供給される熱媒体(高温水)を直接噴霧して多段圧縮機53内を流通する熱媒体(蒸気)の温度を減温する混合器82とを備えている。
【0054】
分岐部80は、排熱回収ボイラ30の分岐部36とヒートポンプ50Aの二相流膨張タービン52の入口とを接続する配管38Aに設けられ、配管81に接続している。配管81は、熱媒体流通方向の上流側において分岐部80に、熱媒体流通方向の下流側において混合器82に接続している。この配管81の内部には配管38Aを流通する高温水(熱媒体)の一部が分岐部80を介して流通している。混合器82は圧縮機第一段53aと圧縮機第二段53bを接続する配管60Aにおける熱交換器45の出口から圧縮機第二段53bの入口までの部分に設けられている。この混合器82内では、配管60Aを流通する蒸気(熱媒体)に対して配管81を流通する高温水が噴霧されており、配管60Aを流通する蒸気の温度を低減させている。
【0055】
本実施の形態において、循環ポンプ35によって送給される熱媒体は、排熱回収ボイラ30内の低圧側熱交換器31で加熱されて高温水となり、分岐部36で分流した後に配管38Aへ流通する。配管38Aに導かれた高温水は、更に、分岐部80を介して配管81を流通して混合器82へ直接噴霧される。一方、圧縮機第一段53aによって圧縮された蒸気は、配管60Aを介して熱交換器45に導かれて燃料Bと熱交換する。燃料Bと熱交換した(即ち、冷却された)蒸気は、次に、圧縮機53へ供給される前に混合器82内に導かれて、配管81を介して噴霧される高温水と混合されて更に冷却される。
【0056】
このように、熱交換器45の出口の下流側において、配管60Aを流通する蒸気中に高温水を直接噴霧する混合器82を設けることによって、熱交換器45で低減した後の蒸気の温度を更に低減することができる。これにより蒸気の温度を飽和温度まで容易に低減するができ、この熱媒体の密度を増加することができる。従って、圧縮機第二段53bの圧縮動力を更に低減することができ、第1の実施の形態と比較して更にエネルギー効率を向上することができる。また、高温水を蒸気に噴霧する量(噴霧量)は、上記のように蒸気が飽和温度になる程度のみに限られず、圧縮機第二段53bで圧縮した後に全量が蒸気になる程度まで(若干湿り蒸気になるまで)噴霧しても良い。さらに、圧縮機第二段53bの出口で水蒸気温度が熱利用施設1で利用する温度(本実施の形態のシステム内の各所においても、上記第1の実施の形態のような圧力・温度を設定する場合は、例えば140[℃]程度)になるように、混合器82での高温水の噴霧量を調整するとエネルギー効率が良くなる。
【0057】
なお、蒸気中に高温水を更に均一に混合したい場合には、混合器82を熱媒体流通方向の上流側寄りに配置して混合距離を充分とることにより解決することができる。さらに、混合器の設置数は図2に示したように1つのみに限られず、少なくとも1つであれば足りる。即ち、配管60Aに複数設置して高温水の噴霧量を適宜調整しても勿論良い。
【0058】
また、上記説明においては、蒸気中に高温水を噴霧するものとして混合器82を挙げて説明したが、上記のような混合器を用いることなく、配管60Aに高温水を直接噴霧する例えば噴射口等を設けることによって蒸気と高温水を混合しても良い。また更に、上記説明においては、噴霧する熱媒体として高温水を例に挙げて説明したが、配管60A内を流通する蒸気の温度よりも相対的に低温の熱媒体であれば、上記と同様の効果を得ることができる。
【0059】
次に本発明の第3の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0060】
図3は本発明の第3の実施形態に係るエネルギー供給システムの全体構成を表すシステムフロー図である。図中、既出の図と同じ部分には同じ符号を付し説明は省略する。
【0061】
図3に示すように、本実施の形態が第1の実施の形態と相違する点は、圧縮機第一段53aの出口と熱交換器45の入口を接続する配管60Bに分岐部90を設けて、分岐部90から分流した蒸気を蒸気注入部92から配管91を介して燃料Bに直接注入することによって、燃料Bを更に加熱できるようにした点である。なお、その他については、前述した第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
ヒートポンプ50Bは、第1の実施の形態のヒートポンプ50の構成に加えて、更に、圧縮機第一段53aの出口と圧縮機第二段53bの入口を接続する配管60Bに設けられ、この配管60B中を流通する熱媒体(蒸気)を分流する分岐部90と、この分岐部90から熱媒体の一部が流通する配管91と、燃料配管15Bに設けられ、配管91から供給される熱媒体を燃料配管15B中に直接注入して燃料Bを加熱する蒸気注入部92とを備えている。
【0063】
分岐部90は、圧縮機第一段53aの出口と熱交換器45の入口の間に設けられ、配管91に接続している。配管91は分岐部90と蒸気注入部92とを連絡している。蒸気注入部92は、燃料配管15B内であって、熱交換器45の出口と燃焼器12の入口の間に設けられており、蒸気を直接燃料B内に注入して燃料配管15Bを流通する燃料Bの温度を増加させている。
【0064】
本実施の形態において、圧縮機第一段53aによって加圧された熱媒体(蒸気)は配管60B内を流通して分岐部90へ導かれる。この蒸気は、分岐部90より配管91を介して蒸気注入部92へ導かれた後に、この蒸気注入部92を介して燃料配管15B内を流通する燃料B中へ直接噴出される。これにより熱交換器45によって加熱された燃料Bは蒸気注入部92を介して噴出される蒸気と混合されて更に加熱される。
【0065】
このように、燃料配管15B内であって、熱交換器45の出口と燃焼器12の入口の間において、熱交換器45内を流通した燃料B中に蒸気を直接噴出する蒸気注入部92を設けることによって、蒸気と燃料Bが混合して熱交換器45で加熱した後の燃料Bを更に加熱することができる。これにより燃焼器12への入熱量を更に増やすことができる。従って、第1の実施の形態で加熱したのと同量の燃料を用いた場合と比較して、更に燃焼器12への入熱量を増やすことができるので、同じ燃焼条件を達成するために投入する燃料の量を更に削減することが可能となる。これによりエネルギー効率を更に向上させることができる。
【0066】
また、燃料Bに蒸気が加わることで、燃焼器12中で燃料Bを燃焼させた時に発生する燃焼ガス中に蒸気の粒が入り込み、これらの蒸気の粒の顕熱が火炎中に発生する局所的に高い熱を奪う。これにより燃焼ガスの局所温度ムラ、特に高温側の温度ムラを抑えることができ、NOxの発生を抑えることができる。一般に燃料加熱をすればNOxは増加する傾向にあるが、本実施の形態を適用することでNOx発生が抑制可能であるので、熱交換器45や蒸気等が燃料に与える熱量を更に増加することができる。また、燃料加熱量や蒸気混合量等の条件を適正化することにより、ガスタービン10から排出される排出ガス中のNOx濃度を下げることができる(例えば10[ppm]以下)。これにより排熱回収ボイラ等に設けられた脱硝装置を省略することも可能となり、環境負荷も削減することができる。
【0067】
なお、以上の各実施の形態では、熱利用施設に供給する熱媒体として水を用いる場合を説明してきたが、エネルギー供給システムが閉じた系を構成して外部に利用熱媒体の流出する恐れがない場合には、例えば二酸化炭素やアンモニア、トリフルオロエタノール等といった他の媒体を熱媒体に使用してもよい。また、こうした他の媒体を単独で熱媒体として用いても良いが、場合によっては複数種類を混合しても良いし、水と混合して使用しても勿論良い。また、本実施の形態の蒸気注入部92も、第2の実施の形態の混合器82と同様、蒸気と燃料Bの混合状態を更に均一にしたければ、燃料流通方向の上流側寄りに設置して混合距離を充分とればよく、また、設置数が図3のように1つに限られないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るエネルギー供給システムの全体構成を表すシステムフロー図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るエネルギー供給システムの全体構成を表すシステムフロー図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係るエネルギー供給システムの全体構成を表すシステムフロー図である。
【符号の説明】
【0069】
1 熱利用施設
10 ガスタービン
12 燃焼器
13 タービン
15 燃料配管
30 排熱回収ボイラ
35 循環ポンプ
45 熱交換器
50 ヒートポンプ
51 蒸気タービン
52 二相流膨張タービン
53 多段圧縮機
53a 圧縮機第一段
53b 圧縮機第二段
54 熱交換器
60 配管
70 蒸気供給系統
82 混合器
92 蒸気注入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼させて燃焼ガスを生じさせる燃焼器と、
この燃焼器からの燃焼ガスにより回転動力を得るガスタービンと、
このガスタービンの排出ガスによって熱媒体を加熱する排熱回収ボイラと、
この排熱回収ボイラによって加熱された熱媒体を廃熱又は周囲環境から得られる熱により加熱する第1熱交換器と、
この第1熱交換器によって加熱された熱媒体を圧縮する複数の圧縮手段と、
前記排熱回収ボイラによって加熱された熱媒体の一部から得た膨張仕事を回転動力にかえて前記複数の圧縮手段を駆動する蒸気タービンと、
前記複数の圧縮手段の間を連絡する熱媒体流路を流通する熱媒体により前記燃焼器に供給される燃料を加熱する第2熱交換器と、
前記蒸気タービンを駆動した熱媒体及び前記複数の圧縮手段で圧縮した熱媒体を気体の状態で熱利用施設に熱源として供給する蒸気供給系統とを備えることを特徴とするエネルギー供給システム。
【請求項2】
燃料を燃焼させて燃焼ガスを生じさせる燃焼器と、
この燃焼器からの燃焼ガスにより回転動力を得るガスタービンと、
このガスタービンの排出ガスによって熱媒体を加熱する排熱回収ボイラと、
この排熱回収ボイラによって加熱された熱媒体を廃熱又は周囲環境から得られる熱により加熱する第1熱交換器と、
この第1熱交換器によって加熱された熱媒体を圧縮する複数の圧縮手段と、
前記排熱回収ボイラによって加熱された熱媒体の一部から得た膨張仕事を回転動力にかえて前記複数の圧縮手段を駆動する蒸気タービンと、
前記複数の圧縮手段の間を連絡する熱媒体流路を流通する熱媒体により前記燃焼器に供給される燃料を加熱する第2熱交換器と、
前記蒸気タービンを駆動した熱媒体及び前記複数の圧縮手段で圧縮した熱媒体を気体の状態で熱利用施設に熱源として供給する蒸気供給系統と、
前記熱利用施設で熱利用されて凝縮された熱媒体を前記排熱回収ボイラに循環させる循環ポンプとを備えることを特徴とするエネルギー供給システム。
【請求項3】
請求項1または2記載のエネルギー供給システムにおいて、
更に、前記熱媒体流路の少なくとも1カ所に、前記排熱回収ボイラで加熱した熱媒体を直接噴霧して前記熱媒体流路を流通する熱媒体の温度を減温する熱媒体噴霧部を備えることを特徴とするエネルギー供給システム。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか記載のエネルギー供給システムにおいて、
更に、前記燃焼器の燃料流通方向上流側に設けられ、前記複数の圧縮手段を流通する圧縮途中の熱媒体を燃料中に直接注入して燃料を加熱する熱媒体注入部を備えることを特徴とするエネルギー供給システム。
【請求項5】
請求項4記載のエネルギー供給システムにおいて、
前記熱媒体注入部は前記燃焼器の燃料流通方向上流側かつ前記第2熱交換器の燃料流通方向下流側に設けられていることを特徴とするエネルギー供給システム。
【請求項6】
燃焼器で燃料を燃焼させて得た燃焼ガスによりガスタービンを駆動し、
このガスタービンの排出ガスによって排熱回収ボイラで熱媒体を加熱し、
この排熱回収ボイラによって加熱された熱媒体を廃熱又は周囲環境から得られる熱により第1熱交換器で加熱し、
この第1熱交換器によって加熱された熱媒体を複数の圧縮手段で圧縮し、
前記排熱回収ボイラによって加熱された熱媒体の一部から得た膨張仕事を回転動力にかえて前記複数の圧縮手段を駆動する蒸気タービンを駆動し、
前記複数の圧縮手段の間を連絡する熱媒体流路を流通する熱媒体により前記燃焼器に供給される燃料を第2熱交換器で加熱し、
前記蒸気タービンを駆動した熱媒体及び前記複数の圧縮手段で圧縮した熱媒体を気体の状態で熱利用施設に熱源として供給することを特徴とするエネルギー供給方法。
【請求項7】
燃焼器で燃料を燃焼させて得た燃焼ガスにより回転動力を得る既設のガスタービンに、
このガスタービンの排出ガスによって熱媒体を加熱する排熱回収ボイラと、
この排熱回収ボイラによって加熱された熱媒体を廃熱又は周囲環境から得られる熱により加熱する第1熱交換器と、
この第1熱交換器によって加熱された熱媒体を圧縮する複数の圧縮手段と、
前記排熱回収ボイラによって加熱された熱媒体の一部から得た膨張仕事を回転動力にかえて前記複数の圧縮手段を駆動する蒸気タービンと、
前記複数の圧縮手段の間を連絡する熱媒体流路を流通する熱媒体により前記燃焼器に供給される燃料を加熱する第2熱交換器と、
前記蒸気タービンを駆動した熱媒体及び前記複数の圧縮手段で圧縮した熱媒体を気体の状態で熱利用施設に熱源として供給する蒸気供給系統とを追設することを特徴とするエネルギー供給システムの改造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−198200(P2007−198200A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16220(P2006−16220)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】