説明

ガス圧検圧用プラグ

【課題】下流側から順に、弁体(36)、弁体(36)を閉弁方向に付勢するコイルバネ(33)、ガス流量を絞るオリフィス板(11)、フィルタ板(1)、フィルタ支持板(21)と、これらを抜け止め状態に固定する固定リング(2)が収納されるガス圧検圧用プラグに関し、部品点数を減らして組み立て作業を簡素化し、安価で且つ容易に製作できるようにする。
【解決手段】オリフィス板(11)とフィルタ板(1)とフィルタ支持板(21)を一枚の金属板(100)で構成し、金属板(100)は、フィルタ板(1)がオリフィス板(11)とフィルタ支持板(21)とで挟まれる三つ折り状態に折り畳まれ、オリフィス板(11)の中央に絞り孔(10)を、フィルタ支持板(21)の中央に絞り孔(10)よりも大径のガス通過孔(20)を、フィルタ板(1)に絞り孔(10)よりも小径な複数のフィルタ孔(15a)(15b)を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス回路の一部に取り付けて前記ガス回路からのガス漏れの有無を検知できるようにするガス圧検圧用プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス栓やガス配管等のガス回路の一部に螺合接続させて、ガス回路からのガス漏れの有無を検知するガス圧検圧用のプラグとして、特開平10−339384号のものを提案した。このものは、図6に示すように、上流側に、ガス栓やガス配管に螺合接続されるネジ筒部(31)が形成されていると共に、下流側に、検圧具のソケットが接続可能なプラグ筒部(3)が形成されてあり、両者の境界部分には、ナット状の工具対応部(32)が外方に張り出している。
ネジ筒部(31)内にはプラグ筒部(3)内の小径通路(30a)よりも大径な大径通路(30b)が形成され、全体に直線状のガス通路(30)が形成されている。小径通路(30a)と大径通路(30b)との境界部分には、ネジ筒部(31)の上流側から流れてくるガス流量を検圧に必要な最小流量に制限する流量制限部材としてオリフィス板(41)が固定リング(42)によって抜け止め状態に嵌め込まれている。
固定リング(42)とオリフィス板(41)との間には、フィルタ板(40)及びそれを受けるドーナツ状のフィルタ支持板(43)が介在されている。これにより、ガス通路(30b)に流入するゴミや異物等は、フィルタ板(40)によってろ過され、ガス通路(30a)側には至らない。
尚、プラグ筒部(3)の開放端は、さらに小径に形成されてあり、小径通路(30a)との境界部分にリフト弁体(36)が圧接する弁座(35)が形成されてあり、オリフィス板(41)とリフト弁体(36)との間に、リフト弁体(36)を閉弁状態に付勢するコイルバネ(33)が介装されている。
【0003】
尚、不使用時には、同図に示すように、プラグ筒部(3)にキャップ(4)が被嵌されている。
ネジ筒部(31)を所定のガス回路に螺合接続し、キャップ(4)を取り外してプラグ筒部(3)に検圧具のソケット(図示せず)を接続すれば、前記ガス回路と検圧具との間がガス通路(30)を介して接続され、前記検圧具によってガス栓内又はガス配管内のガス圧を検圧でき、ガス回路からのガス漏れの有無を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−339384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この従来の検圧用プラグに内蔵させるオリフィス板(41)、フィルタ板(40)、フィルタ板受け(43)及び固定リング(42)は、それぞれ単独の部材からなり、これらオリフィス板(41)、フィルタ板(40)、フィルタ板受け(43)を、大径通路(30b)の開放端から順に一つずつ収納すると共に、固定リング(42)をガス通路(30)内の凹溝に嵌め込んで、抜け止め状態に固定しなければならない。このため、組み立て作業が困難で、作業性が悪い上に、組み付け忘れを生じさせるという問題がある。又、各部品を一つ一つ製造しているため、製造コストも高くついてしまう。
【0006】
本発明は、『ガス回路に接続される接続筒部と、前記接続筒部の下流側に連通してガス通路を構成すると共に検圧具のソケットが接続されるプラグ筒部とからなり、
前記プラグ筒部を閉塞する弁体と、前記弁体の上流側に設けられ且つ前記弁体に至るガス流量を制限するオリフィス板と、前記オリフィス板と前記弁体との間に介在され且つ前記弁体を閉弁方向に付勢するコイルバネと、前記オリフィス板の上流側に設けられるフィルタ板と、前記フィルタ板を上流側から支持するフィルタ支持板と、前記フィルタ支持板を上流側へ抜け止め状態に固定する固定リングとが、前記ガス通路内に収納されるガス圧検圧用プラグ』において、
前記プラグ内に収納される部品点数を減らして、組み立て作業を簡素化すると共に安価で且つ容易に製作できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために講じた本発明の技術的手段は、『前記オリフィス板と前記フィルタ板と前記フィルタ支持板は一枚の金属板で構成されると共に、前記金属板は、前記フィルタ板が前記オリフィス板と前記フィルタ支持板とで挟まれるように、三つ折り状態に折り畳み可能とし、
前記オリフィス板に絞り孔が形成されていると共に、前記フィルタ支持板には、前記絞り孔よりも大径のガス通過孔が形成され、前記フィルタ板には、前記絞り孔よりも小径な複数のフィルタ孔が形成されている』ものである。
【0008】
上記解決手段は次のように作用する。
前記金属板は、オリフィス板を中央に、その両側方に、フィルタ板とフィルタ支持板がそれぞれ位置するように配設された一枚の板状体であり、これを、フィルタ板がオリフィス板に重なるようにその境界線で折り畳んだ後に、フィルタ板の上にフィルタ支持板が重なるように折り畳む。これにより、前記金属板は、フィルタ板がオリフィス板及びフィルタ支持板で挟まれる態様に三つ折状態に折り畳まれる。この折り畳み状態にて、オリフィス板の前記絞り孔とフィルタ支持板の前記ガス通過孔は同心に位置している。
接続筒部の開放端から弁体及びコイルバネを順にプラグ筒内へ挿入し、次に、前記三つ折状態にある金属板を、オリフィス板がコイルバネ側に位置するように収容する。これにより、オリフィス板はコイルバネのバネ受けとして機能する。そして、その後から、固定リングを挿入して前記金属板を抜け止め状態に固定する。
接続筒部に流入してくるガスは、フィルタ支持板のガス通過孔、フィルタ板のフィルタ孔、さらには、オリフィス板の絞り孔を順に通過することにより、ガス圧の検圧に必要な最小流量に絞られて検圧具へ送られると共に、ガスに混入しているゴミや異物はフィルタ板で堰き止められる。
【0009】
請求項2に記載のガス圧検圧用プラグは、請求項1に係る発明において、『前記オリフィス板の中央部と前記フィルタ支持板の中央部に、前記金属板を折り畳んだとき外側に突出する断面略台形状の隆起部がそれぞれ設けられ、
前記コイルバネの一端は、前記オリフィス板の前記隆起部の基端部に略外接状態に設置される』もので、隆起部を有する形状は、金属板をプレス成型することにより容易に製造することができ、金属板を所定の三つ折り状態に折り畳むと、前記隆起部がオリフィス板及びフィルタ支持板からそれぞれ外方に突出する全体形状となる。尚、絞り孔及びガス通過孔は、各々の隆起部の頂面中央に開口させておけばよい。接続筒部の開放端から弁体及びコイルバネを順に収納した後に、折り畳み状態にある前記金属板を収納すると、オリフィス板の隆起部は下流側に突出すると共にその基端部にコイルバネの基端部が略外接する。又、フィルタ支持板の隆起部は上流側に突出すると共に、フィルタ板との間に空間が形成される。
【0010】
請求項3に記載のガス圧検圧用プラグは、請求項1又は請求項2に係る発明のものにおいて、『前記フィルタ孔は、前記金属板を所定形状に折り畳んだときに、前記フィルタ支持板の前記ガス通過孔が対応する前記フィルタ板上の所定範囲よりも外側に外れた位置に複数形成されている』もので、ガス回路から流入されてくるガスは、フィルタ支持板のガス通過孔を通過した後、フィルタ板に当たって放射状に広がり、複数のフィルタ孔を通って、オリフィス板の絞り孔へ送られる。
【0011】
請求項4に記載のガス圧検圧用プラグは、請求項1又は請求項2に係る発明のものにおいて、『前記フィルタ孔の一つは、前記金属板を所定形状に折り畳んだときに、前記フィルタ支持板の前記ガス通過孔と同心に位置するように形成されてあり、他の複数のフィルタ孔は、前記ガス通過孔が対応する前記フィルタ板上の所定範囲よりも外側に外れた位置に形成されている』もので、接続筒部の開放端から内部を覗くと、前記フィルタ支持板のガス通過孔を通してフィルタ孔の一つを目視することができるから、このフィルタ孔の目詰まり状態を確認することができる。
【0012】
請求項5に記載のガス圧検圧用プラグは、上記各請求項に係る発明のものにおいて、『前記フィルタ板の外側周縁部は、前記オリフィス板と前記フィルタ支持板とで密着状態に挟圧されている』ものでは、金属板を折り畳んだ状態にて、全体の肉厚を薄く設定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上記構成であるから、次の特有の効果を有する。
請求項1に係る発明によれば、オリフィス板とフィルタ支持板とフィルタ板を、一枚の金属板に連続して設けるようにしたから、容易に且つ安価に製造することができる。又、単独部品の部品点数が削減されることにより、組み立て工程数も減り、組み立て作業が簡素化されることにより、作業効率も上昇する。又、オリフィス板、フィルタ支持板、又はフィルタ板のいずれかを組み付けるのを忘れるといった不都合がなく、組み付け忘れ防止のためのマニュアルや管理も不要となる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、フィルタ板によって堰き止められたゴミや異物は、フィルタ板とフィルタ支持板の隆起部との間に形成される空間部に捕捉されるから、ゴミや異物を確実に堰き止めることができると共にこれらがガス回路内に逆戻りする不都合がない。又、コイルバネは、オリフィス板の隆起部の基端部に外接するようにセットされるから、コイルバネの姿勢が安定し、弁体の開弁時又は閉弁時にコイルバネが伸縮する際に、ずれて傾いたり偏ったりすることがない。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、複数のフィルタ孔を、フィルタ支持板のガス通過孔から外れた位置に設けたから、前記ガス通過孔を通って直進してくるガスに混入されているゴミや異物によってフィルタ孔が目詰まりし難くなる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、接続筒部の開放端から内部を覗けば、フィルタ支持板のガス通過孔を介して、一つのフィルタ孔が目視でき、その目詰まりの有無を確認することができるから、目詰まりの確認作業が容易となる。フィルタ孔の目詰まり時には、前記接続筒部の開放端側へ固定リングを引き抜いた後、折り畳み状態にある金属板を取り出し、フィルタ支持板を少し開けば、フィルタ板及び隆起部の裏に付着したゴミや異物を取り除くことができる。その後、再度フィルタ支持板をフィルタ板側へ折り畳み、検圧用プラグ内へ収納して固定リングで固定すれば、再使用可能となる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、フィルタ支持板とフィルタ板とオリフィス板とを薄肉にセットできるようにしたから、検圧用プラグの全体長さを短くコンパクトに設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態のガス圧検圧用プラグの断面図。
【図2】本発明の実施の形態のガス圧検圧用プラグに収納される金属板の平面図。
【図3】図2の中央横断面図。
【図4】本発明の実施の形態のガス圧検圧用プラグに収納される金属板の折り畳み途中を示す断面図。
【図5】本発明の実施の形態のガス圧検圧用プラグに収納される金属板の折り畳み完了状態を示す断面図
【図6】従来のガス圧検圧用プラグの断面図。
【0019】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態のガス圧検圧用プラグは、図1に示すように、ガス配管から突設させているガス検圧用ネジ筒(G)に螺合接続するためのネジ筒部(31)と、ガス検圧具のソケットが接続可能なプラグ筒部(3)とが両端に形成されているプラグ体であり、ネジ筒部(31)とプラグ筒部(3)との間はナット状の工具対応部(32)が形成されている。
又、不使用時には、プラグ筒部(3)に金属製のキャップ(4)が螺合接続される。
上流のガス入口となるネジ筒部(31)の開放端から、下流のガス出口となるプラグ筒部(3)の開放端にかけて直線状のガス通路(30)が形成されてあり、ネジ筒部(31)側の大径通路(30b)とプラグ筒部(3)側の小径通路(30a)との間には段部(34)が形成されている。プラグ筒部(3)の開放端側は、小径通路(30a)よりさらに小径に形成されてあり、小径通路(30a)との境界部分は、弁座(35)として機能させている。
【0020】
小径通路(30a)内には、弁座(35)に圧接してガス通路(30)を閉塞させるリフト弁体(36)とこれを閉弁方向に付勢させるコイルバネ(33)が内蔵されている。
リフト弁体(36)の上流側には、軸線方向に複数の間隙(図示せず)が形成されているスカート部(37)が連続しており、プラグ筒部(3)に検圧具のソケットを接続させたときに、前記ソケットに内蔵されている軸によってリフト弁体(36)が内方へ押されて弁座(35)から離反すると、ネジ筒部(31)の開放端から流入されるガスは、スカート部(37)の前記間隙を介してプラグ筒部(3)の開放端側へ流れる。この状態がリフト弁体(36)の開弁状態である。
【0021】
コイルバネ(33)の基端部は、流量制限部材としてのオリフィス板(11)に支持されている。オリフィス板(11)は段部(34)に上流側から当接するように配設されてあり、その上流側にはフィルタ板(1)が、さらにその上流側には、フィルタ板(1)を上流側から支持するためのフィルタ支持板(21)が配設されてあり、これらを上流側へ抜け止め状態に固定するための固定リング(2)が、大径通路(30b)内に設けた環状凹溝(38)に嵌め込まれている。
【0022】
上述したオリフィス板(11)、フィルタ板(1)及びフィルタ支持板(21)は、図2に示すように、一枚の金属板(100)に一体的に連続して設けられている。
金属板(100)は、中央にオリフィス板(11)が、その両側方に、フィルタ板(1)とフィルタ支持板(21)がそれぞれ連結帯(23)(24)を介して連続していると共に、オリフィス板(11)とフィルタ支持板(21)には、図3に示すように、中央部分に断面略台形状の隆起部(12)(22)がそれぞれ同方向に突設するように、プレス成形により製作されている。
フィルタ支持板(21)の隆起部(22)の頂面中央には、六角形のガス通過孔(20)が形成されてあり、オリフィス板(11)の隆起部(12)の頂面中央には、ガス通過孔(20)よりも小径の絞り孔(10)が形成されている。又、フィルタ板(1)の中心に一つのフィルタ孔(15a)とその周囲に複数のフィルタ孔(15b)が形成されている。尚、フィルタ孔(15a)(15b)は、絞り孔(10)よりも小径に設定されている。
【0023】
上記形状の金属板(100)を三つ折り状態に折り畳む。
まず、図4に示すように、オリフィス板(11)とフィルタ板(1)との間の連結帯(23)をその中心線(13)で、オリフィス板(11)の裏側(隆起部(12)が突出していない側)に折り曲げる。続いて、図5に示すように、オリフィス板(11)とフィルタ支持板(21)との間の連結帯(24)をその中心線(14)で、フィルタ板(1)に重なるように折り畳む。これにより、金属板(100)は、オリフィス板(11)とフィルタ支持板(21)でフィルタ板(1)を挟み且つ隆起部(12)(22)はそれぞれ外側に突出する三層構造に折り畳まれる態様となる。
この折り畳み状態において、フィルタ板(1)とオリフィス板(11)の隆起部(12)及びフィルタ板(1)とフィルタ支持板(21)の隆起部(22)との間にはそれぞれ空間が形成される態様となると共に、フィルタ支持板(21)のガス通過孔(20)、オリフィス板(11)の絞り孔(10)及びフィルタ板(1)の中心のフィルタ孔(15a)は同心に位置するように設定されている。又、オリフィス板(11)の隆起部(12)の基端部の直径は、コイルバネ(33)の内径よりもやや小さく設定されている。
尚、フィルタ板(1)の中心のフィルタ孔(15a)以外の複数のフィルタ孔(15b)は、折り畳まれた状態にて、フィルタ支持板(21)のガス通過孔(20)よりも外側に位置するように設けられている。
【0024】
上述したように三つ折り状態の金属板(100)は、ネジ筒部(31)の開放端から、リフト弁体(36)及びコイルバネ(33)をプラグ筒部(3)の(30a)内に順に挿入した後に、オリフィス板(11)がコイルバネ(33)側に向く姿勢で収納される。金属板(100)は、オリフィス板(11)の周縁部が小径通路(30a)と大径通路(30b)との間の段部(34)に当接する態様で収納されると共に、ネジ筒部(31)の環状凹溝(38)に固定リング(2)を嵌め込むことにより、金属板(100)は、ネジ筒部(31)側へ抜け止め状態に固定される。これで、本発明の実施の形態のガス圧検圧用プラグの組み付けが完了する。
【0025】
この実施の形態では、オリフィス板(11)とフィルタ板(1)とフィルタ支持板(21)を一つの部品としたから、従来では、オリフィス板(11)、フィルタ板(1)、さらにフィルタ支持板(21)を順に正しい姿勢で収納していたのが、三つ折り状態の金属板(100)を一つ収納するだけでよいから、その分、組み付け工程が少なくてすみ、組み付け作業が容易となる。又、オリフィス板(11)、フィルタ板(1)又はフィルタ支持板(21)の入れ忘れも生じないことから、製品不良を生じさせることもない上に、部品管理も簡素化することができる。
又、オリフィス板(11)の隆起部(12)がコイルバネ(33)の基端部内に嵌入されて、コイルバネ(33)の基端部を支えることとなるから、コイルバネ(33)の伸縮時に、その基端部がオリフィス板(11)上でずれて傾いたり、偏ったりすることがない。これにより、コイルバネ(33)は、リフト弁体(36)を弁座(35)に密着させた閉弁状態に常時正確に付勢することができ、この状態を長期に渡って維持することができる。
【0026】
ガス配管の検圧時には、ガス検圧用ネジ筒(G)に接続されたガス圧検圧用プラグからキャップ(4)を取り外して、プラグ筒部(3)に検圧具のソケットを接続させる。これにより、リフト弁体(36)は開弁し、ガス検圧用ネジ筒(G)からネジ筒部(31)へ流入してくるガスは、フィルタ支持板(21)のガス通過孔(20)を通過した後、フィルタ板(1)のフィルタ孔(15a)(15b)を通過し、さらに、オリフィス板(11)の絞り孔(10)を通過することによって一定値以下に絞られて、検圧具に送られる。このように、プラグ筒部(3)から排出されるガス量はガス圧検査に必要な最小量となるため、誤ってプラグ筒部(3)にガス器具が接続されて使用される不都合はない。
【0027】
ガス検圧用ネジ筒(G)からガス通路(30)内へ送られてくるガス内に混入されているゴミや異物等は、フィルタ孔(15a)(15b)を通過することができず、フィルタ板(1)とフィルタ支持板(21)の隆起部(22)間の空間(S)に捕捉されることによってろ過される。このように、フィルタ板(1)による十分なろ過作用が期待でき、フィルタ板(1)よりも下流側のプラグ筒部(3)の小径通路(30a)内へのゴミや異物の侵入を防止することができる。又、空間(S)に捕捉されたゴミ等が大径通路(30b)内さらにはガス検圧用ネジ筒(G)内に戻ることはない。
又、リフト弁体(36)の閉弁時において、リフト弁体(36)の弁座(35)への圧接部にゴミ等が侵入して閉弁不良が生じるといった問題もない。
尚、複数のフィルタ孔(15b)は、フィルタ板(1)上において、フィルタ支持板(21)のガス通過孔(20)が対応する範囲よりも外側に位置するように設けられているから、ガス通過孔(20)を通過してきたガスは、一部は中央のフィルタ孔(15a)を通過するが、通過しきれなかったガスは絞り孔(10)の周囲に当たってフィルタ板(1)上を放射状に広がり、周りのフィルタ孔(15b)からオリフィス板(11)に送られる。これにより、フィルタ孔(15b)は目詰まりしにくい。
【0028】
検圧に必要なガス量が検圧具に供給されない場合は、フィルタ孔(15a)(15b)の目詰まりが考えられる。このような場合では、ネジ筒部(31)をガス検圧用ネジ筒(G)から取り外し、ネジ筒部(31)の開放端から中を覗くと、フィルタ支持板(21)のガス通過孔(20)を介して、フィルタ板(1)の中央のフィルタ孔(15a)の目詰まり状態を確認することができる。
フィルタ孔(15a)に目詰まりが生じていることが目視できた場合、ネジ筒部(31)の開放端から固定リング(2)を取り外し、その後、金属板(100)を取り出す。取り出した金属板(100)のフィルタ支持板(21)を開いて、フィルタ板(1)を露出させ、フィルタ孔(15a)又は他のフィルタ孔(15b)に詰まっているゴミ等を取り除くと同時に、フィルタ支持板(21)の隆起部(22)内に捕捉されているゴミ等も取り除く。その後、フィルタ支持板(21)を再度折り曲げて、元の折り畳み状態に戻し、ネジ筒部(31)内に収納し、固定リング(2)で抜け止め状態に固定すれば良い。
【0029】
金属板(100)は、オリフィス板(11)とフィルタ支持板(21)とによってフィルタ板(1)の周囲の所定範囲が挟圧されるように折り畳むことにより、折り畳み状態にある金属板(100)の肉厚を薄く設定することができる。これにより、ネジ筒部(31)の長さを短くすることも可能となり、検圧プラグ全体の長さをコンパクトに設計することができる。
【符号の説明】
【0030】
(100) ・・・・金属板
(1) ・・・・・フィルタ板
(10)・・・・・絞り孔
(11)・・・・・オリフィス板
(15a)(15b)・・フィルタ孔
(2) ・・・・・固定リング
(20)・・・・・ガス通過孔
(21)・・・・・フィルタ支持板
(3) ・・・・・プラグ筒部
(30)・・・・・ガス回路(ガス通路)
(31)・・・・・接続筒部(ネジ筒部)
(33)・・・・・コイルバネ
(36)・・・・・弁体(リフト弁体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス回路に接続される接続筒部と、前記接続筒部の下流側に連通してガス通路を構成すると共に検圧具のソケットが接続されるプラグ筒部とからなり、
前記プラグ筒部を閉塞する弁体と、前記弁体の上流側に設けられ且つ前記弁体に至るガス流量を制限するオリフィス板と、前記オリフィス板と前記弁体との間に介在され且つ前記弁体を閉弁方向に付勢するコイルバネと、前記オリフィス板の上流側に設けられるフィルタ板と、前記フィルタ板を上流側から支持するフィルタ支持板と、前記フィルタ支持板を上流側へ抜け止め状態に固定する固定リングとが、前記ガス通路内に収納されるガス圧検圧用プラグにおいて、
前記オリフィス板と前記フィルタ板と前記フィルタ支持板は一枚の金属板で構成されると共に、前記金属板は、前記フィルタ板が前記オリフィス板と前記フィルタ支持板とで挟まれるように、三つ折り状態に折り畳み可能とし、
前記オリフィス板に絞り孔が形成されていると共に、前記フィルタ支持板には、前記絞り孔よりも大径のガス通過孔が形成され、前記フィルタ板には、前記絞り孔よりも小径な複数のフィルタ孔が形成されているガス圧検圧用プラグ。
【請求項2】
請求項1に記載のガス圧検圧用プラグにおいて、前記オリフィス板の中央部と前記フィルタ支持板の中央部に、前記金属板を折り畳んだとき外側に突出する断面略台形状の隆起部がそれぞれ設けられ、
前記コイルバネの一端は、前記オリフィス板の前記隆起部の基端部に略外接状態に設置されるガス圧検圧用プラグ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のガス圧検圧用プラグにおいて、前記フィルタ孔は、前記金属板を所定形状に折り畳んだときに、前記フィルタ支持板の前記ガス通過孔が対応する前記フィルタ板上の所定範囲よりも外側に外れた位置に複数形成されているガス圧検圧用プラグ。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のガス圧検圧用プラグにおいて、前記フィルタ孔の一つは、前記金属板を所定形状に折り畳んだときに、前記フィルタ支持板の前記ガス通過孔と同心に位置するように形成されてあり、他の複数のフィルタ孔は、前記ガス通過孔が対応する前記フィルタ板上の所定範囲よりも外側に外れた位置に形成されているガス圧検圧用プラグ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のガス圧検圧用プラグにおいて、前記フィルタ板の外側周縁部は、前記オリフィス板と前記フィルタ支持板とで密着状態に挟圧されているガス圧検圧用プラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−99489(P2011−99489A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253809(P2009−253809)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000151977)株式会社藤井合金製作所 (66)
【Fターム(参考)】