説明

ガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置

【課題】 十分な圧力制御機能とアンチサージ制御機能を果たすこともできるガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置を提供する。
【解決手段】 例えば、抽気空気昇圧設備の制御装置の第2の制御部42では、インレットガイドベーン12が全閉又は所定開度以下の低開度となったときには圧力偏差ΔPに基づき、昇圧機出口圧力検出値P2が圧力設定値Psetに等しくなるようにアンチサージ弁13の開度を制御する圧力制御を、アンチサージ制御に代えて又はアンチサージ制御とともに行う構成とする。また、第2の制御部では、圧力比P2/P1が圧力比設定値P2/P1setよりも大きいときにはインレットガイドベーン12が全閉であっても、アンチサージ制御を行うことなども有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置に関し、具体的には抽気空気昇圧設備のインレットガイドベーンとアンチサージ弁の開度制御(圧力制御及びアンチサージ制御)に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス化複合発電プラントは、現在、商用化を目指して開発中の新型発電プラントである。このガス化複合発電プラントの特徴としては、その主要な構成機器であるガス化設備とガスタービン設備とでガスと空気とを相互に供給し合うことが挙げられる。
【0003】
このため、ガス化複合発電プラントにはガスタービン設備の圧縮機から抽気した空気(圧縮空気)を更に抽気空気圧縮機で昇圧してガス化設備のガス化炉に送るための抽気空気昇圧設備が設けられる。
【0004】
抽気空気昇圧設備は、ガスタービン設備のガスタービンで駆動される圧縮機から抽気した抽気空気を昇圧してガス化炉へ供給するための抽気空気昇圧機と、前記抽気空気昇圧機の入口側に設けられたインレットガイドベーンと、前記抽気空気昇圧機の出口側から前記抽気空気昇圧機の入口側へ抽気空気を戻すアンチサージ弁(再循環弁)とを有してなるものである。
【0005】
そして、ガス化炉へ供給する抽気空気の圧力を所定圧力とし、且つ、抽気空気圧縮機のサージ保護を行うために抽気空気昇圧設備の制御装置では、抽気空気昇圧機の出口圧力検出値と圧力設定値と圧力偏差に基づき、前記出口圧力検出値が前記圧力設定値に等しくなるようにインレットガイドベーンの開度を制御する圧力制御と、抽気空気昇圧機の出口圧力検出値と抽気空気圧縮機の入口圧力検出値との圧力比と圧力比設定値との圧力比偏差に基づき、前記圧力比が前記圧力比設定値に等しくなるようにアンチサージ弁の開度を制御するアンチサージ(サージ防止)制御とを行う。
【0006】
抽気空気圧縮機はガスタービン設備の圧縮機から抽気した空気をガス化炉への供給に適した所定の圧力に昇圧するための機器であるが、ガス化炉は一定の圧力で運転されることから、抽気空気昇圧設備の制御装置では上記のようにインレットガイドベーンの開度を制御して抽気空気圧縮機の出口圧力が設定圧力となるように圧力制御を行う。また、ガス化炉は一定の圧力で運転されることから、低負荷になるにつれて抽気空気圧縮機の圧力比が高くなりサージ領域に近づくため、抽気空気圧縮機にとって厳しい運転状態となる。このため、抽気空気昇圧設備の制御装置では上記のようにアンチサージ弁の開度を制御して抽気空気圧縮機の圧力比が設定圧力比となるようにアンチサージ制御を行う。
【0007】
なお、このようなガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御方法などについて開示された先行技術文献としては、例えば下記の特許文献1,2がある。
【0008】
【特許文献1】特開平5−248260号公報
【特許文献2】特開平9−96227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、現在はまだガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御が十分に確立されていない。
【0010】
詳述すると、従来の天然ガスをガスコンプレッサで昇圧してガスタービンへ供給する設備などではガスコンプレッサの容量に余裕があるため、再循環弁の制御が主流でインレットガイドベーンは再循環弁が全閉となる高負荷時にのみ動作させていたが、ガス化複合発電プラントの抽気空気昇圧設備では設備容量が小さくて運転余裕がない。このため、インレットガイドベーンを積極的に動作させて制御範囲の拡大を図る必要がある。
【0011】
そこで、上記のように圧力制御機能にインレットガイドベーンを用い、アンチサージ制御機能にアンチサージ弁(再循環弁)を用いるという役割分担としていたが、インレットガイドベーンだけでは十分な圧力制御機能を果たすことができないなどの問題があった。
【0012】
従って本発明は上記の事情に鑑み、十分な圧力制御機能を果たすことができ、更には十分なアンチサージ制御機能も果たすこともできる(即ち抽気空気昇圧機のサージ保護機能と圧力制御機能をプラントの運用全域で成立させることができる)ガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する第1発明のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置は、ガスタービンで駆動される圧縮機から抽気した抽気空気を昇圧してガス化炉へ供給する抽気空気昇圧機と、前記抽気空気昇圧機の入口側に設けられたインレットガイドベーンと、前記抽気空気昇圧機の出口側から前記抽気空気昇圧機の入口側へ抽気空気を戻すアンチサージ弁とを有してなるガス化複合発電プラントの抽気空気昇圧設備における制御装置であって、
第1の圧力検出器による前記抽気空気昇圧機の出口圧力検出値と、圧力設定値との圧力偏差に基づき、前記出口圧力検出値が前記圧力設定値に等しくなるように前記インレットガイドベーンの開度を制御する圧力制御を行う第1の制御部と、
前記第1の圧力検出器による前記抽気空気昇圧機の出口圧力検出値と第2の圧力検出器による前記抽気空気圧縮機の入口圧力検出値との圧力比と、圧力比設定値との圧力比偏差に基づき、前記圧力比が前記圧力比設定値に等しくなるように前記アンチサージ弁の開度を制御するアンチサージ制御を行う第2の制御部とを有し、
前記第2の制御部では、前記インレットガイドベーンが全閉又は所定開度以下の低開度となったときには前記圧力偏差に基づき、前記出口圧力検出値が前記圧力設定値に等しくなるように前記アンチサージ弁の開度を制御する圧力制御を、前記アンチサージ制御に代えて又は前記アンチサージ制御とともに行うことを特徴とする。
【0014】
また、第2発明のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置は、第1発明のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置において、
前記第2の制御部では、前記圧力比偏差に基づく前記アンチサージ制御と前記圧力偏差に基づく前記圧力制御と行うときには前記アンチサージ制御と前記圧力制御の比率を、前記インレットガイドベーンの開度に基づいて調節することを特徴とする。
【0015】
また、第3発明のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置は、第1又は第2発明のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置において、前記第2の制御部では、前記圧力比が前記圧力比設定値よりも大きいときには前記インレットガイドベーンが全閉であっても、前記アンチサージ制御を行うことを特徴する。
【0016】
また、第4発明のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置は、第1,第2又は第3発明のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置おいて、
前記第1の制御部では、負荷指令を入力として設定する前記圧力設定値にプラントの応答遅れを考慮した遅れ時間を組み込むことを特徴とする。
【0017】
また、第5発明のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置は、第1,第2,第3又は第4発明のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置において、
前記第1の制御部では、前記アンチサージ弁の開度が第1の所定開度よりも大きく、且つ、前記インレットガイドベーンの開度が全閉又は前記所定開度以下の第2の所定開度よりも小さいときには前記アンチサージ弁で圧力制御を行っていると判断して、前記圧力偏差に基づく前記インレットガイドベーンの開度制御を行わないことを特徴とする。
【0018】
また、第6発明のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置は、第1,第2,第3,第4又は第5発明のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置において、
前記第2の制御部では、前記圧力比偏差が所定値以上のとき、前記抽気空気昇圧設備に設けた放風弁を開放することにより、前記抽気空気圧縮機で圧縮した抽気空気を大気中に放出させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
第1発明のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置によれば、前記第2の制御部では、前記インレットガイドベーンが全閉又は所定開度以下の低開度となったときには前記圧力偏差に基づき、前記出口圧力検出値が前記圧力設定値に等しくなるように前記アンチサージ弁の開度を制御する圧力制御を、前記アンチサージ制御に代えて又は前記アンチサージ制御とともに行うことを特徴とするため、インレットガイドベーンだけでなくアンチサージ弁でも圧力制御をバックアップすることができ、インレットガイドベーンとアンチサージ弁とによって十分な圧力制御機能を果たすことができる。
【0020】
第2発明のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置によれば、前記第2の制御部では、前記圧力比偏差に基づく前記アンチサージ制御と前記圧力偏差に基づく前記圧力制御とを行うときには前記アンチサージ制御と前記圧力制御の比率を、前記インレットガイドベーンの開度に基づいて調節することを特徴とするため、圧力偏差と圧力比偏差に基づくアンチサージ弁の開度制御を、より適切に行うことができる。
【0021】
第3発明のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置によれば、前記第2の制御部では、前記圧力比が前記圧力比設定値よりも大きいときには前記インレットガイドベーンが全閉であっても、前記アンチサージ制御を行うことを特徴するため、インレットガイドベーンが全閉の場合には基本的にはアンチサージ弁によって圧力制御を行うが、サージ領域に突入する危険がある場合には圧力制御に加え、アンチサージ弁によるアンチサージ制御も行ってサージ領域への突入をより確実に防止して抽気空気昇圧機を保護することができる。
【0022】
第4発明のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置によれば、前記第1の制御部では、負荷指令を入力として設定する前記圧力設定値にプラントの応答遅れを考慮した遅れ時間を組み込むことを特徴とするため、無理な操作端(インレットガイドベーン、アンチサージ弁)の動きがなくなり、プラントの動的な挙動が安定するという効果が得られる。
【0023】
第5発明のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置によれば、前記第1の制御部では、前記アンチサージ弁の開度が第1の所定開度よりも大きく、且つ、前記インレットガイドベーンの開度が全閉又は前記所定開度以下の第2の所定開度よりも小さいときには前記アンチサージ弁で圧力制御を行っていると判断して、前記圧力偏差に基づく前記インレットガイドベーンの開度制御を行わないことを特徴とするため、アンチサージ弁とインレットガイドベーンとが同時に動作するのを防止して、相互干渉をなくすことができる。
【0024】
第6発明のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置によれば、前記第2の制御部では、前記圧力比偏差が所定値以上のとき、前記抽気空気昇圧設備に設けた放風弁を開放することにより、前記抽気空気圧縮機で圧縮した抽気空気を大気中に放出させることを特徴とするため、放風弁によるアンチサージ制御機能のバックアップが可能であり、抽気空気昇圧機のサージ保護機能を強化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づき、詳細に説明する。
【0026】
<実施の形態例1>
図1はガス化複合発電プラントの要部構成図、図2は本発明の実施の形態例1に係る前記ガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置の構成を示すブロック図である。
【0027】
図1に示すように、ガス化複合発電プラントはガスタービン設備1とガス化設備2と抽気空気昇圧設備3とを有している。ガスタービン設備1はガスタービン(GT)4と、ガスタービン4によって回転駆動される圧縮機5と、燃焼器6とを有している。圧縮機5ではインレットガイドベーン6を介して導入した大気を昇圧して燃焼器6へ供給する。燃焼器6では圧縮機5から供給される圧縮空気と燃料とを混合して燃焼させることにより、高温、高圧の燃焼ガスを生成する。ガスタービン4は燃焼器6から供給される高温、高圧の燃焼ガスによって回転駆動される。前記燃料としては、起動時には図示しない軽油供給装置から供給される軽油を用い、起動後の運転時にはガス化設備2で生成された燃料ガス(シンガス)を用いる。
【0028】
ガスタービン4から排出された排ガス(燃焼ガス)は図示しない排熱回収ボイラ(HRSG)へと送られ、ここで排ガスと水との熱交換によって蒸気が生成される。ガスタービン4の回転軸には高圧、中圧及び低圧の各蒸気タービン7A,7B,7Cの回転軸と、発電機8の回転軸とが接続されている。蒸気タービン7A,7B,7Cは排熱回収ボイラで生成された蒸気によって回転駆動され、発電機8はガスタービン4及び蒸気タービン7A,7B,7Cにより回転駆動されて発電する。なお、ガスタービンと蒸気タービンを別々の軸で発電するシステム構成も可能である。
【0029】
抽気空気昇圧設備3は抽気空気昇圧機11、インレットガイドベーン(IGV)12、アンチサージ弁(再循環弁)13、抽気空気熱交換器14,15,16、抽気空気熱交換器16をバイパスするバイパス弁17、ガスタービン抽気弁18、放風弁20、これらの機器をつなぐ配管19などを有するとともに詳細は後述するが、インレットガイドベーン12及びアンチサージ弁13の開度を制御して圧力制御及びアンチサージ制御を行うための制御装置も備えている。
【0030】
抽気空気昇圧設備3では、ガスタービン設備1の圧縮機5からガスタービン抽気弁18を介して抽気した抽気空気(圧縮空気)を、各抽気空気熱交換器14,15,16で昇圧後の抽気空気、復水及び軸冷水とそれぞれ順に熱交換して冷却した後、抽気空気昇圧機11で昇圧する。そして、この抽気空気昇圧機11で昇圧した抽気空気を、抽気空気熱交換器14で前述のように昇圧前の抽気空気と熱交換して加熱した後にガス化設備12の空気吹きガス化炉21へと供給する。放風弁20は抽気空気熱交換器14からガス化炉21へと通じる配管19の途中に接続されており、開放して抽気空気を大気中に放出することができる。
【0031】
インレットガイドベーン12は抽気空気昇圧機11の入口側に設けられており、その開度を調節することによって抽気空気昇圧機11に流入する抽気空気の量を調整する。なお、インレットガイドベーン12は、全閉(最小開度)となっても開度が0%にはならず、ある程度の開度(例えば30%、50%など)を有している。アンチサージ弁13は、その入口側と出口側とが、抽気空気昇圧機11の出口側と入口側とにそれぞれ接続されており、抽気空気昇圧機11の出口側から抽気空気昇圧機11の入口側へ抽気空気を戻す(抽気空気を再循環させる)。アンチサージ弁13の出口側は抽気空気熱交換器14と抽気空気熱交換器15の間の配管19に接続されている。なお、アンチサージ弁13の開度は0%〜100%まで変化する。
【0032】
また、抽気空気昇圧機11の入口側と出口側には、第2の圧力検出器31と第1の圧力検出器32とがそれぞれ設けられている。第2の圧力検出器31では、抽気空気昇圧機11に流入する抽気空気の圧力である昇圧機入口圧力を検出し(昇圧機入口圧力検出値P1)、第1の圧力検出器32では、抽気空気昇圧機11から吐出された(抽気空気昇圧機11で昇圧された)抽気空気の圧力である昇圧機出口圧力を検出する(昇圧機出口圧力検出値P2)。そして、第2の圧力検出器31の昇圧機入口圧力検出値P1と第1の圧力検出器32の昇圧機出口圧力検出値P2は、抽気空気昇圧設備3の制御装置に入力される(図2参照)。
【0033】
ガス化設備2では、ガス化炉21において抽気空気昇圧設備3(抽気空気昇圧機11)から供給された抽気空気と、図示しない微粉炭供給設備から供給された微粉炭とを混合して図示しない微粉炭バーナで燃焼させることにより燃焼ガス(シンガス)を生成し、これを燃料としてガスタービン設備1の燃焼器6へ供給する。
【0034】
ここで、図2に基づき、抽気空気昇圧設備3の制御装置の構成について説明する。図2に示すように、抽気空気昇圧設備3の制御装置は第1の制御部41と第1の制御部42とを有している。
【0035】
第1の制御部41では、まず、偏差演算部43で抽気空気昇圧機11の昇圧機出口圧力検出値P2と、圧力設定値Psetとの差である圧力偏差ΔPを求める。圧力設定値Psetは負荷指令(ガスタービン負荷指令又はガス化炉負荷指令)の関数として定まるものであり、関数演算部44において前記負荷指令に基づき前記関数の演算を行うことによって設定される。
【0036】
続いて、第1の制御部41のPI(比例積分)コントローラなどである制御器45では、圧力偏差ΔPに基づき、昇圧機出口圧力検出値P2が圧力設定値Psetに等しくなるようにインレットガイドベーン12の開度を制御するためのインレットガイドベーン開度指令をインレットガイドベーン12bに出力する。即ち、圧力制御を行う。なお、昇圧機出口圧力を上げるときにはインレットガイドベーン12の開度を大きくし、昇圧機出口圧力を下げるときにはインレットガイドベーン12の開度を小さくする必要があるため、偏差演算部43では圧力設定値Psetを正(+)、昇圧機出口圧力検出値P2を負(−)として圧力偏差ΔPを演算している。
【0037】
第2の制御部42では、まず、圧力比演算部(割算部)46で昇圧機出口圧力検出値P2を昇圧機入口圧力検出値P1で割ることにより圧力比P2/P1を求めた後、偏差演算部47で圧力比P2/P1と、圧力比設定値P2/P1setとの差である圧力比偏差ΔP2/P1を求める。圧力比設定値P2/P1setはインレットガイドベーン12の開度の関数として定まるものであり、関数演算部48においてインレットガイドベーン12の開度に基づき前記関数の演算を行うことによって設定される。なお、インレットガイドベーン12の開度としては、第1の制御部41の制御器45から出力されるインレットガイドベーン開度指令や、インレットガイドベーン12の開度を検出する開度検出器の検出値などを用いることができる。
【0038】
続いて、第2の制御部42のPI(比例積分)コントローラなどである制御器49では、圧力比偏差ΔP2/P1に基づき(実際には加算部53の出力値に基づく:詳細後述)、圧力比P2/P1が圧力比設定値P2/P1setに等しくなるようにアンチサージ弁13の開度を制御するためのアンチサージ弁開度指令をアンチサージ弁13に出力する。即ち、アンチサージ制御を行う。なお、圧力比(昇圧機出口圧力)を上げるときにはアンチサージ弁13の開度を小さくし、圧力比(昇圧機出口圧力)を下げるときにはアンチサージ弁13の開度を大きくする必要があるため、偏差演算部47では圧力比設定値P2/P1setを負(−)、圧力比P2/P1を正(+)として圧力比偏差ΔP2/P1を演算している。
【0039】
そして、第2の制御部42には、更にアンチサージ弁13による圧力制御のバックアップを可能とするために関数演算部50、ゲイン部51、掛算部52、加算部53、偏差演算部54及び掛算部55を備えている。
【0040】
関数演算部50では、インレットガイドベーン12の開度を入力し、このインレットガイドベーン開度に応じて0〜1までの何れかの値を出力する。即ち、関数演算部50では、インレットガイドベーン開度が所定開度ε1以上のときには0を出力する一方、インレットガイドベーン開度が所定開度ε1以下の低開度となった場合には、インレットガイドベーン開度が所定開度ε1から所定開度ε2までの間はそれぞれの開度に応じた0〜1まで何れか値を出力し、インレットガイドベーン開度が所定開度ε2から全閉までの間は1を出力する。
【0041】
ゲイン部51では、関数演算部50から出力される値に所定の負のゲインKを掛けた値を出力する。掛算部52では、ゲイン部51からの負の出力値と、第1の制御部41の偏差演算部43から出力された圧力偏差ΔPとを掛算した値を出力する。ゲイン部51のゲインKは、圧力偏差ΔPを圧力比偏差ΔP2/P1と同じ信号レベル(変動幅)とするように設定された値である。また、前記ゲインKを負とするのは前述のように昇圧機出口圧力を上げるときにはアンチサージ弁13の開度を小さくし、昇圧機出口圧力を下げるときにはアンチサージ弁13の開度を大きくする必要があることから、圧力偏差ΔPの正負の符号を反転させるためである。
【0042】
一方、偏差演算部54では、関数演算部50からの出力値を定数1.0から差し引いた値を出力する。掛算部55では、偏差演算部54からの出力値と、偏差演算部47から出力される圧力比偏差ΔP2/P1とを掛算した値を出力する。そして、加算部53では、掛算部55からの出力値と、掛算部52からの出力値とを加算して出力する。制御器49では、前述のように加算部53の出力値に基づき、圧力比P2/P1が圧力比設定値P2/P1setに等しくなるようにアンチサージ弁13の開度を制御するためのアンチサージ弁開度指令をアンチサージ弁13に出力するアンチサージ制御や、昇圧機出口圧力検出値P2が圧力設定値Psetに等しくなるようにアンチサージ弁13の開度を制御するためのアンチサージ弁開度指令をアンチサージ弁13に出力する圧力制御を行う。
【0043】
つまり、関数演算部50から出力される値が0のときには、掛算部52からの出力値は0になる一方、掛算部55からは圧力比偏差ΔP2/P1の値がそのまま出力されることになるため、加算部53からも圧力比偏差ΔP2/P1の値がそのまま出力されることになる。従って、制御器49では、圧力比偏差ΔP2/P1に基づき、圧力比P2/P1が圧力比設定値P2/P1setに等しくなるようにアンチサージ弁13の開度を制御するアンチサージ制御を行う。
【0044】
そして、関数演算部50から出力される値が0よりも大きくて1よりも小さい値のときには、当該値と前記ゲインKとを圧力偏差ΔPに掛けた値が掛算部52から出力され、掛算部55からは当該値を定数1.0から差し引いた値を圧力比偏差ΔP2/P1に掛けた値が出力されることになるため、加算部53からは掛算部52からの出力値と掛算部55からの出力値とを足した値が出力されることになる。従って、制御器49では、圧力比偏差ΔP2/P1に基づいて圧力比P2/P1が圧力比設定値P2/P1setに等しくなるようにアンチサージ弁13の開度を制御するアンチサージ制御と、圧力偏差ΔPに基づいて昇圧機出口圧力検出値P2が圧力設定値Psetに等しくなるようにアンチサージ弁13の開度を制御する圧力制御とを行うことになり、且つ、これらのアンチサージ制御と圧力制御の比率(重み付け)がインレットガイドベーン開度に基づいて調節される。
【0045】
また、関数演算部50から出力される値が1のときには、掛算部55からの出力値は0になる一方、掛算部52からは前記ゲインKによって信号レベルの調整のみが行われた圧力偏差ΔPの値がそのまま出力されることになるため、加算部53からも当該圧力偏差ΔPの値がそのまま出力されることになる。従って、制御器49では、当該圧力偏差Δに基づき、昇圧機出口圧力検出値P2が圧力設定値Psetに等しくなるようにアンチサージ弁13の開度を制御する圧力制御を行う。
【0046】
以上のように、本実施の形態例1のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置によれば、第2の制御部42では、インレットガイドベーン12が全閉又は所定開度以下の低開度となったときには圧力偏差ΔPに基づき、昇圧機出口圧力検出値P2が圧力設定値Psetに等しくなるようにアンチサージ弁13の開度を制御する圧力制御を、アンチサージ制御に代えて又はアンチサージ制御とともに行うため、インレットガイドベーン12だけでなくアンチサージ弁13でも圧力制御をバックアップすることができ、インレットガイドベーン12とアンチサージ弁13とによって十分な圧力制御機能を果たすことができる。
【0047】
また、第2の制御部42では、圧力比偏差ΔP2/P1に基づくアンチサージ制御と圧力偏差ΔPに基づく圧力制御とを行うときにはアンチサージ制御と圧力制御の比率を、インレットガイドベーン12の開度に基づいて調節するため、圧力偏差と圧力比偏差に基づくアンチサージ弁13の開度制御を、より適切に行うことができる。
【0048】
<実施の形態例2>
図3は本発明の実施の形態例2に係るガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置の構成を示すブロック図である。なお、プラントの構成については上記実施の形態例1(図1)と同様であるため、図1を参照する。また、図3中、上記実施の形態例1(図2)と同様の部分には同一の符号を付し、重複する詳細な説明は省略する。
【0049】
図3に示すように、本実施の形態例2のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置では、第2の制御部42に関数演算部61と高値選択部62とを備えている。
【0050】
関数演算部61では、インレットガイドベーン12の開度を入力し、このインレットガイドベーン開度に応じて−0.5〜0までの何れかの値を出力する。即ち、インレットガイドベーン開度が所定開度ε3以上のときには−0.5(もっと絶対値の大きな負の値であってもよい)を出力する一方、インレットガイドベーン開度が所定開度ε3以下の低開度となった場合には、インレットガイドベーン開度が所定開度ε3から所定開度ε4までの間はそれぞれの開度に応じた−0.5〜0まで何れか値を出力し、インレットガイドベーン開度が所定開度ε4から全閉までの間は0を出力する。
【0051】
高値選択部62では、偏差演算部47から出力される圧力比偏差ΔP2/P1と、関数演算部61からの出力値の何れか高い値を選択して出力する。加算部53では、高値選択部62からの出力値と、掛算部52からの出力値とを加算して出力する。
【0052】
具体的には、圧力比P2/P1が圧力比設定値P2/P1setよりも大きいときには、インレットガイドベーン12が全閉であっても、高値選択部62では圧力比偏差ΔP2/P1を選択して出力する。従って、このときの制御器49では、インレットガイドベーン12が全閉となったためにアンチサージ弁13による圧力制御を行っていた場合でも、圧力比偏差ΔP2/P1に基づき、圧力比P2/P12が圧力比設定値P2/P1setに等しくなるようにアンチサージ弁13の開度を制御するアンチサージ制御を行う。
【0053】
一方、圧力比P2/P1が圧力比設定値P2/P1setよりも小さく、且つ、インレットガイドベーン開度が所定開度ε4から全閉までの間のときには、高値選択部62で0が選択されて出力されることになる。従って、このときの制御器49では、圧力偏差ΔP(掛算部52の出力値)に基づき、昇圧機出口圧力検出値P2が圧力設定値Psetに等しくなるようにアンチサージ弁13の開度を制御する圧力制御を行う。
【0054】
また、インレットガイドベーン開度が所定開度ε3から所定開度ε4までの間ではインレットガイドベーン開度に応じた−0.5〜0までの値が関数演算部61から出力されるため、圧力比P2/P1が圧力比設定値P2/P1setよりも小さいときには、高値選択部62では関数演算部48からの出力値と偏差演算部47からの出力値の何れか絶対値の小さな方の値を選択して出力する。
【0055】
なお、図3の制御装置では図2の制御装置に設けられている偏差演算部54及び掛算部55が設けられていないが、これらを図3の制御装置にも設けるようにしてもよい。
【0056】
以上のように、本実施の形態例2のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置によれば、第2の制御部42では、圧力比P2/P1が圧力比設定値P2/P1setよりも大きいときにはインレットガイドベーン12が全閉であっても、アンチサージ制御を行うため、インレットガイドベーン12が全閉の場合には基本的にはアンチサージ弁13によって圧力制御を行うが、サージ領域に突入する危険がある場合には圧力制御に加え、アンチサージ弁13によるアンチサージ制御も行ってサージ領域への突入をより確実に防止して抽気空気昇圧機11を確実に保護することができる。
【0057】
<実施に形態例3>
図4は本発明の実施の形態例3に係るガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置の構成を示すブロック図である。なお、プラントの構成については上記実施の形態例1(図1)と同様であるため、図1を参照する。また、図4中、上記実施の形態例1,2(図2,図3)と同様の部分には同一の符号を付し、重複する詳細な説明は省略する。
【0058】
図4に示すように、本実施の形態例3のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置では、第1の制御部41に一次遅れ要素部71を備えている。
【0059】
従って、関数演算部44の出力が直に圧力設定値Psetとなるのではなく、関数演算部44の出力に対し一次遅れ要素部71で一次遅れ処理が行われた後の出力値が圧力設定値Psetとなる。一次遅れ要素部71はプラントの応答遅れを加味し、負荷指令を入力として設定される圧力設定値Psetにプラントの応答遅れを考慮した遅れ時間を入れ込むために設けたものである。
【0060】
以上のように、本実施の形態例3のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置によれば、第1の制御部41では、負荷指令を入力として設定する圧力設定値Psetにプラントの応答遅れを考慮した遅れ時間を組み込むため、無理な操作端(インレットガイドベーン12、アンチサージ弁13)の動きがなくなり、プラントの動的な挙動が安定するという効果が得られる。
【0061】
<実施の形態例4>
図5は本発明の実施の形態例4に係るガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置の構成を示すブロック図である。なお、プラントの構成については上記実施の形態例1(図1)と同様であるため、図1を参照する。また、図5中、上記実施の形態例1,2,3(図2,図3,図4)と同様の部分には同一の符号を付し、重複する詳細な説明は省略する。
【0062】
図5に示すように、本実施の形態例4のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置では、第1の制御部41に選択スイッチ81を備えている。
【0063】
選択スイッチ81では、アンチサージ弁13の開度が所定開度ε5よりも大きく、且つ、インレットガイドベーン13の開度が所定開度ε1よりも小さいときにはアンチサージ弁13によって圧力制御が行われていると判断し、定数0.0を選択して制御器45へ出力し、それ以外のときには偏差演算部43の出力値(圧力偏差ΔP)を選択して制御器45へ出力する。所定開度ε5は例えば5%とする。なお、インレットガイドベーン開度と比較する所定開度はε1に限らず、ε1以下であればよい。この場合のインレットガイドベーン開度と比較する所定開度としては例えば全閉(開度30%等)+数%とする。なお、アンチサージ弁13の開度としては、第2の制御部42の制御器49から出力されるアンチサージ弁開度指令や、アンチサージ弁13の開度を検出する開度検出器の検出値などを用いることができる。
【0064】
選択スイッチ81で定数0.0が選択された場合、制御器45ではインレットガイドベーン開度指令を定数0.0が選択される直前の値に保持する。即ち、このときにはインレットガイドベーン12による圧力制御は行われず、アンチサージ弁13による圧力制御のみが行われることになる。
【0065】
以上のように、本実施の形態例4のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置によれば、第1の制御部41では、アンチサージ弁13の開度が所定開度ε5よりも大きく、且つ、インレットガイドベーン12の開度が全閉又は所定開度ε1よりも小さいときにはアンチサージ弁13で圧力制御を行っていると判断して、圧力偏差ΔPに基づくインレットガイドベーン12の開度制御を行わないため、アンチサージ弁13とインレットガイドベーン12とが同時に動作するのを防止して、相互干渉をなくすことができる。
【0066】
<実施の形態例5>
図6は本発明の実施の形態例5に係るガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置の構成を示すブロック図、図7は放風弁制御線を示すグラフである。なお、プラントの構成については上記実施の形態例1(図1)と同様であるため、図1を参照する。また、図6中、上記実施の形態例1,2,3,4(図2,図3,図4,図5)と同様の部分には同一の符号を付し、重複する詳細な説明は省略する。
【0067】
図6に示すように、本実施の形態例5のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置では、第2の制御部42に選択スイッチ91を備えている。
【0068】
選択スイッチ91では、偏差演算部47から出力される圧力比偏差ΔP2/P1が所定の圧力比偏差設定値ε6以上であれば定数1.0を選択し、これを放風弁開度指令として放風弁20に出力する。従って、この場合には放風弁20が開くことによって抽気空気が大気中に放出される。但し、圧力比偏差設定値ε6はアンチサージ弁13の動作後に放風弁20が動作するように設定する。一方、圧力比偏差ΔP2/P1が所定の圧力比偏差設定値ε6よりも小さければ選択スイッチ91では定数0.0を選択し、これを放風弁開度指令として放風弁20に出力する。従って、この場合には放風弁20が閉じたままであるため、抽気空気が大気中に放出されることはない。図7に示すように放風弁制御線(放風弁20を開くタイミング)はコントロール線とサージ線との間に設定されている。
【0069】
以上のように、本実施の形態例5のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置によれば、第2の制御部42では、圧力比偏差ΔP2/P1が所定値ε6以上のとき、抽気空気昇圧設備3に設けた放風弁20を開放することにより、抽気空気圧縮機11で圧縮した抽気空気を大気中に放出させるため、放風弁20によるアンチサージ制御機能のバックアップが可能であり、抽気空気昇圧機11のサージ保護機能を強化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明はガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置に関するものであり、前記抽気空気昇圧設備におけるインレットガイドベーンとアンチサージ弁の開度制御(圧力制御及びアンチサージ制御)を行う場合に適用して有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】ガス化複合発電プラントの要部構成図である。
【図2】本発明の実施の形態例1に係る前記ガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態例2に係るガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態例3に係るガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態例4に係るガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態例5に係るガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7】放風弁制御線を示すグラフである。
【符号の説明】
【0072】
1 ガスタービン設備
2 ガス化設備
3 抽気空気昇圧設備
4 ガスタービン
5 圧縮機
6 インレットガイドベーン
7A 高圧蒸気タービン
7B 中圧蒸気タービン
7C 低圧蒸気タービン
8 発電機
11 抽気空気昇圧機
12 インレットガイドベーン
13 アンチサージ弁
14,15,16 抽気空気熱交換器
17 バイパス弁
18 ガスタービン抽気弁
19 配管
20 放風弁
21 ガス化炉
31 第2の圧力検出器
32 第1の圧力検出器
41 第1の制御部
42 第2の制御部
43 偏差演算部
44 関数演算部
45 制御器
46 圧力比演算部(割算部)
47 偏差演算部
48 関数演算部
49 制御器
50 関数演算部
51 ゲイン部
52 掛算部
53 加算部
54 偏差演算部
55 加算部
61 関数演算部
62 高値選択部
71 一次遅れ要素部
81 選択スイッチ
91 選択スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンで駆動される圧縮機から抽気した抽気空気を昇圧してガス化炉へ供給する抽気空気昇圧機と、前記抽気空気昇圧機の入口側に設けられたインレットガイドベーンと、前記抽気空気昇圧機の出口側から前記抽気空気昇圧機の入口側へ抽気空気を戻すアンチサージ弁とを有してなるガス化複合発電プラントの抽気空気昇圧設備における制御装置であって、
第1の圧力検出器による前記抽気空気昇圧機の出口圧力検出値と、圧力設定値との圧力偏差に基づき、前記出口圧力検出値が前記圧力設定値に等しくなるように前記インレットガイドベーンの開度を制御する圧力制御を行う第1の制御部と、
前記第1の圧力検出器による前記抽気空気昇圧機の出口圧力検出値と第2の圧力検出器による前記抽気空気圧縮機の入口圧力検出値との圧力比と、圧力比設定値との圧力比偏差に基づき、前記圧力比が前記圧力比設定値に等しくなるように前記アンチサージ弁の開度を制御するアンチサージ制御を行う第2の制御部とを有し、
前記第2の制御部では、前記インレットガイドベーンが全閉又は所定開度以下の低開度となったときには前記圧力偏差に基づき、前記出口圧力検出値が前記圧力設定値に等しくなるように前記アンチサージ弁の開度を制御する圧力制御を、前記アンチサージ制御に代えて又は前記アンチサージ制御とともに行うことを特徴とするガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置において、
前記第2の制御部では、前記圧力比偏差に基づく前記アンチサージ制御と前記圧力偏差に基づく前記圧力制御と行うときには前記アンチサージ制御と前記圧力制御の比率を、前記インレットガイドベーンの開度に基づいて調節することを特徴とするガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置において、
前記第2の制御部では、前記圧力比が前記圧力比設定値よりも大きいときには前記インレットガイドベーンが全閉であっても、前記アンチサージ制御を行うことを特徴するガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置。
【請求項4】
請求項1,2又は3に記載のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置おいて、
前記第1の制御部では、負荷指令を入力として設定する前記圧力設定値にプラントの応答遅れを考慮した遅れ時間を組み込むことを特徴とするガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置。
【請求項5】
請求項1,2,3又は4に記載のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置において、
前記第1の制御部では、前記アンチサージ弁の開度が第1の所定開度よりも大きく、且つ、前記インレットガイドベーンの開度が全閉又は前記所定開度以下の第2の所定開度よりも小さいときには前記アンチサージ弁で圧力制御を行っていると判断して、前記圧力偏差に基づく前記インレットガイドベーンの開度制御を行わないことを特徴とするガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置。
【請求項6】
請求項1,2,3,4又は5に記載のガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置において、
前記第2の制御部では、前記圧力比偏差が所定値以上のとき、前記抽気空気昇圧設備に設けた放風弁を開放することにより、前記抽気空気圧縮機で圧縮した抽気空気を大気中に放出させることを特徴とするガス化複合発電プラントにおける抽気空気昇圧設備の制御装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−118391(P2006−118391A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−305247(P2004−305247)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】