説明

ガス導管中での改良されたパージ効果

【課題】改良されたガス輸送装置を提供する。
【解決手段】ガス供給源を含むベッセル、始端と、使用のポイントへのガスの輸送に適合した終端とを有するピグテール導管、第一端と、ボディーセクションと、第二端とを有するサージチャンバーであって、前記第一端は前記ピグテール導管の始端と連絡されており、前記サージチャンバーの前記ボディーセクションは前記ピグテール導管の断面よりも大きい断面を有し、第二端は前記ガス供給源を含む前記ベッセルと連絡されている、サージチャンバー、前記ピグテール導管内で、前記終端からガス供給源を含むベッセルに向かう方向へのパージガスの輸送のためのパージガス供給源であって、前記パージガスでの前記ピグテールの加圧の交互サイクルの間に用いられるパージガス供給源、及び、前記ピグテール内に保持された不純物ガスの除去を可能にする、前記ピグテール導管内の脱圧源を含む、ガスを輸送するための装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
高純度プロセスガスの供給源を有することは多種多様な産業において益々重要になってきた。エレクトロニクス産業において、たとえば、シラン、アルシン、ジボラン、ホスフィン、六フッ化硫黄、臭化水素、タングステンヘキサフルオリド及びその他などの反応性ガスは集積回路の製造で半導体産業において広く使用されている。新たな半導体設計のためのエッチング及びデポジション法は極端に低いレベルの測定可能汚染をしばしば要求する。輸送ラインは本質的に汚染がないものでなければならない。発火性で極端な毒性のある反応性ガスの使用はガス供給源を変更するときに有意な安全上の問題を呈する。
【0002】
プロセスガスの使用のポイントへの輸送はバルブ及びコネクションからなるガス輸送導管によって行われる。この導管は、一般に、ガスシリンダー、チューブトレイラーなどの供給源と、ガスコントロールマニホールドなどの使用輸送サイトのポイントとに連結されている。パイピング、チュービング及びバルブのガス輸送導管、一般にピグテールと呼ばれるもののパージングは一般的に実施されている。他方、操作者に危険であることがある導管中に残存しているガスを除去するために、ガス供給源を外す前にパージングが行われる。また、ピグテールをガスシリンダーなどのガス供給源に連結した後に、ピグテール中に現存している湿分及び大気ガスなどの汚染物を除去する目的でパージングが行われる。パージングの工程において、空の高純度ガスシリンダーの変更及びその取替えの間に、ピグテールは複数回、加圧及び脱圧がなされる。
【0003】
エレクトロニクス産業におけるガス供給源の変更と同様に、他の産業でも同様の問題に直面する。たとえば、分析プロセスにつながったキャリアガスの交換を行おうとする際には、分析装置において使用されるピグテール導管のパージングが行われる。パージングはエレクトロニクス産業と同様に行われることができる。
【背景技術】
【0004】
現在、輸送サイトマニホールドと、交換高純度ガスシリンダーとの間に用いられるようなピグテールコネクションをパージングするのに産業界において用いられる幾つかの基本的な技術がある。パージングのために最も広く使用されている希釈技術は「クロスパージ」及び「ディープパージ」として知られている。
【0005】
クロスパージ希釈パージングは連続したマニホールドの加圧及び脱圧である。加圧及び脱圧を提供する源は、ガス供給源へのコネクションから離れたところに取り付けられる。通常、プロセスガスを含むマニホールド及びピグテールフローラインは大気圧以下に維持された低圧系にベントされる。コントロールマニホールドはその後、通常、数気圧まで、通常、窒素などの不活性ガスであるパージガスで加圧されて、そして再び、低圧系もしくは真空系にベントされる。ベントと加圧との各々の連続の適用はパージサイクルを構成する。この手順は、半導体製造プロセスにとって安全でクリーンであると考えられる低いレベルにプロセスガス濃度が達するまで、ある時間にわたって予め決められたサイクル数だけ繰り返される。
【0006】
ディープパージは、シリンダーバルブコネクションで又はその近傍でパージガスを導入することによって広く行われてきた。たとえば、2インチ以内のシリンダーバルブのアウトレット内にパージガスを供給するための装置が用意されうる。ディープパージは、「ピグテール」、特に、シリンダーコネクション自体の中の「デッドボリューム」を無くすことで汚染物除去を改良する。
【0007】
「クロスパージ」及び「ディープパージ」技術を実施するための現在の方法はマニホールドの排気を促進する真空ジェネレータの使用を含む。
【0008】
高純度ガス使用不純物除去法の輸送プロセスを例示している代表的な特許文献は以下のとおりである。
【0009】
特許文献1(米国特許第5,137,047号明細書)は、供給源を使用のポイントに接続するピグテール、及び、パージガスサブシステムを含む、半導体用途のための反応性ガスの輸送のための装置を開示している。ピグテールは、大気ガスの逆拡散を排除しながら、プロセスガスの要求量を通気することができるといわれるオリフィスを有する。パージガスラインはピグテールと連結されており、それにより、輸送回路に真空が形成されるときに、パージガスは湿分及び不純物を除去することが可能になる。パージサイクルの間に真空を形成するためにベンチュリが用いられる。
【0010】
特許文献2(米国特許第5,359,787号明細書)は湿分及び粒子の同伴を低減しながらチューブトレイラーから腐食性化学物質を輸送するための化学物質輸送装置を開示している。真空源を用いたパージ装置が用いられている。大気空気の同伴を避けるためにパージガスとしてアルゴンが用いられ、それはその後、ベントされる。
【0011】
特許文献3(米国特許第5,749,389号明細書)は半導体操作における使用のポイントへガスシリンダーから高純度ガスを輸送するための装置を開示している。パージングのための従来技術のクロスフロー、ディープパージ及び真空ジェネレータ法に対して改良が加えられた装置が示されており、その改良された装置は、超高純度ガスがプロセスに連絡されるプロセスコネクション、高純度ガス供給源と選択的にフロー連絡される第一のピグテール導管、前記プロセスコネクションと選択的にフロー連絡される第二のピグテール導管、真空源及び前記真空源を第一のピグテールと選択的に連絡させるためのコネクション、及び、超高純度プロセスガス供給源、を含む。好ましい態様は、前記高純度プロセスガス供給源とフロー連絡されるインレットポート、前記第一のピグテールとコネクションを介して前記パージガス供給源と選択的にフロー連絡される第一のアウトレットポート、及び、前記第二のピグテールとコネクションを介して前記プロセスコネクションと選択的にフロー連絡される第二のアウトレットポートをさらに含む。ピグテールブリードを用いて、大気空気が汚染を生じさせることを防止する。
【0012】
特許文献4(米国特許第5,398,712号明細書)は、真空及びパージ技術を用いた、ガスシリンダーバルブアセンブリーから汚染物を除去するのに使用する装置を開示している。この装置は、第一オリフィス断面を有するパージガスインレット、第二オリフィス断面を有するパージガスアウトレット、ならびに、第一オリフィス及び第二オリフィスよりも小さい断面を有する、第一オリフィス及び第二オリフィスのための第三オリフィスコネクションを含む。第四オリフィスはガスシリンダーに接続されて、第二オリフィスに連結される。パージガスが第一オリフィスを介してアウトレットに通過されるときに、ガスシリンダーに接続された第四オリフィスにおいて真空が形成され、そしてかかる真空は汚染ガスの除去を促進する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5137047号明細書
【特許文献2】米国特許第5359787号明細書
【特許文献3】米国特許第5749389号明細書
【特許文献4】米国特許第5398712号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、ガス供給源から使用の輸送ポイント、たとえば、ガスマニホールドにガスを輸送するのに使用されるピグテールの改良されたパージングを行うように設計された、改良されたガス輸送装置、及び、ピグテールのかかるパージングを行うための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
装置の改良は、部品の一体化システムにあり、この装置は、
ガス供給源を含むベッセル、
始端と、使用のポイントへの輸送アタッチメントに適合された終端とを有し、中空で、一般には円筒形の形状のピグテール導管、
第一端と、ボディーと、第二端を有するサージチャンバー、ここで、前記第一端は前記ピグテール導管の始端と連絡しており、前記サージチャンバーの前記ボディーのセクションのボディー直径は前記ピグテール導管の直径よりも大きく、第二端は前記ガス供給源を含むベッセルに連絡している、
場合により、前記ピグテール導管と流体連絡されている真空源、及び、
パージガスを前記ピグテール導管に輸送することが可能なパージガス供給源、
を含み、ここで、前記パージガスによる前記ピグテールの加圧及び場合により真空を課すことによる前記ピグテールの脱圧の交互のサイクルの間に、汚染ガス及び不純物は前記ピグテール導管から除去される。
【発明の効果】
【0016】
有意な利点は、本発明の改良されたプロセスの実施及び装置によって達成されることができ、それらは以下のことを含む。
長いガス輸送導管又はピグテール中でのパージ効率を改良し、ガス輸送装置、すなわち、ピグテール中の安全でかつより低純度の不純物レベルを達成する能力、
より少ないパージサイクルの使用によって、パージガス消費量を低減する能力、
ピグテール中の汚染物レベル低減により、より高純度の製品ガスを得る能力。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】使用のポイントとガス供給源とを接続する従来技術のピグテール接続の図であり、たとえば、使用のポイントは関連する真空源及びパージガス源への接続部を有するマニホールドである。
【図2】図1に示すような使用のポイントとガス供給源とを接続するピグテール接続の図であるが、ピグテール中のガスフローと軸が整合した円筒形状のサージチャンバーを用い、前記サージチャンバーは短いニップルによってガス供給源から分離されている図である。
【図3】図1に示すような使用のポイントとガス供給源とを接続するピグテール接続の図であるが、ピグテール中のガスフローと軸が整合した円筒形状のサージチャンバーを用い、前記サージチャンバーがガス供給源にピグテールをカップリングしている図である。
【図4】ガスフローを示すパージングプロセスにおける使用のための代表的なサージチャンバー及び信じられるサージチャンバー内でのガスフロー特性の図であり、このガスフローは長さ(L)、直径(D)及びピグテール導管の直径(d)でのパージングプロセスにおいて、より低い不純物レベル及びより少ないパージサイクルを説明するものである。
【図5】異なる長さ及び直径のピグテール導管、ならびに、異なる長さのサージチャンバー中の不純物レベルvsパージサイクル数のプロットである。
【図6】サージチャンバーを含むピグテールにおける、パージ10サイクル後の、パージガス中の湿分レベルvsパージ時間のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ガス供給源の交換の間に、ガス供給源から輸送サイトであって通常に使用のポイント、たとえば、ガスマニホールドへのガスの輸送に使用されるパイピング、バルブなどからなる導管のパージングの実施は多くのガス用途に一般的である。この実施の1つの例は、半導体製造におけるガス供給源容器とガス制御マニホールドとの間の一般にピグテールと呼ばれるガス輸送導管の接続部のパージングである。新たなガス供給源の使用を開始する前に、現在空のガス供給源の輸送を可能にしているバルブを閉じ、そしてピグテールをパージしてピグテール中の残留ガスを除去する。ピグテールのパージングはパージガスによってピグテールを加圧し、その後、ピグテールを脱圧することで現に汚染されているパージガスを除去することによって行われる。あらゆる残留ガスハザードを排除するために複数回のパージサイクルが行われる。ピグテールを新規のガス供給源に再接続する際に、ピグテールのパージングを再び行い、消費ポイントである使用のポイントへのガスの純度を確保する。輸送要求の高まり及び長いガス輸送ピグテールにおける非効率及びこのようなピグテールの直径の増加により、安全でかつクリーンな操作を達成するためのパージングサイクル数を減らすことが重要である。さらに、ピグテール導管中に非常に低いレベルの汚染物及び不純物を、より少ないパージサイクルで達成することが重要である。
【0019】
本発明において、ガス供給源はガスシリンダー、チューブトレイラー、又は、エレクトロニクス及び分析産業のためのガス及び化学物質の輸送に使用される他の輸送ベッセルからなることができる。エレクトロニクス産業に一般的なガスは、ハロゲン化水素、たとえば、塩化水素、三フッ化窒素、アルシン、ホスフィン、ジボランなどを含む。これらのそれぞれのガス供給源の交換は安全及び不純物基準を満たす必要がある。
【0020】
従来技術と、本発明とのその関係を理解しやすくするために、図1を参照する(図1の装置の部品と同様である図2〜4のガス供給装置の部品は共通の数字を有する)。ガスシリンダー2は、前記ガスシリンダー2から輸送接続部6へのガスの流れを制御するための関連シリンダーバルブ4を含む、使用のポイントへガスを供給するためのガス供給源を表す。ピグテール導管8はコネクター10によって輸送接続部6に接続されており、このようにして、ガスシリンダー2から前記ピグテール導管8を介して輸送サイト又は使用のポイント、通常にはガスマニホールド(図示しない)に流体連絡を提供する。
【0021】
ピグテールは、一般に、一連のバルブとパイプとからなり、供給源から使用のポイントへのガスの輸送だけでなく、パージングをも可能にする。図1の態様において、ピグテール8はその始端でコネクター10において終わっている。その終端又はその付近において、バルブ12は使用のポイントへのフローを制御するために、そして、ピグテールの終端から始端の方向のガスフローからピグテールを閉止するために使用される。
【0022】
ピグテール8は、ガス供給ユニットの交換の間に導管内に残存している残留ガス及び汚染物をパージングするための機構を含む。ピグテール8のパージングにおいて、バルブ12は閉止され、バルブ14は開放されてライン16を介してのパージガスの導入を可能にする。パージガスライン16は、クロスパージプロセスではピグテール8の終端の近くにあり、それにより、パージポイントとバルブ12による輸送部との間にガスの蓄積のための空間が最小となるようにする。パージガスは、通常、不活性ガスであり、たとえば、窒素又はアルゴンであるが、プロセスに対して不活性でかつプラントスタッフに対して無害の他のガスも使用されてよい。
【0023】
ピグテール8は高圧に加圧され、通常、3〜10気圧に約3〜15秒以内に加圧される。好ましくは、加圧は、ピグテール8内の圧力が約5〜8気圧となるように行われ、そして加圧は約5〜7秒以内に達成される。一旦、ピグテール8を加圧すると、パージガスは残存ガスとの拡散によって希釈される。この時点で、バルブ14を閉じ、バルブ18を開放して、ライン20を介してのピグテール8の排気を可能にする。ライン20は、一般に、真空源(図示せず)に接続されており、そして許容されうるアウトレットにベントされる。もし、ライン20が真空ポンプに接続されると、ピグテール8内の圧力は好ましくは約0.1〜1気圧の圧力に低減され、通常、約0.3〜0.8気圧の圧力に低減される。ピグテール8中の減圧は予め決められた時間、通常、5〜30秒間維持される。一旦、ガスがピグテール8から除去されると、バルブ18を閉じ、パージバルブ14を開放してパージガスの導入を可能にする。ピグテール8中の汚染物除去の所望のレベルに到達するまで上記サイクルを繰り返す。
【0024】
図1の従来技術の態様において、ピグテールはガスシリンダー2を通してまっすぐである。従来技術とは対照的に、ピグテール内でのサージチャンバーの使用はその中の汚染物レベルを低下させる能力があることがわかった。
【0025】
図2の態様は図1の態様と類似しているが、円筒形のサージチャンバー22がピグテール8中のガスフローと軸が整合して配置されている。サージチャンバー22は短いニップルセクションによってコネクター10から分離されている。通常、サージチャンバー22とコネクター10との空間はできるかぎり小さく維持され、直径約1/4〜3/4インチのパイピングで約1/2インチ〜2インチであることができる。
【0026】
図3の態様は、図2の態様と同様であるが、コネクター10は大きくなっており、その中にサージチャンバー22を収納している。サージチャンバー22では、サージチャンバーとガスシリンダー2への接続部と輸送コネクション6との間のデッドスペースを最小にすることができる。
【0027】
エレクトロニクス産業におけるようなガス輸送に関連するパージガスプロセスにおいてパージサイクルを減らすのにサージチャンバーは重要である。図4に示すとおり、サージチャンバー22は直径(D)のほぼ円筒形のボディーセクションに導くインレット24を含み、この直径(D)はサージチャンバー22に導くピグテールチュービングの直径(d)よりも大きい。通常、サージチャンバーの直径(D)はピグテール8の直径(d)の1.1〜20倍であり、好ましくは1.2〜10倍である。もし、サージチャンバー22のボディーセクションの直径(D)がサージチャンバーに導くピグテールチュービングの直径(d)との関係で小さすぎると、パージガスと、ピグテール内のプロセスガス又は汚染物との混合が一般にピグテールの効率的な除去を促進するには不十分になる。もし比率が大きすぎると、汚染物の効率的な除去は達成可能になるかもしれないが、パージガスの過剰な使用及び製品ガスの損失に関連するコストがかかりうる。
【0028】
図4に示すとおりのアウトレット26はサージチャンバー22のインレット24に導くピグテールチュービングの直径(d)と同一の直径である。しかし、サージチャンバー22のアウトレットの直径はサージチャンバー22に導くピグテールチュービングの直径と同一である必要はない。しかし、現実には、サージチャンバー22の直径はサージチャンバー22のボディーセクションの直径(D)と同一、等しく又はそれ以上であってもよい。
【0029】
図4は長さが(L)であり、ボディーセクションの直径が(D)であるサージチャンバーを示す。サージチャンバーの長さはガスの流れを基準としており、すなわち、サージチャンバー22の長手軸は図1〜3に示すとおりのガスの流れに平行である。サージチャンバー22の長さ(L)/直径(D)の比は少なくとも0.8:1であり、そして好ましくは少なくとも1:1である。比(L/D)は実施例において示すように非常に大きくてもよいが、約10:1を超える比は正当化される結果を得ることなくパージガスの過剰消費をもたらすことがしばしばある。1:1未満のL/D比は図1に示すような従来技術の態様に対して改良を示すが、より高いL/Dが好ましい。
【0030】
サージチャンバーは多くの形状を取ることができるが、円筒形が好ましい。ピグテールをパージガスで加圧しそしてピグテールから抜き出すときに、流れの方向に渦流がなく又は少なくとも低減することを示すように、サージチャンバーはインレット24及びアウトレット26で丸くなっているべきである。
【実施例】
【0031】
以下の実施例は装置及び方法の種々の態様を例示するために提供され、その範囲を制限することを意図しない。特に指示がないかぎり、パージガスは使用のポイントからガス供給源に向かう方向に導入されてピグテールを加圧しそしてパージガスの除去はガス供給源から使用のポイントへの方向に行われる。
【0032】
例1
パージサイクル数の低減及び不純物レベルの低減におけるサージチャンバーの評価
SFガス供給シリンダーの交換の間にピグテール導管内で予め選択されたガス不純物レベルに到達するためのパージサイクル数の低減に関するサージチャンバーの比較有効性を決定するために一連の試験を行った。窒素パージガス中のSF不純物の初期汚染レベルは100,000ppbを超えた。約5秒以内に80〜100psigの圧力にピグテールを窒素で加圧し、その後、真空を課すことで大気圧を下回る圧力に排気した。図5は結果のプロットである。
【0033】
操作1
グラフに示すとおりのデータセット1は、従来技術のクロスパージ手順を用いた対照パージ手順の結果を示す。それは、4フィート長さで外側直径が0.25インチで壁厚が0.035インチで内側直径が0.180インチである1/4インチピグテール中のSFの不純物レベルをパージサイクル数の関数として示している。初期SFレベルは約10,000ppbであり、60サイクルで100ppbの値が得られた。プロットは約60サイクル後に最小のSF除去レベルを得ることができることを示している。
【0034】
操作2
グラフに示すとおりのデータセット2は、従来技術のディープパージ法を用いた対照パージ手順の結果を示し、SF不純物レベルvsサイクル数を示している。4フィートピグテールは操作1で用いたものと同一である。結果は、約10サイクルで、SFレベルは約2,000ppbに低下し、60サイクルで10ppbの値が得られた。プロットは約60サイクル後に最小のSF除去レベルを得ることができることを示しており、結果は操作1のクロスパージ手順と同様となった。
【0035】
操作3
グラフに示すとおりのデータセット3は、クロスパージを用いた対照パージ手順の結果を示す。この操作はデータセット1から得られるものと同様であるが、ピグテールの直径及び長さが増大されている。ピグテールは、外側直径が1/2インチで壁厚が0.045インチで内側直径が0.410インチである14フィートの1/2インチハードチューブからなる。データセット3は、約50サイクルで、SF濃度が約98,000ppbであり、約120サイクルで約10,000ppbであった。(操作1、2を含む全ての操作でSFの初期レベルはほぼ同一であった)。
【0036】
操作4
グラフに示すとおりのデータセット4は、操作3のクロスパージ法に対する一般比較を提供する。しかし、ピグテールは、ここでは、7フィート長さで外側直径が7/8インチで内側直径が1/2インチである1/2インチフレックスチューブに接続された、操作3で用いた14フィートの1/2インチピグテールからなった。1/2インチフレックスチューブはガス供給源に接続され、そのため、1/2インチピグテールとガス供給源の間に挿入された。それは1/2インチ直径ピグテールとの関係でサージチャンバーとして作用することが意図された。フレックスホースの内側直径(D)/14フィートピグテールの内側直径(d)の比は1.22:1であり、フレックスチューブの長さ(L)/その直径(D)の比は168:1であった。パージガスは14フィートピグテールを通して、次いで、7フィートフレックスホースを通して通過され、その後、排気された。
【0037】
操作1〜3の従来技術の方法とは対照的に、サージチャンバーの長さに関係したピグテールの追加の長さを考慮しても、結果は、約40サイクルでSF不純物のレベルは約2,000ppbであり、操作3の1/2インチハードチューブで報告したレベルより非常に低かった。約40サイクルでのガス導管の不純物レベルは、クロスパージ及びディープパージの両方で操作1及び2で示したよりも高かったが、結果は、継続的なパージングで、SF不純物のレベルが60サイクルで約20ppbに低減されうることを示す。また、結果は、さらに継続的なパージングで、レベルが約100サイクルで5ppbに到達しうることを示す。このレベルは、操作1及び2の従来技術のクロスパージ及びディープパージによって期待できるものよりもずっと低い。データは、また、サージチャンバーの直径に対するその長さはあまり重要でないことを示す。
【0038】
操作5
データセット5は、ガス導管が14フィートの1/2インチピグテール、14フィートの1/2インチフレックスチューブからなり、このフレックスチューブがサージチャンバーを表し、図3に示すようにガス供給源に直接的に接続されている場合のパージ方法の効率を示している。(14フィートハードチューブ直径(D))/(1/2インチピグテールの初期直径(d))の比は1.22:1であり、L/Dは336:1に増加している。
【0039】
データは、データセット5において、操作4で達成されうるのと同様の不純物レベルが達成されうること及びこのような不純物レベルは操作1〜3の手順で達成されるものよりも実質的に低いことを示している。操作5は、操作4に対するピグテールの余分の長さは同様の汚染物又は不純物レベルに到達するのに、より多くのパージサイクル行われる必要があるという性能上の犠牲を課すことを示している。
【0040】
例2
ピグテールからの湿分除去におけるサージチャンバーの評価
ガス輸送装置に用いる1/2インチハードチューブピグテール導管からの湿分の除去を促進することにおけるサージチャンバーの有効性を決定するために一連の試験を行った。この試験手順において、各ピグテールを湿潤で飽和した。ピグテール導管から湿分を除去するのが困難であることから湿分を選択した。10回のパージサイクルを行った。より詳細には、各ピグテールを窒素で80〜100psigの圧力に加圧し、その後、大気圧を下回る圧力に排気した。10回のサイクルのパージの最後の工程として、ピグテールの排気の後に、各ピグテールを通してパージガスを通過させ、パージガス中の湿分レベルを時間の関数としてプロットした。曲線の下の面積は10回のパージングサイクルの後にピグテール中に残存した湿分の量を示す。図6のグラフから、曲線の下の面積が最小である手順は他の方法よりも湿潤除去が有効であったことを示す。
【0041】
操作1
データセット1はサージチャンバーがない場合の湿分レベルの時間の関数としての対照ベースラインプロットである。ピグテール導管は、例1、図5の操作3のデータセット3におけるように、15フィートの1/2インチハードチューブからなった。
【0042】
操作2
データセット2は時間の関数としての湿分レベルのプロットであり、図2に示すタイプの1000ccサージチャンバーをピグテールの終端付近に含む。すなわち、サージチャンバーは短いニップルよって、すなわち、1−2インチの間、キャップ化末端から分離されており、ガス供給源に対する接続部をシミュレートしている。サージチャンバーは長さが10.9インチであり、内側直径が3.32インチであり、壁厚が0.18インチであった(D/dは6.6:1であり、L/Dは3.2:1である)。各末端で、サージチャンバーは減径しており、一つの末端で1/2インチ直径のハードチューブピグテール導管と係合するようになっており、もう一つの末端はキャップ化末端に導くニップルと係合するようになっている。
【0043】
操作3
データセット3は体積が150ccであるサージチャンバーがピグテールの末端に近づいているポイントで挿入された場合、すなわち、操作2におけるようなニップルによってガス供給源から分離されている場合の時間の関数としての湿分レベルのプロットである。図2に概略的に示すように、150ccサージチャンバーはボディーセクションに導く1/2インチの開口部サイズを有し、ボディーセクションは2インチの外側直径、0.093インチの壁厚、1.90インチの内側直径を有し(D/dは3.8:1)、2 5/8インチのシリンダーボディー長さ(L/Dは1.3:1)を有した。一つの末端で、1/2インチピグテール導管と係合し、他の末端で操作2におけるような短いニップルと係合した。この操作3と操作2の基本的な違いはサージチャンバーのサイズである。
【0044】
操作4
データセット4はデータセット3で用いた150ccサージチャンバーを、図3に概略的に示されるように、キャップ化末端に直接的に接続した場合の時間の関数としての湿分レベルのプロットである。
【0045】
プロットから判るように、ガス供給源と連絡されたサージチャンバーを用いているパージ法の曲線の下の面積は(a)サージチャンバーなしでパージングを行う場合よりも有意に小さく、また、(b)最も好ましくは、ピグテールの末端に小さいサージチャンバーが配置された場合、すなわち、ガス供給源に直接的に接続された場合に、有意に小さかった。データは、より小さい150ccのサージチャンバーが若干ながらより高い効率を示しているので、サージチャンバーが大きい必要がなく、特に、データセット2を生じるのに用いたものほど大きい必要がないことを示している。結果は、サージチャンバーがピグテールの末端に直接的に接続され、そしてガス供給源への直接的な接続をシミュレートしている場合に特に顕著である。
【0046】
ベースラインプロット、すなわち、例2のデータセット1は例1のデータセット1及び2の結果を支持していることにも注目すべきである。サージチャンバーなしに、同様のレベルの不純物低減を達成するためには、より多くのパージングが必要である。これらの結果は、また、サージチャンバーを用い、そしてそれが、たとえば、1/2インチ〜2インチの短いニップルで若干分離されているよりも、直接的にガス供給源に接続されている場合に、より多量の湿分が除去されうることも示す。
【0047】
これらの例を要約すると、ガス供給装置につながったピグテールの終端でサージチャンバーを使用することで、ガス供給源の交換時に、ピグテール内にトラップされた製品ガス及び不純物の除去を促進することがわかった。ピグテール導管内の残存汚染物のより有効な希釈は、サージチャンバーを用いない場合よりも少ないサイクル数のパージ/真空サイクルで達成される。
【0048】
理論に束縛されるつもりはないが、不活性ガスでピグテールが加圧されるときに、図4に示す円形矢印によって示されるように、サージチャンバー14の拡張ボディーセクション中での混合が行われるものと考えられる。ガスシリンダー付近での乱流の形成はガスシリンダー2の接続ポイントの間にトラップされたガスの拡散効果を促進する。サージチャンバーの使用により形成されるパージガスの拡散がより大きいほど、ピグテール中のパージガスの排気時に不純物除去が促進される。一般に、L/D比は少なくとも0.8:1にすべきであり、好ましくは少なくとも1:1にすべきであるものと一般に信じられる。例1に示すように、L/Dの比が増加すると、同様の純度レベルに到達するパージサイクル数が一般に増加する。また、D/dの比は例2に示すように少なくとも1.2にすべきであり、約10:1以下にすべきであると信じられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス供給源を含むベッセル、
始端と、使用のポイントへのガスの輸送に適合した終端とを有するピグテール導管、
第一端と、ボディーセクションと、第二端とを有するサージチャンバーであって、前記第一端は前記ピグテール導管の始端と連絡されており、前記サージチャンバーの前記ボディーセクションは前記ピグテール導管の断面よりも大きい断面を有し、第二端は前記ガス供給源を含む前記ベッセルと連絡されている、サージチャンバー、
前記ピグテール導管内で、前記終端からガス供給源を含むベッセルに向かう方向へのパージガスの輸送のためのパージガス供給源であって、前記パージガスでの前記ピグテールの加圧の交互サイクルの間に用いられるパージガス供給源、及び、
前記ピグテール内に保持された不純物ガスの除去を可能にする、前記ピグテール導管内の脱圧源、
を含む、ガス供給ベッセルから使用の輸送ポイントへガスを輸送するための装置。
【請求項2】
前記サージチャンバーは前記ガス供給源を含むベッセルと隣接している、請求項1記載の装置。
【請求項3】
ガス供給源を含むベッセルから使用の輸送ポイントへガスを輸送するために用いられるピグテール導管をパージし、該ピグテール導管から不純物を除去するための方法であって、パージガスによって前記ピグテール導管を交互に加圧して、ガス状不純物で汚染された前記パージガスを除去する工程を含む方法において、
ガス供給源を含むベッセルと、前記ベッセルから輸送ポイントへガスを輸送するために用いられるピグテール導管との間に、サージチャンバーを供給すること、ここで、前記サージチャンバーの直径(D)はピグテール導管の直径(d)よりも大きい、
前記使用の輸送ポイントから前記ベッセルに向かう方向に、前記ピグテール及び前記サージチャンバーを通して前記パージガスを通過させること、及び、
前記ガス供給源を含むベッセルから前記使用の輸送ポイントに向かう方向にガスを引き抜くことで、前記ガス状不純物を含むパージガスを除去すること、
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−207812(P2010−207812A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94141(P2010−94141)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【分割の表示】特願2006−135797(P2006−135797)の分割
【原出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】