説明

ガス浄化装置及び方法、ガス化システム、ガス化発電システム

【課題】脱S剤の使用量を低減すると共に、酸性ガスの除去効率及びS成分の除去効率の向上したガス浄化装置及び方法、並びにそれを用いたガス化システム、ガス化発電システムを提供する。
【解決手段】改質炉15で改質された高温の改質ガス14を減温すると共に、液状のアルカリ剤16を供給して、改質ガス14中の酸性ガスを中和する減温塔17と、減温された冷却ガス18中の煤塵を集塵する第1の集塵装置20と、前記第1の集塵装置20の後流側の酸性ガスが除去された冷却ガス18を供給する煙道21中に脱S剤22を供給してなり、供給された脱S剤22の堆積層を形成する第2の集塵装置23と、ガス中の酸性ガス成分及びS成分を除去した浄化ガス24を減湿する減湿装置25と、減湿された減湿浄化ガス26を貯留するガスホルダ27と、該ガスホルダ27で貯留された貯留ガス28を用いて発電に供給するガスエンジン等29とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばバイオマス等をガス化したガス中の酸性ガス成分及び硫化水素等のS成分を効率よく除去するガス浄化装置及び方法、並びにそれを用いたガス化システム、ガス化発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
都市ごみ、下水汚泥、産業用廃棄物などの有機系廃棄物からエネルギー回収を図るために、廃棄物を熱分解によりガス化して燃料用ガス(ガス化ガス)を得るガス変換技術が、環境保全及び省資源の観点から注目されている。
【0003】
このガス変換技術のシステムとしては、廃棄物に水蒸気を添加して400〜900℃でガス化し、さらに900〜1500℃でクラッキングして、煤を含まないクリーンなCO、H2 リッチガスを得るシステムが開発されている。このシステムにおいては、ガス化剤(蒸気、酸素)を高温で供給することにより、部分燃焼割合を少なくして発熱量の高いガスを得て、このガス(燃料用ガス)により発電装置による発電などが行われる(特許文献1)。
【0004】
該ガス化ガス中には硫黄(S)成分が微量に含まれているので、脱硫する必要がある。従来においては、高温ガスで脱硫する場合、セラミックスフィルタを用いて、酸化鉄粉体を噴霧することが提案されている(特許文献2)。
【0005】
また、バイオマスガス化ガスに存在する硫化水素や塩化水素等を除去するために、高温ガスを冷却した後、集塵装置で集塵する直前に、脱S剤及び酸性ガス中和剤を供給し、硫化水素等のS成分及び塩化水素等の酸性ガスを除去することが提案されている(特許文献3)
【0006】
【特許文献1】特開2002−38164号公報
【特許文献2】特開昭64−134028号公報
【特許文献3】特開2005−239905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3の提案において、例えばその図3の構成のような集塵装置を2塔式とする場合、一度冷却装置で冷却した後に、煙道中に粉状の酸性ガス中和剤を供給しても、酸性ガスの除去はできるものの粉状のアルカリ剤では、硫化水素を除去することができず、後流側の集塵装置の前で供給する脱S剤の使用量が多くなる、という問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑み、脱S剤の使用量を低減すると共に、酸性ガスの除去効率及びS成分の除去効率の向上したガス浄化装置及び方法、並びにそれを用いたガス化システム、ガス化発電システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、原料をガス化してなる酸性ガス及び硫化水素を含む高温生成ガスを改質して改質ガスとする改質炉と、前記改質ガスを減温すると共に、半乾式状態で液状のアルカリ剤を供給してなる減温塔と、減温された冷却ガス中の煤塵を集塵する第1の濾過膜を備えてなると共に該第1の濾過膜の表面に前記アルカリ剤の堆積層を形成してなる第1の集塵装置と、前記第1の集塵装置の後流側の煙道中に、前記硫化水素を除去する粉状の脱S剤を対供給してなり、供給された脱S剤の堆積層を形成する第2の濾過膜を備えてなる第2の集塵装置と、冷却ガス中の酸性ガス成分及び硫化水素を除去した浄化ガスを減湿する減湿装置とを具備することを特徴とするガス浄化装置にある。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、冷却ガス中の酸性ガス成分及び硫化水素を除去した浄化ガスを減湿する減湿装置を具備することを特徴とするガス浄化装置にある。
【0011】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記アルカリ剤をミスト状で噴霧してなることを特徴とするガス浄化装置にある。
【0012】
第4の発明は、第1乃至3のいずれか一つの発明において、前記減湿装置から回収された廃水の一部を前記減温塔に用いてなることを特徴とするガス浄化装置にある。
【0013】
第5の発明は、第1乃至4のいずれか一つの発明において、前記第1の集塵装置と第2の集塵装置との間に加熱装置を介装し、第2の集塵装置へ送るガス温度を第1の集塵装置よりも高くしてなることを特徴とするガス浄化装置にある。
【0014】
第6の発明は、第1乃至5のいずれか一つの発明において、前記第1の集塵装置の後流側にガス中の酸性ガス成分量を計測する第1の分析装置を設けてなり、該酸性ガス量に応じて酸性ガス中和剤を供給してなると共に、前記第2の集塵装置の後流側にガス中のS成分量を計測する第2の分析装置を設けてなり、該S成分量に応じて脱S剤を供給してなることを特徴とするガス浄化装置にある。
【0015】
第7の発明は、第1乃至6のいずれか一つの発明において、前記第1の集塵装置と第2の集塵装置が一体化してなることを特徴とするガス浄化装置にある。
【0016】
第8の発明は、第1の発明において、前記脱S剤が、酸化亜鉛、酸化鉄、亜鉛・鉄化合物、酸化ニッケル、酸化銅、酸化コバルト、酸化モリブデン、活性炭の少なくとも一種又はこれらの混合物であることを特徴とするガス浄化装置にある。
【0017】
第9の発明は、第1乃至8のいずれか一つのガス浄化装置を備えてなることを特徴とするガス化システムにある。
【0018】
第10の発明は、第1乃至8のいずれか一つのガス浄化装置を備えてなることを特徴とするガス化発電システムにある。
【0019】
第11の発明は、第9の発明において、高温のガスを得るガス化炉が、バイオマスガス化炉、ゴミガス化炉、下水汚泥ガス化炉、石炭ガス化炉のいずれか一つであることを特徴とするガス化システムにある。
【0020】
第12の発明は、第10の発明において、高温のガスを得るガス化炉が、バイオマスガス化炉、ゴミガス化炉、下水汚泥ガス化炉、石炭ガス化炉のいずれか一つであることを特徴とするガス化発電システムにある。
【0021】
第13の発明は、酸性ガス及び硫黄(S)成分を含有する高温ガスを減温する減温場にミスト状のアルカリ剤を供給し、冷却されたガスを第1の集塵装置で集塵し、前記ガス中の酸性ガスを除去すると共に、S成分の一部を除去し、次いで脱S剤を供給して第2の集塵装置でS成分を除去することを特徴とするガス浄化方法にある。
【0022】
第14の発明は、第13の発明において、前記第1の集塵装置の温度が180℃以下であり、第2の集塵装置の温度が第1の集塵装置を出たガス温度よりも20℃以上高い温度であることを特徴とするガス浄化方法にある。
【0023】
第15の発明は、第13又は14の発明において、前記脱S剤の噴霧に浄化ガスを利用することを特徴とするガス浄化方法にある。
【0024】
第16の発明は、第13乃至15のいずれか一つの発明において、前記未反応の脱S剤を再利用することを特徴とするガス浄化方法にある。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、高温ガスを減温する減温塔内の空間に液状のアルカリ剤を供給するので、半乾式状態で酸性ガスと反応し反応除去効率が向上すると共に、硫化水素の一部を除去することとなる。これにより、後段側で供給する脱S剤の酸性ガスの悪影響をほとんど受けず、供給量の低減を図ることができ、システム効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0027】
本発明によるガス浄化装置について、詳細に説明する。
図1は、実施例1にかかるガス浄化装置を有するガス化システムの概略図である。図1に示すように、本実施例にかかるガス化システム10Aは、例えばバイオマス等の原料11をガス化して高温生成ガス12を得るガス化炉13と、前記高温生成ガス12を水蒸気改質してCO、H2成分リッチの改質ガス14とする改質炉15と、前記改質ガス14を減温すると共に、半乾式状態で液状のアルカリ剤16を供給して、改質ガス14中の酸性ガスを中和する減温塔17と、減温された冷却ガス18中の煤塵を集塵する第1の濾過膜20aを備えてなると共に該第1の濾過膜20aの表面に前記アルカリ剤16の堆積層(図示せず)を形成してなる第1の集塵装置20と、前記第1の集塵装置20の後流側の酸性ガスが除去された冷却ガス18を供給する煙道21中に脱S剤22を供給してなり、供給された脱S剤22の堆積層(図示せず)を形成する第2の濾過膜23aを備えてなる第2の集塵装置23と、冷却ガス中の酸性ガス成分及びS成分を除去した浄化ガス24を減湿する減湿装置25と、減湿された減湿浄化ガス26を貯留するガスホルダ27と、該ガスホルダ27で貯留された貯留ガス28を用いて発電に供給するガスエンジン(G/E)等29とを具備するものである。なお、改質炉15の後流側には必要に応じて熱回収装置が設置されている。
【0028】
また、本発明において、前記生成ガス12としては、ガス化物である原料を熱分解して改質したO2成分が少ないガスである。
前記ガス化物の原料11としては、バイオマス以外に、例えば木屑、ごみ、下水汚泥、石炭等を挙げることができ、これらをガス化炉13でガス化し、ガス化したガスを改質して、可燃ガスである一酸化炭素や水素にするようにしている。
なお、ガスホルダ27は必要に応じて設けても設けなくてもよい。
【0029】
本発明では、前記改質炉15で改質された高温ガスを減温する減温塔17の内部空間に、アルカリ剤供給装置31からアルカリ剤をミスト状態で噴霧し、液状状態から乾燥状態になる過程で、酸性ガスの除去、硫化水素も除去される。このように、高温場の塔内にミストを噴霧することにより半乾式状態で、気液接触反応となり、酸性ガスのみならず、硫化水素の一部も除去できることとなる。この結果、従来のような冷却装置で冷却した後に、酸性ガスを中和する中和剤を供給する場合に較べて、高温場での反応となり、酸性ガス除去効率が向上すると共に、硫化水素の一部も除去することとなるので、第1の集塵装置20の後流側で供給する脱S剤22の供給量を低減することができる。
【0030】
ここで、本発明で半乾式状態とは、減温塔17の高温場(300〜1000℃の生成ガスが供給される。)の塔内部に、ミスト状で液状アルカリを供給することにより、液状から乾燥状態に変化することをいう。
【0031】
ここで、減温塔17内部に噴霧する形態としては、液状のアルカリを例えばノズルによりミスト状で塔内に供給するようにしている。前記ノズルは、例えば二流体ノズル、ロータリアトマイザ等を用いればよい。
【0032】
前記ミスト径は、最大粒径が200μm以下、平均粒径が30〜70μm、好適には40〜50μmとするのが好ましい。これにより、酸性ガスとの接触効率が向上し、生成ガス中の酸性ガスの除去効率の向上を図ることができる。また、未蒸発による腐食や灰堆積による閉塞トラブルを回避できる。
【0033】
また、アルカリ剤の当量比としては、硫化水素を含む酸性ガスに対して、6未満、好ましくは3未満とするのが好ましい。
【0034】
この酸性ガスを中和するアルカリ剤16は、例えば水酸化ナトリウム水溶液、消石灰スラリ、重曹水溶液又はスラリ等のアルカリ水溶液を例示することができる。また、濾過膜を保護する珪藻土等の助剤も供給するようにしてもよい。
ここで、前記アルカリ剤として水酸化ナトリウムを用いた場合には、生成ガス中に仮にシアン化水素がした場合に反応して、シアン化ナトリウムとして固定化し、集塵装置20で除去することができる。
また、アルカリ剤として水酸化カルシウム(消石灰)を用いた場合には、塩化カルシウムとして固定化することとなるので、水酸化ナトリウムを用いることで、前記第1の集塵装置20の回収灰の潮解によるトラブルを回避することができる。特に水蒸気が多いガス化ガスでは、灰のハンドリングが容易となる。
【0035】
前記減温塔17で乾燥状態となったアルカリ剤はガス中の酸性ガスを中和しつつ、煙道にて第1の集塵装置20に運ばれ、第1の濾過膜20aおいて酸性ガス中和剤の堆積層を形成し、ここで通過するガス中の酸性ガス分(HCl、SOx等)を最終的に吸着・捕集することとなる。
【0036】
これにより、従来のように減温した後の煙道中に、アルカリ剤を供給する場合と異なり、高温場の減温塔内に、供給することで第1の集塵装置20までのアルカリ剤の滞留が長くなり、酸性ガス除去効率を向上させることができる。
【0037】
ここで、第1の集塵装置20及び第2の集塵装置23は、温度が150〜400℃、好ましくは150〜200℃で集塵し、集塵用のフィルタはガラス繊維、フェルト、PTFEコーティングろ布、セラミックフィルタ等を挙げることができる。
【0038】
また、アルカリ剤をペレット状態として、ガス化炉13又は改質炉15中に別途投入しておき、酸性ガスを除去するようにしてもよい。
【0039】
また、前記生成ガス中に含まれるS成分とは、硫化水素(H2S)以外に、COS等の硫化物又はSO、SO2、SO3、SO4、S23等の酸化硫黄等を挙げることができる。
【0040】
本発明で脱S剤22とは、例えば酸化亜鉛、酸化鉄、亜鉛・鉄化合物、ニッケル等の遷移金属の酸化物、銅、活性炭、ゼオライト等を挙げることができ、特に酸化亜鉛が好ましい。これは、硫化水素と反応した場合において、他の脱S剤に比べて反応性及びコスト面で優れているためである。なお、前記脱S剤22は脱S剤供給装置32から粉状で煙道21内に噴霧されている。前記脱S剤の噴霧に浄化ガス24を利用するようにしてもよい。
【0041】
前記脱S剤22は粉体状であり、数10μm〜数100μm程度とすればよい。これにより、S成分との接触面積が増大し、反応効率が向上する。この結果、利用率の向上及び除去効率が向上する。
また、脱S剤22の当量比としては、4未満、好ましくは3未満とするのが好ましい。
【0042】
前記第1の集塵装置20で集塵された煤塵33は所定時間経過した後逆洗浄により第1の濾過膜20aから払い落とされ、別途回収・除去される。
また、前記第2の集塵装置23で集塵されたZnS等34は所定時間経過した後逆洗浄により第2の濾過膜23aから払い落とされ、別途回収・除去される。
【0043】
前記減湿装置25は、間接熱交換式又は直接熱交換式のいずれの方式による減湿方法でもよいが、その廃水量がより少ない間接熱交換式の装置とすることが望ましい。
【0044】
なお、発電設備として、ガスエンジンに限定されるものではなく、ガスタービン、燃料電池等のガスを用いて発電することができる各種発電装置におけるガスの浄化に適用することができる。
【0045】
また、本実施例では、ガス化発電システムにおけるガス浄化装置を適用した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばバイオマスからのガス化ガスを改質してメタノール等を得るシステムに適用することもできる。
【実施例2】
【0046】
図2は、実施例2にかかるガス浄化装置を有するガス化システムの概略図である。なお、図1に示す実施例1の装置の構成と同一部材については、同一符号を付してその説明は省略する。図2に示すように、本実施例にかかるガス化システム10Bは、実施例1のシステムにおいて、減湿装置25で排出される廃水35の一部を減温塔17へ供給して再利用するものである。これにより、廃水の量を低減することができる。
【実施例3】
【0047】
図3は、実施例3にかかるガス浄化装置を有するガス化システムの概略図である。なお、図1に示す実施例1の装置の構成と同一部材については、同一符号を付してその説明は省略する。図3に示すように、本実施例にかかるガス化システム10Cは、実施例1のシステムにおいて、第1の集塵装置20と第2の集塵装置23とを連結する煙道21に、ガス加熱装置41を設け、第1の集塵装置20からのガスの温度を上昇させるようにしている。
【0048】
そして、第1の集塵装置20に送る冷却ガス18のガス温度を180℃以下となるように調整している。これは、酸性ガスの除去は低温状態であればあるほどその除去効率が向上するからである。なお、この場合においても酸露点の関係から100℃以下までは温度を下げないようにしている。
【0049】
前記加熱装置41により、一度冷却されたガスを第1の集塵装置20から供給されるガス温度よりも20℃以上に昇温させることにより、脱S除去反応の反応効率の向上を図るようにしている。
【実施例4】
【0050】
図4は、実施例4にかかるガス浄化装置を有するガス化システムの概略図である。なお、図1に示す実施例1の装置の構成と同一部材については、同一符号を付してその説明は省略する。図4に示すように、本実施例にかかるガス化システム10Dは、実施例1のシステムにおいて、第1の集塵装置20から排出される浄化したガス中の酸性ガス成分を計測する第1の分析装置51と、第2の集塵装置23から排出される浄化したガス中のS成分(H2S,SOx)を計測する第2の分析装置52を設けたものである。この第1の分析装置51及び第2の分析装置52の分析情報を演算装置(図示せず)で処理し、アルカリ剤16及び脱S剤22の供給を制御するように、制御信号を送るようにしている。これにより、常に適切な範囲のアルカリ剤16及び脱S剤22を供給することができ、効率的なガスの浄化が可能となる。また、第1の集塵装置20、第2の集塵装置23の集塵力及び脱S剤の判断の指標とすることができる。
【実施例5】
【0051】
図5は、実施例5にかかるガス浄化装置を有するガス化システムの概略図である。なお、図1に示す実施例1の装置の構成と同一部材については、同一符号を付してその説明は省略する。図4に示すように、本実施例にかかるガス化システム10Eは、実施例1のシステムにおいて、第2の集塵装置23で例えば逆洗浄操作によって定期的に払いおとされる堆積層であるZnS等34を含むダストの一部を分離装置36により分離し、脱S剤供給装置32に戻して、ダスト中の未反応の脱S剤22を再利用するものである。これにより高価な脱S剤の使用コストの低減を図ることができる。
【0052】
また、図6に示すように、第1の集塵装置20と第2の集塵装置23との壁面をつき合わせて、両者を一体化させ、一体型集塵装置50とすることもできる。これにより、集塵装置の設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0053】
このように、高温ガスを減温する減温塔17内にアルカリ剤16を噴霧することで、ガス中の酸性ガスの効率的な除去を行うと共に、S成分の一部も除去することができるので、第2の集塵装置23の前段側で供給する高価な脱S剤22の供給量の低減を図ることができ、従来よりも反応効率の向上と処理費用の低減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように、本発明にかかるガス浄化装置は、高温ガスを減温する減温塔内にアルカリ剤を半乾式状態で噴霧することで、ガス中の酸性ガスの効率的な除去を行うと共に、S成分の一部も除去することができ、ガス化ガスの精製に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施例1にかかるガス浄化装置の概略図である。
【図2】実施例2にかかるガス浄化装置の概略図である。
【図3】実施例3にかかるガス浄化装置の概略図である。
【図4】実施例4にかかる他のガス浄化装置の概略図である。
【図5】実施例5にかかる他のガス浄化装置の概略図である。
【図6】一体型集塵装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
10A〜E ガス化システム
11 原料
12 生成ガス
13 ガス化炉
14 改質ガス
15 改質炉
16 アルカリ剤
17 減温塔
18 冷却ガス
19 濾過膜
20 第1の集塵装置
21 煙道
22 脱S剤
23 第2の集塵装置
24 浄化ガス
25 減湿装置
26 減湿浄化ガス
27 ガスホルダ
28 貯留ガス
29 ガスエンジン(G/E)等

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料をガス化してなる酸性ガス及び硫化水素を含む高温生成ガスを改質して改質ガスとする改質炉と、
前記改質ガスを減温すると共に、半乾式状態で液状のアルカリ剤を供給してなる減温塔と、
減温された冷却ガス中の煤塵を集塵する第1の濾過膜を備えてなると共に該第1の濾過膜の表面に前記アルカリ剤の堆積層を形成してなる第1の集塵装置と、
前記第1の集塵装置の後流側の煙道中に、前記硫化水素を除去する粉状の脱S剤を対供給してなり、供給された脱S剤の堆積層を形成する第2の濾過膜を備えてなる第2の集塵装置とを具備することを特徴とするガス浄化装置。
【請求項2】
請求項1において、
冷却ガス中の酸性ガス成分及び硫化水素を除去した浄化ガスを減湿する減湿装置を具備することを特徴とするガス浄化装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記アルカリ剤をミスト状で噴霧してなることを特徴とするガス浄化装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
前記減湿装置から回収された廃水の一部を前記減温塔に用いてなることを特徴とするガス浄化装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つにおいて、
前記第1の集塵装置と第2の集塵装置との間に加熱装置を介装し、第2の集塵装置へ送るガス温度を第1の集塵装置よりも高くしてなることを特徴とするガス浄化装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一つにおいて、
前記第1の集塵装置の後流側にガス中の酸性ガス成分量を計測する第1の分析装置を設けてなり、該酸性ガス量に応じて酸性ガス中和剤を供給してなると共に、
前記第2の集塵装置の後流側にガス中のS成分量を計測する第2の分析装置を設けてなり、該S成分量に応じて脱S剤を供給してなることを特徴とするガス浄化装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一つにおいて、
前記第1の集塵装置と第2の集塵装置が一体化してなることを特徴とするガス浄化装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記脱S剤が、酸化亜鉛、酸化鉄、亜鉛・鉄化合物、酸化ニッケル、酸化銅、酸化コバルト、酸化モリブデン、活性炭の少なくとも一種又はこれらの混合物であることを特徴とするガス浄化装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一つのガス浄化装置を備えてなることを特徴とするガス化システム。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか一つのガス浄化装置を備えてなることを特徴とするガス化発電システム。
【請求項11】
請求項9において、
高温のガスを得るガス化炉が、バイオマスガス化炉、ゴミガス化炉、下水汚泥ガス化炉、石炭ガス化炉のいずれか一つであることを特徴とするガス化システム。
【請求項12】
請求項10において、
高温のガスを得るガス化炉が、バイオマスガス化炉、ゴミガス化炉、下水汚泥ガス化炉、石炭ガス化炉のいずれか一つであることを特徴とするガス化発電システム。
【請求項13】
酸性ガス及び硫黄(S)成分を含有する高温ガスを減温する減温場にミスト状のアルカリ剤を供給し、冷却されたガスを第1の集塵装置で集塵し、前記ガス中の酸性ガスを除去すると共に、S成分の一部を除去し、次いで脱S剤を供給して第2の集塵装置でS成分を除去することを特徴とするガス浄化方法。
【請求項14】
請求項13において、
前記第1の集塵装置の温度が180℃以下であり、第2の集塵装置の温度が第1の集塵装置を出たガス温度よりも20℃以上高い温度であることを特徴とするガス浄化方法。
【請求項15】
請求項13又は14において、
前記脱S剤の噴霧に浄化ガスを利用することを特徴とするガス浄化方法。
【請求項16】
請求項13乃至15のいずれか一つにおいて、
前記未反応の脱S剤を再利用することを特徴とするガス浄化方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−38014(P2008−38014A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−213801(P2006−213801)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】