説明

ガス検出装置

【課題】 ブラケットにケースのガス導入口に測定対象気体を導く通気孔を設けた場合にも、ブラケットの強度を良好に確保し、従来と比較して小型化を図ることができるガス検出装置を提供する。
【解決手段】 ガスセンサ100のブラケット部7は、板片部71とケース本体部6との間に肉厚に構成された補強部75を有する。その補強部75に開口した通気孔80を通過した空気は、ケース本体部6の背面側の蓋部3から突出させた膨出部40の縁端部56よりケース部2内に取り込まれ、ガス排出口54より排出される流路AFを辿り、その際に特定ガスの検出が行われる。通気孔80は補強部75のリブ77を残して開口されるので、補強部75の強度が低下することはない。また、通気孔80を補強部75に設け、通気孔のための構成を別途設けないことで、ガス検出装置1の小型化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象気体中の特定ガスの濃度変化を検出するガスセンサを備えたガス検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ケース内にガスセンサを内蔵し、そのケース内に測定対象となる気体を流通させて、気体中の特定ガスの濃度変化を検出するガス検出装置が知られている。例えば車両用のガス検出装置は、自動車のフロントグリルの内側などに取り付けられ、フロントグリルを介し車体内に入り込む空気を空気取入口からケース内に取り込み、ケース内の流路を通過させつつ空気中の特定ガスの濃度変化の検出を行い、空気排出口からケース外に排出している。
【0003】
このようなガス検出装置を自動車に取り付けるため、ガス検出装置のケースには、取り付けねじ孔が開口された板状のブラケットが設けられている。ガス検出装置はフロントグリルの内側(背面側)に取り付けられるため、ブラケットはガス検出装置の前面側、すなわち空気の流通方向上流側に設けられている。また、ガス検出装置の防水効果を高めるためなどの理由から、ケースの背面側、すなわち空気の流通方向下流側に、空気取入口および空気排出口が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ところで特許文献1では、ケースの外側面とブラケットとの間にブラケット接続部を設け、このブラケット接続部にケースの前面側と背面側との間を貫通する貫通孔(通気孔)を開口している。この貫通孔は、ケースの空気取入口に対し空気の流通方向上流側に配置されており、空気を空気取入口へと導き、ケースの流路内の空気の交換を円滑に促している。
【0005】
近年、自動車の構成部品には配置の自由度が求められることから、ガス検出装置に対する小型化への要望も高まっている。そこで特許文献1に記載のガス検出装置の小型化を図る場合、例えば空気取入口をケースの前面側に設け、空気取入口へと向かう空気の流通をブラケットに阻害されない構成としたうえでブラケット接続部を廃し、ケースの外側面に直接板状のブラケットを連結させる方法等が考えられる。
【特許文献1】特開2003−341348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、空気取入口よりも空気の流通方向上流側に貫通孔を設ければ、フロントグリルを介して進入する雨や飛び石等の異物のうち、その進入方向が空気の流通方向に沿わないものは、貫通孔の内壁に衝突して空気取入口へ到達しにくくなる。このため、上記のように貫通孔を設けない場合、ガス検出装置の防水や異物に対する保護を適切に行えない場合がある。そこで、空気取入口の配置は変えず、ブラケット接続部を廃し、ケースの外側面に直接、厚みが比較的薄い板片から構成されたブラケットを設け、そのブラケットに貫通孔(通気孔)を設ける構成が考えられる。しかし、このようにブラケットに対して単純に通気孔を設けると、ブラケット自体の強度が低下してしまうため、振動負荷の大きい車体に取り付けて使用するには十分な強度を得られない虞があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ブラケットにケースのガス導入口に測定対象気体を導く通気孔を設けた場合にも、ブラケットの強度を良好に確保し、従来と比較して小型化を図ることができるガス検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明のガス検出装置は、測定対象気体中の特定ガスの濃度変化を検出するガスセンサと、前記ガスセンサを収容すると共に、自身の内部に前記測定対象気体を導入するためのガス導入口を有するケースと、前記ケースの外側面の少なくとも一部から外側に向かって突出され、前記ケースを検出場所に取り付けるためのブラケットであって、板状をなすと共に、自身の板厚方向に沿って取付部材を挿通させるための取付孔が形成された板片部と、前記ケースの前記外側面と前記板片部とを連結し、前記板片部の板厚よりも肉厚に形成された補強部と、前記補強部の厚み方向に沿って開口され、前記ガス導入口に向けて前記測定対象気体を導くための通気孔とを含むブラケットとを備えている。
【0009】
また、請求項2に係る発明のガス検出装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記補強部は、その厚みが前記板片部との接続部分に向けて徐々に薄くなるように形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明のガス検出装置は、請求項1または2に記載の発明の構成に加え、前記ケースは、底壁と側壁とに囲まれて凹状をなし、前記ガスセンサを内部に収容する収容部を有するケース本体部と、前記ケース本体部に装着されると共に、前記収容部を閉塞する蓋部とを含み、前記ブラケットは、前記ケース本体部の前記側壁の前記外側面から突出しており、前記蓋部には、前記ブラケット側の突出方向に対して突出した膨出部を有し、前記膨出部のうちで、前記ブラケットに面する側には前記ガス導入口が形成される一方、前記ブラケットに面する側とは反対側の位置には、前記測定対象気体の流通を遮蔽する遮蔽壁が形成され、前記通気孔は、前記補強部のうち前記膨出部の前記ガス導入口に対向する位置に開口されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明のガス検出装置では、ガスセンサが収容されたケースのガス導入口に向けて測定対象気体を導くための通気孔を、ケースとブラケットの板片部とを連結する肉厚に形成されたブラケットの補強部に、その厚み方向に沿って開口することで、厚みの薄い板片部に通気孔を設けることによる強度低下を招く虞がない。また、この通気孔をブラケットの補強部に開口することで、従来のようにブラケットとケースの外側面との間に通気孔を付与したブラケット接続部を設ける必要がなく、ブラケット接続部を廃することができる分、従来のものに比べてガス検出装置の小型化を図ることができる。また、通気孔は、ガス導入口に向けて測定対象気体を導く流路の一部として構成されるため、測定対象気体中に雨粒や飛び石等の異物が混ざった場合、それら異物がガス導入口に到達するにはその大半が通気孔を通過する必要が生ずる。このため、異物のうち、通気孔を通過できない大きさのものや、進行方向が通気孔の案内する方向と異なって通気孔の内面に衝突したものを、ガス導入口へ到達させにくくすることができ、ケース内に異物が進入する虞を低減することができる。
【0012】
また、補強部の構造として、請求項2に係る発明のガス検出装置のように、その厚みが板片部との接続部分に向けて徐々に薄くなる構造を有すれば、補強部を構成する材料の使用を低減しつつ十分な強度を得ることができるので、ガス検出装置の低コスト化を図ることができる。
【0013】
また、請求項3に係る発明のガス検出装置では、ケースの蓋部に有する膨出部にガス導入口を形成し、通気孔をその膨出部のガス導入口に対向する位置に設けたことで、通気孔を通過した測定対象気体が膨出部のガス導入口を通り遮蔽壁に衝突してケース内に導かれる流路を形成することができる。これにより、より積極的に、測定対象気体を通気孔を介してケース内に進入させることができるので、ケース内における測定対象気体の交換を早め、ガスセンサの応答性を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明のガス検出装置の一実施の形態であるガス検出装置1を、図面を参照して説明する。ガス検出装置1はガスセンサ100(図4参照)を内蔵し、測定対象気体中の特定ガスの濃度変化を検出するものである。このガス検出装置1は、自動車のフロントグリル(図示外)の内側に設置され、自動車の走行に伴いフロントグリルを介し車体内に入り込む空気中に含まれる特定ガスの濃度変化を検出するものであり、このガス検出装置1の検出結果は、換気装置の外気導入、内気循環を選択するために用いられる。
【0015】
まず、本実施の形態のガス検出装置1の構成について、図1〜図9を参照して説明する。図1は、ガス検出装置1を平面、背面および左側面から見た斜視図である。図2は、ガス検出装置1の正面図である。図3は、ガス検出装置1の背面図である。図4は、図3の一点鎖線A−Aにおいて底面側から見たガス検出装置1の断面図である。図5は、図3の一点鎖線B−Bにおいて右側面側から見たガス検出装置1の断面図である。図6は、ガス検出装置1の左側面図である。図7は、ガス検出装置1の平面図である。図8は、ガス検出装置1の右側面図である。図9は、ガス検出装置1のケース部2を展開し、ケース本体部6、内蓋5および外蓋4をそれぞれ背面側から見た図である。
【0016】
なお、ガス検出装置1が自動車に取り付けられた際に、略直方体形状のケース部2を基準として、自動車の進行方向前方側をガス検出装置1の前面側、天地方向上方側をガス検出装置1の上面側として説明する。具体的には、図1に示す、ケース本体部6に対し蓋部3が設けられた側が背面側であり、ブラケット部7が形成された側が上面側となる。
【0017】
図1に示す、本実施の形態のガス検出装置1は、外蓋4および内蓋5からなる蓋部3とケース本体部6とからなる略直方体形状のケース部2の左側面側にコネクタ部9が設けられ、ケース本体部6の外側面にブラケット部7が連結されている。ガスセンサ100(図4参照)は、ケース本体部6の収容部60(図4参照)内に収容されている。このガス検出装置1は、自動車のフロントグリルの内側(後部)に、図2の正面図および図3の背面図に示すように、ケース本体部6の側壁61のうち、ブラケット部7の設けられた側の側壁61(図5参照)を鉛直方向上方に、コネクタ部9が設けられた側の側壁61(図4参照)を、自動車の前方から見て左側となるようにして取り付けられる。その際にはブラケット部7の板片部71に開口された2つの取付孔76を用いてねじ止めされる。なお、ケース部2が、本発明における「ケース」に相当する。
【0018】
図4,図5,図9に示すように、ケース本体部6は、背面側から見て略矩形の底壁62と、その外周に接続する側壁61とで囲まれた断面略コの字型の収容部60を有する。収容部60は、底壁62側をガス検出装置1の前面側とし、背面側は開放されている。その開放された背面側の側壁61の縁端は外方に鍔状に突出する鍔部63として形成され、鍔部63の背面側から収容部60の外縁を囲うように凹部64が溝設されている。この凹部64内にはゴム製のOリング66が係合されており、鍔部63の外周にあわせ板状に形成された蓋部3と鍔部63との間にOリング66が介在することによって、収容部60が密閉されている。
【0019】
収容部60内にはガスセンサ100を搭載した配線基板110が収容されており、マイクロコンピュータ、コンデンサ、抵抗など図示外の電子部品が搭載されている。この配線基板110は、底壁62より収容部60内に突設された2つの係止片65により挟まれ位置決めされ、後述するリード部材105と半田付けされる。
【0020】
ここで、ガスセンサ100は、自動車の排気ガス、具体的には、NOxなどの酸化性ガス、及びCO,HC(ハイドロカーボン)などの還元性ガスのいずれか、または両方の濃度変化を検知することができるガスセンサ素子101を、開口部102が形成されたセンサカバー103で包囲した構造を有している。
【0021】
このガスセンサ素子101の信号出力は配線基板110上の電子部品により処理され、目的とする特定ガス(酸化性ガス、還元性ガス)の濃度変化の情報としてリード部材105を通じて外部に出力される。図4に示すように、リード部材105は屈曲されており、一端側が配線基板110に半田付けされている。また、リード部材105の他端側は、ケース本体部6の左側面側の側壁61から突設された筒状のコネクタ部9内に突出されている。図6に示すように、コネクタ部9は、側面視、角部がR面取りされた長方形状に形成されており、その長手方向に、3つのリード部材105の先端部が列設されている。コネクタ部9には、図示外の外部回路(例えばECU)との電気的な接続を行うためのコネクタ(図示外)が接続される。
【0022】
次に、図5に示すように、ケース本体部6の上面側の側壁61には、ブラケット部7が突設されている。図5〜図8に示すように、ブラケット部7は、板状の板片部71と、板片部71の板厚方向に厚みを有する補強部75とから構成されている。板片部71は、ケース本体部6の底壁62(図5参照)を上面側の側壁61より突出させた形態で、底壁62と同一の平面を有し、底壁62よりも肉厚に形成されている。補強部75は、ケース本体部6の上面側の側壁61と板片部71との間に介在し両者を接続する形態で設けられており、その厚みが、板片部71の厚み方向において、側壁61から板片部71に向けて(ガス検出装置1の上方向に向けて)徐々に薄くなるように構成されている。なお、ブラケット部7が、本発明における「ブラケット」に相当する。
【0023】
また、図2に示すように、ブラケット部7の前面側には、略全面に、上下方向および左右方向において格子状となるようにブラケット部7の厚み方向に突設されたリブ77が形成されている。そして補強部75の右端側において形成されたリブ77の間の部位の一部が開口され、図1,図2,図5,図7〜図9に示すように、補強部75の厚み方向(ガス検出装置1の前後方向)に貫通する2つの通気孔80が形成されている。
【0024】
通気孔80は、リブ77とケース本体部6の上面側の側壁61とで、ガス検出装置1の前方より通気孔80内に入り込む空気を後方に案内する。この通気孔80の後方には後述する蓋部3(具体的には、外蓋4)の膨出部40が配置されており、空気が通気孔80によって膨出部40に向けて案内されるように、両者は位置決めされている。
【0025】
次に、図1に示すように、ケース本体部6の収容部60の開放された背面側に配設される蓋部3は、図4,図5に示すように、外蓋4と内蓋5とから構成される。図4〜図9に示すように、内蓋5は、ケース本体部6の鍔部63の外周形状にあわせた略矩形で厚みのある板状に形成され、鍔部63の外周の各所に形成されたロック爪67に、同様に内蓋5の外周の各所に突出して形成された係止爪57が係合することにより、収容部60が閉蓋される。このとき、収容部60は、内蓋5と鍔部63との間に介在されるOリング66によって密閉される。
【0026】
図4,図5,図9に示すように、この内蓋5には、収容部60内のガスセンサ100のセンサカバー103の開口部102と前後方向に重なる位置に、開口部51が穿孔されている。また内蓋5の収容部60側の面には、この開口部51を覆うように、空気などのガスは通すが水滴は通さない性質を有するフィルタ部材52が貼設されている。これにより、ガスセンサ素子101に対し、センサカバー103の開口部102と内蓋5の開口部51とを通じて空気などのガスを通気できるようになっている。
【0027】
さらに内蓋5には、空気の流路の一部をなす通気室50を形成するため外蓋4が嵌められる。図4〜図9に示すように、外蓋4は、ガス検出装置1の背面側から見て内蓋5と同様な略矩形の板状に形成された天板44を有し、その天板44の縁部は側板43として、一部を除きほぼ全周にわたって厚み方向に突設され、側板43と天板44とで凹部が形成されている。そして、内蓋5の外周の左右側側面に形成されたロック爪58に、側板43の同様の箇所に突出して形成された係止爪48が係合することにより、外蓋4は内蓋5に係止されている。このとき、側板43の開口側の端部は内蓋5に当接されている。これにより、外蓋4の側板43と天板44とからなる凹部と、内蓋5とで、通気室50としての空間が構成される。なお、側板43の上下側側面には、内蓋5の上下側側面に当接して外蓋4の位置決めをするための位置決片47が設けられている。
【0028】
また、図3,図9に示すように、外蓋4の右側上部(図3における左上の部位)は、ガス検出装置1の上方向に突出する膨出部40として形成されている。膨出部40では、外蓋4の側板43が膨出側板41として略コの字型に突出されており、その形状にあわせ、天板44の対応する部位が膨出天板42として略矩形に突出されている。膨出部40の形成部位において側板43は形成されておらず、図5に示すように、膨出部40のうちブラケット部7に面する部位が、外気と通気室50とを連通するガス取入口53として構成される。こうした構成において、側板43と天板44とで構成される凹部は、膨出部40の膨出側板41と膨出天板42とで構成される凹部に連続している。すなわち、膨出部40は、膨出側板41の開口側の端部である縁端部56側から外気を取り込み、膨出天板42および膨出側板41とで構成される凹部によって取り込んだ空気を通気室50へと案内する案内通路として機能する。なお、ガス取入口53が、本発明の請求項1における「ガス導入口」に相当する。また、膨出天板42が、本発明における「遮蔽壁」に相当する。
【0029】
図1,図2,図5,図7に示すように、この膨出部40は、ガス検出装置1の前後方向において、ブラケット部7(補強部75)に形成された通気孔80に対向する位置に設けられている。そして膨出天板42は、通気孔80によりその内部を通過する空気が案内される方向(ガス検出装置1の前後方向)と直交する平面を有し、通気孔80を通過した空気がガス検出装置1の後方に流れるのを遮蔽し、通気室50に取り込まれるように機能している。
【0030】
一方、図1,図3,図9に示すように、外蓋4の右側下部(図3における左下の部位)の側板43も形成されておらず、図5に示すように、この部位が、外気と通気室50とを連通するガス排出口54として構成される。さらに、図1,図4,図5,図9に示すように、外蓋4の天板44の面で、ガス検出装置1の前方側の面のうち、左右方向中央より右手側の部位には、側板43と同様の遮蔽突起45,46がそれぞれ左右方向に延設されている。この遮蔽突起45,46は、右手側に向けて互いに近づくように配置されており、側板43とは連続していない。外蓋4と内蓋5とが互いに嵌められた状態では、遮蔽突起45と遮蔽突起46との間の位置で、ガス取入口53から見た場合には遮蔽突起45により隠され、ガス排出口54から見た場合には遮蔽突起46により隠される位置に、内蓋5の開口部51が配置されている。
【0031】
次に、このような構成を有するガス検出装置1によってガス検出が行われる際の動作について説明する。前述したように、ガス検出装置1は、自動車のフロントグリルの内側に取り付けられる。自動車の走行に伴い、フロントグリルを介して車体内に取り込まれた空気は、ガス検出装置1の前方より前面(図2に示す側の面)に衝突し、上下左右の縁からガス検出装置1の後方に流れる。このとき、図1,図5,図7に示すように、通気孔80の正面に位置する空気は、流路AFで示すように、そのまま通気孔80内を通過して、ブラケット部7よりも後方側に流れる。
【0032】
ところで、雨粒や飛び石等の異物が空気に混ざっていた場合、通気孔80を通過できなかったり通気孔80の内面、すなわち、リブ77やケース本体部6の側壁61に衝突して付着したりすることで、通気孔80の後方への異物の通過は規制される。
【0033】
そして、通気孔80を通過し、その後方側に位置する外蓋4の膨出部40に到達した空気は、膨出側板41の縁端部56から膨出側板41で囲まれた部分(すなわち、ガス取入口53)に進入し、膨出天板42に衝突する。すると空気は、流路方向前方を膨出天板42に遮蔽され、その流路方向と直交する方向のうち三方を膨出側板41に囲まれた状態となり、流路AFが通気室50に向かう方向へと案内される。
【0034】
通気室50内において、空気はガス排出口54(開口部51)に向けて進もうとするが、遮蔽突起45に妨げられ、遮蔽突起45の両端を迂回する方向に流路AFが変更される。そして、遮蔽突起45を回り込んだ空気は開口部51より内蓋5を通過して、開口部102を通ってセンサカバー103内のガスセンサ素子101に達する。空気中に含まれる目的とする特定ガス(酸化性ガス、還元性ガス)の濃度変化に基づいてガスセンサ素子101から出力される信号出力は、配線基板110上の電子部品によって処理され、濃度変化の情報として外部回路(ECU等)に出力される。
【0035】
さらにガス取入口53より通気室50内に進入する空気によって、遮蔽突起45,46間の空気は押し出され、遮蔽突起46を迂回してガス排出口54へと向かう。このような流路AFに従って通気室50内を空気が流れることによって、ガスセンサ素子101の周囲の空気の交換がなされ、ガスセンサ素子101による特定ガスの濃度変化の検出が行われる。
【0036】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られず、各種の変更が可能である。例えば、ブラケット部7の補強部75に通気孔80を2つ形成したが、1つであっても3つ以上であってもよい。また、本実施の形態では、ブラケット部7の補強部75の膨出部40に対向する位置に通気孔80を形成したが、上記のように、リブ77の構造を残す状態で、補強部75の大部分に通気孔が開口されていてもよい。
【0037】
また、通気孔80と膨出部40との間にフード状の通路を設け、通気孔80とガス取入口53とを連結し、通気孔80を通過した空気のみがガス取入口53よりケース部2内に進入できるようにしてもよい。また、通気孔80にフィルタを設け、より確実に、雨粒や飛び石等の異物を除去できる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、ケースのブラケットに通気孔を形成したガス検出装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】ガス検出装置1を平面、背面および左側面から見た斜視図である。
【図2】ガス検出装置1の正面図である。
【図3】ガス検出装置1の背面図である。
【図4】図3の一点鎖線A−Aにおいて底面側から見たガス検出装置1の断面図である。
【図5】図3の一点鎖線B−Bにおいて右側面側から見たガス検出装置1の断面図である。
【図6】ガス検出装置1の左側面図である。
【図7】ガス検出装置1の平面図である。
【図8】ガス検出装置1の右側面図である。
【図9】ガス検出装置1のケース部2を展開し、ケース本体部6、内蓋5および外蓋4をそれぞれ背面側から見た図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ガス検出装置
2 ケース部
3 蓋部
6 ケース本体部
7 ブラケット部
40 膨出部
42 膨出天板
53 ガス取入口
56 縁端部
60 収容部
61 側壁
62 底壁
71 板片部
75 補強部
76 取付孔
80 通気孔
100 ガスセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象気体中の特定ガスの濃度変化を検出するガスセンサと、
前記ガスセンサを収容すると共に、自身の内部に前記測定対象気体を導入するためのガス導入口を有するケースと、
前記ケースの外側面の少なくとも一部から外側に向かって突出され、前記ケースを検出場所に取り付けるためのブラケットであって、
板状をなすと共に、自身の板厚方向に沿って取付部材を挿通させるための取付孔が形成された板片部と、前記ケースの前記外側面と前記板片部とを連結し、前記板片部の板厚よりも肉厚に形成された補強部と、前記補強部の厚み方向に沿って開口され、前記ガス導入口に向けて前記測定対象気体を導くための通気孔とを含むブラケットと
を備えたことを特徴とするガス検出装置。
【請求項2】
前記補強部は、その厚みが前記板片部との接続部分に向けて徐々に薄くなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガス検出装置。
【請求項3】
前記ケースは、底壁と側壁とに囲まれて凹状をなし、前記ガスセンサを内部に収容する収容部を有するケース本体部と、前記ケース本体部に装着されると共に、前記収容部を閉塞する蓋部とを含み、
前記ブラケットは、前記ケース本体部の前記側壁の前記外側面から突出しており、
前記蓋部には、前記ブラケット側の突出方向に対して突出した膨出部を有し、前記膨出部のうちで、前記ブラケットに面する側には前記ガス導入口が形成される一方、前記ブラケットに面する側とは反対側の位置には、前記測定対象気体の流通を遮蔽する遮蔽壁が形成され、
前記通気孔は、前記補強部のうち前記膨出部の前記ガス導入口に対向する位置に開口されていることを特徴とする請求項1または2に記載のガス検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−71604(P2007−71604A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256965(P2005−256965)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】