説明

ガス検出装置及びガス検出方法

【課題】吸着燃焼式ガスセンサに対する外風の影響を回避して、検出精度の低下を防止できるガス検出装置及びガス検出方法を提供する。
【解決手段】ガス検出装置1は、吸着燃焼式ガスセンサの感応素子と複数の固定抵抗器とで構成される、感応素子の温度が上昇する過渡期間における所定の計測タイミングで平衡状態となる、ブリッジ回路2を備える。そして、ガス検出装置1は、感応素子の温度を所定のガス吸着期間低温にしたのちに高温に上昇させて、前記計測タイミングでのブリッジ回路2における中点電位差を濃度電位差として計測し、感応素子に吸着した検出対象ガスが燃焼したあと、感応素子の温度を所定のガス非吸着期間低温にしたのちに高温に上昇させて、前記計測タイミングでの前記中点電位差をベース電位差として計測し、これら濃度電位差とベース電位差とに基づいて、検出対象ガスを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着燃焼式ガスセンサを用いたガス検出装置およびガス検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来知られている接触燃焼式ガスセンサは、感応素子と補償素子を有し、検出対象となるガスを感応素子の触媒作用により燃焼させ、この燃焼熱を白金コイルの抵抗値変化として捉えるように構成されている。検出対象となるガスのうちトルエンや酢酸、エタノール等のように、極性が大きく吸着力の大きなガスは、低温駆動時に、ガス分子が感応素子の触媒表面に吸着し、高温駆動時に、吸着したガスが瞬時に燃焼すると共に接触燃焼反応も同時に起こるので、センサ出力は、短時間でピークに達しその後徐々に減少するピーク波形(山形波形)を生じる。一方、メタンや水素、一酸化炭素等の無極性または極性の小さいガスは、吸着力も小さいので上記のような現象は起こらず、センサ出力は、定常値で安定するまで徐々に増加していく。
【0003】
このように、トルエン等の特定種類のガスにおいて固有のピーク波形を呈することを利用して、接触燃焼式ガスセンサを用いてガス濃度の検出やガス種の分別などを行うことができる。このような特定種類のガスの吸着現象を利用する接触燃焼式ガスセンサは、吸着燃焼式ガスセンサとも呼ばれている。上述したような吸着燃焼式ガスセンサは、ガス濃度検出装置やガス種別検出装置などの種々のガス検出装置において用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
吸着燃焼式ガスセンサを備えた従来のガス濃度検出装置の構成例を図5に示す。図5に示されるガス濃度検出装置801は、検出対象ガスと感応する感応素子811及び該感応素子811と直列接続された固定抵抗器814からなるセンサ回路部810、並びに、センサ回路部810と並列接続されるとともに、検出対象ガスと感応しない補償素子812及び補償素子812と直列接続された固定抵抗器813からなるレファレンス回路部820、で構成されたブリッジ回路802と、感応素子811の温度が検出対象ガスを吸着する低温となる低温駆動電圧、及び、感応素子811の温度が感応素子811に吸着した検出対象ガスを燃焼させる高温となる高温駆動電圧、をブリッジ回路802に順次供給する電圧供給源805と、感応素子811及び固定抵抗器814間に生じる第1電圧V1と補償素子812及び固定抵抗器813間に生じる第2電圧V2とが入力されるように、センサ回路部810の中点とレファレンス回路部820の中点とに接続されて、これら第1電圧V1と第2電圧V2との電位差(以下、「中点電位差Vc」という)を所定の増幅率で増幅する計装アンプ806と、計装アンプ806によって増幅された中点電位差Vcをアナログ値からデジタル値に変換するA/Dコンバータ807と、A/Dコンバータ807によってデジタル値に変換された中点電位差Vcに基づいて、検出対象ガスの濃度を検出する周知のマイクロコンピュータ(MPU)860と、を備えている。ブリッジ回路802は、検出対象ガスを含まない雰囲気中において高温駆動電圧を供給されたときに、各素子の温度変化が収束した定常状態で平衡(即ち、中点電位差Vcが0)となるように、固定抵抗器813、814の抵抗値が定められている。
【0005】
この中点電位差Vcは、感応素子811の抵抗値をRs、補償素子812の抵抗値をRr、固定抵抗器814の抵抗値をR2、固定抵抗器813の抵抗値をR1、ブリッジ回路2への供給電圧をVbrg、次の式(1)で示される。
【0006】
Vc=((Rs/(R2+Rs))−(Rr/(R1+Rr)))×Vbrg・・・(1)
【0007】
上記式(1)から明らかなように、中点電位差Vcは、それぞれ値が固定される抵抗値R1、抵抗値R2、及び、供給電圧Vbrg、の影響は受けず、つまり、中点電位差Vcは、温度変化に応じて値が変化する感応素子811の抵抗値Rs及び補償素子812の抵抗値Rrによって決定される。
【0008】
そして、センサ回路部810の感応素子811及びレファレンス回路部20の補償素子812は、供給電圧Vbrgが低温駆動電圧から高温駆動電圧に切り替わると温度上昇を開始するが、これら感応素子811と補償素子812とは、それぞれの熱容量や熱伝導特性、放熱特性などが異なるので、各素子の温度が安定した定常状態に至るまでの過渡状態の期間(過渡期間)における温度上昇カーブ、即ち、温度上昇特性が異なり、そのため、温度上昇に伴う抵抗値の変化に差異が生じて、過渡期間において、温度上昇特性の差異による中点電位差Vc、即ち、誤差電位差Veが生じてしまう(図6のグラフに示す)。このような各素子の温度上昇特性の差異によって生じる誤差電位差Veを防ぐために、各素子の製造方法の精度向上や選別等を行うことが考えられるが、完全に温度上昇特性を一致させることは不可能である。そして、このような吸着燃焼式ガスセンサは、高温駆動時の中点電位差Vcの変化(即ち、応答波形)に基づいてガス検出を行うので、上述したような、温度上昇特性の差異によって生じる誤差電位差Veが影響して、ガス検出の精度が低下してしまう。
【0009】
そこで、ガス濃度検出装置801では、感応素子811及び補償素子812における温度上昇特性の差異によって生じる中点電位差Vc、即ち、誤差電位差Veの影響を回避するため、以下のようにして検出対象ガスの濃度を検出していた。
【0010】
まず、検出対象ガスを含まない雰囲気中において、ブリッジ回路802に低温駆動電圧を供給したのちに高温駆動電圧を供給したときの中点電位差Vc(即ち、誤差電位差Ve)を所定のサンプリング周期で計測し、この計測した複数の中点電位差Vcを積算して誤差電位差積分値を算出する。次に、検出対象ガスの濃度を検出する雰囲気中において、ブリッジ回路802に低温駆動電圧を供給したのちに高温駆動電圧を供給したときの中点電位差Vcを同様に所定のサンプリング周期で計測し、この計測した複数の中点電位差Vcを積算して濃度電位差積分値を算出する。そして、濃度電位差積分値から誤差電位差積分値を差し引いた値に基づいて、検出対象ガスの濃度を検出する。このようにして、温度上昇特性の差異によって生じる誤差電位差Veの影響を回避して、検出対象ガスの濃度検出の精度低下を防いでいた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−83950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したガス濃度検出装置801のブリッジ回路802は、感応素子811と補償素子812とを含むものであり、これら各素子が設置される雰囲気の流動(以下、「外風」ともいう)がある場合、感応素子811と補償素子812とに外風が当たってそれぞれのヒータ温度が低下する。そして、感応素子811と補償素子812とに同様に外風が当たるのであれば、ヒータ温度が同様に低下して外風の影響が相殺される。しかしながら、感応素子811と補償素子812とは物理的に別体であり、設置位置も厳密に同一にすることができないので、ときに流路が絡み合う複雑な流動状態となる外風の影響を完全に同一にすることができず、そのため、外風の影響によるヒータ温度の差が生じ、このヒータ温度の差による各素子での抵抗値の差が生じて、ブリッジ回路802の平衡状態が乱れて中点電位差Vcにばらつきが生じ、検出精度が低下してしまうという問題があった。
【0013】
本発明は、上記課題に係る問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、吸着燃焼式ガスセンサに対する外風の影響を回避して、検出精度の低下を防止できるガス検出装置及びガス検出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、図1の基本構成図に示すように、検出対象ガスと感応する、吸着燃焼式ガスセンサの感応素子、及び、複数の固定抵抗器、で構成されるブリッジ回路2と、前記感応素子の温度が前記検出対象ガスを吸着する低温となる低温駆動電圧、及び、前記感応素子の温度が前記感応素子に吸着した前記検出対象ガスを燃焼させる高温となる高温駆動電圧、を前記ブリッジ回路に供給する電圧供給源5と、を有し、前記ブリッジ回路2における一対の中点間に生じる電位差に基づいて前記検出対象ガスを検出するガス検出装置1において、前記ブリッジ回路2が、前記検出対象ガスを含まない雰囲気中で、前記電圧供給源から前記高温駆動電圧を供給されたあとの前記感応素子の温度が上昇する過渡期間における所定の計測タイミングにおいて、平衡状態となるように構成され、そして、前記電圧供給源5を用いて、前記ブリッジ回路2に前記低温駆動電圧を供給したのち、前記感応素子が前記検出対象ガスを吸着する所定のガス吸着期間が経過したとき、前記ブリッジ回路2に前記高温駆動電圧を供給する、第1電圧供給手段61aと、前記第1電圧供給手段61aによって前記ブリッジ回路2に前記高温駆動電圧が供給されたあとの前記過渡期間における前記計測タイミングにおいて、前記一対の中点間に生じる電位差を計測する濃度電位差計測手段61bと、前記ガス吸着期間において前記感応素子が吸着した前記検出対象ガスが燃焼したあとに、前記電圧供給源5を用いて、前記ブリッジ回路2に前記低温駆動電圧を供給したのち、前記感応素子が前記検出対象ガスを吸着しない所定のガス非吸着期間が経過したとき、前記ブリッジ回路2に前記高温駆動電圧を供給する、第2電圧供給手段61cと、前記第2電圧供給手段61cによって前記ブリッジ回路2に前記高温駆動電圧が供給されたあとの前記過渡期間における前記計測タイミングにおいて、前記一対の中点間に生じる電位差を計測するベース電位差計測手段61dと、前記濃度電位差計測手段61bによって計測された前記電位差、及び、前記ベース電位差計測手段61dによって計測された前記電位差に基づいて、前記検出対象ガスを検出する前記ガス検出手段61eと、を有していることを特徴とするガス検出装置1である。
【0015】
請求項2に記載された発明は、上記目的を達成するために、検出対象ガスと感応する、吸着燃焼式ガスセンサの感応素子、及び、複数の固定抵抗器、で構成されるブリッジ回路と、前記感応素子の温度が前記検出対象ガスを吸着する低温となる低温駆動電圧、及び、前記感応素子の温度が前記感応素子に吸着した前記検出対象ガスを燃焼させる高温となる高温駆動電圧、を前記ブリッジ回路に供給する電圧供給源と、を有し、前記ブリッジ回路が、前記検出対象ガスを含まない雰囲気中で、前記電圧供給源から前記高温駆動電圧を供給されたあとの前記感応素子の温度が上昇する過渡期間における所定の計測タイミングにおいて、平衡状態となるように構成され、前記ブリッジ回路における一対の中点間に生じる電位差に基づいて前記検出対象ガスを検出する、ガス検出装置において用いられるガス検出方法であって、前記電圧供給源を用いて、前記ブリッジ回路に前記低温駆動電圧を供給したのち、前記感応素子が前記検出対象ガスを吸着する所定のガス吸着期間が経過したとき、前記ブリッジ回路に前記高温駆動電圧を供給する、第1電圧供給工程と、前記第1電圧供給工程で前記ブリッジ回路に前記高温駆動電圧が供給されたあとの前記過渡期間における前記計測タイミングにおいて、前記一対の中点間に生じる電位差を計測する濃度電位差計測工程と、前記ガス吸着期間において前記感応素子が吸着した前記検出対象ガスが燃焼したあとに、前記電圧供給源を用いて、前記ブリッジ回路に前記低温駆動電圧を供給したのち、前記感応素子が前記検出対象ガスを吸着しない所定のガス非吸着期間が経過したとき、前記ブリッジ回路に前記高温駆動電圧を供給する、第2電圧供給工程と、前記第2電圧供給工程で前記ブリッジ回路に前記高温駆動電圧が供給されたあとの前記過渡期間における前記計測タイミングにおいて、前記一対の中点間に生じる電位差を計測するベース電位差計測工程と、前記濃度電位差計測工程で計測された前記電位差、及び、前記ベース電位差計測工程で計測された前記電位差に基づいて、前記検出対象ガスを検出する前記ガス検出工程と、を順次有していることを特徴とするガス検出方法である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、2に記載された発明によれば、ブリッジ回路が、前記検出対象ガスを含まない雰囲気中で、電圧供給源から高温駆動電圧を供給されたあとの感応素子の温度が上昇する過渡期間における所定の計測タイミングにおいて、平衡状態となるように構成されており、そして、(1)電圧供給源を用いて、ブリッジ回路に低温駆動電圧を供給したのち、感応素子が検出対象ガスを吸着する所定のガス吸着期間が経過したときにブリッジ回路に前記高温駆動電圧を供給して、(2)該高温駆動電圧が供給されたあとの前記過渡期間における前記計測タイミングにおいて、前記一対の中点間に生じる電位差を濃度電位差として計測し、そして、(3)前記ガス吸着期間において感応素子が吸着した検出対象ガスが燃焼したあとに、電圧供給源を用いて、ブリッジ回路に低温駆動電圧を供給したのち、感応素子が検出対象ガスを吸着しない所定のガス非吸着期間が経過したときにブリッジ回路に高温駆動電圧を供給して、(4)該高温駆動電圧が供給されたあとの前記過渡期間における前記計測タイミングにおいて、前記一対の中点間に生じる電位差をベース電位差として計測し、そして、(5)これら計測された濃度電位差及びベース電位差に基づいて、検出対象ガスを検出するので、感応素子を、本来の機能である感応素子として動作させて濃度電位差を計測するとともに、代替的に補償素子として動作させて上記濃度電位差を補償するベース電位差を計測することができ、そのため、擬似的に感応素子と補償素子との設置位置を同一にして、濃度電位差とベース電位差とを計測でき、これら濃度電位差及びベース電位差に基づいて検出対象ガスを検出することにより、外風の影響を回避することができ、検出精度の低下を防止できる。また、ブリッジ回路を簡易な回路で構成できるとともに、ブリッジ回路への電圧の供給制御及び中点電位差の計測制御も簡易であるので、外風の影響による検出精度の低下を防止できるガス検出装置を低コストで提供できる。さらに、吸着燃焼式ガスセンサの感応素子のみ使用するので、吸着燃焼式ガスセンサの感応素子と補償素子との温度上昇特性を高精度で一致させる必要がなく、そのため、現状の感応素子が利用でき、さらに、補償素子が不要となるのでシリコンウェハ等を小さくでき、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のガス検出装置の基本構成を示す図である。
【図2】本発明のガス検出装置の一実施形態であるガス濃度検出装置を示す構成図である。
【図3】(A)、(B)及び(C)は、それぞれ、図2のガス濃度検出装置が備えるガスセンサユニットの平面図、背面図、及び、平面図におけるA−A線に沿う断面図である。
【図4】図2のガス濃度検出装置が備えるCPUが行うガス濃度検出処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】従来のガス濃度検出装置の構成図である。
【図6】従来のガス濃度検出装置における誤差電位差のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るガス検出装置の一実施形態としてのガス濃度検出装置を、図2〜図4を参照して説明する。
【0019】
ガス濃度検出装置1は、図2に示すように、ブリッジ回路2と、電圧供給源5と、計装アンプ6と、A/Dコンバータ7と、マイクロコンピュータ60と、図示しない気体収容室と、図示しない表示装置と、を備えている。
【0020】
ブリッジ回路2は、第1固定抵抗器13と、第2固定抵抗器14と、第3固定抵抗器16と、吸着燃焼式ガスセンサとしてのガスセンサユニット15と、を備えている。このガスセンサユニット15は、感応素子11を備えている。そして、第2固定抵抗器14と感応素子11とを互いに直列接続することでセンサ回路部10を構成し、第1固定抵抗器13と第3固定抵抗器16とを互いに直列接続することでレファレンス回路部20を構成している。また、センサ回路部10とレファレンス回路部20とを互いに並列接続することでブリッジ回路2を構成している。ブリッジ回路2における第1固定抵抗器13と第2固定抵抗器14とを接続する信号線は、電圧供給源5に接続されている。ブリッジ回路2における感応素子11と第3固定抵抗器16とを接続する信号線は接地点(GND)に接続されている。また、第2固定抵抗器14及び感応素子11間(即ち、センサ回路部10の中点)と第1固定抵抗器13及び第3固定抵抗器16間(即ち、レファレンス回路部20の中点)とを、ブリッジ回路2における一対の中点という。
【0021】
ガスセンサユニット15は、図3(A)〜(C)に示すように、所定厚さ(例えば、400μm程度)のシリコン(Si)ウェハ41上に、所定厚さ(例えば、600nm程度)の酸化シリコン(SiO2)膜48c、所定厚さ(例えば、250nm程度)の窒化シリコン(SiN)膜48b、および所定厚さ(例えば、30nm程度)の酸化ハフニウム(HfO2)膜48aの絶縁薄膜が順次成膜され、多層絶縁膜が形成されている。
【0022】
この多層絶縁膜上に、感応素子11として、所定厚さ(例えば、250nm程度)の第1のヒータとしての白金(Pt)ヒータ42が形成されていると共に、この白金ヒータ42と熱的に接触するとともに、触媒物質として、例えば、検出対象ガスを吸着及び燃焼させるパラジウム(Pd)などの白金族を担持した酸化アルミニウム(Al23)からなる触媒層43が所定厚さ(例えば、1〜40μm程度)で形成されている。
【0023】
また、図3(C)に示すように、シリコンウェハ41を異方性エッチングして、感応素子11に対応する位置に凹部46を形成し、それにより、上述の各絶縁薄膜による薄膜ダイヤフラムDsが形成されている。
【0024】
また、感応素子11は触媒層43を備えているので、電圧供給源5によってブリッジ回路2(即ち、センサ回路部10)に所定の低温駆動電圧が供給されると、感応素子11では検出対象ガスが触媒層43に吸着され、そして、電圧供給源5によってブリッジ回路2に所定の高温駆動電圧が供給されると、感応素子11では触媒により検出対象ガスが燃焼する。即ち、感応素子11は検出対象ガスと感応する。
【0025】
感応素子11は、検出対象ガスを含む雰囲気中において、電圧供給源5によって低温駆動電圧が供給されたのち、感応素子11が検出対象ガスを吸着する所定のガス吸着期間が経過したあとに高温駆動電圧が供給されると、感応素子11に吸着した検出対象ガスが爆発的に燃焼する(ケース1)。その一方で、感応素子11は、検出対象ガスを含む雰囲気中において、電圧供給源5によって低温駆動電圧が供給されたのち、感応素子11が検出対象ガスを吸着しない所定のガス非吸着期間が経過したあとに高温駆動電圧が供給されると、感応素子11は検出対象ガスを接触燃焼する(ケース2)。これらケース1、2においては同一の感応素子を使用しているので、それぞれのケースの差異は、感応素子11への検出対象ガスの吸着の有無のみであり、両ケースとも、雰囲気の流動、即ち、外風の影響を同一にでき、そのため、ケース1、2において計測した値を用いることにより、外風の影響を相殺できる。
【0026】
ガスセンサユニット15は、図示しない気体収容室内に設置されている。この気体収容室には、検出対象ガスを含まない雰囲気(エアベース)、及び、検出対象ガスの濃度を検出する雰囲気(被検ガス)が、後述するマイクロコンピュータ60の制御によって充填される。なお、本実施形態において、ガスセンサユニット15は、感応素子11のみ備えるものであったが、これに限らず、感応素子及び補償素子をともに備える一般的な吸着燃焼式ガスセンサとしてのガスセンサユニットを用いて、該ガスセンサユニットの感応素子のみをブリッジ回路に組み込むようにしてもよい。
【0027】
第1固定抵抗器13、第2固定抵抗器14及び第3固定抵抗器16は、予め設定された一定(固定)の電気抵抗を生じる周知の電子部品である。第1固定抵抗器13、第2固定抵抗器14及び第3固定抵抗器16は、複数の固定抵抗器を直列、並列、または、直列及び並列に組み合わせて構成してもよく、或いは、ガス濃度測定時に抵抗値を固定して用いるものであれば、例えば、平衡調整のためなどに抵抗値を変更できる、可変抵抗器であってもよい。第1固定抵抗器13、第2固定抵抗器14及び第3固定抵抗器16は、検出対象ガスを含まない雰囲気中において、ブリッジ回路2に電圧供給源5によって高温駆動電圧が供給されたときに、感応素子11の温度が上昇する過渡期間における所定の計測タイミング(例えば、高温駆動電圧供給後に100m秒経過した時点など)において、平衡状態となるように、即ち、一対の中点間に生じる電位差(以下、「中点電位差Vc」という)が0となるように、それぞれの抵抗値が定められている。本実施形態においては、第1固定抵抗器13の抵抗値が10kΩ、第2固定抵抗器14の抵抗値が390Ω、第3固定抵抗器16の抵抗値が10kΩ、に設定されている。これら値は一例であり、構成に応じて適宜設定される。また、ブリッジ回路2には、上記固定抵抗器とは別に可変抵抗器(半固定抵抗器やデジタルポテンショメータなど)を設けて、上記平衡状態の調整を可能とする構成としてもよい。
【0028】
感応素子11の抵抗値をRs、第1固定抵抗器13の抵抗値をR1、第2固定抵抗器14の抵抗値をR2、第3固定抵抗器16の抵抗値をR3、ブリッジ回路2への供給電圧をVbrg、とすると、上記中点電位差Vcは、以下の式(2)で表される。
【0029】
Vc=((Rs/(R2+Rs))−(R3/(R1+R3)))×Vbrg・・・(2)
【0030】
電圧供給源5は、ブリッジ回路2に所定の電圧を供給する電圧供給回路である。電圧供給源5は、後述するMPU60に接続されるとともに、該MPU60からの電圧制御信号に応じて、感応素子11の温度が検出対象ガスを吸着する低温(例えば、200度)となる低温駆動電圧、及び、感応素子11の温度が感応素子11に吸着した検出対象ガスを燃焼させる高温(例えば、400度)となる高温駆動電圧、などのパルス状の供給電圧Vbrgをブリッジ回路2に供給する。
【0031】
計装アンプ6は、差動入力・シングルエンド出力の平衡入力アンプであり、同相信号除去比(CMRR)を大きくとれるという特徴を有する周知の増幅器である。計装アンプ6は、それぞれ高インピーダンスの一対の差動入力端子に入力された信号の電位差を、所定の増幅率で増幅して出力する。計装アンプ6の差動入力端子の一方(V+)には、センサ回路部10の中点の信号線が接続されており、他方(V−)には、レファレンス回路部20の中点が接続されている。つまり、計装アンプ6は、センサ回路部10の中点の電位(即ち、第1電圧V1)と、レファレンス回路部20の中点の電位(即ち、第2電圧V2)と、が入力されて、これら第1電圧V1と第2電圧V2の電位差(即ち、中点電位差Vc、詳細には第1電圧V1から第2電圧V2を差し引いた電圧)を、所定の増幅率で増幅して出力端子から出力する。計装アンプ6には出力可能な最大電圧(最大出力電圧)が定められており、計装アンプ6の増幅率は、増幅された中点電位差Vcがこの最大出力電圧を超えないように定められている。
【0032】
A/Dコンバータ7は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力する周知のアナログ−デジタル変換器である。A/Dコンバータ7の入力部には、計装アンプ6によって出力された増幅された中点電位差Vcが入力される。また、A/Dコンバータ7の出力部は、MPU60に接続されており、デジタル信号に変換された中点電位差VcがMPU60に向けて出力される。また、A/Dコンバータ7には、入力可能な最大電圧(最大入力電圧)が定められており、増幅された中点電位差Vcがこの最大入力電圧を超えないように、計装アンプ6の増幅率が定められている。
【0033】
マイクロコンピュータ(MPU)60は、周知のように、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)61、CPU61のためのプログラムや各種パラメータ(例えば、低温駆動電圧値、高温駆動電圧値、各種期間値、各種タイミング値、など)を格納した読み出し専用のメモリであるROM62、各種データを格納するとともにCPU61の処理作業に必要なエリア(例えば、ベース電位差、濃度電位差など)を有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM63、及び、電力供給が断たれた場合でも、格納された各種データの保持が可能であり、CPU61の処理作業に必要な各種格納エリアを有するEEPROM64等を備えている。CPU61は、ROM62に格納された各種プログラムを実行することにより、第1電圧供給手段、濃度電位差計測手段、第2電圧供給手段、ベース電位差計測手段、及び、ガス検出手段、などとして機能する。
【0034】
MPU60は、図示しない入出力ポートや各種インタフェース機能を備えた外部接続部をさらに備えている。MPU60は、この外部接続部を介して、A/Dコンバータ7及び電圧供給源5と接続されている。MPU60は、A/Dコンバータ7からデジタル信号に変換された中点電位差Vcを受信して、この中点電位差Vcに基づいてガス濃度を検出する。MPU60は、処理に応じて、例えば、低温駆動電圧を所定のガス吸着期間又はガス非吸着時間供給した後、高温駆動電圧を所定のガス燃焼期間供給するように、電圧供給源5に向けて電圧制御信号を送信する。また、MPU60は、この外部接続部を介して、図示しない表示装置に接続されており、例えば、検出した検出対象ガスの濃度に関する情報を含む表示制御信号を、該表示装置に向けて送信する。そして、表示装置は、この表示制御信号に応じた情報、即ち、検出対象ガスの濃度などを表示する。また、MPU60は、この外部接続部を介して、ポンプなどを備えた気体収容室に接続されており、処理に応じて各種気体を該気体収容室に充填する。また、MPU60は、各種期間や各種タイミングを計測する図示しないタイマを備えている。
【0035】
次に、上述したCPU61が実行する本発明に係る処理(ガス濃度検出処理)の一例を、図4に示すフローチャートを参照して、以下に説明する。
【0036】
ガス濃度検出装置1に電源が投入されると、CPU61は、所定の初期化処理を実行し、そして、気体収容室内に検出対象ガスの濃度を検出する雰囲気(被検ガス)を充填した後、その処理をステップS110に進める。
【0037】
ステップS110では、電圧供給源5に対して、ブリッジ回路2に低温駆動電圧を供給するための電圧制御信号を送信する。そして、ステップS120に進む。
【0038】
ステップS120では、感応素子11の温度が低温(例えば、200度)で安定するとともに感応素子11が検出対象ガスを吸着する所定のガス吸着期間(概ね、数十m秒〜数十秒、例えば、60秒)が経過するまで待つ。そして、上記ガス吸着期間が経過した後、ステップS130に進む。
【0039】
ステップS130では、電圧供給源5に対して、ブリッジ回路2に、高温駆動電圧を供給するための電圧制御信号を送信する。そして、ステップS140に進む。
【0040】
ステップS140では、所定の計測タイミング(概ね、高温駆動電圧供給後から50m秒〜100m秒経過した時点、例えば、100m秒経過時点)になるまで待つ。そして、上記計測タイミングになると、ステップS150に進む。
【0041】
ステップS150では、計装アンプ6で増幅されるとともにA/Dコンバータ7でデジタル信号に変換された中点電位差Vcを、ガス濃度電位差として計測して、RAM63上に格納する。そして、ステップS160に進む。
【0042】
ステップS160では、上記ガス吸着期間において感応素子11に吸着した検出対象ガスが全て燃焼する所定のガス燃焼期間(概ね、高温駆動電圧供給後から数百m秒〜数秒、例えば、400m秒)が経過するまで待つ。そして、上記ガス燃焼期間が経過した後、ステップS170に進む。
【0043】
ステップS170では、電圧供給源5に対して、ブリッジ回路2に低温駆動電圧を供給するための電圧制御信号を送信する。そして、ステップS180に進む。
【0044】
ステップS180では、感応素子11の温度が低温(例えば、200度)で安定するとともに感応素子11が検出対象ガスを吸着しない所定のガス非吸着期間(概ね、数十m秒〜数百m秒、例えば、500ms)が経過するまで待つ。そして、上記ガス非吸着期間が経過した後、ステップS190に進む。
【0045】
ステップS190では、電圧供給源5に対して、ブリッジ回路2に高温駆動電圧を供給するための電圧制御信号を送信する。そして、ステップS200に進む。
【0046】
ステップS200では、上記計測タイミングになるまで待つ。そして、上記計測タイミングになると、ステップS210に進む。
【0047】
ステップS210では、計装アンプ6で増幅されるとともにA/Dコンバータ7でデジタル信号に変換された中点電位差Vcを、ベース電位差として計測して、RAM63上に格納する。そして、ステップS220に進む。
【0048】
ステップS220では、ステップS150で計測したガス濃度電位差から、ステップS210で計測したベース電位差を差し引いて、補償後のガス濃度電位差を算出し、ROM62上に予め格納された、電位差とガス濃度との関係についての変換テーブルに基づいて、当該算出した補償後のガス濃度電位差からガス濃度を求める。そして、ステップS230に進む。
【0049】
ステップS230では、ステップS220で求めたガス濃度についての情報を含む表示情報を生成して、表示装置に対して送信する。そして、再度ガス濃度を測定するため、ステップS110に戻る(フローチャート終了)。
【0050】
なお、上述したガス吸着期間、ガス非吸着期間、計測タイミング、ガス燃焼期間、低温駆動電圧、及び、高温駆動電圧、などは一例であって、ガス濃度検出装置1の構成及び検出対象ガスの種類などに応じて適宜定められる。また、ガス濃度電位差の測定時点とベース電位差の測定時点との外風の変化を小さくするため、ガス非吸着期間及びガス燃焼期間は、可能な限り短くすることが望ましい。
【0051】
また、上述したステップS110〜S130が、請求項中の第1電圧供給手段、第1電圧供給工程に相当し、ステップS150が、請求項中の濃度電位差計測手段、濃度電位差計測工程に相当し、ステップS170〜S190が、請求項中の第2電圧供給手段、第2電圧供給工程に相当し、ステップS210が、請求項中のベース電位差計測手段、ベース電位差計測工程に相当し、ステップS220が、請求項中のガス検出手段、ガス検出工程に相当する。
【0052】
次に、上述したガス濃度検出装置1における本発明に係る動作(作用)について説明する。
【0053】
ガス濃度検出装置1は、まず、気体収容室内に検出対象ガスの濃度を検出する雰囲気を充填する。そして、ブリッジ回路2に対して低温駆動電圧を所定のガス吸着期間供給して感応素子11に検出対象ガスを吸着させたのち(S110、S120)、ブリッジ回路2に対して高温駆動電圧を供給して(S130)、所定の計測タイミングにおいて、中点電位差Vcをガス濃度電位差として計測する(S140、S150)。それから、所定のガス燃焼期間が経過して、感応素子11に吸着した検出対象ガスが全て燃焼した後(S160)、再度、ブリッジ回路2に対して低温駆動電圧を所定のガス非吸着期間供給して、検出対象ガスを吸着させずに感応素子11の温度を低温で安定させたのち(S170、S180)、ブリッジ回路2に対して高温駆動電圧を供給して(S190)、所定の計測タイミングにおいて、中点電位差Vcをベース電位差として計測する(S200、S210)。最後に、ガス濃度電位差からベース電位差を差し引いた、補償後のガス濃度電位差に基づいて、ガス濃度を求めて(S220)、表示装置に表示する(S230)。
【0054】
以上より、本発明によれば、ブリッジ回路2が、検出対象ガスを含まない雰囲気中で、電圧供給源5から高温駆動電圧を供給されたあとの感応素子の温度が上昇する過渡期間における所定の計測タイミングにおいて、平衡状態となるように構成されており、そして、(1)電圧供給源5を用いて、ブリッジ回路2に低温駆動電圧を供給したのち、感応素子11が検出対象ガスを吸着する所定のガス吸着期間が経過したときにブリッジ回路2に高温駆動電圧を供給して、(2)該高温駆動電圧が供給されたあとの前記過渡期間における前記計測タイミングにおいて、ブリッジ回路2の一対の中点間に生じる中点電位差Vcを濃度電位差として計測し、そして、(3)前記ガス吸着期間において感応素子11が吸着した検出対象ガスが燃焼したあとに、電圧供給源5を用いて、ブリッジ回路2に低温駆動電圧を供給したのち、感応素子が検出対象ガスを吸着しない所定のガス非吸着期間が経過したときにブリッジ回路2に高温駆動電圧を供給して、(4)該高温駆動電圧が供給されたあとの前記過渡期間における前記計測タイミングにおいて、ブリッジ回路2の一対の中点間に生じる中点電位差Vcをベース電位差として計測し、そして、(5)これら計測された濃度電位差及びベース電位差に基づいて、検出対象ガスを検出するので、感応素子11を、本来の機能である感応素子として動作させてガス濃度電位差を計測するとともに、代替的に補償素子として動作させて、ガス濃度電位差を補償するベース電位差を計測することができ、そのため、擬似的に感応素子と補償素子との設置位置を同一にして、濃度電位差とベース電位差とを計測でき、これら濃度電位差及びベース電位差に基づいて検出対象ガスを検出することにより、外風の影響を回避することができ、検出精度の低下を防止できる。また、ブリッジ回路2を簡易な回路で構成できるとともに、ブリッジ回路2への電圧の供給制御及び中点電位差の計測制御も簡易であるので、外風の影響による検出精度の低下を防止できるガス検出装置を低コストで提供できる。さらに、吸着燃焼式ガスセンサの感応素子のみ使用するので、吸着燃焼式ガスセンサの感応素子と補償素子との温度上昇特性を高精度で一致させる必要がなく、そのため、現状の感応素子が利用でき、さらに、補償素子が不要となるのでシリコンウェハ等を小さくでき、コストを低減することができる。
【0055】
本発明は、感応素子を用いて、ガス濃度電位差を計測した後にベース電位差を計測するものであり、即ち、感応素子を、時間差で、感応素子、又は、補償素子として機能させるものであるので、感応素子として機能させている時点と、補償素子として機能させている時点と、で外風の状態が変化してしまう場合がある。しかし、上記時間差は数十m秒〜数百m秒程度であり、外風の状態の変化はこの時間差より長いので、ほぼ同一時点で計測しているものとみなすことができる。
【0056】
本実施形態では、感応素子11と3つの固定抵抗器とで構成されるブリッジ回路のみを備えるものであったが、これに限定されるものではなく、上記ブリッジ回路の他に、感応素子と補償素子とを備えるブリッジ回路を新たに追加して、それぞれのブリッジ回路においてガス濃度を複数回検出し、検出値のばらつきが少ない方を出力(表示)するようにしてもよい。このようにすることで、外風の影響の小さいときには従来方式を、また、外風の影響が大きいときには本発明に係る方法を、自動的に選択して、常に精度の高い検出結果を得ることができる。
【0057】
本発明者は、図2に示す上述した実施形態のガス濃度検出装置1(本発明)と、図5に示す従来のガス濃度検出装置801(従来構成)と、を用いて、外風のない雰囲気及び外風のある雰囲気における該検出対象ガスの濃度の検出を複数回行い、それぞれの装置における検出値のばらつき度合い(標準偏差)について確認した。詳細には、それぞれのガス濃度検出装置において、100回のガス濃度検出を3セット行い、セット毎に測定した複数のガス濃度検出値の標準偏差を算出して、これら標準偏差の平均値を求めた。結果を表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
表1から明らかなように、外風の無い環境では本発明及び従来構成ともに検出値のばらつきが低く抑えられているのに対して、外風のある環境では従来構成に対して本発明の方がばらつきを半減できている。これより、本発明によれば外風の影響を回避できることがわかった。
【0060】
また、本実施形態は検出対象ガスの濃度を検出するものであったが、これに限らず、本発明は、成分不明の被検ガスに含まれるガスの種別を検出するガス種別検出装置など、他の種類のガス検出装置に適用してもよい。
【0061】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 ガス濃度検出装置(ガス検出装置)
2 ブリッジ回路
5 電圧供給源
6 計装アンプ
7 A/Dコンバータ
10 センサ回路部
11 感応素子
12 補償素子
13 第1固定抵抗器
14 第2固定抵抗器
15 ガスセンサユニット(吸着燃焼式ガスセンサ)
16 第3固定抵抗器
20 レファレンス回路部
60 MPU
61 CPU(第1電圧供給手段、濃度電位差計測手段、第2電圧供給手段、ベース電位差計測手段、ガス検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象ガスと感応する、吸着燃焼式ガスセンサの感応素子、及び、複数の固定抵抗器、で構成されるブリッジ回路と、前記感応素子の温度が前記検出対象ガスを吸着する低温となる低温駆動電圧、及び、前記感応素子の温度が前記感応素子に吸着した前記検出対象ガスを燃焼させる高温となる高温駆動電圧、を前記ブリッジ回路に供給する電圧供給源と、を有し、前記ブリッジ回路における一対の中点間に生じる電位差に基づいて前記検出対象ガスを検出するガス検出装置において、
前記ブリッジ回路が、前記検出対象ガスを含まない雰囲気中で、前記電圧供給源から前記高温駆動電圧を供給されたあとの前記感応素子の温度が上昇する過渡期間における所定の計測タイミングにおいて、平衡状態となるように構成され、そして、
前記電圧供給源を用いて、前記ブリッジ回路に前記低温駆動電圧を供給したのち、前記感応素子が前記検出対象ガスを吸着する所定のガス吸着期間が経過したとき、前記ブリッジ回路に前記高温駆動電圧を供給する、第1電圧供給手段と、
前記第1電圧供給手段によって前記ブリッジ回路に前記高温駆動電圧が供給されたあとの前記過渡期間における前記計測タイミングにおいて、前記一対の中点間に生じる電位差を計測する濃度電位差計測手段と、
前記ガス吸着期間において前記感応素子が吸着した前記検出対象ガスが燃焼したあとに、前記電圧供給源を用いて、前記ブリッジ回路に前記低温駆動電圧を供給したのち、前記感応素子が前記検出対象ガスを吸着しない所定のガス非吸着期間が経過したとき、前記ブリッジ回路に前記高温駆動電圧を供給する、第2電圧供給手段と、
前記第2電圧供給手段によって前記ブリッジ回路に前記高温駆動電圧が供給されたあとの前記過渡期間における前記計測タイミングにおいて、前記一対の中点間に生じる電位差を計測するベース電位差計測手段と、
前記濃度電位差計測手段によって計測された前記電位差、及び、前記ベース電位差計測手段によって計測された前記電位差に基づいて、前記検出対象ガスを検出する前記ガス検出手段と、を有している
ことを特徴とするガス検出装置。
【請求項2】
検出対象ガスと感応する、吸着燃焼式ガスセンサの感応素子、及び、複数の固定抵抗器、で構成されるブリッジ回路と、前記感応素子の温度が前記検出対象ガスを吸着する低温となる低温駆動電圧、及び、前記感応素子の温度が前記感応素子に吸着した前記検出対象ガスを燃焼させる高温となる高温駆動電圧、を前記ブリッジ回路に供給する電圧供給源と、を有し、前記ブリッジ回路が、前記検出対象ガスを含まない雰囲気中で、前記電圧供給源から前記高温駆動電圧を供給されたあとの前記感応素子の温度が上昇する過渡期間における所定の計測タイミングにおいて、平衡状態となるように構成され、前記ブリッジ回路における一対の中点間に生じる電位差に基づいて前記検出対象ガスを検出するガス検出装置において用いられるガス検出方法であって、
前記電圧供給源を用いて、前記ブリッジ回路に前記低温駆動電圧を供給したのち、前記感応素子が前記検出対象ガスを吸着する所定のガス吸着期間が経過したとき、前記ブリッジ回路に前記高温駆動電圧を供給する、第1電圧供給工程と、
前記第1電圧供給工程で前記ブリッジ回路に前記高温駆動電圧が供給されたあとの前記過渡期間における前記計測タイミングにおいて、前記一対の中点間に生じる電位差を計測する濃度電位差計測工程と、
前記ガス吸着期間において前記感応素子が吸着した前記検出対象ガスが燃焼したあとに、前記電圧供給源を用いて、前記ブリッジ回路に前記低温駆動電圧を供給したのち、前記感応素子が前記検出対象ガスを吸着しない所定のガス非吸着期間が経過したとき、前記ブリッジ回路に前記高温駆動電圧を供給する、第2電圧供給工程と、
前記第2電圧供給工程で前記ブリッジ回路に前記高温駆動電圧が供給されたあとの前記過渡期間における前記計測タイミングにおいて、前記一対の中点間に生じる電位差を計測するベース電位差計測工程と、
前記濃度電位差計測工程で計測された前記電位差、及び、前記ベース電位差計測工程で計測された前記電位差に基づいて、前記検出対象ガスを検出する前記ガス検出工程と、を順次有している
ことを特徴とするガス検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−52978(P2011−52978A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199488(P2009−199488)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】