説明

ガス混合装置と方法

【課題】圧縮機の圧縮能力を不連続的に切り換えても、圧縮機からの送出ガスと気化装置からの燃焼用ガスとの混合率が急激に変化することを防止する。
【解決手段】液化ガスから生成された燃焼用ガスに所定のガスを混合させるガス混合装置であって、液化ガスから燃焼用ガスを生成する気化装置3と、気化装置3からの燃焼用ガスが流れる燃焼用ガス管5と、燃焼用ガスに混合させるガスを送出する圧縮機7と、圧縮機7のガス出口から延びて燃焼用ガス管5に接続される混合用ガス管9と、混合用ガス管9に設けられ開度が調節可能な開度調節弁11と、圧縮機7を制御するとともに開度調節弁11の開度を制御する制御装置13と、を備える。制御装置13は、圧縮機7の圧縮能力を不連続的に切り換えるときに、開度調節弁11の開度を変化させ、これにより、混合用ガス管9から燃焼用ガス管5に流入するガス量変化を緩和する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガスから生成された燃焼用ガスに、圧縮機からの送出ガスを混合させるガス混合装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなガス混合装置は、一部のLNG受入れ基地に設けられている。図6(A)は、ガス混合装置が設けられていないLNG受入基地の構成図であり、図6(B)は、ガス混合装置が設けられたLNG受入基地の構成図である。
【0003】
図6(A)に示すように、LNG受入基地には、ローディングアーム21、受入管23、貯蔵タンク16、および、戻りガス管25が設けられる。
図6(A)において、ローディングアーム21は、LNGを輸送してきたLNG船に接続するためのものである。このローディングアーム21には、カーゴポンプによりLNG船タンク29内のLNGが送り込まれる。受入管23は、ローディングアーム21を通してLNG船タンク2のLNGを受け入れる。貯蔵タンク16は、受入管23を通してLNG船タンク29から送り込まれるLNGを貯蔵する。なお、戻りガス管25、戻りガスブロア27は、LNG受入時に圧力の低下したLNG船タンク29へBOG(Boil Off Gas)を戻すためのものである。
図6(A)の構成において、上記のように貯蔵タンク16に蓄えられたLNGは、ポンプ16aにより気化装置3に供給され、気化装置3において燃焼用ガスに気化される。この燃焼用ガスは燃焼用ガス管5を通して所定の需要箇所へ供給される。
また、図6(A)の構成において、LNG貯蔵中における貯蔵タンク16への入熱などにより、貯蔵タンク16内のLNGは蒸発してBOGとなる。このBOGは、BOG圧縮機7へ送られる。BOG圧縮機7で圧縮されたBOGは、発電所のボイラへ送出されて燃焼処理される。
【0004】
一方、図6(B)に示すように、ガス混合装置を備える近年のLNG受入基地では、図6(A)の構成に混合用ガス管9が付加されている。ガス混合装置は、混合用ガス管9、気化装置3、圧縮機7(BOG圧縮機)、燃焼用ガス管5、混合用ガス管9から構成され、圧縮機7からのBOGを気化装置3からの燃焼用ガスに混合する。なお、燃焼用ガス管5内のガスは高圧であるため、圧縮機7はBOGを高圧に昇圧する。
図6(B)のように、近年、発電効率を高めるため、混合されたガスは発電所のガスタービンへ供給されることが行われている。ガスタービンでの発電は、上述のボイラでの発電と比較して発電効率が高い。例えば、ガスタービンは、蒸気タービンと組み合わされ、上記混合ガスの燃焼でガスタービンを駆動し、このガスタービンの排熱により発生した蒸気を蒸気タービン駆動用として利用し、発電などの効率を向上させる。
【0005】
本願の先行技術文献として、上述のガス混合装置が記載された特許文献1や、特許文献2〜5がある。
【特許文献1】特開平3−236588号公報
【特許文献2】特開2007−277346号公報
【特許文献3】特開2002−98296号公報
【特許文献4】特開2001−201041号公報
【特許文献5】特開2004−99717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図6(B)において、ガスタービンでは、燃焼の安定性を高く維持する必要があり、そのため、供給される燃料ガス成分の比率が急激に変化しないことが要求される。
しかし、BOG圧縮機7としては、レシプロ式の圧縮機が使用され、レシプロ式圧縮機では、その圧縮能力変化(即ち、圧縮容量変化)が不連続的であるため、圧縮機の圧縮容量を切り換えると、ガス送出量も不連続的に切り換えられる。その結果、圧縮機からの送出ガスと燃焼用ガスの混合率(カロリー変化)が急激に変化することになり、ガスタービンの上記要求を満たせなくなる。特に、前記燃焼用ガスに対するBOGの割合が大きくなる小規模発電所のガスタービンでは、この問題が大きくなる。
【0007】
なお、特許文献2では、圧縮機からの送出ガスと燃焼用ガスとの混合ガスを、ミキシングタンクで細かに混合することで、急激な混合率変化(カロリー変化)を緩和している。しかし、ミキシングタンクのコストが大きく、その設置スペースも必要となる。
【0008】
このようなことから、特許文献2と異なる手段により、燃料ガス成分の混合比率が急激に変化する問題を解決することが望まれている。
【0009】
そこで、本発明の目的は、特許文献2と異なる手段により、圧縮機の圧縮能力を不連続的に切り換えても前記混合率が急激に変化することを防止できるガス混合装置と方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明によると、液化ガスから生成された燃焼用ガスに所定のガスを混合させるガス混合装置であって、
液化ガスから燃焼用ガスを生成する気化装置と、
該気化装置からの燃焼用ガスが流れる燃焼用ガス管と、
燃焼用ガスに混合させるガスを送出する圧縮機と、
該圧縮機のガス出口から延びて前記燃焼用ガス管に接続される混合用ガス管と、
該混合用ガス管に設けられ、開度が調節可能な開度調節弁と、
前記圧縮機を制御するとともに、前記開度調節弁の開度を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記圧縮機の圧縮能力を不連続的に切り換えるときに、前記開度調節弁の開度を変化させ、これにより、前記混合用ガス管から前記燃焼用ガス管に流入するガス量変化を緩和する、ことを特徴とするガス混合装置が提供される。
【0011】
また、上記目的を達成するため、本発明によると、液化ガスから生成された燃焼用ガスに所定のガスを混合させるガス混合方法であって、
液化ガスから燃焼用ガスを生成する気化装置と、
該気化装置からの燃焼用ガスが流れる燃焼用ガス管と、
燃焼用ガスに混合させるガスを送出する圧縮機と、
該圧縮機のガス出口から延びて前記燃焼用ガス管に接続される混合用ガス管と、
該混合用ガス管に設けられ、開度が調節可能な開度調節弁と、を設け、
前記圧縮機の圧縮能力を不連続的に切り換えるときに、前記開度調節弁の開度を変化させ、これにより、前記混合用ガス管から前記燃焼用ガス管に流入するガス量変化を緩和する、ことを特徴とするガス混合方法が提供される。
【0012】
上述した本発明によるガス混合装置では、制御装置は、前記圧縮機の圧縮能力を不連続的に切り換えるときに、前記開度調節弁の開度を変化させ、これにより、前記混合用ガス管から前記燃焼用ガス管に流入するガス量変化を緩和することができる。このようにすることで、圧縮機からの送出ガスと気化装置からの燃焼用ガスとの混合率が急激に変化することを防止できる。
【0013】
具体的には、次のように前記開度調節弁の開度を変化させるのがよい。
前記制御装置は、
(A)前記開度調節弁の開度を徐々に減少させ、
(B)次いで、前記圧縮機の圧縮能力を不連続的に切り換える。
【0014】
このように、前記開度調節弁の開度を徐々に減少させたら、前記圧縮機の圧縮能力を不連続的に切り換えることで、圧縮能力の切換時に、前記混合用ガから前記燃焼用ガス管に流入するガス量変化を緩和することができる。即ち、圧縮能力の切換により前記開度調節弁を通過するガス量が変化するが、圧縮能力の切換前に前記開度調節弁の開度を小開度にしておくとで、当該変化を緩和することができる。
この場合、開度を小開度に減少させると、混合用ガス管から燃焼用ガス管へ流れ込むガス量が変化するが、開度減少を徐々に行うことで、当該変化も小さく抑えることができる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によると、前記制御装置は、
(A)前記圧縮機の圧縮能力を不連続的に切り換え、
(B)次いで、前記開度調節弁の開度を(小開度から)徐々に増加させる。
【0016】
このように、前記圧縮機の圧縮能力を不連続的に切り換えたら、前記開度調節弁の開度を、(小開度から)徐々に増加させることで、切り換えられた圧縮機の圧縮能力に適切である開度に調節できる。
この場合、開度を増加させると、混合用ガス管から燃焼用ガス管へ流れ込むガス量が変化するが、開度増加を徐々に行うことで、当該変化も小さく抑えることができる。
【0017】
また、本発明の好ましい実施形態によると、前記混合用ガス管は、途中で分岐した複数の分岐管を有し、
これら分岐管は、それぞれ、異なる位置において燃焼用ガス管に接続されている。
【0018】
このように、前記混合用ガス管は、途中で分岐した複数の分岐管を有し、これら分岐管は、それぞれ、異なる位置において燃焼用ガス管に接続されているので、圧縮機からのガス送出量が不連続的に切り換っても、圧縮機からの送出ガスと気化装置からの燃焼用ガスとの混合率が変化する位置が複数位置に分散される。混合率が変化する位置が分散された分、混合率の変化を緩和でき、これにより、圧縮機からの送出ガスと気化装置からの燃焼用ガスとの混合率の変化を一層緩和できる。
【0019】
また、本発明の好ましい実施形態によると、前記圧縮機の前記ガス出口と前記開度調節弁との間において、前記混合用ガス管にバッファータンクが設けられている。
【0020】
このように、前記混合用ガス管にバッファータンクが設けられているので、圧縮能力の切り換えおよび開度調節弁の開度変化による混合用ガス管のガス量変化をバッファータンクで緩和することができる。特に、圧縮能力の増加および開度調節弁の開度減少により、開度調節弁の上流側で増加するガスを、バッファータンクに蓄積させることができる。
また、バッファータンクの蓄圧効果により、圧縮能力の不連続的切換時において、圧縮機からの送出ガスと気化装置からの燃焼用ガスとの混合率の変化を一層緩和できる。
さらに、圧縮機が運転中に、異常動作して圧縮能力が不連続的に切り換えられてしまった場合にも、バッファータンクにより前記混合率の変化を緩和できる。
【発明の効果】
【0021】
上述した本発明によると、圧縮機の圧縮能力を不連続的に切り換えても、圧縮機からの送出ガスと気化装置からの燃焼用ガスとの混合率が急激に変化することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態によるガス混合装置10の構成図である。図1に示すように、ガス混合装置10は、液化ガスから生成された燃焼用ガスに所定のガス(この例では、BOG)を混合させる装置であって、気化装置3、燃焼用ガス管5、圧縮機7、混合用ガス管9、開度調節弁11、制御装置13を備える。
【0024】
気化装置3は、LNGの貯蔵タンク16から供給されるLNGを気化して燃焼用ガスを生成する。例えば、海水を用いてLNGを加熱し気化することができる。
【0025】
燃焼用ガス管5(送ガス管)は、気化装置3により生成された燃焼用ガスを所定の需要箇所に送るためのガス管である。第1実施形態では、所定の需要箇所は発電用のガスタービン(例えばコンバインドサイクルのガスタービン)である。
【0026】
圧縮機7は、その圧縮能力が不連続的に切り換えられる圧縮機7であり、図1の例では、レシプロ式BOG圧縮機である。BOG圧縮機7は、貯蔵タンク16内に外部より侵入する熱のため蒸発するLNGを燃焼用ガス管5へ圧送するために設けられている。
図2は、レシプロ式圧縮機の構成図である。この圧縮機は往復動圧縮機であり、その圧縮容量が段階的に切り換えられる。図2の斜線部分は負荷領域を示している。この圧縮機には、アンローダ弁(図示せず)とクリアランス弁7aとが設けられている。アンローダ弁は、往復運動するピストン7bの両側の圧力をそれぞれ独立して開放する弁であり、このアンローダ弁を開くことにより、ピストン7bの片側の圧力を開放して往復動における一方の圧力上昇をなくし、圧縮容量を半減できるようになっている。一方、クリアランス弁7aは、往復動するピストン7bの一方の圧縮室とこれに連通した別の圧縮室との間を開閉する弁であり、クリアランス弁7aを開くことにより、圧縮室のすきま容量を倍増させ圧縮能力を半減できるようになっている。従って、アンローダ弁とクリアランス弁7aを組み合わせて制御することにより、図2に示すように、圧縮容量(圧縮能力)を、0%、25%、50%、75%、100%の5段階に調節することができる。
【0027】
混合用ガス管9(BOG管)は、圧縮機7のガス出口から延びて燃焼用ガス管5の混合箇所に接続される。
【0028】
開度調節弁11は、混合用ガス管9に設けられ、その開度が調節可能となっている。開度調節弁11の開度は、圧縮機7の圧縮能力に応じて設定されていてよい。例えば、前記圧縮容量が0%の時には前記開度がx1であり、前記圧縮容量が25%の時には前記開度がx2であり、前記圧縮容量が50%の時には前記開度がx3であり、前記圧縮容量が75%の時には前記開度がx4であり、前記圧縮容量が100%の時には前記開度がx5であるように、前記開度が設定されていてよい。なお、x1<x2<x3<x4<x5である。
【0029】
制御装置13は、圧縮機7の圧縮能力を不連続的に切り換えるときに、開度調節弁11の開度を変化させ、これにより、混合用ガス管9から燃焼用ガス管5に流入するガス量変化を緩和する。また、制御装置13は、圧縮機7の圧縮能力を切り換えない定常時において、開度調節弁11の開度を、圧縮機7の圧縮能力に応じて上記のように設定されている設定開度にする。
【0030】
なお、燃焼用ガス管5内は高圧となっているため、燃焼用ガス管5から混合用ガス管9へガスが逆流しないように、逆止弁15が混合用ガス管9に設けられている。燃焼用ガス管5内が高圧でなく前記逆流が生じない場合には、逆止弁15は設けなくてもよいし、逆止弁15の代わりに開閉弁15を設けてもよい。
【0031】
次に、上述の構成を有するガス混合装置10を用いたガス混合方法を説明する。このガス混合方法を図3のフローチャートに示す。
【0032】
(圧縮能力を減少させる場合)
ステップS1において、圧縮能力を減少させる前において、開度調節弁11の開度は、現在の圧縮能力に応じて設定された設定開度にされている。
ステップS2において、制御装置13は、開度調節弁11の開度を徐々に減少させる制御を行う。これにより、開度調節弁11の開度が、ステップS3後の設定開度にされる。即ち、開度調節弁11の開度が、後のステップS3で減少させられた圧縮能力に応じて設定された設定開度にされる。ステップS2の制御は、圧縮能力減少指令信号が制御装置13に入力されることで、行われてよい。圧縮能力減少指令信号は、人が所定の操作装置を操作することで、制御装置13に入力されてよい。なお、圧縮能力減少指令信号は、圧縮能力の減少量(減少段階数)の情報を含む。
次いで、ステップS3において、制御装置13は、前記圧縮能力減少指令信号に基づいて、圧縮機7の圧縮能力を不連続的に減少させる。この減少は、1段階の減少でも2段階以上の減少であってもよい。
【0033】
なお、ステップS2において、制御装置13は、開度調節弁11の開度を、徐々に減少させることで、ステップS3で減少させられた圧縮能力に応じて設定された設定開度よりも小さい開度にしてもよい。この場合、ステップS3を行ったら、制御装置13は、開度調節弁11の開度を徐々に増加させることで、開度調節弁11の開度を、ステップS3で減少させられた圧縮能力に応じて設定された設定開度にする。
【0034】
(圧縮能力を増加させる場合)
ステップS11において、圧縮能力を増加させる前において、開度調節弁11の開度は、現在の圧縮能力に応じて設定された設定開度にされている。
ステップS12において、制御装置13は、圧縮機7の圧縮能力を不連続的に増加させる制御を行う。この制御は、例えば、圧縮能力増加指令信号が制御装置13に入力されることで、行われてよい。圧縮能力増加指令信号は、人が所定の操作装置を操作することで、制御装置13に入力されてよい。なお、圧縮能力増加指令信号は、圧縮能力の増加量(増加段階数)の情報を含む。圧縮能力の増加は、1段階の増加でも2段階以上の増加であってもよい。
次いで、ステップS13において、制御装置13は、開度調節弁11の開度を徐々に増加させる制御を行う。これにより、開度調節弁11の開度が、ステップS12で増加させられた圧縮能力に応じて設定された設定開度にされる。好ましくは、ステップS13は、ステップS12の直後に行われる。
【0035】
なお、制御装置13は、圧縮能力増加指令信号が入力されると、ステップS12の制御を行う前に、開度調節弁11の開度を徐々に減少させ、これにより、開度調節弁11の開度を、現在の圧縮能力に応じて設定された設定開度よりもさらに小さい開度にしてもよい。
また、ステップS13の制御は、代替的に、圧力センサ8による圧力検出値に基づいて行われてもよい。圧力センサ8は、ステップS13で、開度調節弁11と圧縮機7との間における混合用ガス管9内の圧力を検出する。制御装置13は、圧力センサ8から圧力検出値に基づいて、圧力検出値が所定値に減少するまで、開度調節弁11の開度を徐々に増加させる。
【0036】
上述した本発明の第1実施形態のガス混合装置と方法によると、開度調節弁11の開度を徐々に減少させ、次いで、圧縮機7の圧縮能力を不連続的に切り換えることで、圧縮能力の切換時に、混合用ガス管9から燃焼用ガス管5に流入するガス量変化を緩和することができる。即ち、圧縮能力の切換により開度調節弁11を通過するガス量が変化するが、圧縮能力の切換前に開度調節弁11の開度を小開度にしておくとで、当該変化を緩和することができる。
この場合、開度を小開度に減少させると、混合用ガス管9から燃焼用ガス管5へ流れ込むガス量が変化するが、開度減少を徐々に行うことで、当該変化も小さく抑えることができる。
【0037】
また、圧縮機7の圧縮能力を不連続的に切り換えたら、開度調節弁11の開度を、徐々に増加させることで、切り換えられた圧縮能力に適切である設定開度に調節できる。
この場合、開度を増加させると、混合用ガス管9から燃焼用ガス管5へ流れ込むガス量が変化するが、開度増加を徐々に行うことで、当該変化も小さく抑えることができる。
【0038】
[第2実施形態]
次に本発明のガス混合装置10の第2実施形態について説明する。第2実施形態によるガス混合装置10の構成を図4に示す。
【0039】
図4に示すように、第2実施形態では、混合用ガス管9は、途中で分岐した複数の分岐管9a,9b,9cを有する。これら分岐管9a,9b,9cは、それぞれ、異なる位置において燃焼用ガス管5に接続されている。第2実施形態における他の構成は、第1実施形態と同じである。また、第2実施形態によるガス混合装置10を用いたガス混合方法は、第1実施形態のガス混合方法と同じである。
【0040】
第2実施形態によるガス混合装置と方法では、混合用ガス管9は、途中で分岐した複数の分岐管9a,9b,9cを有し、これら分岐管9a,9b,9cは、それぞれ、異なる位置において燃焼用ガス管5に接続されているので、圧縮機7からのガス送出量が不連続的に切り換っても、圧縮機7からの送出ガスと気化装置3からの燃焼用ガスとの混合率が変化する位置が複数位置に分散される。混合率が変化する位置が分散された分、混合率の変化を緩和でき、これにより、圧縮機7からの送出ガスと気化装置3からの燃焼用ガスとの混合率の変化を一層緩和できる。
さらに、圧縮機7が運転中に、異常動作して圧縮能力が不連続的に切り換えられてしまった場合にも、複数の分岐管9a,9b,9cにより前記混合率の変化を緩和できる。
【0041】
なお、複数の分岐管9a,9b,9cの長さ、および、分岐管9a,9b,9cと燃焼用ガス管5との接続位置について説明する。燃焼用ガス管5における上流側に接続される分岐管(例えば、9a)を第1の分岐管とし、燃焼用ガス管5における下流側に接続される分岐管(例えば、9b)を第2の分岐管とする。圧縮機7の圧縮能力の切り換えにより、不連続的に流量が増加した送出BOGを増大BOGとする。第1の分岐管9aから燃焼用ガス管5に流れ込んだ増大BOGが、第2の分岐管9bと燃焼用ガス管5との接続位置に到達した時に、この増大BOGが第2の分岐管9bからの増大BOGと混合されないように、複数の分岐管9a,9b,9cの長さ、および、分岐管9a,9b,9cと燃焼用ガス管5との接続位置が設定される。これにより、混合率変化を分散できる。
【0042】
[第3実施形態]
次に本発明のガス混合装置10の第3実施形態について説明する。第3実施形態によるガス混合装置10の構成を図5に示す。
【0043】
図5に示すように、第3実施形態では、圧縮機7のガス出口と開度調節弁11との間において、混合用ガス管9にバッファータンク14が設けられている。バッファータンク14は、混合用ガス管9におけるガス変動を吸収する。第3実施形態における他の構成は、第1実施形態と同じである。なお、第3実施形態における他の構成は、第2実施形態と同じであってもよい。即ち、バッファータンク14は、第2実施形態のガス混合装置10に設けてもよい。
第3実施形態によるガス混合装置10を用いたガス混合方法は、第1実施形態のガス混合方法と同じである。
【0044】
第3実施形態によるガス混合装置と方法では、混合用ガス管9にバッファータンク14が設けられているので、圧縮能力の切り換えおよび開度調節弁11の開度変化による混合用ガス管9のガス量変化をバッファータンク14で緩和することができる。特に、圧縮能力の増加および開度調節弁11の開度減少により、開度調節弁11の上流側で増加するガスを、バッファータンク14に蓄積させることができる。
また、バッファータンク14の蓄圧効果により、圧縮能力の不連続的切換時において、圧縮機7からの送出ガスと気化装置3からの燃焼用ガスとの混合率の変化を一層緩和できる。
さらに、圧縮機7が運転中に、異常動作して圧縮能力が不連続的に切り換えられてしまった場合にも、バッファータンク14により前記混合率の変化を緩和できる。
【0045】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【0046】
例えば、上記実施形態では、気化装置3は、LNGから燃焼用ガスを生成したが、LPGなどの他の液化ガスから燃焼用ガスを生成するものであってもよい。即ち、図1、図4、図5の貯蔵タンク16は、LPGなどの他の液化ガスを貯蔵するものであってもよい。
【0047】
また、第2実施形態では、分岐管9a,9b,9cは3つであったが、分岐管の数は2つまたは4つ以上であってもよい。
【0048】
上述の圧縮能力減少指令信号と圧縮能力増加指令信号は、貯蔵タンク16内のガス圧の検出値に基づいて指令装置により制御装置13に入力されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1実施形態によるガス混合装置の構成図である。
【図2】レシプロ式圧縮機の圧縮容量変化を示す図である。
【図3】本発明の実施形態によるガス混合方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態によるガス混合装置の構成図である。
【図5】本発明の第3実施形態によるガス混合装置の構成図である。
【図6】近年のLNG受入基地の構成例である。
【符号の説明】
【0050】
3 気化装置、5 燃焼用ガス管、7 圧縮機、8 圧力センサ、9 混合用ガス管、9a,9b,9c 分岐管、10 ガス混合装置、11 開度調節弁、13 制御装置、14 バッファータンク、15 逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスから生成された燃焼用ガスに所定のガスを混合させるガス混合装置であって、
液化ガスから燃焼用ガスを生成する気化装置と、
該気化装置からの燃焼用ガスが流れる燃焼用ガス管と、
燃焼用ガスに混合させるガスを送出する圧縮機と、
該圧縮機のガス出口から延びて前記燃焼用ガス管に接続される混合用ガス管と、
該混合用ガス管に設けられ、開度が調節可能な開度調節弁と、
前記圧縮機を制御するとともに、前記開度調節弁の開度を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記圧縮機の圧縮能力を不連続的に切り換えるときに、前記開度調節弁の開度を変化させ、これにより、前記混合用ガス管から前記燃焼用ガス管に流入するガス量変化を緩和する、ことを特徴とするガス混合装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
(A)前記開度調節弁の開度を徐々に減少させ、
(B)次いで、前記圧縮機の圧縮能力を不連続的に切り換える、ことを特徴とする請求項1に記載のガス混合装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
(A)前記圧縮機の圧縮能力を不連続的に切り換え、
(B)次いで、前記開度調節弁の開度を徐々に増加させる、ことを特徴とする請求項1または2に記載のガス混合装置。
【請求項4】
前記混合用ガス管は、途中で分岐した複数の分岐管を有し、
これら分岐管は、それぞれ、異なる位置において燃焼用ガス管に接続されている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガス混合装置。
【請求項5】
前記圧縮機の前記ガス出口と前記開度調節弁との間において、前記混合用ガス管にバッファータンクが設けられている、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のガス混合装置。
【請求項6】
液化ガスから生成された燃焼用ガスに所定のガスを混合させるガス混合方法であって、
液化ガスから燃焼用ガスを生成する気化装置と、
該気化装置からの燃焼用ガスが流れる燃焼用ガス管と、
燃焼用ガスに混合させるガスを送出する圧縮機と、
該圧縮機のガス出口から延びて前記燃焼用ガス管に接続される混合用ガス管と、
該混合用ガス管に設けられ、開度が調節可能な開度調節弁と、を設け、
前記圧縮機の圧縮能力を不連続的に切り換えるときに、前記開度調節弁の開度を変化させ、これにより、前記混合用ガス管から前記燃焼用ガス管に流入するガス量変化を緩和する、ことを特徴とするガス混合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−25356(P2010−25356A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183451(P2008−183451)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】